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被虐待児の動的家族画(KFD)に関する数量的検討 : 描画の様式、象徴および家族の力動性を中心に

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

被虐待児の動的家族画(KFD)に関する数量的検討 : 描画の 様式、象徴および家族の力動性を中心に

Quantitative Investigation of Kinetic Family D rawings of Abused Children

Author(s) 大和田 攝子(OWADA Setsuko)

阪 永子(SAKA Eiko)

Citation 研究紀要(SHOIN REVIEW),第 46 号:1-15

Issue Date 2005

Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文

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Right

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被 虐待 児 の動 的家 族 画(KFD)に

関 す る数 量 的検 討

描 画 の様 式 、象徴 お よび家 族 の 力動 性 を 中心 に 一

大和 田

【は じ め に 】 近 年 、 虐 待 を受 け 、 児 童 養 護 施 設 に 入所 す る子 ど もの 数 が 増 え る に つ れ 、虐 待 が子 ど もの 心 に 深 刻 な影 響 を及 ぼ す とい う こ とが社 会 的 に広 く知 られ る よ う に な っ た 。 そ れ に伴 い 、 虐 待 を受 け た子 ど も に見 られ る諸 症 状 や 情 緒 面 、 行 動 面 、対 人 関 係 上 の さ ま ざ ま な 問題 に つ い て 多 くの研 究 が 報 告 され 、 被 虐 待 児 へ の有 効 な援 助 の 方 策 が 模 索 され つ つ あ る 。 と りわ け 、保 護 さ れ るべ き 「家 族 」 か ら虐 待 を受 け た子 ど もた ち が 、 加 害 者 と して の 「家 族 」 を どの よ う に認 知 し て い る の か な ど、 被 虐 待 児 特 有 の 世 界 の 見 方 を知 る こ と は 、彼 ら の心 理 的 援 助 に お い て 大 きな助 け と な り得 る 。 こ の よ う な被 虐 待 児 にお け る家 族 内 の 精 神 力 動 を把 握 す る手 が か り と して、 Veltman&Browne(2000;2001;2003)は 動 的 家 族 画(KineticFamilyDrawing: KFD)が 被 虐 待 児 の アセ ス メ ン トに有 効 な手 段 とな り得 る こ と を示 唆 して い る。 KFDと はBums&Kauf㎞an(1972)が 確 立 した 投 影 描 画 法 で あ り、 「あ な た の 家 族 全 員 が 何 か して い る とこ ろ 」 とい う教 示 か ら も分 か る よ う に、 描 か れ る 人 物 像 が 行 為 ・動 作 を伴 う とい う点 で 従 来 の 家 族 画 と は大 き く異 な る。 そ れ ゆ え に、 被 験 者 の と らえ た 各 家 族 成 員 が 示 す 対 人 態 度 と、 全 体 と して彼 の 目に 映 る家 族 力 動 を読 み 取 る こ と を可 能 にす る の で あ る(日 比,1986)。 わ が 国 で は 、大 和 田 ・阪(2004)がKFDを 用 い て 被 虐 待 児 の 特 徴 を探 索 的 に 検 討 して い る。 そ の 結 果 、 「家 族 成 員 の 欠 落 ・否 認 」、 「人 物 像 の 戯 画 化 」、 「家

