1.はじめに
子ども発達支援室の主たる業務は,関係諸機関との連 携にもとづく地域支援であり,具体的な取り組みは,メ ンタルフレンドの派遣事業,特別支援ボランティアの派 遣事業の 2 つである. 毎年多くの学生ボランティアが,適応指導教室や小学 校の通常クラス・特別支援クラスで活動を行い,何らか の支援を求める子ども達と関わりを持っている.関係諸 機関との連携を大事にし、ボランティア学生への継続的 なサポートを行うことは,派遣先の子どもたちへのより 細やかな支援に,また学生自身のより深い学びに繋がる と考える. 以下に,2019 年度の各事業の内容,及び課題につい て報告する.2.メンタルフレンドの派遣
1996 年度から制度化された,不登校等児童に対する 本学のメンタルフレンド派遣事業は,2019 年度で 24 年 目 を 迎 え た. 子 ど も 発 達 支 援 室 に お け る 派 遣 は, 2009 年度をもって家庭への個別派遣を終了し,2010 年 度より地域の適応指導教室等における集団活動への派遣 と一本化された. 2019 年度の派遣先は,武豊町適応指導教室,半田市 適応指導教室,美浜町適応指導教室の 3 か所であった。 美浜町適応指導教室では,定期的に通室する生徒数が減 少し,2014 年度から継続的な派遣を行っていなかった が,2019 年度は,教室の先生方と相談し,「子ども達が 通いやすい教室作りを学ぶ」ことを目標に,生徒の通室 が安定していなくても,まずは学生の派遣を再開するこ ととなった. a.事業内容 最初に事業の方針を確認するため,4 月に各適応指導 教室の先生方,各市町村教育委員会の指導主事の先生方 に本学までお越し頂き,前年度の振り返りを行うととも に,2019 年度の派遣人数や活動内容等の要望を伺い, 意見交換を行った. 学生への募集は,4 月に学内の掲示板や講義を通して 呼びかけた.2018 年度からは,子ども発達学部,社会 福祉学部に加え,スポーツ科学部の学生にも案内をして おり,2019 年度も同様に行った.5 月には,登録を考 えている学生向けの事前研修会「ガイダンス&研修会」 を行った.事前研修会には,2008 年度から各適応指導 教室の先生方にも参加をお願いしており,2019 年度も 教室の雰囲気や活動に求めることについてお話して頂い た.更に,ボランティア学生にも,実際の活動の様子を 紹介してもらう事で,より活動への理解が深まるような 説明を行った.事前研修会に参加できない学生について は,研究員が個別に説明を行った. 登録をした学生には,研究員が個人面接を行い,学生 それぞれの個性,活動に興味を持った動機を知るととも に,具体的な活動可能な曜日・時間について確認をし た.更に,YG 性格検査を実施し,より学生の個性を理 解するよう努め,これらの情報と,派遣先の特徴や要望 とのマッチングから派遣先を決定するようにした.前年 度から活動を継続する学生は,派遣先の子どもたちが通 室を始める 5 月から活動を行い,2019 年度から新たに 活動をする学生は,配置が決まり,事前挨拶など派遣の 準備を終えた,9 月以降に活動を開始した.美浜町適応 指導教室については,前年度からの継続者がいないた め,2018 年度から引き続き登録を行った学生を 5 月に, 新規登録の学生を 9 月から派遣した. 2018 年度からは,後期にも「追加登録の募集」を 行っている.5 月から活動を行う中で,教室の子ども達 の様子,教室の雰囲気,またボランティア学生の活動ス事業報告
2019 年度子ども発達支援室事業報告
適応指導教室へ訪問したり,教室の先生にお越し頂いた りする機会を設け,教室の子どもたちの状況や学生の活 動の様子を伺った. b.振り返りと今後の課題 2019 年度も大変多くの学生がこの活動に興味を持ち 登録を行ったが,派遣に繋がったのは半数以下の学生で あった.理由の一つとして,講義等の都合で学生の空き 時間が重なりやすいことが挙げられる.適応指導教室の 規模に合った派遣を考えると,同じ曜日に活動できる人 数はどうしても限られてしまい派遣を断念することが多 い.2019 年度も活動のチャンスが得られなかった学生 に,活動報告会の参加を呼び掛けるなど学びの機会を提 供し,次年度以降の派遣に繋がるよう配慮を行った.今 後も学生の熱意に応えられるよう工夫をしていきたい. 募集を開始し 2 年目であるスポーツ科学部の学生に ついては,登録者もおり,派遣を学生に打診するまでに は至ったが,学生のスケジュールの都合により 2019 年 度も実際の活動は行われなかった.