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医療情報学 32(2): 情報科学演習期間におけるグループ内変動の定量的分析 安田晃 1 平野章二 1 阿部秀尚 1 花田英輔 2 津本周作 1 本研究では演習期間中におけるグループ内の学習行動を定量的に分析し, 学生の行動様式を明らかにすることを目的とした. 演習終了時において

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1島根大学医学部 医療情報学講座 〒6938501 出雲市塩冶町891 2島根大学医学部附属病院 医療情報部 E-mail: ayasuda@med.shimane-u.ac.jp 受付日:2012 年 2 月 1 日 採択日:2012 年 3 月 22 日 【第15 回日本医療情報学会春季学術大会推薦論文】

1Department of Medical Informatics, School of Medi-cine, Shimane University

891 Enya-cho, Izumo-shi, Shimane, 6938501, Japan 2Division of Medical Informatics, Shimane University

Hospital

情報科学演習期間におけるグループ内変動の定量的分析

安田 晃1 平野 章二1 阿部 秀尚1 花田 英輔2 津本 周作1 本研究では演習期間中におけるグループ内の学習行動を定量的に分析し,学生の行動様式を明 らかにすることを目的とした.演習終了時において 19 項目からなる自己評価による学習態度調 査に自記したデータを解析した.解析には等質性分析を行い,各グループの構成メンバーの固有 ベクトルを 2 次元表示し,各点を結び座標上の閉じた多角形として面積を測定した.多角形面積 の大小により,グループを構成する個人の回答の分散の大小が分かる.多角形の面積はグループ 内での意思統一の指標にもなる.その結果,グループを構成する個人の回答の分散を多角形表示 することで演習期間中を通してグループ内の思考の変動が定量的に分かった.多角形の面積は意 識の統一的な判断となるが,課題に対する個人間の選択性によっては大きな面積であっても意志 決定の統一的な過程と解することもできる.演習を通して学生は何らかの知識を獲得するが,そ の知識獲得の際のグループ内での統一的な思考過程の一端が今回の分析から明らかとなった.演 習を続ける過程で動機づけ,自己決定的な行動様式に対して定量的に考察でき,本結果より学生 に対して適切な指導を行うことが可能となった. ■キーワード:テュートリアル,自己評価,等質性分析,質問紙,医学教育

Quantitative Analysis for Variance within Group in Medical Informatics Practice: Yasuda A1, Hirano S1, Abe H1, Hanada E2, Tsumoto S1

The purpose of this study was to analyze quantitatively the learning behavior in the group in medical informatics practice, and to clarify students behavioral pattern. Data analysis was learning attitude survey questions that consists of nineteen items. The analysis performed homogeneity analysis, and the two-dimensional representation of the eigenvectors of members of each group were measured as a closed polygon on the coordinate space. Distribution of responses of a group can be understood by the polygon area. The result showed quantitative changes in thinking during exercise by displaying the distribution of polygons in the group answers. The area of the polygon will be a uniˆed and conscious decision, but the selectivity between individuals can also be under-stood to challenge for a uniˆed decision-making process even larger area. Students will acquire

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knowledge through some exercises, this analysis revealed that one end of a uniˆed thought process in the group during their knowledge acquisition. Motivation to continue exercise in the process can be discussed quantitatively decisive action against the self-determination, it became possible to perform a proper teaching to students from the present results.

Key words: Tutorial, Self-evaluation, Homogeneity analysis, Questionnaire, Medical education

