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PDCAサイクルによる実習の事前事後指導 -大学と施設の実習意見交換会をC(Check)に位置付けて-

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PDCA サイクルによる実習の事前事後指導

 大学と施設の実習意見交換会をC

(Check)

に位置付けて 

吉 田 裕 子・森 本 美 絵

は じ め に

 現在、待機児童問題や児童虐待増加を背景として、保育施設の増設や保育時間の延長等、保 育の量的拡大が進められる中、保育士も社会や保護者の多様なニーズに応えるために、保育に 加えて子育て支援や地域連携等の専門性も必要となっている。一方で、資格そのものの拡大的 解釈により、保育士の資格がなくても保育補助という形で雇用促進するための補助金を交付す る等、保育の質より量的な方策が優先される傾向にある。こうした状況ゆえに、保育士養成に おいては、保育の基本原則である「子どもの最善の利益の尊重」を礎にした専門性に依拠する 実践力のある保育士の養成が求められる。  2018年度に一般社団法人保育士養成協議会において新たな『保育実習指導のミニマムスタン ダード Ver. 2─「協働」する保育士養成─』(以下、『ミニマムスタンダード Ver. 2』と記す)が策定 された。その中には、「実習指導の理念として、保育は、医療、看護、福祉、教育等と同様に、 対人関係の適切な現実的対応を求められる専門的業務であることや、これらに従事する専門職 の養成にあたって共通する課程として、座学と実学の往還を通してその専門性を確実に習得す るプロセスが必要不可欠である。」(2018, 2)と示されている。  これを受けて内容の理解と周知を図る目的で、2019年度保育士養成研究所第一回研修会が開 催された。その基調講演で小原は「養成施設と園(施設)が共に学生を育てる風土をつくる。学 生を成長していく存在、失敗する存在として捉え、学生一人一人に寄り添い、成長を支えるこ とが求められているのではないか。」(2019, 17)と述べている。  つまり、座学と実学の往還の場におけるそれぞれの指導者は、共に学生を育てる風土を醸成 し、学生の姿を共有し・理解し、その上で、学生が理論と経験を統合させる過程に関与する必 要がある。したがって大学は、実習施設と継続的に連携・協働する体制を整えていかなければ ならない。  なお、『ミニマムスタンダード Ver. 2』は、協働する保育士養成について、養成校教員相互、 養成校と実習施設相互の連携・協働による実習指導、という視点から記述されている。また、 座学と実学の往還性を担保するには、その前提として「連携・協働」があるとし、「本書に示

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すミニマムスタンダードは、記述されている相当部分が養成校と実習施設の連携・協働と直接 的・間接的に結びついていることを認識したい。」(2018, 10)とあり、養成校と実習施設の連 携・協働の重視を明示している。  先行研究については、一般社団法人全国保育士養成協議会による平成29年度子ども・子育て 支援推進調査研究事業(厚生労働省)『保育実習の効果的な実施方法に関する調査結果』研究報 告書によると、「保育士養成校における実習教育に関する研究や授業報告は多岐に亘るが、保 育実習に関する文献は、主に事前指導や事後指導に関するもの、実習中の学生の学びに関する ものが多い」(2017, 175-176)という。さらに「現場との協働に関する研究はさほど多くはなく、 CiNii による検索(検索ワード「保育実習」「協働」2018年 3 月16日)では、13件となっており、かつ 2007年以降のものに限られている。保育実習の中でも『協働』は、新たな概念であるといって よいだろう。多くは、保育現場と養成校のコラボレーションを主目的とした、実習指導のテキ スト、現場との受け入れの意義や方法(評価票や記録ほか)といった限定的なものが多い」 (2017, 177)という。筆者らも同様の方法で検索(2020年 8 月26日)したところ、 1 つのキーワード 「保育実習」では950件、 2 つのキーワード「保育実習」「協働」では18件であった。  ところで、実習に関する研究は、2002年から全国保育士養成協議会専門委員会において課題 研究として継続して取り組まれ(1)、それらの研究成果を整理・分析して2007年に『保育実習指 導のミニマムスタンダード 現場と養成校が協働して保育士を育てる』(以下、『ガイドライン』) が出版されている。この『ガイドライン』を契機に、保育実習における実習施設と養成校の協 働をテーマとした研究が始まっている。  初期の研究等は、実習施設と養成校の連携の方策の検討(岡本,2007)、『ガイドライン』作成 を踏まえて実習施設(保育所)と養成校との連携や保育士と教員との協働による実習指導の意義 (増田,2012)、実習施設と養成校の協働による保育所実習を進める上での実習園側の要望に関す る予備調査(澤津・村田,2013)である。その他には、実習施設と養成校の協働で次世代の保育士 の育ちを支える実践報告(倉掛,2012;石井,2012;小櫃,2012)、養成校での教員間連携を目的とし た実践結果(森内・奥,2010)を踏まえて、研究・目的・予想される結果と意義を整理し、次期の 研究計画を示す(森内・奥,2012)試行的な研究がある。このように2007年から2012年の研究は、 養成校と実習施設の協働の意義や実習施設と養成校が協働を進めていく上での協働の手がかり を探る調査や協働を意図した実践報告である。  次に、2013年以降の研究をみると、実習日誌の指導を通して、養成校と実習施設(児童養護施 設)が協働で実習指導を行い、その効果について検証し学生と施設職員の双方にとって良い効 果が見られたという実践研究(村田・大谷・澤津,2013)、養成校で使用の「評価票」を改定し、 その使い勝手について実習施設(保育所)にアンケートを実施した結果を示す研究ノート(相浦・ 高濱・小野他,2013)がある。  また、澤津らの研究を追うと実習園(保育所)への実習受け入れに対する意識調査(どのような 意識で実習指導に臨んでいるか)を実施し、その結果を実習園と共有し実習園と養成校の協働によ

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る保育所実習のあり方を模索し(澤津・鎌田,2014)、実習園(保育所)と養成校が協働して「実習 日誌」の検討会を設け改善案の作成と実習後の成果の検証をしている(澤津・宮本・岡崎他, 2014)。続けて、実習園(保育所)と養成校の協働により、「実習日誌のエピソード記録」を実践し、 効果を考察し、さらに、「エピソード記録」の手引書を作成・紹介する(澤津・蔵永・他,2015)。 そして導入した実習日誌「エピソード記録」の手引書の使用効果を検証している(澤津・蔵永・ 他,2016)。  このような実習施設と養成校の協働につながる取り組みの研究の他、養成校教員が保育学会 で報告した「実習評価票」=実習評価票「学びの履歴」をもとに、養成校の呼びかけに応じた 保育所・幼稚園の保育者の参加により「地域版保育学会ごっこ」を開催して学び合い、協働の 新たな可能性を見出している(山田・森,2016)。また、実習事後指導の取り組みとしては、保育 者の協働できる力の養成を目的に、実習で見られた保育者の協働性の具体像についてのグルー プ討議を考察し、学生の協働性への学びが深まったという成果が得られている(岩橋,2018)。実 習事前指導の取り組みとして、 3 つの模擬保育の実践を通して学生間の協働、保育所での保育 士間の協働への理解を促し、課題解決力や実習での不安を軽減するあり方を検討している(久保, 2020)。  以上のように、初期の実態調査の段階から、協働をテーマとした継続的な研究や、養成校と 実習施設が協働する上での共有するツールの開発・試み等、養成校と実習施設の共同研究への 新たな研究の展開も見られる。  なお、澤津・村田は、予備調査の結果の中で「意見交換会」について「実習園と養成校及び 実習園同士の意見交換ができ、顔を合わせて本音を語り合う場として有意義であることが認め られ、定期的に継続して実施することが望まれる。(2013, 83)」と結論づけたが、その後の研究 では、「意見交換会」に関わる研究報告はされていない。また、先行研究を見る限りでは、協 働する施設として児童養護施設を取り上げている研究は、村田・大谷・澤津(2013)の 1 件のみ である。

