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外来語「カルタ」の成立をめぐって : 『羅葡日対訳辞書』とcarta

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一   はじめに   拙稿 「外来語 『カルタ』 成立の周辺 ― 『日葡辞書』 と carta ― 」 注注 注 (以 下、 「拙稿」と呼ぶ)において、外来語「カルタ」の成立に関し、 そ の 成 立 の 周 辺 の 問 題 と し て、 ポ ル ト ガ ル 語 の carta が 当 時 ど の ような日本語の表現と対応し、どのような意義を表わす語として 存していたのかについて、ヨーロッパ人が日本語を理解するため に 編 ま れ た『 日 葡 辞 書 』 ( 注 603 〜 4 年 刊 ) に お け る carta の 現 れ 方の検討を通して考察した。   検 討 の 結 果、 『 日 葡 辞 書 』 に は、 外 来 語 と し て の「 カ ル タ 」 の 用 例 は 認 め ら れ な い が 、 語 源 で あ る carta の 方 は、 見 出 し 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 や、 見 出 し 語 の 例 文 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 訳 文 中 に 多 数 用 い ら れ て い る こ と が わ か っ た。 そ れ ら の carta の用例の殆どが 〈書状〉 の意で使用されていることや、 〈書状〉 の 意 の carta だ け が carta 一 語 で の 日 本 語 の 見 出 し 語 の 対 訳 に 使 わ れていることなどから、 当時の carta の最も代表的な意義が 〈書状〉 で あ る こ と を 明 ら か に し た。 ま た、 少 数 例 な が ら、 〈 証 書 〉 の 意 で 用 い ら れ た cart a の 例 が 存 す る こ と も 明 ら か に な っ た。 こ れ ら の こ と か ら、 〈 書 状 〉 や〈 証 書 〉 の 意 義 の carta は、 日 本 語 に 対 応 する表現があって、日本語に翻訳が可能であるということで、外 来語化せず、ポルトガル語にとどまっていたと判断した。   そこで、本稿では、今度は視点を換え、キリシタン資料におい て、ヨーロッパの言語を日本語で説明しようとして作られた語学 書、 具 体 的 に は『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 ( 注 595 年 刊 ) で は、 carta は、 どのようなラテン語の見出し語と関わり、日本語のどのような語 と対応し、どのような意義を表わす語として存していたのかにつ いて、考察することにする。 二   『羅葡日対訳辞書』における carta の用例   拙 稿 」 で も 述 べ た よ う に、 外 来 語「 カ ル タ 」 の 初 出 と 見 ら れ ているのは、 『長宗我部氏掟書』 の 「掟條々」 (一五九七年) にある、

外来語「カルタ」の成立をめぐって

―『羅葡日対訳辞書』と

carta

 

 

 

(2)

博奕、 カルタ、 諸勝負令 二 停止 一 、 附、 其外不作法、 令 二 禁制 一 事 注注 注 、 という例であるが、それより後の成立の『日葡辞書』には、外来 語としての 「カルタ」の掲載がないのである。   掟 條 々」 よ り 少 し 前 に 刊 行 さ れ た『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に も、 外来語としてのカルタの使用は認められないが、見出し語等のラ テ ン 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 な ど に は、 carta の 用 例 が 次 のように存する。 ① Aculeatus, a, um. …… ¶ Aculeata oratio, aut epistola. Lus. Oraç­

am, ou carta que morde, ou pica. Iap. Qini ataru fumi, l, monoga

- tari. (訳: Aculeatus, a, um 〈1とげ [針] のある。2痛烈な、 辛 辣 な 注 注 3 。 〉 。 …… ¶ Aculeat a oratio, aut epistola 〈 痛 烈 な 演 説、 あるいは、書状。 〉 。ポルトガル語。誹る、あるいは、苛立 たせる、演説、あるいは、書状。日本語。 気 注 キ ニ 当 注 ア タ ル 文 注 フ ミ 、ま たは、 物 注 モ ノ ガ タ 語 注 リ 。 ) ② Ago, is. ……

¶ Agere cum aliquo tabellis obsignatis. Lus. cõuercer

alguem com testimunho de suas

cartas, ou escrituras. Iap.

Xômon vomotte iytçumuru.

…… (訳: Ago, is 〈Ⅰ1進める、 導く、駆りたてる、追いやる。 2動く、行く、来る、出発 する、行進する。3駆逐する、連れ[運び]去る。4悩ま す、苦しめる、襲う。5魅了する、感動させる。6ふるま う、行動[活動]する。7操縦する、運転する。 8連れて 来る、もたらす。9放つ、発する。 注0(植物が)根をおろ す、 芽を出す。 注注(時を)過ごす、 費やす、 時が経過する。 注注行 な う、 果 た す、 遂 行 す る、 起 こ る、 行 な わ れ る。 注3 (式・祭を)挙行する、催す。 注4(戯曲を)上演する、 (役 を)演ずる。 注5表現する、述べる。 注6協議する、談合[交 渉] する。Ⅱ1行動する、ふるまう。2訴訟を起こす。3 談判する、 折衝する。4居住する、 生活する、 滞在する。 〉 。 …… ¶ Agere cum aliquo tabellis obsignatis 〈 署 名 捺 印 し た 文 書で談判する。 〉 。ポルトガル語。証文、あるいは、文書の 証拠で、ある人を説得する。日本語。 証 注 シヨ ウ モ ン 文 注 ヲモツテ 言 注 イ ヒ 詰 注 ツ ムル。 ) ③

Aleatoriori. Lus. Iugador de cartas, ou dados. Iap. Bacuchivchi.

( 訳 : Aleatorior i 〈 1 さ い こ ろ 遊 び を す る 人。 2 賭 博 者、 ばくち打ち。 〉 。ポルトガル語。カルタ、あるいは、さいこ ろ遊びのばくち打ち。日本語。 博 注 バ ク 打 注 チ 打 注 ウ チ 。 ) ④ Aleatorium, ij.

Lus. Iogo de cartas,

dados etc. Iap. Bacuchi, sugu­ rocu, bacuyeqinado. ( 訳 : Aleatorium, ij さ い こ ろ 遊 び の、 賭博の。 〉 。ポルトガル語。カルタ、さいころ遊びなどの賭 博。日本語。 博 注 バ ク 打 注 チ 、 双 注 ス グ ロ ク 六 注 、 博 注 バ ク エ キ 奕 注 ナド 。 ) ⑤

Apocha, æ. Lus. Carta de quitaçam,

ou asindado. Iap. Vqejǒ, vqed­ ori. ( 訳 : Apocha, æ 受 取 証、 領 収 書。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 弁 済 の 証 書、 あ る い は、 署 名 し た 証 書。 日 本 語。 請 注 ウ ケ ジ ヤ ウ 状 注 、

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請 注 ウ ケ ド リ 取 注 。 ) ⑥ Cera, æ. ……

¶ Item, Carta, ou escritura. Iap. Xo, xomot.

…… ( 訳 : Cera, æ 1 蜜 蠟 。 2 蠟 製 品《 書 字 板 な ど 》 。 〉 …… ¶ ま た、 書状、あるいは、文書。日本語。 書 注 シ ヨ 、 書 注 シ ヨ モ ツ 物 注 。 ) ⑦

Codicilli, orum. Lus. Carta. Iap. Fumi.

