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正常ならびに過敏な内臓知覚の中枢処理に対する催眠変容におけるヒスタミンニューロンの役割

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Academic year: 2021

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全文

(1)

正常ならびに過敏な内臓知覚の中枢処理に対する催

眠変容におけるヒスタミンニューロンの役割

著者

渡辺 諭史

2371

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22987

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

わたなへさと

渡辺諭

史(福岡県)

士(医学)

医博第2371号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

RoleofHistaminergicNeuroneinHypnotic

ModulationtoBrainProcessingofNormaland

HypersensitiveVisceralPerception

(正常ならびに過敏な内臓知覚の中枢処理に対す

る催眠変容におけるヒスタミンニューロンの役割)

論文審査委員

(主査)

教授福土審

教授谷内一彦

教授伊藤正敏

(3)

論文内容要旨

目的

身体の内的感覚(interoception)は,情動形成を理解する上で重要な要素の一つである。内 的感覚の異常が病態生理の中心的役割を果たす疾患の一つに過敏性腸症候群(IBS)がある。内 臓知覚を変容する神経生理学的メカニズムが明らかでないためにIBSに対する治療の有効率は 必ずしも高くない。催眠暗示法はIBSの治療において高い奏効率を示す治療法の一つである。ヒ スタミンは末梢と中枢の両者において痛みの感作現象において重要な役割を果たすmedia七〇rの 一つである。催眠暗示による内臓知覚変容における分子動態は未だ不明である。そこで,本研究 では以下の仮説を検証し,内臓知覚を変容する神経,分子基盤を明らかにすることを目的とした。 仮説(1)催眠暗示は内臓知覚のヒト脳内処理の電気生理学的反応を変容する。仮説(2)この(1)の 変容過程は過敏な内臓において増強されている。仮説(3)この(1)の変容効果は部分的にヒスタミ ンニューロンに依存している。

方法

対象は12名の健常者(すべて男性,平均年齢2!.3歳),12名のIBS患者(すべて男性,平均 年齢2L5歳)とした。下剤服用後,刺激電極を直腸に留置し,脳波電極をCzに装着した。直腸 刺激はOmAもしくは30mA電気刺激とした。催眠暗示の種類は中性,過痛および鎮痛とした。 刺激中の誘発脳波を導出し,刺激条件ごとに加算平均した。刺激直後に内臓知覚を0∼10点のリッ カートスケールで評定させた。以上のプロトコルを生理食塩水投与下と〆chlorpeniramille投与 下の2回,最低4週間の間隔を空けて実施した。

結果

健常群において,鎮痛暗示によりP1成分の振幅が中性暗示に比べて有意に減弱した(p-0、028)。

逆に,IBS群において,鎮痛暗示によりP1成分の振幅が中性暗示に比べて有意に増幅した(p嵩

0.019)。鎮痛暗示条件下においてのみ,P1成分の振幅と潜時が,健常群に比べてIBS群の方で 有意に増加,短縮した(p-0、0038,p-0.0008)。さらに,ヒスタミンH1アンタゴニスト (4chlorpheniramine)投与は,両群における鎮痛暗示による変容効果を消失させた。その結果, 健常群とIBS群との間のP1成分振幅の差が消失した。

考察

催眠暗示が内臓知覚の中枢処理を変容するという仮説〔1)を実証した。一方,仮説(2)に反して, IBS患者における鎮痛暗示効果は,逆転反応を示した。さらにヒスタミンH1受容体ブロックは, 一454一

(4)

IBS患者における鎮痛暗示に対する異常反応を正常化した。本研究は,随意制御が不可能とされ てきた内臓知覚を制御可能とするための高次脳機能の神経回路,物質の存在を示唆するものであ る。 ・き {『き {キ {二階・ ■藍一 “㌔一言ー “1当季 万 尋 旨き 這 き ま一 く荘 { ∼= 奮・} こ一=,昏 乱一一一・虻 } 多一一'一一■ 虹{3.『 寒ギ 葺ーヒ 婁 `}一 一藷『一■一 '・一博 多ー三一 ∼

(5)

審査結果の要旨

身体の内的感覚(interoceptiOn)は,情動を形成する重要な要素の一つである。内的感覚の 異常が病態生理の中心的役割を果たし,薬物療法が奏功しにくい疾患の一つに過敏性腸症候群 (IBS)がある。催眠療法はIBSの治療において高い奏効率を示す。催眠暗示による内臓知覚変 容における分子動態は未だ不明である。ヒスタミンは末梢と中枢の両者において痛覚感作と覚醒 水準に重要な役割を果たす物質である。本研究では以下の仮説を検証し,内臓知覚を変容する神 経,分子基盤を明らかにすることを目的とした。仮説(1)催眠暗示は内臓知覚のヒト脳内処理の 電気生理学的反応を変容する。仮説(2)この(1)の変容過程は過敏な内臓において増強されてい る。仮説(3)この(1)の変容効果は部分的にヒスタミンニューロンに依存している。 対象は12名の健常者(男性,平均年齢2L3歳),12名のIBS患者(男性,平均年齢21.5歳) である。電極を直腸に留置し,OmAもしくは30mAの電気刺激を加えた。直腸刺激中に,中性, 過痛および鎮痛の催眠暗示を加えた。脳波電極をCzに装着し,刺激中の誘発電位を導出し,刺 激条件ごとに加算平均した。刺激直後の内臓知覚を0∼10段階のor〔lillatescaleで定量化した。 これらを生理食塩水投与下とヒスタミンH1拮抗薬ゴーchlorpeniramine投与下の2回,最低4週 間の間隔を空けて実施した。 健常群において,鎮痛暗示によりP,成分の振幅が中性暗示に比べて有意に減弱した(p-0.028)。 逆に,IBS群において,鎮痛暗示によりP1成分の振幅が中性暗示に比べて有意に増幅した(p-0.019)。鎮痛暗示条件下においてのみ,P、成分の振幅と潜時が,健常群に比べてIBS群の方で 有意に増加,短縮した(p-0.0038,p-0、0008)。さらに,ゴーchlorpheniramine投与は,両群にお ける鎮痛暗示による変容効果を消失させた。その結果,健常群とIBS群との間のP,成分振幅の 差が消失した。 催眠暗示が内臓知覚の中枢処理を変容するという仮説(1)を実証した。一方,仮説(2)に反し て,IBS患者における鎮痛暗示効果は,逆転反応を示した。さらにヒスタミンH,受容体遮断は, IBS患者における鎮痛暗示に対する異常反応を正常化した。本研究は,随意制御が不可能とされ てきた内臓知覚を制御可能とするための高次脳機能の神経回路,物質の存在を示唆するものであ る。 よって,本論文は博士(医学)の学位論文として合格と認める。 一456一

参照

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