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多数のタスクが動作する環境下でのタスク起動応答性評価

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 79 回全国大会. 2A-05. 多数のタスクが動作する環境下でのタスク起動応答性評価 東山知彦† 三菱電機株式会社. 先端技術総合研究所†. 本稿で評価対象とした T-Kernel はこの構造を持 つ.(1)について,FCFS 方式の場合新規タスクを 近年 IoT や知能化の動きが高まり,従来単一の 対応する優先度のレディーキューの最後に挿入 機能を実現することが多かった制御機器も多機 すればよいので,処理時間はタスク数に依存しな 能化してきている.多機能化によるタスク数増加 い.(2)について,実行可能最高優先度のレディ の課題の1つに,厳しい時間制約が存在するタス ーキューの先頭タスクが次の実行タスクになる. クのリアルタイム応答性の劣化が挙げられる[1]. そのため探索の必要がなく,処理時間はタスク数 そこで本稿は,多数のタスクが動作する環境下で に依存しない. (3),(4)の処理時間は明らかにタ のタスクの起動応答性の劣化要因を検討/評価す ると共に,影響の回避方法についても検討する. スク数に依存しない.(5)は新規にレディーキュ ーに追加したタスクが実行可能最高優先度より 2. 評価対象ケースの検討 も高い場合,または実行可能最高優先度のタスク 2.1. 前提条件 をレディーキューから外す場合の処理である.前 本章で検討する OS は一般的な以下のスケジュ 者の場合,新規タスクの優先度を実行可能最高優 ーリングポリシーを持つリアルタイム OS とする. 先度に設定すればよく処理時間はタスク数に依  静的優先度の優先度ベーススケジューリング 存しない.後者の場合,次に優先度の高い実行可  同一優先度のタスクは FCFS(First Come First 能状態のタスクの探索する必要がある.これは優 Served)方式 先度毎のレディーキューを優先度順に探索する 2.2. タスク数がタスク起動応答性に与える影響 処理であり,タスク数には依存しない. 新規タスクが起動するパターンを以下の2種 以上からケース A)の処理時間はタスク数に依 類に分類する. 存しないといえる. A) 実行中のタスクや割込みハンドラがディスパ 2.2.2. ケース B) ッチを伴うサービスコールを発行した場合 ケース A)の処理に加え以下の処理が発生する. B) タイマ割込みハンドラがその時刻に起床する (6) その時刻に起動すべき全てのタスクのレデ タスクを起床させた場合 ィーキューへの挿入 2.2.1. ケース A) 一般的な OS の実装として,タイマ割込みハンド 本ケースは実行中のタスク(またはタイマ割込 ラが Tick 周期で起床し,その時刻で起床すべき み以外の割込みハンドラ)が実行権を手放した場 タスクをレディーキューに挿入する. 本稿で評 合や,他のタスクを起動する場合などである.タ 価対象とした T-Kernel もこの構造である.タイ スク起動時に以下の処理が実行される. マ割込みは割込みコンテキストで実行するため, (1) (他のタスクの起動要求を発行した場合)新 遅延ディスパッチが発生する.同時刻に起動すべ 規タスクのレディーキューへの挿入 きタスクが複数存在した場合,全てのタスクをレ (2) 次に実行状態にするタスクの探索 ディーキューに挿入した後,タイマ割込みを終了 (3) コンテキストの退避・復帰 し,ディスパッチャが起動する.よって(6)の処理 (4) レディーキューから実行状態タスクを解放 はタスク数に依存すると考えられる. (5) 実行可能最高優先度の更新(次に優先度の 2.3. 結論 高い実行可能状態のタスクの探索) タスク起動応答性がタスク数に依存するのは (1),(2)の処理時間は,レディーキューの構造を ケース B)のみである.よって本稿では,ケース B) 以下のように工夫することでタスク数に非依存 について評価を行うこととした. にすることが可能である. 3. 評価環境  優先度毎のレディーキューを持つ. 本稿ではオープンソースの組込み向けリアル  実行可能状態のタスクの最高優先度(以降:実 タイム OS である T-Kernel2.0(オープン版)を評 行可能最高優先度)を記録する. 価対象とした.また,H/W は T-Kernel2.0 のリファ Evaluation of realtime performance when many tasks are executed レンスボードとした.詳細を表 1に示す.. 1. はじめに. † Mitsubishi Electric Corporation. 