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日本語母語者のための英語教育

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(1)

日本語母語者のための英語教育

著者

小高 一夫

雑誌名

Shoin literary review

41

ページ

1-35

発行年

2008-03-10

URL

http://doi.org/10.14946/00001600

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

日本 語 母 語 者 のための英語 教 育

    English  Language  Instruction

               for

the  Learner  Who  Thinks  in Japanese

小  高   一   夫

  「先 日、 京 都 大 学 で学 ぶ 中 国 人 留 学 生 と話 す 機 会 が あ っ た 。 実 に見 事 な 日本 語 を話 す 。 高校 か ら 日本 語 の勉 強 を始 め 、大 学 で専 攻 した とい う。 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドか ら来 た 女 性 も、高 校 の選 択 科 目で 日本 語 を習 っ た と話 し て い た 。 二 人 に 限 らず 日本 語 が う まい外 国 人 が 本 当 に増 え て きた。 しか も 聞 い て み る と、 日本 語 習 得 の期 間 は 長 くない 。   文 部科 学 相 の私 的懇 談 会 が小 学校 で の 英 語 教 育 を検 討 す べ き との 報告 を 行 った 。 子 供 が 楽 しみ な が ら学 べ る形 で 、 と して い るが 、 早 期 教 育 で 日本 人 の英 語 力 を伸 ば そ う と い う狙 いだ ろ う。 で もそ の前 に 、専 門 家 に聞 きた い こ とが あ る。 中 学 と高 校 で 最 低 で も六 年 間 ①英 語 を学 び なが ら、 ほ とん ど話 せ ず 、 読解 力 も身 に付 か な い②の は なぜ か 、 と。   日常 生 活 や 会 話 に 必 要 な 英 語 の表 現 は、 中 学 で 習 っ た 内 容 で ほ と ん ど 用 が 足 りる③ とい う。 そ れ が 使 い こなせ ぬ④ とこ ろ に 日本 の 英 語 教 育 の 欠 陥 が あ る に相 違 な い。 米 大 統 領 に 「Who are you?」 ⑤ と ま じめ な 顔 で 言 っ て しま っ た 人 を総 理 に持 つ 国 民 の 一 人 と して 、 そ れが 知 りた い 。英 語 を専 門 的 に扱 え る入 の 育 成 を急 ぐ必 要 は あ る。 だ が、 そ れ と早 期教 育 は別 問 題 で は な い か 。 ま たそ もそ もの 問題 と して 、 だ れ もが 英語 を使 え な くて は、 い け な い の だ ろ うか 。 深 刻 な の は、 む しろ 日本 語 の 表 現 力 が 弱 まっ て い る こ との 方 で は 、 と も思 え る 。   言 葉 が 急 速 に 身 につ い て い く小 学 生 時 代⑥。 自分 を表 現 で きる 言 葉 の 楽 し さを子 ど もた ち が発 見 す る、 そ の 過 程 に英 語 教 育 が ど う影 響 す るの か 大 い に議 論 した い 。」(下 線 筆者)    「京都新聞」・朝刊(凡 語),2001年1月23日 一1一

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〈 寸 評 〉 ① 英 語 に 触 れ る 時 間 を仮 に 、1週5授 業 時 間(1回50分)、 年 間35週 と す る   と ・1年 間 の 授 業 時 間(50×5×35=8,750分 ≒146H寺間)は146時 間 。 ま た 仮 に   英 語 圏 で 、 道 を 歩 き、 学 校 へ 行 き、 授 業 を 受 け 、 友 達 と遊 び 、 バ ス に 乗   り、 家 で テ レ ビ を 視 聴 す る な ど の 日常 生 活 と比 べ る と、 一 日 に英 語 に触   れ る 可 能 性 の 高 い 時 間 は 、 睡 眠 時 間 の8時 間 を 引 い た16時 間 で 割 る と   (146÷16≒9)9日 間 に しか 相 当 し な い 。 英 語 圏 で 過 ご す と き の 英 語 と の   触 れ 合 い 時 間 は 、3年 間 で よ う や く1ヶ 月 程 度 、6年 間 で も2'ヶ 月 に 満   た な い 時 間 で あ る 。 ま して 授 業 が 日本 語 が ら み と な っ て は 、 ます ま す 英   語 と の 触 れ 合 い は 遠 退 く。

② 日本語型 の脳機 能の特 殊性 を考慮 しない 日本 語依存 の指導 の仕方 と、 英

  語 を必要 としない 日本社 会の言語環境が主 な原因。

③ 英 語 母語 者 の表 現 を忠 実 に記 憶 す る学 習 で は な く、 英 語 母語 者 の 表 現 と   は異 な って も基 本 的 な構 文(construction)と 一 語 一一語 を使 え る よ う にす   れ ば 、 中学 英 語 で 自 己表 現 は可 能。 ④ 英 語 の意 味 と用 法 の 指導 に終 始 せ ず 、 生 徒 が 主体 的 に発 言 した くな る よ   う な授 業 を展 開す れ ば よい 。

⑤"Who  are you?"は 、"How are you?"と 言 う積 も りで あ っ た そ う だ が 、 普   段 使 わ な い 英 語 を 使 う緊 張 感 と、 や は り、 英 語 が 自分 の こ と ば に な っ て   い な か っ た の で あ ろ う。 暗 記 英 語 の 域 を 出 て い な か っ た と思 わ れ る 。 ⑥ 日本 文 化 の 維 持 ・伝 承 とア イデ ンテ ィテ ィ確 立 の た め に、6歳 半 ∼8歳   半 まで の 母 語 形 成 期 は 日本 語 を きちん と学 ばせ た い。 日本 語 が 日本 語 母   語 者 の 思 考 を作 る。 日本 語 依 存 を忌 避 す れ ば、 脳 内 の言 語 の 型 が 日本 語   型 に 決 まっ て か らで も、 英 語 は正 し く習 得 で きる。 外 国 支 店 で会 社 を背 負 って 英 語 を使 う人 、 そ して 、 日本 を代 表 して外 国 と交 渉 す る人 で す ら、 心 底 か ら母語 同様 に英 語 を使 うの は難 しい と言 う。 一2

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確 か に、 こ とば とい う抽 象 を使 っ て現 実 の具 体 を理解 し、 表 現 す る の は難 しい 。 しか し、 そ れ は英 語 に 限 っ た こ とで は な い 。本 質 的 に、 こ とば はす べ て を言 い尽 くせ る道 具 で は な い。   た だ、 そ の よ う な世 界 共 通 の一 般 論 は さて お い て 、現 実 の 日本 の英 語 教 育 は語 学 面 だ け を重 視 した 指 導 か ら、脳 機 能 も重 視 した 指 導 へ の転 換 が 必 要 で あ る。 そ れ は 、 日本 語 を介 せ ず に英 語 一・言 語 だ けで 学 ぶ こ と、 教 え る こ とで あ る。 そ うす れ ば 、左 右 両 脳 のバ ラ ンス 良 い働 きを得 て 、 母 語(日 本語)同 様 に 自分 の 持 ち合 わせ る語 学 力 に応 じた 能 力 を 自然 に発 揮 す る こ とが 出 来 る。   外 国 出 身 の相 撲 の力 士 や 中 国 か らの留 学 生 が 、 日本 語 を母 語 同様 に使 っ て い る の は、 モ ン ゴル語 や北 京 語 とす り合 わせ て使 って い る ので は あ る ま い 。 稽 古 と 日常 の 中 で 実 際 と 日本 語 を結 ん だ 、 口本 語 一 言 語 だ け の生 活 を 送 っ て い るか らで あ ろ う。   一 方 、 日本 語 母 語 者 の大 部 分 は 、 母語 同様 の 神 経 過 程 と心 理 の流 れ で 英 語 を使 え る よ う に な る まで に は多 くの 時 間が か か る。 他 言 語 とは異 質 な 日 本語 の特 殊 性 もあ ろ うが、 日本 語 を介 した英 語 学 習 の仕 方 に原 因が あ る と 思 われ る。       〈 記 載 項 目 一 覧 〉 あ らま し は じめ に 1.英 語 と、 日本 語 母 語 者 の脳 機 構   1)日 ・米 母 語 者 の脳 にお け る音 認 知 機 構 の相 違       *脳 波 トポ グ ラ フ ィー を使 っ た大 脳 半球 優 位性 の 測 定   2)英 語 に よ る脳 機構 の バ ラ ンス の崩 壊     (1)日 本語 母 語 者 の脳 と非 日本 語 母 語 者 の脳     (2)脳 内 にお け る英 語 相 当 の 日本 語 探 索work   3)日 本 語 型 か西 欧語 型 に決 まる時 期 と環 境 II.日 本 語 の 弊 害   1)日 本 語 の 干 渉 一3

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    *1。A. Richards:「 初 期 言 語 指 導 の 原 則 」 第17項 2)日 本 語 の 排 除

3)日 本 語 依 存 が も た らす 、 誤 解 とReferent把 握 の ス キ ッ プ 4)二 言 語 同 時 使 用 の 難 度

  (1)同 時 に 二 つ は 見 え な い 例   そ の1"Bride  and  Mother--in-1aw 

pic-  pic-  pic-  tures"

(2)同 時 に 二 つ は 見 え な い 例   そ の2「 ネ ッ カ ー の 錯 視 」 5)日 本 語 不 要 の 英 語 教 育

(1)「 翻 訳 を 完 全 に 禁 止 す る こ と は 困 難 」 で は な い (2)教 科 書:English  Through  Pictures

      *1.A.  Richards:「 初 期 言 語 指 導 の 原 則 」 第18項 皿.基 本 的 な 基 礎 を 備 え た 教 授 法     Graded  Direct Method   1.学 習 者 に 負 担 を か け な い   2.SEN-SITsの 工 夫 、 右 脳 の 活 用   3.BASIC  Englishに よ る 基 本 語 彙 の 習 得   4・ 教 師 は ペ ラ ペ ラ ・エ キ ス パ ー ト で あ る 必 要 が な い   Delaying  Reac-  Reac-  Reac-  tions   5.Referent把 握 の 習 慣 化     言 語 教 育 、 究 極 の 目標   6・Thinking  in Englishが 可 能

