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(1)

覆蓋更新設計マニュアル(案)

平成20年9月

横 浜 市 環 境 創 造 局

(2)

はじめに 昭和30~40年代に稼動した多くの水再生センターの水処理施設は、覆蓋等を施さ ずに供用していた。その後、周辺環境への配慮から最終沈殿池を除く処理施設に覆 蓋を設置したが、下水処理という特殊な環境や経年によるコンクリートの腐食等の劣化 等が見られるようになった。 平成19年1月15日に発生した西部水再生センターにおける転落事故を踏まえ、こ れからの(簡易)覆蓋設計にあたり、蓋受枠部を含めた覆蓋の安全対策等を重点に施 設の安全性の向上を図ることを目的として「覆蓋更新設計マニュアル(案)」を作成し た。 本マニュアルは、当該事故の要因や水再生センターにおけるコンクリート構造物(開 口部を中心とする)の安全性について、学識経験者等により安全対策を立案すること を目的として設置された「水再生センター等安全対策検討委員会」の報告書を基に作 成されたものである。 また、同報告書を踏まえて、「水再生センター覆蓋更新5箇年計画(案)」(安全対策 を含む)の策定にあたっては、「中長期的な対策」として、各施設の標準的耐用年数の 経過時期と点検結果等を評価して、順次、更新に合わせて着実な安全対策を実施す るとともに、PDCAサイクルとして、定期的な点検等を行うものとしている。 以上の観点から、本マニュアルは、覆蓋更新設計に際し、設計手法及び安全対策 等の標準とするものである。 なお、本マニュアルは現場説明会等における意見や提案などから一層の安全性の 向上を目指して、修正・改定等を進めたものである。

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【目   次】

総則 --- 1 目的 --- 1 適用範囲 --- 3 形式用語の定義 --- 4 基本方針 --- 5 安全対策の方法 --- 5 安全対策施行後(更新後)の対応 --- 7 構造上の考え方 --- 9 覆蓋設置形式 --- 9 覆蓋支持形式 ---11 覆蓋更新設計 --- 14 覆蓋更新設計の手順 ---14 覆蓋更新設計の手順--- 14 基本方針の確認 ---16 基礎情報の調査と整理 --- 16 優先度の設定と安全対策方法 --- 17 覆蓋更新設計の考え方 --- 19 覆蓋の受枠部への「かかり長」について ---20 更新方法の考え方 --- 24 更新方針 ---24 覆蓋の更新方法 ---25 張出スラブ厚が少ない場合の留意事項 --- 34 4.1.1 4.2 4.3 4.1 1.1 1.2 1.3 2.1 1 2 3 4 2.2 3.1 3.2 4.3.1 4.3.2 4.3.3 4.1.2 4.1.3 4.1.4 4.1.5

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構造細目 ---35 覆蓋本体について --- 35 受枠について --- 41 受枠アンカーについて --- 42 受枠切欠部の処理について --- 43 その他 --- 44 その他の留意事項 --- 45 調査中の安全確保 ---45 現地における鉄筋等配置の確認 --- 45 コンクリート躯体等の劣化について ---46 現場条件等の考慮 ---46 詳細な維持管理条件の把握 --- 47 腐食環境に存しない覆蓋について --- 47 床スラブの照査について --- 47 堅固な部材(鋼材等)の支持による覆蓋について --- 48 床スラブ等の設置の検討について --- 49 手すり、柵等の設置について ---51 環境価値の付加等 --- 52 3Rの検討 --- 52 3Rの検討 --- 52 既設覆蓋の再使用(リユース) ---56 地球温暖化防止等の検討(参考) ---57 その他の付加価値等 ---5.1.1 5.1.2 5.2 5.3 5 4.4 5.1 4.5 4.4.1 4.4.2 4.4.3 4.4.4 4.4.5 4.5.1 4.5.6 4.5.2 4.5.3 4.5.4 4.5.5 4.5.10 4.5.7 4.5.8 4.5.9

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1 総則 【解説】 本市の水再生センターにおける覆蓋は、昭和50年代前半から最初沈殿池や反応タ ンクなどの開口部に、臭気対策等として設置されているが、覆蓋受枠部等の安全性向 上のため、PDCAサイクルに沿って検証を行った。まず、現況の覆蓋受枠部等につい て調査し、その後診断を行った。※ エラー! ※ 平成19年5月各水再生センターの協力により、「水再生センター等安全対策検 討委員会 報告書(以下「報告書」という。)P50~P54」のとおり劣化調査を行っ た。 1.1 目的 本マニュアルは、水再生センターにおける覆蓋受枠部等の安全性の向上を図るた めに、維持管理性等を考慮しつつ、合理的な覆蓋更新を行うことを目的とするもので ある。 昭和50年代から 環 境 対 策 と し て 覆蓋設置 図1-1 PDCAサイクル

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その結果をもとに、現在の覆蓋設置方法等を見直し、蓋受枠部等の機能向上も含 めた新たな覆蓋更新計画である、「覆蓋更新5箇年計画(平成20年度~24年度)」 (平成19年10月)を策定した。 覆蓋更新5箇年計画は全水再生センターの水処理施設に係る更新計画であり、更 新対象となる覆蓋は膨大な量となる。このような状況を踏まえ、本マニュアルは、覆蓋 更新にあたり設計の標準化を図ること、また、覆蓋更新にあたって維持管理への配慮、 対処手順(Procedure)などについて記述し、更新担当部門と維持管理部門等の意思 PDCAサイクルにより調査→診断 →問題点等の抽出と評価

覆蓋更新5箇年計画

(平成 20 年度~24 年度) ・ 見直し(あとのせ式) ・ 安全対策 ・ 機能向上 ・ スケジューリング ・ 付加価値 等 覆蓋更新設計において

詳細図(仕様書)

等に反映 図1-2 詳細図作成までの流れ

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【解説】 蓋受枠部等コンクリートの劣化に影響を及ぼす主な要因には供用環境が大きく係わ っていると考えられる。コンクリートの劣化に及ぼす主な要因を次に述べる。※ ① 二酸化炭素や硫化水素などの影響により、中性化や腐食等が促進される。 ② この促進により、アンカー筋などが腐食・膨張する。 ③ アンカー筋などの腐食による体積膨張は、コンクリートのひび割れを促進し、耐 荷重の減少を招く。 ④ 上記のような状態にある場合において、想定を超える荷重や衝撃荷重などの外 力の作用によって破損に至るおそれがある。 以上のことから、水再生センターの同じような供用環境にある蓋受枠部等コンクリート については、劣化等が進行しているおそれがあるため、Counter Measures としての 安全対策を実施する必要がある。 ※ 「報告書」P44~45を参照 1.2 適用範囲 水再生センターにおける最初沈殿池、反応タンクの覆蓋部、及び硫化水素、二酸 化炭素の影響のおそれがある関連場所を対象に覆蓋及び蓋受枠部等について安 全対策を実施する。

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【解説】 (1)あとのせ式 (2)はめこみ式 なお、覆蓋受枠部の「支持形式」については、別章で説明する。 1.3 形式用語の定義 (1)あとのせ式 鉄筋コンクリート構造物(部材)等の上にあとから載せた形式。多くは、運転開始 当初に蓋を設けず、都市化の進展に伴って臭気対策等の必要性が高まり、あとか ら設置したもので、比較的古い施設に多い。 (2)はめこみ式 蓋(受枠を含む)が鉄筋コンクリート構造物の床面と同一になるように設置した形 式。臭気対策等として、運転開始当初から蓋を設置している施設で多く採用されて おり、比較的新しい施設に多い。 図1-3 あとのせ式の模式図 図1-4 はめこみ式の模式図