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族 の 分 散 」、 「隠 れ た攻 撃 性 」、 「情 感 の 欠 如 した 家 族 関 係 」 な どの 特 徴 が 見 出 さ れ たが 、 デ ー タ数 が少 な く十 分 な数 量 的 検 討 が 行 え な か っ た 。 そ こ で本 研 究 で は 、 新 た に デ ー タ を加 え 、被 虐 待 児 と一 般 の 児 童 のKFDを 比 較 ・検 討 す る こ とを 主 な 目 的 とす る 。本 稿 で は 、特 に"描 画 の 様 式(style)"、"象 徴(symbol)"お よび"家 族 の 力 動 性"と い う3つ の 観 点 か ら両 群 の 描 画 を 検 討 し、KFDに 見 られ る 被 虐 待 児 の特 徴 を明 らか にす る こ と を 目的 とす る 。 【方 法 】 1.対 象 者 対 象 者 は 過 去 に 虐 待 の 被 害 を 受 け た 群(以 下 、 被 虐 待 児 群)50名(男 児35名 、 女 児15名)と 対 照 群86名(男 児37名 、 女 児49名)の 計136名 で あ る 。 対 象 者 の 基 本 的 属 性 を 表1に 示 す 。 対 象 者 の 性 別 は 、 被 虐 待 児 群 が 男 児35名(70.0%)、 女 児15名(30.0%)、 対 照 群 が 男 児37名(43.0%)、 女 児49名(57.0%)で あ り 、 被 虐 待 児 群 で は 男 児 の 割 合 が 有 意 に 高 か っ た(X2=9,24,df=1,p〈.Ol)。 ま た 、 対 象 者 の 年 齢 は 、 被 虐 待 児 群 が9.60歳(SD=1.84)、 対 照 群 が8.99歳 (SD=1.68)で 、 両 群 に 有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 な お 、 被 虐 待 児 群 に お け る 被 害 の 内 訳 は 、 身 体 的 虐 待 が24名(48.0%)、 ネ グ レ ク トが26名(52.0%)、 性 的 虐 待 が0名(0%)、 心 理 的 虐 待 が11名(22.0%)で あ っ た 。 表1調 査対 象者の基 本的属性 被 虐 待 児 群(n=50) MeanSD 性 別 男 女 年 齢 虐待 の種類21 身体 的虐待 ネ グ レク ト 性 的虐 待 心 理 的虐待 35 15 9.60 24 26 0 11 (70.0%) (30.0%) (1.84) (48.0%) (52.0%) (0.0%) (22.0%) 対 照 群(n=86) 検 定1 MeanSD 幸* 37(43.0%) 49(57.0%) 8.99(1.68) ns 1)性 別 はx'検 定 、年 齢 は 分 散 分 析 に よ っ て 比 較 し た。 2)一 人 で 複 数 の 種 類 の 虐 待 を経 験 して い る場 合 もあ る 。 ≠ホP〈 .01

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2.材 料 A4判 の 白 い 画 用 紙 、HB鉛 筆 、 消 し ゴ ム 3.手 続 き 被 虐 待 児 群 は2003年12月 か ら2004年11月 に か け て0市 内 、H県 内 、S県 内 の 児 童 養 護 施 設 に 入所 中 の 児 童59名 を対 象 に描 画 を施 行 した 。 対 象 者 の 性 質 上 、描 画 の 実 施 中 は筆 者 お よ び本 学 心 理 学 科 学 生 を含 め 約10名 の ス タ ッフが 児 童 一 人 一 人 の そ ば に寄 り添 い、 励 ま し た り質 問 に答 え る な ど可 能 な 限 り佃 別 に対 応 し た(個 別 法)。 一 方 、 対 照 群 は2004年7月 中 旬 、S県 内 の 公 立 小 学 校 に 通 う児 童103名 を対 象 に授 業 の 一 環 と して 実 施 した(集 団 法)。 描 画 の 教 示 は 、 い ず れ の場 合 もBums&Kaufman(1972)に 従 い 、 「あ な た も含 め て 、 あ な た の 家 族 の 人 た ち が 何 か して い る とこ ろ の絵 を描 い て 下 さ い」 と した。 描 画 を終 え た 児 童 か ら順 に 、描 画 に描 か れ た人 物(誰 か ・何 を して い る か)や 描 い た感 想 な ど、 ス タ ッ フが 個 別 に 聞 き取 り を行 っ た。 最 終 的 に 、 描 画 の 拒 否 や デ ー タ に不 備 の あ る児 童 な ど を 除 い た 計136名(被 虐 待 児 群50名 、対 照 群86名)を 分 析 の対 象 と した。 4.分 析 方 法 本 研 究 は 、"描 画 の 様 式(style)"、"象 徴(symbol)"お よ び"家 族 の 力 動 性" と い う3つ の 観 点 か ら 描 画 の 判 定 を 行 な っ た 。 こ れ ら の 判 定 は 、 そ の 信 頼 性 を 高 め る た め に 、 臨 床 心 理 士3名 の 合 議 に よ っ て 行 な わ れ た 。 〈描 画 の 様 式> Bums&Kaufman(1972)は 描 画 の 様 式 を 「区 分 」、 「折 り紙 区 分 」、 「包 囲 」、 「辺 縁 位 」、 「人 物 下 線 」、 「上 部 の 線 」、 「下 部 の 線 」 の7つ に 分 類 し て い る 。 そ れ ぞ れ の 様 式 の 特 徴 を 表2お よ び 図1に 示 す 。