1-21. Copyright 2017 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 79 回全国大会. S/W. 測定タスクの最大起床時間[μs]. H/W. 表 1:評価環境 評価ボード U00B0021-02-CPU CPU EMMA Mobile1-D ARM Coretex-A9:533MHz I-cache:32KB D-cache:32KB L2 cache:256KB メモリ DDR-SDRAM:64MB OS T-Kernel2.0(オープン版). 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0. 5. 10. 15. 20. 25. タスク数. 4. 評価方法 4.1. 構成 測定タスク1つと負荷タスクを複数生成し,測 定タスクの起床時間を測定した.負荷タスクの数 は 5,10,15,20 のそれぞれで測定した.T-Kernel では,周期的に実行する処理を実現する場合,周 期ハンドラを用いる.そこで,1 タスクにつき1つ の周期ハンドラを設定し,各周期ハンドラからタ スクの起動 API(tk_sta_tsk)を呼び出すようにし た.周期 Tms,優先度 P であるタスクを{T,P}と 表現する.今回は,測定タスクを{10,3},負荷タ スクを{20,10}とした(値が小さい方が高優先度). また,Tick 周期は 10ms とした. 4.2. 測定ポイント タイマ割込み要求時から,タスクが起床するま での時間を測定した.具体的には,タスク起床直 後に,タイマ割込みのソースとしているタイマ (以降:システムタイマ)のカウンタ値を参照す るようにした.今回の環境では,システムカウ ンタがタイマ割込み発生時に0にリセットされ るため,この値をタスク起床時間と定義できる.. 5. 評価結果 測定した最大起床時間を図1に示す. 横軸が負荷タスクの数,縦軸が測定タスクの最大 起床時間である.負荷タスク数の増加に伴い高優 先度に設定した測定タスクの起床時間が線形に 増加するという結果を得た. なお,T-Kernel のように周期ハンドラをユー ザが実装できる場合,周期ハンドラ内で高優先な 処理を行うことも可能である.しかし,周期ハン ドラを起床する際に参照するタイマイベントキ ューは同時刻のイベントは FCFS 方式で挿入され るため,周期ハンドラの起動順序を保証するこ とはできない.よって周期ハンドラの起動時間も タスクの数に依存する.. 6. 回避方法 5章で示したタスク起床応答性劣化の回避方法 について,以下の 2 通りが考えられる. (a) タスク起床時刻のオフセット調整. 1-22. 図 1:負荷タスク数と測定タスク起床時間 50ms. 新規イベント. :通常イベント :高優先度イベント. 10ms 10ms 20ms 50ms 50ms 80ms 従来方式 50ms 10ms 10ms 20ms 50ms 50ms 80ms 提案方式. ※イベント内の数字は 起床時刻を表す. 図 2:タイマイベントキューのキューイング 方法の改善 OS がタスク起床時刻のオフセットを設定でき る場合,高優先度タスクと低優先度タスクの起床 タイミングをずらすことで回避可能である.た だし,全てのタスクのタイミングを管理する必要 があり,設計工数の増加が予想される. (b) タイマイベントキューのキューイング方法 の変更 高優先度イベントがある場合,そのイベントを 同時刻のイベントの先頭に挿入するよう,タイ マイベントキューを修正することで,特定の周期 ハンドラを優先的に起床できる(図2).この周期 ハンドラ内で高優先度処理を行うことで処理開 始の遅延を回避することが出来る.. 7. おわりに 本研究では,タイマ割込みハンドラによるタ スク起動においてタスク数とタスク起床応答性 能の関係を評価した.その結果,高優先度タスク の起床応答時間が低優先度のタスク数に応じて 長くなることが判明した.そこで,本現象の回避 するための 2 つの方法を示した.今後は本方式 を実装し,評価を行う予定である.. 参考文献 [1] 浦口 正彦 ,石川 知雄:リアルタイム OS の 性能評価に関する研究(1),情報処理学会全 国大会講演論文集,Vol.45,p10-11(1992). Copyright 2017 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(3)

表 1:評価環境  H/W  評価ボード  U00B0021-02-CPU

参照

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