…… (訳: Codicilli, orum 〈1 (小さな) 丸太。 2 (小さな) 書字板。3 (短い) 手紙、 文 書。 4 請 願[ 陳 情 ] 書。 5( 皇 帝 の ) 勅 令、 詔 勅。 6 ⦅ 法 ⦆ 遺 言 補 足 書。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 書 状。 日 本 語。 文 注 フ ミ 。 …… ) ⑧ Dentatus, a, um, siue Dentosus. …… ¶ Dentata charta. Lus. Carta mordaz. Iap. Fitouo soxiru fumi. (訳: Dentatus, a, um 〈歯の ある。 〉 、 si ue〈あるいは。 〉 、 Dentosus 。 …… ¶ Dentata charta 〈 敵 意 の あ る 書 状。 〉 ポ ル ト ガ ル 語。 中 傷 の 書 状。 日 本 語。 人 注 ヒ ト ヲ 誹 注 ソ シ ル 文 注 フ ミ 。 ) ⑨ Duplex, icis. …… ¶ Duplices in plurali, masculini generis. Lus. Hũ genero de cartas em que se escriuiam cousas secretas, e de amores. Iap. Coibumi, l, mitjiuo caqitaru fumi. ( 訳 : Duplex, icis 〈 1 2 倍 の、 二 重 の。 2 両 方 の。 3 二 枚 舌 の、 人 を だ ます。 〉 。…… ¶ Duplices in plurali, masculini generis 〈男性複 数 で は Duplices 。 〉 ポ ル ト ガ ル 語。 秘 密 の 事 や 恋 愛 の 事 で やりとりする手紙の一種。日本語。 恋 注 コ ヒ ブ ミ 文 注 、 密 注 ミ ツ 事 注 ジ ヲ 書 注 カ キタル 文 注 フ ミ 。 ) ⑩

Epistola, æ. Lus. Carta. Iap. Fumi, xojǒ.

(訳: Epistola, æ 〈手紙、 書簡。 〉 。ポルトガル語。書状。日本語。 文 注 フ ミ 、 書 注 シヨジ ヤ ウ 状 注 。 ) ⑪

Epistolaris, e. Lus. Cousa de cartas, ou que pertence carta. Iap.

Fumini ataru coto.

(訳: Epistolaris, e 〈手紙の。 〉 。ポルトガ ル 語。 書 状 の 事、 あ る い は、 書 状 に 関 係 す る 事。 日 本 語。 文 注 フ ミ ニ 当 注 ア タ ル 事 注 コ ト 。 ) ⑫ Exemplum, i. Lus. …… ¶ Item, Copia dalgũa carta, ou escriptura . Iap. Xeijǒ , 注 4 qiyogaqi. …… (訳: Exemplum, i 〈1写し。2例、 先例。3模範、手本、原型。4見せしめ、警告、処罰。 5 内容、主旨。6仕方、流儀〉 。ポルトガル語。…… ¶ また、 ある書状、 あるいは、 文書の写し。日本語。 清 注 セ イ 書 注 ジ ヨ 、 清 注 キ ヨ 書 注 ガ キ 。 ) ⑬ Formalis, e. …… ¶ Epistola forualis.

Lus. Carta que se esc

reue pola

mesma forma que se dita. Iap.

Vôxegaqino fumi. ( 訳 : Fo rmalis, e 〈1鋳型を作るのに用いられる。2手本 [規準] となる。 〉 。 …… ¶ Epistola forualis 〈手本となる書簡。 〉 。ポルトガル語。 命じられたのと同一の形状で書かれた書状。 日本語。 仰 注 オ ホ セ 書 注 ガ キノ 文 注 フ ミ 。 ) ⑭ Furtîuus, a, um. ……

¶ Furtiuae literæ. Lus. Cartas escritas com tal

artificio que não podem ser li das se não de algũs. Iap. Aizzuuo

sadamete yoninno yomi yezaru fumi.

(訳: Furtîuus, a, um 〈1 盗まれた。2秘密の、 ひそかな。 〉 。 …… ¶ Furtiuae literæ 〈秘 密の書状。 〉 。 ポルトガル語。 他人には読むことができない、

(4)

しかじかの巧妙なやり方で書かれた書状。 日本語。 合 注 ア ヒ 図 注 ヅ ヲ 定 注 サ ダ メテ 餘 ヨヨ 人 注 ニ ン ノ 読 注 ヨ ミ 得 注 エ ザル 文 注 フ ミ 。 ) ⑮ Hológraphum. …… ¶ Holographa epistola. Lus. Carta escrita por não do que a manda . Iap. Iifitno fumi. (訳: Hológraphum 〈完 全 に 自 筆 の 注 注 5 。 〉 。 …… ¶ Holographa epistola 〈 自 筆 の 書 簡。 〉 。 ポルトガル語。送る人の手で書かれた書状。 日本語。 自 注 ジ 筆 注 ヒ ツ ノ 文 注 フ ミ 。 ) ⑯ Libellus, i, dim. ( Liber ,bri, i. Lus. ) 注6 Liurinho. …… ¶ Item, Carta. Iap. Fumi. …… (訳: Libellus, i 〈1小冊子。 2記録簿、 筆記帳。 3 公 文 書、 通 達。 4 請 願 書。 5 訴 状。 6 貼 り 紙、 ち ら し。 7プログラム、 演目一覧。8誹謗文書、 中傷文。 〉 。 dim 〈縮 めて。 〉 ( Liber , bri 〈1樹皮、 靭皮。2書物、 本、 文書、 巻、 編。 3預言書。4記録簿、目録。5書簡、手紙。 〉 。ポルトガル 語。 )内皮、靭皮。…… ¶ また、書状。 日本語。 文 注 フ ミ 。……) ⑰ Liber , a, um. …… ¶ Liberæ literæ. Lus. Cartas que falam liureçe atreuidamẽte. Iap. Zui , 注7 l, gainina ru fumi. …… ( 訳 : Liber , a, um 〈1自由な。 2独立した。 3制約をうけない、 制限のない。 4用事のない、 ひまな。5人のいない、 占有されていない。 6開放された、自由に出入りできる。7(土地が抵当・納 税などの)義務のない。8自主的な。9率直な、遠慮のな い。 注0(…を)免れた。 注注放縦な、節度のない。 〉 。 …… ¶ Liberæ literæ 〈 節 度 の な い 書 状。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 勝 手 に 無 作 法 に 述 べ る 手 紙。 日 本 語。 随 注 ズ イ 意 注 イ 、 ま た は、 害 注 ガ イ ニ ナ ル 文 注 フ ミ 。……) ⑱ Litera, æ. ……

¶ Literæ, arum. Lus. Carta. Iap. Fumi.

…… (訳: Litera, æ 〈1文字。2(学問の)初歩、 読み書き。3筆跡。 4 文 書、 書 類。 5 手 紙、 書 簡、 書 状、 ひ と く だ り、 一 筆。 6証書。7帳簿。8墓碑銘、碑文。9公文書、記録。 注0布 告、 辞令。 注注作品、 著作、 著述[文書]活動。 注注知識、 学問、 教養、 博識。 注 3 〜 encyclicæ 回状/〜 nominationis 任命状。 〉 。 …… ¶ Literæ, arum 〈書状。 〉 。 ポルトガル語。 書状。 日本語。 文 注 フ ミ 。……) ⑲ Ponderosus, a, um. …… ¶ Põderosa epistola.

Lus. Carta difusa, e q

˜ contẽ muitas cousas. Iap. Nagaqi fumi, amatano cotouo caqitaru jǒ. …… (訳: Ponderosus, a, um 〈1重い、 重量のある。 2重々 し い 、 威 厳 の あ る 。 ) 。 …… Põderosa epistola 〈 重 々 し い 書 状 。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 冗 漫 で、 多 く の こ と が 書 か れ て あ る 書 状。 日本語。 長 注 ナ ガ キ 文 注 フ ミ 、 数 注 ア マ 多 注 タ ノ 事 注 コ ト ヲ 書 注 カ キタル 状 注 ジ ヤ ウ 。 ) ⑳

Præco, onis. Lus.