  7.脳 の バ ラ ンス を 崩 さ な い 、 日本 語 不 要 の 教 え 方 お わ り に(ま とめ&工 トセ トラ)   1)教 授 法(普 遍性)≠ 指 導 法(個 人技)   2)英 語 が 出 来 る こ と ≠英 語 が 教 え られ る こ と   3)受p者 の 演 示(D・m・n・t・ati・n・)に対 す る 助 言 の 仕 方   4)大 学 「英 語 科 教 育 法 」 担 当 者 と授 業 経 験   5)基 本 を 学 ぶ と きの 教 科 書   6)確 か な 基 本 、 無 限 の 応 用 に 柔 軟 な 適 応   7)「 小 学 校 英 語 」 瞥 見   4一

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8)脳

と英語教 育 に関 して依拠 した主要 な文献

あ ら ま し

  角 田 忠 信 氏 の 研 究 に よ れ ば 、 「日本 語 母 語 者 の 脳 内 に 英 語 が 入 る と、 脳 機 構 の バ ラ ン ス が 崩 れ て右 脳 優 位 の 非 言 語 が 左 脳 に 移 る 。 左 脳 は 超 過 密 に な り、 右 脳 の 機 能 が 抑 制 さ れ て 、 脳 は正 常 に働 か な い 。 し か し、 未 知 の 外 国 語 は脳 に 影 響 し な い 。」       (角田忠信1985「脳 の発見 脳の中の小宇宙」大修館書店,pp.106∼113,概 要)       (角田忠信1981「右脳 と左脳一 その機能 と文化の異質性一」小学館,pp.73∼78,概 要)   私 は こ の 脳 機 構 の バ ラ ン ス 崩 壊 の 原 因 は 、 日 本 語 の 特 殊 性 に だ け あ る の で は な く、 日本 語 母 語 者 の 英 語 学 習 の 仕 方 に 起 因 す る と推 測 し、 下 記 の よ う に 考 え る 。   日本 語 母 語 者 の 英 語 学 習 の仕 方 が 日本 語 を介 して行 な わ れ る と、英 語 は 脳 内 で 「英 語=日 本 語 」とい うセ ッ トに な って 記 憶 ・保 存 され る。従 っ て、 新 し く英 語 が脳 内 に入 っ て くる と、 脳 は既 存 の 「英 語=日 本 語 」を探 索 し、 そ の セ ッ トの 中 の 日本 語 で 理解(イ メージ)す る。   こ の 「英 語=日 本 語 」 探 索workは 二 種 類 の 言 語 を 同 時 に 使 う の で 、 特 に 英 語 と は 異 質 な特 徴 を持 つ 日本 語 で も あ り、 こ れ に は 非 常 に 大 き な エ ネ ル ギ ー が 必 要 で 、 難 度 も高 い 。 例 え ば 、 「英 語 が 脳 内 か ら無 くな っ て も、 一一旦 右 脳 か ら左 脳 に 移 っ た 非 言 語 は そ の ま ま左 脳 に 留 ま っ て 、 長 時 間 バ ラ ンス の 崩 壊 は 持 続 す る。」(角 田忠信 「右脳 と左脳一その機能 と文化の異質性一」p・76, 概要)と い う角 田 氏 の 実 験 結 果 や 、「ネ ッ カ ー の 錯 視 」(後 述)か ら も分 か る 。 そ し て 、 こ の 探 索workが 、 脳 バ ラ ン ス を 崩 壊 さ せ る 元 凶 で は な い か と 推 測 す るが 、 デ ー タ不 明 で 分 か ら な い 。   日本 語 を介 して 英 語 を学 ん だ 日本 語 母 語 者 に と っ て 英 語 が 難 しい 理 由 は、 英 語 が脳 内 に入 る と脳 機 構 の バ ラ ンスが 崩 れ て、 イ メー ジ操作 をつ か さ どる右 脳 の機 能 が抑 制 され 、 意 味 の理 解 を困 難 にす るた め で あ る。 何 故 一5一

(7)

な ら ば 、 こ と ば の 意 味 は 外 在 的 に は 実 物 ・実 際(と きには、虚欄 だ が 、 内 在 的 に は イ メ ー ジ(-pi・t・・es i・th・mind)で あ る か ら、 意 味 の 決 定 は右 脳 の 機 能 に 大 き く依 存 す る 。 左 右 の 両 脳 が 正 常 に 機 能 し な い こ と は 、 英 語 の 意 味 理 解 に は 大 き な 障 害 で あ る 。 即 ち 、 「英 語 は 難 し い 」 と な る 。   従 っ て 、 脳 機 構 の バ ラ ンス を 崩 さ な い こ と が 、 英 語 の 理 解 と使 用 を容 易 に す る 。 そ の た め に は 、 脳 内 に 「英 語=日 本 語 」 の セ ッ トを 作 ら な い こ と で あ る 。 即 ち 、 日本 語 に 依 存 し な い 仕 方 で 学 習 す る必 要 が あ る 。   例 え ば 、 英 語 に そ の 意 味 を 載 せ て 教 え る 。 つ ま り、 英 語 の 意 味 を 日本 語 で 与 え ず に 、実 物 で 示 し、 実 際 を演 示 し、絵 な ど を使 い 、 そ して 、一 般 的 、 抽 象 的 な 事 柄 は 身 近 で 具 体 的 な 例 を あ げ て 「見 え る 仕 方 で 教 え る 」。(1.A.

Richards,  Design  for  Escape,  World  Education  Through  Modern  Media , Harcourt,  Brace&World,

p.125,概要)そ うす る と、 学 習 者 は 自分 が発 見 した事 柄 や ア イ デ ィ ア を既 習 の 英 語 で 、 母 語 同様 に感 情 を伴 い、 自然 な心 理 の 流 れ で伸 び伸 び と言 う こ とが 出 来 る。 この 事 実 は左 右 の 両 脳 が 正 常 に 機 能 して い る か ら に他 な ら な い 。   こ れ に よ っ て 、 次 の こ と が 推 測 で き る 。 英 語 の 意 味 を 日 本 語 で 与 え な い 上 述 の 仕 方 で 教 え る と 、 英 語 が 意 味 を 伴 っ て 脳 内 に 入 る の で 、 難 度 の 高 い 「英 語=日 本 語 」 探 索workは 不 要 に な る 。 こ れ に よ り 、 脳 機 構 へ の 影 響 を 及 ぼ す 要 素 が な く な っ て 、 脳 バ ラ ン ス は 崩 れ な い 。 即 ち 、 右 脳 の 非 言 語 が 左 脳 へ 移 る こ と も な く 、 左 右 両 脳 は 正 常 に 働 く 。 「右 脳 の 機 能 が 抑 制 さ れ な け れ ば 、 本 来 の イ メ ー ジ 操 作 は フ ル に 働 く 」(角 田忠 信 「右 脳 と左 脳 一 そ の機 能 と文 化 の 異 質 性 一 」pp.77∼78,概 要)か ら 、 英 語 の 意 味(イ メ ー ジ)を 容 易 に 理 解 し 、 直 感 や ア イ デ ィ ア も 湧 い て 自 己 表 現 が 可 能 に な る 。 同 時 に 、 「日 本 語 の 干 渉 を 受 け な い の で 、 英 語 の 発 音 を 素 直 に 聴 き 取 り 、 学 習 者 が 使 う 英 語

はbroken  Englishに な ら ず 、  Thinking  in Englishも 可 能 に な る 。」(L A . Richa・d・, Design for Escape, World Education Through Modern Media , p 127,概 要)

は じ め に

日本 語 母 語 者 の多 くは英 語 が 苦 手 。 特 に、 口頭 で述 べ る こ とが 不 得 意 で

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あ る、 との認 識 か ら英語 教 育 を考 え る。 原 因 は語 彙 や発 音 、 文 法 な ど語 学 的 な面 か らの学 習 が不 十 分 で あ る の で は な く、 脳 の 機 能 を等 閑視 した学 習 の 仕 方 、 教 え方 に あ る。 さ らに、 日本 語 母 語 者 と非 日本 語 母 語 者 は脳 の メ カニ ズ ム が異 な り、 感 じ方 、 思 考 の仕 方 が 異 な る こ と も英 語 に よ る伝 達 行 為 を難 し く して い る。   本 稿 で は、 角 田忠 信 氏 の 脳 機 能 の 実験 結 果 と、1.A. Richardsの 言 語 学 習 理 論 の 実 際 に基 づ き、 い ま求 め られ て い る英 語 力 を習 得 す る に は、 日本 語 に依 存 しな い 仕 方 が 良 い こ と を述 べ る。 そ の 根 拠 に な る主 な事 柄 く下記(1) ∼(5)〉を取 り上 げ て 考 察 し、 日本 語 母 語 者 の 英 語 学 習 に適 した 教 授 法 の概 要 を提 示 す る。 (1)日 本 人(日 本 語 母 語 者)と 米 国 人(非 日本 語 母 語 者)の 脳 機 構 の 相 違 。(角 田 忠     信 「脳 の発 見   脳 の 中 の小 宇 宙 」 口絵 。 脳 波 トポ グ ラ フ ィー に見 る 大 脳 半 球 優 位 性 。) (2)日 本 語 母 語 者 の 脳 へ の 英 語 の 介 入 は 、 脳 の 生 理 機 構 の バ ラ ン ス を 崩 し     て 、 正 常 な 働 き を 阻 害 す る 。 即 ち 、 母 語 同 様 の 発 想 や 展 開 が 出 来 に く     い 。(角 田忠 信 「右 脳 と左 脳 一 そ の 機 能 と文 化 の異 質 性 一 」pp.73∼78,ほ か) (3)「 ネ ッ カ ー の 錯 視 」 で 見 え る 複 数 の 立 体 が 一 度 に は 一 つ し か 認 知 で き     な い の と 同 様 に 、1つ の 物 事 ・実 際 の 意 味 が 複 数 の 言 語 で 表 出 で き る     と き に も 、 複 数 の 言 語 を 同 時 に 認 知 す る こ と は 不 可 能 。 瞬 時 の 差 が 必     要 で あ る 。 ど の 言 語 を 選 ぶ か は 、 能 動 的 な 神 経 過 程 の 働 き が 関 与 す る     と 思 わ れ る 。 そ の よ う に し て 選 ん だ 一 つ の 言 語 で 考 え る の が 自 然 な 神     経 過 程 と 心 理 の 流 れ で あ る 。(cf.山 鳥 重1985「 脳 か らみ た 心 」pp.111∼114,ほ     か) (4)日 本 語 に 頼 る と 、 日 本 語 の 構 文(construction)と 音 素 が 干 渉 し て 、  bro-  bro-  kenbro- Englishを 使 わ せ 、 誤 っ た 発 音 を さ せ る 。 さ ら に 、 Thinking  in Eng-  in Eng-  lishを 不 可 能 に す る 。(1.in Eng- A. Ri・h・・d・, Design,for Escape, World  Education Through M・d-  Education Through M・d-  ernEducation Through M・d- Media, p.127)

