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中学生の健康指標と生活習慣の関連

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Academic year: 2021

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はじめに 近年,生活習慣病の増加が問題となっている.成人期 になると発症しやすい「高血圧症」,「糖尿病」,「脂質異 常症」といった生活習慣病の治療は,単独でも難渋する 疾患であるが,これらの危険因子が集積すると動脈硬化 が急速に進展し,最終段階として心筋梗塞や脳梗塞など の重篤な動脈硬化性疾患を発症することは周知の事実で ある1-2).このような病態の発症要因に内臓脂肪の蓄積 が指摘され3),予防医学的観点から内臓脂肪量を減らす ことを目指した生活習慣病対策が警鐘されている1-4). 小児の健康問題に関する研究では,運動不足や過食に よる肥満と歪んだ体型認識による痩身志向の二極化,朝 食欠食や睡眠不足など悪しき生活習慣に関する報告も 数多く6),生活習慣病の発症起源が小児期にあることか ら5),2005 年より小児メタボリックシンドローム(小 児 MS)の病態や診断基準の確立を目指したコホート研 究が全国規模で実施された6).これら臨床的エビデンス に基づいた大規模研究は本邦では皆無であり,今後の児 童生徒対象とした生活習慣への効果的な介入の方向性を 示唆する指針となるものである. 一方,学校保健領域における健康教育では,成長期の 児童生徒の健康状態を把握し,生活習慣を改善させるこ とだけではなく,将来的な健康を見据えた健全なライフ スタイルを小児期から確立させるための知識を提供し, 悪しき行動様式の変容を期して実践されるべきであると 明記されている7).しかし,生徒の健康意識の高揚や生 活習慣の改善に健康教育が即座にその効果を発揮するも のではない. そこで,児童生徒が生活習慣を見直すきっかけとして, 自らの身体情報を認識し,それを基盤として将来の健康         2019 年 12 月 3 日受付/ 2020 年 1 月 23 日受理 * 1 Keiko NONOUE 関西福祉大学 教育学部 * 2 Hiroko TAMURA 山陽学園大学 看護学部 * 3 Keiko OKAZAKI Takayo TADA 中国学園大学 現代生活学部

論 文

中学生の健康指標と生活習慣の関連

Relationship between the index of health and lifestyle habits of junior high school student

野々上敬子

* 1

,田村 裕子

* 2

,岡﨑 恵子

* 3

,多田 賢代

* 3 要約:中学生を対象に生活習慣関連指標の測定や調査を実施し,効果的な健康教育実践のための指針を構 築することを目指し健康教育を実施するとともに,健康指標と生活習慣の関連を明らかにすることを目的 とした.客観的健康指標として,身長,体重,腹囲,肥満度,体脂肪率,血圧,脈波伝播速度(PWV)と 血管狭窄度(ABI)を測定した.また,新体力テスト,生活習慣(食生活,睡眠習慣,運動習慣,帰宅後 の生活,身体・測定要因に対する興味関心など)に関する調査も実施した.  その結果,動脈硬化の進展度や血圧などの健康指標は,体型や新体力テストの結果との関連性が高く, 睡眠習慣や朝食摂取など生活習慣の影響も大きいと考えられた.また,食習慣や睡眠習慣に一定の改善意 欲はみられたが,男子は身長や筋量,女子では体重や体脂肪率など成長期の急激な身体変化に興味や関心 を示す傾向にあり,肥満改善意識の希薄さや体型認識の歪みなど成長期の心的な問題点も露呈した.一方, 動脈硬化や血圧,骨量,貧血度など将来の疾病発症につながる客観的な指標に対する興味・関心を示す生 徒も多くみられ,成長期の子ども達や家族にとって,将来にわたる健全な生活習慣の確立に,客観的な健 康関連指標を用いた健康教育を継続する意義は大きいと思われた.  今後,生活習慣病発症の risk-factor に関する知識の共通性を視座にした健康教育に加え,学校保健委員 会等を通して,全家族に生活習慣病予防の重要性を啓発し,地域ぐるみで生活習慣の改善と健康な生活環 境を構築するために,学校が発信源となる「健康づくり教育」の方向性を示唆するものと考えられた. Key Words: 中学生 生活習慣 健康指標 健康教育