……

¶ Item, Os que liam publicamente no sen

ado

cartas, &c. Iap. Quaixoni voite fumiuo firǒ suru mono.

…… ( 訳 : Præco, onis 〈 1 触 れ 役、 告 知 人。 2 競 売 人。 3 賞 賛 者。 〉 。 ポルトガル語。…… ¶ また、市会において、書状などを公 開して読む者。 日本語。 会 注 ク ワイシヨ 所 注 ニオイテ 文 注 フ ミ ヲ 披 注 ヒ 露 注 ラ ウ スル 者 注 モ ノ 。 ) ㉑ Pragmáticæ sanctiones. Lus. Cartas em que os principes respond­

(5)

em ao que lhes os gouernadores propuserão a certa de negocios

publicos. Iap. Sôbetni ataru cotouo yacuxa yori sômon xexi toqi,

chocutǒto xite caqi idasaruru rinxi.

( 訳 : Pragmáticæ sanctiones 〈 裁 可 の 勅 令。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 総 督 が 公 的 な 事 柄 の あ る 事を提案した際に、帝王が答える書状。 日本語。 惣 注 ソ ウ ベ ツ 別 注 ニ 当 注 ア タ ル 事 注 コ ト ヲ 役 注 ヤ ク シ ヤ 者 注 ヨリ 奏 注 ソ ウ モ ン 聞 注 セシトキ、 勅 注 チヨ ク タ フ 答 注 トシテ 書 注 カ キ 出 注 イ ダ サルル 綸 注 リ ン 旨 注 シ 。 ) ㉒ Salutaris, e. …… ¶ Salutares literæ. Lus. Cartas de consolação. Iap.

Fitouo nadamuru fumi.

(訳: Salutaris, e 〈1健康によい、病 気を治す。2安全[幸福]をもたらす、有益な。 〉 。 …… ¶ Salutares literæ 〈救済の書状〉 。ポルトガル語。慰めの書状。 日本語。 人 注 ヒ ト ヲ 宥 注 ナ ダ ムル 文 注 フ ミ 。 ) ㉓ Scytala , æ, l, Scytale, es. …… ¶ Item, Scitale. Lus. Hũ genero de carta

de segredo. Iap. Mitjiuo

caqu fumino taguy . (訳 : Scyta­ la, æ 1 ス パ ル タ 人 が 秘 密 の 指 示・ 命 令 を 記 す と き に 用 い た棒 ⦅ それに巻きつけた革ひもに文字を書いてから、ほど いて送ると、先方はまったく同じ形状の棒に巻きつけて読 み 取 っ た ⦆ 、 秘 密[ 暗 号 ] 文 書。 2 ヘ ビ の 一 種 ⦅ 頭 か ら 尾 ま で 太 さ が 同 じ と い う ⦆ 。 ) 、 ま た は、 Scytale, es 。 …… ¶ ま た、 Scitale 〈秘密文書〉 。ポルトガル語。秘密の書状の種類。 日本語。 密 注 ミ ツ 事 注 ジ ヲ 書 注 カ ク 文 注 フ ミ ノ 類 注 タ グ ヒ 。 ) ㉔ Sigillu m, i. Lus. …… ¶ Itẽ Sinete, ou figura que se emprime nos

selos das cartas.

Iap. Fumini vosu inban. (訳: Sigillum, i 〈1 (小ぶりの)彫像、 塑像、 人形。2画像、 絵姿。3(印章の) 図柄、 印章。 4しるし、 痕跡。 〉 。 ポルトガル語。 …… ¶ また、 書状に押す印章、あるいは、図。 日本語。 文 注 フ ミ ニ 押 注 オ ス 印 注 イ ン バ ン 判 注 。 ) ㉕ Stomachosus, a, um. ……

¶ Literæ stomachosæ. Lus. Carta que mo­

stra a ira, e colera de quem a escreueo. Iap. Caqiteno xingiǔno i- cariuo arauasu fumi. ( 訳 : Stomachosus, a, um 〈 1 腹 立 た し い、 いらいらさせる。2いらいらしている、 怒りっぽい。 〉 。 …… ¶ Lit eræ stomachosæ 〈 憤 っ た 書 状。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 書いた人の憤りや怒りを表わす書状。 日本語。 書 注 カ キ 手 注 テ ノ 心 注 シ ン 中 注 ヂユ ウ ノ 怒 注 イ カ リヲ 表 注 ア ラ ハス 文 注 フ ミ 。 ) ㉖ Subreptiti us, a, um. …… ¶ Subreptitiæ literæ. Lus. Cartas falsas. Iap. Bôxo. ( 訳 : Subreptiti us, a, um 〈 秘 密 の、 ひ そ か な。 〉 …… ¶ Subreptitiæ literæ 〈秘密の書状。 〉 。ポルトガル語。偽 りの書状。 日本語。 謀 注 ボ ウ シ ヨ 書 注 。 ) ㉗ Synthema, atis. L us. ……

¶ Item, Hum sinal, ou sello das cartas qu

e

manifestam quem as

escreueo. Iap. Caqiteuo arauasu fumino

fan, in. …… (訳: Synthema, atis 〈 (郵便馬車同乗) 許可証。 〉 。 ポルトガル語。…… ¶ また、書いた人を明らかにする、書 状の署名、あるいは、印章。 日本語。 書 注 カ キ 手 注 テ ヲ 表 注 ア ラ ハス 文 注 フ ミ ノ 判 注 ハ ン 、 印 注 イ ン 。 ) ㉘ Tabella, æ. Lus. …… ¶ Item, Cartas. Iap. Fumi, jǒ. …… (訳: Ta ­

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bella, æ 〈1 (小さな) 板。2投票札。3 (通例、 蠟 引きした) 書字板。 4文書 ⦅ 手紙、 契約書、 記録など ⦆ 。 5掲示 [告知] 板。 6描画版、絵。7(神に感謝するための)奉納額。 〉 。…… ¶ また、書状。 日本語。 文 注 フ ミ 、 状 注 ジ ヤ ウ 。……) ㉙ Tabellarius, ij. Lus. Portador de cart as. Iap. Fumizzucai, fiqiacu. … … ( 訳 : Tabellari us, ij 〈 1 手 紙 を 運 ぶ 人、 飛 脚。 2 会 計 係。 〉 。ポルトガル語。書状の運び人。 日本語。 文 注 フ ミ 使 注 ヅ カ ヒ、 飛 注 ヒ 脚 注 キ ヤ ク 。……) ㉚ Texo, is, xui, extũ. …… ¶ T exere epistolas. Lus. Escreuer cartas. Iap. Iǒuo caqu. ( 訳 : Texo, is, xui, extũ 〈 1 織 る。 2 編 む、 編み合わせる。 3組み合わせて作る、 建造する。 4 (文書を) つ づ る。 〉 。 …… ¶ Texere epistolas 〈 書 状 を つ づ る。 〉 。 ポ ル トガル語。書状を書く。 日本語。 状 注 ジ ヤ ウ ヲ 書 注 カ ク 。 ) ㉛ Vespertînus, a, um. …… ¶ V