1. はじめに 学生がいくつかのグループに分かれ,それぞれ が独立して一定期間自主学習を行う際,初期の学 習は混沌とし,学習が進むにつれ獲得する知識, 情報量,それらを整理するための論理的な手段な どを得るようになると考えている.しかしその 際,知識,手段など個人が得る情報量にはグルー プ内で様々な分散があることは概観できるがグ ループを構成している学生間で表れる情報量の種 類やその差異を直接見ることはできない. われわれは,情報科学演習(以下,演習)期間 中の学生の学習行動について質問紙を用い解析し ているが,これまでの研究ではグループと質問項 目を行列として解析しているため1~3),学生個人 としての多次元解を求めることはしていない.仮 に学生を関数として多次元解を得ても,欠席,遅 刻,早退の状況から個人を時系列的に解としてう まく表現することは難しい. 今回われわれはグループに着目し,学生全体の 行動モデルの解として質問項目間の類似性,連関 性を示し,学習行動の潜在性を探索的に分析し た.その結果,演習期間の初期ではグループ内に おいて学習項目の選択性を模索しているように見 えるが,他者からの統制や評価に従い行動の強制 と考えられるような動機づけから学習していると 考えられた.これは外発的動機づけとよばれてい るが,この行動は演習が進むにつれ,課題に対す る興味や学習への自己要求が生じ,内発的動機づ けへと変化していると思われるモデル構造となっ てきた. 本研究では,演習期間中においてグループ内で は課題に対する興味や解法がどのように分散して いるのか,その程度を定量的に測定し,各グルー プ内における行動様式をグラフィカルに示すため の提案を行うことを目的としている. なお,本研究はグループに分かれ自主学習を行 った際の島根大学医学部看護学科学生を対象とし た学習行動の定量的分析であって,看護学科学生 の学習行動の特性を一般化したものではない. 2. 方 法 1) 調査対象・調査期間 調査対象は 2009 年度後期情報科学演習を履修 した島根大学医学部看護学科 1 年生 62 名および 編入生 10 名の 72 名である.この 72 名を無作為 に 14 グループに分け,1 グループ 5 から 6 名で 構成した. 演習は 10 月 5 日から 2010 年 1 月 26 日までの 11 回であった. 2) 演習課題 無作為に分けた 14 グループに対して,「男女 平等観の調査」,「友達との付き合い方に関する調 査」,「思いやりに関する調査」,「服装への関心度 調査」,「自意識に関する調査」の 5 項目をラン ダムに割り振った.学生はこれらのテーマから 10 から 15 項目の質問項目を作成し,実施,回 収,解析し,レポートを作成,成果をプレゼン テーションした. 3) 評価シート 学生が自記した評価シートを表 1 に示した. この評価シートは東京女子医科大学で行っている テュートリアルにおいて,テュータが学生を評価 するときにチェックするためのものであるが4) 一部改変し,学生自身が自記できるものと判断 し,使用した.学生は毎回の演習終了時にこの評 価シートを掲載したホームページにアクセスし, 演習中の自身の行動に対しはい,いいえのいずれ

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表 1 評価シート 関連事項の早期と学習項目の抽出(想起抽出) 1 多目的な発想や統合的な連想ができたか (発想連想) 2 課題に含まれる重要なテーマに気づいたか (重要なテーマ) 3 既に学んだ知識の整理ができたか (知識の整理) 4 課題から様々な疑問点や学習項目を抽出できた か (学習項目の抽出) 学習対象の取捨選択(取捨選択) 5 抽出した項目を重要度にしたがって順位づけで きたか (学習項目順位付け) 6 グループ全員に共通な学習項目を設定できたか (共通な学習項目) 7 自分独自の学習項目を設定できたか (独自の学習項目) 8 基本的な事項を学ぼうとしたか (基本的事項) 9 発展的・応用的な事項を学ぼうとしたか (発展応用) 学習計画の立案と実行(立案実行) 10 学習目標ごとに自らの到達目標を設定できたか (学習目標) 11 学習計画の時間配分は適切であったか (学習計画時間配分) 12 問題を解決するための具体的な方法を見いだせ たか (具体的方法) 13 自己学習に十分な時間と努力を注いだか (自己学習) 14 自分が設定した到達目標を達成できたか (到達目標) グループ学習上の態度(態度) 15 自己の考えを簡明かつ論理的に説明できたか (論理的説明) 16 他者の考えを理解しようと努めたか (他者の理解) 17 自分の考えと異なる意見に対しても柔軟な態度 がとれたか (柔軟な態度) 18 討論や発表の時間配分に留意したか (討論発表時間配分) 19 グループの一員として問題解決への建設的な貢 献をしたか (建設的貢献) 実際の質問紙には括弧内の略称は記載されていない か の 選 択 肢 に 電 子 的 に チ ェ ッ ク し た . 回 答 は CSV 形式でサーバーに保存される. 4) 内的整合性 回 答 が あ っ た 評 価 シ ー ト の 内 的 整 合 性 は Kuder-Richardson の公式(以下,KR20)より 求めた. 5) 解析方法 今回得られたデータは行に学生,列に 19 項目 の質問,各要素にはい,いいえがある行列であ る.ここでは多重対応分析で行と列の最適解を求 めるため等質性分析5,6)を行った. 今,学生i が質問項目の j のカテゴリ k を選ん だときgijk=1 とする.同じ質問項目で他のカテ ゴリは 0 とする.ここで,それそれi, j, k の範囲 はk=1, …, Nj;j=1, …, n; i=1, …, m である.実 際のデータではk=1,2; n=19; m=mmaxである. mmaxは各演習日の出席者数である.次元 1, 2 の 得点ベクトルを fi=[fi1 fi2]T(i=1, …, mmax),j に 対して aj=[aj1 aj2]T(j=1,…, 19)という得点ベク トルを考えれば, q= mmax

