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有限要素シミュレーションによる運動時のアキレス腱局所変形の推定:―スポーツ障害予防を目指して―

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Academic year: 2021

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(1)有限要素シミュレーションによる運動時のアキレス腱局所変形の推定         一スポーツ障害予防を目指して一                              教科・領域教育学専攻                          生活・健康・総合内容系コース. M09215C 久野峻幸.          【竈言】. に各被験者の最大随意収縮カ(MVC)と等しい伸長.  アキレス腱は、身体活動時に下腿三頭筋で発揮さ れた張力を踵骨に伝達し,弾性によって力学エネル. 力を長軸近位方向に加えた。Kubo et aユ(2001)に. よるひずみ一応力関係の報告値を用いて,. ギーを蓄積・解放するバネ的性質をもち,効果的・効 率的な身体運動の遂行に貢献している(刈eXander, 1977)。その一方,アキレス腱ば歩行や走行,スポー. Mooney−Riv1in係数を算出し,モデルの物性値とし て解析に使用した。計算には汎用有限要素解析ソル. ツ活動中に絶えず使用されるため、非常に負荷のか かりやすい部分であり,断裂や炎症など障害が好発. 勢解析を行い(図1右図),組織の破壊と関連の高. する。このメカニズムとしては、組織が伸張を繰り返. を基準に1O%毎に部位分けし,それぞれの平均値を. すことで,障害多発部位に組織の変形が集中し,微. 代表値として用いた。また,最大主ひずみとアキレス. 細な損傷が蓄積されるためと考えられている(Khaエ1. 臓形状との関係を見るために、アキレス臓形状の測. and Ma伍㎜i,1998;Khan et aユ.,1998;P趾gian et. 定を行い,相関解析を行った。. バー(NASTRAN with FEmap)を用い,大変形 い最大主ひずみを算出した。次に、アキレス腱の長さ. a1.,2000)。しかしながら,運動時のアキレス腱組織. の局所的な変形は,in vivo humanでの実験的な 計測が非常に困難である。先行研究では、アキレス 腱と腱膜の複合体を超音波1B−mode法を用いて測定 し,複合体全長の長さ変化により組織変形を観察して いる(Kubo,2002.2003.;Ish鉄awa,2005)。しかし、. この方法では,アキレス腱内の部位差といった局所 的な変形を観察することができない。.  近年は,コンピュータの演算能力の進歩により,航. 空機などの大規模構造物1こ対する有限要素解析の 技術が,人体の力学解析に利用され,人体組織の挙 動を有限要素法により解析することが可能になってき た。そこで,本研究では,この有限要素法を用いて,. 組織損傷と関係の強い組織変形に着目し,アキレス 腱に生じる局所的な変形の大きさと分布を算出した。. また,得られた結果と障害発生との関連について推 定した。. 図13次元シミュレーションモデル(左図),3次元シミ.          【方法】  アキレス腱断裂を経験したことのない健常な成人 男性18名(26.94±3.67ye肛s,172.5挫5.49cm, 64.67全8.41kg)を被験者とし、MRI装置(1.5T= SIGNA,GE Me砒。aユSystems)を用いて,仰臥位,. 右足の足関節角度90叩固定されたアキレス腱の横 断画像を撮像した(スライス厚3㎜,スライス面内にお ける分解能は1pke1あたりO.312x0,312㎜)。撮像さ. れた連続横断MR画像からアニュアルトレーシングし, 3次元非線形有限要素法による計算機シミュレーショ ンモデルを作製した(図1左図)。モデルにおいて,ア キレス腱の停止部を完全に固定,ヒラメ筋との移行部.   ュレーションモデルを最大随意収縮カで伸長させ   たモデル(右図).          【結果】  図2は,アキレス腱の長さを基準に10%毎に部位 分けし,それぞれの最大主ひずみの平均値を示した ものである。近位30−40%の部位で最大主ひずみが 最大値(O.012畦O.0056)を示した。近位30∼40%の. 部位では,近位O−1O%の約2.6倍,70−80%の約 3.9倍,80−90%の約23,9倍、90−100%の約142.2 倍で有意に大きかった。さらに,近位30∼40%部分1二 おいて最大主ひずみは,約O.15−2.38%と非常1こ大. 一414一.