espertinæ literæ. Lus. Cartas que fora

m dadas, ou escritas a tarde. Iap. Bangueini cacare, l, vatasaretaru fumi. ( 訳 : Vespertînus, a, um 〈 1 夕 方 の。 2 西 の、 西 方 に あ る。 〉 。 …… ¶ V espertinæ literæ 〈 夕 方 受 け 取 っ た 書 状。 〉 。 ポルトガル語。夕刻に与えられた、あるいは、書かれた書 状。 日本語。 晩 注 バ ン ケ イ 景 注 ニ 書 注 カ カレ、または、 渡 注 ワ タ サレタル 文 注 フ ミ 。 ) ㉜ V ictrix, icis. …… ¶ V ictrices literæ. Lus. Cartas que denunciam, ou dam nouas da victo ria. Iap. Xôriuo yetaritono chŭxinjǒ. ( 訳 : V ictrix, icis 〈 勝 利[ 征 服 ] 者 ⦅ 女 性 ⦆ 。 〉 。 …… ¶ V ictrices literæ 〈 戦 勝 を 伝 え る 書 状。 〉 。 ポ ル ト ガ ル 語。 戦 勝 の 知 ら せを通知する、あるいは、伝える書状。 日本語。 勝 注 シ ヨ ウ リ 利 注 ヲ 得 注 エ タリトノ 注 注 チユ ウ シ ン ジ ヤ ウ 進状 注 注 。 ) 三   『羅葡日対訳辞書』における carta の現れ方の検討   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お け る carta の 用 例 は、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語に対するポルトガル語解説文中に見えるもの、ラテン語の見出 し 語 の 例 文 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 翻 訳 文 中 で 使 用 さ れ て い る も の、ラテン語の小見出しに対するポルトガル語解説文中で用いら れているものとがある。   三 ・ 一   見 出 し 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta の 場 合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で 使 わ れ て い る carta の 用 例 に は、 見 出 し 語 の 語 義 全 体 か、 そ の 一 義 に、 carta の み で 対 応 し て い る 場 合 と、 語 義 全 体 か、 そ の 一 義 に、 carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て いる場合とがある。   三 ・ 一 ・ 一   carta の み で 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に 対 応 し て い る 場 合

(7)

  羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に、 そ の ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 で carta 一 語 だ け で 対 応 し て い る 項 目 は、 ⑩ Epistola, ae の 一 項 目 の み で あ る。 ラ テ ン 語 の 見 出 し語に対するポルトガル語解説文において、他の表現が全く関与 し な い で、 そ の 項 目 の 語 義 全 体 が carta だ け で 訳 さ れ て い る こ と は、 当 該 carta の そ の 語 義 が、 ポ ル ト ガ ル 語 と し て、 当 時 最 も 代 表的な意義であったことによると考えられる。当該見出し語の語 義自体が〈手紙、書状〉であり、その日本語解説文で用いられて い る 日 本 語 が、 〈 書 状 〉 の 意 を 基 本 義 と す る 「 文 注 フ ミ 」 、 「 書 注 シヨジ ヤ ウ 状 注 」 で あ ることからすれば、 当該の carta は〈書状〉の意であって、 〈書状〉 の 意 こ そ が、 当 時 の ポ ル ト ガ ル 語 carta の 最 も 一 般 的 な 語 義 と い う こ と に な る。 こ の こ と は「 拙 稿 」 に お い て、 『 日 葡 辞 書 』 で、 同 様 の 状 況 か ら、 当 時 の ポ ル ト ガ ル 語 の carta の 最 も 代 表 的 な 語 義を〈書状〉と特定したこととも一致する。   三 ・ 一 ・ 二   carta の み で 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 に 対 応 し て い る 場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 に、 そ の ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 で carta 一 語 だ け で 対 応 し て いる項目は、⑦ Codicilli, orum 、⑯ Libellus, i, dim. ( Liber ,bri ) 、 ㉘ Tabella, æ の 三 項 目 で あ る。 こ れ ら 三 項 目 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語義の一義には、すべて〈書状〉の意が認められる。また、それ ぞれ、 それらの日本語解説文の日本語は 〈書状〉の意味を有する、 ⑦「 文 注 フ ミ 」 、⑯「 文 注 フ ミ 」 、 ㉘ 「 文 注 フ ミ 」 、 「 状 注 ジ ヤ ウ 」だけが採用されている ことか ら も、 こ れ ら 三 項 目 中 の carta は 皆〈 書 状 〉 の 意 で あ り、 当 時 の ポルトガル語 carta の最も一般的な語義が 〈書状〉 であるがゆえに、 そ れ ぞ れ の 当 該 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 の 説 明 に、 carta 一 語 だ け の使用で済まされていると判断されるのである。   三 ・ 一 ・ 三   carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に 対応している場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に 対 応 し て い る 場 合 に は、 carta が ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 の文頭にある場合と、文中にある場合とがある。   三 ・ 一 ・ 三 ・ 一   carta が文頭にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に 対 し て、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 文 頭 に あ っ て 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て い る 項 目 は、 ⑤ Apocha, æ

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Pragmáticæ sanctiones の 二 項 目 で あ る。 二 項 目 と も、 ラ テ ン 語 見 出 し 語 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 は、 carta を 限 定 す る 表 現 に なっているが、 carta の意自体は、⑤と ㉑ とで異なる。   ⑤ の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 は、 〈 証 書 〉 の 意 を 含 む と こ ろ の 〈証書〉の意を 含むところの「 請 注 ウ ケ ジ ヤ ウ 状 注 」 、 「 請 注 ウ ケ ド リ 取 注 」が当られていることから、この項 目 に 存 す る carta は、 〈 証 書 〉 の 意 義 で 用 い ら れ て い る こ と は 疑 い ない 。 「拙稿」での検討によって、 『日葡辞書』において、見出し 語 の ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 で、 〈 証 書 〉 の 意 の carta が 文 頭 に あ っ て 他の表現と協同して対応する項目があることを確認している。   ㉑ の ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 の 語 義 は、 〈 書 状 〉 の 意 を 含 む と こ ろ の 〈裁可の勅令〉 である。 また、 その日本語解説文中の 「 綸 注 リ ン 旨 注 シ 」 は、 〈書 状 〉 の 意 を 含 む 語 で あ り、 し か も、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 の carta に 対 応 し て い る の で、 こ の carta は〈 書 状 〉 の 意 を 担 っ て い る と 判断される。 「拙稿」 で述べたように、 『日葡辞書』 には、 carta が 〈書 状〉の意でもって、見出し語の語義全体に対するポルトガル語解 説文の文頭にあって、他の表現と協同して対応している用例は多 数認められる。   三 ・ 一 ・ 三 ・ 二   carta が文中にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 全 体 に 対 し て、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 文 中 に あ っ て 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て い る 項 目 は、 ③ Aleatoriori 、 ④ Aleatorium, ij 、 ⑪ Epistolaris, e の三項目である。   こ れ ら 三 項 目 の う ち、 ⑪ は、 ⑩ Epistola, æ 手 紙、 書 簡 〉 の 形 容 詞 形 で あ る か ら、 〈 書 状 〉 の 意 と と も に、 形 容 詞 と し て の 文 法 的意味をも有していることになる。さらに、 その日本語解説文で、 意 味 上 の 核 と な っ て い る の が、 〈 書 状 〉 の 意 の「 文 注 フ ミ 」 で あ り、 そ の 「 文 注 フ ミ 」 に、 ポルトガル語解説文で対応しているのが carta なので、 当該の carta は〈書状〉の意と解される。   次 に、 ③ 、 ④ で は、 carta は、 そ れ ぞ れ、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 の文頭の語、 Iugador 〈ばくち打ち〉 ( Aleatoriori の項目) 、 Iogo 〈ば く ち 〉 ( Aleatorium, ij の 項 目 ) に 対 す る 修 飾 語 と な っ て い る。 ③ で は、 carta は 他 の 修 飾 語 dados 〈 さ い こ ろ 遊 び 〉 と と も に、 ④ で は、 carta は他の修飾語 dados etc 〈 さいころ遊びなど〉 をともない、 両項目とも、第一修飾語として用いられている。③、④のラテン 語の見出し語の語義が、それぞれ〈ばくち打ち〉 、 〈ばくち〉であ り、そのポルトガル語解説文では、対訳に相当する、それぞれの 文頭の語 Iugador 〈ばくち打ち〉 、Iogo 〈ばくち〉 が、 dados ( etc )〈 さ い こ ろ 遊 び( な ど ) 〉 と い う 賭 博 の 具 体 的 な 種 類 を 指 す 語 と carta が 併 記 さ れ て 限 定 さ れ て い る こ と か ら、 こ れ ら 二 項 目 で は、 carta は〈カルタ〉すなわち〈トランプゲーム〉の意の語として挙げら れ て い る と 判 断 さ れ る。 ま た、 ③、 ④ の 両 項 目 で は、 carta は 賭