Ⅰ 研究目的・研究方法・倫理的配慮

₁  研究目的  発達教育学部児童教育学科(以下、本学と記す)幼児教育コースの実習では、「大学と実習施設 の実習意見交換会」(以下、「実習意見交換会」と記す)を、実習施設と大学をつなぐ重要な要とし て位置づけている。本研究では、実習指導システムを形成する上で、養成校と実習施設との協 働の観点(2)から、保育実習Ⅰ- 2(以下、施設実習と記す)を取り上げ、「実習意見交換会」の位置 づけを明確にすること、継続的な「実習意見交換会」の開催により大学と施設の連携がどのよ うに深まっていったか、実習の事前事後指導がいかに充実したかということを明らかにするこ とである。なお、特に施設実習を取り上げたのは、施設実習については対象となる施設の種別

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が多岐にわたっており、実習内容も大きく異なる特徴があり(村田・大谷・澤津2013, 61)実習指 導の難しさがあるからである。 ₂  研究方法  2015年度から2019年度にわたる 5 年間の保育実習Ⅰ- 2(施設実習)の実習全体のプロセス(実 習の事前指導→実習→実習の事後指導)における「実習意見交換会」で交わされた、施設の分科会 の記録と実習ゼミ定例会議の記録を整理する。また 5 年間の取り組みを、学生の成長・指導の 内容・施設との協働の観点から考察する。 ₃  倫理的配慮  学生対象のアンケートは、本研究に限定した使用であることを口頭説明し了承を得た。また 本論での使用においては個人が特定されないよう配慮した。施設の固有名詞は記載していない。 施設職員の発言については個人が特定されないように、主旨に反しない程度に加工している。

Ⅱ 発達教育学部児童教育学科の実習のしくみ

₁  実習指導と指導の時期  本学の幼児教育コースは 1 回生後期から、児童教育コースと幼児教育コースに分かれ、幼児 教育コースでは原則として保育士資格と幼稚園教諭免許状を取得する。この 2 つの資格を取得 するために、学生は 4 回の実習(保育資格取得に 3 種類、幼稚園教諭免許状取得に 1 種類)をする。 保育士資格取得には、保育実習Ⅰ- 1 、Ⅰ- 2 と保育実習ⅡあるいはⅢの実習を必要とし、其々 の実習には実習に行く前の事前指導と実習を終えた後の事後指導を受けなければならない。具 体的には、図 1 に示したように、 2 回生後期 9 月に10日間の保育実習Ⅰ- 1 の準備として保育 実習指導 1 - 1 が始まり、同時期の後半に 9 月後期からの10日間の保育実習Ⅱの準備として保 育実習指導Ⅱ事前指導が続く。そして 3 回生の前期 6 月に10日間の保育実習Ⅰ- 2 の準備とし て 4 月、 5 月に保育実習指導Ⅰ- 2 事前指導がある。其々の実習終了後には事後指導がある。 そして、 3 回生の後期11月に20日間の教育実習(幼稚園)があり、その準備として 9 月に教育実 習事前指導、実習を終えた12月に教育実習事後指導がある。

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₂  実習指導体制  図 2 に示す実習指導体制は、2013年度に始まる。実習指導担当教員(以下、実習ゼミ教員と記 す)は幼児教育コースの学生数に応じて 8 〜10名が配置され、実習指導に特化した教員集団を 構成する。実習ゼミ教員は専任教員 1 名の下に、非常勤講師 7 〜 9 名が配置され、其々の実習 ゼミ教員は、学生 8 〜10名を担当してゼミ(通称、実習ゼミ)を構成し、毎週 1 回90分の演習授 業を行う。なお、実習指導専任教員も含めて実習ゼミ教員は全て、保育所、幼稚園の保育職経 験者である。  この 8 〜10クラスの実習ゼミを行うために、実習ゼミ教員は毎週 1 回 1 時間程度の打ち合わ せ会議を設定し、その日に指導する内容、配布資料等について確認する。またその他に、月 1 回の実習ゼミ定例会議を開催する。この会議の出席者は実習ゼミの教員だけではなく、必要に 応じて実習事務担当職員や幼児教育コースに所属する専門科目担当教員も参加し、指導内容等 の確認や学生の情報交換等を行っている。       図 1  実習と指導の流れ 図 2  実習指導体制

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₃  大学と実習施設のつながり  現在、保育所をはじめとして実習施設で は、児童福祉法等の改正や様々な社会状況 の変化により、施設自体の在り方が問われ ている。その中で実習施設では、学生を受 け入れ、子どもや利用者にとってふさわし い保育者の養成を任されている。  特に施設実習では、表 1 に見るように実 習先の施設種別が多様であり其々の特性や 現状を踏まえた指導が求められるとともに、 学生の体験不足や生活習慣の変化に応じた実習の事前指導、実習の事後指導の内容・方法、施 設と大学との関係が重要課題になっている。 ₄  「実習意見交換会」の位置づけと役割  実習意見交換会は、保育士養成課程をもつ大学等において実習懇談会や保育実習意見交流会 等の名称で開催されており、地域の保育協議会や社会福祉協議会等の主催で、実習施設と語り 合う場に養成校等が出向いたり、自校に実習施設を招いたり、大学の外に会場を設定して開催 したりする等、多様な形態がある。例を挙げると、昨年度の京都市私立幼稚園協会主催の養成 大学との交流懇談会では、養成校の実習担当者を招き、一つのテーマの下、パネルディスカッ ションやグループ協議が行われた。また行政関係者を招聘して制度説明などが行われることも ある。養成校主催の形態としては、A大学では実習懇談会(3)、B大学では保育実習・幼稚園教 育実習懇談会(4)が開催され、いずれも実習施設の種別ごとの分科会を設け、養成校が実習施設 から実習の課題を聞いたり、双方で学生の状況の情報共有をしたりする機会になっている。ま た大阪府社会福祉協議会の保育部会では所属する養成校と保育園・認定こども園が一同に会し て研究懇談会(5)を開催し、学生の実習評価や実習日誌の記入等について協議している形も見ら れる。  このように実習意見交換会はその名称や内容も多様であるが、よりよい実習に向けて学生の 情報交換や互いの実習指導について、養成校と実習施設が協働しようという場になっている。  本学は学外に会場を設定して「実習意見交換会」を実施している。具体的には、実習依頼先 の保育所・幼稚園・施設等の所属長や実習指導担当者の参加により年 1 回 6 月に開催している。 全体会で本学の実習指導体制(図 2 参照)及び、前年度からの実習状況や保育職への就職状況等 を説明した後、保育所、幼稚園、施設の 3 つの分科会(6)に分かれて話し合いの場が持たれてい る。分科会では実習中の学生の姿や課題等を共有している。特に施設実習の分科会は参加率が 高く(7)、Ⅰの 1 やⅡの 3 で記述したように指導上の課題の難しさもあり、意見交換に加えて双 方の指導上の課題や提案を積極的にしている。なお、「実習意見交換会」には、実習事務担当 表 1  2019年度の実習先施設一覧と種別配置割合 施設種別 施設数 配置割合 1 児童養護施設 37 47.3% 2 乳児院   7 16.2% 3 母子生活支援施設   3   9.5% 4 児童心理治療施設   3   5.4% 5 児童自立支援施設   1   2.7% 6 児童相談所一時保護施設   2   4.1% 7 福祉型障害児入所施設   5   8.1% 8 障害者支援施設   2   6.7% (学生数80〜100名)