i=1

fi- 2

k=1 gi1ka1k

2 +…+

fi- 2

k=1 gi19ka19k

2 を,学生の得点ベクトル fiの平均は 0=[0 0]T 各次元の分散は 1 と制約した条件下でgijkに基づ いて構成される行列の固有値分解を行うものであ る.階数は min(質問のカテゴリ数-質問数,回 答者数-1)であり,解は 19 次元である. この方法では質問項目と個人の得点として固有 ベクトルが得られるが,mmax人は 14 のグループ に分かれている.この個人の固有ベクトルをグ ループ毎の結果として考え,5 から 6 名で構成さ れるグループにおいて,2 次元の得点では最大で 5 から 6 点がプロットされる.この個人の固有ベ クトルを多角形の頂点と考え,もっと大きな面積 となるよう多角形をつくり,得られる面積を測 定,その面積の大小がグループ内における評価 シートの回答の分散と考えた.この分散は多角形 の面積だけではなく,2 次元プロットにおいて頂 点 の 位 置 が 次 元 1, 2 方 向 に 向 い て い る か に よ り,思考の方向性を判断できる.

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図1 14 グループの演習前期(上段),中期(中段),後期の多角形表示 3. 結 果 各演習日毎の KR20 は最小値 0.781,最大値 0.863 であり,ほぼ妥当であると判断した.図 1 に演習前期(演習 2 日目),中期(同 6 日目), 後期(同 11 日目)の各 14 グループの多角形を 示す.ここで各グループの出席者が 3 人以上い るグループに関しては三角形以上の多角形を作成 し,2 人以下の場合は直線か点で示した.前期を 見ればグループ 11,1 は他のグループと比し面 積の大きな多角形を形成し,グループ内における 学習態度の分散が大きいことがわかる.グループ 2 はほぼ同一な学習態度への応答であった.中期 ではグループ 11, 14, 13, 12 の分散が他グループ と比し大きいことがわかる. 後期では他グループと比し分散が大きかったグ ループ 11 の面積が前期,中期に比し減少し,回 答が似通っている.しかし,グループ 3, 7, 9 の ように今までは分散が小さく,同類の回答をして いたグループで学習態度に分散が生じている. 演習期間中の各グループにおける多角形の面積 を表 2 に示した.図 1 は演習 2, 6, 11 日目をグラ フ化したものである. 4. 考 察 演習のようにグループ学習することにはメリッ