(5)Graded  Direct  Method(GDM)

    脳 の バ ラ ン ス を 崩 さ な い の で 、 母 語 同 様 に 自 然 な 思 考 と 自 己 表 現 が で     き る 。

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1.英

語 と 日本 語 母 語 者 の 脳 機 構

本 項 目で脳 に 関 す る 事 項 は1)、2)、3)と も に全 て 、 角 田 忠 信 氏 の 著 作 の な か の英 語 教 育 に 関 る箇 所 、 また は、箇 所 の 概 要 を書 い て 引 用 し、 考 察 と推 論 を付 加 して そ の 理 由 を述 べ た。 1)日 ・米 母 語 者 の 脳 に お け る 音 認 知 機構 の 相 違   *脳 波 トポ グ ラ フ ィー を使 っ た大 脳 半 球 優 位 性 の 測 定     [母音 「あ」,コ オ ロギ,バ イ オ リ ン  の場 合] 角 田忠 信(1985)「 脳 の発 見  脳 の 中 の 小 宇 宙 」 大 修 館 書 店,口 絵   S

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  最 も高 い 電 位 は 赤 で 示 さ れ 、 脳 の どち ら側 の 活 動 が 活 発 で あ る か が 視 覚 的 に わ か る。 母 音 「あ 」 と コ オ ロ ギ の 鳴 き声 の 場 合 、 日本 人 は 左 脳(言 語 脳)が 優 位 で あ る の に 対 して 、 米 国 人 は 右 脳 倍 楽脳)が 優 位 で あ る 。 こ の こ と は 、 日本 語 を 母 語 とす る 人 に は 、 母 音 「あ 」 や コ オ ロ ギ の 鳴 き声 は 脳 内 で 意 味 を持 つ と い う こ とで あ る 。   ま た 、 日本 語 の 母 音 は 「あ 」 に 限 らず 、____音に も意 味 が あ る 。 例 え ば 、 「あ 」=亜 、 阿;「 い 」=胃 、 意 、 異 、 医 、 衣 、 亥 、 井;「 う」=卯 、 鵜 、 宇 、 兎 、 右 、 雨 、 羽 、 宇 、 有 、 得;「 え 」=絵 、 柄 、 餌 、 江 、 恵 、 重 、 会 、 慧;「 お 」=尾 、 緒 、 汚 、 雄 、 男 、 小 な どが あ る。   「秋 の 草 む ら や 、 と き に縁 の 下 で 鳴 く コ オ ロ ギ は 確 か に わ れ わ れ 日本 人 に は 無 意 識 の う ち に も意 味 を 感 じ させ る。 一 方 、 米 国 人 は そ う で は な く、 単 な る音 と して 聞 く。 しか し 、 バ イ オ リ ンの よ う に 整 然 と した 倍 音 構 造 を 持 つ ハ ー モ ニ ッ ク な 音 の 場 合 に は 、 日本 人 も米 国 人 も右 脳 が 優 位 で あ る 。」       (角田忠信 「右脳 と左脳一その機能 と文化の異質性一」pp.82∼85,概 要)   「こ の こ と か ら、 日本 人 と 米 国 人 との 間 に は 脳 の 働 き に 違 い が あ る こ と が 分 か る 。 そ し て 、 こ の 違 い は 、 米 国 人 、 西 欧 人 に 限 らず 、 韓 国 、 中 国 、 ア ジ ア 諸 国 、 イ ン ド、 香 港 の 中 国 人 を含 め た 非 日本 語 母 語 者 の す べ て の 人 と比 べ て も同 様 で あ る 。こ れ は 人 種 の 違 い や 遺 伝 に 由 来 す る も の で は な く、 口本 語 と い う言 語 が 原 因 で あ る 。 こ の 日本 語 と い う 、 ど の 語 族 に も属 さ な い ひ と きわ 特 殊 な 言 語 と そ れ に よ っ て作 ら れ た 高 度 な 文 化 の 中 で 育 っ た 人 の 脳 は 、 他 の 言 語 を 母 語 と す る 人 の 脳 と は 異 な る 。」(角 田忠信 「日本 人の脳」 pp,170∼172,概 要)   9-一

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2)英

語 に よ る脳 機 構 の バ ラ ンス の崩 壊

 (1)日 本語母語者 の脳 と非 日本語母語者 の脳

角 田 忠 信(1985)「 脳 の 発 見   脳 の 中 の 小 宇 宙 」 大 修 館 書 店,p.105   左 脳(言 語脳)は シ ンボ ル操 作 を行 い 、理 論 的 、 解析 的 で あ り、 言 語 的 知 性 、論 理 数 学 的 知 性 の分 野 を扱 う。 右 脳(音 楽脳)は イ メ ー ジ操 作 を行 い 、 直 感 的 、構 成 的 で あ り、 音 楽 的知 性 、絵 画 的 知 性 、 空 間 的知 性 の 分 野 を扱 う。   と こ ろ で、 日本 人(日 本語母語者)と 西 欧 人(非 日本語母語者)の 脳 に お け る 自然 音 、言語 音 、楽 器 音 の 認 知 機 構 を比 較 す る と、上 図 に見 られ る よ う に、 明 らか な違 い が あ る。   日本 語 母語 者 の左 脳 で は言 語 音 を始 め 、泣 き ・笑 い な どの 感 情 音 、動 物 ・ 虫 ・鳥 な どの 鳴 き声 、 風 の音 ・川 の流 れ な どの 自然 音 、 邦 楽 器 音 な ど、 い 一10一

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わ ば ロ ゴス 的 、パ トス 的、 自然 的 な音 、心 に相 当す る音 す べ て が 認 知 され 、 右 脳 で は西 洋 楽 器 音 、 機械 音 、 雑 音 とい っ た物 の 音 の み が 認 知 され る。 つ ま り、 日本 語 母 語 者 の 脳 は左 に偏 っ て重 い。   一一方 、非 日本 語 母 語 者 の左 脳 は言 語 音 の み を認 知 し、右 脳 で 西 洋 楽 器 音 、 機 械 音 、雑 音 とい った物 の 音 の ほ か、感 情 音 、動 物 ・虫 ・鳥 な どの 鳴 き声 、 邦 楽 器 音 が 認 知 され る。 つ ま り、 左 脳 は ロ ゴス 的 な音 の み を認 知 し、 右 脳 は物 や 自然音 を含 め てパ トス 的 な音 の み を認知 す る。   (2)脳 内 にお け る英 語 相 当 の 日本 語 探 索work   日本 語 母語 者 の脳 内 に英 語 が 入 る と右 脳 倍 楽脳)の 非 言 語 音 まで も左 脳 (言語脳)に 移 動 して 、 左 脳 が 過 密 に な る。 そ の た め に、 右 脳 は希 薄 に な り、 脳 機 構 はバ ラ ンス が 崩 れ て、 正 常 な働 きが 出来 な くな る 。角 田氏 の 実験 に よ る と、 被験 者 は英 語 を聞 い た と き 「左 の 頭 が 重 く異 様 に感 じ られ る こ と を 自覚 す る。」(角田忠信 「右脳と左脳一その機能と文化の異質性一」,P.76)と い う。   右 脳 が 抑 制 を受 け て 本 来 の働 きが 出来 な くな れ ば、 イ メ ー ジ操作 に支 障 が 出 て、 直感 力 、 構 成 力 な どに影 響 を与 え る か ら、 ア イデ ィアが 乏 し くな る。 これ は 自己 表現 に とって は致 命 的 な障 害 で あ る。左 右 両脳 の機 能 のバ ラ ンス が保 た れ て こそ 初 めて 、 本 来 の思 考 が 出 来 る。 つ ま り、 英 語 を 自分 の こ とば と して使 用 で きる。   しか し、 で は、 日本 語 母 語 者 は必 然 的 に、 あ る い は運 命 的!に 母 語 同様 に使 え る英 語 の 習 得 は 困難 な の か?日 本 語 母 語 者 の場 合 、左 脳(言 語脳)優 位 の感 情 音 、 自然 音 、動 物 や 虫 の 鳴 き声 、 邦 楽 器 音 な どが 何 らか の 感 じや 意 味 を持 つ の は理 解 で きる。 で は何 故 、 英 語 は素 直 に意 味 が わ か らない の か?英 語 は言 語 で あ り、言 語 は 日本 語 母 語 者 の場 合 で も左 脳 優 位 で 処 理 さ れ る こ とに な っ て い る。   未 知 の言 語 が 脳 の働 きに影響 を与 え な い の は、 お そ ら く 「雑 音 」 と して 右 脳 で処 理 され 、左 脳 に は入 らな い か らで あ ろ うが 、 日本 語 母 語 者 の左 脳 が 、 ロ ゴス 的 な もの もパ トス 的 な もの も備 えて い なが ら、 何 故 、既 知 の 言 語 で あ る英語 が 新 た に入 る と、 右 脳 の 非 言 語 まで を引 き入 れ て脳 機 構の バ ラ ンス を崩 す のか? 一11一