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を意識させることは有効な手法であると考えられる.よ って,その方策として,現行の健診項目に加え,小児 MS 健診項目である腹囲(臍囲)や血圧の測定,体脂肪 率などの体組成測定,動脈硬化の進展を簡便に非侵襲的 な手法で測定できる脈波伝播速度(Pulse wave velocity :PWV)など医療機関で活用されている器機を用いて測 定を試みた. 腹囲や体脂肪測定は,内臓脂肪型肥満の一次スクリー ニングの有効な指標であり8-10),皮下脂肪型肥満との判 別が可能で,肥満の改善や不要な痩せ願望による体型認 識のズレを是正させることが期待できる.血圧や骨量, 貧血度は,成長期に重要な食習慣や運動習慣を反映し, 筋量や体脂肪量は,体力や運動能力との関連性が強い. PWV は,骨格や筋量,血圧,内分泌などの血管壁性状 因子の影響を受けるが,将来の動脈硬化性疾患の発症要 因となる成長に伴う身体機能の変化を客観的に評価でき る指標である11-12).また,これらの指標は,成人期まで トラッキングするため,将来の生活習慣病予防や健康生 活を構築する礎を担う指標でもある. よって,本研究は,生活習慣関連指標の測定や調査を実 施し,効果的な健康教育実践のための指針を構築すること を目指し,健康教育を実践するとともに,中学生の健康指 標と生活習慣の関連を明らかにすることを目的とした. 方法 調査対象者と調査期間  O 市 S 中学校の「健康づくり教育」の一環として, 2009 年度より中学生の生活習慣への介入を開始してい るが,本調査は,2012 年度 9 月に実施した生活習慣病 健診結果および生活習慣調査結果を研究資料とした.な お,体力・運動能力結果に関しては,2012 年の 4 月に, 当該校で実施された測定結果を採用した.調査対象は, O 市 S 中学校に在籍する循環器疾患,糖尿病,脂質異 常等の既往歴のない全生徒で,測定項目や質問紙調査に 欠損値があった者を除外し,本研究の趣旨に同意が得ら れた男子 356 名,女子 330 名,合計 686 名を分析対象者 として,以下の検討を行った. 測定および調査項目  身体計測として身長,体重,腹囲を測定し,肥満度は 年齢別,男女別標準体重法により算出した.体脂肪率 はセキスイインピメーターⅢ(セキスイ社製)を用い てインピーダンス法により両手甲部間を測定し,血圧・ 動 脈 硬 化 度 は 脈 波 伝 播 速 度 解 析 装 置 formPWV/ABI (オムロンコーリン社製)により,PWV と血管狭窄度 (Ankle-Branch index :ABI)を測定した.体力・運動 能力の評価は,文部科学省による新体力テストを採用し た.そして,各測定結果を生活習慣や肥満関連指標と比 較検討した.生活習慣に関する調査は,「児童生徒の健 康状態サーベイランス」調査13)を基に記名式の質問紙 を作成した.質問項目は食生活,睡眠習慣,運動習慣, 帰宅後の生活,身体・測定要因に対する興味関心などで あった.調査は測定時に調査用紙を配布・回収した(有 効回答率 96.8%). 健康教育の概要および内容 健康教育の骨子として,① : 身体計測とともに体組成 や健康関連指標を測定する.②:生活習慣調査結果や各 人の測定結果を自己評価させる.③:適切な生活習慣や 食習慣に関する知識や理解を習得する保健指導を学年単 位で 1 校時(50 分)実施する.④ : 学校保健委員会の活 性化を図り,保護者への食習慣や生活習慣改善のための 啓発活動を行う.⑤ : ①∼④の結果から,体型変化や生 活習慣の行動変容の経年的変化を精査し,生活習慣の改 善や健康意識の高揚を目指した一連の健康教育を検証す る.実施にあたっては各学年,特別活動の時間に設定した. 健康教育の指導内容として,健康づくりの観点から は,適切な生活習慣に関する知識の定着を目指して生活 習慣病の病態や予防に関する資料による保健指導を実施 する. 体力づくりの観点からは,日常的な運動量を確保する ために,運動部への積極的参加や徒歩通学を推奨する. 食行動の観点では,朝食摂取を重視し,摂取食品の組み 合わせや摂食リズムの固定化の重要性を指導し,結果を, 学年別,男女別に肥満関連指標と比較検討する. 倫理的配慮 本研究を行うに際して,対象の学校長に対し調査の意 義,対象者の人権的配慮に関して十分に説明を行った上 で同意を得た.その上で学校の教職員・学校保健委員会 関係者並びに保護者の理解と協力を得て調査を実施し た.なお,解析に用いた身体的特徴や体力,運動習慣お よび部活動の所属のデータは,そのデータを入手した時 点で,個人を識別することができる情報がすべて取り除 かれ,その個人に関わりのない新たな番号を付した連結 不可能で匿名化されたデータであった.なお,倫理面へ

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の配慮として,本研究は当該校の教職員の理解と全面的 な協力と保護者および本人の同意を得て,特別活動の時 間を活用した健康教育の一環として行った.生徒に対し ては測定前に説明の時間を設け測定の目的と未実施にお いても不利にならないことの説明を行った.同意につい ては,測定調査の参加をもって同意を得たものとした. 保護者には PTA 総会・参観日・学校保健委員会,保健 だより・学校だより・学年だより等により説明した.   統計処理 本研究で得られた対象者のそれぞれの測定結果は,肥 満度 +20% 以上を肥満群(軽度肥満:20%以上 30%未 満,中等度肥満:30%以上 50%未満,高度肥満:50% 以上),-20% 以下を痩身群,体脂肪率は男子 25% 以上, 女子 30% 以上をそれぞれ肥満群とした.腹囲や血圧は 小児 MS 診断基準を採用し,腹囲 80 ㎝以上または腹囲 身長比 0.5 以上を内臓脂肪型肥満群,血圧は収縮期血圧 125mmHg,拡張期血圧 70mmHg 以上を血圧高値群と した.PWV は 1100 ㎝ /s,ABI 値は 0.9 以下をカット オフ値とした.新体力テスト 8 種目の合計得点(80 点 満点)および能力別評価として能力順に A 群から E 群 までの 5 段階の総合判定結果を採用した. 肥満関連指標や各種測定結果の統計的分析は,関連す る 2 群間の平均値の差の検定は student-t検定,3 群間 比較には Friedman 検定,多群間の比較には,Kruskal-Wallis 検定を行い,2 群間の関連性は Pearson の単相関 係数を用いた.生活習慣調査の分析では,学年,性別, 体格指標を独立変数として一元配置分散分析を行い,ク ロス集計はχ2検定を行った.各検定の有意水準は 5% とし,統計解析には SPSS16.0 for Windows を使用した. 結 果  ① 身体計測とともに体組成や健康関連指標の測定 1 .対象者の属性 身体計測値の男女比較では,身長や体重は男子が有意 に高値を示した.肥満度は正規分布を示し,平均肥満度 は男子 -0.7 ± 16.6%,女子 -1.1 ± 15.5 で有意な差はなか った.体脂肪率は女子の方が有意に高値を示した.肥満 度 20% ≦の肥満群は全体では 12.8% で比較的男子に多 くみられた.一方,肥満度≦ -20% の痩身群は全体では 4.2% で,女子に多い傾向がみられたが有意な性差はな かった.腹囲も 80cm ≦または腹囲身長比 0.5 ≦の内臓 脂肪型肥満群は 9.9% であったが有意な性差はなかった (表 1,図 1-1 ∼ 3). 表1 体格および肥満関連指数 男子 女子 p-value 人数(N) 356 330 身長(cm) 161.4 ± 8.0 154.8 ± 5.6 p<0.01 体重(kg) 50.3 ± 11.5 46.7 ± 8.5 p<0.01 腹囲(cm) 68.3 ± 9.3 67.4 ± 7.6 0.387 腹囲 / 身長 0.423 ± 0.052 0.435 ± 0.047 0.106 肥満度(%) -0.7 ± 16.6 -1.1 ± 15.5 0.211 BMI 19.2 ± 3.4 19.4 ± 3.1 0.478 体脂肪率(%) 16.1 ± 5.7 23.5 ± 4.7 p<0.01 SBP(mmHg) 116.4 ± 11.8 110.0 ± 9.6 p<0.05 DBP(mmHg) 61.0 ± 7.1 59.8 ± 7.0 0.178 HR(bpm) 72.6 ± 11.6 75.4 ± 11.6 0.086 1 5 23 64 117 126 90 94 45 33 22 15 10 8 12 3 4 7 3 2 1 1 0 20 40 60 80 100 120 140 -30ӌӌ-20ӌ -10ӌ 0ӌ 10ӌ 20ӌ 30ӌ 40ӌ 50ӌ 60ӌ 70ӌ 㻔㻑㻕 ㍍ᗘ⫧‶ ୰➼ᗘ⫧‶ 㧗ᗘ⫧‶ 㻔ே㻕 図1-1 肥満度の分布 3 7 18 15 6 4 16 13 3 6 15 11 㻜㻜 㻞 㻠 㻢 㻤 㻝㻜 㻝㻞 㻝㻠 㻝㻢 㻝㻤 㻞㻜 ⑭㌟⏨Ꮚ ⑭㌟ዪᏊ ⫧‶⏨Ꮚ ⫧‶ዪᏊ 㻝ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻟㻡䠅 㻞ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻞㻜㻕 㻟ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻟㻝㻕 㻔ே㻕 図1-2 肥満と痩せの割合 5 69 200 212 94 40 30 15 10 6 3 0 2 0 50 100 150 200 250 ӌ ӌ55 ӌ60 ӌ65 ӌ70 ӌ75 ӌ80 ӌ85 ӌ90 ӌ95ӌ100 ӌ105 ӌ115 э⭡ᅖ㧗್䠖80䟛ӌ (cm) 㻔ே㻕 ӌ110 図1-3 腹囲の分布