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職員や幼児教育コースの実習担当教員(図 2 参照)、実習ゼミ教員全員が参加している。

Ⅲ  ₅ 年間の実習指導の取り組み

₁  ₂₀₁₅年度から₂₀₁₉年度まで  ① ₂₀₁₅年度    2015年度は、実習ゼミ定例会議で、施設実習における生活支援の重要性の理解に向けて、 うがい、手洗い・歯磨き・睡眠などの基本的生活習慣と調理や洗濯・掃除等の生活スキルが どの程度身に付いているかを調査するために「生活技術チェックシート」を作成した。また、 学生が実習施設について主体的に事前調査する方法を協議した。このように学生の実態を表 す 1 つとして実施した取り組みについて、その趣旨や結果を「実習意見交換会」で報告した ところ、施設の実習指導担当者から「施設の役割や特性等の違いに対する学生の認識が不十 分だ。」「意欲的で礼儀正しいが『援助者』の自覚や生活支援の重要性の認識が弱い。」と指 摘されたが、話し合いが進む中で、今の学生の生活様式の変化や生活習慣の乱れ等の学生の 実態について、お互いが日頃感じていることを語り合う流れとなった。実習における生活支 援の重要性を伝える難しさは、実習ゼミ教員も施設の実習担当職員も同じように感じている ことが分かった。そこで、実習ゼミ定例会議では、次年度に向けて、学生の事前学習の施設 調査を「調べてきました」とタイトルを付け、ワークシートとして様式を整えるとともに、 生活支援の重要性を伝えるために授業内容を見直した。また実習ゼミ教員の施設に関する理 解を深めることも課題と捉え、実習ゼミ教員が各施設の特性や機能を共通理解するための資 料を作成することとした。  ② ₂₀₁₆年度    2016年度は、施設実習の意義の理解や目的を明確化するために、学科の専門科目担当教員 (子ども家庭福祉、社会的養護の担当教員)と連携し、施設実習の意義等の講話を合同ゼミ(全ての ゼミが一堂に会して行うゼミ)で実施した。また、実習施設の事前調査については、 2 回生後期 に開講される「社会的養護 1 」の最終授業で施設及び利用者の調査や実習の目標をレポート させているが、そのレポートを学生の承諾を得て、 3 回生進級後の実習ゼミ教員に引き継ぎ をし、学生たちは、さらに調査をすすめ、ワークシート「調べてきました」で完成させるよ うにした。    2016年度の「実習意見交換会」では、施設の実習担当職員にワークシート「調べてきまし た」の内容の紹介や、「生活技術チェックシート」の調査結果から見られた学生の傾向を報 告した。施設の実習担当職員からは、「ワークシート『調べてきました』を読むことで、学 生がどの程度の理解や認識をもって実習に参加しているかが分かるので、現場での実習指導 を充実させるために実習簿に綴じてはどうか」という提案が出された。また「『生活技術の チェックシート』はチェックだけに終わらずその必要性を考えさせる方向が大切」という貴

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重な意見もいただいた。さらに、学生の自己評価の低さや記録の考察力の弱さも話題となっ た。「学生のマイナス面だけを指摘するのではなく、本人の良さを見出す努力や質問しやす い時間や機会をつくるなど、我々の指導のあり方を振り返ることも大切ではないか。」とい う意見が施設の実習担当職員から発せられ、お互いの学生に対する見方や理解が深まり、学 生の実態に応じた指導方法の必要性について充実した話し合いになった。実習ゼミ定例会議 では、ワークシート「調べてきました」の扱いや記録に関する指導、「生活技術チェック シート」の構成の見直し、教材の検討等を行った。また実習ゼミ教員の施設に関する共通理 解をすすめるための資料作成の継続を確認した。  ③ ₂₀₁₇年度    2017年度は、前年度の課題であった自己評価の低さ、記録の考察力の弱さについて検討し た。後者については、事前指導における記録の書き方を、複数事例をもとに記述方法や用語 の解説を行い、学生相互で考えを深められるようにグループワークを取り入れた。前者につ いては、新たなビデオ教材により児童養護施設の小舎制の生活に間接的に触れるとともに、 生活支援の様子に視点を絞って視聴し考察をして、生活支援の重要性への理解を深めるよう にした。    「実習意見交換会」での報告では、学生の理解度や不安等の個人差が大きく、個別指導の 必要な学生もいることや、学生の成長を支えるためには双方の情報共有が不可欠であること を伝えた。施設の実習担当職員からは、「記録や考察は『書けない』ことを理由に施設側が 指導を見放してはいけない。」「近年の学生の気質の変化として捉え、施設側の指導の工夫も 必要ではないか。」という意見も出され、学生の実態に応じた指導や学生なりに頑張ろうと している気持ちを支えようとする施設の実習担当職員の実習指導の姿勢が感じられた。また、 「様々な学生がいる中で、学生の不安や戸惑いを不要に大きくしないために、施設の目的や 特性を十分に理解した上で、実習指導をする必要がある」という忌憚のない助言をいただい た。さらに施設からは、実習プログラムの準備や実習前後のアンケート等を実施して、施設 における実習指導の改善とともに施設の生活改善にも活かしているという報告もあった。実 習ゼミ教員も施設の実習担当職員も、実習生の実態に応じて指導を工夫することや、学生の 気持ちを受けとめて関わりたいという思いは共通していることが分かった。実習指導のあり 方をめぐり、実習ゼミ教員と施設の実習担当職員の距離が縮まり「共に」という感触が得ら れた。    実習ゼミ定例会議では、記録に関する資料の見直しと施設から提案された実習プログラム や施設種別によって実習指導は異なる、という助言をもとに、実習ゼミ教員のために作成し てきた「施設に関する特性や実習のあり方」冊子を、学生も利用できるよう改善し「施設種 別ごとの特徴と実習を深めるためのポイント一覧集」(以下「実習のポイント」と記す)として 利用することとし、実習の事前指導、実習の事後指導の充実につなげた。

