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<実践研究報告>統計学共通教材の開発

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2016-03-13

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統計学共通教材の開発

豊 原 法 彦

(経済学部・研究代表者) 要 旨 本稿は、高校の教育指導要領が改訂されたことを受け、大学特に文系で行われる 基礎的な統計学教育についての方向性とそれを実現するための試みについて述べる ものである。そのために高等教育推進センターの2014年度指定研究として実践的に 行った luna(LMS)を用いた統計学共通教材開発の手順や技術的な問題などにつ いて述べるとともに、今後の課題についてもまとめている。 はじめに 本報告は、高等教育推進センターの2014年度指定研究「統計学共通教材の開発」において実践 的に行ったプロセスおよびその前提となる高校の学習指導要領の変化について述べるものであ る。なおこのプロジェクトは豊原法彦(経済学部・教授、代表)、中野康人(社会学部・教授)、 渡邊勉(社会学部・教授)、地道正行(商学部・教授)、李政元(総合政策学部・教授)、中村洋 右(教務機構事務部・主査)(肩書は2014年現在)によって、文系の統計学共通教材を開発する ことを目的として行われた。 以下では、まず2009年度に改訂された学習指導要領について統計分析にかかわる部分を中心に まとめる。次に、本開発におけるステップについてまとめたのちに、実際の操作方法や改善点な どを挙げたい。 1. 学習指導要領について 今回の改定について、高等学校学習指導要領改訂のポイント1によれば、基本的考え方を、) 教育基本法改正等で明確になった教育の理念を踏まえ、「生きる力」を育成、)知識・技能の 習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視、そして)道徳教育や体育などの充 実により、豊かな心や健やかな体を育成としている。そして、そのための教育内容の主な改善事 項のつとして「理数教育の充実」があげられており、その中に「統計に関する内容を必修化」 が位置づけられている。数学について1999年に改訂された学習指導要領(以下、旧課程)におけ る数学の内容を表に、2008年度に改訂されたそれ(以下、新課程)を表に掲げる。また、両 課程における数学の標準時間数は表にある通り。 これらの中から、「場合の数」、「確率」を含んで、統計にかかわるものを抜き出したものが表 である。この表から統計に直接かかわるものを調べると以下のようにまとめることができる。 )旧課程の数学Bにおいて「統計とコンピュータ」として扱われており、学習指導要領では、

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()極限 ア 数列の極限 (ア)数列の極限 (イ)無限等比級数の和 イ 関数とその極限 (ア)合成関数と逆関数 (イ)関数値の極限 ()微分法 ア 導関数 (ア)関数の和・差・積・商の導関数 (イ)合成関数の導関数 (ウ)三角関数・指数関数・対数関数 の導関数 イ 導関数の応用 接線、関数値の増減、速度、加速度 ()積分法 ア 不定積分と定積分 (ア)積分とその基本的な性質 (イ)簡単な置換積分法・部分積分法 (ウ)いろいろな関数の積分 イ 積分の応用 ()式と証明・高次方程式 ア 式と証明 (ア)整式の除法、分数式 (イ)等式と不等式の証明 イ 高次方程式 (ア)複素数と二次方程式 (イ)高次方程式 ()図形と方程式 ア 点と直線 (ア)点の座標 (イ)直線の方程式 イ 円 (ア)円の方程式 (イ)円と直線 ()いろいろな関数 ア 三角関数 (ア)角の拡張 (イ)三角関数とその基本的な性質 (ウ)三角関数の加法定理 イ 指数関数と対数関数 (ア)指数の拡張 (イ)指数関数 (ウ)対数関数 ()微分・積分の考え ア 微分の考え (ア)微分係数と導関数 (イ)導関数の応用 接線、関数値の増減 イ 積分の考え (ア)不定積分と定積分 (イ)面積 ()方程式と不等式 ア 数と式 (ア)実数 (イ)式の展開と因数分解 イ 一次不等式 ウ 二次方程式 ()二次関数 ア 二次関数とそのグラフ イ 二次関数の値の変化 (ア)二次関数の最大・最小 (イ)二次不等式 ()図形と計量 ア 三角比 (ア)正弦、余弦、正接 (イ)三角比の相互関係 イ 三角比と図形 (ア)正弦定理、余弦定理 (イ)図形の計量 数学Ⅱ 数学Ⅲ 表.1999年度改訂 学習指導要領 数学Ⅰ ()行列とその応用 ア 行列 (ア)行列とその演算 和、差、実数倍 (イ)行列の積と逆行列 イ 行列の応用 (ア)連立一次方程式 (イ)点の移動 ()式と曲線 ア 二次曲線 (ア)放物線 (イ)楕(だ)円と双曲線 イ 媒介変数表示と極座標 (ア)曲線の媒介変数表示 (イ)極座標と極方程式 ()確率分布 ア 確率の計算 イ 確率分布 (ア)確率変数と確率分布 (イ)二項分布 ()統計処理 ア 正規分布 (ア)連続型確率変数 (イ)正規分布 イ 統計的な推測 (ア)母集団と標本 (イ)統計的な推測の考え ()数列 ア 数列とその和 (ア)等差数列と等比数列 (イ)いろいろな数列 イ 漸化式と数学的帰納法 (ア)漸化式と数列 (イ)数学的帰納法 ()ベクトル ア 平面上のベクトル (ア)ベクトルとその演算 (イ)ベクトルの内積 イ 空間座標とベクトル 空間座標、空間におけるベクトル ()統計とコンピュータ ア 資料の整理 度数分布表、相関図 イ 資料の分析 代表値、分散、標準偏差、相関係数 ()数値計算とコンピュータ ア 簡単なプログラム イ いろいろなアルゴリズム (ア)整数の計算 (イ)近似値の計算 ()平面図形 ア 三角形の性質 イ 円の性質 ()集合と論理 ア 集合と要素の個数 イ 命題と証明 ()場合の数と確率 ア 順列・組合せ イ 確率とその基本的な法則 ウ 独立な試行と確率 数学B 数学C 数学A