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2 .PWV 値 PWV 値は概ね正規分布を示し,全体平均値は 919.3± 104.8cm/s で,加齢に伴い増加する傾向にあった.学年 別男女比較では 1 年生は男子 908.6cm/s 女子 891.3cm/ s,2 年生は男子 923.3cm/s 女子 901.1cm/s,3 年生は 男子 951.1cm/s 女子 923.5cm/s であり各学年とも男子 の方が高くなっていた.特に,男子,女子ともに思春期 の後半である中学 2 年生から 3 年生になる時期に上昇を 示す割合が高くなる傾向がみられた.また,体型別脈波 伝播速度は,標準群は男子 928.4cm/s 女子 922.1cm/ s ,痩身群は男子 965.5cm/s 女子 951.8 cm/s ,肥満群 のうち軽度肥満は男子 971.8cm/s 女子 968.4cm/s,中 等度肥満男子 1004.2 女子 981.6 cm/s ,高度肥満は男子 1098.5cm/s 女子 1012.3cm/s であった. PWV 値は体 型の影響を受け,痩身群は標準群に比して高値を示した. また,肥満群と標準群の比較では,肥満度が増悪するに ともない有意に高値を呈した(図 2-1 ∼ 3). 3 .収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP) SBP と DBP は,加齢にともない増加傾向を示し,SBP 高値群は全体で 11.2%,DBP 高値群は 18.7% であった. SBP の学年別男女別比較では 1 年生は男子 108.6mmHg  女 子 104.3mmHg,2 年 生 は 男 子 112.6mmHg  女 子 109.8mmHg,3 年生は男子 122.6mmHg 女子 115.6mmHg 108.6 104.3 112.6 109.8 122.6 115.6 61.3 59.4 63.5 62.7 67.4 63.1 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 㻝㻝ᖺ⏕⏨Ꮚ 㻝ᖺ⏕ዪᏊ 㻞ᖺ⏕⏨Ꮚ 㻞ᖺ⏕ዪᏊ 㻟ᖺ⏕⏨Ꮚ 㻟ᖺ⏕ዪᏊ SBP DBP Ꮫᖺู⏨ዪẚ㍑㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝 㻖㻖 䠄mmHg䠅 㻖㻖 ⾑ ᅽ 㻿㻮㻼㻦ᣑᙇᮇ⾑ᅽ䚸㻰㻮㻼䠖ᣑᙇᮇ⾑ᅽ 㻔㻺㻩㻝㻝㻣㻕 㻔㻺㻩㻝㻝㻤㻕 㻔㻺㻩㻝㻞㻠㻕 㻔㻺㻩㻥㻢㻕 㻔㻺㻩㻝㻝㻣㻕 㻔㻺㻩㻝㻝㻢㻕 図3-1 学年別男女別収縮期血圧と拡張期血圧 ṣṛ Ṥṛ Ṝṛṛ ṜṜṛ Ṝṝṛ ṜṞṛ Ṝṟṛ ṜṠṛ Ṝṡṛ Ṙṟṛ Ṙṝṛ ṛ ṝṛ ṟṛ ṡṛ ṣṛ Ṝṛṛ Ṝṝṛ Ṝṟṛ Ṝṡṛ ⏨Ꮚ(N=356) ዪᏊ(N=330) r=0.574 p<0.01 r=0.427 p<0.01 䠄䠂䠅 䠄mmHg䠅 ཰㻌 ⦰㻌 ᮇ㻌 ⾑㻌 ᅽ ⫧‶ᗘ 図3-2 収縮期血圧と肥満度との相関性 ṡṛ ṣṛ Ṝṛṛ Ṝṝṛ Ṝṟṛ Ṝṡṛ ṡṛṛ Ṣṛṛ ṣṛṛ Ṥṛṛ Ṝṛṛṛ ṜṜṛṛ Ṝṝṛṛ ṜṞṛṛ ⏨Ꮚ(N=356) ዪᏊ(N=330) r=0.503 p<0.01 r=0.571 p<0.01 ཰㻌 ⦰㻌 ᮇ㻌 ⾑㻌 ᅽ 䠄mmHg䠅 䠄䟛/s䠅 ⬦Ἴఏ᧛㏿ᗘ 図4 脈波伝播速度と収縮期血圧との相関性 2 8 36 50 101 134 118 104 67 26 18 12 6 5 2 0 20 40 60 80 100 120 140 160 700ӌӌ 800ӌ 900ӌ 1000ӌ 1100ӌ 1200ӌ 1300ӌ 䋻㻼㼃㼂㧗್䠖㻝㻝㻜㻜䟛㻛㼟䍺 (cm/s) 䠄ே䠅 ⬦Ἴఏ᧛㏿ᗘ 図2-1 脈波伝播速度(PWV)の分布 908.6 923.3 951.1 891.3 901.1 923.5 800 850 900 950 1000 1050 㻝㻝ᖺ⏕㻔㻺㻩㻞㻟㻡㻕 㻞ᖺ⏕㻔㻺㻩㻞㻞㻜㻕 㻟ᖺ⏕㻔㻺㻩㻞㻟㻝㻕 ⏨Ꮚ(N=356) ዪᏊ(N=330) 㻖㻖 㻖㻖 ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 ⏨ዪẚ㍑㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝 図2-2 学年別脈波伝播速度 965.5 928.4 971.8 1004.2 1098.5 951.8 922.1 968.4 981.6 1012.3 800 900 1000 1100 1200 1300 ⑭ ⑭㌟⩌ ᶆ‽⩌ ㍍ᗘ⫧‶ ୰➼ᗘ⫧‶ 㧗ᗘ⫧‶ ⏨Ꮚ(N=356) ዪᏊ(N=330) ⏨ዪูᶆ‽⩌䛸䛾ẚ㍑䠖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻡䚸㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝 㻖㻖 㻖 㻖㻖 㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 㻔㻺㻩㻞㻥㻕 㻔㻺㻩㻡㻢㻥㻕 㻔㻺㻩㻠㻞㻕 㻔㻺㻩㻞㻣㻕 㻔㻺㻩㻝㻥㻕 図2-3 体型別脈波伝播速度