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 ④ ₂₀₁₈年度    2018年度は、主に「実習のポイント」の作成と、記録の書き方の授業資料を修正した。記 録の書き方のための資料は、記録から考察までを 8 段階で示すとともに複数事例を精選して 1 つにし、学生同士の学び合いの時間を確保した。また、実習の事前指導のワークシート 「調べてきました」に加え、実習体験による気づきをまとめ、学びの自覚化を図るために、 実習の事後指導でワークシート「行ってきました」を作成することとした。    「実習意見交換会」では、前述の実習の事前指導と実習の事後指導の取り組みの報告に加 えて、毎年、実習ゼミが終了する 1 月に、上回生から下回生に向けて行っている実習報告会 で作成した「ポスター」も提示し、学生の施設に対する思いを知っていただく機会とした。 施設の実習担当職員からは「これまで実習後の学生の姿を知ることがなかったのでよい機会 になった。」と、学生の率直な表現や実習後の学生の姿に興味を示された。そして、「学生の 内面変化が分かる情報提供があると施設側も実習指導の充実や、やりがいにつながる。」と いう思いが語られ、実習の事後報告のワークシート「行ってきました」については「どのよ うな内容を書いてくるのかな」という声があがり、施設側の実習指導の成果は、どのような 形で現れるのだろう、という期待するような思いが伝わってきた。さらに施設の実習担当職 員からは、学生が施設の特殊性をとらえた事前学習を受けて、実習の中で、その成果を学生 の姿から感じられたという報告や、「実習簿の書き方が充実してきて彼らも頑張っているの でエールを送るための欄を設けてほしい。」という嬉しい要望や「巡回訪問の教員の学生理 解が深く、施設側も安心して学生のことを話せる。」等の意見もいただいた。実習体験によ る学生の内面的成長について話し合いが深まり、共に学生を育てていく、という関係性が見 えてきた。実習ゼミ定例会議では、ポスター以外の学生の内面変化を共有する手立てを中心 に話し合った。  ⑤ ₂₀₁₉年度    2019年度は、その手立てとしてまず、実習の事前指導のワークシート「調べてきました」 とワークシート「行ってきました」を一対のものとして様式を整え、学生が、実習前と実習 後との比較から自らの学びの深まりを把握できるようにした。さらに、「事前事後アンケー ト」を実施し、学生が自らの内面変化を自覚できるようにするとともに、実習ゼミ教員も学 生の変容を具体的に捉え、次の実習課題の明確化につながるようにした。さらに冊子「実習 のポイント」を活用することで、実習生に求められる姿勢や役割についてより具体的な指導 となったが、内容は不完全な個所もあったため、「実習意見交換会」で、実習担当職員から 助言を得て修正等をした。「事前事後アンケート」については、次年度の「実習意見交換 会」で結果を報告し、学生の内面変化を共有したいことを伝えた。施設の実習担当職員から は、「実習の事前指導のワークシート『調べてきました』の項目に施設選択の理由も入れた らオリエンテーションや実習中の指導が焦点化できる。」とか「冊子『実習のポイント』は 社会的養護内容にも触れていてこれでよいので、実習に関係する教員間の連携や共通理解、

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学生の実習の事前指導の充実を期待している。」等の建設的な意見をいただいた。また、「施 設からの実習評価について、その活用方法を知りたい」という意見とともに「施設での実習 は、数値評価が全てではなく、数字や文字にならない思いを学生には伝えたい。」という話 もいただいた。数値で示された評価が、学生の全てを評価するものではなく、また体験や成 長を決定づけるものではないことは、実習ゼミ教員も同じ思いであり、大学も施設も、施設 実習が社会的養護への理解を深めるという目的に加えて、人間的な成長を願っているもので もあることを確認できた。 ₂  「実習意見交換会」と実習ゼミ定例会議、実習の事前指導と実習の事後指導の関係  前述した 5 年間の実習指導の取り組みから、「実習意見交換会」での実習ゼミ教員と施設の 実習担当職員の対話が実習の事前指導と実習の事後指導の充実に大きく影響していることがわ かる。「実習意見交換会」で、実習ゼミ教員が実習の事前指導と実習の事後指導の実践を報告 すると、施設の実習担当職員から感想や意見・助言が述べられる。また、施設の実習担当職員 から実習生等に対する期待・要望が出される。実習ゼミ教員は、それらを受けて、実習ゼミ定 例会議で改善点を検討し、翌年の実習ゼミ定例会議で具体的な改善案を練っている。そして、 その年の実習の事前指導と実習の事後指導では、具体案を反映して指導をする。表 2 に見るよ うに、こうした取り組みを 5 年間続け、年々実習指導の充実を図ってきている。常に「実習意 見交換会」は、実習指導における評価(Check)の機能として働いていたことがわかる。 表 2  2015年度〜2019年度の 5 年間の実習指導の改善経緯 年度 実習ゼミ定例会議 主な実習事前指導・実習事後指導 実習意見交換会 *…大学から ☆…施設から 実習ゼミ定例会議 主な検討課題 2015 ・ 生活技術チェックシートの作 成と実施 ・実習予定の施設調査 * 生活技術チェックシートや施設 の事前調査の趣旨や結果を報告 ☆ 学生は施設の役割や特性の違い の認識が不十分 ☆ 意欲的で礼儀正しいが「援助 者」の自覚、生活支援の重要性 の認識が不足 ・ 事前の施設調査の方法や 様式の検討 ・ 生活支援の重要性を伝え る授業内容の見直し ・ 実習ゼミ教員の各施設に 対する共通理解 2016 ・ 学科教員と連携した事前指導 として、実習の意義に関する 講話(合同ゼミ)と社会的養護 のレポートをベースに自分の 実習予定施設の調査  ─「調 べてきました」─の作成と発 表をして施設実習の目的の自 覚化に繋ぐ。 ・ 実習ゼミ教員間の共通理解の ため、施設の特性や実習の在 り方を示す資料作成に着手 * 施設の事前調査「調べてきまし た」のや専門科目教員と連携し た取り組みを報告 * ☆学生の自己評価の低さが気に なる。 ☆ 「調べてきました」を実習簿に 綴じることで現場でも実習指導 が充実する。 ☆ 生活技術チェックシートはその 必要性を考えさせる方向が大切 ・ 「調べてきました」の扱 いの検討や記録に関する 指導資料見直し ・ 生活技術チェックシート の扱いや教材検討 ・ 実習ゼミ教員の施設に関 する特性や実習の在り方 の共通理解のための資料 作成の継続