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  既 知 の英 語 が 影 響 を与 え るの は何 故 か?  そ れ は 、 日本 語 母 語 者 が 英 語 の 意 味 を 日本 語 に置 き換 えて 「英 語=日 本 語 」 とい うセ ッ トで 覚 え て い る か ら、 脳 内 に入 っ て きた 英 語 を理 解 す る 時 、 そ の英 語 に相 当 す る脳 内既 存 の 日本 語 が 必 要 に な る。 少 々厄 介 な言 い方 をす れ ば 、脳 は 「新 た な脳 内介 入 英 語 の情 報 処 理 に必 要 な、 既 存 の英 語 相 当 日本語 の探 索work」 をす る。   外 在 的 な 「意 味 」 は 実 物 ・実 際(と きには虚構)で あ るが 、脳 内 の 内 在 的 な 「意 味 」 は イ メー ジ化 され る の で、 右 脳 の イ メー ジ操 作 機 能 が必 要 に な る。 しか し、 脳 機 構 が バ ラ ンス を欠 い て い るの で 正 常 に機 能 しな い 。 これ が 意 味 の把 握 を困 難 にす る理 由 で あ る、 と推測 す る。   と ころ で、 英 語 の リス ニ ング と リー デ ィ ング につ い て、 大 石 晴美 氏 に よ る光 トポ グ ラ フ ィを使 った 脳 の血 流 量 の測 定 が あ る。 リス ニ ングの と きに 「初 級 学 習者 」 の左 脳 に全 く血 流 が 認 め られ な い の は、 実 験 終 了後 の被 験 者 の 発 言 が 「ま っ た く分 か り ませ ん で した 。 あ き らめ ま した。」 で あ っ た よ うだ が、 被 験 者 に とって ヒア リ ン グの英 語 は、左 脳 で一 生 懸 命 考 え た後 に 「難 しす ぎた 」 とい う よ りも、 聴 い た 瞬 間 に言 語 範 疇 か ら外 して 「未 知 の言 語 」と同 じに扱 っ た とい え よ う。 つ ま り、 言 語 の 範 疇 に入 らな け れ ば、 左 脳 は 反応 しない 。 しか し、 右 脳 が 少 しの 反 応 を示 して い るの は、 や は り 一 応 、 「分 か ろ う(=イ メージしよう)」と して取 り組 ん だ被 験 者 と して の素 直 な気 持 ちが現 わ れ て い る。   た だ 、 同 じ被 験 者 が 、 リー デ ィ ン グの と きに左 右 の両 脳 が真 っ赤 に な っ て い るの は 、 か な りの負 担 が か か り、苦 痛 に耐 え て頑 張 っ て い る姿 が 浮 か ん で可 哀 そ うで す らあ る。 英 語 母 語 者 並 み の エ キ スパ ー トで あ れ ば 、 必 要 な分 野 だ け が 赤 くな る。 つ ま り、 この被 験 者 は他 分 野 まで を総 動 員 して働 か せ た わ けで あ る。 しか し、 日本 全 国 に は 、正 に この よ うに苦 しみ なが ら、 日本 語 を使 って 英 語 を学 ん で い る生 徒 た ちが 数 多 くい る に違 い ない 。 一12一

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    リ ス ニ ン グ 課 題 遂 行 時 脳 内 活 性 状 態 (課題 提 示20秒 後画 像:赤:血 流 状 態 、青:安 静状 態) (大石晴美2006「 脳 科学か らの第二言語習 得論 英語 学習 と教授 法 開発」 口絵,昭 和 堂) 3)日 本 語 型 か 西 欧 語 型 に 決 ま る 時 期 と環 境   非 日本 語 母 語 者 の 中 に は10数 ヶ 国語 を 自由 に使 い こなす 人 が い る と聞 く が 、 そ の 中 に 日本 語 が入 っ て い る とは 聞か な い 。   「二 つ の 言 語 を母 語 の よ う に使 え る二 重 言 語 者 につ い て も、 日本 語 型 か 西 欧 語 型 の どち らか に属 して 中 間型 は い な い。 そ して そ の 型 の 決 定 に重 要 な時 期 は、6歳 以 前 の 言 語 環境 は係 わ りな く、6歳 の 終 わ りか ら、8歳 の 終 わ りで あ り、そ の 間 に使 う言 葉 に よっ て 決 ま る。また 、帰 国 子 女 の 場 合 、 両 親 は外 国滞 在 中 も家 庭 内 で は 日本 語 を話 して い る場 合 が 多 い の に、 この   13一

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時 期 を 非 日本 語 圏 で 生 活 し て い た 子 供 の 脳 は 西 欧 語 型 で あ っ た こ と か ら、 言 語 の 優 位 性 が 日本 語 型 に な る か 、 西 欧 語 型 に な る か の 決 定 は 、 家 庭 環 境 よ り も社 会 環 境 で あ る と い え る。」(角 田忠信 「脳の発見 脳の中の小宇宙」PP.113∼ 120概要)   生 まれ た と きか ら父 母 の一 方 が 日本 語 で 話 し、 他 は英 語 で話 す家 庭 の 子 供 は両 言 語 を何 の抵 抗 もな く 自由 に話 す とい う理 由 で、 幼 児(就 学以前)の 頃 か らの英 語 指 導 を勧 め る者 もい るが 、 そ の よ うに稀 有 な家 庭 環境 の 一 事 を以 っ て、 日本 の一般 家 庭 に育 つ 幼 児 に 当 て は め る の に は 問 題 が あ る。確 か に幼 児 の聴 取 可 能 な周 波 数 領 域 は16ヘ ル ッ ∼16,000ヘ ル ツで格 別 に広 い か ら、 音 を拾 う耳 は 人 生 で 最 も有 能 であ る。 しか し、1年 生 ∼3年 生 ま で は言 語 と情 動 の機 能 が著 し く、 言 語 の型 が 確 立 す る 時期 なの で 、小 学 校 へ 就 学 して英 語 の勉 強 を止 め て し ま う と、 非 日本 語 圏 あ るい は幼 児 英 語 教 室 で 学 ん だ英 語 は直 ぐに忘 れ て 、日本 語 の 言 語 環 境 に馴 染 ん で しま う。特 に、 子 供 に とっ て は、 言 語 の型 に影 響 を与 え る社 会 環 境 が英 語 を不 要 と して い る の で、 意 図 的 に続 け ない 限 り、 学 校 で英 語 を学 び始 め る小 学5年 生 あ る い は 中学1年 生 に な る まで に は、 ほ とん ど忘 れ て しま う6

皿.日

本 語 の 弊 害

1)日 本 語 の 干 渉     *1.A.  Richards「 初 期 言 語 指 導 の 原 則 」 第17項

    17Such  grading  makes  any  recourse  to the  mother  tongue  unnecessary.

      It should  be  avoided  because  it revives:

      a}  Constructions  used  in the  mother  tongue,  the  chiefi  source  of 

bro-  bro-  bro-  bro-  bro-  ken  language  learning,

      b)  Phonemes  of the  mother  tongue,  the  source  of mispronunciation.

      c)  Bi-lingual  associations  in  place  of  SEN-SITs.  These  prevent

      "thinking  in the  new  language,"which  is possible  from  the  first.       {i.A.  Richards,  Design  for Escape,  World  Education  Through  Modern  Media,  p.127}

「、 、 、上 述 の段 階 付 け は母 語 へ の 依存 を不 要 に す る 。母 語 に頼 る と母 語 の 構 文 が 干 渉 してbroken  Englishを 作 る主 要 な 原 因 と な り、 母 語 の音 素 が 間

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違 っ た英 語 の発 音 を させ る原 因 に な る。 ま た 、英 語 を そ の 意 味 を表 わ す 場 と結 び付 け な い で 、 母 語 と結 び つ け る か ら、 英 語 で考 え る こ とが で き な い 。 と こ ろで 、英 語 で考 える こ とは 、 最 初 か ら出来 る こ となの で あ る。」(概 要)

  1.A, Richardsに よ れ ば 、 日本 語 に 頼 る と、 日本 語 の 構 文(constructions) と音 素 が 干 渉 してbroken  Englishを 使 わ せ 、 誤 っ た 発 音 を させ る 。 さ ら に 、 英 語 に 日本 語 が 結 び つ き、Thinking  in Englishを 不 可 能 に す る 。

  そ れ に 加 え て 、 前 項 既 述 の よ う に 、 日本 語 を 通 し て 英 語 を学 ん だ 日本 語 母 語 者 の 脳 は 、 新 し い 英 語 を 受 け 入 れ る とバ ラ ン ス を 崩 して 、 正 常 に働 か な い 。 つ ま り、 左 右 の 脳 機 能 の 協 調 に よ っ て 初 め て 生 ま れ る 直 感 や 創 造 力 が 働 か な い 。 英 語 が 日本 語 同 様 に 感 情 を 伴 い 、 自然 な 心 理 の 流 れ で 使 え る よ う に な る こ と を 阻 む 最 大 の 障 害 は 、 ま さ に 日本 語 へ の 依 存 で あ る と言 え る 。   少 々 息 抜 き に 、 昨 今 話 題 の 女 優 の 妄 言 を拝 借 す れ ば 、 「諸 悪 の 根 源 は 、 日本 語 へ の 依 存 に あ り ま す 。」    だ が 、 こ の 日 本 語 へ の 依 存 が 、 今 日 ま で の 日本 の 英 語 教 育 に も た ら して い る不 毛 の 根 源 で あ る こ と 、 そ して 、 そ れ に対 す る 認 識 の 甘 さ を省 み る 必 要 が あ る の で は な い だ ろ う か 。       cf.「諸悪の根源は、私にあ ります。」(沢尻エ リカ) 2)日 本 語 の 排 除   初 期 の英 語 指 導 で 日本 語 の助 け を借 りる と、 一 見 容易 に理 解 させ る こ と が 出来 る よ うに思 え るが 、 それ は英 語 の意 味 を 日本 語 に置 き換 えて理 解 さ せ る こ とに な る。 そ の よ うに して 英語 を学 ん だ学 習 者 に とっ て 、新 た に接 す る英 語 の 理解 と 自己表 現 が難 度 の 高 いworkに な るの は、1-2)一(2) で既 述 した通 りで あ る。   さ らに、 日本 語 を使 う こ と は 日本 語 で 考 え る こ とで あ り、 そ の 日本 語 に は 日本 文 化 が 貼 りつ い て い る。 そ れ は、 英 語 で 考 え る こ と とは少 々、 時 に は大 きな違 いが 出 来 る。 従 っ て、 教 師 は 日本 語 に頼 らず 、 英 語 とそ の指 示 す る物 事 ・実 際 を 同時 に示 して 直接 に教 え る。   例 え ば、 日本 語 を使 わず 、直 接 に英語 で 指 導 をす れ ば、"on"と 「上 に」 一15-一 一一一