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()平面上の曲線と複素数平面 ア 平面上の曲線 (ア)直交座標による表示 (イ)媒介変数による表示 (ウ)極座標による表示 イ 複素数平面 (ア)複素数の図表示 (イ)ド・モアブルの定理 ()極限 ア 数列とその極限 (ア)数列の極限 (イ)無限等比級数の和 イ 関数とその極限 (ア)分数関数と無理関数 (イ)合成関数と逆関数 (ウ)関数値の極限 ()微分法 ア 導関数 (ア)関数の和・差・積・商の導関数 (イ)合成関数の導関数 (ウ)三角関数・指数関数・対数関数 の導関数 イ 導関数の応用 ()積分法 ア 不定積分と定積分 (ア)積分とその基本的な性質 (イ)置換積分法・部分積分法 (ウ)いろいろな関数の積分 イ 積分の応用 ()いろいろな式 ア 式と証明 (ア)整式の乗法・除法、分数式の計算 (イ)等式と不等式の証明 イ 高次方程式 (ア)複素数と二次方程式 (イ)因数定理と高次方程式 ()図形と方程式 ア 直線と円 (ア)点と直線 (イ)円の方程式 イ 軌跡と領域 ()指数関数・対数関数 ア 指数関数 (ア)指数の拡張 (イ)指数関数とそのグラフ イ 対数関数 (ア)対数 (イ)対数関数とそのグラフ ()三角関数 ア 角の拡張 イ 三角関数 (ア)三角関数とそのグラフ (イ)三角関数の基本的な性質 ウ 三角関数の加法定理 ( )微分・積分の考え ア 微分の考え (ア)微分係数と導関数 (イ)導関数の応用 イ 積分の考え (ア)不定積分と定積分 (イ)面積 ()数と式 ア 数と集合 (ア)実数 (イ)集合 イ 式 (ア)式の展開と因数分解 (イ)一次不等式 ()図形と計量 ア 三角比 (ア)鋭角の三角比 (イ)鈍角の三角比 (ウ)正弦定理・余弦定理 イ 図形の計量 ()二次関数 ア 二次関数とそのグラフ イ 二次関数の値の変化 (ア)二次関数の最大・最小 (イ)二次方程式・二次不等式 ()データの分析 ア データの散らばり イ データの相関 数学Ⅱ 数学Ⅲ 表.2008年度改訂 学習指導要領 数学Ⅰ ()確率分布と統計的な推測 ア 確率分布 (ア)確率変数と確率分布 (イ)二項分布 イ 正規分布 ウ 統計的な推測 (ア)母集団と標本 (イ)統計的な推測の考え ()数列 ア 数列とその和 (ア)等差数列と等比数列 (イ)いろいろな数列 イ 漸化式と数学的帰納法 (ア)漸化式と数列 (イ)数学的帰納法 ()ベクトル ア 平面上のベクトル (ア)ベクトルとその演算 (イ)ベクトルの内積 イ 空間座標とベクトル () 場合の数と確率 ア 場合の数 (ア)数え上げの原則 (イ)順列・組合せ イ 確率 (ア)確率とその基本的な法則 (イ)独立な試行と確率 (ウ)条件付き確率 () 整数の性質 ア 約数と倍数 イ ユークリッドの互除法 ウ 整数の性質の活用 () 図形の性質 ア 平面図形 (ア)三角形の性質 (イ)円の性質 (ウ)作図 イ 空間図形 数学B 数学A 数学B 数学A 数学活用 数学B 数学C 2008年度改訂 1999年度改訂 表.高等学校数学の標準単位数の変遷 5 4 4 3 3 2 数学Ⅰ 数学基礎 数学Ⅱ 数学Ⅰ 数学Ⅲ 数学Ⅱ 数学A 数学Ⅲ 2 2 2 2 2 2 3