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☆ 記録の書き方から考察力の弱さ の指摘 ☆ 学生のマイナス面だけを指摘す るのではなく本人の良さを見出 す努力や質問しやすい機会をつ くる等、施設側の指導の仕方も 大切。 2017 ・ 「調べてきました」は実習簿 に綴じ施設からアドバイスを 受け、学生自身学びがより確 かなものとなるようにする。 ・ 記録の書き方の資料は複数事 例をもとに記述方法や用語を 解説。グループワークで互い に学びあう。 ・ ビデオ教材を用い、施設の実 際の様子から生活支援の重要 性の理解を深める。 * 記録の書き方の指導や生活支援 の重要性を伝える中で一人一人 の学生の理解に向けた指導の難 しさも含めて報告 ☆ 記録や考察は「書けない」こと を理由に施設側が見放してはな らない。   近年の学生の気質の変化をとら え、施設側の指導の工夫も必 要。 * ☆学生の不安や戸惑いをむやみ に大きくしないためにも、施設 の目的や特性を理解した実習指 導が必要。 * ☆個人差が大きく、個別指導の 必要な学生もいる。必要に応じ て学生のためにも施設と大学側 で情報共有する。 ☆ 施設も実習プログラムを作成し たり実習前後のアンケート等を 実施したりして、実習指導の改 善や生活改善に努めている。 ・ 記録の取り方は学生同士 の学び合いが深まるよう な事例の検討が課題 ・ 施設側から提供された 「実習プログラム」や意 見を取り入れ、これまで 作成していた、施設に関 する特性や実習の在り方 の資料を「施設種別ごと の特徴と実習を深めるた めのポイント一覧集」 ( 以 下「 実 習 の ポ イ ン ト」)としてまとめ、施設 種別に応じた実習指導の 充実に繋ぐ。 2018 ・ 「施設種別ごとの特徴と実習 を深めるポイント」の作成 ・ 記録関係の資料を修正。記録 から考察までを段階別に示し て指導。事例を精選。仲間同 士の学び合う時間を確保。 ・ 「調査しました」に加え「行っ てきました」を作成し、実習 体験による気づきをまとめ、 学びの自覚化を図る。 * 実習報告会で作成したポスター を掲示して学生がとらえた施設 の印象や実習後の学生の様子を 伝える。 ☆ ポスターは実習後の学生の姿を 知るよい機会。さらに学生の内 面変化が分かる情報提供があれ ば実習指導の充実に役立つ。 「行ってきました」へ期待す る。 ☆ 施設の特殊性をとらえた事前学 習の成果を学生の姿から感じ る。 ☆ 巡回教員の学生理解が深く、施 設側も安心して学生のことが話 せる。 ☆ 実習簿の書き方が少しずつ充実 してきた。頑張っている学生に エールを送りたいので実習簿に 小欄を設けてほしい。 ・ ポスター以外に学生の内 面変化共有の方策と実習 簿の様式検討 ・ 「実習のポイント」の資 料修正

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2019 ・ 「調べてきました」「行ってき ました」を一対のものとして 様式を統一。実習の前後の学 びの変容を学生自身がとらえ やすくする。 ・ 新たに実習の事前事後アン ケートを実施し学生の内面変 化を学生自身が自覚するとと もに、学生の変容を教員も具 体的にとらえ、次の実習課題 の明確化を目指す。 ・ 「実習のポイント」を活用し て、施設の目的や機能による 違いから実習生に求められる 姿勢や役割を具体的に指導す る。 * 学生の内面変化が分かる資料と して「行ってきました」を配 布。   事前事後アンケートの実施を伝 える。 * 「実習のポイント」は施設によ り情報に濃淡があるため直接修 正や助言を仰ぐ。 ☆ 「調べてきました」は選択理由 欄があれば、オリエンテーショ ンや実習中の指導が焦点化でき る。 ☆ 「実習のポイント」は社会的養 護にも触れており、これでよ い。   理解に向けての指導を期待す る。 ☆ 施設からの評価の活用方法を知 りたい。しかし数値評価が全て ではなく、数字や文字にならな い思いを学生に直接伝えたい。 ☆ 実習生の受け入れは「自分の大 事なもの、自分の幸せを見つけ てほしい」ということである。 人間的な成長、人育てが我々の 務めである。 ・ 「調べてきました」の項 目の検討 ・ 事前事後アンケートの結 果は次年度「実習意見交 換会」で報告のため考察 ・ 「実習のポイント」一部 修正 ・ 自己評価票を施設評価と 対比しやすい様式に修正 ₃  大学と施設で共有できたこと  表 3 は、 5 年間の実習指導を実習、ゼミ教員と実習担当職員が共有できたこと、という観点 から整理したものである。  初期の「実習意見交換会」の協議内容は、お互いの指導の難しさの指摘やその要因に留まっ ている。しかし、継続して取り組むことによって、その内容にも連続性が生まれている。それ は、学生を真ん中に置いて実習ゼミ教員と施設の実習担当職員の指導方法に対する其々の気づ きの共有であり、実習を依頼する・受け入れる、という単に事務的な関係だけではなく、大学 と施設が共に「人育て」という役割を担っているという共通の認識である。学生指導の場は異 なるが、一人一人の学生にとってよりふさわしい指導を模索する関係性が生まれてきている。 5 年間の取り組みにより、小原の言う「養成施設と園(施設)が共に学生を育てる風土をつく る。」ということ、座学と実学の往還のその前提としての「連携・協働」が育ってきているの ではないかと考える。

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表 3  2015年度から2019年度の 5 年間の大学と施設の思いの変化 年度 大学と施設の思いの共有化 2015 ・ 学生の実態や生活様式等の変化から指導の難しさを感じているという「共通する悩みの発見」 があった。また実習ゼミ教員の指導上の課題に対する気づきがある。 2016 ・ 互いの学生理解が深まり、実態に応じた指導方法の必要性から、実習ゼミ教員の協働や同僚性 の涵養に加えて専門科目担当教員との連携が始まる。 ・学生の指導が双方の共通の関心事となる。 2017 ・ 学生のありのままの姿を受けとめ、表面的表層的な学生の見方ではなく、内面的深層的な見方 への移行がみられ、「共に」の感触が得られる。 ・実習ゼミ教員の意欲が高まる。 2018 ・共に学生を育てていくという視点の共有と関係性の具体化がすすむ。 2019 ・共に人間的な成長、人育てをしているということを共有し、協働化がすすむ。

Ⅳ 研究の成果

₁  実習指導のシステム化  表 2 に見るように、P(Plan)の実習ゼミ定例会議ではその年度の実習事前事後指導の内容と 方法等を提案・決定し、実習事前指導(Do)D1、実習事後指導(Do)D2で具体的な指導を行う。 C(Check)に位置づけた「実習意見交換会」では学生の情報交換や前年度の課題及び改善点・ 双方の指導の方向性の確認・新たな取り組みの提案等の意見交換を行い、次年度の協議内容を 明確にした。さらに実習ゼミ定例会議A(Action)では「実習意見交換会」で協議された新たな 提案や実習事後指導での学生の情報を活かし、次年度の実習の事前指導と実習の事後指導の内 容の改善策を練りスタートにつないだ。   これを図 3 のように図式化すると、実習ゼミ定例会議 1 、実習の事前指導、「実習意見交換 会」、実習の事後指導、実習ゼミ定例会議 2 の其々の役割と関係性が明確となり、循環する一 連のプロセスとして実習指導のシステム化が成立している。また、「実習意見交換会」を PDCA サイクル(8)に位置づけ、実習指導をシステム化したことによって、「実習意見交換会」 は施設の要望や学生の実習の様子を一方的に聞く場ではなく、実習指導と実習を含めた循環の 中で実習ゼミ教員と施設の実習担当職員が学生を真ん中にして、双方の実習指導の成果や課題 を明確にし、実習が学生の人としての成長を促す協働の場となった。特に実習ゼミでは、施設 実習の指導内容・方法における課題について年次的に焦点化しながら、実習事前指導と実習事 後指導の改善を連続的、計画的に進めることができるようになった。  こうした循環的・建設的関係の中で、実習ゼミ教員は、「実習意見交換会」に対して「日頃 の指導について何かを指摘される場」というマイナス的なイメージから、「学生の変容を早く 伝えたい。」「施設での実習の様子を知りたい。」「今年は何を学べるだろう。」という思いに変 化し、期待をもち積極的な姿勢で臨むようになった。