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の 違 い が 分 か る 。 具 体 的 に は 、 透 明 な 箱 の 上 に ボ ー ル を1個 置 き 、 中 に1 個 を 入 れ る 。 そ れ ぞ れ の ボ ー ル を 指 で 示 し て 、This  ball is on the box.  This ball is in the box.(→ 場 面 上 で の、 明 確 な コ ン トラ ス ト)次 に 、 上 の ボ ー ル を 手 で 少 し 箱 か ら 離 し て 、This  ball is off the box.(→ 意 味 上 で の 、 反 意 語 の コ ン トラ ス ト) 今 度 は 、 手 で 持 っ て い る ボ ー ル を 箱 の 右 側 に ぴ た り と 付 け て 置 き 、 中 の ボ

ー ル を 箱 か ら 取 り 出 し

、箱 の 左 側 に 少 し 離 し て 置 く 。This ball is on the box. This  ball is off the box.つ い で に 、 今 度 は 右 側 の ボ ー一ル を 少 し 離 し 、 左 側 の

ボ ー ル を ぴ た り と 付 け て 、 今 と 同 じ 文 を そ れ ぞ れ の 場 面 に 合 っ た ボ ー ル を 指 し て 言 え ば よ い 。練 習 と し て ボ ー ル 以 外 の 物 を 使 っ て2∼3の 例 を 示 し 、

さ ら に 、 そ れ 以 外 の 、 教 室 で は 示 し に く い 物 や 場 面 な ど を 絵 に 描 い て 示 せ ば 、onの 意 味 を ど ん ど ん 広 げ て 示 す こ と が で き る 。 非 常 に 分 か り や す く 、 簡 単 で あ る 。

  な お 、 日本 語 を 使 用 す る 時 期 は 、Thinking  in English、 つ ま り、 英 語 の 中 で 考 え る こ と、 即 ち 、 脳 が 英 語 と い う一 つ の 言 語(器)の 中 で 考 え る こ と に 習 熟 し た段 階 で は 有 益 だ が 、 初 期(入 門 期)の 指 導 で は 避 け た 方 が よ い 。 理 由 は 混 乱 を 招 き 、 徒 労 に 終 わ る か らで あ る 。   因 み に ・ 「初 期 」 ま た は 「入 門 期 」 と は 、`Thinking  in English・ に よ っ て 手 持 ち の 英 語 で 自 己 表 現 が で き る ま で の 期 間 と考 え て よ い で あ ろ う。 こ の 時 期 を過 ぎれ ば 、 語 彙 の 有 機 的 な 増 強 期 が 始 ま る 。 構 文 が 身 に つ い て い る か ら、broken  Englishに な ら な い 。 自分 の 仕 事 に 必 要 な 語 彙 を 安 心 し て 、 ど ん ど ん と い く らで も増 や せ る 。 3)日 本 語 依 存 が も た ら す 、 誤 解 とReferent把 握 の ス キ ッ プ   日本 語 に 訳 す と い う こ と は 、 結 果 的 に 日本 語 で 考 え る こ と に な る 。 日本 語 で 考 え る と い う こ と は 、 日本 語 と 結 び つ い た 過 去 の 経 験 か らreferentが 決 め ら れ る こ と で あ る 。 そ れ は 、 既 に 日本 語 と共 に脳 内 に 入 っ て い る 過 去 の 日 本 文 化 的 経 験 が 、 そ の 時 に 生 じ た 生 々 し い 感 覚 と と も にreferentと し て 選 ば れ る こ と で あ る 。 つ ま り そ のreferentは 、 今 新 し く学 ん で い る 「英 語 」の 意 味 で は な く、 そ の 人 だ け の 個 人 性 の 強 い 「日本 語 」の 意 味 で あ る 。   一 方 、 英 語 で 考 え る と い う こ と は 、 英 語 と 直 接 に 結 び つ い たreferentが   16

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選 ば れ る こ と で あ る 。 こ のreferentは 英 文 を 通 して 実 物 ・実 際 や 絵 と 直 接 に 結 び つ い て い る 。 そ して 当 然 の こ と な が ら、 「日 本 語 」 と 「英 語 」 の 意 味 は 同 じ と は 限 ら な い 。(・ymb・1≠・・≒・・=・ef・・ent)この よ う な 、 気 づ き に くい 些 細 な 違 い を 無 視 す る こ と が 、 英 語 の 誤 解 と 難 し さ を 生 む 原 因 に な っ て い る 。   さ ら に も う ひ とつ の 問 題 が あ る 。 母 語 に 頼 る 授 業 、 つ ま り、 日本 語 に 訳 し て 意 味 を 分 か らせ よ う とす る 指 導 で は 、referentを 明 確 に 捉 え る 習 慣 は つ き に くい 。 そ れ は母 語 とい う も の が 普 段 無 意 識 に 使 い 慣 れ た こ と ば な の で 、referentの 確 認 作 業 をskipし て し ま う か らで あ る 。   つ ま り、 母 語(日 本 語)を 通 し た 過 去 の 経 験 は イ メ ー ジ と直 接 に 結 び つ い て い る の で 、 安 易 に 分 か っ た 積 も り に な り、 い ま直 接 に 見 て い る 実 物 ・ 実 際 や 、 話 題 に な っ て い る 現 地 の 実 状 を 意 識 して 注 意 深 く捉 え よ う と し な く な る 。 こ れ は 、 こ と ば のreferentを 明 確 に 捉 え る 習 慣 形 成 を 阻 害 す る こ とで あ り、 言 語 教 育 と して の 最 も重 要 な 部 分 を 棄 却 す る こ と に な る ・ 4)二 言 語 同 時 使 用 の 難 度   コイ ンの表 と裏 を同 時 に見 る こ とは 出来 な い 。 そ れ は、 一 つ の実 物 ・実 際 の意 味 を二 つ の 言 語 で 言 う と きに 、 どち らか 一 方 に重 きが 置 か れ る こ と に例 え る こ とが 出来 る。   普段 、 調 子 よ く自然 に英 語 を使 って い る時 、 頭 の 中 に 日本 語 はな い 。 そ して 、 日本 語 を話 して い る時 、頭 の 中 に英 語 は な い。 二 重 言 語 者 につ い て も、脳 の優 位 性 は 日本 語 型 と西 欧 語 型 の どち らか に分 か れ て 中 間型 は なか っ た、 とい う角 田氏 の 調査 例 を想 起 す る。 つ ま り、 どち らか が メ イ ンで あ る。(角田忠信 「脳の発見 脳の中の小宇宙」p.115)   日本 語 母 語 者 の 脳 に英 語 が 入 る と、左 脳 内 で はそ の 英 語 を理 解 す るた め に脳 内 に既 存 す る 日本 語 の探 索workが 行 な わ れ る。 この よ う に二 つ の 言 語 を 瞬 時 に使 うwork、即 ち、 「二 つ の 言 語 で 考 え る脳 内 行 為(情 報処理)」 の 難 度 は高 い。 特 に 日本語 母 語 者 に は、 脳 のバ ラ ンス崩 壊 とい う負荷 が か か っ て、 右 脳 の機 能 で あ る直 感 的 、 構 成 的、 空 間 的 な イ メー ジ操 作 が 抑 制 さ れ て い るの で 、 難 度 は一 層 高 くな る 。従 って 、 英 語 の 意 味 は 日本 語 を介 し て教 え るの で は な く、 英 語 一 言 語 の み に よ る指 導 が 日本 語 母 語 者 の 意 味 理 一17一

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解 と 自己 表 現 を容 易 にす るた め の 自然 な仕 方 で あ る とい え る。   上 の 絵 で 、 二 つ の グ ル ー プ に 分 け た 一 方 の グ ル ー プ に 、 一 瞥 し て 若 い 女 性 を 感 じ さ せ るAと 中 間 のBの 絵 を 見 せ 、 他 の グ ル ー プ に は 、 老 年 色 の 濃 いCと 中 間 のBの 絵 を 見 せ た 後 に 、 一 番 右 端 の 大 き な絵 を 見 せ る と、AB 組 はBride、 つ ま り若 い 女 性 だ と言 い 、  B C組 はMother-in-law、 つ ま り年 老 い た 女 性 だ と言 う。 こ れ は事 前 の 経 験 が そ の 後 の 事 物 の 決 定 に 反 映 さ れ る こ と を 意 味 す る が 、 両 組 と も二 人 の 女 性 を 同 時 に 見 る こ と は 出 来 な い 。   2007年 度 の ベ ー シ ッ ク ・イ ン グ リ ッ シ ュ 研 究 大 会 で も参 加 者 を対 象 に 実 験 した が 、 概 ね 同 様 の 結 果 が 得 ら れ た 。 こ れ は 言 語 の 場 合 に も言 え る こ と で あ り、 望 ん で い れ ば そ の よ う に 思 え て くる 。 見 つ け よ う と思 え ば 、 大 熊 座 の 中 に 北 斗 七 星 の 柄 杓(ひ しゃ く)を 作 る こ とが 出 来 る の と 同 様 で あ る。 要 は 、 主 体 の 側 の 能 動 的 な神 経 過 程 の 働 きが 関 与 して 決 ま る が 、 そ れ ら を 同 時 に 見 る こ と は 出 来 な い 。 そ の 気 で 選 ん だ 、 ど ち らか 一 つ で あ る 。 一18一

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cf."Bride  and  Mother‐in‐law  pictures"  The  reflective  nature  of  our  language     and  experience.:*What  we  expect  to see  or what  we  say  about  something,     affects  what  we  see.`What  we  say  about  something,  even  to ourselves, 

af-    fects  what  we  see.*Words  influence  what  we  see;they  help  us`make

    things'out  of the  raw  data  of sensation.

