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個体性を維持したモデリング (生物現象に対するモデリングの数理)

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Academic year: 2021

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個体性を維持したモデリング

Modeling of population dynamics as individual-based 高須夫悟

奈良女子大学理学部情報科学科

Fugo Takasu

Department

of Information

and ComputerSciences Nara Women’s University, Nara 630-8506, JAPAN

[email protected] 個体群動態の数理モデリングは, 生命現象一般の数理モデリングにおいて最も古典的かつ基盤的な分野 である。全ての生物集団は, 生物個体の出生と死亡 (と移動分散) を通じて集団密度の時間変化を示すか らである。微分方程式あるいは差分方程式として表現される, いわゆる力学系としての個体群動態モデル は, 空間分布や齢例構造をはじめとした構造を持つ集団や時間遅れの効果など様々な数理的拡張がなされ, 解の挙動の数理的理解へ向けた研究が精力的に進められている。しかし, 力学系としての個体群動態は非 負の実数としての集団密度のダイナミクスに注目する故, 実際の生物個体がそれ以上分割できない単位で あるという 「個体性」は全く考慮されていない。はたして「個体性」は無視しうる, 取るに足らないものな のだろうか (文献 2)。個体性を陽に保ったモデルは必然的に, 非負の整数値を状態空間とする確率過程と なる。近年の計算機性能の向上により, 現実的仮定に基づく確率過程のシミュレーションが容易に実行可能 になったものの, 確率過程の解析的取り扱いは簡単ではない。 本セッションでは, 基礎的な確率過程モデルのシミュレーション実験, ならびにその数理的な取り扱いに ついて解説し,「個体」の視点からこれまでの個体群動態モデルを再構成することを試みた。関連する論文 を読み, 個体性を維持したモデリングの方法を理解して実践することを目指した。 まず最初に、構造を持たない集団の個体群動態 (平均場近似) モデルを紹介した。非負の連続量としての 集団サイズの力学モデルを出発点とし、 これを非負の整数値 (離散状態) としての集団サイズの確率論的動 態を記述した。次に、空間分布と言った構造を持つ集団の確率論的個体群動態を点過程として再現した (文 献1, 3)。各個体は競争核で重み付けされた局所密度に従って、 出生もしくは死亡を繰り返し、新規個体は 親個体から分散核に従って移動する過程である。 こうした点過程を解析的に取り扱う手法としてのモーメ ントダイナミクスを紹介した。

1. Law, R., Murrell, D.J. and Dieckmann, U., 2003. Population growth in space and time: spatial

logistic equations. Ecology, 84(1): 252-262.

2. Durrett, R. and Levin, S., 1994. The importance of being discrete (and spatial). Theor. Popul. Biol.,

46: 363-394.

3.

Law, R.

and

Dieckmann, U.,

2000.

Chapter 14 Moment approximations of

individual-based models.

In: Dieckmann, U., Law, R. and Metz, J.A.J., 2000. “The Geometry of Ecological

Interactions

SimplifyingSpatialComplexity,” pp. 252-270, CambridgeStudiesin AdaptiveDynamic, Cambridge University Press.

数理解析研究所講究録

参照

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