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博の具体的な種類として第一に示されていることになるから、当 時 ポ ル ト ガ ル、 恐 ら く ポ ル ト ガ ル 語 通 用 圏 で は、 carta は 代 表 的 な賭博ゲームだったことは疑いない。   一 方、 ③、 ④ の 項 目 の 日 本 語 解 説 文 に お い て は、 ③ で は、 単 に「 博 注 バ ク 打 注 チ 打 注 ウ チ」とあって、対訳の日本語を示すだけで、賭博を直 接 的 に 指 す 語 は 用 い ら れ て い な い が、 ④ で は、 「 博 注 バ ク 打 注 チ 」 、 「 双 注 ス グ ロ ク 六 注 」 、 「 博 注 バ ク エ キ 奕 注 」 と い う、 賭 博 を 指 す 語 が 三 語 併 記 さ れ て い る も の の、 carta は 挙 が っ て い な い。 前 述 し た よ う に、 外 来 語「 カ ル タ 」 の 初出と見られる『長宗我部氏掟書』の「掟條々」では、賭博の具 体的な種類として 「カルタ」 が名指しされていて、 このころ既に 〈ト ランプゲーム〉としてのカルタが盛んに行われていたことを窺わ せることからすれば、そのわずか二年前の刊行の 『羅葡日対訳辞 書 』 に、 ④ の 日 本 語 解 説 文 中 に、 「 博 注 バ ク 打 注 チ 」 、 「 双 注 ス グ ロ ク 六 注 」 、 「 博 注 バ ク エ キ 奕 注 」 と と も に、 「 カ ル タ 」 が 挙 が っ て い な い こ と の 方 が、 む し ろ 不 自 然 に 思 え な く も な い。 実 は、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に 存 す る〈 ト ラ ン プ ゲ ー ム 〉 の 意 の carta の 用 例 は、 ③、 ④ の 項 目 に お け る、 ポ ル ト ガル語解説文中に見える二例のみなのである。 『羅葡日対訳辞書』 には、 ラテン語の見出し語に対する日本語解説文中に、 「ばくち」 、 「 す ぐ ろ く 」 、 「 ば く え き 」 、 「 ば く ち う ち 」 が 存 す る 例 は 他 に も あ るけれども、 それらの当該項目に対するポルトガル語解説文では、 carta は一切用いられていない。 『羅葡日対訳辞書』において、 〈ト ラ ン プ ゲ ー ム 〉 の 意 の carta の 使 用 自 体、 あ ま り 積 極 的 で は な い のである。   と こ ろ で、 ④ に お い て、 「 博 注 バ ク 打 注 チ 」 、 「 双 注 ス グ ロ ク 六 注 」 、 「 博 注 バ ク エ キ 奕 注 」 は、 賭 博 を ど の よ う に 表 わ す 語 と し て、 挙 げ ら れ て い る の だ ろ う か。 『 日 葡 辞書』における、 「ばくち」 、 「すぐろく」 、 「ばくえき」の項目は、 次のように説明されている。 Bacuchi. Iogo de dados.Itẽ, Qualquer jogo a dinheir o. ( 訳 : 博 注 バ ク 打 注 チ 。さいころ遊びの賭博。 ¶ また、金銭を伴うあらゆる 賭博 。 ) Sugu roc u. Iog o c omo de tabo las. ¶ Sugu roc uuo vt çu. Iu gar às tabolas. (訳: 双 注 ス グ ロ ク 六 注 。 駒を用いる賭博。 ¶ 双 注 ス グ ロ ク 六 注 ヲ 打 注 ウ ツ。 駒ゲー ムの賭博をする 。 ) Bacuyeqi. i. Bacuchi. Iogo de dados, tabolas, c. ¶ Bacuyeqi suru. Iugar . ( 訳 : 博 注 バ ク エ キ 奕 注 。 す な わ ち、 博 注 バ ク 打 注 チ 。 さ い こ ろ 遊 び、 駒ゲーム、などの賭博。 ¶ 博 注 バ ク エ キ 奕 注 スル 。賭博する。 ) 『 日 葡 辞 書 』 の 記 述 に よ れ ば、 「 ば く ち 」 は、 〈 さ い こ ろ 賭 博 〉 が 第一義で、第二義は総称としての〈賭博〉であるが、 『日葡辞書』 の「ばくちうち」の項目には、 Bacuchi uchi. Iugador de dados. ( 訳 : 博 注 バ ク 打 注 チ 打 注 ウ チ。 さ い こ ろ 遊 びの賭博師。 ) と あ り、 「 バ ク チ 」 の 部 分 に 対 し て は〈 さ い こ ろ 遊 び 〉 の 意 に 限 定しているので、 「ばくち」の代表的な意義としては、 〈 さいころ 遊び 〉と見做すことができる。 『日葡辞書』の説明では、 「すぐろ

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く」は、 〈駒ゲーム〉の意、 「 ばくえき」は、 総称としての〈賭博〉 の意と、 それぞれされている。これらのことと、 『羅葡日対訳辞書』 の ④ の 項 目 に お け る、 当 該 三 語 の あ り よ う を 整 合 的 に 捉 え れ ば、 、「すぐろく」は、 それぞれ〈 さいころ遊び 〉 、〈駒ゲーム〉 と い う 意 で、 賭 博 の 具 体 的 な 種 類 と し て、 「 ば く え き 」 は、 総 称 としての〈賭博〉の意の語として挙げられていると解される。つ まり、 ④においては、 ポルトガル語解説文では、 対訳語 jogo 〈賭 博〉 が、 〈トランプゲーム〉 の意の carta と 〈 さいころ遊び (など) 〉 の 意 の dados ( etc ) と い う 賭 博 の 具 体 的 な 種 類 の 説 明 に よ る 限 定 でもって示されているが、日本語解説文では、賭博の具体的な種 類の例示である「ばくち」 、 「すぐろく」と、総称としての「ばく えき」を併記する仕方で示されているわけである。③、④におい て、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 を 介 し て、 そ れ ぞ れ、 ポ ル ト ガ ル 語 の、 jugador 、 carta 、 dados と、 日 本 語 の「 ば く ち う ち 」 、 ポ ル ト ガ ル 語の jogo 、 carta 、 dados と、 日本語の「ばくち」 、「すぐろく」 、「ば くえき」とは連想関係にあり、総称としての「ばくえき」はとも かく、 とりわけ、 当時の日本の代表的な賭博の種類の用語の、 「ば く ち 」 、 「 す ぐ ろ く 」 は、 carta 、 dados に 匹 敵 す る も の と 位 置 づ け られていたことになる。   三 ・ 一 ・ 四   carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 に対応している場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て そ の 一 義 に 対 応 し て い る 場 合 に は、 carta が ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文の文頭にある場合と、文中にある場合とがある。   三 ・ 一 ・ 四 ・ 一   carta が文頭にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 の 語 義の一義に対して、 ポルトガル語解説文中で、 carta が文頭にあっ て 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て い る 項 目 は、 ⑥ Cera, æ の 一 項 目 の み で あ る。 ⑥ の 項 目 で は、 carta が 存 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 に対応する当該の一義自体は直接的には特定できないものの、当 該項目の一義には 〈書字板〉 の意があり、 ⑦ Codicilli, orum には、 〈書 字 板 〉 の 意 と と も に、 〈 手 紙、 文 書 〉 の 意 が あ る の で、 ⑥ Cera, æ に も、 〈 書 状 〉 や〈 文 書 〉 の 意 が 想 定 で き な く も な い。 ⑥ の 項 目 の想定しうる一義が、 日本語解説文の、 〈書状〉の意をもつ「 書 注 シ ヨ 」 、 〈 文 書 〉 の 意 を 含 む「 書 注 シ ヨ モ ツ 物 注 」 に 対 応 し、 対 応 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説文の escritura が 〈文書〉 の意である以上、 当該の carta は 〈書状〉 の意であることは疑う余地がない。⑥の項目の一義では、 〈書状〉 の 意 の carta が、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 に お い て、 文 意 の 核 と な っ ているのである。