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※注 1 …実習中は実習ゼミ教員を中心に学科の教員も含めて分担し80〜100名 の学生の実習巡回訪問指導を行い、学生の状況を情報共有する。 図 3  「実習意見交換会」を PDCA サイクルのCに位置づけた実習指導のシステム ₂  大学と施設の双方で「人育て」という風土の醸成  2019年度の施設実習のまとめワークシート「行ってきました」には、実習後に印象に残った 出来事とそこから学んだことや次の実習や大学での学びに向けた思いを記述する欄を設けてい る。以下に学生の記述の一部を紹介する。 ・ 障害のある方に対する世間の偏見の目を少しでもなくすため、10日間の貴重な体験を友達や 周囲の人たちに話すことが、私にできる第一歩だと思う。(障害者施設での実習学生) ・ 子ども達の行動の意味を考え、それに対してどういった援助が必要かということも考えられ るようになりたい。自分の性格や個性を生かした関わり方について考え、保育者としての自 分の在り方について考えを深めたい。(児童養護施設での実習学生)  学生は、施設での体験を通して、施設の役割や将来の保育者としての自分、社会人としての 自分について考えようとしている。この学生の実習体験による姿を実習ゼミ教員と施設の実習 担当職員で共有することで、大学も施設も実習を通して一人一人の学生を育てる、育てたいと

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いう思いが醸成されるのだろう。「実習意見交換会」でこうした学生の姿を報告した時に施設 からは「『人間を育てる』という長いスパンで学生の今を理解するという意識をもって接して いきたい。」という言葉が聞かれた。 ₃  「協働」の具体化  協働という用語は、「保育実習指導のミニマムスタンダード Ver. 2」第Ⅲ部 課題、目指す 方向 1  保育士養成における「協働」で取り上げられており、 3 つの観点─ ①養成校内での 教員同士の協働、②養成校間の協働、③養成校と保育現場の協働─で述べられている。本論で 取り上げている協働は、 5 年間の実習指導の経緯を整理した表 2 から、①と③について述べる。  まず、学内での教員間の協働は、図 2 と表 3 から、実習ゼミ教員( 8 〜10名)間の協働、実習 ゼミと専門科目担当教員との協働、実習ゼミと専門科目担当教員と実習担当教員との協働、実 習ゼミと本学幼児教育コース所属の専門科目担当教員との協働、実習ゼミと実習事務担当職員 との協働といった 4 つの協働がある。  実習ゼミ教員間での協働では、具体的に授業前の打ち合わせによる指導内容や配布資料の確 認、授業後の授業の進め方等についての振り返り、ゼミ学生の情報交換等と、月一回の実習ゼ ミ定例会議による指導改善の検討や共通理解を図っている。こうした取り組みは、教員間の協 働をすすめ、同僚性の向上にも寄与していると考えられる。また、実習ゼミ教員は専任も含め 任期雇用である。任期終了により教員の交代による指導の混乱等を招くことが予想されるが、 こうした協働が確立していることで、その混乱を最小限に抑えることが可能である。  その他の協働として、実習ゼミと専門科目担当教員との協働では、施設実習の意義の講話の 設定や学生レポートを引き継ぎ学生の学びを連続的に捉えて、実習に向けて深めていく取り組 みがある。また、実習中に問題が発生した時に、幼児教育コースの教員、実習ゼミ教員で、学 生の情報を共有し、迅速な対応の検討等がなされている。また、実習の巡回訪問では、実習ゼ ミ教員が主となるが幼児教育コース所属の専門科目担当教員も、実習直前指導として学生の面 談をし、実習目標や不安なことを聞き取るなどして、巡回指導を担っている。また、年に 4 回 程度、 4 種類の実習(保育実習Ⅰ- 1 、保育所実習Ⅰ- 2 、保育実習ⅡないしⅢ、幼稚園実習)が終わる 頃の 7 月、11月、 1 月、 3 月に、其々の実習の総括として実習運営委員会を開催し、実習の様 子が報告され、課題等が共有される。  次に、養成校と保育現場の協働についてである。実習指導のシステム化(PDCA サイクル)に おいて「実習意見交換会」をCに位置づけたことで、表 3 に見るように、開催回数を重ねるご とに大学と施設の協働化がすすんだ。また本稿のⅢの 2 でも述べたが、実習指導のシステム化 の取り組みを継続してきたことで、大学と実習施設が、実習を依頼する・受け入れるという事 務的な関係だけではなく、「人育て」という価値観を共通認識し互いに指導を模索する関係性 が構築されてきている。  また、 5 年間の実習指導の経緯を表 2 に整理したが、上記 3 つの観点からみると、具体的な

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協働の姿(様子)を見ることができ、今後取り組むべき課題も明らかになったように思う。  なお、養成校間の協働については、実習ゼミ教員や専門科目担当教員が適時出席し、内容の 情報共有を行っている。 ₄  実習指導の改善と実習ゼミ教員の変化  ① 指導の充実    「実習意見交換会」では、施設から「実習後の評価の活かし方や実習後の学生の学びや内 面の変化を知り、実習の充実や施設運営に活かしたい。」という意見があった(表 2 参照)。こ れを受けて、実習ゼミ定例会 2 では「事前事後アンケート」の作成、「自己評価票」の改善 をした。    「事前事後アンケート」の実施や改善された「自己評価票」の活用により、実習ゼミ教員 は、これまで感覚的に捉えていた学生の内面変化を、数値や明確な言葉、変容の要因となっ た体験等の記述から、具体的かつ客観的にとらえることができるようになった。例えば、 「事前事後アンケート」により、学生の内面変化の契機となった子どもとのエピソードや職 員や利用者との出会いの詳細を知ることができた。実習ゼミ教員はこれらから、次の実習に 向けての学生一人一人に応じた課題を確認でき、励ましの言葉をかけることができた。    このように実習ゼミ教員の、一人一人の学生に対する理解が深まり、指導がよりきめ細か くなり、少人数体制による指導のメリットをこれまで以上に活かせるようになっている。  ② 実習ゼミ教員の専門性の深まり    実習ゼミ発足当初、実習ゼミ教員は、幼稚園・保育所の保育者としての経験は長いが、施 設職員としての経験は皆無であったので、施設実習に関する専門性については自ら課題を感 じていた。    しかし実習指導システムによる年次的、継続的な取り組みによって指導改善を図る中で、 これまで以上に施設実習に関する専門的な知識を得て、施設への認識と理解を深めることが できた。例えば、母子生活支援施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設・児童相談所一 時保護所は、施設の性質上、情報を得にくいが、「実習意見交換会」の場で、実習指導の内 容や評価の実際、学生の戸惑い等を開示し、直接的な助言や施設の特性を踏まえた貴重なア ドバイスを仰ぐことができた。実習ゼミ教員は、施設に関するより深い理解のもとで、実習 指導の改善につなげることができた。    実習を通して、ある施設から「学生の悩む様子はあるものの、施設の特性を理解している からこその悩みや戸惑いであることが分かる。」「学生が利用者支援において施設の特性を理 解した対応をしようと努力したり活動の工夫をしたりしている。」という評価をいただき、 施設の特性や役割の違いを踏まえた指導の具体化の成果を感じた。    また、施設への理解を深めるための資料作成「施設種別ごとの特徴と実習を深めるための ポイント」(巻末に資料の一部を添付)を通して、施設ごとの特性や機能に関する共通理解が進