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表 2 演習期間における各グループの多角形の面積 演習 1 日 2 日 3 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 9 日 10 日 11 日 グループ1 7.53 13.42 2.22 7.51 2.64 4.06 8.68 18.08 9.81 16.55 3.87 2 1.33 0.64 2.41 1.09 0.43 0.91 0.78 0.00 0.00 0.00 0.00 3 3.78 6.41 0.72 6.27 3.94 0.22 6.55 1.75 7.78 4.28 27.94 4 1.32 2.05 1.41 6.29 0.00 0.00 0.00 6.19 25.44 11.43 0.00 5 3.39 6.08 4.45 8.10 5.28 2.52 33.98 0.03 11.40 0.28 5.16 6 0.22 2.33 8.26 0.18 0.00 1.88 0.00 0.38 0.00 0.00 0.00 7 15.83 6.00 25.70 2.74 5.09 1.60 13.55 5.53 5.31 5.55 9.22 8 19.38 2.28 1.40 0.65 0.09 0.00 0.55 0.00 2.43 2.01 0.00 9 5.25 3.82 6.61 3.75 12.50 4.67 12.86 7.81 2.68 ― 10.45 10 7.12 1.64 1.13 4.18 1.37 0.26 8.10 6.02 4.33 0.00 1.41 11 12.58 42.97 5.63 26.33 21.67 32.04 0.00 7.12 4.51 0.00 11.13 12 1.92 2.54 15.22 9.04 13.97 7.63 10.02 12.52 10.08 4.65 10.02 13 26.18 5.98 28.23 15.26 3.49 8.56 16.75 3.52 12.75 17.21 13.01 14 7.53 6.36 7.50 9.55 11.14 18.31 4.14 7.28 1.13 1.24 0.55 セル内の0.00 は 2 人の出席,あるいは 3 人以上の出席であるが同一の自記により多角形が得られなかったもの.欠 損値は全員欠席 トとデメリットがあり,前者はグループの構成員 による協同,相互作用,メンバーシップ,意見や 討論の多様性,知識獲得,問題解決の促進など多 くある.後者では他者依存,結論に対して収拾が つかない,構成員の欠席による他者の負担増,グ ループ内の統一感の欠如などこれらの事象も多く 存在する. 等質性分析から個人の固有ベクトルは計算され たが,あくまでわれわれの注目は経時的に把握で きる各グループ内での学習行動の潜在性であり, それぞれの学生個人の変動ではない.時点を統一 した際のグループ内の情報として,グループ内の 意識として考える多角形面積から考察してゆく. そして具体的な学習行動には顕在化した学習への 関心と潜在化した学習への関心があり,これらと 外発的動機づけから内発的動機づけへの移行過程 を包含したグループ内の分散から考えたい. 1) 各グループの多角形面積から 各グループ内では与えられた課題に対して学生 の観点や解決へのアプローチなどが異なることは 理解できる.ここではこれらの相違を何らかの関 数あるいは固有方程式の解として客観化すること で,学習行動の潜在性を測ることを目的とした. 評 価 シ ー ト の 回 答 は は い , い い え と し た 2 値 データであるが,q の固有値分解から学生個人と 19 項目の回答が固有ベクトルとして得られる. 学生をグループに分け固有ベクトルを 2 次元に プロットしたものが図 1 の各多角形の頂点に相 当する.すべての学生が対象となっているので分 析した演習時の直交している次元 1, 2 の意味は グループ間で不変である. 図 1 の演習前期を見ればグループ 11 が他のグ ループと比し大きな面積を有し,表 3 に示すよ うにグループ内で 19 項目の質問に対し多様な回 答を行っている.表 3 に示す回答から面積が小 さいグループ 6,グループ 11 同様面積が大きい グループ 1,14 が理解できる. このような考えから,演習中期までグループ内 の 分 散 が 大 き か っ た グ ル ー プ 11, 14 は 演 習 後 期,グループ内での個人間の態度の分散が小さく なっている.これに対しグループ 3, 12, 13 は個 人の態度の分散がみられる. これら回答の分散の大小を図示できることによ って課題に取り組む学生へのアドバスが可能とな り,思考過程での意識レベルである潜在的学習関 心を行動レベルまで引き上げるための働きかけが

