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低学年児童の算数学力に関する一研究

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(1)Title. 低学年児童の算数学力に関する一研究. Author(s). 大黒, 静治. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 28(1): 65-76. Issue Date. 1977-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4733. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. 低学年児童の算数学力に関する一研究 大. 黒. は. じ. 静. め. 治. に. 教科の内容が難かしくなっ て, 授業についていけない子 どもが増えている, という声が高まり出. ) しか しそ れに も か か わ ら ず ノ ・o 中 学 生 の 学 力 の して か ら もう す でに か な り の 年 月 が 経 っ て い る1 ,i 。. 実態をしらべ, 授業についていけない子が実際に どのくらいいるのかを調査した研究は, 最近まで あまり見られなかったよう である (校内で行なわれた学力テストなどの結果が時折報道されること 97 5年から76年にかけて 「教育課程改善のた はあっ たが) . 日本教職員組合と国民教育研究所は, 1 2 } めの学力実態調査」 を行ない, 国語と算数の学力について, 主として小学5年生と中学1年を対象 に 学 力 の 実 態 調 査 を 行 な っ て い る. い わ ゆ る 落ちこぼれ″ が問題になっ て以来, 本格的な学力の j 975年11月から12月にかけて,′ ・学6 実態調査はこれが初めてであろう。 また国立教育研究所も1 年, 中学3年, 高校2年を対象に, 国語, 算数・数学, 社会, 理科, 英語の5教科について学力調 ) 査 を 行 な っ て い る3 .. 筆者はこれらの調 査と同じころ, 札幌市内の小学2, 3年生を対象に算数の学力調 査を行なった 75年6 ので, ここにその結果を報告することに する。 調査は2度に分けて行なわれ, 第1調査は19. 月に, 小学3年生を対象に2年生の教授内容をどの程度マスターしているのかを見る目的で行なわ 2月, 2年生を対象に加減算に問題をしぼっ て, 主として誤答を分析する目 れた. 第2調査は同年1 的で行なわれた. ただし両調査とも, 対象数も少なく, また厳密なサン プリン グにより対象を選 定 したわけではない. したがっ て, ここ で得られた数値自体をそのまま札幌市の小学生の学力として 一般化することには問題があるが, おおよその見当はつけうると思われるし, また どの教材が難か しく, 子 どもはどのような間違い方をするかなどについての傾向はつかめるものと思われる。 1. 第1調査の方法. 1) 調査対象 26名(男子11 08名) を択んだ。 8名, 女子1 札幌市内の小学校6校から3年生1クラスずつ, 計2 札幌市7区の各区から1校ずっという基準で択ぶ予定 であったが, 都合で6校になっ た. また対象. 2年から75年にかけて開校した新しい学校である, 97 数は4校までが新興住宅地にあり, 1 2) テストの実施方法と実施時期 テストの実施は各担任教師に依頼した. テスト時間は, 用紙の配布, 説明な どを除いて 正味40分 97 5年6月下旬 である。 とっ てもらっ た. 実施時期は1 3) テスト問題. 学力の実態を正しく把握するためには, まずテスト問題が適切 でなければならない. そこで筆者 は, 本学付属札幌小学校で算数教育を専門としている2人の教諭に協力を願い, 3人で2年生の学 65.

(3) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する-研究. 習内容を検討しテストすべき評価目標を決定した. その上で両教諭に具体的なテスト問題を作成し てもらっ た. 問題は札幌市内 で使われている教科書 「改訂標準算数」(教育出版社刊, 以下教科書と. いうときはこれを指すものとする) 2年上下に準拠して作られ, 教科書の内容を習得しているか ど. うかを見るもの である.. 2年の学習内容は, ①数概念, ②加減, ③乗法, ④長さ・かさの概念と測定, ⑤時間の概念, ⑥ 位置や平面図形の概念, ⑦式の読み書き, ⑧簡単な表や グラフの読み書き, の8項目からなるが, 限られた時間では全部をテ ストすることは できないので, より基礎的な事項で今習得されていなけ れば後々困ると思われるものを主としてとり上げた. その結果, 以下のような目標が達成されてい. るか どうかを見ることにした (以下の 〔 〕 内はテストの問題番号である. テストの全問題は第1. 表にのせてある) . 1. 数概念. 1)4桁の数を書き表わせる 〔1〕 .. 何千何百何十と云われた数を数字 で書くことができるか. どうかを見る. ただし数は聴覚的にのみ与えられるわけ ではなく, カタカナでも印刷されている. 2) 4桁の数のしく みがわかる 〔2〕 千, 百, 十, 一, 各位の数の和として4桁の数を理解 . し, 数字に書き表わせるかどうかをみる. 3) 4桁の数の大小がわかる 〔3〕 不等号は使わない. . 4) 3桁の数の数系列を完成できる 〔4〕 .. 数直線の上で空欄を埋める問題と, ある数より5. 多い 数 は いく つ か, な どの 問 題.. 1 1. 計算力 1) 加減の計算 (タテ書き筆算) ができる. a. 1回くり上がりの2桁数十2桁数 〔5〕 b. 2回くり上がりの2桁数十2桁数 〔6〕 C. 1回くり下がりの2桁数-2桁数 〔7〕. d. 2回くり下がりの3桁数-2桁数 〔8〕 2) 逆操作の計算 (□の中の数を求める計算) ができる.. 加算 〔11 〕 〕 の形に , 又は減算 〔12. なっ ているが, その逆の演算をして答を出す問題 である. ただしその計算過程を書くことは要求 さ れ て い な い.. 3) 九九ができる 〔15 〕 . l n. 式表示. 各段3題ずつ計27題. 1) 加減の文章題をとげる 〔9〕〔 10 〕 .. 正しく式を立てることができるかどうかを見るもの. で, 計 算 の 誤 り は 問 題 に し な い.. 2) 2つの数, 又は式の, 大小関係を等号, 不等号 で表すことができる 〔 13 〕 . 3) 文 で表した内容を不等号を用いた式に書ける・ 〔14 〕 の①, ②.. 4) 不等号の条件にあてはまる数を指摘 できる 〔1 4 〕 の③. W, 測定と単位 1) 物指の上で一定の長さを指示できる 〔 16 〕 .. 2) mm と cm, cm と m の 相 互 換 算 が でき る 〔17〕.. 以上17課題は問題 〔1 5 〕 を除き, 各3つの小間からなっ ている (mの3) , 4) は合わせて1つ. の 課 題 と し て し ま っ た が, こ れは 別 に す べ き だ っ た) .. 66.