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み、施設種別に応じた指導助言がより正確になった。

お わ り に

 2019年度の「事前事後アンケート」や「自己評価表」による自己評価結果をもとに、実習ゼ ミ定例会議 1 で改善策を練り、次年度の実習事前指導への反映を試みたが、今年度(2020年)は 新型コロナウイルス感染拡大の中、「実習意見交換会」を開催することができなかった。施設 実習は、学内演習で行い、その一部として種別の異なる 5 施設の職員に来学していただき、 其々ビデオ撮りした講話を学生に配信した。 学生は施設間の相違とともに類似点にも気づき、 社会的養護の理解を深めたようで多くの質問もあった(9)。これらはまとめて各施設にお伝えし た。  そして、2019年度の実習前と実習後に実施する学生への「事前事後アンケート」の結果報告 やワークシート「行ってきました」、改善した「自己評価票」の取り組み、学生の様々な内面 的変化とともに、2021年度の「実習意見交換会」において、施設から感想や意見をいただき、 翌年の実習指導の計画へと進めていきたいと考えている。  また、大学と施設とのさらなる協働を進める上で、「実習意見交換会」に欠席した施設には、 当日の共有された内容等について紙面等で報告し、ご意見等をいただけるようにしたいと考え ている。さらに保育実習Ⅲ(施設)を選択する学生は少人数ではあるが、保育実習Ⅰ-2と同様に、 共通認識された価値観「人育て」の観点から、大学と施設の協働のもと、学生の学びを深めら れるようにしたい。 <注> ( 1 )・ 全国保育士養成協議会「効果的な保育実習のあり方に関する研究Ⅰ―保育実習の実態調査から―」 『保育士養成資料集第36号』,2002 ・全国保育士養成協議会「効果的な保育実習のあり方に関する研究Ⅱ―保育実習指導のミニマムスタ ンダード確立に向けて―」『保育士養成資料集第40号』,2004 ・全国保育士養成協議会「効果的な保育実習のあり方に関する研究Ⅲ―保育実習指導のミニマムスタ ンダード―」『保育士養成資料集第42号』,2004  以上の 3 つの研究報告をさす。 ( 2 ) 全国保育士養成協議会『保育実習指導のミニマムスタンダード―現場と養成校が協働して保育士を 育てる―』,2007 の第 8 章おわりに の第 2 節保育者養成校の課題に示されている、 1 養成校における協 働  2 保育・福祉現場との協働  3 養成校間の協働 の中の 2 つ目の課題を指す。 ( 3 ) 京都華頂大学実習懇談会 https://www.kyoto-u.ac.jp/news/news-2427/(2020年 8 月30日) ( 4 ) 関西国際大学 教育福祉学科 保育実習・幼稚園教育実習懇談会  https://www.kuins.ac.jp/old_faculty/welfare/news/_7491.html (2020年 8 月30日) ( 5 ) 大阪府社会福祉協議会・保育部会発行の会報『保育おおさか』№505 http://www.niji-tumi.net/ (2020年 8 月30日) ( 6 ) 認定こども園の参加については実習生が保育所実習か幼稚園教育実習のどちらで受け入れていただ いかによって、保育所か幼稚園のいずれかの分科会に入っていただいている。

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( 7 ) 「実習意見交換会」の各実習施設の参加率は以下の通りである。 年度 保育所参加率 幼稚園参加率 施設参加率 備   考 2015 18% 4 % 31% 保育所・幼稚園は平均70を受け入れ実習施設 数とし、施設は平均29を受け入れ施設数とし て参加率を算出した。幼稚園保育所(こども園 含む)は実習依頼数が大変多く、施設は施設数 そのものも少ないこともあり母数に大きな差 がある。 2016 18% 6 % 31% 2017 17% 2 % 45% 2018 20% 11% 45% 2019 24% 11% 41% ( 8 ) PDCA サイクルとは,Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善) を繰り返すことに よって、生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法のこと。   https://ja.m.wikipedia.org>wiki>PDCA サイクル(2020年 8 月20日) ( 9 ) 学内演習におけるビデオ撮りは, 5 施設から其々の講話(90分)をしていただいた。学生たちは以下 の 5 つの観点からのレポート作成に取り組んだ。 ① 子ども達の様子やその背景から感じたこと ② 施設の役割や意義について理解したこと ③ 施設の職員の語り仕事に就いて理解したこと ④ 「あなた」と「あなたの家族」との関係との類似するところや相違するところから理解したこと ⑤ その他 <引用・参考文献> ・全国保育士養成協議会編『保育実習指導のミニマムスタンダード:現場と養成校が協働して保育士を育 てる』北大路書房 2007 ・一般社団法人全国保育士養成協議会『保育実習指導のミニマムスタンダード Ver. 2「協働」する保育士 養成』中央法規 2018 ・一般社団法人全国保育士養成協議会『平成29年度子ども子育て支援推進調査研究事業保育実習の効果的 な実施に関する調査研究 研究報告書』厚生労働省 2018年 ・小原敏郎(共立女子大学教授) 「保育実習について〜保育実習指導のあり方〜」2019年度保育士養成研 究所第一回研修会基調講演配布資料 ・田中利則監修,加藤洋子,一瀬早百合,飯塚美穂編著『事例を通して学びを深める施設実習ガイド』 2 ミネルヴァ書房 2018 ・久保木亮子「保育専攻学生による保育実習の総合性の意義に関する一考察」  『福祉臨床学科紀要』(17),2020,9-15 ・岩橋敏子「保育職の研究 保育実習指導における試み(5)保育者として協働できる力を育むには」  『東筑紫短期大学研究紀要』(49),2016,79-93 ・山田朋子 ・ 森美保子「保育の質向上に繋がる養成校と保育者との協働の在り方:実習評価票『学びの履 歴』を手掛かりに」『中村学園大学・中村学園短期大学研究紀要』(48),2016,73-82 ・澤津まり子 ・ 蔵永瞳 ・ 延原奈々絵・山根和枝 ・ 光守加奈子 ・ 片岡鎮佳・森崎有希「実習施設と保育士養 成校の協働による保育実習(保育所)の実践(4)エピソード記録の手引検証」『就実教育実践研究』 9 , 2016,79-92 ・澤津まり子 ・ 蔵永瞳 ・ 藤原真紀[他] 「実習施設と保育士養成の協働による保育実習(保育所)の実践 (3)実習日誌におけるエピソード記録を手がかりとして」『就実教育実践研』 8 ,2015,105-114 ・澤津まり子 ・ 宮本安恵 ・ 岡崎典子 ・ 牧野葉子 ・ 山根和枝 ・ 中島由香 ・ 吉永知恵 ・ 山根順子 ・ 熊代祐子 ・ 牧里美  「実習施設と保育士養成校の協働による保育実習(保育所)の実践─実習日誌の検討を手がかりと して─」『就実論叢』(43),2014,285-296 ・澤津まり子 ・ 鎌田雅史「実習施設と保育養成校の協働による保育実習(保育所)の実践:実習園の意識調