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表2描 画 の様式 に関す る評 定項 目 噌 区 分 人物下線 .L躯n組 1 .1 F部 の 翻 図1 辺 縁 位 描 画 の様 式(日 比,1986)

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〈象 徴 〉 描 画 の 中 に明 確 に示 され た 象 徴 的事 物 を取 り上 げ 、 評 定 を行 な っ た 。 具 体 的 な項 目 を表3に 示 す 。 表3描 写 され た事 物 に 関 す る評 定 項 目 〈家 族 の 力 動 性 〉 描 画 に投 影 され た家 族 の 力 動 を探 る指 標 と して 、 日比(ユ986)は 「人 物 像 の 描 写 順 位 」、 「人 物 像 の位 置 」、 「人 物 像 の 大 きさ」、 「人 物 像 の抹 消 ・省 略 」、 「他 人 の描 写 」、 「人 物 像 の 向 き」、 「人 物 像 間 の 距 離 」 の7つ を挙 げ て い る 。 本 研 究 で は 、 日比(1986)や 大 和 田 ・阪(2004)の 結 果 を踏 ま え 、 「家 族 以 外 の 人物 ・ もの の 描 写 」 お よ び 「人物 像 の 抹 消 ・省 略 」 の2点 に注 目 し、 評 定 を行 な っ た 。 具 体 的 な項 目 を表4に 示 す 。 表4家 族 の 力 動 に 関 す る評 定 項 目 項 目 内 容 カ テ ゴ リ ー 描 画 の主題 描 画全 体 のテ ーマ として家族 が 中心 に描 かれ てい るか ど うか 家族 中心 家族 以外 の人物 ・もの中心 家族 像 の抹 消 ・省 略 家 族が 全員 描 かれ てい るか どうか 全 貝 描 か れ て い る 抹 消 ・省 略 さ れ て い る 抹 消 ・省 略 さ れ て い る人 物 は 誰 か 自分 自分以外 の家族 両 方

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【結 果 】 1.被 虐 待 児 群 と対 照 群 と の比 較 く描 画 の様 式 〉 描 画 の 様 式 ご と に両 群 に お け る 出 現 率 を算 出 し、 比 較 した も のが 表5で あ る 。 「包 囲」 の様 式 が 両 群 と も約1割 の 描 画 に認 め られ た 以 外 は 、 他 の様 式 に つ い て は ほ と ん どの描 画 に認 め られ なか っ た 。x2検 定 の 結 果 、 い ず れ の様 式 に お い て も両 群 に有 意 差 は見 られ な か っ た。 表5各 群 に お け る描 画 の 様 式 様 式 被 虐 待 児 群(n=50)対 照 群(nニ86)X2検 定 区 分 折 り紙 区分 包 囲 辺 縁 位 人 物 下 線 上 部 の 線 下 部 の 線 2(4.0%) 0(0.0%) 5`10.0%) 1〔2.0%) 0ω.0%) 0{0.0%) 0ω.0%) 6{7.0%) 0〔0。0%) 13{15.1%) Hl.2%) 010.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) n.S. n.S. n,S. nS. n.S. n.s. n.S. 〈象 徴 〉 何 ら か の 象 徴 的 事 物 が 描 画 の 中 に 認 め ら れ た も の108枚(被 虐 待 児 群29枚 、 対 照 群79枚)を 対 象 に 評 定 を 行 な っ た 。 そ れ ぞ れ の 項 目 ご と に 両 群 に お け る 出 現 率 を 算 出 し 、 比 較 し た も の が 表6で あ る 。 「食 事 に 関 す る も の 」 が 対 照 群 で は も っ と も 多 く50.6%の 描 画 に 認 め ら れ た の に 対 し 、 被 虐 待 児 群 で は10.3%と 約 1割 に し か 満 た な か っ た 。 そ の 一 方 で 、 「攻 撃 的 な 内 容 の 文 字 や も の 」 や 「家 や 動 物 」 な ど は 対 照 群 よ り も被 虐 待 児 群 に 多 く認 め ら れ た 。x2検 定 の 結 果 、 両 群 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(食 事 に 関 す る も の:X2-14.37,df-1,p〈.001;攻 撃 的 な 内 容 の 文 字 や も の:X2-10.32,df-1,p〈.01;家 や 動 物:X2-7.57,df= 1,p<.05;そ の 他:X2=7.57,df=1,p<.05)。