(4) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する-研究 第1表. 第1調査の問題と誤答率. 算 数 学力テ ス ト 年 なまえ. 組. 〔7〕 つ ぎの け いさ ん を しなさ い ⑦ (8. 4%) ⑧ (1 2 4%) ⑨ (11 . .6%). 番. ちゅ う い こ のテ ス トは こ れま で算 数 で勉 強 して き たこ とを,. どのく らい し っ かり お ぼえ て いる かを しら べ るた め の. 95. 70. 33. - -17. -59. -24. 〔8〕 ⑬ (29. 6%) 335. も の です. む ずか しいもん だ いは あり ませ ん. お ちつ. - 37. い て しっ か り や り なさ い. テ ス ト用 紙 は 4 まいありま. す,. ①. ②. ロ クセン ナ ナ ジュ ウノ・チ ( )(1 8 .6%) ハ ッ セ ン ジュ ウ ( )(1 3. 3%). 231. - 64. (. ②. )(33 2%) .. 10が307こ と あと2 (. (7056 , (4404 ,. 6327). 6507). しき (. 4044). ③. (11.1%). ② 29 9より2小さいかず [::コ (1 1.1%) ③ 30 8%) 5より5ノ J ・さいかず [::コ (9 .. 45. 十39. 十27. 十19. 〔6〕 つ ぎのけ いさ ん を しなさ い 4. 2%) ④ (1 2 6. 9%) ⑤ (1 .0%) ⑥ (1 65. 78. 59. 十88. 十43. 十72. .. (. (1 0.2%) . けいさん. こたえ. 1 〔 0 〕 つ ぎの も ん だ いを しなさ い ①. 〔5〕 つ ぎの け いさ ん を しなさ い ① (6, 2%) ② (8 6%) 0%) ③ (7 . . 66. i 1. は こ に はい っ た い ち ごを もらい ま した, お と な. しき. 早 にコ平. 26. …けいさん. l 1. ち ごは何 こ あり ま した か. (3,6%). 2 82 I 9 Fコ3 9 Q 9. …. りへ48こ あ げ, のこ り が75こ も あ り ま した, い. 〔4〕 「÷: :コ にあうかずをかきなさい ① [:コ にすうじをかいてかずのせんをつくり なさ い. (1 0. 2%) ). こた え. (4.9%). (7.1%). 三. な わと びを して, は る みさ ん が25か いと びま し た. き よ しさ んは, はる みさ ん よ り18か いお おく と びま した. き よ しさ ん は何 かい と びま したか. )(59.7%). 〔3〕 お お き い ほう に ○をつ け なさ い ①②③ (6345 ,. ). …けいさん. ;. こた え. 千 のく らい が7百 のく ら い と 十 のく ら いが0 一. のくらいが3のかず ( ③. ⑫ (30.1%). た か しさ んのく みは, お とこ が21人, お ん な が. ぜんぶで何人ですか しき (1 .8%). )(9 3%) .. ) に か き なさ い 〔2〕 いく つ です か ( ① 1000が6こと5 )(1 2 0 0( 8%) . ②. - 83. 18人 です.. センロ ッ ピャ クナナ ジ ュ ウ ハ チ. ( ③. 152. 〔9〕 つ ぎの もん だいを しなさ い. 〔1〕 次 の数 を しっ か り聞 い てか き なさ い ①. ⑪ (2 3. 0%). あ め が20こ あり ま した. お とう とに11こ や り ま した, の こり は何 こ です か き o% (4.0 しき o) … 、 … … 三 ( ) こたえ. ②. 赤 い る がみ が67ま い, 青 い る がみ が79ま い あり ます 青 いる がみは何 ま いお お い でし ょ う か.. しき. (. こたえ. (1 9. 9%). ). Eけいさん ね、さん !. 1 1. 三. 67.

