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鉛汚染土壌に対するファイトレメディエーションの適用に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

鉛汚染土壌に対するファイトレメディエーションの適用に

関する研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

松古, 浩樹

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第332号

Issue Date

2008-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/23517

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 松 古 浩 樹(岐阜県) 博 士(工学) 甲第 332 号 平成 20 年 3 月 25 生産開発システム工学専攻 鉛汚染土壌に対するファイトレメディェーションの適用に関する研究 (Studyonapplicationofphytoremediationtoalead(Pb)contaminated soiカ (主査) (副査) -1ヽ 嶋 ノ 授 教 健介郎 勇成 藤城 田 佐本篠 授授授 教教教 厚

論文内容の要旨

植吻による土壌汚染の修復(Phytoremediation)は,土壌洗浄,熱処理,掘削除去などの物理化

学的手法による対策に比較して,コストや適用の容易さなどに優れ,資産価値の低い汚染サイト

に有効な対策である.土壌汚染対策法の示す基準値には,土壌の直接摂食に関わる含有量基

準と地下水等め摂食に関わる溶出量基準がある.Phytoreniediationの機能の一つである植物に 汚染物質を蓄積させ,土壌の直接摂食のリスク低減を月指す植物吸収(Phytoextraction)だけで なく,植物の根域による排水抑制効果や濾過効果によづて,降雨による汚染物質の拡散を抑制 し,地下水等の摂取のリスク低減を目指す拡散防止(Phytostabilization)についても注目しなけれ ばならない. 本研究は,射撃場鉛散弾による土壌地下水汚染問題に対し,資産価値の高い駅前一等地で はない山間部射撃場の汚染リスクを,Phytoextraction機能と植物根圏による汚染拡散防止 (Phytostabilization)機能を活用しながら,時間はかかるが,低コスト低環境負荷の修復法として 期待出来る植物による土壌汚染修復の実用化の可能性について現地実証試験およびカラム実 験を行った. 鉛汚染土壌に対するPhytoextraction機能については,高濃度鉛汚染土壌(10,500mg此g)を短 期間に完全浄化することは困難ではあるが,環境基準値(150mg此g)をやや超過する土壌汚染 に対し有効な技術であると考えられた.また,鉛汚染土壌に対するPhytostabilization機能につい ては,降雨などによる土壌の流亡や,汚染物質の流出を防ぐ機能とともに,浸出水抑制機能を示 し,地下水等の摂取により人の健康被害に与える危険性のリスク低減が期待されることが 明らかとなった. 第2章では鉛散弾による射撃場跡地に試験圃場を設置し,Phytoextraction機能に?いて検討 した・試験は3年間行い26種類の植物について,鉛高集積植物の探索を実施した.その結果, 春播き植物のなかで,タデ科ソバ,秋播き植物では,ライムギ,エンバク及びファセリアは鉛高集

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-22-積植物で,耐候性も優れていたことから鉛の植物吸収(Phytoextraction)に適していた.比較的効 果が高かったソバとライムギを用い年間栽培計画でPhytoextractionを実施すると,熱処理による 処理費用を投入して浄化できる汚染土の最大鉛含有量は180.5mg此g,土壌洗浄による処理費 用を投入して浄化できる汚染土の最大鉛含有量は285.8mg此gであった.したがって,実験で使 用したような高濃度鉛汚染土壌を短期間に完全浄化することは困難ではあるが,環境基準値

(150mg此g)をやや超過する土壌汚染に対し有効な技術であると考えられた:

第3章では,降雨などによる土壌の流亡や,汚染物質の流出を防ぐPhytostabilization機能に ついて検証し,汚染土壌・地下水等のリスク低減が可能かどうか,第2章の鉛高蓄積植物の探索 試験と平行して現地実証試験を行った.その結果,1Ⅱ皿から4mm程度の時間降水量(日降水 量50ⅢⅥn程度)では,根圏により土中水の下方への移動を抑制した.また,7種類の植物につ いて浸出水量を調査した結果,植生による浸出水量の減少や,降雨強弱による浸出水量の変化 を緩和する保水効果を示した.この保水効果は,植生による汚染拡散防止(Phytostabilization) 機能の1つである根圏により,降雨などによる土壌の流亡や,汚染物質の流出を防ぐ機能を示し, 地下水等の摂取により人の健康被害に与える危険性のリスク低減が期待される結果であった. 第4章では,カラムを用いた室内実験により,カラム下部からの浸出水量だけではなく,浸出水 中鉛濃度を計測し,植生による鉛拡散防止(Phytostal)ilization)機能について検討した.また,深 度別の間隙水中の鉛濃度も計測し,浸出水中鉛濃度との関係についても検討した.カラム実験 の結果,鉛の拡散防止を鉛溶出量で評価すると,植生により74%鉛溶出量を低減した.浸出水 中鉛濃度および間隙水中鉛濃度の植生による変化はなく,鉛溶出量低減効果は浸出水量の抑 制が主な要因であった.この結果は,植生による蒸散効果が地下部への鉛拡散を防止するという 機能であり,第3章で得られた根圏により,降雨などによる土壌の流亡や,汚染物質の流出を防ぐ 機能ともに,植生の浸出水抑制による汚染拡散防止(Phytostabilization)機能を示し,地下水等 の摂取により人の健康被害に与える危険性のリスク低減が期待される結果であった.