「被支援者に寄り添 い,理解を深め,必要な支援を考えたい」という学生の 関心は,学部の垣根を超えて共通しているようである. 今後も広い募集を通じ,様々な分野,領域の学生が刺激 し学び合える場になることを目指したい. メンタルフレンドの全体的な活動内容については, 2019 年度も派遣先の先生方から概ね肯定的な評価を頂 いた.通室する子ども達と年齢が近く,興味や関心事を 通じてコミュニケーションが取りやすいこと,また少し 先を進む先輩モデルとして,子ども達の視野を広げる きっかけになれることを,特に有意義な存在と捉えて頂 いているようである.先生方には,学生の活動はもとよ り,それぞれの性格,生活や進路のことまで,大変温か く見守って頂いている.最初は自信がなく言動に迷って いる学生が,徐々に自分らしい活動ができるようになる タイルが,徐々に明らかになってくる。後期に募集を行 うことで,更に必要と考えられるボランティア学生の個 性,人数,性別等を,教室の先生方と相談しながら, ニーズに合った派遣を行える良さがある.2019 年度も 12 月に講義の中で追加募集を行い,興味を持った学生 に研究員が個別に説明を行った. 2019 年度の登録人数は合計 35 名であった.派遣状 況を表 1 に示す.派遣した学生は合計 13 名であり,武 豊町適応指導教室には 4 名(継続 3 名,新規 1 名),半 田市適応指導教室には 6 名(継続 3 名,新規 3 名),美 浜町適応指導教室には 3 名(新規 3 名)であった. それぞれの活動回数については表 2 に示すとおりで ある. 表 1 2019 年度メンタルフレンド派遣状況 派 遣 先 派遣人数 武豊町適応指導教室(武豊町字砂川) 4(男 1 女 3) 半田市適応指導教室(半田市桐ヶ丘) 6(男 2 女 4) 美浜町適応指導教室(美浜町北方) 3(男 0 女 3) 派遣学生合計 13 *登録者数 35 名 活動は基本的に毎週もしくは隔週のペースで,同じ曜 日・時間帯に行った.活動を開始した学生には,活動日 ごとの報告書の作成,更に定期的な(活動頻度にもよる が月に一回程度)個別のスーパービジョン(以下 SV) を受けることを義務付けた.SV では,報告書をもとに 活動を振り返り,学生が感じる疑問や不安,気づきにつ いて話し合い,指導を行った.2 月には「活動報告会」 を開催し,活動する学生同士の体験からの学び合いを目 指した意見交換を行った. また,派遣先との連携を図るため,必要に応じ電話連 絡を行い,12 月から 1 月には,教員および研究員が各 表 2 2019 年度メンタルフレンド活動回数 派遣先 活 動 回 数 (のべ) 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 合計 武豊 0 0 0 5 0 7 6 8 5 1 0 0 32 半田 0 4 8 2 0 8 8 7 5 3 0 0 45 美浜 0 0 3 6 0 6 10 9 5 3 0 0 42 合計 0 4 11 13 0 21 24 24 15 7 0 0 119
る.今後も,各教室の活動者ごとに集まる方法など,工 夫をしながら企画していきたい. 前年度まで派遣を中止していた美浜適応指導教室にお いて,活動が再開したことは大きな変化であった.教室 の先生方が,子ども達が過ごしやすい環境になるよう 様々な工夫をされており,学生もタイムリーにその経験 ができたことは,大変貴重な機会であった.前期は子ど もの通室がある 1 つの曜日に集中的に派遣を行ってい たが,後期に入る頃には子どもの人数や通室する曜日も 増え,学生の派遣も状況に合わせ,曜日が重ならないよ う人数を増やしながら行った.適応指導教室でのメンタ ルフレンド活動は,通室が安定した子ども達への関わり が中心であったが,通室しようか,最初の一歩を迷って いる子ども達にも果たせる役割があるように感じる.今 後も,柔軟な支援の形を,教室の先生方や学生と共に模 索していきたい. 2019 年度 3 月は,新型コロナ感染拡大それに伴う休 校措置が取られ、学生のメンタルフレンド活動も中止と なった.既に卒業を控えた 4 年生は活動を終えている 者が多かったが,年度終わりの活動の締めくくりが急遽 早まった形となり,お別れのやりとりができないまま, 関係性が途切れることとなった.学生との SV について も,3 月の予約分は対面を避け電話で行った. 今後の事業については,派遣先や学生の安全を第一 に,状況を見据えながら,可能な形を模索していきた い.