(5) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究 円 円 ち よう 〔1 5 〕 つ ぎの かけ ざん を しなさ い はる こさ んは, き ょ う55円 ち ょ 金を しま した. 4 ▲ なり ① 5× 1 ② 5× 2 ち ょ 金 は ぜ ん ぶ で64円 に なり ま した. は る こ さ キで 小 くら ん の ちょ 金は い ま ま でいく ら あ っ た の でしょう (5の段 1 .3%) ー - -‐ ④ 2×2 ⑤ 2× 7 ーし か --- ーhー ー- …: さ” 淳二さえ 「 ;;: (53%). ③. き 享. ( 2 6 ‐¥) …. ;- , ;!. こ たえ. 1. ⑦ ⑩. . 〔1 1 〕 [コ のかずをもとめなさい ① 〔コ に8をたすと4 1です ② [コ +5 ;34 ③7十 [コ ニ67. (19.5%). ⑬. (1 2. 8%). ⑯. 〔1 2 〕 [コ のかずをもとめなさい ① [コ から4をひくと1 5です ② [ゴ ー7=27 ③56- [コ ニ5. (1 4 .2%) (21 2%) . (2 3.5%). 1 〔 3〕 (. (14.6%). ⑲. ① (36ー ヒ÷÷「 58) ② (237ヒ二:コ 235) ③ (27[::コ22十5). (2.7%) (1.3%). (6.6%). 〔 1 4 〕 >, <, = をつ か っ て しき をか き なさ い ① 32は34よ り 小さ い しき (. 6×1 7×2 8×1 9×4 1 ×7. 3× 3. (1 2. 0%). ⑪. 4×2. (1 6. 0%). ⑭ 、⑰. 6× 5. (7. 1%) 7×8. (21. 4%). ⑳. 8× 7. (1 3. 8%). ⑳ ⑳. 9 ×6. (7 .1%) 1× 4. 5×9. ⑥. 2× 8. ⑨. 3×8. ⑫. 4×7. ⑯. 6×9. ⑱. 7×4. ⑩. 8×8. ⑭. 9× 5. ⑰. 1×1. (0. 4%) 〔1 6 〕 え を み てこ た え なさ い ⑦ ④ ◎ ①. ⑦. 国轟 l i I H i l I H 吏 - l ・ ” - - - ; … - - - m f p l w p - - - ー u 一. ⑩ ◎ ⑦. ① lcm は⑦ )からどこまでですか (. ). ). (24.0%). ②locm は⑦ から どこま で です か. ). (13.3%). ③locm は④ か ら どこま で です か. ② 44は40よ り 大 き い ③ あ ては ま るカ ー ドに ○ をつ け なさ い. 7〉 □. ⑳. 4×1. ⑧. )のかずをくらべ 「rコ に>, <, =. の しる しを か き なさ い. しき (. ⑳. 3×4. .. ③. Gロ ヒロ Cロ. 回 国 国. 回 回 国. (26. 7%). (. ). (10.2%) (14.7%). ). (20.9%). 〔1 〕 [ニコ にあうかずをかきなさい 7 ①1cm= [:コ mm ②4omm= [:コ cm ③ 325cm= [:コ mと [ ニニコ cm. (1 0 7%) . (20 5%) .. (. (10.7%). 2. 第1調査の結果 1) 各小間ごとの誤答率と誤答の内容 各小間 ごとの誤答率は第1表の中に ( ) で示してある. 採点‘ こあたっ ては明らかに誤記と思わ れるものは誤答としないなど, できるだけ善意に解釈するようにした. ここ で問題 〔2〕 の③の誤 答率が59.7%とと びぬけて高いが, この問題は教科書よりやや程度が高かっ たように思われたの. で, 以 後 の 処 理に お い て は 除く こ と に した (教 科 書 では, 「100 ま い ず つ た ばに し た ふ う と う が, 32. たばあります. みんなで何まい でしよう」 という問題がこれに最も近い) . この問題を除いて, 誤答. 率 20% 以 上 の 小 間 は 56 間 中 12 問,10~20% の も の は 25 問,10% 以 下 の も の は 19 問 と な っ て い る.. 問題はいずれも教科書にあるようなものばかり で, とくに高度な問題は出していないし, また2年 生の教材 であるということを考えると, 9 0%以上のものができていることが望ましいが, それは全. 問の巧にすぎない. 逆に誤答率が20%以上, つまり5人に1人は できない問題が22 .8%もあること 68.

(6) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. になる. 3年, 4年と学年がすすむに つれてこの数が累積されていくことを考えると, この程度の 誤答率 でも決して看過してよいもの ではないだろう。 なお時間が足りなく て 一部に手をつけられな かっ たということはなかっ たよう である(17課題のうちどれか1課題に でも手をつけていなかった. のは2 26名 中4名 だけである.うち1名はとばしたまま忘れたら しく,他の3名は同じクラス であっ たからそのクラス では実施時間が少々短かかっ たのかもしれな い) . 次に誤答率の比較的高かった問題に ついて誤答の内容をみてみよう (誤答の内容分析は6校中3 校の児童1 14名について行なっ た) . 〔1〕 4桁の数を書く問題. これはききとっ た数を数字で書く だけであり, テストする必要もな いくらいに考えていたが意外に悪かった.とくに②番(答6078 )は誤答が1 8,6%にもなっ ている. 誤 答 では 〈6778 , 6708 , 8018〉 な ど数 字 の 一 部 誤 り が 22名 中 8名, 〈600078 , 678〉 な ど記 数 法 の. まちがいが7名, その他が7名となっ ている. 記数法のまちがいが比較的少ないのであまり重大 視する必要はない が, 意外な結果であっ た.. 〔2〕 4桁の数のしく み. これも全く初歩的な問題と思われたのに成績が悪い. とくに②番は誤. 答 率 が 33% で, ③ を 除く 全 間 中 最 も 高 い. こ こ でも く7013 , 7103 , 7001 , 7000> な ど一 部 の 数 字. 違いが41名中29名と大半を占めている。 したがっ て問題 〔1〕 もそう であるが もっ と落着い , てやればできたのであろうものもかなりいるの ではないかと思われる。 多量の問題を前にして緊 張したり, 先を急ぎす ぎたのかもしれない。. 〔8〕2回くり下がりの減算. これの誤答では, 借りられた1を引かな いで計算しているものが,. 110 個 の 誤 り の う ち 48 と 最 も 多 い. 次 い で335一37=98 のよ う に 百 の 位 で残 っ た 数 を 答の ら ん , に 下 ろ し て い な い例 が 23 , 単 純 な 計 算 の 誤 り が 18 , そ の 他 と でた ら め な どが21 と な っ て い る,. 