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表6各 群 にお ける具体的 事物 具 体 的 事 物 被 虐 待 児 群(n-29)対 照 群(n=79)X2検 定 食 事 に 関 す る も の 洗 濯 場 面 を 示 す も の 家 財 道 具 事 務 用 品 機 動 力 の あ る も の 自 然 物 攻撃 的 な内容 の文字 や もの 家 そ や の 動 物 他 3(10.3%) 1(3.4%) 8(27.6%) 1(3.4%) 3(10.3%) 6(20.796) 5(17.2%) 5(17.2%) 5(17.2%) 40(50.6%)14.37*** 9(11.4%)n,s. 21(26.6%)n,s. 10(12.7%)n,s. 4(5,1%)n.s. 14(17.7%)n.s. 1(1.3%)10.32** 2(2.5%)7.57* 2(2.596)7.57* *零 ネp〈 .001孝 孝p〈.01零p〈.05 〈家 族 の力 動 性 〉 ま ず 、 描 画 全 体 の テ ー マ と して 家 族 が 中 心 に描 か れ て い る か ど う か を評 定 し、 両 群 で 比 較 ・検 討 した もの が 図2で あ る 。対 照 群 で は 「家 族 が 中心 」 に 描 か れ た もの が100%で あ る の に対 し、 被 虐 待 児 群 で は62.0%と 対 照 群 に比 べ て か な り低 い 割 合 に な っ て い る。 逆 に、 「家 族 以 外 の 人 物 ・もの が 中 心 」 に描 か れ た もの は 被 虐 待 児 群 で は38.0%に もの ぼ っ た 。X2検 定 の結 果 、両 群 に有 意 差 が 認 め られ た(X2=37.99,df=1,P<.001)。 す な わ ち 、 「家 族 を描 く」 と い う教 示 が 与 え られ て い る に もか か わ らず 、 家 族 を ま っ た く描 け な い(あ る い は 家 族 が 主 題 と な っ て い ない)児 童 が 多 い こ とは被 虐 待 児 の 描 画 に お け る一 つ の 特 徴 で あ る とい え る 。

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被 虐待 児群 対照群 ・腺 族 中心 ■家族 以外の 人物 ・もの中心 次 に 、 描 画 の 中 に 家 族 像 が 何 人 認 め ら れ る か を 両 群 で 比 較 し た も の が 図3で あ る 。 各 群 の 平 均 を 算 出 し た と こ ろ 、 被 虐 待 児 群 が2.12人(SD=2.11)、 対 照 群 が3.56人(SD=2.17)と 両 群 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ た(F(1,134)=14.17, p<.001)Q 被虐待児群 対 照 群 図3描 か れ た家 族 の 人 数 さ らに 、 家 族 が1名 以 上 描 か れ て い る描 画 を対象 に、 児 童 一 人 一 人 の 家 族 的 背 景 に 関 す る情 報 と照 ら し合 わ せ 、 家 族 全 員 が 描 か れ て い る か ど う か を 評 定 し た と こ ろ 、 家 族 が 省 略 さ れ て い る描 画 は 被 虐 待 児 群 で は52.9%、 対 照 群 で は

