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JAIST Repository: 民間企業におけるグローバル化対応の実態と問題意識

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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 民間企業におけるグローバル化対応の実態と問題意識 Author(s) 小沼, 良直; 榊原, 清則 Citation 年次学術大会講演要旨集, 26: 424-427 Issue Date 2011-10-15

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/10154

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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2D19

民間企業におけるグローバル化対応の実態と問題意識

○小沼良直((株)テクノリサーチ研究所),榊原清則(法政大学) 1.概要 日本企業の多くは海外展開拡大の必要性に迫られているが、多くの企業が苦戦していると言われてい る。本発表は、日本企業のグローバル化対応の問題の中でも、地域ごとの収益性、苦労の程度、研究開 発の主な内容、人材に対する意識、欧米企業との比較などについて、これまで定性的にはいろいろと言 われてきたことをアンケート調査で定量的に裏付け、さらにヒアリング調査により企業の考え方の事例 を得て実態と問題意識をまとめたものである。 2.調査実施方法 本発表に使用するデータは、2010 年度 経済産業省産業技術調査「日本企業の研究開発投資効率に係 るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する調査」のものであり、アンケート及びヒアリング により調査を行った。(アンケート及びヒアリング実施期間:2010 年 11 月 25 日~2011 年 2 月 18 日) アンケート 調査対象 発送:日本企業 4,532 社(研究開発に係る業種から抽出、上場 2,155 社、未上場 2,377 社) 回収:907 社(回収率 20.0%) ヒアリング 調査対象 日本企業:12 社(電気機器、機械、自動車、造船、鉄鋼、情報通信、電気・ガス、製薬、化学) 欧米企業:Philips、Boeing、IBM、Akzo Nobel、DSM、P&G、Unilever 3.調査結果 3-1 日本企業に対するアンケート調査結果 ①国内市場と海外市場における収益性の比較 15.9% 15.6% 11.8% 16.7% 12.3% 33.3% 15.9% 20.0% 12.5% 11.8% 18.8% 14.3% 0.0% 50.0% 0.0% 25.0% 23.1% 17.6% 15.4% 11.5% 14.3% 49.8% 42.2% 52.9% 66.7% 47.7% 50.0% 48.8% 40.0% 37.5% 50.0% 37.5% 64.3% 100.0% 50.0% 100.0% 62.5% 53.8% 70.6% 53.8% 61.5% 50.0% 34.3% 42.2% 35.3% 16.7% 40.0% 16.7% 35.4% 40.0% 50.0% 38.2% 43.8% 21.4% 0.0% 0.0% 0.0% 12.5% 23.1% 11.8% 30.8% 26.9% 35.7% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体(n=502) 電気機器(n=64) 輸送用機器(自動車)(n=34) 輸送用機器(自動車以外)(n=6) 化学(n=65) 医薬品(n=24) 機械(n=82) 精密機器(n=25) その他製品(n=24) 食料品(n=34) 繊維製品(n=16) 情報・通信(n=14) 電気・ガス(n=3) パルプ・紙(n=4) 石油・石炭(n=1) ゴム製品(n=8) ガラス・土石製品(n=13) 鉄鋼(n=17) 非鉄金属(n=13) 金属製品(n=26) 建設(n=14) 国内よりも良い 国内と同等 国内よりも悪い 質問:事業の収益性について地域別に該当するものを選んでください。 (欧米の国々における事業展開) (アジアの国々における事業展開) 32.5% 30.1% 62.5% 37.5% 21.5% 4.0% 28.9% 29.0% 30.0% 36.4% 55.6% 21.4% 33.3% 80.0% 0.0% 72.7% 52.9% 26.1% 28.6% 46.3% 9.1% 28.6% 24.7% 22.5% 25.0% 30.4% 32.0% 24.4% 22.6% 26.7% 38.6% 16.7% 50.0% 66.7% 0.0% 100.0% 9.1% 23.5% 34.8% 28.6% 29.3% 42.4% 39.0% 45.2% 15.0% 37.5% 48.1% 64.0% 46.7% 48.4% 43.3% 25.0% 27.8% 28.6% 0.0% 20.0% 0.0% 18.2% 23.5% 39.1% 42.9% 24.4% 48.5% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体(n=616) 電気機器(n=73) 輸送用機器(自動車)(n=40) 輸送用機器(自動車以外)(n=8) 化学(n=79) 医薬品(n=25) 機械(n=90) 精密機器(n=31) その他製品(n=30) 食料品(n=44) 繊維製品(n=18) 情報・通信(n=14) 電気・ガス(n=3) パルプ・紙(n=5) 石油・石炭(n=1) ゴム製品(n=11) ガラス・土石製品(n=17) 鉄鋼(n=23) 非鉄金属(n=14) 金属製品(n=41) 建設(n=33) 国内よりも良い 国内と同等 国内よりも悪い ○欧米においては、「国内と同等」や「国内より悪い」が多く、「国内より良い」という企業は少ない。

