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小論文答案作成のためのスキーマ集積の方法と実際について : ICTを活用した協働的な小論文作成「小論文ノック」の一手法の提案

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Academic year: 2021

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(1)Title. 小論文答案作成のためのスキーマ集積の方法と実際について : ICTを 活用した協働的な小論文作成「小論文ノック」の一手法の提案. Author(s). 長澤, 元子. Citation. 国語論集, 18: 314-318. Issue Date. 2021-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11637. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 小論文答案作成のためのスキーマ集積の方法と実際について ―ICTを活用した協働的な小論文作成 「小論文ノック」 の一手法の提案―. 長 澤. 元 子. 考え、それをネット上で集積して、参加者全員が概念スキーマを得. で、思考時間を五分程度取るという程度の時間) を与えて、各自が. 本 論では、勤務 校の小論文の授 業と講 習で行っている、小 論文. し、昼休み後半を使って国公立大学. るという仕組みになっている。一つの問題につき 「ノック一本」 と形容. 一、はじめに の中でもっとも筆者が重要視しているテーマについて効果的に概念ス. の小論文の過去問、または自作の予. 経緯は、勤務校の生徒が小論文を. このようなことに取り組み始めた. 想問題を三〜五文ずつ解いていく。. 書くための根拠と事例で多くの時. (314). −314−. キーマ集積のための一手法について、追試ができるよう試み、その意 義についての説明を、現在わかっている範囲で試案するものである。 また、この論文について、この方法自体は前任校の函館商業高校定 変容を追うことで筆者自身も気づいた理論の部分は、現任校であ. 間を使い、制限時間内に書ききれ. 時 制 で考えたものであるが、後 付 けで講 習 中 に生 徒 たちに起きた. されて生み出されたものである。. る函館稜北高校三年生の武田光さんとの対話からブラッシュアップ. また、生徒の中には事例を思いつか. て一年目の論文指導の際に気付いた。. ないという課題があることに転勤し 二、授業の構造と設定の意図. ない生徒も多々おり、学校として早. 講習や授業では、二十〜三十分の時間を取って、複数の問題を 短時間で読む。そして、テーマ( または課題文) についての自分の意見. 急に取り組み解決すべき問題であ. 問題につき五〜十分( 課題文がある場合は、概ね五百字につき一分. を表明し、その主張についての根拠と事例を挙げる。これらを一つの. 図 1(左側が「設計図」).

(3) ると感じた。 なお、勤務校では文部科学省の 「論理コミュニケーション トータル ロジックス特別版」 ( 注1) の抜粋を小論文指導の導入教材として授 業内で活用している。この論理コミュニケーションの 「意見―根拠―事 例」 の 「設計図」 ( 図1) の部分を参加者全員で共有するという取り 組みである。 この取組が前提となり、設計図部分の構想を共有することを生 徒に講習のガイダンスとして説明すると、生徒は講習の趣旨と取組. と今年度の三年生の取組の様子である。. 近年の小論文の出題傾向としては、前川孝子氏の指摘( 注2) す. る国語教科書のモデル小論文と同様の推移をたどっているという印. 象がある。つまり、単純な 「二項対立思索型意見文」 の小論文は減. 少傾向にあり、 「探求思索型意見文」「疑問解明思索型意見文」の. 型を持った小論文が増加傾向にある。そのため、単純に筆者の意見 に賛成、または反対というもの し、それについて自分が関連づ. ではないため、まず論点整理を けて考えたことを意見として 表明し、それについての根拠と 事例を書いていくという取り組 みをする。. t e l d a P k c a l S. その際、立場が似ている意. 図 3. の具体的手法について理解でき、. を用いた。 見ごとに小見出し( 画面上では 背景が横に入っている箇所ごと が小見出しとしての役割を持っ ている) でまとめ、根拠や事例コ メント欄に書いていくという手. t e l d a P. 法を取ると、論点整理も逐次. (315). −315−. 一時間目から多くの時間を 「小論文ノック」 に当てることが できる。 根拠や事例の共有には、 、または. どちらのインターフェイスの方が 見やすいかという問題であるた め、どちらでも構わない。筆者 は生徒と話し合いの上順を追っ て見返すことが容易であるとい を使. った。図2・3がそれぞれ昨年度. う生徒の意により、. 図 2.

(4) できるので楽である。また、問いが複数ある場合は、問いごとに項目. 文を読み合う取り組むことを目指す。. 文をよりよくでき、相互貢献できることを伝えて参加者全員で論. ての授業の実際と課題意識の. 三、小論文指導の前提とし. きる。. く導入でき、どの生徒も受験や就職試験までに取り組むことがで. が、学校の実態に合わせて二年生から少しずつ取り組めば、無理な. 講習の設定時期は、試験日の二ヶ月前頃から取り組むことが多い. を分けることもできるので、問い別、観点別に論文アイデアを参照 することもできる。 生徒たちは見出しの内容をもとに自分の意見に近いものの下に、 根拠と事例をコメントとしてつけていく、図1の設計図を Padlet 上 で作成するイメージである。自分の意見を書いたら、他の生徒の意 見を参照し、活用できそうなアイデアには 「いいね」 をつけるように する。五分経ったら、それぞれのアイデアに対し、簡単な一言コメン. 共有と整理について 当該の講習を支障なく進め るために、日頃の授業での取組 で情報共有に慣れておくこと 報共有の取組のあり方とその. が必要であるため、今年度の情 手法についてまとめる。( 注3) 今年度の授業では、四月二 週目からコロナ休校となり、五 月から段階的に分散登校に移 行した。筆者は四月の休校時 に、 Googleclassroom 内で 「コ ロナで顕在化した諸問題」に関. (316). −316−. トをつけてから、次の問題に移り、また別の課題について同様の手順 を繰り返し時間が来るまで行う。 講習終了後に、その日扱った課題の中からひとつを選び、次の講 習までに規定字数の論文に仕上げてくることになっており、生徒た を参考にしながら論文を書く。講習終了後も Padlet ちは、 Padlet を活用する生徒もいれば、講習終了後は図1のワークシートの設計 を参照しながら書く生徒もおり、その後の取組は自 図に、 Padlet 由にしている。 提出した後は提出の次の講習時に添削して返却する。その際に、 よく書けているものについては取り上げる。また、相互で読み合える ように複数の生徒の論文について言及し、読み合うことを講習内で 勧める。その際にはいい所ひとつと、質問( 疑問でもわかりにくかっ たところでも) をひとつ挙げるよう推奨し、読み合うことで互いの論. 図 4.