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  三 ・ 一 ・ 四 ・ 二   carta が文中にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 見 出 し 語 の 語 義 の 一 義 に 対 し て、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 文 中 に あ っ て 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て い る 項 目 は、 ⑫ Exemplum, i 、 ⑳ Præco, onis 、 ㉔ Sigillum. i 、 ㉗ Synthema, atis 、 ㉙ Tabellarius, ij の 五 項 目 で あ る。 こ れ ら 五 項 目 で は、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta は い ず れ も 文 意 の 核 と は な っ て い な い が、 〈 書 状 〉 の 意 で 用 い ら れ て い る と 判 断 さ れ る。 ⑫ の 項 目 に お け る、 当 該 の 一 義 は、 〈 (文書の)写し〉ということであろうが、 ポルトガル語解説文で、 carta は、 〈 文 書 〉 の 意 の escriptura と 併 記 さ れ て お り、 文 書 類 を 代 表 す る も の の 一 つ と し て carta が〈 書 状 〉 の 意 で 使 用 さ れ て い る と 思 わ れ る。 な お、 こ の 項 目 の 日 本 語 解 説 文 の、 「 清 注 セ イ 書 注 ジ ヨ 」 、 「 清 注 キ ヨ 書 注 ガ キ 」 は、 〈 文 書 〉 の 意 を 含 む 語 で あ る。 ⑳ の 項 目 に お け る 当 該 の一義は、 〈 (公 けの場での)触れ役、告知人〉と解するのが穏当 で あ ろ う。 対 応 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta は、 告 知 行 為 の 対 象 物 を 指 し て お り、 対 応 す る 日 本 語 解 説 文 中 の、 〈 書 状 〉 の 意 の「 文 注 フ ミ 」 に 当 る こ と か ら、 や は り〈 書 状 〉 の 意 と 判 断 さ れ る。 ㉔ の項目における、 当該の一義は、 〈 (書状の)印章、 印章の図柄〉 と 解 さ れ る し、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta は、 こ れ も 対 応 す る 日 本 語 解 説 文 中 の、 〈 書 状 〉 の 意 の「 文 注 フ ミ 」 に 相 当 す る の で、 こ の carta も 〈書状〉 の意となる。 ㉗ の項目の一義は特定しがたいが、 対 応 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta に、 対 応 す る 日 本 語 解 説 文中の、 〈書状〉の意の「 文 注 フ ミ 」が当るので、 当該の carta も〈書状〉 の 意 と 判 断 さ れ る。 ㉙ の 項 目 の 一 義 は、 〈 書 状 〉 の 意 を 含 む〈 手 紙を運ぶ人、飛脚〉であり、対応する日本語解説文における対訳 語 と し て、 〈 書 状 〉 の 意 を 含 む「 文 注 フ ミ 使 注 ヅ カ ヒ 」 、 「 飛 注 ヒ 脚 注 キ ヤ ク 」 が 用 い ら れ て い る こ と か ら、 ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta が 〈 書 状 〉 の 意 で あることは明らかである 。   三 ・ 二   見 出 し 語 の 例 文 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 翻 訳 文 中 の carta の 場 合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 の 例 文 の ポ ル ト ガ ル 語 翻 訳 文 中 で 用 い ら れ て い る carta の 用 例 に は、 見 出 し 語の語義の一義に対する例文における例が一例、②の項目にのみ 存 す る。 当 該 の 一 義 に つ い て の ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 に は、 carta は 見 え ず、 当 該 の 例 文 の ポ ル ト ガ ル 語 翻 訳 文 中 で、 carta は 修 飾 成分となっている。②の項目の、 その一義は 〈談判する、 折衝する〉 と思われるが、 その例文中の tabellis obsignatis 〈署名捺印した文書〉 に、 ポルトガル語翻訳文中の

testimunho de suas cartas, ou escrituras

〈 carta あ る い は 文 書 の、 証 拠 〉 が 対 応 し、 ま た、 そ の 部 分 は、 日 本語訳文中の、 〈証書〉 の意の 「 証 注 シヨ ウ モ ン 文 注 」 とも対応していることから、

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当該の carta は〈証書〉の意と判断される。   三 ・ 三   小 見 出 し に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta の 場 合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 小 見 出 し に 対 す る 解 説 文 中 で 用 い ら れ て い る carta の 用 例 に は、 小 見 出 し の 意 義 全 体 に対するポルトガル語解説文中にある場合と、小見出しの意義の うちの一義に対するポルトガル語解説文中にある場合とがある。   三 ・ 三 ・ 一   carta が 小 見 出 し の 意 義 全 体 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解説文中にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 小 見 出 し の 意 義 全 体 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 に carta が 用 い ら れ て い る 場 合 に は、 carta の み で 対 応 し て い る 例 は な く、 carta は す べ て 他 の 表 現 と協同して対応している用例ばかりである。   三 ・ 三 ・ 一 ・ 一   carta が他の表現と協同して小見出しの意義全 体に対応している場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 小 見 出 し の 意 義 全 体 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 他 の 表 現 と 協 同 し て 当 該 の 意 義 全 体 に 対 応 し て い る 場 合 に は、 carta が 文 頭 に あ る 場 合と文中にある場合とがある。   三 ・ 三 ・ 一 ・ 一 ・ 一   carta が文頭にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 の 小 見 出 し の 意 義 全 体 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 文 頭 に あ っ て 他 の 表 現 と 協 同 し て 対 応 し て い る 項 目 は、 ⑧ Dentatus, a, um, siue 、 ⑬ Formalis, e 、 ⑭ Furtîuus, a, um 、 ⑮ Hológraphum 、 ⑰ Liber , a, um 、 ⑲ Ponderosus, a, um 、 ㉒ Salutaris, e 、 ㉖ Subaeptiti us, a, um 、 ㉛ Vespertînus, a, um 、 ㉜ V ictrix, icis の十項目である。これら十項 目では、ポルトガル語解説文において、いずれも〈書状〉の意の carta が 文 の 核 と な っ て い る 。 ⑧ の 項 目 の 小 見 出 し は、 当 該 見 出 し 語 で、 〈 書 状 〉 の 意 も 有 す る charta を 限 定 し た も の で あ り、 対 応 す る 日 本 語 解 説 文 中 の、 〈 書 状 〉 の 意 の 「 文 注 フ ミ 」 が、 そ の carta に 当 る こ と か ら、 当 該 の carta が 〈 書 状 〉 の 意 で あ る こ と は 間 違 い な い。 ⑬、 ⑮、 ⑲ の 三 項 目 の 小 見 出 し は、 〈 書 状 〉 の 意 の epistola を、それぞれ、当該の見出し語で限定したものであるし、それぞ れ、 対応する日本語解説文中の、 〈書状〉の意をもつ、 「 文 注 フ ミ 」 、「 文 注 フ ミ 」 、 「 状 注 ジ ヤ ウ 」 が、 い ず れ も carta に 当 る の で、 こ れ ら の carta も 〈 書 状 〉 の意と解される。⑭、⑰、 ㉒ 、 ㉛ の四項目の小見出しは、 〈書状〉 の 意 も 有 す る literæ を、 そ れ ぞ れ、 当 該 の 見 出 し 語 で 限 定 し て い