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2 基本方針 【解説】 (1) 覆蓋設置形式 覆蓋設置形式には、「あとのせ式」と「はめこみ式」があるが、「あとのせ式」を基本 とする。 (2) 覆蓋支持形式 覆蓋支持形式には次のような形式があるが、梁や壁などの部材で荷重を支持す る形式を基本とする。 2.1 安全対策の方法 覆蓋設置形式は「あとのせ式」を基本とし、梁や壁などの部材で蓋本体及び蓋受 枠部等の荷重を支持するものとする。ただし、やむを得ず鋼材支持とする場合は、耐 腐食性の材料(ステンレス製等)とし、支持鋼材を適切な位置に移動する。 受枠部 図2-1 あとのせ式の模式図 図2-2 支持形式

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(3) 更新方法(形式) ① 「はめこみ式」の場合 覆蓋設置形式を「あとのせ式」とし、梁や壁などの部材で荷重を支持する形式を 基本とする。また、受枠部は間詰め等の補強を行う。 ② 「鋼材支持」の場合 やむを得ず、鋼材支持となる場合は、支持鋼材の腐食防止等を目的に、材質を ステンレス製等耐腐食性材に交換し、適切な支持位置に変更(移動)する。 移動 図2-3 安全対策手法の実施例

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【解説】 覆蓋更新後は、PDCA サイクルに基づき、一定期間内の目視点検など定期的な点 検を実施し、点検結果のフィードバックを実施する。 以下に図2-4既設構造物覆蓋更新計画フローの内容について記述する。 (1)資料収集 対象となる施設の竣工図※等を入手し、覆蓋の設置形式、支持形式を確認すると ともに施設の稼働年数を確認する。 ※ 竣工図とは、工事請負人が工事完成図書として出来形測量の結果及び設計 図書に従って完成図を作成し、提出したもの。 (2)現地調査 現地調査は、施設管理者立ち会いのもと、劣化調査票(参考資料1)等を踏まえ、 蓋の形式・形状、蓋の支持形式、蓋材質、蓋及び蓋支持部材等の劣化状況、開口 部の幅、維持管理動線、覆蓋に支障となる配管等の確認を行うとともに、写真撮影 等を行う。 (3)覆蓋更新設計 調査結果等を踏まえ、覆蓋更新設計マニュアル(案)に基づき、覆蓋の更新設計 を行う。更新する覆蓋形式は、やむを得ない場合を除き、梁や壁などの部材に支持 させる「あとのせ式」とする。「あとのせ式」にした場合でも維持管理動線の確保及び 配管等の設置に支障にならないよう覆蓋を配置するよう努める。 (4)覆蓋更新工事 覆蓋更新設計マニュアル(案)に基づき、仕様等について施設管理者と協議し、 覆蓋部の更新工事を合理的に行う。なお、覆蓋部には受枠部周辺を含む。 (5)維持管理 計画的な維持管理のマネジメントシステムを構築しつつ、定期的な点検等を行う ものとする。 ①計画(Plan) 覆蓋の標準的耐用年数を考慮した管理目標を定め、目標をどのような手段で達 成するか等の計画を策定する。 ②実行(Do) 計画(Plan)に基づいて管理目標(定期点検等のサイクル)を確実に実施し、履 歴記録等を残す。 2.2 安全対策施行後(更新後)の対応 覆蓋更新後は PDCA サイクルに基づき、定期的な点検等を実施し、点検結果のフ ィードバックを実施する。

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③確認(Check) 計画どおりに管理目標が達成されたかの評価・分析を行い、また管理目標が達 成されていない場合には、その要因を分析し必要な対策(是正措置等)を講じる。 ④見直し(Action) フィードバックにより、計画(Plan)の見直しが必要な場合、覆蓋更新設計マニュ アル(案)の修正を含め、具体的にどのように修正・改定等するか等を検討し、実行 プラン(見直し計画)へ反映させる。

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3 構造上の考え方 【解説】 覆蓋の多くは壁・梁・スラブといったコンクリート躯体に支持されている。このコンクリ ートの性能(特徴)のうち、蓋受枠部の安全性に影響を与える事項について整理する。 蓋受枠部の安全性に影響を与える、コンクリートの主な性能(特徴)は、次の事項が 考えられる。 ・ 材料によるもの ・ 設計・施工によるもの ・ 経年や化学的作用等の環境によるもの また、経年や供用環境によってコンクリートの性能は変化し、蓋受枠部の安全性を低 下させるリスクとしては、主に次の要因が考えられる。※ ・ コンクリートにひび割れが生じた場合、下水処理施設特有の高濃度な二酸 化炭素や硫化水素によって、コンクリート表面からの劣化進行速度が速くな るリスク ・ 一般的には、鉄筋をコンクリートに配置することによって、コンクリートの耐久 性を向上させているが、幅の広いひび割れが発生した場合、鉄筋を腐食(錆 び)させ、膨張して、周囲のコンクリート性能を大幅に低下させるリスク 通常、はめこみ式の蓋受枠部は、鉄筋かぶりのコンクリート部分であるが、上記のよう な特有のリスクがあることも考慮しなければならない。 ※ 「報告書」P44~45を参照 3.1 覆蓋設置形式 覆蓋設置形式は、次の2方式に大別する。 (1) あとのせ式 (2) はめこみ式

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「あとのせ式」 「はめこみ式」 (1) あとのせ式 ・ 前述のリスクを大幅に低減することができる。 ・ 蓋の大きさが開口部よりかなり大きくなり、維持管理動線への影響が大きい。 ・ 蓋とコンクリート躯体に段差が生じる。 等 (2) はめこみ式 ・ 前述のリスクに配慮する必要がある。 ・ 蓋の大きさが開口部と同程度で、維持管理動線への影響は小さい。 ・ 蓋とコンクリート躯体に段差は生じない。 等 受枠部 受枠部 段差あり 段差なし 開口部 開口部 図3-1 覆蓋設置形式

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【解説】 下水処理施設特有の高濃度な二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化 学作用等が、蓋受枠部等に与える影響について、覆蓋の支持形式ごとに整理する。※ ※ 「報告書」P46~48を参照 (1) 張出スラブ支持 図3-2のとおり、二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化学作用等 は側部、下部から進行するため、その影響が及ぶと予想される範囲外まで覆蓋の 「かかり長」を確保する必要がある。 このとき、維持管理動線等への影響を検討し、必要に応じて図3-3のとおり蓋 かけの方向(支持方向)を 90 度変えるなど、善後策を講じることが望ましい。 (2) 壁・梁支持 (2) 壁・梁支持 3.2 覆蓋支持形式 覆蓋支持形式は、次の3方式に大別する。 (1) 張出スラブ支持 (2) 壁・梁支持 (3) 鋼材支持 図3-2 張出スラブ支持形式 図3-3 維持管理動線の確保例

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(2) 壁・梁支持 図3-4のとおり、二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化学作用等 は側部から進行するため、その影響が及ぶと予想される範囲外まで覆蓋の「かかり 長」を確保する必要がある。 このとき、維持管理動線への影響を検討し、必要に応じて図3-3のとおり蓋か けの方向(支持方向)を 90 度変えるなど、善後策を講じることが望ましい。 (3) 鋼材支持 図3-5のとおり、鋼材は二酸化炭素、硫化水素等の影響を直接受けるため、設 置位置を変更して張出スラブ支持または壁・梁支持に変更する必要がある。 やむを得ず、鋼材支持とする場合は、鋼材材質をステンレス製等耐腐食性材に しなければならない。また、二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化学 作用等は側部から進行するため、その影響が及ぶと予想される範囲外までアンカ ー等の定着長を確保する必要がある。 図3-5 鋼材支持形式 図3-4 壁・梁支持形式

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蓋かけの方向(支持方向)を 90 度変えることにより、鋼材支持を張出スラブ支持 または壁・梁支持に変更できる例を図3-6に示す。