〔10 〕 減算の立式. ①は求残の問題 でこれはほとん どできている. ②は求差の問題 であるが, 小. さ い 数 を 先 に 出 し て お い た と こ ろ, 文 章 に 出 た 順 に 書 い て い る も の (67一79=12 と した も の) が. 10名いて, 誤りの半数を占めている。 残りの半数 (1 1名) は加算している. ③は始めにあっ た数 を求める問題で, これは一種の逆 思考を要する ことになり, 2年生では足すのか引くのかわらな ) 誤りはやはり足してしまっ たものが大多数 (18名) で 残り (5名) くて混乱する問題である4 . , は出た順に書いている. 出た順に書き, 実際の計算は逆にしているというのは, 加算の場合順序 に関係ないの で, 減算でも同じと考えているのであろう。 〔1 2 〕 □の中の数を求める問題 (減算型) この問題に対する誤答は次のとおり である. ② □ - 7 =27 に 対 し て, 答 20 , つ ま り 27- 7 と 計算 した も の が 25名 中 6名, 27 よ り 大 き い 数 に な っ て い る が 答 がま ち が っ て い る も の 13名, そ の 他 及 び無 答 が6 名 と な っ て い る .. ③ 56-□=5 に対しては, 答61 6十5と計算したものが32名中16名, 計算まちがい , つまり5 4名, そ の 他 及 び無 答 が 12名 と な っ て い る □ の 中 の数 を求 め る 問 題 では 十 の と き は 引 く 一 の . ,. ときは引くと機械的に憶えてしまう子も多いの で, ③のような問題 では足してしまう子が多く出. ることになり, 誤答率も高い。 〔1 4 〕 不等号の問題. ① 「32 は 34 よ り 小 さ い」 を, 34>32 と 書 い た も の 8名, 32>34 と した も の 8名 そ の 他 7名 と , な っ て い る。 ② 「7 D □ に あ て は ま る 数」 に 対 し て, 1 つ しか ○ を つ け て い な いも の 21名 大 き い 数 を あ げ , て い る も の 7名 と な っ て い て, 範 囲 の 概 念 が でき て い な いも の が 多 い こ と が わ か る .. 〔16 〕 長さ単位の理解. 間③ (④から1 ocm のところを記号 で答える) に対しては, ◎ (端から. 1ocm の と こ ろ, ④ か ら は 9 cm) と答えたものが6名 ④から l cm の と こ ろ 及 び2 cm の と , , 69.

(7) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究 こ ろ を 指 し た も の が そ れ ぞれ 5名, そ の 他 9名 と な っ て い る. 同 じ 1ocm でも 端 か ら どこ ま でか. を答えさせる問②にくらべて成績が悪い. ◎ と答えた子どもは, そこに特別な印がついているの で, そ こ が 1ocm の と こ ろ と 固 定 して 考 え て い る の であ ろ う.. 〔1 〕 長さ単位の換算 7. 間③(325cm=□mと□cm)主な誤りは国 mと国cm である(23名中14 名) mの方が小さい単位と考えているものも3名いた . . cm と mm の関係 (問①, ②) に比し, mと cm の 関 係 の わ か ら な い も の は 2 倍 に な っ て い る.. 2) 課題別達成率. 17 課 題 の 各々 に つ い て, 3 間 中 3 問 と も でき て い る も の を, そ の 課 題 の 目 標 に 到 達 し て い る も の. 「 とし, 2間正解を 「中間」 , それ以下を 未達成」 として, それぞれの人数比を示したのが第2表で 「 ある. ここ で 中間」 とは大体できる (あるいはわかっ ている) がまだ確実 でないもの, 及 び不完 全, つ ま り 一 部 の 型 の 問 題 が でき な い も の と い う こ と に な る が, な か に は ほ と ん ど 「達 成」 と み て. よいものも若干入っ ている可能性はあろう. なお, 先にも述べたような事情で, 課題 〔2〕 のみは 「 2間中2問正解を 「達成」 5) は, 誤りが0 ま た は 1 , 1問正解を 中間」 とした. また九九 (課題1 「 のものを 「達成」 , 2~9のものを 中間」 とした. 表にみられるとおり, 〔8〕 2回くり下がりの 2 〕 文章題の立式 (減法) 減算, 〔1 〕 □の中の数を求める問題 (減算型) 〕 不等号の理解, 〔10 , 〔14. t4となっ ている. 達成率 で見ていくと, 順序は多少変るが上 5%以上でwo の4つが, 未達成率1 r s 記の4課題に 〔2〕 4桁の数のしくみ を加えた5課題が, 達成率70%以下となっ ている. とくに 2回くり下がりの減算の不成績は問題 であろう. 半面, 80%以上のものが完全解答をしている課題 は, 13 , 5, 4, 9, 3 の 5 つ に す ぎ な い. こ こ で注 目 に 値 す る こ と は, 減 法 の 方 が加 法よ り 達 成. 率が低い, つまり難かしいということである. 計算課題においてばかり でなく, 文章題や□の中の 数を求める問題においてもそう である. とくにその差は, 2回くり上がり対2回くり下がりの計算, 第2表 課題別達成・未達成の比率(%) 課. 題. 1. 4桁の数 を 書く 2. 4 桁の数の しくみ. 成. 中. 間. 未 達成. 76.5. 11,9. 11.6. 64.6. 26.5. 8.9. 3. 4桁の数の 大小 4. 3桁の数 系列. 81.4. 14.6. 4.O. 83.6. 9.7. 6.2. 5. 2桁 数の加 算 (1 回くり上がり). 88.1. 5.3. 6,2. 6, 2桁 数の加算 (2回くり 上 がり). 73.5. 16,4. 9.7. 11.5 23.O. 7. 2桁数の 減算 (1回くり下 がり). 79.6 52.7. 9. 文章題の立式 (加法). 82.8. 8. 3桁数-2桁数 (2回く り下 がり). 10, 文章 題の立式 (減法) 11. □の中の数 を求め る (加法型) 12. □の中の数 を求める (減法型) 13. 等号、 不 等号 を入れる 14. 不等号を用 いた式 を 書く 15. 九九の 計算 16. 長さ 単位の理解. 17. 長さ 単 位の 換算 全 平. 70. 達. 均. 13.7. 8.4 24.3 3.5. 69.O. 15,5. 15.5. 72,I. 16.4 19.9. 11.5. 91.I. 60.6. 7.1 23.9. 1,8 15.5. 77.4. 19.9. 75.2 74.3. 11.1 13.3. 1.8 13.8 11,5. 74.6. 15.4. 10.O. 64.2. 15.9.