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32.6%と 、 被 虐 待 児 群 の 約 半 数 が 家 族 を省 略 して 描 い て い る こ とが 明 らか に な っ た 。 省 略 され た 家 族 を対 象 別 に 分 類 した もの が 図4で あ る 。被 虐 待 児 群 で は 自分 以 外 の家 族 像 を省 略 して い る(例 え ば 、父 親 を書 か な い な ど)描 画 が77.8% と最 も多 い の に対 して、 対 照 群 で は 自分 と 自分 以 外 の 家 族 の 両 方 を省 略 して い る(例 え ば 、母 親 の み を書 くな ど)描 画 が75.0%と 最 も多 か っ た 。X2検 定 の結 果 、 両 群 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(X2-22.40,df=2,p<.001)。 こ の こ と か ら、 どち らの 群 に も家 族 像 の省 略 が 見 られ る もの の 、 そ の 対 象 は 被 虐 待 児 群 と対 照 群 で は ま っ た く異 な る傾 向 が 認 め られ た 。 図4省 略 さ れ た 人物 2.各 群 に お け る代 表 的 な描 画 次 に 、 被 虐 待 児 群 お よ び対 照 群 に お け る 描 画 の特 徴 が 顕 著 に表 れ て い る と思 われ る もの を い くつ か 挙 げ な が ら見 て い くこ とに す る。 描 画1対 照 群(11歳 女 児) 家 族 全 員 が 決 ま っ た席 で食 事 を して い る。 表 情 が 豊 か で あ り、食 卓 の描 写 に も臨 場 感 が あ る 。 現 代 家 族 にふ さ わ し くTVが 描 か れ て い る が 、対 話 中心 の 食 卓 風 景 で あ る 。

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描画1

描 画2被 虐 待 児 群(7歳 男 児)

紙 面 全 体 に描 か れ た 「死 ね 」 の文 字 。 恨 念 が ス トレー トに文 字 化 さ れ て い る。

描 画2

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描 画3被 虐 待 児 群(14歳 男 児) 戯 化 され た家 族 図 。 家 族 の惨 劇 を ドラ え もん の 歌 を歌 い なが ら描 く。 が 、 誰 も この 状 況 を救 え ない 危 機 感 が ドラ え もん の 顔 と胸 に刺 さ っ た ナ イ フで 読 み 取 れ る 。 描 画3 【考 察 】 1.KFDに 見 ら れ る被 虐 待 児 の 特 徴 本 研 究 は 、 虐待 を経 験 した 後 、家 族 か ら引 き離 され 施 設 に収 容 され た 子 ど も た ち に実 施 したKFDを 検 討 した もの で あ る 。 したが っ て 、 施 設 に お け る人 間 関 係 や そ こ で の 治 療 的 介 入 が 、 対 象 児 の 描 くKFDに どの よ う な影 響 を及 ぼ して い るの か は 明 らか で は な い 。 しか し なが ら、 描 画 の拒 否 は一 部 で あ っ た もの の 概 ね積 極 的 に描 か れ たKFDに は、 一 般 の 小 学 校 に通 う児 童 の描 画 と比 べ る と、 虐 待 の被 害 に よ る影 響 と思 わ れ るい くつ か の 特 徴 が 顕 著 に表 れ て い た。 被 虐 待 児 のKFDに 表 れ て い た主 な特 徴 を ま とめ た も のが 、 以 下 の3点 で あ る 。 (1)「家 族 を描 く」 と い う教 示 に もか か わ らず 、 家 族 を ま っ た く描 け な い(あ る い は家 族 が 主 題 とな って い な い)描 画 が 多 い 。