3.特別支援教育ボランティアの派遣
本事業は,何らかの配慮やサポートが必要な子どもの いるクラスへ,学生ボランティア,いわゆる特別支援 「学生」支援員を派遣するものである.2008 年度から半 田市教育委員会との協議の上試行され,2009 年度より 正式に開始されたものであり,2019 年度で 11 年目を 迎えた。2019 年度の派遣先は,前年度から引き続き依 頼のあった,亀崎小学校,雁宿小学校,宮池小学校,半 田小学校の 4 校であった.これまでに半田市内の他の 小学校から派遣の要望はあるが,特に学生の交通手段等 の理由から 4 校への派遣となっている. a.事業内容 最初に派遣先との事業方針を確認するため,4 月に半 のは,肯定的で安心感のある場を与えられていることが 何より大きい. 適応指導教室では,通室する子ども達同士で心の痛み を共有したり,苦手なことを補い合ったりすることもあ れば,逆に不器用さから対立したり,敬遠したりするな ど,様々な関係性や集団力動が発生する.集団場面で活 動するメンタルフレンドは,子ども一人ずつの理解だけ ではなく,集団の関係性を読み取っていく視点も必要と なる. 2019 年度は,教室内で子ども数人の絆の強い関係性 ができあがり,排他的な雰囲気で他に心を許さなかった り否定したりするケース,さらに派閥化していくケース もあった.学生によってはその閉鎖的な態度を良くな い,と捉える者や、どちらかのグループに感情移入し, その場では冷静に振舞っていても,実は中立性を保つこ とが難しくなっていることを SV で打ち明ける者もい た.研究員は,教室の先生方と方針を確認しながら,学 生には,SV の中で自分自身の気持ち.また子どもそれ ぞれの気持ちを整理し,排他的になってしまう行動の背 景を想像できるよう促した.それは,完璧な殻を作り上 げ身を守り合っている姿であったり,分かってもらえな い気持ちを強く訴える手段であったり様々であった.子 ども達にとって教室が大事な居場所になるほど,これま で抱えてきた苦しさを様々な形で表現してくる可能性が ある.そのような場で活動する学生も,深く関わるほど 気持ちの面で揺さぶられやすい.教室の集団力動が大き く動いているときには,今後も学生へのフォローを丁寧 に行いたい. 「活動報告会」は,新型コロナが猛威を振るいだす直 前,2 月初めの開催であった.2019 年度は特に,各教 室の活動者同士で活発なコミュニケーションが行われた のが印象的であった.研究員が話し合う枠組みを提供す ると,情報の共有や真剣な意見交換が自主的に展開して いった.活動を継続してきた先輩から,子ども達のこれ までの変化や成長が語られたり,教室の文化や先生方の 方針を共有したりする場面や,子ども達の理解について 意見交換しながら,どのような関わりが必要なのか真剣 な表情で話し合う場面も見られた.普段は個人的な SV が中心で,同じ場所で活動していながら,顔を合わす機 会は少ない.活動者全員が集まれる時間を設定するのは 難しいが,貴重な学びのチャンスであると改めて感じるが月に 1 回程度)を義務付け,学生の活動状況の把 握やサポートを行った.また,2 月には「活動報告会」 を行い,活動者同士で交流を行い,支援の必要な子ども に対する理解を深めたり,学生の不安や疑問を話し合っ たりする場を設けた.また,研究員が後期に 1 回,各 小学校を訪問し,学生の活動の様子,対象となる子ども の様子を伺い,問題点や改善点についてご相談させて頂 いた. b.振り返りと今後の課題 特別支援教育ボランティアの活動に興味を持つ学生 は,将来,小学校や中学校の教員また特別支援に関わる 職業を志望する者が多い.しかし本事業の目的は,教育 実習やインターンシップのように,教員養成のための過 程にあるものではない.子どもひとりひとりと信頼関係 を築きながら,特性や個性を理解し,どのような配慮や 工夫が必要であるかを考え,気持ちに寄り添い働きかけ る地域支援にある.そのため,活動する学生の中には, 心理や福祉の領域で社会貢献を目指す学生も多い.昨 今,学校現場には様々な形の支援員が学校や子どもたち に関わっており,このような目的が分かりにくくなるこ とがある.また,学校の組織は年度ごとに異動があり, 担当や担任の先生方が代わられるということもあるた め,年度初めには必ず,このような事業の目的,学生の 役割を,教育委員会,各小学校にお伝えし確認を行って いる.