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査を手がかりして」『就実教育実践研究』 7 ,2014,83-97 ・相浦雅子 ・ 高濱正文 ・ 小野貴美子[他]・ 谷川友美「九州統一評価票の実現に向けての取り組み」 『別府短期大学部紀要』 (32),2013,125-131 ・澤津まり子 ・ 村田恵子「実習施設と保育士養成校の協働による保育実習(保育所)の試み」『就実教育実 践研究』 6 ,2013,83-97 ・村田恵子 ・ 大石文乃 ・ 澤津まり子「実習施設と保育士養成の協働による保育実習(施設)の試み:実習日 誌の指導を中心として」『就実教育実践研究』 6 ,2013,61-72 ・和田明人 ・ 君島昌志 ・ 青木一則[他]・ 米山珠里 ・ 日野さくら「保育者養成におけるアクティブ・ラー ニング」  『東北福祉大学研究紀要』37,2013,57-71 ・倉掛秀人「保育現場から見た保育実習 :「子ども」と出会う、「保育士」と出会う」(特集 協働で進め る保育実習)『保育の友』60(4),2012,21-24 ・石井章二「実習の振り返りを養成校での学びへ」(特集 協働で進める保育実習)『保育の友』60(4), 2012,17-21 ・小櫃智子「保育の過程の体験を重視した実習」(特集 協働で進める保育実習)  『保育の友』60(4),2012,14-17 ・増田まゆみ 「協働する保育所実習 : 保育現場と養成校」(特集協働で進める保育実習)  『保育の友』60(4),2012,10-13 ・森内智子 ・ 奥典之「保育と福祉の協働と保育実習教育(2)科目間連携の実践の重要性について」(人文・ 社会科学編第33号)『四国大学紀要』(33),2009,31-34 ・森内智子 ・ 奥典之「保育と福祉の協働と保育実習教育 保育総合支援室の実践を通して」(人文・社会科 学編第32号)『四国大学紀要』(32),2009,11-16 ・岡本和子「保育士養成校における保育実習の抜本的検討(1)―養成校と実習施設の連携を問う―」  『岡山県立大学短期大学部研究紀要』(14),2007,49-62 < 資料 > ・2015年度〜2019年度京都橘大学発達教育学部児童教育学科幼児教育コース「実習意見交換会」の施設分 科会の協議記録 ・2015年度〜2019年度京都橘大学発達教育学部児童教育学科幼児教育コース「実習ゼミ定例会議」の会議 記録

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巻末資料  P14「施設種別ごとの特徴と実習を深めるための実習のポイント一覧表」は「乳児 院」を含む全 8 施設について作成しているが、字数制限上、乳児院のみ紹介する。 なお、「どんな目的」「職業構成は?」の欄は、施設の目的や役割を示す根拠法や根 拠法に基づく職員構成を示す。職員構成は施設の特性により違いがあり、保育所実 習との違いが大きく見られるもので、実習前に認識しておきたい事項である。 「どんな仕事を?」「利用者は?生活は?」の欄は、施設における職員の具体的な 仕事の内容や利用者の状況、生活の様子について根拠法をもとに記している。保育 士以外の職務内容も含めてどのような仕事があるのか等を事前に知ることで施設に おける実習の大まかなイメージをもつことにつながる。 「実習のポイントなど」の欄は、実習の目的や実習に向かう姿勢、事前準備、心構 え、等を学生の事後告等をもとに記している。今後は学生による加筆修正を考えて いる。 資料 1  施設種別ごとの特徴と実習を深めるためのポイント一覧集 (乳児院) どんな目的? 職員構成は? どんな仕事を? 利用者は?生活は? 実習のポイントなど * 児童福祉法 ₃₇条 ・ 家庭で養育 が 困 難 に なった乳幼 児の家庭に 代わる生活 の場。 ・ 健全な発育 の促進と人 格形成を保 障する施設 ・ 退院後のア フターケア ・施設長 ・ 嘱託医(小児 科医)  ・看護師 ・保育士 ・児童指導員 ・ 心理療法担当 職員 ・ 栄養士や調理 員 ・ ファミリーソー シャルワーカー ・ 家庭支援専門 相談員 等 * 授乳 / 睡眠 / 排 泄 / 沐浴 / 食事 等の養育援助 * 成長発達や健康 状態に配慮した きめ細かな援助 例えば ・ 食事の工夫や家 庭的な環境作り ・ 社会経験のでき る外出や幼稚園 の送迎と連携 ・里親の支援 * 保護が必要な乳幼 ・ 生後 5 日目ぐらい の新生児から概ね 2 歳ぐらい。必要 に応じて就学前ま での幼児 ・ 障 害 児 や 病 虚 弱 児、被虐待児 ・ 母親の精神疾患や 若年未婚の母親、 ・ 借金返済等複雑な 家庭背景の乳幼児 * 家庭的な環境の生 活の中で一人一人 の 生 活 リ ズ ム に 沿 っ た 食 事、 睡 眠、 散 歩 等 を す る。   (乳児院が児童養 護施設と同一敷地 内にあり自然に生 活の場を移し措置 変更の分離不安等 を解消している施 設もある。) * 子どもたちへの理解、その 背景にある親や家族への理 解に努める。 * 乳児院の施設の特性や援助 の実践などへの理解を深め る。 * 職員の役割と業務内容、連 携の仕方等を体験的に学 び、親や家族支援の在り方 を知る。 そのために ・ 施設の成り立ちや役割につ いて事前に調べておく。保 育所との違い等も自分なり に捉えておく。 ・ 子どもの丁寧な観察と記録 からその内面を読み取る。 ・ 職員の動きをよく観察し、 その意図や連携の具体的な 方法などを自分なりに考え たり、質問等で確かめたり する。 ・ 乳幼児の健康や衛生管理に ついて復習しておく。 ・ 乳幼児の発達やおむつ交 換・授乳・食事の介助など の方法を復習しておく。

表 3  2015年度から2019年度の 5 年間の大学と施設の思いの変化 年度 大学と施設の思いの共有化 2015 ・ 学生の実態や生活様式等の変化から指導の難しさを感じているという「共通する悩みの発見」 があった。また実習ゼミ教員の指導上の課題に対する気づきがある。 2016 ・ 互いの学生理解が深まり、実態に応じた指導方法の必要性から、実習ゼミ教員の協働や同僚性 の涵養に加えて専門科目担当教員との連携が始まる。 ・学生の指導が双方の共通の関心事となる。 2017 ・ 学生のありのままの姿を受けとめ、表

参照

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