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②事業展開及び研究開発における苦労の程度 ③研究開発の主な内容 質問:海外での事業展開及び研究開発における苦労について、各項目についての苦労の程度をお答え下さい。 (欧米など先進国での事業展開及び研究開発) (アジアなど新興国での事業展開及び研究開発) 25.4% 27.3% 17.1% 18.0% 14.8% 9.7% 27.0% 36.1% 53.8% 56.0% 51.1% 49.6% 52.9% 48.0% 49.5% 52.0% 20.8% 16.8% 31.7% 32.5% 32.3% 42.3% 23.6% 11.9% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100% a.現地ニーズの把握・情報収集(n=480) b.現地国へ展開するための戦略立案(n=477) c.言語対応(n=479) d.現地人材の活用(n=462) e.現地国企業との連携(n=467) f.技術情報・ノウハウの流出対策(n=473) g.規制や標準化などの現地向け対応(n=471) h.低コスト化への対応(n=479) 全体 かなり苦労している 多少の苦労がある 苦労はない 33.8% 36.3% 29.3% 26.2% 22.1% 33.3% 29.4% 53.4% 55.4% 53.0% 52.8% 54.7% 56.5% 47.1% 53.1% 37.0% 10.9% 10.7% 17.9% 19.2% 21.4% 19.6% 17.6% 9.5% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100% a.現地ニーズの把握・情報収集(n=607) b.現地国へ展開するための戦略立案(n=609) c.言語対応(n=608) d.現地人材の活用(n=600) e.現地国企業との連携(n=598) f.技術情報・ノウハウの流出対策(n=607) g.規制や標準化などの現地向け対応(n=603) h.低コスト化への対応(n=610) 全体 かなり苦労している 多少の苦労がある 苦労はない ○全体的に新興国対応の方が苦労の程度が大きい。 ○「低コスト化への対応」が先進国向け、新興国向けの両方で最も苦労が大きな課題となっている。 ○新興国においては、「技術情報・ノウハウの流出」も問題となっている。 質問:海外向けの研究開発の主な内容は何でしょうか?該当するものを1つ選んで下さい。 (欧米など先進国向け) (アジアなど新興国向け) 62.8% 65.3% 79.3% 14.3% 60.7% 30.4% 64.1% 43.5% 56.3% 100.0% 58.3% 40.0% 0.0% 100.0% 0.0% 85.7% 80.0% 73.3% 63.6% 50.0% 85.7% 32.7% 28.6% 17.2% 71.4% 33.9% 65.2% 29.7% 56.5% 31.3% 0.0% 41.7% 40.0% 0.0% 0.0% 0.0% 14.3% 20.0% 26.7% 36.4% 43.8% 14.3% 4.5% 6.1% 3.4% 14.3% 5.4% 4.3% 6.3% 0.0% 12.5% 0.0% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 6.3% 0.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体(n=382) 電気機器(n=49) 輸送用機器(自動車)(n=29) 輸送用機器(自動車以外)(n=7) 化学(n=56) 医薬品(n=23) 機械(n=64) 精密機器(n=23) その他製品(n=16) 食料品(n=21) 繊維製品(n=12) 情報・通信(n=5) 電気・ガス(n=0) パルプ・紙(n=2) 石油・石炭(n=0) ゴム製品(n=7) ガラス・土石製品(n=10) 鉄鋼(n=15) 非鉄金属(n=11) 金属製品(n=16) 建設(n=7) 既存製品をカスタマイズ 新規に生み出す その他 73.5% 72.2% 83.3% 28.6% 72.1% 68.2% 70.0% 60.9% 72.2% 92.3% 64.3% 40.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0% 75.0% 75.0% 83.3% 68.2% 91.7% 23.7% 25.9% 16.7% 57.1% 24.6% 27.3% 25.7% 39.1% 27.8% 3.8% 35.7% 40.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 25.0% 25.0% 16.7% 22.7% 8.3% 2.8% 1.9% 0.0% 14.3% 3.3% 4.5% 4.3% 0.0% 0.0% 3.8% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 9.1% 0.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体(n=422) 電気機器(n=54) 輸送用機器(自動車)(n=30) 輸送用機器(自動車以外)(n=7) 化学(n=61) 医薬品(n=22) 機械(n=70) 精密機器(n=23) その他製品(n=18) 食料品(n=26) 繊維製品(n=14) 情報・通信(n=5) 電気・ガス(n=0) パルプ・紙(n=3) 石油・石炭(n=0) ゴム製品(n=7) ガラス・土石製品(n=12) 鉄鋼(n=16) 非鉄金属(n=12) 金属製品(n=22) 建設(n=12) 既存製品をカスタマイズ 新規に生み出す その他 ○先進国、新興国向けいずれも「既存製品のカスタマイズ」中心。特に新興国向けではより顕著。 ○医薬品や精密機器のように欧米向けには新規開発が主体の業種も存在する。