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4 覆蓋更新設計 【解説】 覆蓋更新は、供用施設の覆蓋及び受枠部等の劣化状況等を調査し、劣化状況 等から優先度を設定して段階的に着実な更新を図るものとする。(図4-1設計概念 のとおり) 覆蓋更新設計は、調査結果を基に、維持管理性等に配慮しながら、安全性の向 上に資する覆蓋設置形式を選定し、覆蓋及び受枠部の形状・寸法、その構造形式 を設計する。 図4-2に、覆蓋更新設計のフローを示す。 4.1 覆蓋更新設計の手順 4.1.1 覆蓋更新設計の手順 覆蓋更新の基本方針に基づき、既存資料や維持管理履歴等を含めた現場状況 (現場条件等)を十分に調査し、その調査結果を踏まえるとともに、維持管理性等に 配慮し、施設の安全性を向上する覆蓋更新の設計を行う。 図4-1 設計概念

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【解説】 覆蓋更新にあたって、現場条件等から設計条件が定まらないときには、「2 基本 方針」に戻って方向性を確認する。 【解説】 覆蓋更新設計の基礎的な情報として、主に竣工図※等を収集し、現地調査を行って、 施設の劣化状況等を確認する。現地調査においては、必要に応じて覆蓋及び受枠部 の劣化状況の目視調査の他、非破壊(あるいは破壊)調査等で確認し、優先度の設 定に反映させる。 調査項目は、主に次のとおりとする。 ※ 竣工図とは、工事請負人が工事完成図書として出来形測量の結果及び設計図書 に従って完成図を作成し、提出したものである。 4.1.2 基本方針の確認 覆蓋更新の設計にあたっては、現場条件等を踏まえ、「2 基本方針」を確認する。 4.1.3 基礎情報の調査と整理 覆蓋更新設計にあたり、施設の現場状況や、関連する資料等を調査し、基礎的な 情報を整理する。 覆蓋及び受枠部の状況 (現地調査) ○覆蓋及び受枠部の目視確認 覆蓋形状、設置形式、材質、開口寸法、 覆蓋面積、点検口位置、劣化状況 ○受枠部周辺のコンクリート打音調査 ○非破壊(あるいは破壊)調査等 資料収集 ○竣工図書(土木・設備) ・土木躯体構造・配筋(かぶり)、覆蓋及び受枠部 ・覆蓋周りの支障となりそうな設備機器 ・供用年数(標準的耐用年数との比較) ○その他関連資料等 その他 ○維持管理動線 ○設備機器の内容、移設等の可否 ○池内環境(H2S・CO2 濃度等) 等 表4-1 基礎情報の調査項目

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【解説】 (1) 覆蓋支持形式は、腐食・劣化環境に対して必要な「かかり長」※を確保した「完 全あとのせ式」を原則とするため、それ以外の覆蓋支持形式については安全対 策上更新の優先度が高くなる。特に、鋼材支持形式の更新を優先するものとする。 また、覆蓋及び受枠部等の劣化状況等が顕著な施設についても安全対策の優 先度が高くなる。 ※「かかり長」とは ・・・・・ 覆蓋(及びその荷重)が、受枠部コンクリートに載っている長さのこと 安全対策上の優先度の考え方は、次のとおりである。 表4-2 優先度の考え方 優先度 低い 高い 特に高い 覆蓋設置形式 あとのせ式 はめこみ式 覆蓋支持形式 壁・梁支持 張出スラブ支持 鋼材支持 覆蓋及び受枠部 の劣化状況 健全である 劣化している 受枠部の腐食・コンクリートひび割れ等 4.1.4 優先度の設定と安全対策方法 覆蓋支持形式、覆蓋及び受枠部等の劣化状況等から対象施設の更新に対する優 先度を設定し、それぞれの条件に適合した安全対策方法を選定する。 受枠部コンクリート 覆 蓋 かかり長 ← 基準面

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(2) 施設の劣化状況等による優先度と併せて、主に供用年数を考慮し安全対 策方法を選定する。 Ⅰ 優先度・・・「特に高い」・「高い」 →①標準的耐用年数を超過……「あとのせ式」での更新 <中長期的策> →②標準的耐用年数を未超過…進入防止措置等の実施 <当面の対策> ⇒標準的耐用年数を経過後、<中長期的対策>へ Ⅱ 優先度…「低い」 →①標準的耐用年数を超過……進入防止措置等の実施 <当面の対策> ⇒Ⅰ-①・②の更新状況を踏まえながら、<中長期的対策>へ →②標準的耐用年数を未超過…進入防止措置等の実施 <当面の対策> ⇒標準的耐用年数を経過後、Ⅰ-①・②の更新状況及びⅡ-①の対応状況を 踏まえながら、<中長期的対策>へ

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【解説】 (1) 覆蓋の劣化状況等から、必要な「かかり長」を確保した「あとのせ式」覆蓋が設 置可能か否か検討する。この検討の要点は、次表のとおりである。 表4-3 実行可能性(フィージビリティの確保)の検討 ①覆蓋を支持する土木躯体の構造 ・壁・梁などの部材の支持が可能か ・必要な「かかり長」を確保できるか 等 ②設備機器の有無 ・維持管理等に支障となるか ・支障となる場合、移設可能かどうか 等 ③維持管理動線 等 ・適切な動線が確保できるか ・維持管理に必要なスペースが確保できるか 等 (2) 「あとのせ式」が不可の場合、鋼材支持等の実行可能な覆蓋支持形式を検討 する。やむを得ず、鋼材支持形式を採用する場合は、鋼材材質をステンレス製等 耐腐食性材にすることを原則に、鋼材を設置する位置・支持部等について、構造 特性を踏まえ、最適な形状・配置等を選定する。 (3) 点検口の位置、風による飛散防止措置、調査作業中の安全確保、また、環境 価値の付加等、覆蓋に係る様々な留意事項について検討し、その検討結果を反 映するものとする。 (4) 更新設計案を作成した後、その内容について施設管理者等と協議し、必要な 修正等を適切に行う。 4.1.5 覆蓋更新設計の考え方 「あとのせ式」を原則に、更新に向けて実行可能な覆蓋形式を設計する。 (1) 必要な「かかり長」を確保した「あとのせ式」の設置の可否を検討する。 (2) 「あとのせ式」が不可の場合、設置可能な形式(鋼材支持等)について構造 上・機能上・安全上等において的確な設計を行う。 (3) 覆蓋に係る留意事項の検討を行い、その検討結果を反映させる。 (4) 更新設計案をもとに、施設管理者等と協議し、適切な修正等を行う。 図4-3 覆蓋形式選定フロー (図4-2の要点)

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4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について

覆蓋の受枠部のコンクリートは、下水処理施設特有の二酸化炭素による中性化や 硫化水素による酸の化学作用の影響等を受けるため、覆蓋の「かかり長」はその影響 が及ぶおそれのある範囲外に達するものとする。

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【解説】 (1) 最初沈殿池における「硫化水素の影響が及ぶと予想される範囲 66mm」は、次の とおり算定した。 近年、最初沈殿池には基本的にコンクリート防食を施している。防食被覆層の標準 的耐用年数は 10 年間であり、一度防食して次に防食するまでの期間を長寿命化等の 取組から 20 年間とすると、硫化水素によりコンクリート腐食が進む期間は、平均的に 10 年間と考えることができる。 「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル 平成 19 年 7 月(編著 日本下水道事業団)」(以下、「防食マニュアル」という。)によると、硫化水素 濃度とコンクリートの劣化速度の間には図4-5のような関係がある。 また、防食マニュアルでは、最初沈殿池は腐食環境Ⅱ類に分類されており、年間平 均硫化水素濃度は概ね 10ppm 以上 50ppm 未満とされている。 ここでは、硫化水素濃度を 50ppm、腐食が進む期間を 10 年間と仮定し、上記マニュ アルの算定式に代入すると、腐食量は 66mm となる(表4-4参照)。 経過年数(年) 5 10 15 20 防食 耐用10年 超過10年 図4-5 平均 H2S ガス濃度と劣化速度 防食の耐用年数(年)