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表 3 演習前期におけるグループの典型的な回答パターン グループ番号 11 発想連想 ○ × ○ × ○ 重要な テーマ × ○ ○ × ○ 知識の整理 × ○ ○ × × 学習項目 の抽出 × ○ × ○ × 学習項目 順位付け ○ ○ × × × 共通な 学習項目 ○ ○ × ○ × 独自の 学習項目 ○ ○ × × × 基本的事項 × ○ ○ ○ ○ 発展応用 × ○ ○ × ○ 学習目標 ○ ○ × × × 学習計画 時間配分 ○ ○ × × × 具体的方法 × ○ × × ○ 自己学習 ○ ○ × × ○ 到達目標 ○ ○ × × × 論理的説明 × ○ ○ × × 他者の理解 × ○ ○ ○ × 柔軟な態度 × ○ ○ × × 討論発表 時間配分 ○ ○ ○ × × 建設的貢献 ○ ○ ○ ○ ○ 1 × × ○ ○ × × × × ○ ○ × × ○ ○ ○ × × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ × ○ × × × ○ × ○ ○ × × ○ ○ × ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ × 14 × × × ○ ○ × × × ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × ○ × × ○ × × ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ × ○ × × ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ × × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ × ○ × × ○ ○ ○ 6 ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × × × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ 2 ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 各グループの個人の評価シートを示す.○ははい,×はいいえ.グループ 11 は最も面積が大きい,1,14 は 次いで面積が大きいが多角形の広がりの方向が異なる.6,2 は面積が小さく,2 は最も小さい.図 1 上段を 参照. 可能となると思われた.前期,多くの質問項目で 分散が大きいグループ 11 に対して現時点での学 習すべき観点を明確にするようアドバイスが可能 となり,分散が小さかったグループ 6 ではほぼ 均一と思われる学習を行っているが,学習目標, 論理的説明にいいえとした回答が多かったことか ら,目標の再確認と論拠立てた学習行動をするよ うにアドバイスできる. このように多角形表示から各グループが学習し ている状況,今後の展開を定量的に概観すること が可能と考えている. 2) 動機づけとの関わり 動機づけは外発的動機づけと内発的動機づけに 大きく分けられる.前者は他者からの統制,評価 など外的に統制される.後者は課題や行動そのも のによって目的を伴い自己決定される. 学習行動では学生自ら積極的に課題に取り組む 自意識の発現が内発的動機づけにあたると考え

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る.このような動機づけがあると考えれば,前期 の 学 習 の 動 機 づ け は 外 発 的 で あ る と 考 え る .

Ryan & Deci7,8)は外発的動機づけから内発的動

機づけへ変化する変容過程を提案し,外発的,内 発的と独立したものではなく一次元的に結びつく ものと捉えている.岡田は大学生において外的な 評価や競争的な側面が弱くなるが,自律的な動機 づけと統制的な動機づけが分かれ存在することを 示した9) 演習後半になって学生の学習に対する意欲的な 状況を概観できることは,Ryan & Deci の変容 過程を示していることも考えられる.学習そのも のの取り組みのベースには岡田の指摘した自律 的,統制的動機づけが存在すると思われる. われわれの分析の結果,多角形面積の大きいも の(あるいは小さいもの)が多様な(あるいは統 一的な)思考過程を示していると考えた.そのこ とにより多角形面積の急激な減少(あるいは増加) はグループ内での共通した意識,学習手段を獲得 した(あるいは獲得していない)過程と考えた. 当然,ある時点で区切ったグループにおける多角 形面積の分散の大小はグループ内での議論の多様 性の有無とも解される. このような動機づけが外発的から内発的となる 学習行動の過程を更に定量的に捉えるためには学 生へのインタビュー,他の質問紙などにより検証 が必要となる.演習期間中において,どのような 特徴のグループが内発的動機づけとなるのかを考 察し,更にレポートの完成度,良好なプレゼン テーションへの寄与にどのように関わるか定量的 な検証を行う予定である. 5. 総 括 演習期間中の学生の学習行動を評価シートの回 答から固有方程式の解として得た.学生個人を頂 点とする多角形の面積からグループ内での思考, 目的,意識過程の分散を考え,2 次元プロットし た.この演習は実証に基づく看護学(EBN)の 実践に重要な役割を果たす情報処理,データ解析 の手法を活用し,看護学研究に実践できる技能を 習得するためのものである.その点からも学生の 行動を定量的に把握し,適切なアドバイスをかけ てゆくことは重要なことと考える.学生自身にと っても EBN の重要性を認識する基礎的要件を獲 得すると思われる. 学生の学習行動の定量的分析に等質性分析を用 いたが,一般にカテゴリ k 個の n 項目ある質問 紙に m 人が回答した際の解析に用いることがで きる手法は様々ある.本論文で用いた等質性分析 はあくまでグループ内の変動を把握するための分 析として行った.今回は第 2 固有値に対する固 有ベクトルまでを対象としてグループ内の変動と いう問題を考えてきたが,更に高次元までの固有 ベクトルに拡張すれば全データに対する寄与の程 度は減少するがグループに特化した意識構造の潜 在性も明らかになると考えている.他の解析方法 の併用とともに検証してゆく予定である. 参 考 文 献 1) 安田 晃,柳樂真佐実,孫 暁光,津本周作,山本 和子.自主学習における学生の自己評価の変動に関 する解析.医学教育 2001 ; 32 : 6975. 2) 安田 晃,平野章二,阿部秀尚,花田英輔,津本周 作.情報科学演習における質問項目間の相互関係と 学習行動.医療情報学 2010 ;30 : 4954. 3) 安田 晃,平野章二,阿部秀尚,津本周作.質問紙 からみた学習行動の選好性と類似性.日本行動計量 学会第39 回大会抄録集 2011 ; 19194. 4) 東京女子医科大学テュートリアル委員会.テュート リアル教育.篠原出版,1996 ; 7786.