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る し、 ま た、 そ れ ぞ れ、 対 応 す る 日 本 語 解 説 文 中 で、 〈 書 状 〉 の 意 の 「 文 注 フ ミ 」 が い ず れ も cart a 当 る の で、 こ れ ら 四 項 目 に お け る carta も、 〈 書 状 〉 の 意 で あ る こ と は 確 実 で あ る。 ㉖ 、 ㉜ の 二 項 目 の 小 見 出 し に お い て も、 〈 書 状 〉 の 意 を も つ literæ を、 そ れ ぞ れ、 当該の見出し語で限定していること、 ㉖ の当該小見出しに対する ポルトガル語解説文 Cartas falsas に対応する日本語解説文が、 〈書 状〉の意を含む「 謀 注 ボ ウ シ ヨ 書 注 」であること、 ㉜ の当該小見出しに対する ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 の Cartas que denunciam, ou dam nouas の 部 分 に、 日 本 語 解 説 文 中 で、 〈 書 状 〉 の 意 を 含 む「 注 注 チユ ウ シ ン ジ ヤ ウ 進 状 注 注 」 が 対 応 し て い る こ と か ら、 こ れ ら 二 項 目 に お け る carta も〈 書 状 〉 の 意 で あることは疑いない。   三 ・ 三 ・ 一 ・ 一 ・ 二   carta が文中にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 当 該 の ラ テ ン 語 の 小 見 出 し の 意 義 全 体 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 carta が 文 中 に あ っ て 他の表現と協同して対応している項目は、① Aculeatus, a, um 、⑨ Duplex, icis 、 ㉓ Scytala, æ, l, Scytale, es 、 ㉚ Texo, is, xui, extũ の四 項 目 で あ る。 四 項 目 と も、 当 該 の carta は〈 書 状 〉 の 意 と 判 断 さ れ る。 ① の 項 目 の 当 該 の 小 見 出 し は、 見 出 し 語 に よ っ て、 語 が 二 つ 限 定 さ れ る 形 式 に な っ て い る が、 そ の 限 定 さ れ る と こ ろ の 語 の う ち の 一 語 が〈 書 状 〉 の 意 を 有 す る epistola で あ り、 当 該 小 見 出 し に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 の carta が そ の epistola に 対応していること、また、当該小見出しに対する日本語解説文中 で は、 〈 書 状 〉 の 意 の 「 文 注 フ ミ 」 が そ れ に 対 応 し て い る こ と か ら、 当 該 の carta が 〈 書 状 〉 の 意 で あ る こ と は 明 ら か で あ る。 ⑨ の 項 目 の当該の小見出しは、見出し語の派生語と思われる。当該小見出 しの意義として〈書状〉に関わる意は確認しがたいが、当該小見 出 し に 対 す る 日 本 語 解 説 文 の「 恋 注 コ ヒ ブ ミ 文 注 」 、 「 密 注 ミ ツ 事 注 ジ ヲ 書 注 カ キ タ ル 文 注 フ ミ 」 は、 そ れ ぞ れ、 当 該 小 見 出 し に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 の、 cartas em que se escriuiam cousas …… de amores 、

cartas em que se escriuiam

cousas secretas に 対 応 し て お り、 〈 書 状 〉 の 意 を 有 す る と こ ろ の、 「 恋 注 コ ヒ ブ ミ 文 注 」 の 後 要 素 の 「 文 注 フ ミ 」 、 」 「 ( 密 注 ミ ツ 事 注 ジ ヲ 書 注 カ キ タ ル ) 文 注 フ ミ 」 に、 carta が 該 当 す る の で、 こ の carta も 〈 書 状 〉 の 意 と 解 さ れ る。 ㉓ の 項 目 の当該の小見出しは、 ㉓ の項目の派生語であるが、 ㉓ の項目の語 義の一義、 および、 当該小見出し自体の意義が 〈秘密文書〉 であり、 その〈文書〉の意に、当該小見出しに対するポルトガル語解説文 中の Hũ genero de carta 〈 carta の種類〉 が対応していること、 また、 当該小見出しに対する日本語解説文中では、 〈書状〉の意の 「 文 注 フ ミ 」 を代表とするとして「 文 注 フ ミ ノ 類 注 タ グ ヒ 」が対応していることから、当該の carta は、 文 書 類 の 代 表 の 一 つ と し て の 〈 書 状 〉 と い う こ と で 用 いられていると判断される。 ㉚ の項目の小見出しは、見出し語の 行為を表わす動詞をその行為の対象物で限定する形式のものであ るが、 限定された対象物を指す語が 〈書状〉 の意の epistolas であっ

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て、その epistolas に、当該小見出しに対するポルトガル語解説文 中 の cartas 、 当 該 日 本 語 解 説 文 中 の、 〈 書 状 〉 の 意 も 有 す る「 状 注 ジ ヤ ウ 」 が対応しているので、当該の carta(s) も〈書状〉の意で疑いない。   三 ・ 三 ・ 二   carta が 小 見 出 し の 意 義 の 一 義 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語解説文中にある場合   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ラ テ ン 語 の 小 見 出 し の 意 義 の 一 義 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 に carta が 用 い ら れ て い る 場 合 には、 carta のみで対応している用例が一例あるだけである。   ⑱の項目の小見出しは、見出し語の派生語 であるが、⑱の項目 の語義の一義、および、当該小見出しの一義に〈書状〉の意があ り、 当 該 小 見 出 し の 一 義 に 対 す る 日 本 語 解 説 文 で は、 〈 書 状 〉 の 意 の 「 文 注 フ ミ 」 一 語 で 示 さ れ て い る こ と か ら、 carta 一 語 で 表 わ さ れ ている、当該小見出しの一義に対するポルトガル語解説文の意は 書 状 〉 で あ る と と も に、 当 該 carta も〈 書 状 〉 の 意 と い う こ と に なる。当該小見出しのその一義に対して、ポルトガル語解説文で carta 一 語 し か 与 え ら れ て い な い こ と は、 carta の〈 書 状 〉 の 意 が、 当 時 の ポ ル ト ガ ル 語 に お い て、 carta の 最 も 代 表 的 な 意 義 だ っ た からにほかならない。 四   おわりに   以上、外来語「カルタ」の成立をめぐって、その語源と見られ る ポ ル ト ガ ル 語 の carta が、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お い て、 ど の よ うなラテン語の見出し語や小見出しに対するポルトガル語解説文 や例文のポルトガル語翻訳文にあり、また、それらに対する日本 語 解 説 文 な ど の ど の よ う な 表 現 と 対 応 し て い る の か を、 検 討 し、 考察 してきた。   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に は、 外 来 語 と し て の「 カ ル タ 」 の 用 例 は 認 め ら れ な い も の の、 ポ ル ト ガ ル 語 と し て の carta の 方 は、 用 例 が散見する。外来語としての「カルタ」の用例がないことは、 『日 葡 辞 書 』 と 同 じ で あ る が、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お け る、 carta の 出 現 項 目 数 は 三 十 二 項 目 で、 『 日 葡 辞 書 』 の 出 現 数 の 十 六 パ ー セ ント程度に過ぎない。   もっとも、 『羅葡日対訳辞書』の carta の用例の大多数が〈書状〉 の意であることは、 『日葡辞書』 の場合と共通している。 carta の 〈書 状〉の意の用例が大半を占めていることや、ラテン語の見出し語 や 小 見 出 し の 語 義 全 体 や 一 義 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 解 説 文 中 で、 〈 書 状 〉 の 意 の carta だ け が carta 一 語 に よ る 対 訳 が 施 さ れ て い る こ と は、 『 日 葡 辞 書 』 の 場 合 と 同 様 で あ り、 当 時 の carta の 最 も 代 表的な意義が 〈書状〉 であることが、 『羅葡日対訳辞書』 における、 carta のありようからも確認できた。   ま た、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に は、 少 数 な が ら〈 証 書 〉 の 意 の