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(2)一般 の 児 童 と比 べ る と 「攻 撃 的 な 内容 の 文 字 や もの」、 「家 や 動 物 」 を描 い た もの が 多 く、逆 に 「食 事 」 をテ ーマ に し た描 画 が 少 な い。 (3)約半 数 の 児 童 が 家族 像 を省 略 して 描 い て い るが 、 そ の ほ と ん ど は 自分 以 外 の 家族 像 の 省 略(例 え ば 、 父 親 を画 か な い な ど)で あ る。 家 族 が 主 題 と な る は ず のKFDに お い て 、 「家 族 が 何 か して い る と こ ろ 」 よ り も家 族 以 外 の 人 物 や もの を中 心 に描 く児 童 が 多 い こ とは 、 被 虐 待 児 に見 られ る 大 き な特 徴 で あ っ た。 一 般 の 児 童 に 高 い 頻 度 で 見 られ る 「食 事 」 の場 面 が被 虐 待 児 の 描 画 に ほ と ん ど描 か れ なか っ た こ と は、 家族 単 位 の 生 活 の 経 験 が 乏 し く、 家 族 同 士 の繋 が りを拒 否 し続 け て きた対 象 児 の生 活 史 か ら容 易 に頷 け る。 逆 に、 家 族 生 活 周 辺 の事 物 で あ る 「動 物 」や 家 族 生 活 を営 む た め の枠 組 み で あ る 「家 」 を描 い た も の な ど、 家 族 そ の もの に 焦 点 付 け な い描 画 も被 虐 待 児 に は 多 く認 め られ た 。 さ ら に、 被 虐 待 児 の描 画 の 特 徴 と して 挙 げ られ る の は 、 「攻 撃 的 な 内 容 の文 字 や もの」 が 一 般 の 児 童 を は る か に上 回 っ て い た こ とで あ っ た 。 興 味 深 い こ と に 、今 回 施 行 したKFDに お い て 、 自分 自身 が 虐 待 を受 け て い る 場 面 を ス トレー トに描 く児 童 は一 人 もい なか っ た 。 そ の代 わ り、虐 待 の 被 害 に 対 す る 強 い 怒 り や 攻 撃 性 を表 出 させ る 手 段 と して 、 「死 ね 」 な どの 攻 撃 的 な 文 字 や 、 「ドラ え も ん 」 の キ ャ ラ ク タ ー を 登 場 させ て 家 族 の惨 劇 を戯 画 化 す る な どの 一 種 の 加 工 が 用 い られ た もの と推 測 され る。 あ る い は 、対 象 児 に と って も っ と も触 れ られ た くな い 「家 族 を描 く」 とい う テ ス ト状 況 そ の もの や 検 者 へ の抵 抗 、 反 発 の 表 れ だ っ た の だ ろ うか 。 一 方、 家 族 像 の省 略 は 一 般 の 児 童 に も見 られ たが 、一 般 の 児 童 で は 自分 と 自 分 以 外 の 家 族 の 両 方 を省 略 してい る(例 え ば 、 母 親 の み を書 くな ど)描 画 が 多 い の に対 し、被 虐待 児 で は 自分 以 外 の 家 族 像 を省 略 して い る(例 え ば 、父親 を 書 か な い な ど)描 画 が 多 か った 。 この こ とは 、 家 族 そ の もの に対 す る捉 え 方 の 根 本 的 な 相 違 に よる もの で は ない か と考 え られ る。 一 般 に 、 児 童(特 に 年 少 児) の 描 画 は 、 感 じた もの を主 観 的 に描 写 した もの で あ る こ とは 周 知 の 通 りで あ る。 した が って 、対 象 児 の 関心 の 高 さが そ の ま ま描 画 に投 影 され る た め 、 一 家 の 生