      (Teaching  General  Semantics,  ed. by  Mary  S. Morain,  pp.29∼30)

(2)同 時 に二 つ は見 え ない例   その2「 ネ ッ カー の錯 視 」   こ の立 体 は主 体 の心 的態 度 に よっ て、 今 、 前 面 に見 えて い る黒 い 面 が 、 底 面 に な っ て見 えた り、 ま た、 底 面 に見 えて い る黒 い 面 が 、 さ らに底 面 、 左 側 面 、 奥 後 面 に な っ て も見 え る。 しか し、 二 つ また は三 つ の立 体 が 同 時 に見 え る こ とは な い 。 つ ま り、 「ネ ッカ.___.の錯 視 」 の 中 の 一 つ の立 体 が 、 見 る人 の 心 的態 度 で 複 数 見 え る 時 で も、 そ れ ら複 数 の 立 体 が 同時 に見 え る こ とは ない 。 一 度 に は どれ か一 つ しか見 え ない 。 一 瞬 を置 い て交 互 に見 る に は、 主 体 的 で 能 動 的 な意 識 の転 換 を図 るエ ネ ル ギ ー を要 す る。   これ に似 て、 一 つ のreferent(指 示物)が 複 数 の異 な る言 語 で 表現 で きる時 に も、 当然 の こ とな が ら、 複 数 の 言 語 で 同時 に は発 表 で きない 。 一 つ の言 語 で しか で きな い 。異 な る言語 を用 い る と きに は 瞬 時 の合 間 を要 す る。 英 語 のreferentの理 解 や 発 表 に 日本 語 が 使 わ れ る こ とは、 日本 語 母 語 者 の 脳 内 で、 ま さ に英 語 と 日本 語 の二 つ の 言語 を瞬 時 の 合 間 に擦 り合 わせ 、 使 い 分 け る こ とで あ る。 そ のworkは 極 め て 難 度 が 高 い 。 英 語 な ら英 語 だ け で 考 え る こ とが 心 理 的 に 自然 で あ り、 抵抗 が 少 な く、 容 易 なworkに な る。   同時 通 訳 は、 瞬 時 の差 で二 つ の 言 語 を使 うが 、 そ れ に は 高 度 な訓練 とそ れ 相 当 の多 大 な エ ネ ル ギ ー を必 要 とす る。 現 に普 段 、 す らす ら と英 語 を使 っ て い る と き、 脳 内 の 日本 語 は動 か な い。 逆 もまた真 。 これ が 自然 な神 経 一一 一19

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過 程 で あ り、 心 理 の流 れ で あ る。

5)日 本 語 不 要 の 英 語 教 育

  (1)「 翻 訳 を 完 全 に 禁 止 す る こ と は 困 難 」 で は な い 。

  例 え ば 、 新 語"school"を 教 え る 時 、"school"の 絵 で そ のreferent(指 示物 /学 校のイメージ)を 示 し な が ら、 英 文 の な か に"school"を 入 れ て 言 え ば 、 学 習 者 は 一 瞬 「学 校 」 と い う 日本 語 が 頭 を横 切 っ て も、 英 文 の 中 に 学 校/ schoolが 入 っ て い る の で 、 英 文 のreferent(指 示物/意 味)の 一 部 と して 理 解 す る 。 即 ち 、 「学 校 」 の イ メ ー ジ ・概 念 を し っ か り と捉 え て そ の 英 文 を 理 解 す る。 少 な く て も、 学 習 者 に 「学 校 」 と い う 日本 語 で 英 文 を 翻 訳 して 理 解 させ る よ う な こ と は な い 。   「翻 訳 」 の 語 意 を 「英 文 を 日 本 語 訳 す る こ と」 とす る と、 翻 訳 の 利 用 は 英 文 を 日本 文 に訳 して 理 解 さ せ る こ と を意 味 す る 。 学 習 者 は 一 度 訳 し て 理 解 す る と、 次 回 か ら は全 て 訳 さ な い と納 得 で き な くな る。 従 っ て 、 こ の 仕 方 はThinking  in Englishを 不 可 能 に す る か ら、 賢 明 な 指 導 と は い え な い 。 指 導 は 第1時 間 目 か ら 日本 語 を入 れ ず に 行 う こ とが 肝 要 で あ る 。

  ま た 、"Bride and Mother-in-law"の 絵 で 、 Brideが 見 え て い る 時 に はMother -in-lawは 見 え ず 、 逆 に 、 Mother-in‐lawが 見 え て い る 時 に はBrideが 見 え な

い の と 同 じ く、 学 習 者 の 頭 の 中 が 英 語 に な っ て い る 時 、 日本 語 は 消 え て 、 見 え な い 。 仮 に 一 瞬 見 え る こ とが あ っ て も、 英 文 の 指 示 す る イ メ ー ジ と し て 脳 内 に 残 さ れ て い る の で 、 英 語 の 構 文(・ ・n・t・ucti・n)を破 壊 して ま で 日本 語 で 考 え る よ う に は な ら な い 。 私 た ち も英 語 で 話 して い る 時 、 日本 語 は 消

え て い る 。

(2)教 科 書:English  Trough  Pictures

  *1.A.  Richards:「 初 期 言 語 指 導 の 原 則 」 第18項

⑱Translation,  a desirable  exercise  at later s#ages  in the  learning  of a

    language,  is a cause  of much  confusion  and  wasted  effort for the 

be-  be-  ginner.  A  graded  presentation‐through  rightly ordered  SEN-SIT 

se-  se-  quences‐can  entirely  replace"equivalents"and  explanations  in the     mother  tongue.

「他 の 言 語 に 訳 す 学 習 作 業 は 、 進 ん だ 段 階 で 行 な う の は 望 ま し い が 、 初 心 者

(22)

に は混 乱 と徒 労 の も とに な る 。段 階付 け られ た教 材 を 、 その 中 で 適 切 に順 序 付 け られ た文 と その 意 味 を表 す場 を結 び 、次 々 と展 開 す る こ と で 、 『同 意 語 』 や 日本 語 に よ る説 明 は不 要 に な る 。」(概 要)   次 の よ う な 事 例 も あ る 。 日本 語 を 母 語 とす る10歳 ∼12歳 の 、 特 別 に優 秀 で も ひ ね くれ て も い な い 普 通 の 子 供(15人 程度以内)に 、 英 語(sent・nces)を そ の 意 味(situati・ns)と一 緒 に して 教 え る と(1週2回 ≒60分×2・ 約1年 間 ・40週)・ 彼 ら は 手 持 ち の 英 語 で 、 自 分 の 考 え や 発 見 した 事 柄 を事 実 に 照 ら し合 わ せ な が ら訥 々 と 、時 に は 滑 らか に 、母 語 同 様 に 、否 、 そ れ 以 上 の 意 気 込 み で 、 自 由 に 言 う こ とが 出 来 る 。 当 然 の こ とな が ら、 自分 の 語 彙 の 範 囲 な ら 聞 く こ と も 出 来 、 書 く こ と も 出 来 る 。 そ れ は 、English  Through  Picturesと い う 母 語 を 使 わ ず に 指 導 が 出 来 る教 材 と、 一 つ の 言 語(英 語)し か 使 わ な い workだ か らで あ る 。   こ の 指 導 は 学 習 者 が 成 人 の 場 合 も含 め る と、 私 が40年 余 り に 亘 っ て 幾 度 と な く実 践 した こ とで あ る が 、 こ の よ う な 指 導 結 果 が 得 られ る 事 実 に は 普 遍 性 が あ り、 特 殊 で は な い 。 即 ち 、 頭 が 柔 軟 で 英 語 の 意 味 を イ メ ー ジ で き る 人 で あ れ ば そ れ に 越 し た こ と は な い が 、一 応 、誰 で も 出 来 る こ と で あ り、 そ れ 相 当 の 同 じ結 果 を得 る こ とが で き る 。   日本 語 を 使 用 す る と、 確 か に 、 短 い 時 間 に 多 くの 知 識 が 与 え られ る 。 例 え ば 、from=「 か ら」;off=「 か ら」;out  ofニ 「か ら」 。am,  are, is=「 で す 」。was, were=「 で し た 」。 短 時 間 に 学 べ る 知 識 量 を 考 え れ ば 経 済 的 で あ る よ う に 思 え る が 、 発 信 の 力 に は な ら な い 。 む し ろ 日本 語 の 構 文 や 発 音 が 邪 魔 を し て 、 発 信 を 苦 し いworkに す る 。 当 然 の こ と な が ら、 自 己 表 現 の 学 習 に は 向 い て い な い 。 皿.基 本 的 な 基 礎 を 備 え た 教 授 法       Graded  Direct Method(GDM)   有 機 的 に 段 階 付 け られ た 教 材 を 使 い 、SentencesとSituationsを 一 緒 に して 、 実 物 を示 し、 実 際 を 演 示 し、 絵 を 見 せ 、 抽 象 的 、 一 般 的 な も の は 身 近 で 具 一21一

(23)

体 的 な実例 を挙 げ る な ど、 見 え る仕 方 で 直接 に、 え る。

日本語 を使 わず英語 で教

  指 導 の 中 身 は 「内 容 」 と 「方 法 」 の 二 つ が 有 機 的 に 係 わ っ て い る が 、1. A.Richardsは 、 双 方 と も容 易 に な る 工 夫 を し た 。「内 容 」で は 教 科 書Eng/ish