現場の先生方にも周知して頂けるよう,説明の用 紙も配布させてもらっている.2019 年度も,特に配慮 をお願いしたのは以下の 3 点についてである. ① 派遣学生の配置について 特別支援教育ボランティアとして,子どもへの理 解を深めていくには,継続的な関わりが望まれる ため,できるだけ同じクラス同じ児童を担当でき るようにして頂く. ② 担任の先生に学生が質問する時間の確保 子どもやクラスの普段の様子が分からず,理解や 判断に迷うことがある.担任の先生にお尋ねした いが,その時間がなかなか取れない現状がある. その日に質問できなかった時は,後日改めて先生 のご都合を伺い,ご相談できるような時間を頂き たい. ③ 担任の先生が不在の時の活動について 特別支援教育ボランティアは,教員養成のための 田市役所に教員,研究員で訪問し,教育委員会指導主 事,各小学校の担当の先生方と打合せを行った.前年度 の振り返りを行い,各小学校の活動に対する要望を伺う と共に,本事業の目的,また配慮をお願いしたい点につ いて改めて説明を行った. 学生への募集は,メンタルフレンドと同様,4 月に学 内の掲示板や講義を通して行い,5 月には,活動への理 解を深めてもらえるよう,登録前「ガイダンス&研修 会」を開催した.特別支援教育ボランティアの募集につ いても,子ども発達学部,社会福祉学部に加え,スポー ツ科学部の学生にも呼びかけた,事前研修会に参加でき ない学生には,研究員が個別に説明を行った. 登録をした学生には,研究員が個人面接を行い,学生 それぞれの個性を知るとともに,将来目指したい職業や 領域なども聞くよう努めた.また活動可能な時間,希望 する活動形態などを確認し,派遣先の特徴や要望との マッチングを行い,配置を決定した. 前年度から活動を継続する学生は,派遣先との打合せ を終えた 4 月の後半から 5 月にかけて活動を開始し, 2019 年度から新たに活動をする学生は,派遣の配置が 決まり事前挨拶等の準備を終えた 9 月以降に活動を開 始した. 2019 年度の登録人数は,合計 24 名であった.学生 の講義等スケジュールを検討した結果,派遣に繋がった のは 16 名であり,亀崎小学校には 4 名(継続 2 名,新 規 2 名),雁宿小学校には 4 名(継続 1 名,継続 3 名), 半田小学校には 4 名(継続 3 名,新規 1 名),宮池小学 校には 4 名(継続 2 名,新規 2 名)であった. 派遣状 況の詳細は表 3. に示すとおりである. 表 3 2019 年度特別支援教育ボランティア派遣状況 派 遣 先 派 遣 人 数 (名) 亀崎小学校 4(男 0 女 4) 雁宿小学校 4(男 0 女 4) 半田小学校 4(男 0 女 4) 宮池小学校 4(男 0 女 4) 派遣学生合計 16(男 0 女 16) *登録者数 24 名 活動は基本的に,同じ曜日・時間帯に毎週行った.活 動を開始した学生には,メンタルフレンドと同様,活動 ごとの報告書の提出と,定期的な SV(活動頻度にもよ
接弱音を漏らす子どもの話を聞く場面や,言葉にならな くても気持ちを共に味わい,歩幅を合わせて教室を移動 する場面が印象的であった.学生も外部から小学校に やってくる存在であることや,年齢的にも近いことで, より自然に共感ができているようであった.特別支援ク ラスの担任の先生方からは,「普段は付き添いたくても 人出が足りない事情があり,子ども達の様子を伝えても らえて有難い」と,有意義な活動の一つと捉えて頂いて いる.交流学級は,子ども達が不安を抱えながらも挑戦 していく場面であり,今後もサポートできるよう対応し ていきたい. 通常クラスでの活動では,主に,集中が途切れやすい 子どもの声掛けや,苦手な内容へのサポートを行った. 学生は,支援を行う子どもへの関わりと,全体への関わ りのバランスに迷う事が多かったようであるが,担任の 先生と相談し,授業の進度やクラスの状況を見ながら, クラスに合った支援を模索した.活動した学生たちはそ れぞれ,通常クラスでの支援の必要性を強く感じたよう であった.例年,特別支援クラスへの学生の配置が多く なっているが,派遣できる人数が増えた際には,通常ク ラスでの活動の可能性についても小学校に伝えていきた い. 2019 年度 2 月の「活動報告会」では,活動の先輩, 後輩との自発的な交流がされているのが印象的であっ た.