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表4-4 硫化水素によるコンクリート腐食量の試算 (2) 反応タンクにおける「中性化の影響が及ぶと予想される範囲 141mm」は、次のと おり算定した。 「報告書」によると、反応タンクは二酸化炭素が高濃度であり、また、高温多湿である ことから、通常の環境条件より早期に中性化が進むと考えられる。 【魚本・高田の提案式】 y=(2.804-0.847logC)・e(8.748-2563/T)×(2.39WC2+44.6WC-3980)×10-4×√(C・t) y :中性化深さ(mm) C :二酸化炭素濃度(%) WC :水セメント比(%)・・・本検討では60%とする T :温度(K)・・・本検討では 293K(20℃)とする t :中性化期間(週) 出典:魚本、高田;コンクリートの中性化速度に及ぼす要因、土木学会論文集 No.451/V.17、pp.119~128、1992.8 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 経過年数 硫化水素濃度 年 ppm Y(mm/年) 腐食量(mm) Y(mm/年) 腐食量(mm) 5 50 6.61 33 6.02 30 10 50 6.61 66 6.02 60 15 50 6.61 99 6.02 90 20 50 6.61 132 6.02 120 25 50 6.61 165 6.02 151 30 50 6.61 198 6.02 181 35 50 6.61 231 6.02 211 40 50 6.61 264 6.02 241 45 50 6.61 297 6.02 271 50 50 6.61 331 6.02 301 - - ①×③ - ①×⑤ JS防食指針※1より 計算式等 腐食速度最大値 腐食速度 Y=1.42Ln(X) + 1.05 X:硫化水素濃度ppm Y=1.40Ln(X) + 0.54 X:硫化水素濃度ppm

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図4-6は、「報告書」資料編 39 ページの抜粋であり、中性化予測に関する「魚本・ 高田の提案式」と、西部水再生センター反応タンクにおける中性化深さの実測値を重 ね合わせたものである。実測値は、二酸化炭素濃度を1~2%とした場合の「魚本・高 田の提案式」により得られる値と概ね一致していることが分かる。 ここでは、この「魚本・高田の提案式」を用いて反応タンクのコンクリートの中性化深さ の予想を行う。 西部水再生センターにおける春期(平成 19 年 4 月)及び夏期(平成 19 年 8 月)の実 測値より、中性化期間を 50 年(コンクリート構造物の標準的耐用年数)とすると <仮定条件> ・ 温度 : T=295.7K(22.7℃) ・ 二酸化炭素濃度: C=1.85% ・ 中性化期間 : t=2600 週(50 年) とし、これらを「魚本・高田の提案式」に代入すると、中性化深さyは y=141mm となる。

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【解説】 (1) 計画性 覆蓋の更新は、著しい劣化現象等の発見後に事後的(対処療法的)に行うので はなく、概ね5カ年程度の更新計画を策定し、これに基づき、計画的かつ着実に 行っていくものとする。 (2) 明瞭性 覆蓋の更新においては、目視点検等で覆蓋、受枠部等の劣化状況を確認するこ とができるとともに様々なリスクに対し、事前に対応が可能である「あとのせ式」を基 本とする。 (3) 安全性 二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化学作用等は、側部、下部から 進行するため、その影響が及ぶと予想される範囲外に覆蓋を設置するものとする。 また、供用環境から受ける影響が予想以上に大きく、コンクリート躯体の劣化等が進 行している場合は、的確な対策(防食工等)を検討する。 (4) 維持管理性 維持管理上必要なスペースについて施設管理者と協議し、維持管理動線等へ の影響を極力少なくするものとする。 (5) 経済性 安全性、維持管理性等を確保した上で、経済性も考慮した合理的な覆蓋の形式 や大きさ等を選定する。 図4-7に更新方針の概念を示す。 4.3 更新方法の考え方 4.3.1 更新方針 覆蓋の更新は、主に次の点に留意し進めるものとする。 (1) 計画性 (2) 明瞭性 (3) 安全性 (4) 維持管理性 (5) 経済性

(29)

既設覆蓋形式 はめこみ式 あとのせ式 スタート ここに t:張出スラブの厚さ B:目標管理動線幅であり、現場条件や維持管理における使用 状況等に応じて、原則次の3つのケースを想定する。 ①管理作業従事者一人が荷物なしで歩行する場合 …0.6m ②管理作業従事者一人が荷物を持って歩行する場合…1.2m ③管理作業従事者同士が頻繁にすれ違う等の場合 …2.0m C:張出スラブ支持形式における張出スラブの張出長さ X:開口幅 それぞれ詳細については、後述する各ルートの標準仕様を参照する こと。 ※t<200mm の場合については、4.3.3に示す。 4.3.2 覆蓋の更新方法 ・ 更新後の覆蓋形式は「あとのせ式」を基本とする。 ・ 具体的な更新方法は、既設覆蓋の設置形式(「はめこみ式」か「あとのせ式」か)、支持形式 (壁・梁などの部材支持か張出スラブ支持か)及び更新後における管理動線幅確保の可否等 に応じて、図4-8に分類される。 ・ この分類に基づいて、覆蓋の更新方法を選定することを原則とする。 ・ なお、本マニュアルにおいては、原則として、張出スラブ厚 200mm 以上について適用する。 図4-8 更新ルートの選定フロー 張出スラブ支持 (p.28 へ) 壁・梁などの部材支持 (p.27 へ) 壁・梁などの 部材支持 既設覆蓋の 支持形式 張出スラブ支持 壁・梁などの部材支持 (p.26 へ) ルート -1 1 ルート -2 1 ルート -41 管理動線幅≧B YES NO 張出スラブ支持 (p.29 へ) C/L ≦ 0.2 ルート -3 1 YES NO t ≧200mm YES NO 防食工等※ 壁・梁などの 部材支持 既設覆蓋の 支持形式 張出スラブ支持 ルート -12 ルート -22 ルート -42 管理動線幅≧B YES NO C/L ≦ 0.2 ルート -32 YES NO t ≧200mm YES NO t ≧200mm 防食工等※ C/X は均衡性の指標であり、例えば、C/X=0.5 は、覆蓋面積が 開口面積の約 2 倍となることを表す。 各水再生センターの現況調査によれば、0.2<C/X<0.5 の場合は 少数(例外的)であるため、C/X の限界値を 0.2 とする。 張出スラブ支持 (p.32 へ) 壁・梁などの部材支持 (p.31 へ) 張出スラブ支持 (p.33 へ) 壁・梁などの部材支持 (p.30 へ)

(30)

更新前

更新後

M8 @500(SUS304) あと施工アンカー パッキン ずれ止め鋼材 L-40×40×3(SUS304) 受枠(ずれ止め鋼材) L-40×40×3 (SUS304) あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 受枠アンカーボルト 150 mm(壁・梁支持) 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合

① ルート 1 -1の標準仕様

【解説】 150 mm(壁・梁支持) かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 かかり長 a a かかり長

(31)

受枠アンカーボルト 受枠(ずれ止め鋼材)

② ルート 1 -2の標準仕様

【解説】 あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 150 mm(壁・梁支持) 100 mm(壁・梁支持)

更新後

更新前

管理動線幅 ≧ B あと施工アンカー M8 @500(SUS304) ずれ止め鋼材 かかり長 a パッキン 管理動線には不向きなエリア 目標管理動線幅 B は、現場条件や維持管理における使用状況等に応じて、次の3ケースを想定する。 管理作業従事者一人が荷物なしで歩行する 主たる使用状況 目標管理動線幅 B 0.6 m 管理動線には不向きなエリア C/X ≦ 0.2 C 開口幅 X 張出長さ L-40×40×3 (SUS304) a かかり長 L-40×40×3(SUS304) 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。

(32)

③ ルート 1 -3の標準仕様

あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合 受枠(ずれ止め鋼材) 受枠アンカーボルト a かかり長 100 mm(張出スラブ支持) 200 mm(張出スラブ支持)