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計 を支 え る父 親 や 家 事 の 担 い手 で あ る母 親 の み が 描 か れ る可 能 性 は あ る が 、 た とえ描 画 の 中 に描 か れ な くて も、 そ れ も含 め て す べ て 家 族 の 一 員 で あ る と い う こ とは 児 童 に と って は 自 明 の こ とで あ る。 しか しな が ら、 虐 待 の 被 害 を受 け た 児 童 の 描 画 に お い て 自分 以 外 の 家 族 像 の み省 略 が 見 られ た こ と は、 自分 自 身 を 含 め他 の家 族 成 員 と 同一 場 面 に置 き難 い ほ どの 敵 意 や 攻 撃 、 不 安 な どの 否 定 感 情 の 表 れ(日 比,1986)で あ ろ う。 言 い換 え れ ば 、 虐 待 の 加 害 者 へ の 激 しい 攻 撃 性 が 、 当該 人 物 の 抹 消 ・省 略 と い う行 為 に反 映 され た もの と考 え られ る。 た だ 、今 回 印 象 的 だ っ た の は、 被 虐 待 児 の 中 で 自己 像 を描 け な か っ た児 童 が 極 め て少 な か っ た とい う こ とで あ る 。虐 待 が 子 ど もに及 ぼ す 心 理 的 影 響 は 深 刻 で 多 岐 にわ た るが 、 そ の 一 つ と して 「自分 と は何 か 」 「自分 と は ど う い っ た 存 在 か 」 とい った 自己 イ メ ー ジへ の影 響 が 挙 げ られ る(西 澤,1999)。 虐 待 とい う 体 験 は 、 「悪 い子 ど も」(西 澤,1994)あ る い は 「誰 か ら も愛 さ れ な い 自分 」、 「愛 され る価 値 の な い 自分 」(0'Hagan,1993)と い っ た否 定 的 な 自 己 イ メ ー ジ を形 成 す る こ と に な る た め 、 本 研 究 で 実 施 したKFDに お い て 自 己像 の 抹 消 ・省 略 が 生 じる こ とが 予 想 され た 。 しか し なが ら、 わ れ わ れ の 予 想 に 反 し、 今 回得 られ た家 族 画 に お い て大 多 数 の児 童 が 自 身 の 姿 を消 して い な か っ た の は、 家族 に代 わ る"施 設"と い う安 住 の場 で の テ ス ト状 況 だ っ た か らか も しれ な い 。 あ る い は 、 家族 を抹 消 す る に要 した攻 撃 性 が 生 き延 び る た め の力 に な っ て い た の か も しれ な い 。 な お 、 本 研 究 で は 、 描 画 の 様 式 に お い て 被 虐 待 児 と一般 の 児 童 と を弁 別 し う る有 用 な手 が か りは見 つ か ら なか っ た が 、 ス コア 上 の 問題 を含 め 、今 後 の検 討 課 題 と した い 。 2.KFD施 行上 の 問 題 点 KFDは 個 別施 行 が 原 則 で あ るが 、 本 研 究 で は 被 虐 待 児 が 生 活 す る施 設 内 で の 施 行 で あ っ た た め 、検 査 状 況 と して 必 ず し も適 切 で は なか っ た 。 しか し一 方 で 、 被 虐 待 児 が 生 活 場 面 で示 す 特 有 の 行 動 や 反 応 パ タ ー ン を観 察 で きた 利 点 は あ っ た 。 こ れ ら を含 め 、施 行 上 留 意 す べ き点 をい くつ か 述 べ る。