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「統計についての基本的な概念を理解し、身近な資料を表計算用のソフトウェアなどを利用 して整理・分析し、資料の傾向を的確にとらえることができるようにする」2 という狙いが 示されている。 )旧課程の数学Ⅲでは「統計処理」を、「確率分布」を学んだ後に、「連続的な確率分布や統計 的な推測について理解し、統計的な見方や考え方を豊かにするとともに、それらを統計的な 推測に活用できるようにする」3 ことをねらいとして学ぶ。つまり自然対数の底である e を 含む微分や積分の計算ができるようなった後に正規分布を学ぶことで、密度関数の概念を踏 まえて統計的な推測を理解するようにカリキュラムマップが構築されていることが分かる。 )新課程では数学Ⅰにおいてデータの分析を「統計の基本的な考えを理解するとともに、それ を用いてデータを整理・分析し傾向を把握できるようにする」4 ことをねらいとして学ぶ。 さらに四分位点、四分位偏差、分散及び標準偏差の意味について理解し、それらを用いて データの傾向を把握し、説明するために、箱ひげ図(ただし、ひげの下限と上限はそれぞれ 最小値と最大値)を学ぶ。 )新課程の数学Bでは「確率変数とその分布、統計的な推測について理解し、それらを不確定 な事象の考察に活用できるようにする」5 ことをねらいとして確率分布と統計的な推測を学 ぶ。つまり数理的な議論よりも現実の事象にウエイトを置いて、標本調査と標本を用いて母 集団の傾向が推測でき、さらに母平均の統計的な推測を行うことによって、母集団と標本の 概念や社会的な現象に特徴的な不確定な状況下での判断を行うことを学ぶ。 なお2015年度の関西学院大学における全学、学部個別、関学独自方式の各入試における数学の ()確率分布 ア 確率の計算 イ 確率分布 (ア)確率変数と確率分布 (イ)二項分布 ()統計処理 ア 正規分布 (ア)連続型確率変数 (イ)正規分布 イ 統計的な推測 (ア)母集団と標本 (イ)統計的な推測の考え ()統計とコンピュータ ア 資料の整理 度数分布表、相関図 イ 資料の分析 代表値、分散、標準偏差、相関係数 ()場合の数と確率 ア 順列・組合せ イ 確率とその基本的な法則 ウ 独立な試行と確率 数学 C 数学B 数学A 表. 1999年度と2008年度の学習指導要領における確率・統計関係単元 1999年度改訂 学習指導要領 ()確率分布と統計的な推測 ア 確率分布 (ア)確率変数と確率分布 (イ)二項分布 イ 正規分布 ウ 統計的な推測 (ア)母集団と標本 (イ)統計的な推測の考え ()場合の数と確率 ア 場合の数 (ア)数え上げの原則 (イ)順列・組合せ イ 確率 (ア)確率とその基本的な法則 (イ)独立な試行と確率 (ウ)条件付き確率 ()データの分析 ア データの散らばり イ データの相関 数学B 数学A 数学Ⅰ 2008年度改訂 学習指導要領