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であり各学年とも男子の方が高くなっていた.DBP では 1 年生は男子 61.3 mmHg 女子 59.4mmHg,2 年生は男子 63.5mmHg  女 子 62.7mmHg,3 年 生 は 男 子 67.4mmHg 女子 63.1mmHg であり SBP と同じく各学年とも男子の 方が高くなっていた. また,比較的男子に高値群が多く,特に 3 年生男子の 血圧高値群は 22.3% で他の学年より有意に多かった. 肥 満 度 と SBP と の 比 較 で は, 単 相 関 係 数 が 男 子 r=0.574,女子 r=0.427,PWV と SBP との比較では男子 r=0.571,女子 r=0.503 でともに有意な関連性が認めら れた(図 3-1 ∼ 2,図 4). 4 .PVW と健康指標や測定値との関連性 PWV を独立変数として健康指標や測定値との一次相 関係数を算出し,有意な相関係数が得られたのは,男子 では肥満度と血圧,女子では体脂肪率,腹囲,血圧であ った(表 2). また,PWV と体型別比較では,男女とも肥満度 20% 以上の肥満群は,標準群に比して PWV 値は高値を示し, 肥満度 -20%以下の痩身群も標準群に比して有意に高値 を示していた. PWV と腹囲別比較では,内臓脂肪型肥満群の PWV は 男 子 976.1cm/s 女 子 950.8cm/s で あ り, 標 準 群 の PWV は男子 918.5cm/s 女子 904.3cm/s であった.男女 とも内臓脂肪型肥満群は PWV が有意に高値を示してい た. PWV と SBP 別比較では,血圧高値群の PWV は男 子 1017.7cm/s 女 子 987.3cm/s で あ り, 標 準 群 は 男 子 915.5cm/s 女子 908.7cm/s で血圧高値群が有意に高値を 示していた.(図 5-1 ∼ 3). ② 日常の生活習慣調査 1 .睡眠習慣 睡眠時間の学年別男女比較では,1 年生は男子 476.5 分 女子 468.9 分,2 年生は男子 443.6 分 女子 448.9 分,3 年生は男子 421.6 分 女子 435.6 分であり男女とも学年が 進むにつれ睡眠時間が短くなる傾向がみられ,3 年生男 子は女子より有意に短くなっていた. 睡眠時間の体型別比較では標準群が男女ともに最も長 く,男子 476.5 分 女子 481.3 分,痩身群は男子 460.4 分 女子 459.8 分,肥満群では軽度肥満は男子 444.1 分 女子 428.0 分,中等度肥満は男子 423.9 分 432.3 分,高度肥満 は男子 428.6 分 女子 435.6 分であった.肥満群の平均睡 眠時間は 434.8 ± 113.2 分で標準群や痩身群より有意に短 かった.しかし,睡眠時間と肥満度との関連性には有意 な差は認められなかった(図 6-1 ∼ 3). 965.5 951.8 928.4 922.1 1014.6 987.4 800 900 1000 1100 1200 1300 ⏨ ⏨Ꮚ(N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 ⑭㌟⩌䠄N=29) ᶆ‽⩌䠄N=569) ⫧‶⩌䠄N=88) ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 p<0.01 p<0.01 p<0.01 p<0.01 図5-1 体型別脈波伝播速度 976.1 950.8 918.5 904.3 850 900 950 1000 1050 1100 ⏨ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 80cmӌ 80cmp<0.01 p<0.01 ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 図5-2 腹囲と脈波伝播速度 1017.7 987.3 915.5 908.7 850 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 ⏨ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 125mmHgӌ 125mmHgp<0.01 p<0.01 ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 図5-3 収縮期血圧と脈波伝播速度 表2 肥満関連指標と脈波伝播速度 男 子(N=356) 女 子(N=330) r p-value r p-value 肥満度 0.204 p< 0.05 0.132 n.s 体脂肪率 0.080 n.s 0.205 p< 0.05 腹 囲 0.152 n.s 0.244 p< 0.05 収縮期血圧 0.571 p< 0.01 0.503 p< 0.01 拡張期血圧 0.222 p< 0.05 0.515 p< 0.01 r :相関係数 n.s :not signifi cant