(8) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. 文章題において顕著 である. この問題について今考察を加える余裕はないが, ともかく, 加法の逆 は減法というように両者は論理的には等価であっ ても, 心理的には等価 ではないのである . 終りに, 2年の算数の習得度が甚だ低いもの (授業についていけなかっ たものとみてよい) は ど れくらいいる であろうか. 別に明確な基準があるわけではないので, このテストで1 7課題の中%以. 上未達成 (未達成課題数十巧不完全達成課題数 ≧6)のものを一応これに当ると考えると, その人 3名 で全体の14 数は3 .6%になる. 溺未達成を基準とすると16名 で7.1%になる. この数字は低学 年 でも 1 割 は 授 業に つ い て い け な い 子 が い る と い う, 多く の 教 師 の 実 感 に 近 い こ こ でわ か ら な い .. ままにほう っ ておかれた子どもは, 上の学年に いっ てもおく れをとりも どすことは事実上不可能に. 近く, さらにその上に学年がすすむにつれてわからない子が増加することになる したがっ て授業 . のわからない子をなくする努力は低学年から始めることが必要 であろう こうした子どもをすくい . 上げるのは低学年のうちは比較的容易 だが, 学年が上になるに つれて困難になるから である その . ためには1課題終るごとに達成度をみるテストをし, 子 どもの誤りを分析してそれを修正する指導 が必要となる. いわゆる完全習得学習とか, 治療学習などというのはこう した学習指導をさすの で あ る。. 3. 第2 調 査 の 目 的 と 方 法. 前節の終りにふれたよう に, 児童のつまずきの箇所やつまずき方を知ることは, 指導上きわめて 有用と思われる。 そこ で第2調査では, 2年生を対象として, 加減の計算, 加減の文章題, □の中. の数の3つに課題をしぼり, ややきめ細かく出題 して誤答の分析をす ることに した 実施時期は . 1 975年1 2月下旬で,この時期には上記の3課題はす でに学習が終っ ている 対象児童は札幌市内の . 別の3校 (かりにX, Y, Zと呼ぶ) から各1クラス, 計1 08名 である. ×, Y校は古くからの住 宅地にあり, Z校は市の中心街を校区としている. テストの実施はやはり担任教師に依頼し 1時 , 限 (40分) でやっ てもらっ た。 第1調査にくらべて分量 が少ないので, 落着いてゆっくりやるよう 特に指示してもらっ た。 問題は第3表にのせてあるが, 次の3課題からなっ ている (〔 〕 は問題番号, 0は小間番号) . 1. 計算問題 〔1〕 2桁の加算. 1回くり上がり (①~③) と2回くり上がり (④~⑥). 〔2〕 2桁の減算. 1回くり下がり (①~③). 3桁-2桁. 2回くり下がり (④, ⑥は答に百の位の数が残らないが⑤は残る場合, ⑥. は被減数の一の位が0の場合) 3桁-2桁. 2段くり下がり (被減数の十の位は0, ⑦, ⑨は答に百の位の数が残らない. が⑧は残る場合, ⑨は被減数の一の位も0の場合) 1 1 . 文章題 〔3〕 加算 (うち③は逆算の問題) 〔4〕 減算 (①は求残, ②は求差, ③は逆算の問題) はり式を正しく立てれるか どうかだけをみる.. 文章題は第1調査と同一の問題 で, や. 1 1 1 . □の中の数を求める問題 〔5〕 図示, 式, 答と3段にわたっ て答えさせる問題 〔6〕 式を書き答を求めさせる問題. 〔5〕〔6〕 とも, ①は加法→減法, ②は減法→加法, ③は減法→減法の変換を要する問題 で. あ る.. 課題1 1 1で第1調査と異なり, 単に答のみを要求するの ではなく, □と他の2数との相互関係を図 71.