Through  Picturesの 「段 階 付 け(Grading)」 で あ り、 「方 法 」 で は 「文 と場 の 結 合(SEN-SIT)」 で あ る 。 こ れ に よ り、 日本 語 に 依 存 を し な い 指 導 が 可 能 に な っ た 。   この 指 導 の 仕 方 は、 一 応 、初 期(入 門期)向 け で は あ るが 、 学 習 者 が 「英 語=日 本語 」の セ ッ トを脳 内 に持 っ て い る 日本 の 英語 教 育 の 現 状 で は、小 ・ 中学 生 に 限 らず 、 高 校 生 や大 学生 、 一 般社 会 人 に も十分 に適 用 で きる教 授 法 で あ る。 また、 そ れ に対 応 した 語 彙 の準 備 も、 近 年 新 出 の もの を除 い て は 、合 理 的 に よ く準 備 され て い る。   こ れ を 行 な う 教 師 は 英 語 母 語 者 や 、 そ れ と 同 等 の エ キ ス パ,_._.トで あ る 必 要 は な い 。 世 間 で よ く 使 わ れ る 表 現 、 「ペ ラ ペ ラ 」 と 話 せ な く て も よ い 。 い や む し ろ 意 味 論 的 に み れ ば 、delaying  reactions(こ と1まの抽 象 に惑 わ され ず にref-・・entを捉 え て か ら話 す 、 少 し問 の あ る反 応)は 本 質 的 な 言 語 の 使 用 態 度 か ら み れ ば 好 ま し い 。   GDMは 基 本 的 に 、1. A. Richardsの 考 え た 仕 方 に 従 っ て 教 え れ ば 、 誰 で もそ れ 相 当 の 成 果 が 収 め ら れ る普 遍 性 を持 っ て い る 。 準 備 の 時 にSEN-SITs (文と場の結合)を 工 夫 して 作 り出 す 右 脳 的 な創 造 力 を必 要 と す る が 、 個 人 技 は 必 要 で な い 。 な お 、 右 脳 的 な 創 造 力 の 必 要 性 と は 、 早 く言 え ば 、 こ と ば の 意 味 を イ メ ー ジ で 捉 え る こ と が 出 来 れ ば よ い 。 想 像 力 の あ る 人 、 人 と周 囲 へ の 思 い や りが で き る 人 な ら、 誰 で も 出 来 る 。   な お 、 こ の 教 授 法 は 英 語 の 学 習 者 を対 象 とす る が 、 教 師 も教 え 方 の 基 本 と して 、 一 度 は 体 験 す る 価 値 が あ る 。(本学専任教員には、過去35年 間に6名 の体験 者がいる。) 一22

(24)

  誤 解 を 避 け る た め に 、 具 体 的 な 内 容 と方 法 に つ い て は 、 こ と ば に よ る 説 明 を 省 く。 こ と ば で は と て もGDMの 全 て を 言 い 尽 くす こ と は 出 来 な い 。 そ して 、 そ の 不 十 分 な 説 明 を 読 ん だ 読 者 が 、 全 て を 分 か っ た 積 も り に な る こ と を 恐 れ る 。 セ ミ ナ ー で 実 際 を 体 験 す る こ と、 そ れ がGDMと い う 地 図 の 現 地 を、 自分 な り に 分 か る 最 も確 か な 仕 方 で あ る 。   ご 参 考 に 、1.A. Richardsが こ と ば に し て 残 し たGDMの`NOTES'を 文 末 に 資 料 と して 掲 載 し た 。 お そ ら く、GDM未 体 験 の 人 に と っ て 、 こ の こ と ば のreferentは 難 解 で あ ろ う。 イ ン タ ー ネ ッ トで 「GDM」 、 ま た は 「片 桐 ユ ズ ル 」 を検 索 す る 方 法 も あ る 。 〈GDM紹 介 寸 言 〉     (1)学 習者 に 負 担 を か け な い  →    「見 れ ば、 分 か る」 教 え方 。 きの         うの こ とで 今 日を知 る。 あ した の こ とは、 今 日に あ る。 負 担 を        か け な い そ の 訳 は、 他 に比 類 な きGrading。 お 陰 で 生 徒 は、 英 語         を易 し く思 っ て い る。 (2)SEN-SITの 工 夫   →   唯 一 、 教 師 の 泣 き所 。 イ メ ー ジ す れ ば 見 え    て く る 、 「そ れ 目」 で 見 れ ば 見 え て く る 。 右 脳 を極 限 つ か い ま し     ょ う。 一 方 、 生 徒 は 実 際 と英 語 を 結 ん で 日本 語 不 要 。 脳 の バ ラ ン     ス 崩 さ な い 。 自分 も使 っ て み よ う と思 う。 (3)BASIC  English  →   英 語 は 世 界 の こ と ば で す 。 英 語 母 語 者 が よ     く使 う、 決 ま り文 句(常 套表現)は 応 用 で す 。 基 本 は 応 用 を 含 み ま    す 。 暗 記 英 語 の 徒 労 を 避 け る 、 まず 学 ぶ べ き 唯 一 の 語 彙 。 (4)ペ ラ ペ ラ 英 語 は 不 必 要   →   知 ら な い 英 語 は 使 わ な い 。 知 ら な い   英 語 は 今 日学 ぶ 。 教 師 よ り、 生 徒 が た く さ ん 喋 っ て くれ る 。 こ と    ば の 抽 象 に だ ま さ れ な い 、delaying reactionsは 歓 迎 さ れ る 。 多 く    の 教 師 に 最 良 の 味 方 。 一23一

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(5)Referent把 握 の 習 慣 化   →   こ と ば が 指 示 す るreferent、母 語 で は    ス キ ッ プ し易 い が 、GDMで はskipし な い 。 イ メ ー ジす る か ら、 は    っ き り分 か る 。 言 語 教 育 、 究 極 の 目標 。

(6)Thinking  in English→ 直 読 、 直 解 。 本 当 の 、 英 語 と し て の 分   か り方 。 「ネ ッ カ ー の 錯 視 」 で 、 は っ き り分 か る こ と、 同 時 に 二   つ は 難 し い 。 脳 内 の 「英 語=日 本 語 」 セ ッ トは や め ま し ょ う。 英   語 は 英 語 で 分 か り ま し ょ う。 (7)GDM  →  脳 バ ラ ンス を崩 さ な い 、 日本 語 な しの 教 え方 。 英 語   の 理 解 と表 現 を母 語 同様 にす る ため の、最 も確 か な学 び方。日本 、   英 語教 育 の メ シア。 一24一

(26)

4)GDM評

Ikuo  Koike,  Masao  Matsuyama,  Yasuo  Igarasi,  Koji  Suzuki,ed.{1978}The  Teaching  of English  rn Japan,  Eichosha  Publishing  Co.  Ltd,  pp.207∼210

"①G

rammar-Translation  Method   OPractice  Method

  ③Mastery  Method(=Rationa1  Method)

  ●Natural  Method(=Conversational  Method)

  05Psychological  Method{=Gouin  Method)

   ●Phonetic  Method   ⑦Direct  Method

  ●Reading  Method

  ●Oral  Method(=Oral  Direct  Method)

   100ral  Approach(=Audio-Lingual  Approach)

   11Graded  Direct  Method

Table  2. Features  of Methods

method  number oo● ●oOo●ololl

1 basic  theory linguistic ○ ○     ○ △  ○ ○ ○

psychological 000   00000

2 native  language in use ○      △ △     △ △ △

exclusive 0000000000 3 learning  form habit-formational 0000000000

  ●   6 cognitive ○       △  △ △ 4 grammar inductive ○ ○ deductive 000000000 S structure  vs. situation structure 00      0     00 situation 000   00     0 6  recognition   ●   ● vs. production     ●   ● recognition 00000000000 production 000000   000 7 form  vs.   ■ meaning

form OO     oO     OOo

  ● meaning 0000   00000 8 spoken  vs. written spoken 000000   000 written O       °000000

Table  3. The  Position  of the  Methods

(27)

い ま 仮 に 、Table2.  Features  of Methodsの 教 授 法 ① ∼ ⑪ に 付 け ら れ た ○ を+ 1、 △ を 一1と す る と 、 下 記 の よ う に な る 。 ○    △   合 計 (+1)(-1) 01Grammar--Translation  Method   Practice  Method

③Mastery  Method(=Rational  Method)

●Natural  Method(=Conversational  Method)

  Psychological  Method(=Gouin  Method)

OPhonetic  Method

07Direct  Method

●Reading  Method

  Oral  Method(=Oral  Direct  Method)

100ral  Approach(=Audio-Lingual  Approach)

⑪Graded  Direct  Method

8    0 8    2 7    2 9    0 9     3 9     3 9      2 8     2 11    3 10    3 11    1 8 6 5 9 6 6 7 6 8 7 10       お わ り に(ま とめ&エ トセ トラ)        ま と め   本 稿 の特 徴 は、 英 語 教 育 を語 学 面 と脳 機 能 の 両 面 か ら考 察 した こ とで あ る。   角 田忠 信 氏 の研 究 で 明 らか な よ う に、 日本 語 を母 語 とす る者 の脳 は、 そ うで な い 者 の脳 とは異 な る。 た だ 、 そ の異 質性 だ けが 日本 人 の 英語 習 得 を 難 し く して い る原 因 とは思 え な い。 そ の こ とよ りも、 英 語 の脳 内介 入 と同 時 に脳 機 構 の バ ラ ンスが 崩 れ、 右 脳 優 位 の 非 言 語 が左 脳 に移 動 して右 脳 の 機 能 が抑 制 され 、 直 感 的、構 成 的 、 空 間 的 、 総 合 的 な イ メ ー ジ操 作 が で き 難 くな る こ とに注 目 した い。 この 変化 は英 語 の 理 解 と英 語 に よ る 自己 表 現 に とっ て は致 命 的 な障 害 で あ る 。   と こ ろで 、 多 くの 日本 語 母 語 者 の場 合 、 日本 語 を介 す る指 導 ・学 習 の 仕 方 に よ って 、 そ の意 味 が 日本 語 と結 合 して脳 内 に存 在 す る。 そ の た め に 日 一 一26一