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④海外に特化した戦略検討組織の有効性 ⑤グローバル化に対応できる人材の保有状況 ⑥欧米企業との比較 3-2 日本企業及び欧米企業ヒアリング結果 ①日本企業からの見方の例 ・欧米企業の方が、新興国への進出が早く、サプライチェーンなどの運用面で敗北感がある。【機械】 ・欧米企業は早くから新興国市場への対応を考えて各社連携している。【自動車】 ・欧米企業は新興国市場をよく把握しており、知名度も高く、ブランド力もある。【化学】 ・日本企業も早くからグローバル化しているが、薬の供給可能な国は限定的であり、まだまだ欧米企 業には及ばない。【医薬品】 ②欧米企業におけるグローバル対応の考え方の例 ・世界をグループに分けて戦略立案し、拠点は世界中から最適な場所を探して設置している。【IBM】 ・現地ニーズ把握やコストダウン対応は、現地人雇用又は現地生産で対処している。既にグローバル 化対応においては、60~80 年の歴史がある。【Philips】 ・最初からグローバル展開を意識して製品設計している。【P&G】 ・低コスト化への対応としては、サプライチェーンにおいて工夫をしている。現地理解のために人員 を派遣している。現地人の採用も重要視している。【Akzo Nobel】 質問:(海外展開に特化した組織を有する場合)それらの組織は機能していますか。 ○海外展開に特化した検討組織は有 していても、まだまだ不十分であ ることが示されている。 42.7% 50.9% 52.4% 34.6% 32.6% 27.7% 31.1% 18.9% 29.6% 27.6% 20.3% 23.9% 31.0% 34.0% 35.3% 36.0% 37.6% 27.3% 6.2% 5.1% 4.3% 5.4% 5.1% 6.6% 8.1% 19.1% 7.8% 23.5% 23.7% 19.4% 29.0% 28.3% 30.4% 24.8% 24.4% 35.4% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100% a.現地ニーズの把握・情報収集(n=609) b.現地国へ展開するための戦略立案(n=607) c.言語対応(n=607) d.現地人材の活用(n=607) e.現地国企業との連携(n=605) f.技術情報・ノウハウの流出対策(n=606) g.規制や標準化などの現地向け対応(n=608) h.低コスト化への対応(n=607) i.現地国向け研究開発への力の入れ方(n=605) 全 体 欧米企業の方が優れている 差はない 日本の企業の方が優れている わからない 質問:欧米企業の海外進出(アジア等新興国への進出)と比較して、日本企業の状況をどのようにお考えでしょうか? ○アジア等新興国への進出に関する 優位性については、「低コスト化へ の対応」で日本企業が優れている と考えている回答が多いものの、 「現地ニーズの把握」、「現地国へ 展開するための戦略立案」、「言語 対応」など、その他の全ての項目 において欧米企業に優位性がある と考えている企業が多い。 十分に有している 多少は有しているが、まだ まだ足りない ほとんど有していない 質問:グローバル化に対応できる人材を十分に有しているとお考えでしょうか? (社会人基礎力、外国語でのコミュニケーション能力、異文化理解・活用力など) 0.8% 23.0% 76.3% ○「十分に有している」と回答した 企業の数は非常に少なく、グロー バル化に対応できる人材に対する 不足感が出ている。 N=636 機能している 機能していない 85.2% 14.8% N=345