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(1)年少 児 の 被 虐 待 児 には 合 視 の 強 い 対 面 法 は 心 理 的 な圧 力 を強 くす る 。 しば しば逃 げ 出 した り、 うつ 伏 せ に な っ て動 か な か っ た り、 ぼ ん や りと して 応 答 せ ず 検 者 を無 視 す る 。 横 に少 し距 離 を と って 座 る か斜 め 背 後 に し ゃが み 込 み 、 自由 な会 話 や勇 気 づ け を与 え る こ とが 必 要 で あ る 。 児 の述 べ る 無 関 係 な話 題 に も傾 聴 し、 そ れ とな く検 査 に引 き込 む術 を心 得 て お か ね ば な ら ない 。 ② 年 長 児 の場 合 、 数 人 の児 童 を 同一 テ ー ブ ル に着 席 させ 自由 度 の 高 い 雰 囲 気 の 中 で の 施 行 は 有 効 で あ っ た 。 た だ し、 こ の検 査 状 況 を 一 人 の 検 者 が 扱 う こ と は好 ま し くない 。 個 々 人 に一 人 の 検 者 な い しは ア シ ス タ ン トの 学 生 を 配 し、 小 集 団 の 中で の個 別 法 が 有 効 で あ る。 (3)さら に、 注 意 し なけ れ ば な ら な い点 は 、 集 団施 行 で は他 児 の 模 倣 が しば し ば 見 られ る こ とで あ る(今 回 、 対 照 群 の 年 長 児 に 多 か っ た)。 検 者 は こ の あ た りに も注 意 し、 そ れ とな く個 人 特 有 の 描 画 へ と導 入 す る こ とが 必 要 で あ る 。 (4)検査 に 要 す る時 間 は 通 常15∼20分 を 目途 に して い る が 、 被 虐 待 児 の 場 合 オ ーバ ー す る こ とが しば しば あ っ た 。 根 気 よ く勇 気 づ け ラ ポ ー トを深 め る こ とを心 が け る と、完 成 に そ れ ほ ど手 間 は と ら な い 。 (5)検査 室 に は 被 験 者 の刺 激 と な る 事 物 を置 くこ と を控 え る こ とは 原 則 で あ る。 今 回 は施 設 内 の 遊 戯 室 や 箱 庭 の あ る部 屋 を使 用 した た め 、 検 査 へ の 集 中度 を弱 め た点 は 反 省 され る 。 (6)KFDは 原 則 的 には 鉛 筆 と 白い 画 用 紙 を用 い るが 、 今 回 の経 験 か ら彩 色 法 を 導 入 す る こ と も興 味 深 く思 わ れ た 。 色 彩 の もつ 象 徴 的 側 面 が 検 査 を通 して どの よ う に 反 映 され る か 、 被 虐 待 児 を理 解 す る う え で参 考 に な ろ う。 (本 学 専 任 講 師 、 教 授) 【引 用 文 献 】

Bums,R.C.&Kaufman,S.H.1972Aα'oη3 ,3耽y∬65,3y規 うoムg∫12K∫ ηθ∫'c.Fα 而!y

Drα 瞬 η83r㎜ ハAη 乃惚 ψ ア6加61吻 η瑚 乙 加 藤 孝 正 ・伊 倉 日 出 一 ・久 保 義 和

(16)

日 比 裕 泰1986動 的 家 族 描 画 法(K白F-D)一 家 族 画 に よ る 人 格 理 解 一 ナ カ ニ シ ヤ 出 版

西 澤 哲1994子 ど も の 虐 待 一 子 ど も と 家 族 へ の 治 療 的 ア プ ロ ー チ 誠 信 書 房

西 澤 哲1999ト ラ ウ マ の 臨 床 心 理 学 金 剛 出 版

0'Hagan,K.1993E配o距oη4'研4P茂ycん010gゴcα ∫Aわ 配∫6qプC観4ハ 召π.Toronto,

UniversityofTorontoPress. 大 和 田 撮 子 ・阪 永 子2004KFD(動 的 家 族 画)に 見 ら れ る 被 虐 待 児 の 特 徴 神 戸 松 蔭 女 子 学 院 大 学 ・神 戸 松 蔭 女 子 学 院 短 期 大 学 研 究 紀 要,45,1-14. Veltman,M.W.M.&Browne,K.D.2000Picturesintheclassroom:Ca皿teachers{md mentalhealthpro免ssionalsidentifymε 曲eatedchildreゴsdrawings?α'」4Aわ 麗∫召 R8vゴ6w,9(5),328-336. Veltman,M.W.M.&Browne,KD.20011den的ingchildhoodabuse廿lroughfavorite

㎞ndofdayandkineticfamilydrawings.Aπ ∫`ηP∫ycho耽 πψy,28(4),251-259.

Veltman,M.W.M.&Browne,K.D.2003Trainedraterisev剖uationofKineticFamily

参照

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