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2 .朝食摂取状況 朝食摂取の割合は男女とも約 9 割の生徒が摂取してお り有意な性差はなかった. 体型別朝食摂取状況の比較では,肥満群や痩身群は標 準群に比して朝食摂取の割合は有意に少なくなる傾向に あった. また,朝食摂取状況と PWV との比較でも,朝食を毎 日食べる者が男女とも PWV が低値であった.朝食の摂 取習慣は PWV の進展に影響を与え,朝食を欠食する者 ほど PWV は高値を示す傾向にあった(図 7-1 ∼ 3). 3 .日常的な生活習慣 平日の帰宅後の室内活動内容(室内にいる,パソコン・ ゲーム,テレビ・ビデオ,メール,学習)と時間につい ては(表 3)に示した.生活習慣の各項目間の関連性に ついては,就寝時刻が遅いほど室内外の活動時間が長く 就寝時刻が遅くなっていた.また,帰宅時刻・夕食時刻 も遅く,起床時刻・登校時刻・朝食時刻が遅かった(図 8).   4 .新体力テスト 新体力テストの判定は,A 群(優れている)122 名 (17.8%),B 群(高いほう)149 名(21.7%),C 群(普 通)216 名(31.5%),D 群(低いほう)160 名(23.3%), 476.5 443.6 421.6 468.9 448.9 435.6 400 430 460 490 520 㻝㻝ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻟㻡㻕 㻞ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻞㻜㻕 㻟ᖺ⏕䠄㻺㻩㻞㻟㻝㻕 ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 ╧ ╀ ᫬ 㛫 䠄ศ䠅 p<0.01 図6-1 学年別睡眠時間 460.4 476.5 444.1 423.9 428.6 459.8 481.3 428.0 432.3 435.6 400 430 460 490 520 ⑭ ⑭㌟⩌ ᶆ‽⩌ ㍍ᗘ⫧‶ ୰➼ᗘ⫧‶ 㧗ᗘ⫧‶ ⏨Ꮚ䠄N=356) ዪᏊ䠄N=330) ⏨ዪูᶆ‽⩌䛸䛾ẚ㍑䠖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻡䚸㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖 䠄ศ䠅 ╧ ╀ ᫬ 㛫 䠄N=29䠅 䠄N=569䠅 䠄N=42䠅 䠄N=27䠅 䠄N=19䠅 図6-2 体型別睡眠時間 Ṙṟṛ ṘṘṝṛ ṛ ṝṝṛ ṟṛ ṡṡṛ ṣṛ ṜṜṛṛ Ṝṝṛ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 Ởస᫑ Ờస᫑ ớస᫑ Ớస᫑ ộస᫑ ờస᫑ Ṝṛస᫑ ⫧‶ᗘ㻌 ṜṜస᫑ ṓṐṔ Ṝṝస᫑ r=-0.112 N.S r=0.097 N.S ╧㻌 ╀㻌 ᫬㻌 㛫㻌 図6-3 肥満度と睡眠時間との相関性 79.5 78.4 7.4 12.6 8.0 6.1 5.1 3.0 ẖ ẖ᪥㣗䜉䜛 㣗䜉䜛᪥䛜ከ䛔 㣗䜉䛺䛔᪥䛜ከ䛔 Ṥ䛹㣗䜉䛺䛔 ⏨ Ꮚ 䠄N=356䠅 ዪ Ꮚ 䠄N=330䠅 䠄%䠅 䃦㻞䠙㻣㻚㻝㻜䚸㻺㼛㼠㻌㻿㼕㼓㼚㼕㼒㼕㼏㼍㼚㼠 図7-1 朝食の摂取頻度 72.5 74.9 63.5 17.2 19.1 23.9 3.4 3.9 12.5 6.9 2.1 9.1 ⫧ ⫧‶⩌ 䠄N=88䠅 ᶆ‽⩌ 䠄N=569䠅 ⑭䛫⩌ 䠄N=29䠅 ẖ᪥㣗䜉䜛 㣗䜉䜛᪥䛜ከ䛔 㣗䜉䛺䛔᪥䛜ከ䛔 Ṥ䛹㣗䜉䛺䛔 䠄%䠅 䃦㻞䠙㻞㻠㻚㻜㻜䚸㼜㻨㻜㻚㻜㻝 図7-2 肥満度別の朝食摂取状況 898.4 919.8 984.6 994.5 909.6 923.1 944.4 942.1 800 850 900 950 1000 1050 1100 ẖ᪥㣗䜉䜛 㣗䜉䜛᪥䛜ከ䛔 㣗㣗䜉䛺䛔᪥䛜ከ䛔 Ṥ䛹㣗䜉䛺䛔 ⏨Ꮚ䠄N=356䠅䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅䠅 S S ⬦㻌 Ἴ㻌 ఏ㻌 ᧛㻌 ㏿㻌 ᗘ 䠄cm/s䠅 䠄N=562䠅 䠄N=71䠅 䠄N=28䠅 䠄N=25䠅 図7-3 朝食摂取状況別の脈波伝播速度