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4.調査結果のまとめと問題意識 4-1 現地国ニーズ把握・戦略面の強化 〔調査結果のまとめ〕 ・日本企業の多くが海外向けに特化した戦略検討組織を有していながら、「機能している」と考えて いる企業の割合は非常に低い。また、現地国ニーズ把握・戦略面で欧米企業よりも負けていると考 えている企業の割合が非常に高い。 ・ヒアリング調査対象である欧米企業は市場調査など現地ニーズの把握に力を注いでおり、現地人の 雇用も重視している。 〔問題意識〕 ・グローバル化対応を強化していくためには、現地国ニーズ把握・戦略面の強化が求められるが、こ れらについては欧米企業よりも劣っていると考えている企業が多く、強化に向けては人員の投入、 企業としての本気度などが必要と思われる。欧米企業はグローバル展開の歴史も長く、現地国ニー ズの把握に向けては現地人材の活用にも積極的であり、こうした取組みも参考にすべきと考える。 ・戦略立案ができる人材も必要だが、こうした人材の育成に向けては、企業内人材育成のみならず、 子供の頃からの教育の在り方も問われていると考える。 4-2 グローバル化に向けた研究開発 〔調査結果のまとめ〕 ・グローバル化に向けた研究開発の主な内容は、医薬品など一部の業界を除くと、「既存製品のカス タマイズ」、すなわち国内市場向けの製品を現地向けにアレンジすることが中心であり、海外向け のものを新規に生み出す割合は全体の中では少ない。 ・現地国向けの研究開発への力の入れ方では、欧米企業よりも劣っていると考えている企業が多い。 〔問題意識〕 ・既存製品のカスタマイズが中心の場合、経済的に裕福な国や日本人と好みが近い人種など、展開し やすい地域が限られる。最初からグローバル市場をターゲットとした研究開発の拡大が今後の課題。 4-3 収益性・コストダウンの問題 〔調査結果のまとめ〕 ・収益性という点では、全体的には国内よりも海外において苦戦している企業が多いが、業種の差が 大きく、特にアジアにおいてはより顕著である。 ・事業展開及び研究開発における苦労としては、「低コスト化への対応」をあげた企業が最も多い。 ・欧米企業と比較して、低コスト化対応ではさほど不利を感じていない企業が多いものの、現地企業 との連携では遅れを取っていると感じている企業は多い。 〔問題意識〕 ・海外(特にアジア)における収益性は、業種の差が顕著であるが、このことは海外におけるサプラ イチェーンをうまく構築できているかどうかに大きく依存しているように思われる。現地企業との 連携において欧米企業と比較して遅れを感じている企業が多いことも問題の一つと考える。 ・日本企業の海外展開は、前述のように既存製品のカスタマイズ中心の企業が多いが、カスタマイズ の手間も決して小さくはなく、このことも収益性に影響していると考えられる。 4-4 人材問題 〔調査結果のまとめ〕 ・グローバル化に対応できる人材を「十分に有している」と回答した企業の数は少なく、グローバル 化に対応できる人材に対する不足感が出ている。 ・欧米企業との優位性の比較においては、「現地人材の活用」という点で欧米企業の方が優れている と感じている企業が多い。 〔問題意識〕 ・グローバル化に対応できる人材の不足と合わせて、現地人材の活用という点でも欧米企業と比べて 遅れを感じている企業が多いが、日本国内でのグローバル人材の育成や外国人人材の有効活用、海 外における現地国人材の有効活用など、人材問題における課題は多い。

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