第5章では,土中深度別の体積含水率,負厚(サクション)を計測し,植生土壌の保水効果の要

因と,浸出水量の抑制・緩和と鉛直下方への土中水ゐ移動の関係とについて検討した.その結 果,無潅水時の体積含水率とpF値の散布図より,根圏土質の水分保持特性の変化を確認し,根

圏ポンプで根圏に水が集まりギニアグラスの平均体積含水率を高くし保水性を向上させた・また,

体積含水率の減少が無植生よりギニアグラスの方が大きく,特にGL-10cmで顕著であった要因 は,植物の蒸散により根から土中水が吸収されたためであり,さらに地表面に根量が集中してい ることが,GL.-10cmの体積含水率を特に減少させたと考える.すなわち,植生土壌の保水性向 上および蒸散効果が,土中水の移動性を制限し,鉛の拡散を防止することに繋がった.

論文審査結果の要旨

射撃場施設周辺で顕在化しつつある土壌地下水の鉛汚染対策を念頭に置いた研究であり, 植物体内への重金属蓄積(Phytoextraction)機能と植物根圏による汚染拡散防止 (Phytostal)ilization)機能を活用しながら,資産価値低い山間地の汚染リスクを,低コスト・低環境 負荷で低減可能なファイトレメディェーション技術の実用化を目指し実施されたものである. 鉛汚染土壌に対するPhytoextraction機能については,高濃度鉛汚染土壌(10,500mg此g)を短

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-23-期間に完全浄化することは困難であるが,環境基準値(150mg此g)をやや超過する土壌汚染に 対し有効な技術であることを室内と現地圃場実験から明らかにしている.鉛汚染土壌に対する Phytostabilization機能については,降雨などによる土壌の流亡や汚染物質の流出を防ぐ機能と ともに,根圏土壌は根圏ポンプ作用により浸出水抑制機能を示し汚染対策に活用できることを 明らかにしている.本論文で示された主要な成果は以下のように要約される. (1)鉛高集積植物の探索による植物浄化の可能性 射撃場跡地に試験圃場を設置し鉛高集積植物の探索を行い,春播き植物でタデ科ソバ,秋播 き植物でライムギ,エンバク及びファセリアが鉛高集積植物で,耐候性も優れていることから鉛の 植物吸収(Phytoextraction)に適していることを明らかにしている.戯吸収効果の高いソバとライム ギを用い年間栽培計画でファイトレメディェーションを実施すると,熱処理による処理費用を投入 して浄化できる汚染土壌の鉛含有量は180.5mg/kg,土壌洗浄による処理費用を投入して浄化で きる汚染土の鉛含有量は285.8mg/kgであることを示し,射撃場のような高濃度鉛汚染土壌を植 物によって短期間に完全浄化することは困難ではあるが,環境基準値(150mg/kg)をやや超過す る広範囲の土壌汚染に対し有効な技術であることを明らかにしている. (2)根圏ポンプ機能の解明と汚染拡散防止

圃場実験より,時間降水畢1∼4mmおよび日降水量50Ⅱ皿程度の降雨に対し,浸透水の

下方への移動を根圏によって抑制でき,浸出水の減少や降雨強弱による浸出水量の変化を緩 和できることを明らかにしている.室内カラム実験では土中深度別の体積含水率,負圧(サクショ ン)を計測し,根圏ポンプで根周辺に間隙水が集まり平均体積含水率を高くし,保水性を向上さ せること,根圏が地表面に集中し,蒸散流による板表面のサクション増加によって土壌体積含水 率減少に繋がることを明らかにしている.室内実験での間隙水の鉛濃度変化から植生により鉛溶 出量を低減出来ることを示し,鉛溶出量低減ほ浸 出水鉛濃度の低下でなく,根圏ポンプによる浸

出水抑制が主な要因であることを明らかにしている.

最終試験結果の要旨

佐藤健,本城勇介,八嶋厚,篠田成郎で構成する審査委員会は,本論文および別刷りなど を慎重に検討した.本論文は学位論文として十分に完成された内容を有していること,提 出された学位論文及び発表論文は,申請者により書かれていることを確認した.また最終 試験(公聴会)を2月4日に開催し,審査委員会での審査の結果,合格と判定した.

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