(5) するニュース記事を生徒から集め、その中から厳選して帯単元を作 た。. についての自分の意見を自分なりに言語化する必要性を感じてい. コロナで日本の隠れていた諸問題が顕在化したと考えており、問題. このニュース集積で生徒たちが出した論点も参考にして、六月か. 伝えた。また、今年度小論文や面接で評価される受験方式で受験 する可能性がある場合、 「コロナ抜き」 では何事も語れなくなるとい. ら授業の開始時の十〜十五分を週三回の授業で一つの論点について. るので、気になる記事があったらスマホにアーカイブしておくように. 参考書や問題集を購入する際は、 「コロナ関連の意識」 が脱落してい. う注意喚起も同様に行なった。また、小論文の以前に発売された. のウォールに貼 考える取組を行なった。記事のリンクを他の Padlet る( 図5) ことで、印刷の手間を省き、意見交換は Slack で行う( 図. るため、模範解答を参照する際には、それをそのまま受け止めるの. 参照したり、話し合ったりす. 6) ことで、意見を出したり、. ことが当たり前であり、さま. (317). −317−. の意識を加味した状態. るための時間の省略を行う. ざまな意見をどれだけ参照. で、意見を出すことに消極. 図 6. ではなく、コロナについて で考慮する必要がある. 分散登校が始まり、生. するかが、概念スキーマの形. り、さまざまな意見が出る. ことができた。この取組によ. ス記事集積場所を. 成に重要であることを生徒. 際に、なぜこの記事が気. たちに理解してもらうこと. になったのか、自分が問 投稿に書き添えてもら. 題意識を持った理由を った。かなりの生徒が、. っていく。また、 Slack は全ク ラスの生徒が閲覧可能であ. 的な生徒も少しずつ Slack 上に意見を書けるようにな. 上に作成した。 Padet ( 図4) Padlet に上げる. 徒たちから集めたニュー. 五月下旬に本格的に. ことも伝えた。. 図 5.

(6) もしっかりできている」 という趣旨の評価言を直接伝えることで、少. 生徒は、紙で配布する教材の意見を取り上げ 「良い視点で、言語化. るため、中には意見を出すことに消極的な生徒もいる。そのような. 後、この取組を行う際には、学習集団としての実態が異なる可能性. うにも思われなかった。筆者の勤務校は今年度で閉校するため、今. 聞き取りをした中でも講習参加の意欲だけでこの差が生まれたよ. ることでより深い理解が得られる」 という経験をすることで、概念ス. このように 「自分の意見を表出し、さまざまな意見の人と交流す. われなかった生徒も、今後スキーマ形成される可能性もある。卒業. 持つ生徒も増えたため、取組期間に概念スキーマの形成が十分に行. しかし、この取組を経験し、社会で起きる諸事象に興味関心を. もある。. キーマが強化され、また 「小論文ノック」 のような講習でも、初めか. 注. 生の報告を待ちたい。. しずつ意見を書くことができるようになる。. るようになる。. https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/sesaku/__ics. sFiles/afieldfile/2018/05/24/1403222_01.pdf. ( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/sesaku/__ic. ( 注1)「論理コミュニケーション トータルロジックス特別版」. ら支障なく他クラスの生徒とも意見交流や論文の読み合いができ. 四、 「小論文ノック」の課題 この 「小論文ノック」 受講者のうち、教員希望の生徒とその後講習 のリフレクションを行い、自由討論の中で見えてきた課題がある。. Files/afieldfile/2018/05/24/1403222_02.pdf ( 注2) 前川孝子 「意見文における意見の類型とその変遷 ―国語. それは、この講習に参加した生徒の全てに、同様の概念スキーマが 形成されなかったということだ。概念スキーマの形成が早く出来る. 教科書. 年代~. 生徒はこの取組でよりスキーマの強化が行われたが、入試までに十. カデミック・ ジャパニーズ・ ジャーナル9』 2017年). 0 1 0 2. ). 年代 のモデル作文を資料として―」『ア. 0 6 9 1 (. f d p . 2 7 4 6 . 9 j j a / j j a / l d / p j . e s e n a p a j c i m e d a c a / / : p t t h. ( 注3) 以前に取り組んだ実践研究については、その概要を 『函館国. マの形成がうまくいかない生徒には 「直前演習」 として数名の希望者. 分な概念スキーマの形成ができなかった生徒もいた。特に概念スキー を募って( もしくは筆者が参加を促して)さらに取組回数を増やし. 語』 ( 2021年) で取り上げた。. ( ながさわもとこ/北海道函館稜北高等学校). たが、この参加者の中でも、 「根拠と事例」 を自分が見聞きした経験 から関連づけて書けるようになって受験に臨んだ生徒と、内容の充 実に不安が残る状態のままで受験に行くことになった生徒がいた。. (318). −318−.

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