(28)

本 語 母 語 者 の脳 は、新 し く英 語 が 脳 内 に入 って くる と同時 に、 そ の英 語 を 脳 内既 存 の英 語 と結 合 して い る 日本 語 で理 解 す る。 あ らま しで既 述 の 「英 語=日 本 語 」 セ ッ トの こ とで あ る。   しか し、 意 味 は 「日本 語 」 で は な く、 外 在 的 に 「実 物 ・実 際 」 で あ り、 内 在 的 に は 脳 内 の 「イ メ ー ジ(=pi・t・・e・i・th・mind)」で あ る か ら、 イ メ ー ジ 操 作 を つ か さ ど る 右 脳 の 機 能 が 抑 制 さ れ て い る た め に 、 意 味 の 決 定 は 非 常 に 難 し いworkに な る 。   従 っ て 、 母 語 同 様 に 使 え る 英 語 を 習 得 す る た め に は 、 日本 語 に依 存 し な い 指 導 ・学 習 の 仕 方 が 必 要 で あ る 。 例 え ば 、 日本 語 を使 わ ず に 、 実 物 を 見 せ 、 実 際 を 演 じ、 絵 や 身 近 な 実 例 を 示 す な ど の 「見 え る仕 方 」 で 、 英 語 に そ の 意 味 を 載 せ て 直 接 に 教 え れ ば 、 脳 内 で の 英 語 相 当 の 日本 語 探 索work が 不 要 に な る 。 す る と脳 は バ ラ ン ス を保 っ て 正 常 に働 くの で 、 母 語 同 様 の 創 造 力 や 発 見 や ア イ デ ィ ア も湧 い て 伸 び 伸 び と発 言 が で き る。 同 時 に 、 日 本 語 の 構 文 と音 素 の 干 渉 が な く な る か ら、broken  Englishに な る こ と も な

く、 発 音 の 習 得 も容 易 に な り、 さ ら にThinking  in Englishも 可 能 に な る 。

  日本 語 依 存 の 指 導 ・学 習 か ら依 存 しな い仕 方 に変 えれ ば、 最 初 か ら英 語 一言 語 で 考 え る こ とに な り、 母語 同 様 に使 え る道 が 開 け る。 日本語 と英 語 の 二 言 語 で考 え る の で はな く、 日本 語 な ら 日本 語 で、 英 語 な ら英 語 で 考 え る こ とが 脳 を最 も柔 軟 に機 能 させ る。   言 語 学 習 の 観 点 か ら言 え ば、 英 語 母 語 者 が 普 段 に使 う常 套 表 現(set phrases)は 基 礎 で は な く 「応 用 」 で あ る。 そ れ らは 「基 本 」 の習 得 後 に、 読 書 や 実 際 の場 で基 本 語彙 の語 意 か ら類 推 し、 比 喩 的 に拡 張 して理解 で き る もの が大 部 分 で あ る。従 って 、常 套 表 現 の指 導 は必 要最 小 限 度 に留 め る。 限 度 を超 え る と、 英 語 は 暗 記 物 に な る。 暗 記 物 は き ち ん と したreferentの 把 握 を軽視 す るか ら忘 れや す く、心 理 や 感 情 を伴 っ て い な い。 一27

(29)

エ トセ トラ

1)教 授 法(普 遍 性)≠ 指 導 法(個 人 技)   「教 授 法 」 は理 論(言 語面、心理面)に 基 づ い た 方 法 で あ り、 そ の 方 法 を正 確 に行 な え ば、 誰 で もそ れ相 当 の 結 果 が 得 られ る普 遍 性 を持 つ もの 。   一 方 、「指 導 法 」は個 人 が 自分 の 経験 や 学 習 か ら案 出 した もの 。従 っ て、 そ れ が優 れ た もの で あ っ て も、 そ の 人 の 個 人性 に依 存 す る と こ ろが 多 い 。   従 っ て、 言 語 の本 質 に基 づ く教 授 理 論 を学 ん だ上 で、 個 人 が 実状 に応 じ た 指 導 法 を編 み 出す こ とが 望 ま しい 。 2)英 語 が で き る こ と ≠英 語 が 教 え られ る こ と   本 来 、 言 語 の指 導 者 は そ の 言語 が で きる(使 え る)だ け で は な く、 学 習 者 の 目的 に合 致 した指 導 の仕 方 が で きな くて は な らな い。 例 え ば、 私 た ち が 非 日本語 母 語 者 に対 して、 日本 語 を母 語 同様 に使 え る よ う に教 え るの は 至 難 の 業 で あ る。 誰 で も出 来 る こ とで は ない 。   大 学 で も専 門書 の購 読 は別 と して 、基 本 的 な英 語 力 をつ け る授 業 を受 け 持 つ教 師 は、何 らか の教 授 法 を身 につ けた うえ で、 自分 の指 導 法 を工 夫 す るの が好 ま しい。 多 くの不 可 抗 力 な負 の 条件 を背 負 っ た 日本 語 母 語 者 に対 して 、今 求 め られ て い る英 語 力(自 己表現力など)を 習 得 させ る の は難 しい 。 少 な くて も、教 授 法 に 関心 を持 ち 、 日々の授 業 に ア カ デ ミ ッ ク な肥 料 を与 え な け れ ば な らな い。   理 論 的根 拠 を欠 いた 指 導 法 は 、自分 の過 去 の体 験 の域 を 出 ない 自己流 か 、 商 業 雑 誌 の 目新 し さを追 う もの に な り勝 ちで 、 そ の 定 見 の な さに よる混 乱 の被 害 は学 習 者 が 被 る。 3)受 講 者 の 演 示(Dem・nstrati・ns)に 対 す る 助 言 の 仕 方   受 講 者 の 演 示 に対 し て 、 助 言 者 は こ と ば に よ る コ メ ン ト与 え る 前 に 、 好 ま し い 実 際(演 示)を 見 せ る 。 そ の 次 に 、 こ と ば に よ る コ メ ン トを与 え る 。 そ し て 、 受 講 者 の 再 試 行 。 最 後 に 、 話 し合 い に よ る 評 価 と補 足 を す れ ば 、 受 講 者 は 納 得 す る 。 こ とば の み に よ る 助 言 は 、 受 講 者 を混 乱 と不 安 に 陥 れ る 。 一28一

(30)

∵ こ とば の 意 味(指 示物)は 、 頭 の 中 に潜 在 す る過 去 の 経 験 か ら選 ば れ る。   だ か ら、初 め て 演 示 す る未 経 験 者 に は 、助 言 者 の こ とば の 意 味 が 決 め 難   い。 そ して 、 自分 の 過去 の 経 験 か ら勝 手 に意 味 を決 め て し ま う。 つ ま り、 受 講 者 の 頭 の 中 に正 確 な イ メ,_....ジ(=意味)が 浮 か ば な い。 → 「難 しい!」  →   実 際 の 場 で実 践 しな い。 4)大 学 「英 語 科 教 育 法 」 担 当 者 と授 業 経 験   言 語 と教 育 に 関す る理 論 の研 究 者 で あ る ばか りで な く、 そ の研 究 の 成 果 を小 、 中、 高 校 、 そ の他 の研 究機 関 な どで 、 実 際 に、 授 業 に活 か した 経 験 を持 つ 者 で あ る こ とが 望 ま しい 。 そ の 経験 を欠 い た講 義(こ とば)は 、 自転 車 の乗 り方 を 口頭 の み で教 え るの に等 し く、 未 経 験 の受 講 者 に は理 解 し難 い 。 こ とば の意 味 は、 脳 内 に潜 在 す る過 去 の 経 験 に よっ て 決 ま るか らで あ る。 受 講 者 は 、教 師 に よ る 「実 際 」(演示)を 見 て学 び 、 自分 も体 験 す る こ とに よ っ て初 め て理 解 に近 づ く。   こ とば で は、 出来 な くて も出 来 る よ うに言 え る。 巧 み な こ とば操 作 で 立 派 な 論 文 を書 くこ と も出 来 る。 しか し、 「実 際 」 を体 験 す れ ば 、易 しい こ とを 間違 え た り、 不 恰 好 で恥 ず か しい 自分 が さ らけ 出 され る こ と もあ る。 「実 際 」 の 体 験 者 は、 こ とば と実 際 はそ れ ぞ れ 独 立 した 存 在 で あ り、 必 然 的 な 関係 が な い こ と を知 っ て い る。 従 っ て、 大 仰 な こ と ばや机 上 の空 論 を 避 け、 一 人 ひ と りの現 実 を踏 ま え た、 基 本 的 で具 体 的 な指 導 が 出来 る。 5)基 本 を 学 ぶ と き の 教 科 書   基 本 の習 得 が 済 む まで は、教 科 書 は新 奇 な情 報 で興 味 を惹 こ う と した り、 文 学 作 品 か らの 陶 冶性 な どを求 め て 、難 解 な語 句 を入 れ て悩 ませ な い よ う に した い。 英 語 の 時 間 は少 し しか ない の だ か ら、 そ の類 の事 柄 は翻 訳 に ま か せ て お け ば よい 。 まだ英 語 を英 語 と して 理解 で きて い な い の だ か ら、英 語 で 読 ませ て も効 果 は薄 い 。   基 本 を学 ぶ た め の教 科 書 は む しろ 、 す で に知 っ て い る 内容 を英語 で書 い て あ った 方 が 英 語 の 意味 と用 法 が 分 りや す い。 英 語 の 意 味 と用 法 が よ く分 り、自分 も英 語 で言 え そ うだ と思 わ せ る こ とが 出来 た ら成 功 で あ る。即 ち、 語 彙 を増 や せ ば使 え る とい う発 想 は、基 本 の学 習 時 間 を奪 い 、自己表 現 力 、 一29一

Table  2. Features  of Methods

参照

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