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E 群(劣っている)39 名(5.7%)であった. 新体力テストの得点と体型との比較では,標準群は男 女とも肥満群や痩身群に比して新体力テストの得点が有 意に高値を示した. また,PWV との比較では,男子は運動能力の高いほ うの B 群に比して,低いほうの D 群や劣っている E 群 に PWV 高値を呈する者が有意に多かった(図 9-1 ∼ 2). 5 .摂取食品 日常的な摂取食品の食品群別の摂取頻度を(表 4)に 示した.米麺類は食べない者が皆無であった.蛋白質は 肉類と魚類を偏りなく摂取していたが,牛乳や大豆製品, 海藻の摂取頻度は低かった.また,レトルト製品の使用 頻度は低かったが,スナック菓子やジュース類の摂取頻 度は摂取習慣が「ある・ない」に分かれた. ③ 生活習慣調査および測定結果の評価 1 .測定項目への興味・関心 対象者が興味・関心を示す測定項目では,男子は身長 が 47.8% と最も多く,体重,筋量,貧血度,内臓脂肪量 の順であった.女子では,体重が 67.9% と極端に多く, 身長,貧血度,内臓脂肪量,筋量の順であった.測定項 目への興味・関心では,男子は血圧が 42.2% と一番多く 動脈硬化度,血管狭窄度,肥満度,体脂肪率が約 25% でほぼ同じ割合を示したのに対し,女子では体脂肪率 が 45.1%,肥満度が 39.2%,血圧が 38.3% と多く,以下, 血管狭窄度,動脈硬化度の順で,将来の生活習慣病予防 に関わる危険因子への興味・関心は低くなっていた(図 10-1 ∼ 2). 表3 平日の室内活動内容と時間 (分) 室内の時間 PC/Game TV・DVD Mail 学習時間 1 年生男子 (N=117) 64.4 ± 75.1 59.5 ± 74.5 108.7±87.9 8.9 ± 26.8 56.7 ± 52.0 1 年生女子 (N=118) 60.2 ± 66.2 60.1 ± 67.3 100.9±79.4 7.7 ± 17.6 48.8 ± 55.1 2 年生男子 (N=124) 73.0 ± 73.6 81.8 ± 78.3 75.2 ± 60.6 10.2 ± 21.0 76.3 ± 66.8 2 年生女子 (N=96) 51.2 ± 71.5 35.6 ± 64.3 113.0±94.9 16.0 ± 28.6 66.4 ± 61.7 3 年生男子 (N=115) 70.2 ± 73.8 32.6 ± 50.7 102.7±77.7 10.8 ± 17.7 51.0 ± 48.5 3 年生女子 (N=116) 66.0 ± 70.4 45.3 ± 62.1 85.6 ± 79.5 11.9 ± 22.0 98.6 ± 77.0 ᑵᐷ᫬้ ᖐᏯ᫬้ ኤ㣗᫬้ Ⓩᰯ᫬้ ᮅ㣗᫬้ ㉳ᗋ᫬้ ᐊእάື 㻌 䠄㐠ື㒊䠅 㻌 ᐊෆάື 䠄TV䞉Video) r=0.24 r=0.87 r=0.98 r=0.43 r=0.57 r=0.36 r=0.57 r=0.43 㻖㻖㻌 㻖㻖㻌 㻖㻖㻌 㻖㻖㻌 㻖㻖㻌 㻖㻖㻌 㻖㻌 㻖㻌 㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻡㻌 図8 生活習慣相互の関連性 43.1 48.6 45.9 32.7 34.6 42.6 52.1 49.7 38.7 35.6 20 30 40 50 60 ⑭ ⑭䛫⩌ ᶆ‽⩌ ㍍ᗘ⫧‶⩌ ୰➼ᗘ⫧‶⩌ 㧗ᗘ⫧‶⩌ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 䠄Ⅼ䠅 ⏨ዪูᶆ‽⩌䛸䛾ẚ㍑䠖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻡䚸㻖㻖䠖㼜㻨㻜㻚㻜㻝 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖㻖 㻖 㻖㻖 ᚓ Ⅼ 䠄N=29䠅 䠄N=569䠅 䠄N=42䠅 䠄N=27䠅 䠄N=19䠅 図9-1 体型別新体力テスト得点 958.4 923.8 934.5 986.4 1012.3 941.3 919.7 922.9 956.7 987.4 800 850 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 A⩌⩌ BCDE⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 ⬦ Ἴ ఏ ᧛ ㏿ ᗘ 䠄cm/s䠅 యຊ䞉㐠ື⬟ຊ S S S 䠄N=122䠅 䠄N=149䠅 䠄N=216䠅 䠄N=160䠅 䠄N=39䠅 図9-2 新体力テストと脈波伝播速度

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2 .体型認識と改善 現在の体型認識の体型別比較では,標準群は,「現在 の体型で良い」と回答した者が多かった.また,痩身 群では,「太りたい」「少し太りたい」と回答した者が 34.5% いた.痩身群にもかかわらず,「痩せたい」「少し 痩せたい」と回答した者も 27.5% いた.一方,肥満群では, 肥満改善意識を有する者は 67.0% であった(図 11). 3 .健康意識・改善への前年度からの取り組み 対象者が意識して取り組んでいる生活習慣は,男子は 運動習慣が 64.1% と最も高く,食事>睡眠>学習の順で あった.一方,女子は食習慣が 73.2% と最も高く,睡眠 >運動>学習の順であった.また,今後,改善したい学 校生活での目標としては,男子は体力向上が 71.2% と最 も多く,以下,身体発育>学力向上>友人関係>病気予 防,女子では学力向上が 78.3% と最も多く,体力向上> 友人関係>病気予防>身体発育の順で,男女間に生活環 境や人間関係に微妙な意識の違いが見られた.(図 12-1 ∼ 2). 考察 現在は,健康に関する様々な情報が氾濫する中で,健 康観や信条に従い,満足できる健康論を見出すという時 代であり,いかに生徒達の潜在的な能力を開発し,その 「生きる力」を如何にして最大限に発揮させるかという ことが健康教育において最優先される課題であると考え られる.人生の健康生活を決定する成長期は,将来のラ イフスタイルが確立する時期であり,生活習慣病予防に おいて本質的な意味をもつ9-10).近年では,メディア情 47.8 38.6 18.4 35.2 19.6 22.5 28.2 10.3 44.8 67.9 20.3 27.6 20.4 36.7 38.4 11.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 ㌟ ㌟㛗 య㔜 ⭡ᅖ ➽㔞 㦵㔞 ⬡⫫㔞 ㈋⾑ᗘ 䛭䛾௚ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 䠄%䠅 S S S S 図10-1 身体要因に対する興味関心度(1) 25.6 23.7 42.2 26.8 26.1 22.1 26.3 38.3 39.2 45.1 0 10 20 30 40 50 60 ື ື⬦◳໬ ⾑⟶⊃✽ ⾑ᅽ ⫧‶ᗘ య⬡⫫⋡ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 䠄%䠅 S S 図10-2 測定要因に対する興味関心度(2) 28.4 18.6 6.9 38.6 27.2 20.6 26.3 42.8 38.1 4.5 8.6 24.1 2.2 2.8 10.3 ⫧ ⫧‶⩌ 䠄N=88䠅 ᶆ‽⩌ 䠄N=569䠅 ⑭㌟⩌ 䠄N=29䠅 ⑭䛫䛯䛔 ᑡ䛧⑭䛫䛯䛔 ⌧ᅾ䛾యᆺ䛷Ⰻ䛔 ᑡ䛧ኴ䜚䛯䛔 ኴ䜚䛯䛔 䃦㻞䠙㻠㻣㻚㻥㻟䚸㼜㻨㻜㻚㻜㻝 䠄%䠅 表4 食品群における食物摂取頻度 (N=686) (%) 食品群 毎日食べる ほぼ毎日 半々 あまり食べない 食べない 米麺類 75.6 19.4 3.7 1.5 0.0 肉類 19.4 34.4 40.0 5.0 1.0 魚類 9.6 29.2 46.1 12.6 2.4 鶏卵 19.7 35.6 32.6 10.8 1.3 牛乳 35.7 20.1 13.9 15.4 14.8 大豆製品 15.6 22.2 38.4 19.3 4.3 野菜 20.5 32.9 24.1 12.4 3.7 海藻 9.9 17.0 39.9 24.4 6.6 果物 23.4 31.1 31.1 11.4 2.8 揚げ物類 8.2 24.7 47.8 16.2 2.1 スナック菓子 13.2 23.3 33.2 23.9 6.2 味噌汁 24.1 31.5 29.2 12.6 2.1 レトルト食品 11.9 2.2 15.3 70.2 11.6 ジュース類 17.7 25.6 29.8 16.5 11.0 ※レトルト食品にはインスタント食品、ジュース類にはスポーツドリンクを含む