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出題範囲は、「数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学B※、数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Aは全範囲から出題 する。※数学Bは「数列」「ベクトル」から出題する」となっており、新課程の数学Bに含まれ る「確率分布と統計的な推測」は範囲に含まれていない。 以上のことから大学の初年次教育における統計学の内容についても2015年度の新入生から新た な対応が求められることがわかる。つまり、私立文系の新入生ではほぼ全員が数学Ⅰを学んでい ることから、これまで初年次教育の統計学講義において時間が割かれてきた分散、標準偏差、四 分位点、四分位偏差、相関係数などを既習であることから、具体的な計算や作図などの知識を前 提に、それの理論的考察やどのように分析し解釈するのかといったことにより多くのウエイトを かけることができる。また、高校の範囲を超えている外れ値を伴う箱ひげ図や散らばりの理解に ついても四分位点と標準偏差の類似点や相違点についても触れることができ、より専門的な分析 に言及することが可能となる。ただし、実際の講義の際には本学の場合、現役合格者の割合を考 慮すると、旧課程履修者にも一定の配慮が求められよう。 2. 本プロジェクトのコンセプト 課題の設定 2014年度の各プロジェクトメンバーが関わる学部の初年次統計関係科目の名称、授業目的、単 位数、履修登録者を一覧表にまとめたものが表 である。これをもとにメンバー間で議論したと ころ、共通認識と具体的な課題として以下のものがあげられた。 ①文系統計学の共通教材を開発することで、統計学に対する学生の理解を深めるとの認識を共有 した。 ②データに基づいて分析を行ういわゆる evidence based な社会科学では統計学が必須であり、 その知識が上級回生に配置されている専門分野での研究に欠かせないことから、基礎を反復的 な自主学習によって理解を深める事が重要となる。しかし、本学の場合にはクラス規模の問題 から十分に対応できていない現状があるのも事実である。この点を教育工学的に解決するため に、まず共通教材を開発し、その教育効果を測定するために本学に導入されている LMS の LUNA を用いることができるかを検討したい。 ③文系学部で統計学を担当している教員が実際に用いている教材を用いて単元ごとに整理し、 LUNA で利用可能な形式に変換した練習問題を実際に各教員がオンライン教材として公開す ることで、各学生の到達度を可視化する。これによって文系学部の多数の学生に対して上記の 目的を達成することが本共同研究の特色となろう。 ④これまでも各教員が教材の電子化や電子配信などを通じて個別努力はしてきているが、学部間 での協力を十分行うには至っていない。本共同研究では、共通部分についてスケールメリット を活かすことで効率的に教材を作成し、学生の理解度を深めようとしており、そこに必要性が 見いだせる。 これらの目標を実現するために、何が必要かを関係教員と協議した結果、以下のことが明らか となった。 ①表 にあるように統計学の基礎的な科目では共通する内容が多くかつ受講者が多い。カッコ内

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は2014年度の受講者数。 社会学部 基礎統計学(63名) 基礎統計学(59名) 経済学部 経済学のための統計学入門A(クラス。834名) B(クラス。701名) 商学部 統計学基礎(239名)統計学基礎(380名) 総合政策学部 統計学Ⅰ(571名) 統計学Ⅱ(79名) ②各教員は定期試験以外に適宜復習、確認テストなどを行っている ③答案整理、転記などにかなりの手間をとられている 先のような状況を考えると、本プロジェクトのコンセプトとして次のようなものを考えること ができる。 )高校時代に旧課程を学んだ学生に対してレメディアル教育を行う 63 履修登録者 2 社会調査によって得られたデータを分析するために必要となる統計手 法について、その原理と利用方法を修得することが本講義の目的であ る。基本的な統計量(一変量の記述、二変量間の関係)、確率論の基 礎(確率と分布)、推測統計(推定と検定)を中心に概説する。 社会学部 基礎統計学  科目名 授業目的 単位数 学部名 表.文系学部の初年次統計関係科目(2014年度) 統計学基礎  571 2 調査等によって得られたデータを要約し、記述するための基礎的な統 計学的知識ならびに統計的検定や推定の考え方を習得することを目的 とする。講義では、各回それぞれで具体的なテーマを設定し、統計学 が実際にどのように使われているのかを示すことによって、統計学が より身近に感じられるよう工夫する。 統計学Ⅰ 総合政策 学部 79 2 調査等によって得られたデータを要約し、記述するための基礎的な統 計学的知識ならびに統計的検定や推定の考え方を習得することを目的 とする。講義では、各回それぞれで具体的なテーマを設定し、統計学 が実際にどのように使われているのかを示すことによって、統計学が より身近に感じられるよう工夫する。 統計学Ⅱ 調査や実験から得られるデータを、いかに見やすい形にまとめるか。 まとめられた情報からいかに結論を導くか。導かれた結論はどれくら い信頼でき、そしてどんな限界があるか。これらが統計学のテーマで あり、経済学をはじめ実証研究する領域で、必要不可欠の知的技術で す。本講義では主として、大量のデータの代表値、標準偏差、分布、 変数の相関など、データの整理の仕方と、それらから何を読みとる かを修得していきます。 経済学のための 統計学入門A 経済学部 701 2 統計学は、経済学をはじめ実証研究に携わる領域で、必要不可欠の知 的技術です。経済学のための統計学入門Aにひき続いて、本講義で は、母集団と標本、確率分布と標本分布といった推測統計学の基礎的 な概念を説明しつつ、さまざまな具体例を通して、点推定、区間推定、 仮説検定といった基本的な統計分析の手法と推論の仕方を身につけて いきます。 経済学のための 統計学入門B 239 4 現在、様々な分野においてデータ解析の重要性は重視されている。こ の講義では、 こういった流れを受け商学に関連する分野における データを数値的に要約したり、グラフを用いて可視化すること(記述 統計)や、データが得られたもとの集団(母集団)の特性値(母数) について統計的に推測すること(推測統計)を学ぶ。 統計学基礎  商学部 380 4 データをして語らしめる、データで人を説得する。この態度と考え方 を学びます。 59 2 本講義は、社会調査によって得られたデータを分析するために必要な 統計手法の基礎を学ぶことを目的としている。平均・分散・標準偏差 といった基礎統計量から、統計的仮説検定まで学んでいく。必要に応 じて、電卓や統計ソフトを利用した演習もおこなう。 基礎統計学  834 2