更新前

更新後

管理動線幅 ≧ B ずれ止め鋼材 M8 @500(SUS304) あと施工アンカー a かかり長 パッキン 管理動線には不向きなエリア 管理動線には不向きなエリア C X 開口幅 C/X > 0.2 張出長さ 【解説】 L-40×40×3 (SUS304) a' 150 mm 100 mm a' 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 (仮に梁・壁支持とした  場合のかかり長) L-40×40×3(SUS304) かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。

(33)

更新前

④ ルート 1 -4の標準仕様

管理動線には不向きなエリア 管理動線には不向きなエリア 管理動線幅 < B a パッキン かかり長 あと施工アンカー M8 @500(SUS304) ずれ止め鋼材

更新後

【解説】 a' あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 受枠(ずれ止め鋼材) 受枠アンカーボルト (仮に梁・壁支持とした  場合のかかり長) a' a 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合 L-40×40×3 (SUS304) 100 mm(張出スラブ支持) 200 mm(張出スラブ支持) 150 mm 100 mm かかり長 L-40×40×3(SUS304) 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。 目標管理動線幅 B は、現場条件や維持管理における使用状況等に応じて、次の3ケースを想定する。 主たる使用状況 管理作業従事者一人が荷物なしで歩行する 0.6 m 目標管理動線幅 B

(34)

⑤ ルート 2 -1の標準仕様

受枠(ずれ止め鋼材) 受枠アンカーボルト

更新後

あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合 100 mm(壁・梁支持) 150 mm(壁・梁支持)

更新前

あと施工アンカー M8 @500(SUS304) ずれ止め鋼材 かかり長 a パッキン 【解説】 L-40×40×3 (SUS304) かかり長 a L-40×40×3(SUS304) 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。

(35)

⑥ ルート 2 -2の標準仕様

あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 100 mm(壁・梁支持) 150 mm(壁・梁支持) 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 受枠アンカーボルト 受枠(ずれ止め鋼材)

更新前

更新後

ずれ止め鋼材 M8 @500(SUS304) あと施工アンカー パッキン 管理動線には不向きなエリア 管理動線には不向きなエリア C X 開口幅 C/X ≦ 0.2 張出長さ 【解説】 L-40×40×3 (SUS304) かかり長 a 管理動線幅 ≧ B a かかり長 L-40×40×3(SUS304) 目標管理動線幅 B は、現場条件や維持管理における使用状況等に応じて、次の3ケースを想定する。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 管理作業従事者一人が荷物なしで歩行する 主たる使用状況 0.6 m 目標管理動線幅 B

(36)

更新前

⑦ ルート 2 -3の標準仕様

更新後

ずれ止め鋼材 M8 @500(SUS304) あと施工アンカー かかり長 a パッキン 管理動線には不向きなエリア 管理動線には不向きなエリア C 開口幅 X C/X > 0.2 張出長さ 【解説】 a' 管理動線幅 ≧ B あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) 受枠(ずれ止め鋼材) 受枠アンカーボルト (仮に梁・壁支持とした  場合のかかり長) a' かかり長 a 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合 L-40×40×3 (SUS304) 100 mm(張出スラブ支持) 200 mm(張出スラブ支持) 150 mm 100 mm L-40×40×3(SUS304) 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。

(37)

⑧ ルート 2 -4の標準仕様

更新前

管理動線には不向きなエリア 管理動線には不向きなエリア パッキン a かかり長 M8 @500(SUS304) あと施工アンカー ずれ止め鋼材

更新後

【解説】 管理動線幅 < B a' 反応タンクの場合 最初沈殿池の場合 最初沈殿池の場合 反応タンクの場合 受枠(ずれ止め鋼材) 受枠アンカーボルト (仮に梁・壁支持とした  場合のかかり長) a' かかり長 a 200 mm(張出スラブ支持) 100 mm(張出スラブ支持) あと施工アンカー M8 @500 (SUS304) L-40×40×3 (SUS304) 100 mm 150 mm L-40×40×3(SUS304) 管理作業従事者一人が荷物なしで歩行する 目標管理動線幅 B は、現場条件や維持管理における使用状況等に応じて、次の3ケースを想定する。 かかり寸法の算出根拠については、「4.2 覆蓋の受枠部への「かかり長」について」を参照すること。 受枠及び受枠アンカーボルトについては、「4.4 構造細目」を参照すること。 目標管理動線幅 B 0.6 m 主たる使用状況

(38)

【解説】 張出スラブ支持形式における張出スラブ厚が少なく、200mm を下回る場合は、劣化 等の影響のおそれが懸念されるため、原則として、次の手順で検討するものとする。 ① 構造上の確認を行う。 ② 現地におけるはつり出し、あるいはコア抜き等により、中性化範囲等を調査、確認 する。 ③ 劣化の異常な進行等が見られた場合は、劣化部の除去、断面の修復およびコンク リート防食等、劣化環境等からの遮断を行うこと等により、覆蓋受枠部等の適切な 処置を講じる。 4.3.3 張出スラブ厚が少ない場合の留意事項 張出スラブ支持形式における張出スラブ厚が200mm を下回る場合は、下水処理 施設特有の二酸化炭素による中性化や硫化水素による酸の化学作用等のおそれが あるため、構造上の確認及び劣化調査を十分に行い、その調査結果に基づいてコ ンクリート防食等、適切な処置を講じるものとする。 図4-9 張出スラブ厚が少ない場合の処置例

(39)

【解説】 (1) 1) 積載荷重について 建築基準法施行令第 85 条(積載荷重)に係る表(抜粋)を次に示すが、覆蓋の積 載荷重は、このうち、「劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これ らに類する用途に供する建築物の客席又は集会室(固定席ではない場合)」の積載 荷重に準じて、3.5kN/㎡を見込むものとする。 ただし、通常、床スラブは積載荷重 5.0kN/㎡※を見込んで設計されていることか ら、維持管理形態等により覆蓋上の作業・通行頻度が多い等の場合、経年劣化等の 影響を極力回避するため覆蓋の設計積載荷重を 5.0kN/㎡と想定する必要がある。 また、次の「2)許容たわみ量」解説に示すとおり、覆蓋が主に可とう性材料であること から、作業者・通行者等の不安感・違和感をなくすため、たわみ量を抑制する必要 がある。そこで、覆蓋の設計積載荷重に安全率2.0を乗じ、照査用の積載荷重とし ては 10.0kN/㎡を見込むことができるものとする。(以下、4.4.1(1)1)但書適 用の覆蓋を「たわみ抑制蓋」という。) なお、(簡易)覆蓋は、標準的耐用年数を勘案しても、一般にコンクリートより劣化 速度が速いため、維持管理や通行の頻度が多い場合等には安全側の積載荷重を 見込むことが妥当である。通常、床スラブの設計積載荷重は、5.0kN/㎡であるた め、通常の維持管理において、覆蓋上を通行したり、覆蓋上で作業せざるを得ない 場合、当該覆蓋については、床スラブと同等の設計積載荷重を考慮するものとする。 なお、照査用積載荷重 10.0kN/㎡はあくまで劣化等を考慮したものであり、維持管 理においては、積載荷重は 5.0kN/㎡と想定することが望ましい。 ※ 床スラブの積載荷重については、「下水道施設耐震計算例-処理場・ポンプ場 編-」(2002年版 (社)日本下水道協会)の水処理池スラブを運用している。 4.4 構造細目 4.4.1 覆蓋本体について (1) 荷重等の要件は、原則として次のとおりである。 1)積載荷重 3.5kN/㎡ 2)許容たわみ量 L/200(L は支間長) 3)蓋1枚当たりの重量は 40~50kg 程度を原則とする。 (2) 覆蓋の材質は、耐食性のものとし、ガラス繊維強化プラスティック(FRP)製、 合成木材製、アルミニウム製等とする。 (3) 覆蓋の配色は緑色を原則とする。ただし、施設管理者との協議により変更す ることができる。 (4) 覆蓋の配慮事項は、主に次のとおりである。 1)耐荷重の表示 2)管理上の注意事項 3)設置年月日の表示