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報に触発された健康ブームに便乗した出版物を健康教育 の教材として活用する傾向にあるが,安易な痩せ志向を 目指した健康情報による誤ったライフスタイル改善への 取り組みが,成長期の生徒達の体型認識に歪みをもたら し,肥満児よりも過剰な痩身児が増加し,肥満と痩せの 二極化14-16)が問題視されるようになった.本研究にお ける体型認識調査でも,痩身群にもかかわらず約 3 割の 生徒が痩せ願望を持っていることが認められた.痩身群 は新体力テスト得点も標準群より低くなっていることか らも,免疫力の低下や二次性徴発現の遅延など成長期特 有の症状が,将来的に重篤な疾患を発症する可能性があ ることを危惧している. 筆者らが,2009 年に開始した生活習慣が身体の成長 に与える影響を指導している「健康づくり教育」も徐々 に定着しつつある.日常的に改善したい生活習慣や学校 生活での目標をみても疾病予防の risk-factor を意識し て,体力向上や病気予防を学校生活の目標設定として健 康的で有意義な学校生活を過ごし,家族の健康維持増進 にも取り組もうとする姿勢もみうけられる.しかし,資 料や講演による健康教育だけでは,肥満や痩せの改善に 劇的な介入効果も得るには至っていない.社会が複雑に なり健康問題が多様化した今日,健康や生命にかかわる 科学・技術の急速な発展と相まって,一人前の社会人に なるために要求される健康に関わる知識は,以前より格 段多くなり,以前にも増して複雑な問題を解決する能力 が必要になってきている.そのために,健康教育で最低 限必要なリテラシーとなるに足りる十分な知識を習得 し,それを活かして複雑な問題解決能力を身につける ことが求められており,健康教育への期待も大きい17). 健康行動に影響する要因は知識以外にも様々ある. 健康教育による生活習慣の改善とは,所謂,「生活習 慣の粗探し」をするのではなく,将来の生活習慣病予防 に関する知識の習得と健全で強靭な心身の構築にある. 生活の中での健康に関わる考え方や行動のしかたを育て ることは,意図的に準備された教育課程の中だけで実 現できるものではない.深夜までテレビ・ビデオ・PC ゲーム,携帯電話などの電子メディアに接していると, 夜更かし,睡眠不足,朝食欠食の負の連鎖につながり, 午前中の体調不良から生活リズムに大きな影響を及ぼ す18).テレビの視聴時間が長いほど,内臓脂肪量,高血圧, 脂質異常と有意な相関があり6,19),睡眠時間が短いと成 長ホルモンの分泌が少なくなり,脂肪分解が抑制され, 肥満を発症することも確認されている20).生活習慣病 の発症には,食事や運動とともに睡眠,遊び,電子メデ ィアの長時間使用などライフスタイルと密接に関連して いる.21-24)本研究では,生活習慣と体型に有意な関連性 は確認できなかったが,生活習慣の改善を必要とする者 も多く,肥満群男子の大半が腹囲高値を呈し,将来的な 動脈硬化性疾患の発症が危惧された.一方,肥満群女子 では,思春期特有の皮下脂肪型肥満であるにもかかわら ず,不要なダイエットをする者も多かった.また,標準 群にも腹囲高値による内臓脂肪が過剰に蓄積した隠れ肥 満も数多く存在していた.生徒達には,それぞれの生活 背景があり,個々の健康課題をもっている.自分の健康 課題の克服には,自分自身の関心や願い,将来設計と関 連づけながら目を向けさせる好機となる個別の保健指導 が有効である25).しかし,現状は生活習慣病予防を目 的とした集団健診や健康セミナーは散在するが,生徒達 や家族が気軽に相談できる機関は皆無である.よって, 本研究のテーマである生活習慣への介入として,将来に つながる健康関連指標の測定を実施し,個々人のデータ を基にした健康アドバイスをする機会を設定する意義は 大きいと思われる.また,本健康教育の目的の一つであ る健康意識の高揚を地域住民への拡大に関しても,学校 保健委員会の活性化と連携を図りながらの啓発活動の推 58.3 64.1 44.3 41.1 26.1 73.2 50.1 66.4 47.6 28.4 0 20 40 60 80 100 㣗 㣗⩦័ 㐠ື⩦័ ╧╀⩦័ Ꮫ⩦⩦័ 䛭䛾௚ ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 䠄%䠅 S S S 図12-1 改善したい生活習慣 (複数回答) 58.4 65.0 71.2 47.2 38.9 78.3 45.5 67.8 65.4 52.1 0 20 40 60 80 100 Ꮫ Ꮫຊྥୖ ㌟యⓎ⫱ యຊྥୖ ཭ே㛵ಀ ⑓Ẽண㜵 ⏨Ꮚ䠄N=356䠅 ዪᏊ䠄N=330䠅 䠄%䠅 䃦㻞䠙㻝㻞㻚㻜㻤䚸㼜㻨㻜㻚㻜㻡 図12-2 改善したい学校生活での目標 (複数回答)