まだ活動期間の短い学生が,子どもが集中できな い,またはパニックになる等の困った場面を挙げ,どう 声掛けをしどう対応すべきだったか,目の前で出来る工 夫を考える一方で,活動を継続してきた学生は,どこま で自分が担うべきなのか,担任の先生に託す方法や,ま た子どもとの距離を逆に少し置いてみる方法など,柔軟 でダイナミックに対応を考えていることが共有された. 交流学級への付き添いについても,寄り添うだけではな く,自分自身が通常クラスの子どもと積極的に関わって みる等の工夫をしている様子が話された.活動を継続し ていくと,子ども達や担任の先生への理解が進み,信頼 関係が築かれることで,自分らしい活動スタイルがで き,自信を持って支援方法の幅を広げられていると考え らえた.また,例年,各小学校での雰囲気や取り組みを 紹 介 し 合 い, 学 び 合 う 様 子 が 恒 例 と な っ て い る が, 2019 年度は,メンタルフレンド活動をしている学生の 参加があり,「子ども達の個性に合わせた対応を細やか に考えていることに刺激を受けた」ようであった.今後 教育実習やインターンシップとは異なる目的の活 動である.そのため,先生が不在時に長時間クラ スを任されるような場面は,学生が責任を負いき れない可能性がある.子どもの安全も考え,必ず 先生の監督の元で活動が行えるようにして頂く. 2019 年度も,学生の活動に対し,概ね肯定的な評価 を頂いた.各小学校での配置は,特別支援クラスが多 かったが,1 校において通常クラスでも活動を行った. 学生たちは,活動ごとの報告書をもとに SV という形で 振り返りを行った.小学校での活動は,学校という大き な組織の中で,子どもの理解だけではなく,クラス全体 のことや,交流学級先での様子,担当教員の方針,学校 の文化,発達段階など,大変多く情報を整理しながら支 援の形を探していく必要がある.研究員は,子どもを取 り巻く環境についても学生と共に話し合ったり考えたり しながら,学生が子ども達の理解を分かりやすく深めら れるよう促していった. 特別支援クラスでの活動では,授業一コマに子ども数 人を任せられる事が多い.担当教員から指示された課題 と,思うように進まない目の前の子ども達との間で,学 生はプレッシャーを感じ,うまく指導できない自分を責 めたり無力感を感じたりする場面が多い.SV では,学 生の心に生じた率直な気持ちを共有し,思うように出来 ない苦しさや劣等感について,子ども達がどこかでいつ も感じている気持ちと近い気持ちである事を想像し,子 ども達を知るヒントとなるよう扱った.まずは,焦らず 継続的に関わっていくことを目標に,少しずつ子ども達 それぞれの個性を理解し,苦手な状況を整理しながら効 果的な方法を探すようにサポートしていった.子ども達 との信頼関係を築き,徐々に理解が深まってくると,学 生たちは自分なりに試行錯誤をし,教え方や導き方を模 索できるようになっていった. 特別支援クラスでは,他に子ども達が交流学級として 通常クラスの授業に参加する際の付き添いを頼まれる事 がある.学生は,付き添う子ども達と同じ視点で授業に 参加し,上手くクラスに溶け込めた時の嬉しさや,多く は,難しい授業や慣れない人間関係の中での戸惑いを共 に味わった.学生は,子ども達の気持ちの揺れを敏感に 感じ取り,声かけや手伝いをしたり,時には通常クラス の担任や生徒との架け橋となり,コミュニケーションの 間を取り持ったりもした.交流学級の行き帰りには,直
も,このような幅広い学びの機会を作っていきたい. メンタルフレンド事業と同様に,2019 年度 3 月は, 新型コロナ感染拡大,それに伴う休校措置が取られ,特 別支援教育ボランティアの活動も中止となった.学生と の SV についても,3 月の予約分は対面を避け電話で 行った.今後の事業については,教育委員会や小学校の 方針を確認しつつ,学生の安全を第一に考えながら,慎 重な対応を考えていく必要がある. 〈2019 年度 子ども発達支援室構成員〉 子ども発達支援室長 瀬地山葉矢(子ども発達学部) 運営委員 堀 美和子(子ども発達学部) 山崎 康一郎(社会福祉学部) 研究員 伊藤 奈津子 新美 都子