5) Giˆ A. Nonlinear multivariate analysis. Chichester, UK : Wiley, 1990 : 81149.

6) 足立浩平.対応分析と多重対応分析と同時対応分 析.心理学評論 2003 ;46 : 54763.

7) Ryan RM, Deci EL. Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social develop-ment, and well-being. American Psychologist 2000 ; 55 : 5878.

8) Ryan RM, Deci EL. Self-regulation and the problem of human autonomy : Does Psychology need choice, self-determination, and will? Journal of Personality 2006 ;8 : 155785.

9) 岡田 涼.小学生から大学生における学習動機づけ の構造変化―動機づけ概念間の関連性についてのメ タ分析―.教育心理学研究 2010 ;58 : 414425.

図 1 14 グループの演習前期(上段),中期(中段),後期の多角形表示 3. 結 果 各演習日毎の KR 20 は最 小値 0.781,最大値 0.863 であり,ほぼ妥当であると判断した.図 1 に演習前期(演習 2 日目) ,中期(同 6 日目) , 後期(同 11 日目)の各 14 グループの多角形を 示す.ここで各グループの出席者が 3 人以上い るグループに関しては三角形以上の多角形を作成 し,2 人以下の場合は直線か点で示した.前期を 見ればグループ 11,1 は他のグループと比し面 積の大
表 2 演習期間における各グループの多角形の面積 演習 1 日 2 日 3 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 9 日 10 日 11 日 グループ 1 7.53 13.42 2.22 7.51 2.64 4.06 8.68 18.08 9.81 16.55 3.87 2 1.33 0.64 2.41 1.09 0.43 0.91 0.78 0.00 0.00 0.00 0.00 3 3.78 6.41 0.72 6.27 3.94 0.22 6.55 1.75 7.78 4.28 27.94 4
表 3 演習前期におけるグループの典型的な回答パターン グループ番号 11 発想連想 ○ × ○ × ○ 重要な テーマ × ○ ○ × ○ 知識の整理 × ○ ○ × × 学習項目 の抽出 × ○ × ○ × 学習項目 順位付け ○ ○ × × × 学習項目共通な ○ ○ × ○ × 学習項目独自の ○ ○ × × × 基本的事項 × ○ ○ ○ ○ 発展応用 × ○ ○ × ○ 学習目標 ○ ○ × × × 学習計画 時間配分 ○ ○ × × × 具体的方法 × ○ × × ○ 自己学習 ○ ○ × ×

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