(9) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. 示させたり, □の中の数を求める式を書かせたりしたのは次のような考えによる. すなわちこの問 題は, 提示された式を変換して 計算することが要求される問題 であるが, 2年生の段階では形式操 作的に移項などということを教えることはもちろん できない. そこ で線図やテー プ図を用いて□の. 中の数を求める .やり方を教えるわけ であるが, これでも2年生には理解することが難かしく, とも すれば, 一の場合は足す, 十のときは引くと機械的に憶えがち である (前節参照) . また□の中の数. を求めるには, 他の2数を加えるか, 一方から他方を引くかしなければならないわけであるが, あ る程度直観的に数をあてはめてみて試行錯誤的に答を出すことも可能 であるし, 実際には上述の計. 算をしていながらそれを意識化 できないものもいると思われる. 筆者は, この問題を本当に理解し たといえるためには, □と他の2数との相互関係を把握できることと, □の中の数をどのようにし て求めるか式に書き表わせることの二つが必要であると考える (教科書 では最初線図による説明が あり 《上巻P. 23 3》 ). そ こ で , P. 25》, 後テープ図 で考え方を指導している 《上巻P. 62 ,6 第1調査のように単に答のみを求めるの ではなく, 各項間の関係を把握できるか, □の中の数の求. め方が明確になっ ているかを知るために, 第3表にみられるような形の問題にしたのである. 第3表 第2調査の問題と誤答率 さ ん すう テ ス ト. しき (. 2 ねん. くみ. ば ん. なまえ. ②. 〔1〕 つぎのけいさんをしなさい ① (5. 6%) ② (1 9%) ⑧ (5 . .6%) 49. 16. 35. 十37. 十34. 十81. ④ (6.5%) 58. 十73. ⑥ (0 .9%) 37. と びま したか.. 63. ③. 十57. 84. 70. 86. - ‐53. -79. ). しき (. こたえ. - 36. ⑦ (30.6%) 102. - 87. 328. - 79. ⑧ (55 ,6%) 403. - 36. 〔3〕 つ ぎの もん だい を しなさ い. ①. 120. - 98. ⑨ (3 0.6%) 100. - ‐ 27. た か しさ んのく みは, お とこ が21 , お ん な が 18人 です.. ぜんぶでなん人ですか 72. ⑥ (20. 4%). (8.3%). 〔4〕 つぎのもんだいをしなさい.. あ め が20こ あ り ま した. お とう とに11こ や りま. ①. ⑤ (28 .7%). (7.4%). はこ に は い っ た, い ち ごをも らい ま した. お と な り へ48こ あ げ, のこり が75こ もあり ま した. い ち ごは 何こ あ り ま した か.. -36. 134. ). こたえ. 〔2〕 つ ぎの け いさん を しな さ い. ① (1 3.0%) ② (1 2 2.0%) .0%) ③ (1. ④ (1 2.0%). (1. 9%). な わと びを して, は る みさ ん が25か い と びま し た. き よ しさ んは, は る みさ んよ り18か いお おく と びま した. き よ しさ んは, 何 か い. しき (. ⑥ (4.6%). 十64. ) こたえ. した. の こ り は何 こ です か.. しき (. ). こたえ. (4.6%). 9まい 7まい, 青のいるがみが7 ② 赤のいるがみが6 あり ま す, 青 の いる がみ は何 ま い おお い でしょ う か. しき ( こた え. ). (10.2%).

(10) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究 ③. は る こ さ んは,き ょ う55円ち ょ 金 しま した.ち ょ. 金は ぜん ぶ で64円 に なりま した. は る こ さ ん の. ち ょ 金 は, い ま ま で い く ら あ っ た の で. しき (. しょ う か.. - ( ---. +8=23. たえ こ たえ. 1. 下のずの ( ) の中に上のしきのかずや [] を い れなさ い.. (9.3%). ( }‐ 、 ‐\ メ -- 、 ノ 1 L . 、 ′、 ′ ′ ・ ′ ′ ‐ 、 ′ ( ) 、 { ト′. □. [コ をもとめるしきにかきなおして, [コ の. しき ( こたえ. (27.8%). しき (. (9.3%). (20.4%) (17.6%). ③5 6- [コ =5 しき ( こ たえ. ′、 ′ ・ ′ 、 ′ ( 〆. (23.2%). ② [ゴ ー7=27 こ たえ. 1. 下のずの ( ) の中に上のしきのかずや [コ. 、 、 {. 〔6〕. (28.7%). か ず を も とめ な さ い.. -7;18. を い れなさ い. - ( ~ ‐\ \ - メー. (27.8%). ① 5十 [コ =34. 2. □ をもとめるしきをかきなさい. 5, (1 7%) しき ( (6. 5%) こたえ. ②. ‐-、 ) ・ 、 、. 2. □ をもとめるしきをかきなさい . しき ( (41.7%). 〔5〕 つ ぎの もん だいにこ た え なさ い.. □. をい れ なさ い.. (1 3.0%). こ たえ. ①. ③3 3- [コ =8 1. 下のずの ( ) の中に上のしきのかずや [コ. (40.7%) (34.3%). 2. [] をもとめるしきをかきなさい. しき (. こ たえ. (25.0%). (16.7%). 4. 第2調査の結果 1) 小間誤答率 各小間の誤答率は第3表の ( ) 内に示されている (X, Y両校とZ校の差が大きかっ たが, 数 値は全体について示してある) . 〔1〕 の加算はよく出来ており, 文章題も 〔4〕 の③で少々誤答率 が高い他問題はない. 文章題は第1調査と同一問題である が, 減算の②, ③で前回ほど誤答が多く. はなかっ た. 一方誤 答率の きわめて高いのは, 2段くり下がりの減算 (〔2〕 の⑦~⑨) とA-□= B型の逆算 (〔5〕 及び 〔6〕 の③) であ. っ て, いずれも30%をこえるかそれに近い, ところ で問題 〔5〕〔6〕 で式の誤答率にくらべて答のそれが比較的小さいのは, こたえのらんに間違 っ た数を書 いていても, 与えられた式の□の中に正答を書いていたもの (これはかなり多く, その大部分はZ. 校である) や, 図の中に正答が書かれてあっ たもの (これは少数 である) は誤答に数えなかっ たか らである. これも誤答に入れると両者はほぼ等しく なる. 2) 誤答内容. ここで誤答の多かった減算の計算と, □の中の数を求める問題に ついて, 誤りの内容を分析して. みよう. まず減算について誤りを分類したのが第4表 である, 2回くり下がりの計算で最も多い誤 りは, 〈十位又は百位の数から貸した1を引かないで計算している〉 というもの であるが, これは常 識的に予想できる誤り である。 このような誤りを防ぐには, たとえば借りられる数が8であれば, 73.