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進を容易にするものであった. おわりに,本健康教育の実施に際しては,学校関係者 や保護者の理解と協力を得ながら実施しているが,準備 段階からの雑務の煩雑さとともに経費面や授業時間,マ ンパワーの確保など解決すべき問題も山積している.し かし,成長期の子ども達や家族にとって,将来にわたる 健全な生活習慣の確立に,客観的な健康関連指標を用い た健康教育を継続する意義は大きいと考えられた. まとめ 中学生を対象に意欲的に生活習慣を改善するための 「健康づくり教育」を推進し,将来的な疾病予防につな がることを目的とした健康教育を実施した.動脈硬化の 進展度や血圧などの健康指標は,体型や新体力テスト得 点の結果との関連性が高く,睡眠習慣や朝食摂取など生 活習慣の影響も大きいと考えられた.食習慣や睡眠習慣 に一定の改善意欲はみられたが,男子は身長や筋量,女 子では体重や体脂肪率など成長期の急激な身体変化に興 味や関心を示す傾向にあり,肥満改善意識の希薄さや体 型認識の歪みなど成長期の心的な問題点も露呈した.一 方,動脈硬化や血圧,骨量,貧血度など将来の疾病発症 につながる客観的な指標に対する興味・関心を示す生徒 も多くみられ,本人とその家族の生活習慣病予防に寄与 できるのではないかと考える. 今後,生活習慣病発症の risk-factor に関する知識の 共通性を視座にした健康教育に加え,学校保健委員会等 を通して,全家族に生活習慣病予防の重要性を啓発し, 地域ぐるみで生活習慣の改善と健康な生活環境を構築す るために,従来の医療主導型の疾病予防対策事業から学 校が発信源となる今後の「健康づくり教育」の方向性を 示唆するものと考えられた. 謝辞 本研究の実施に際し,ご協力いただきました中学校の 学校長ならびに諸先生方には,ご理解ご協力を賜り深謝 申し上げます.また,測定にご協力頂きました数多くの 保護者の皆様や地域の方々には厚く御礼申し上げます. 最後に,快く測定に協力していただいた生徒の皆様,有 難うございました. 文献

1 )Daniels SR・Jacobson MS・McCrindle BW: American Heart Association Childhood Obesity Research Summit; executive

summary, Circulation 119,pp.2114-2123,2009

2 )Yoshinaga M・Sameshima K・Jogasaki M・et al: Emergence of cardiovascular risk factor from mild obesity in Japanese elementary school children, Diabetes Care29,pp.1408-1410, 2006

3 )厚生労働保健局:平成 23 年度特定健診・特定保健指導の実 施状況(速報値),2013

4 )Gutierrez JL: Work-related physical activity is not associated with body mass index and obesity, Obesity Res 10,pp.270-276,2002

5 )Kopelman PG: Obesity as a medical problem.Nature404, pp.635-643,2000 6 )大関武彦(主任研究者):小児期メタボリックシンドローム 症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関す るコホート研究:平成 17 年度総合研究報告書,2006 7 )中央教育審議会:幼稚園,小学校,中学校,高等学校及 び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申), p.107,2008

8 )Erizabeth DW・Baur LA: Adolescent obesity;making a difference to the epidemic, Int J Adolesc Med Health 19, pp.235-243,2007 

9 )Tokunaga K・Matsuzawa Y・Kotani K・et al: Ideal body weight estimated from body mass index with the lowest, Int J Obes 15,pp.1-5,1991

10)横手幸太郎・齋藤康:メタボリックシンドロームにおける 動脈硬化性疾患発症とその予防対策,日本臨床 64,pp.30-31,2006

11)Niboshi A・Hamaoka K・Sakata K: Characteristics of branchial-ankle pulse wave velocity children,Eur J Pediatr 165,pp625-629,2006

12)Westerhof BE・Wijngard JP・Murgo JP: Location of a reflection site is elusive; consequences for the calculation of aortic pulse wave velocity, Hypertension 52-3,pp.478-483, 2008 13)日本学校保健会:平成 18 年度児童生徒の健康状態サーベイ ランス事業報告書,財団法人日本学校保健会,2008 14)有働舞衣・吉永正夫・崎向幸江・他:生活習慣改善による 小児肥満治療効果と予測因子に関する研究,肥満研究 19-2, pp.111-117,2013

15)Wittmeier KD・Molland RC・Kriellars DJ: Physical activity intensity and risk of overweight and adiposity in children, Obesity 16,pp.415-420,2008

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for treatment of child and adolescent overweight and obesity , Pediatrics 120-4,pp.254-288,2007

17)野津有司・和唐正勝・渡邉正樹・他:全国調査による保健 学習の実態と課題 - 児童生徒の学習状況と保護者の期待につ いて -,日本学校保健研究 49-4,pp64-68,2007

18)Murphy JM. Breakfast and learning updated review, Current Nutrition Food. 3: 3-36,2007

19)佐藤護:メタボリックシンドローム・内臓脂肪と糖尿 病・高血圧・脂質異常症合併のメカニズム,診断と治療 96, pp.237-243,2008 20)野々上敬子・平松清二・稲森義男:中学生の生活習慣およ び自覚症状と学業成績に関する研究 - 岡山市内 A 中学校生徒 を対象として -,学校保健研究 50,pp.5-17,2008 21)野々上敬子・平松恵子・三浦真梨江・他:中学生の健康状 況と情報機器の使用及び生活習慣との関連について,学校保 健研究 48,pp.46-56,2006 22)服部伸一:中学生の蓄積的疲労感とライフスタイル要因と の関連について - 数量化Ⅱ類を用いた検討 -,小児保健研究 70-3,pp.380-392,2011 23)中村晴信・沖田善光・甲田勝康・他:中学生におけるゲーム・ テレビの使用と生活習慣,精神・身体症状および保護者の把 握状況との関連,小児保健研究 71-5,pp.698-708,2012 24)戸部秀之・竹内一夫・堀田美枝子:児童生徒のインターネ ット依存傾向とメンタルヘルス,心理・社会的問題性との関連, 学校保健研究 52,pp.125-134,2010 25)衛藤隆:学校医の活動と健康教育の関わり - 学校医を対 象とした調査結果から -:日本医師会雑誌 128,pp.540-546, 2002

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