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carta の用例が存することも、 『日葡辞書』と同様の傾向であるが、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 で は、 ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 に つ い て の 例 文 に 対 す る ポ ル ト ガ ル 語 訳 文 に の み carta が 使 わ れ て い る 例 が 一 例 だ け あ っ て、 当 該 の carta が〈 証 書 〉 の 意 で あ る こ と か ら す れ ば、 ポ ル ト ガ ル 語 と し て、 〈 証 書 〉 の 意 も 比 較 的 よ く 用 い ら れ る carta の用法であったとも推測される。   と こ ろ で、 carta に 関 し て、 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 で 最 も 注 目 さ れ るのは、 〈トランプゲーム〉の意の用例が、二例とはいえ、 『日葡 辞 書 』 と は 異 な り、 存 す る こ と で あ る。 『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 に お ける〈トランプゲーム〉の意の用例は二例と極めて少なく、しか も二例とも、ラテン語の見出し語に対するポルトガル語解説文中 で、 修 飾 成 分 と し て の み 使 わ れ て い る の で、 carta の 主 要 な 意 義 でないことは確かである。ただし、その二例は、いずれも賭博の 具 体 的 な 種 類 の 名 称 と し て、 carta が 第 一 に 挙 げ ら れ て い る か ら に は、 ポ ル ト ガ ル、 恐 ら く ポ ル ト ガ ル 語 通 用 圏 で は、 carta が 賭 博の代表的な種類であったことは間違いあるまい。そのうえ、一 つの項目では、日本語解説文において、日本での賭博の具体的な 種 類 と し て、 「 ば く ち 」 、 「 す ぐ ろ く 」 が 引 き 当 て ら れ て お り、 そ のことは、 〈トランプゲーム〉としての carta などが、 「ばくち」 、「す ぐろく」が匹敵するものと見做されていたことを示すものにほか ならないのである。見方を換えれば、 当時の日本人の目には、 〈ト ラ ン プ ゲ ー ム 〉 の carta が、 「 ば く ち 」 、 「 す ぐ ろ く 」 に 匹 敵 す る、 南蛮伝来の新奇の賭博の種類と映ったことを推測させるものでも あ る。 そ の 推 測 と、 外 来 語「 カ ル タ 」 の 初 出 例 と 見 ら れ る、 『 長 宗我部氏掟書』の「掟條々」の、 「博奕、 カルタ、 諸勝負令 二 停止 一 」 という表現を、まず既存の「ばくち」 、 「すぐろく」などを賭博の 総称としての「博奕」で示し、次に南蛮からの新来でありながら 名 指 し せ ざ る を 得 な い ほ ど 盛 ん に な っ て い た「 カ ル タ 」 、 そ し て それら以外の「諸勝負」事全般の禁止を定めたものと解すことと を、整合的に捉えることができるのである。   日 葡 辞 書 』 や『 羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 の 成 立 時 に は、 賭 博 と し て のカルタがすでに盛んになっていたとすれば、これらには外来語 「 カ ル タ 」 の 用 例 が 全 く な く、 ポ ル ト ガ ル な ど で は ト ラ ン プ ゲ ー ムが盛んであったのに、 〈トランプゲーム〉の意の carta すら、 『羅 葡日対訳辞書』にむしろ例外的に二例だけしか存しないのはなぜ だ ろ う か。 キ リ シ タ ン 資 料 の 一 つ『 さ る ば と る・ む ん ぢ 』 ( 注 598 年 刊 ) に は、 十 ヶ 条 の「 ま だ め ん と す 」 ( 掟 ) が あ る が、 そ の う ちの 「第七   偸盗すべからず」 の九番目に、 「ばくちをうちたるや」 の項目が立っている。賭博をすることは、他人の財産を不当に奪 うことになると捉えられていたと判断されるから、キリスト教的 価値観によって、賭博に関する語彙、項目、説明は必要最小限に しようという意図が、キリシタン資料の作成にあたっては働いた ためと考えられるのである。ただし、その際、キリシタン資料に お い て、 ポ ル ト ガ ル 語 と し て の carta と い う 語 を 全 面 的 に 排 除 す

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る方針を取らなかったのは、 carta の語義としては、 〈トランプゲー ム〉の意はそもそも主要な意義ではなく、キリスト教的価値観に は抵触しないところの、 〈書状〉 や 〈証書〉 の方が代表的な意義だっ たからにちがいない。その結果、日本語には、書状自体を指す語 彙や、書状に関する語彙や表現が豊富であったから、 『日葡辞書』 に は、 〈 書 状 〉 の 意 の carta が 多 数 用 い ら れ る こ と に な っ た。 キ リ シタンの時代は、日本の書状文化隆盛の時代だったのである。 注1   『藤女子大学   国文学雑誌』第 94号・二〇一六年三月。 注 2   『中世法制史料』第三巻 ・ 一九六五年 ・ 岩波書店 ・ 三〇七ペー ジ。 注 3   羅 葡 日 対 訳 辞 書 』 の ラ テ ン 語 の 見 出 し 語 の 和 訳 語 義 は、 特に言及しない限りは、 『羅和辞典 (改訂版) 』(二〇〇九年刊 ・ 研究社)によっている。 注4   X ijŏ は Xeijo の誤か。 注5   ‘A L at in dict ionary .Oxford :

Oxford University Press,1962

' の 語 釈 、 ‘entirely auto graph ' による。 注6     )内は誤脱を補う。 注7   Zui は Zuiy の誤か。

第九十四号

 

目次

二〇一六年   三月 『二日物語』と『封じ文』   ―露伴小説における悟達と情念― ……… 関   谷     博 外来語「カルタ」成立の周辺   ―『日葡辞書』と carta ― ……… 漆   﨑   正   人 京都大学人文科学研究所所蔵『天地瑞祥志』翻刻・校注   ―「第一」の翻刻と校注(二)― ……… 水口幹記・田中良明 尾崎紅葉の文章観   ― ︿ 隠形 ﹀ と ︿ 顕形 ﹀ の狭間で― ………揚   妻   祐   樹 一冊   五〇〇円

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