(2) きな個人差を示した。最大主ひずみとアキレス腱の長. を示していた。これらには、アキレス腱外部腱の長さ. さとの間には正相関が観察された(図3r=O.7217. と正相関する傾向が観察された(r=O.7217)。一方,. pく0.01)。. 最小横断面積,幅の上端・下端,厚さの上端・下端や 筋力とも,相関が観察されなかった。.  したがって,一般的には,臓形状やひずみの集中 する部位は,横断面積の最小部位であるが,その詳 細な分布には腱の形状,物性値,ならびに筋力に由. 従来の測定法.  O∼10% 「昨20%. 来し,個人茎が存在すると考えられるため,個別の障. 2炉30%. 害発生予防等に関して検討を加える際には,解析に 必要な個人値を実測する必要が示唆された。. 30}40%.  アキレス健全長を基準長としてひずみを算出する 従来の方法と本研究のひずみの算出方法を比較した. 40阯50% 50∼60%. ところ,本研究での、近位20∼30%(O.0126±. 60H了O%. OO051),30−40%(00129+OO056)部位が、従来. 70∼80%. の算出する方法よりも有意に大きかった。近位. 80}90%. 20∼30%と従来の方法はp<O.05,近位30∼40%と. O∼100% 0          0.㎜         0,01         0.Oユヨ         0.02. 従来の方法とはpくO.01であった。特に,近位 30−40%部位の最大主ひずみは、従来の方法の約 1.7倍(範囲:1.26−2.18)になった。.      量大主ひずみ.  But1er et a1(1978)ば,アキレス腱のひずみが3% 図2アキレス腱外部腱の長さを基準に10%毎に部位分   けし1それぞれの平均の最大主ひずみ量と従来の   方法で測定された最大主ひずみ量。. で微細な損傷が始まると報告している。本研究1こお いては,シミュレーション計算の収束性と安定性を向 上させるため1こあまり大きな負荷を使用することがで きず、等尺性の最大筋力の伸長条件として使用した。. o.oヨ. しかし,運動の種類や強度によっては,本研究の随 意収縮カの最大値よりも大きなカがアキレス腱に負.  O.02ヨ1 位. 荷されることが予想された。. 10.02一.  本研究では,有限要素シミュレーションを用い,等. % 罰. 缶。仙1. 尺性収縮時にアキレス腱に生じるひずみ分布を解析. 審. した。その結果,運動時に大きなひずみが観測される. 部位において組織損傷の発生頻度が高いことが示さ れ、組織の微細損傷が生じると考えられている3%に 近<,運動の条件次第でこの部分にひずみの集中が. ㈹             ◆.          ◆         ◆  o.ooヨ ◆.   o           −. 生じる可能性が示唆された。.    0ユ0406080100 図3アキレス腱外部膣と近位3ト40%部分のひずみ量            アキレス6外劇鵬=一,.          【まとめ】  本研究の,アキレス腱の近位30−40%部位は,最.   との相関. 大主ひずみが最大(O.012畦O.0056)となり,先行研 究で報告されている障害多発部位と一致し.もしくは.          【考察】  本研究において、最大主ひずみは、近位30∼40%. の部位で最大となっており,その大きさは. 近接した.組織変形が近位30−40%部位において集 中し.微細な損傷が蓄積されることにより,アキレス. アキレス腱断裂が好発すると知られている部位. 腱断裂や炎症が引き起こる,ひずみ集中と組織損傷 の関連の高さが示唆されたIしかし,ひずみ分布,ア キレス臓形状,筋力は非常に個人差が大きいので,. (Jozas,1989.:Ga皿。way,1992)と一致,もしくは 近接していた。つまり,本研究によりこれまで推測の. アキレス腱組織損傷のリスクを低下させるためには,. 形状だけでなく,物性値も個人計測を行う必要があ. 域を出なかったひずみの集中を数値解析することが でき,運動時に大きなひずみが実際に観察される部 位において組織損傷の発生頻度が高いことが示され. る。. O O12畦O 0056であった。一の近位30H40%部位は,. 疫学調査によって,踵骨の停止部から上方3∼6cmに. た。.  また,この近位30−40%部位においての最大主ひ ずみは,非常に大きな個人差(範囲:0.0015∼O.0238). 一415一. (主任指導教員後藤幸弘)  (指導教員小田俊明).

(3)

参照

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