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)新課程を学んだ学生に対して計算を反復して行うことで知識を定着させる )それを踏まえて、理論的に導出される式の意味を理解させる )実際に公表されるデータを用いることで、得られた結果を分析し考察できるようになるため の基礎的素養を涵養する 3. 実現のための方法 3. 1 LUNA の利用について これらの状況を踏まえ、LUNA の導入業者である SCSK 社に以下の調査を依頼した。 )LUNA でテストを行うための作問一括作成の可能性 )その際に図、表、数式などのはめ込み可能性

その結果、作問の方法としては LUNA 独自形式のものと SCORM(Sharable Content Object Reference Model(共有可能なコンテンツオブジェクト参照モデル))形式のものがあり、前者の 場合には図、表、数式などをはめ込むことは直接は技術的に難しいものの、段階の手順を踏む と可能であり、それはツールを作成することによって簡便化されるとの結果を得た。 この結果を受けて、各教員から問題を募り実際に LUNA 独自形式のものを業者に作成依頼し、 その使用感がどのようなものであるかを検討したところおおむね良好な感触であったことから、 ツールの開発を依頼した。その要件は以下の通り。 • LUNA 上で作成されたテストに図、表、数式を差し込むことができること。 • 現行の LUNA 上で動くこと。 • windows で作動すること。 それを受けて SCSK 社からは開発言語を Java(1.7.45)とし、テキストファイルによる問題 作成時に、画像を差し込むところにマーキング6を行い、ツール実行の際に画像に差し替えると いう仕様が提案され、それを採用した。 2015年月に「テスト登録ツール」として一式を受け取り、若干の修正ののち当初の要件を満 たしているものと判断し、検収した。 3. 2 実行に必要な各ステップについて 本ツールは図にあるように次の段階を経る。 ステップ0.ファイルのデスクトップへの複写と解凍および JAVA のインストール ステップ.図、表、数式の jpg 形式のファイルを作成 ステップ.LUNA 上で作問 (ステップʼ.PC 上のエディタで作問し、LUNA の問題作成画面にペースト) ステップ.ステップ.の問題文を zip 形式に圧縮してローカルに転送 ステップ.ここで開発するツールを実行(LUNATestTool.bat)。 ステップ .新たに作成されたローカルのファイルを LUNA に転送(インポート) ステップ.公開