(40)

表4-5 建築基準法に定める積載荷重

(41)

2) 許容たわみ量について 「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(1999 年 11 月 日本建築学会)によれ ば、「鉄筋コンクリート床スラブの過大なたわみによる苦情の発生量は、たわみが L/200(L は支間長)以上になると多くなる」という調査結果が出されている。 これを参考に、覆蓋の剛性不足によるたわみや振動等を可能な限り防ぐため、通 常の覆蓋については、たわみの限界値を L/200 と設定する。 ただし、上記「1)積載荷重」解説のとおり、覆蓋上の作業・通行頻度が多い覆蓋 については、設計積載荷重を床スラブと同等の 5.0kN/㎡としたうえで安全率2.0を 乗じて照査用積載荷重を 10.0kN/㎡とすることができるため、5.0kN/㎡の積載 荷重に対してもたわみ量を L/400 以下に抑えることができる。L は図4-10のとおり とする。 3) 重量について 維持管理において、作業者二人により蓋の開閉作業を行うことを標準とし、一人当 たり約20~25kg持ち上げることを想定する。 ただし、施設管理者との協議により、変更することができるものとする。 (2) 覆蓋の材質について 覆蓋の材質は、耐食性のものとし、ガラス繊維強化プラスティック(FRP)製、合 成木材製、アルミニウム製等全国的に実績のあるものとする。なお、覆蓋の種類に ついては、覆蓋の事例集(図4-15)を参照すること。 また、覆蓋表面については経年劣化等を防ぐため、必要な表面防護等を施すも のとする。 (3) 覆蓋の配色について 緑色は平和と癒しを意味するとされる色で、ヒーリング作用をもたらすため、ストレ スを軽減し、心身を癒し自然治癒力を高めると言われており、安心と調和を促す色 でもあり実績もあることから、覆蓋の配色として適している。 ただし、施設管理者との協議により、その他の色に変更できるものとする。 図4-10 積載荷重の表示

(42)

(4) 覆蓋の配慮事項 主に、次の事項に配慮することとするが、施設管理者との協議により、追加、変更 等をすることができる。 1)耐荷重の表示 独立した蓋については、全部に表示し、連続した蓋については、10 ㎡に一カ所 表示することを原則とする。標準図は図4-11のとおりである。 なお、現場における誤解を防ぐため、国際単位系(SI)を用いず、なじみのあるキ ログラム(kg)を使用することを妨げないが、施設管理者と協議し、変更することが できる。 2)管理上の注意表示 独立した蓋については、全部に表示し、連続した蓋については、10 ㎡に一カ所 表示することを原則とする。なお、標準図は更新後であることを考慮して図4-12の とおりとするが、施設管理者と十分協議し、変更することができる。 図4-11 積載荷重の表示

(43)

3)施工銘板、管理票の設置 ① 施工銘板 原則として、系列毎、あるいは施工単位毎に覆蓋上部表面に施工銘板を設置 するものとする。銘板は原則として A4サイズとし、図4-13のとおり、施工銘板 には「施工箇所」、「覆蓋材料」、「請負者名」、「施工者名」、「製造者名」、「竣工 年月」等を表示する。 ② 管理票 原則として、覆蓋全数の裏面に管理票を設置するものとする。管理票は原則と して、A7サイズ(縦7cm×横10cm程度)とし、図4-14のとおり、管理票には 「製造元」、(「型番」、「管理番号」)、「設置年月」、「連絡先」等を表示する。 なお、設置方法については、ペイントや銘板、印字等とすることができるが、耐 久性のあるものとする。 図4-13 施工銘板 図4-14 管理票

(44)

図4-1

あとのせ式覆蓋の事例

事例 写真 集(材料 +形状 ) フラ ットタ イ プ ドーム タ イプ ガラス繊維強化プラスティック製 (F R P) 合成木材製 (F F U、F R U) ッ ク 製 もの ) 【 Ⅱ.形 状 】 Ⅱ-1 フ ラ ッ ト タイ プ Ⅱ-2 ド ー ムタイ プ アルミ製 平成 19年9月現 在 な し はめ こみ式 あとのせ式 Ⅰ 材質 Ⅱ 形状

(45)

【解説】 (1) 「あとのせ式」の受枠には原則として、耐食性の高いステンレス鋼材(SUS304)を 使用する。 また、腐食・劣化環境条件により、防錆処理(防食等)を考慮するものとする。 (2) 受枠のサイズは、次に示す耐震計算(仮定条件)に基づき、L-40×40×3 以上 を原則とする。 ① 現在、水処理施設に設置されている大半の覆蓋の支間長は6m以下であるの で、覆蓋支間長を6mとして検討する。受枠アンカーのピッチは後 述する 500mm として検討する。 ② 設計荷重 覆蓋(受枠含む)自重 1.0kN/m2 積載荷重 3.5kN/m2 設計水平震度 0.6 (レベル2地震動) ③ 使用材料の検討(仮定条件) 受枠L-40×40×3(SUS304) とすれば 断面二次モーメント I=3.53cm4 断面係数 Z=1.21cm3 短期許容曲げ応力度 fb=235kN/mm 2=23.5kN/cm2 ω=(1.0+3.5)×0.6×3.0=8.1kN/m M=ω 2/8=8.1×0.52/8=0.253kN・m σb/fb=0.253×102/(1.21×23.5)=0.89 < 1.0・・・OK δ=5ω 4/384EI =5×8.1×102×50.04/(384×21000×3.53) =0.09cm= /555 < /200・・・OK となるので、参照すること。 (3) 受枠は、4.3.2に示す標準図のとおり、適切な方法により確実にコンクリート躯 体に定着させるものとする。 4.4.2 受枠について (1) 材質は SUS304 を原則とする。 (2) 受枠のサイズはL-40×40×3 以上を原則とする。 (3) コンクリート躯体等の標準的な位置に確実に定着させるものとする。

(46)

【解説】 (1) 受枠アンカーには原則として、耐食性の高いステンレス鋼材(SUS304)を使用す る。 (2) 受枠アンカーは、次に示す耐震計算(仮定条件)に基づき、原則として、あと施 工アンカーM8 を 500mm 以下の間隔で配置する。 ① 現在、水処理施設に設置されている大半の覆蓋の支間長は6m以下であるの で、覆蓋支間長を6mとして検討する。受枠アンカーのピッチは 500mm として 検討する。 ② 設計荷重 覆蓋(受枠含む)自重 1.0kN/m2 積載荷重 3.5kN/m2 設計水平震度 0.6 (レベル2地震動) ③ 使用材料の検討(仮定条件) あと施工アンカーM8@500(SUS304) とすれば 短期許容せん断力 Qa=0.75・φ3 ( 0.5・sca・√(Fc・Ec) ) ここに、φ3:低減係数=0.6(短期) sca:断面積=0.366cm2 Ec:コンクリートの弾性係数=2100kN/cm2 Fc:コンクリートの設計基準強度=21N/mm2=2.1kN/cm2 Qa=0.75×0.6×( 0.5×0.366×√(2.1×2100) ) =5.47kN M8 1 本あたりの発生せん断力 Q=(ω /2)×2=8.1×0.5=4.05kN Q/Qa=4.05/5.47=0.74 < 1.0・・・OK となるので、参照すること。 4.4.3 受枠アンカーについて (1) 材質は SUS304 を原則とする。 (2) 受枠アンカーは、原則として、あと施工アンカーM8 を 500mm 以下の間隔 で配置する。 (3) コンクリート躯体等の標準的な位置に確実に定着させるものとする。 (4) 定着用アンカーは、接着系アンカーを原則とする。

(47)