(11) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. 第4表 減算の誤答内容 誤 2 回 く り下. り. の. 内. 容. 被減数の 十位の数 又は百位の数か ら貸 した 1 を引 いてい な い 引く数の方 が大きい時, 逆に引 いている 0 - α 二 α と した も の. 百位の数 が0にならないの に書いて いない (⑤ 番). 減加法の誤り. が. 一 部 足 し算を している. り. 全く でたらめと思われるもの その 他 操 作の仕方のつ かめ ないもの. 計. 誤 数. 84. 十 位の数 を10と して計算 している 引く数の方 が大きい時、 逆に引いている. 63. 0 -α =α と し た も の. 21. く. 百位の数 が0にならないの に書いていない (⑧ 番). 20. り. 百位の数から 2 を引 いている. 12. 2 段. 下 が り. 百位の数 から貸 した1 を引 いて いない. 減加法の誤り. %. n1 ′ ム 25,O 9 10.7 9 10.7 ー4ふ 16.7 101 11.9 3 3.6 6 7,1 12 ← 14.3. 4. 100 37.I 2,3 12,4 11.8. 6. 7.1 3.5. 8. 4.7. 無答及 び途中 で放棄 したもの. 10. 全く でたらめと 思わ れる もの. 3. 5.9 1,8. 23. 13.5. そ の 他、 操 作の仕方のつ かめない もの. 計. 170. 100. これに斜線を引きその 上に7と1を書きこむように習慣 づけることも必要であろう. 次の 〈それぞ れの位の数を比べて上の数の方が小さければ, 下から上を逆に引く〉 というやり方はちょっ と大人 には思いつかないところ である. 引き算とは常に大きい数から小さい数を引くことだという 観念が あり, それが各々の位にま で適用されているように思われる. その上前節でふれたように足し算同 様 順 序 は 関 係 な い と 思 っ て い る の であ ろう. 0 - a = a と す る 誤 り も, a - 0 と した の な ら 上 記 の. 誤りと同じであるが, この場合演算を不要と考えて (0十aと同じに考えて) ただaを答のらんに 下ろした可能性もある. 次に百の位の数を答に 書いていない誤りが多数 ある. 3桁‐2桁の場合, 百の位の数は被減数だけにあっ て下が ブランクになっ ているわけ であるが, このような場合くり下. げて残っ た百の位の数は無視しているわけ である. 問題⑤と⑧の誤答率が他より高いのはこの理由 による. 教科書の例題では 百の位が1の場合がほとん どで, これだとくり下 げてしまうと百の位は 残らなくなるため, 上記のよう な傾向が生じたのであろう. この 点指導に当たっ てとくに留意する 必要があると思われる.2段くり下がり では十の位を9とせず10として計算している誤りが最も多 い. 百の位から1借りてきて, それを一の位の計算にも十の位の 計算にも重複して使っているので ある. それよりも百の位から一の位、 十の位それぞれに 1を貸して2を引いている誤りの方が論理 的かもしれな い いずれにしても, たとえば400を390と10に分け, ま 認 のように記入するよう. 指導すればこう した誤りは防げる であろう. 以上の誤りをみて 感ぜられることは, 一 つの型の例題 でくり下がりの計算法を説明し, それがで きるようになっ たからといっ て, 必ずしもその原理が他の型の計算に も適用されるように なるとは 限らないこと である. むしろその型にのみ特有な答え方を別な型の計算にも適用してしまう 恐れが 74.