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3. 3 フィールドテスト 担当教員で納品された「テスト登録ツール」を試行した。その結果、以下のことが分かった。 • 手順に従うと、下記のような困難は見られるものの、図、表、数式が入った問題を作成するこ とができた。 • この作業を行うには JAVA をインストールする必要があるが、その際に設定によっては望ん でいないソフトや検索エンジンがインストールされる場合があった。 • 上記のステップについては、これまでに作成した資料から図、表、数式などを切り出し、系 統的なファイル名を付けて jpg 形式のファイルで保存することに、予想外に手間がかかった。 • 上記のステップ〜 のプロセスが、サーバへの作り込みが環境的、予算的に難しかったこと もあり、ファイルの転送やローカルでの変換作業を伴うことから、処理が面倒である。 3. 4 具体的な手順 以下では、当時の LUNA のバージョン7に従って、具体的な手順を述べる。 0)環境整備とファイル準備 業者より納品されたファイル(LUNATestTool.zip)をデスクトップに複写し、使用言語であ る JAVA をインストール(未実装の場合) 0. 1)ファイルの展開 LUNATestTool.zip を解凍し、デスクトップにディ レクトリ LUNATestTool 以下にファイルを展開し、 その中にある install.bat を実行する。これによって ¥LUNA 以下に図のようなディレクトリが作成さ れてファイルが配置される。 ステップ .ファイルの複写と JAVA のインストール ステップ .図、表、数式を作成し、jpg ファイルで保存 ステップ .作問ファイルを転送(LUNA 機能ではエクスポート) ステップ .PC 上でタグ部分を画像に変換  (㼖㼍㼢㼍㻙㼖㼍㼞㻌㻸㼡㼚㼍㼀㼑㼟㼠㼀㼛㼛㼘㻚㼖㼍㼞) ステップ ´.エディタで作問し、「質問作成」画面にコピー  (数式部分は 㻹㻭㻾㻷㻵㻺㻳㼋㼀㻭㻳(初期値は 㻬㼄㻬)で挟む) ステップ .「質問作成」画面で作問 ステップ .変換後のファイルを転送  (LUNA 機能ではインポート) ステップ .公開 図 作業の流れ 図 ファイルの展開

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デフォルトではこの中の data ディレクトリで処理を行うが、properties ディレクトリにある bb-test-tool. Properties にある DEFAULT_DIR = C : /LUNA/data を変更することで任意のディ レクトリを利用できる。

0. 2)JAVA のインストールと path の設定

あ ら か じ め JAVA を イ ン ス ト ー ル し、path を 通 し た 後 で デ ス ク ト ッ プ に 作 成 さ れ た LUNATestTool.bat を実行してもよいし、下記のように明示的に位置を示してもよい。

C : javaの保存path \java.exe -jar C : \LUNA\LUNATestTool.jar @pause

1)図、表、式の作成

事前にこれらのファイルを作成し、jpg 形式にしたものを図にあるように c : ¥LUNA¥data に保存する。

たとえばフリー数式作成ソフトである mathmagic lite8で数式を作成し、 File → Save as で c : ¥LUNA¥data に保存してもよい。 2. 1) LUNA 上で問題文の作成準備 図にあるように、統計学共通科目として今回は問題文を作成する。そのために、図 にある ように「教材・課題・テスト」タブから「テスト・レポート等の作成」タブから「テスト」を選 択する。そこで展開される図において「テストの作成」を選び、さらに「テストの追加」をク リックする。これで問題作成を行うことができる。 2. 2) 実際の作問手続き 問題を実際に作成するために、テストの情報として名前の設定(図)を行った後で図にあ るように「質問の作成」を行う。ここでは「多肢選択」型の問題を選んだ。 実際に問題を書き込んだものが図であり、これは直接書き込むことも、あらかじめローカル でエディタ等を用いて作成したものをペーストすることも可能である。終了するには「送信」を クリックする。 無事に作成を完了すると、図10のように「成功:質問が作成されました」というメッセージが 表示される。なお、図11にあるように作問したものを「教材・課題・テスト」フォルダに転送す る必要がある。 図 図・表・数式の作成