【解説】 既設の受枠鋼材等については、腐食・劣化することにより、コンクリート躯体の耐久性、 機能性等に影響を及ぼすおそれがあるため、適切に撤去するものとする。また、切欠 部については、一般部よりも供用環境による劣化の影響を受けるおそれがあるため、 原則として、間詰等の補強等を行い、一様な躯体面に仕上げる。 一般的な処理方法を図4-16に示す。 ただし、張出スラブ支持の切欠部については、壁・梁支持と比べて、供用環境による 劣化の影響を受けるおそれがあるため、現場状況を確認後、コンクリートの劣化が著し い場合は、受枠鋼材を含めた切欠部の適切な撤去や補強等を検討する。 4.4.4 受枠切欠部の処理について 既設の受枠鋼材等は撤去し、間詰等の補強等を行い、一様な躯体面とすることを 原則とする。 図4-16 受枠部の処理方法

(48)

【解説】 (1) 鋼材支持については、コンクリート側の劣化状況等に影響されることを考慮し、 腐食状況や取付状況等を定期的に点検等する必要があるため、原則として、現 場に鋼材支持箇所を配色により明示するものとする。 (2) 現場状況等により、蓋の「かかり長」がやむを得ず標準値を満たさない場合は、 供用環境による劣化の状況を受けるおそれがあり、定期的に点検等を実施する 必要があるため、原則として、現場にその状況を配色により明示するものとする。 表4-7 覆蓋の配色分類 配色 内容 支持形式 基本色 一般部であり、標準的な点検を実施する。 壁・梁支持、張出スラブ支持 (蓋の「かかり長」が標準的な 場合) 赤色 鋼材の腐食状況や取付状況等に重点を おいた点検を実施する。 鋼材支持 黄色 標準的な点検を実施するが、供用環境に よる劣化の影響を受けるおそれがある。 壁・梁支持、張出スラブ支持 (蓋の「かかり長」が標準値を 満たさない場合) (3) 点検口の位置は、現在設置されている位置・使用目的、開閉の頻度等を把握し、 維持管理に支障のないよう配置する。現在設置されている箇所の設置を基本と するが、施設管理者と協議の上選定する。施設の現地状況、関連する資料を調 査し、基礎情報を整理するとともに、覆蓋の形状・配置等を考慮する。 (4) 覆蓋は、原則として、留め金具などにより適切な飛散防止措置を講じる必要があ る。また、留め金具は、腐食・劣化等予想される環境条件に対応できる、適切な 耐食性等についても検討する。 4.4.5 その他 (1) 鋼材支持の覆蓋は、「赤色」を原則とする。 (2) 蓋の「かかり長」が標準値を満たさない覆蓋は、「黄色」を原則とする。 (3) 点検口は、現在設置されている位置を基本に、施設管理者と協議し、覆蓋 の形状・配置等を考慮し、選定する。 (4) 覆蓋は、留め金具などにより飛散防止措置を講じることを原則とする。

(49)

【解説】 現地調査にあたっては、労働安全衛生対策をまとめた、調査作業計画書を作成す るものとする。設計担当者、施設管理者に報告した後、調査作業を開始する。 作業者には、事前の安全管理教育を実施するとともに、作業手順や役割分担、危 険箇所の確認等を行う。作業中は必ず安全帯を使用し、転落防止等の安全対策を行 う。また、酸素濃度等の測定、換気等を行い、酸素欠乏症等の防止に対処する。 【解説】 覆蓋の「かかり長」は、硫化水素、二酸化炭素の影響が及ぶと予想される範囲だけ でなく、鉄筋等の配置についても考慮して設定するため、その配置(かぶり)の確認が 必要である。設計時点では、竣工図等の情報が基本となるが、工事着手前には、工事 対象エリアで構造上支障のない範囲において、覆蓋支持部周辺のコンクリートをはつ り、鉄筋の配置(かぶり)等の確認を行うことを原則とする。調査の結果、確認した鉄筋 の配置(かぶり)に対して、必要な「かかり長」が確保できるように、覆蓋形状・配置等を 再検討する。 はつり位置については、1水路につき、流入部、中間部、流出部の3カ所を原則とす る。ただし、はつり箇所が多くなり、既設構造物に悪影響を与えるおそれがある場合は、 この限りではない。 4.5 その他の留意事項 4.5.1 調査中の安全確保 調査にあたっては、転落防止措置等の労働安全衛生対策をまとめた調査作業 計画書を作成するものとする。 4.5.2 現場における鉄筋等配置の確認 鉄筋の配置(かぶり)等は、竣工図等の情報を基本に、工事着手前に工事対象現 場で受枠部周辺のコンクリート部を支障のない範囲ではつりなどを行い、確認するこ とを原則とする。

(50)

【解説】 更新設計を行う上で、覆蓋を支持するコンクリート躯体等の耐久性、機能性等を確 認することを基本とする。現場調査の結果、その劣化状況について、支持性能を評 価・検討する。 コンクリート躯体等の劣化要因となるものは、硫化水素による腐食、炭酸ガスによる 中性化等が考えられる。評価にあたっては、躯体の位置する環境条件(施設内環境 等)の調査と、そのデータを用いた劣化進行等を予想する。予想結果については、現 場状況と照合するなど、その結果を十分に評価し、覆蓋の設計に反映させる。また、 劣化が想定以上に進んでいる場合は、供用環境から受ける影響を最小限にする安全 対策(防食工等)を検討する。 【解説】 実際の現場条件では、覆蓋の更新と競合する設備機器、配管、配線等がある場合 や、支持する躯体の壁厚が小さい場合など、覆蓋の「かかり長」が標準値を満たさない 場合等があると考えられる。その場合は、現場の維持管理条件にあわせて実行可能 な対策を行う必要がある。この対策としては、次のようなものが考えられる。 (1) 一時停止しても運転に支障をきたさない設備小配管等の支障物については、 切廻しを検討する。ただし,切廻しできない配管類や設備機器等については、 (2)の方法を検討する。 (2) 覆蓋に工夫(加工等)を施し、支障物を迂回する(支障物を移動しない)などを 行う。 (3) 相隣する蓋同士が干渉する場合、受枠を共有することや、蓋を合体する等の 工夫を施す。 (4) 壁厚が小さく「かかり長」が標準値を満たさない場合は、可能な限り、多くの「か かり長」を確保するよう検討する。 (5) 覆蓋の「かかり長」が標準値を満たしていないことを記載する(引継書面、着色 4.5.3 コンクリート躯体等の劣化について 覆蓋を支持するコンクリート躯体については、現場の劣化状況等を踏まえて、耐久 性、機能性等を評価した上で覆蓋の設計に反映するものとする。 4.5.4 現場条件等の考慮 覆蓋更新設計にあたっては、現場状況等を把握し、覆蓋と近接する設備機器類等 の管理について、施設管理者と協議するものとする。

(51)

【解説】 実際の現場条件では、様々な維持管理がなされており、また覆蓋上で作業する頻 度が多い場合や、電気自動車等の通行動線上に覆蓋が設置されている場合等があ り、維持管理や通行等への影響を可能な限り抑制するため、4.4.1(1)1)但書規定 の覆蓋(たわみ抑制蓋)の設置や段差等の解消策(以下「段差解消型覆蓋」という。) を検討する必要がある。その際には、たわみの抑制や段差等の解消が必要な覆蓋と そうではない覆蓋とを整理し、適切な形状・配置計画をたてるものとする。 【解説】 硫化水素等による腐食環境に存しない最終沈殿池や水処理施設内の搬入口等の 覆蓋についても、経年劣化や想定超の荷重・衝撃荷重等の外力の作用等によって破 損に至るおそれがあるため、更新にあたっては、「あとのせ式」を基本形式とし、最初 沈殿池の「かかり長」を確保することを原則とする。また、グレーチング等の更新にあた っても同様とする。なお、段差解消型覆蓋を検討することができる。 【解説】 水再生センターにおける水処理施設のうち、稼動当初から覆蓋を設けていない場 合や、稼動当初から覆蓋を設置しているが、当時の設計積載荷重が不明の場合、 3.5kN/㎡、5.0kN/㎡となっているか懸念される。そのため、更新する覆蓋の設計積載 荷重で床スラブの照査を行い確認するものとする。 4.5.5 詳細な維持管理条件の把握 覆蓋更新設計にあたっては、維持管理条件等を把握し、覆蓋の形状について、施 設管理者と協議するものとする。 4.5.6 腐食環境に存しない覆蓋について 腐食環境に存しない覆蓋等(最終沈殿池、搬入口等に設置)の設置形式について は、原則として「あとのせ式」とし、「かかり長」については、最初沈殿池の「かかり長」を 準用するものとする。 4.5.7 床スラブの照査について 覆蓋に設計積載荷重が作用した場合の床スラブの照査を行うものとする。

