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中学校家庭科における実践力の育成プロセスを意識した教材開発

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Academic year: 2021

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中学校家庭科における実践力の育成プロセスを

意識した教材開発

赤塚朋子

・星良美

**

宇都宮大学

大田原市立若草中学校

**

  Tomoko Akatsuka*, Yoshimi Hoshi** :

  Development of teaching materials conscious of development process of practical ability in the junior high school at Home Economics education

  Keywords : original teaching

  materials,menu,learning stage,practical ability  * 所属1Utsunomiya University

** 所属2Wakakusa Junior High School

(連絡先:akatsuka@cc.utsunomiya-u.ac.jp 著者1) 概要 中学校家庭科において、生徒に基礎的・基本的な知識及び技術を定着させ、実践力をつけることで、 自立した生活の力をつけることが目標となる。しかし、実践力にするまでの指導は、授業時数の関係から工 夫が必要である。そこで、食の領域の力をつけるために、自作教材教具を開発し、授業実践した内容を報告 する。  献立を軸にした学習において問題解決的な学習を意図的・計画的に位置付け,繰り返し問題解決の経験を させれば食生活をよりよくしようと工夫する能力と態度を育むことができた。  キーワード:自作教材教具、献立、学習段階、実践力 1.食領域の学びの基本的な考え方  日常食の献立作成や調理などに関する3年間の学 習活動を通して,「1日分の献立を整えることがで きること」ができ,地域の食文化についての関心 と理解を深め課題をもってこれからの生活をよりよ くしようとする能力と態度を育成できるよう計画し た。また、献立を軸にした学習において,基礎的・ 基本的な知識及び技術の確実な定着を図ることがで きる題材に問題解決的な学習を意図的・計画的に位 置付け,長期間の休業を利用した課題学習の実施や 家庭との連携を図ることで効果的な指導ができるよ   図1 食の学びの3段階 うに計画している。 宇都宮大学教育学部教育実践紀要 第1号 2015年8月1日

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 献立を軸とした学習段階を3段階にわけ学習した 内容が上記である。  第1段階として,自分が食べたものが自分にとっ てよい献立であるかを判断できることとした。第2 段階では,自分の食べたものが自分にとってよい献 立であるかどうかを判断でき必要があれば改善策を 考える力が身につくこととした。また第3段階では, 1日の食事の概量・栄養素を理解し,地域の食材を 使い食事作りができるまでとした。  その学びを支援するため、自作教材教具を開発し た。食事プレートシート(那須地区研究会)、6つ の食品群マグネット、献立確認ソフトである。 2.自作教材教具について (1)食事プレートシート  食事プレートシートは,この図2の用紙1枚を食 事プレートと考える。生徒に主食・主菜・副菜・汁 物を意識化させることを目的としている。図2の中 央から実習をする料理名を記入し,その外側に作り 方・材料を記入する。またその外側に,どうしてそ の作り方・材料を記入し,どうしてその外側にその 作り方をするのかを記入できるようにした。教師が 設定した条件に対し,解決方法を考えたり,自分な りの価値判断の根拠を記入できるようにした。  食事プレートシートを段階別に使い分け学習する ことで,献立を軸にした学習では,食事プレートシー トを繰り返し段階別に使い分けて学習する。小学校 の振り返りから3年間使用し続けることにより、生 徒はこの食事プレートシートの作成が習慣となり、 献立作成の助けとなった。    図2 食事プレートシート (2)6つの食品群マグネット  献立に使った食品の栄養バランスが良いか確認す るために,食事プレートシートに合わせた6つの食 品群のマグネットを活用し学習を進める。6色のマ グネットを使い,6つの食品群の分類を行うときに 活用している。   図3 6つの食品群マグネット (3)献立確認ソフト  各自が献立を確認することのできる献立確認ソフ トを作成した。この献立確認ソフトは,授業中に立 てた献立の確認を行う。     図4 献立確認ソフト 3.学習段階と自作教材教具との関係  学習段階とそれに使用する自作教材教具の関係を 図5に示した。どの段階にも繰り返し登場すること が確認できるが、そう仕組むことで、生徒の学びに 浸透することを意図した。   図5 学習段階と自作教材教具の関係  食事プレートシートは,形を少しずつ変えながら 3年間を通じて活用する。6つの食品マグネットは,

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食事プレートシートで計画を立てた際,栄養バラン スがよいかを視覚から確認するときに使っている。 献立確認ソフトは,授業の導入で使用したり食事の 振り替え時は必ず活用している。調理実験・実習も 3年間をとおして計画的に実施している。 4.自作教材教具の実践例 (1)小学校の振り返りと献立学習の始まり  「食事の役割」の授業は小学校で学習している。 その振り返りを行うとともに、主食・汁物・おかず の配膳を,主食・主菜・副菜・汁物の配膳の形に変 更しながら、食事プレートシートの使い方の導入を 行っている。   図6 配膳形態の変化  この学びの最後には、食事の問題点を考えるとこ ろにまで使用し、食事プレートシートの使い方を身 に付ける。 (2)食事プレートシートの使用例 ① 食事の問題点を考える。  1年次で行っている授業である。教師側から1日 の食事例を食事プレートシートに置き換えてそれぞ れの食事の問題点を考える。 ② 食事プレートシートに置き換える。  1日の食事例を食事プレートシートに置き換え て、主食が多い食事であることに気づかせる。自分 の1日の食生活を振り返り,自分にとって良い献立 であるか判断できる力をつけさせるための授業であ る。 ③ 1日の献立の工夫を考える。 ④授業後の生徒の反応  以前なら「栄養バランスを考えて食べた方がよい」 だったものが,「主食と主菜ばかりでなく意識して 副菜を食べることが大切だ」「食事のバランスをよ くするために副菜の工夫をしないといけないことが 分かった」などより具体的な考え方が出せるなど変 容が見られた。

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   図7 食事プレートシートの例  そして、こうした授業とともに、野菜、肉、魚の 調理の授業を行うたびに食事プレートシートで献立 を作成する。その結果、3年生になると、図7のよ うな食事プレートシートが簡単に作成できるように なる。このことは、実践力の育成に効果的であると 考える。 (2)献立確認ソフトを使った例  献立の確認「よりよい食生活にプロデュース」 ① 教師側から提示した朝・昼の献立から夕食 の献立を考える。 ② 1日の食事例を食事プレートシートに置き 換え,食事の問題点を考える。 ③ 自作献立ソフトに入力する。 ④ 2群の不足しているところに注目させる。 ⑤ どんな改善をするか考えさせる。 ⑥ 献立の改善を考える。  このように、献立確認ソフトを使うと、改善すべ きことがすぐにわかり、生徒も意欲が増していた。  授業後の生徒の反応は下記のとおりである。 5.おわりに  生徒たちは,自分たちのことばで食生活の課題を 表現することができるようになってきた。  個に応じた指導を充実するための学習指導や学習 評価について、さらに実践研究を深める必要がある。 (2015年 3月31日 受理)

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