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図 作問の手続き 図 作問の手続き

図 作問の手続き

図 問題の名前 図 問題入力画面

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3)ファイルをローカルに転送(エクスポート) 作成した問題をローカル(パソコン)に転送する。そのために問題を選択し、その中にある「エ クスポート」をクリックする(図12)。 4)加工 転送したファイルを c : ¥LUNA¥data に複写し、デスクトップの LUNATestTool.bat(内容 は下記)を実行。

java -jar C : \LUNA\LUNATestTool.jar @pause

これによって、Test_ExportFile_Test-20140707_平均偏差乗和.zip を元にして、図を差し込

図10 作問成功のメッセージ

図11 問題文を PC に転送(エクスポート)その

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んだ Test_ExportFile_Test-20140707_平均偏差乗和_new.zip が作成される。なお変換元の ファイルはユーザが指定できず、システムが最初に見つけた zip ファイルをターゲットにするの で、不要なものは適宜ほかの場所に移しておく方が望ましい。この処理によって @X@9で囲ま れた文字列に “.jpg” を付加したファイル名のファイルをその文字列と置き換える。つまり、 @X@eq011@X@ は eq011.jpg に置換され、さらにその名前の画像ファイルがそこにはめ込まれ る。そしてそのファイルは本体名に “*_new” が付加され、拡張子を “.zip” とするファイルが生 成される(すでに同じ名前のものがあるとオーバーライトされる)。 5)ローカルのファイルを LUNA に転送(インポート) 先に変換した結果作成されたファイル(ファイル名の本体名に _new が付加されたもの)を 図13にあるように、LUNA へ転送する。図14にあるようにこのようにテストをインポートでき るのは、SCORM 形式ではなく、LUNA 形式のものだけであり、パソコンに保存してあるディ レクトリを選択し、ファイルを選ぶことで、転送できる(図15)。ファイル名を確定すると図16 にあるように「送信」をクリックする。 無事に転送が完了すると図17にあるように編集できる状態となり、具体的には図18のように、 数式が適切に表示される。 図13 問題文を PC から転送 (インポート)その 図14 問題文を PC から転送(インポート)その 図15 問題文を PC から転送 (インポート)その 図16 問題文を PC から転送(インポート)その

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6)公開 このように作成したテストを実際に用いるには公開の手続きが必要であり、それは、図19にあ るように「教材・課題・テスト」からテストを選択し、作成したテスト(平均偏差二乗和)を選 択し(図20)、図21にあるように利用可能にする必要がある。 図17 インポートしたファイルの表示その 図18 インポートしたファイルの表示その 図19 問題文の公開その 図20 問題文の公開その 図21 問題文の公開その

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4. 今後の課題について 上記の問題点のうち、ステップ3,4に関するものについては、ユーザインタフェースにかかわ るものであることから、ユーザ層を広めるためには重要な点であると考えられる。 解決策としては、大きくつ考えられる。つ目はステップについての作業を作問者が行 なって本文中のどこにどの図、表、数式を入れるかといったを指示した後に、これらの手順につ いて十分にトレーニングされたスタッフ(SA、TA など)が適切な個所へのマーキングを含め た作業ができるような仕組みを構築することである。もちろん間接的とはいえ成績にかかわる作 業となる可能性が高いことから、事前に倫理的なトレーニングも必須であろう。 つ目の解決策として、教員がより簡単に直接加工する方法である。つまり Microsoft 社の製 品で実装されている OLE(Object Linking and Embedding)や ActiveX などのようにオブジェ クトをダイレクトに埋め込むための機能をツールの中に持つことができれば、作問者が直感的に 操作できるようになると考えられる。もちろん、開発経費などクリアーすべき点も多いが、これ が実現できれば作業時間を短縮するとともに作問のプロセスも容易に理解できるようになろう。 つまりこのようなオブジェクトの埋め込み機能を設計・実装することが改善の一つの方向であろ う。しかしながら、製品に作り込みをすることはそれだけバージョンアップの際に引き継がれな い可能性が高まるので、継続性などを考えるとき予算面時間面からおのずと限界があることに留 意しなければならない。 ただ、いずれの方法のどちらかを用いることができれば、この LUNA によるテスト作成の敷 居が下がると想像できることから、文字だけの作問という従来のテストに比べて、より深く学生 たちは学ぶことができると期待できる。 注

1 http: //www. mext. go. jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/ 1304427_001.pdf

2 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1320230.htm 327行目から 3 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1320230.htm 406行目から

4 http: //www. mext. go. jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/ 1304427_002.pdf 38ページ

5 http: //www. mext. go. jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/ 1304427_002.pdf 43ページ

6 「@X@」をタグとしこれで挟まれた文字列に「.jpg」を付加したものを画像ファイルとする 7 BlackBoard 社製 BlackBoard Learn Release9.1 SP12

8 http://www.mathmagic.com/product/lite.html にある 9 すべて半角文字、X は大文字。

図 作問の手続き 図 作問の手続き

参照

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