(52)

【解説】 開口部が大きい、あるいは支間長が長い等のため、一枚当たり通常の支間長の覆 蓋が設置できない場合は、H 鋼材等堅固な部材を支持材として設置できるものとす る。その際、H 鋼材等の「かかり長」、設置形式、構造計算等を考慮する必要がある。ま た、支持部材の材質は腐食環境にあることから、SUS304 を原則とし、防錆(防食)処理 等の必要性についても検討するものとする。 4.5.8 堅固な部材(鋼材等)の支持による覆蓋について 開口部が大きい(あるいは支間長が長い)等により、覆蓋を適切な形状・配置で設 置できない箇所には H 鋼材等の堅固な部材で支持することにより設置できるものとす る。 H鋼の支持による覆蓋

(53)

【解説】 維持管理の作業上、あるいは頻繁に電気自動車が通行する箇所等の場合、また段 差等により想定を超える衝撃荷重が蓋受枠部に作用するおそれがある場合等は、新 たに鉄筋コンクリート等により床スラブ等の設置を検討することができるものとする。こ の床スラブ等は、日常的な維持管理上、通行に支障があると、将来的に錯誤するおそ れがあり、また、定期的な(更新を含む)維持管理作業上、著しく効率が低下するおそ れがあるため、これを回避する目的で設置するものである。 床スラブ等を設置する場合は、既設構造物へ与える影響等について十分照査する 必要がある。また、鉄筋コンクリート等の設置にあたり、既設構造物にアンカー等を設 置する場合は、アンカー設置面の腐食・劣化状況等を調査し、必要に応じて腐食・劣 化部はつりや断面修復等を検討するものとする。アンカーについては接着系アンカー を原則とする。 以上のことから、次のような条件を満たす場合に限り、床スラブ等を設置することが できるものとする。 1 新設床スラブの両端は壁・梁などの部材である。 2 供用環境条件に対して適切な施工(接続等)ができる。(防食、劣化部除去等を 含む) 3 既設スラブ部分も含め、構造物全体(最初沈殿池、反応タンク等)として、安全性 が向上する。 図4-17に床スラブ等の設置の一例を示す。 4.5.9 床スラブ等の設置の検討について 維持管理上及び通行上等から新たにスラブが必要な場合や、覆蓋の支持箇所が 存しない場合等は、覆蓋を支持する床スラブ等の設置を検討することができる。

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(55)

【解説】 覆蓋更新にあたっては、維持管理作業上、覆蓋上での作業頻度が多い場合に、覆 蓋の積載荷重を 5.0kN/㎡にするだけでなく、親綱、安全帯等を設置するための手す り、柵等の設置を検討する。手すり、柵等の必要性や設置位置等については、施設管 理者と協議し、処理施設スラブ上の付帯設備等の配置等も考慮して決定するものとす る。 また、各水再生センターでは、下水処理について広く知っていただくために現場見 学者等のルートを設定している。その見学者等のルートの両側には、柵等が設置され ていることが多い。維持管理作業上の手すり、柵等の設置を検討する際には、この見 学者等のルート状況等を把握し、見学者等のルートの安全確保についても検討するも のとする。また、覆蓋の形状・設置等への影響も検討するものとする。また、覆蓋の配 置が当該ルートの一部になっている場合で、車いす等に支障とならないようにする場 合等には、覆蓋の仕様や、段差等の解消、安全対策等から付帯設備等の配置等につ いて検討するものとする。 4.5.10 手すり、柵等の設置について 維持管理作業上の安全確保を目的とした手すり、柵等について施設管理者と協議 し、設置位置等を検討するものとし、併せて付帯設備等の配置等について検討する ものとする。また、覆蓋更新に係る水処理施設の見学者等のルートについても、施設 管理者と協議し、見学者等のルートの確認を行うものとする。 図4-18 アルミ製手摺標準図 図4-19 チェーン設置標準図

(56)

5 環境価値の付加等 5.1 3Rの検討 5.1.1 3Rの検討 覆蓋更新の設計にあたっては、原則として次のフローのとおり、Reduce(リデュース: 廃棄物の発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再資源化)の 検討を行うものとする。 ※上記フローを検討する際にはコストの比較(B/C 等)検討も十分に行う必要があり、リユース、リ サイクル、熱回収等の採算性が取れない場合等には監督員と協議のうえ、適切な処理・処分方 法の選定を検討するものとする。 更新を行う蓋の形式、材質等の選定 リユースの検討 ・更新対象覆蓋に付加物を添加し、使用できないか。 ・更新対象覆蓋を現在の開口スパンより短い開口スパンへ、移設・転用できないか。等 Yes 覆蓋のリユース No リサイクルの検討 ・セメント原料等としてのマテリアルリサイクルが可能か。 ・代替燃料としてのエネルギーリサイクルが可能か。等 Yes No 覆蓋のリサイクル 処分方法の検討 ・スクラップとして回収できないか。等 Yes No 適正な処分 スクラップ等によるリサイクル

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【解説】 建設産業から排出される廃棄物は全産業廃棄物の約 2 割を占め、また、産業廃棄 物の不法投棄の約 7 割を建設廃棄物が占めており、近年、廃棄物をめぐる問題が深 刻化している。一方、限りある資源の有効な利用を確保する観点からは、これらの廃 棄物について再資源化を行い、再び資源として利用していくことが求められている。 また、本市では平成 20 年 4 月に「横浜市地球温暖化対策事業本部」を設置し、地 球温暖化防止に向けて、「横浜市脱温暖化行動方針(CO-DO30)」を策定し、市民、 事業者、行政の各主体が協力し様々な取組みを行っている。 そこで、環境・資源制約への対応など、環境と経済が両立した新たな循環型経済 システムの構築が急務となっている。 循環型経済システムを構築するための基本的な考え方は、平成 11 年産業構造審 議会の報告書「循環型経済システムの構築に向けて」(循環経済ビジョン)の中で取り まとめられており、従来のリサイクル(1R)対策を拡大して、Reduce(リデュース:廃棄 物の発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再資源化)いわゆる 「3R」(Reduce、Reuse、Recycle の頭文字をとったもの)の取組を進めていくことが必 要であると提言された。具体的には原材料の使用量や廃棄物の排出量を削減し、容 器や機能部品は再使用し、更に原料に戻して再生利用することがいわれている。 本市も、平成 16 年度に実施した金沢水再生センター最初沈殿池の覆蓋工事では、 既設合成木材の蓋を再利用し、「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞」 を受賞している。 今後、覆蓋の更新にあたっては、引き続き3Rに対する取組みを積極的に進め、循 環型経済システム構築に寄与することを目標とする。 ①セメント原料や、改良土等へ ②チップにして、蓋以外の用途へ ③スクラップ等として回収 等 ①オーバーレイで補強し、 再使用 ②母材(木材)の補強によ る再使用 等

3R

Reuse 再使用 Recycle 再資源化 Reduce 減量 図5-1 3Rのイメージ図 再利用による廃棄物の減少

参照

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