(12) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. ある. くり下がりの原理そのものは, 1回でも2回 でも, 0があるうとなかろうと, 減数と被減数 の桁数が同じであろうと違おうと, いずれも同一 であるから, 論理的には1つの型でよく理解す れ ば充分ということに なるが, それは-を聞いて十を知るのた ぐいであっ て, 一般 の子どもには期待 できない. やはりここに掲 げたような, さま ざまな型の問題について指導し練習させなければなら な いの であ る.. 次に□の中の数を求める問題について, その誤答を分類すると第5表のようになる. まず図示に 関しては, 間 ②, ③で=の右側の数を上, つま・ り全体を表すところにいれているのが目立つ. 問 ① の場合はそれでよいので, 逆にいえば間 ①の誤答率が比較的小さいのはそのせいかもしれない 問 , ③ では 33十 8 ;41 と 先 に 計 算 し て しま っ た た め に, 園を 全 体 の と こ ろ に 記 入 し た も の が 9 人 い る .. なお勝手な数を入れたものは, 問題の意味がわからなくて, 与えられた式とは無関係に任意の数を 入れたよう である.図示に3問とも正解したものは 58名 で53.7%に す ぎな い が, 2 問 でき て い る も. 3名,30. のが3 6%おり, 全く わからないものは案外少ないともいえる. しかし誤りとはしなかっ た が, □の中の数を先に計算して国というようにして図に記入している例がY校を除いて1 24もあっ た (Y校は1例 だけ) . この場合3つの数の大小関係を手掛かりにしたとも考えられるので, 和, 差 などの関係だけから式の各項をテープ図 で指摘することは, 2年生にはかなり難かしいことと思わ れる.. 式表示の方の誤りは, 問題 〔5〕 , 〔6〕 を一緒に して第5表の右側に示してある. この表は学校 別には示していないが,学校 ごとにみていくとY校とZ校と では誤りの種類が著るしく 異っ ている . Y校の場合, 減算型にすべきところを加算型にしたり, その逆 であっ たりというように, 式の立て 方の誤りがほとんどであるが, Z校の方はそれ以外の誤り, つまり答を出して式に代入している(た と え ば33一 国 8というように書く) とか, 勝手な数 で式を作っ ている (これは問 〔5〕 に多い). などの誤りが多い, ということは, Z校の児童には問題の意味 (何を要求されているか) をよく理 解できなかっ たものが相当いた ことになるう. 先にもふれたように, 与えられた式の□の中に正答. を書きながら, こたえのらんにはちがう数や;の右側の数 (=の右側すなわち答と思っ ているらし い) を書いているものが相当いた ことからも子どもたちが混乱して い た こ と が行司が わ れ る. こ の 点 第5表. 口の中の数 を求める問題の誤 答内容 式. 図示に関 して (問 題〔5〕のみ) 問. ① ②. 誤. り. の. 内. 容. □を上の ( ) に入れている 任意な数を入れている ;の 右側 の 数 を 上 に 入れて い る. 任意な数を入れている □を上の ( ) に入れている =の右側の数を上に入れている. ③. 加 算 したため の まち がい. 任意な数を入れている その他. 誤. 8. 4. 数. し. て. 加算型にしている. ①. 4 31. 答を出して式に代入している でた らめ、 又は 勝手 な 式 を 書い て いる. その他. 1ハ 1U “ / 十 ( 一 リ 31 ( d. 関. 問. 12. “. に. ②. ③. 11. 19. 答を出して式に代入している. 12. で た らめ、. 又は勝手 な 式 を 書いて い る. 13. 50. 6. 加算型にしている. 52. 答を出して式に代入している. 18. でた らめ、 又 は 勝 手 な 式 を 書 いて い る. 11. その他. 45. 6. 減算型 に してい る. その他. Q U. 9 19. 89. 8. 75.

(13) . 大黒静治:低学年児童の算数学力に関する一研究. 問題文をもう少し丁寧にすべき であっ た.. 以上の結果からみても, 口の中の数が他の2数とどういう関係にあるかを把握することは, 2年 }が述べているように 生に とっ てはかなり難かしい問題 であることがわかる.こう した問題は銀林5 , 思考の可逆性が確立してはじめてこなせるのであっ て, 2年生の発達段階ではまだ無理だ, といわな. ければならない. 3年又は4年 で扱って然るべき教材であり, 2年生に教えなければならない必然 性は何もない (教科書にある以上やらなければならないというのであれば, できるだけ学年の遅い 時期にもっ てきた方がよい. 早くに教えても労多く して功少なしである) . お. わ. り. に. は じめ に ,述 べ た よ う に, こ の 調 査, と く に 第 1 調 査 は パ イ ロ ッ ト ・ ス タ ディ 的 な も の では あ っ た. が, 2年生の算数 でどの教材が学習困難か, また子どもは どのよう な間違い方をしているかが, 一 )ということが提唱されているが 本調査 応明らかになった. 今日, 形成的評価による完全習得学習6 , の テ ス ト は 形 成 的 テ ス ト の 一 つ の ひ な 型 と な り う る も の と 考 え ら れ る. 一 つ の 単 元 が 終 る ごと に,. その単元で形成することを目指した学力を多角 的にテストする問題を作成し, 一つの細目標に対し て5題程度 でテストすれば, より確実に目 ,標到達度を知ることができよう. 目標に到達しないとこ ろ では, 子 どもがどのような考え方をしているのかを知れば, 少しの指導 で効果的に目標に到達さ. せることが できるものと思われる. その意味 で, いろいろ思いがけない子どもの考え方を見出せた の ,は一つの成果 であった. 今後他の学年の教材について同じような 分析をすることも有意義であろ う じ, また単に誤りを分析するだけ でなく, それにもとずいて治療的指導を試みることも今後の課 題 であろう.. 付記:この調査を行なうにあたっ て, 問題の作成やテストの実施などに, 本学付属札幌小学校 の佐藤昇市先生(現在札幌市立南月寒小学校) ,田中浩二先生の両教諭に大変お世話になった. ここに記して感謝の意を表します. またテストの実施を引き受けて下さった諸先生にも厚く. 御礼申上げます. . 1) 毎日の学習内容を満足に理解している子どもは半数以下であるという現場教師の声が発表されて世間に ショックを与えたのは19 71年のことである. 全国教育研究所連盟 「義務教育改善に関する意見調査」 「 976年7月 2) 日本教職員組合 教育評論」338号, 1 3) 国立教育研究所 「学習到達度と学習意識調査」197 7年, 未公刊 他に, 渡辺照男, 町田ー伸 「新潟県小・中学校における児童・生徒の計算力の実態」 新潟県立教育センター 研究報告第4号, 1976年がある.. 4) 銀林 浩 「子 どもは どこ でつ ま ずく か」. 国 土社 1975 年 第2 話 P, 24~36 .. , 5) 銀林浩 上掲書 976年 6) たとえば, 梶田叡-・植田稔 「形成的評価による完全習得学習」 明治図書, 1. 76. (本 学教 授 ・札 幌 分校).

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