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「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践─ 小学校理科において─

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(1)教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. 19 【実践報告】. 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践 ─ 小学校理科において ─ 小野寺正己*. Science Education Aiming at “Active and Interactive Deep Learning” Depending on the Classroom Status: Science Curriculum in Elementary School Masami Onodera*. 【要約】. 本研究の目的は, 「主体的・対話的で深い学び」を目指した理科の授業を行い,その成果と課題を明らかに. することであった。実施にあたっては,学級状態に応じた3種類の展開を行った。その結果,学習内容の理 解度が高くなった。しかし, 「主体的・対話的で深い学び」を具体化する実践は簡単ではなく,授業は担任教 師が行うことが大切であり,段階的かつ継続的に実施することも大切であることが検証された。 キーワード:. 新学習指導要領,学級状態,小学校理科. 【Abstract】. The purpose of this study was to clarify achievements and considerable issues that arose in the science classes in the elementary school aiming at “Active and Interactive Deep Learning”. These science classes were carried out in three patterns according to the classroom status. The results showed that learning contents were well understood. But such science class is not easy, and it is important that the class teacher who knows his students well should be in charge of teaching such curriculums and proceeding the learning style gradually and continuously. Key words:. new curriculum guidelines, classroom state, elementary school science. 【問題と目的】. されている。. (以下「新要領」と記載)が,文部科学省(2018)により. 授業方法もさることながら,その授業を実施する「学. 2020年度より完全実施される小学校学習指導要領. 公示された。新要領の指針となった中央教育審議会答. 申(文部科学省, 2016a)によると,今回の改訂では,. 「アクティブラーニング」について河村(2017)は,. 級集団」及び「教師の指導行動のあり方」が大切である と指摘している。同様に森本(2017)や寺本(2017)も. 全教科にわたり「主体的・対話的で深い学び」が謳われ. 「アクティブラーニング」を実施する際の集団の重要. るかを明確化することを目指し, 「知識・技能」, 「思考. (2015) は,教師の適切な支援の必要性を指摘している。. (主体的に学習に取り組む態度)」の「資質・能力の3つ. 文部科学省(2016b)で示されている高等学校基礎科目. の大きな方向である「主体的・対話的で深い学び」を実. している(Table 1)。小野寺(2018)が作成した学習. ていることが特徴である。また,何ができるようにな. 力・判断力・表現力等」, 「学びに向かう力・人間性等 の柱」で整理をしたとしている。さらに,今回の改訂 現するための授業改善視点に「アクティブラーニン グ」 (文部科学省, 2016a)を提起している。文部科学省. (2015)によると, 「アクティブラーニングとは,課題. の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」と定義. *早稲田大学 *WASEDA University. さを指摘しており,長沼・森本(2015)や後藤・松原. これらの指摘に対応するように,小野寺(2018)は,. の学習過程例に準じた小学校理科の学習過程例を作成 過程例の特徴は,文部科学省(2016b)では示されてい. ない小学校の学習過程を取り上げたことと,学級状態. 別の「対話的な学び」について,授業方法だけではな く,教師の活動と児童の活動を例示していることであ る。ただし課題として,学習過程例を実際に実践しな がら,その妥当性を検証する必要性を指摘している。.

(2) 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践. 20. Table 1 資質能力を育成するために重視すべき学習過程のイメージ (学級状態を考慮した小学校理科の例) 学習過程例 (探究の過程). 課題の把握(発見). 自然事象に 対する気づき. 問題の 見出し. 予想・仮説 の設定. 課題の探究(追究). 検証計画 の立案. 理科における資質・能力の例. ●自然に親しみ,積極的に自 然の事物・現象を調べよう とする態度(以後すべての 過程に共通) ●目的を設定し,計測して制 御する流れを構想する力 ●学年に応じた力 (3年) 自然事象の差異点や共通 点に気づき問題を見出す 力 (4年) 見出した問題について既 習事項や生活経験を基に 根拠のある予想や仮説を 発想する力 (5年) 予想や仮説などを基に質 的変化や量的変化,時間 的変化に着目して解決の 方法を発想する力 (6年) 自然事象の変化や働きに ついてその要因や規則性, 関係を多面的に分析し考 察して,より妥当な考え をつくりだす力. 観察・実験 の実施. ●見通しを持って観察・実験 を実行するための基本的な 力. 結果の処理. ●観察・実験の結果を整理す る力. 課題の解決. 考察や結論 の導出. 学級の状態(自治性の程度)に応じた対話的な学び ○は教師の活動 ☆は児童の活動 低い学級. 中程度の学級. 高い学級. ○教師が学習内容 を定める。 ○話し合い活動を させる際には, ルールを設定し て行わせる。. ○教師が学習内容 を定める。. ○学習内容は教師 が定めるが,ど う取り組むかや メンバー構成を 子どもたちに委 ねる。. ☆教師の説明を聞 く。 ☆学習内容を声に 出して読む。. ☆教師が定めた内 容を頭の中で読 んだ後,声にし て復唱する。 ☆教師が定めた内 容に下線を引い たりノートに写 したりする。. ☆教師が示した内 容への質問をす る。 ☆自分の言葉で ノートに書き取 る。. ○教師が学習方法 を定める。 ○一斉指導の中に 一部協同活動を 取り入れる。 ○協同体を形成・ 維持するソー シャル・スキル の学習を取り入 れる。. ○どのように取り 組むかは子ども たちに委ねる。 ○子ども同士で取 り組みのプロセ ス( 説 明・教 え 合い)を管理さ せる。 ○グループ討議を 入れ,協同的問 題解決をさせる。. ○学習方法も子ど もたちに委ねる。 ○個人の考えを明 確に持った上で, メンバーや学級 全体と交流させ る。 ○すべての子ども にリーダーの役 割をさせる。 ○学級全体で関わ る活動を入れる。. ☆エピソード的に 情 報 を「 貯 蔵 」 する。 ☆知識としては独 立した形で貯蔵 する。. ☆既存の知識や技 術を活かし,新 しい情報を統合 する。 ☆知識や技術を一 貫性があり強固 なものとする。. ☆新しい情報と既 存の知識を統合 する。 ☆新しい知識に昇 華するために, 様々な情報の断 片をつないだり, 比較・対比した りする。 ☆教材などに表現 された以上の新 しい知識を作る。. ●観察・実験結果を考察し, ○教師が取り組み ○子どもたちで取 妥当な考えを表現する力 のプロセスと成 り組みの成果を ●根拠に基づき判断する態度 果の双方を評価 ある程度評価さ ●全体を振り返って改善策を する。 せる。 考える力 ○感想の話し合い ○次の計画も,い ●得られた知識や技能を基に, をルールのある くつかは子ども 次の課題を発見したり,新 中で行わせる。 たちに立てさせ たな視点で自然の事物・現 る。 象を把握したりする力 ●学んだことを次の課題や, ☆学習した知識を, ☆学習した内容を 日常生活や社会に活用しよ 特定の文脈のみ 同様のほかの文 うとする態度 でまとめる。 脈にも適用して まとめる。. 次の探究の過程. ○学習テーマ達成 に向けて,子ど もたちに定期的 に自己評価をさ せながら,自分 たちの問題意識 に沿うようにす る。. とても高い学級 ○学習内容,方法,メ ンバー構成などを子 どもたちに委ね,子 どもたち主体で授業 を進める。 ○教師は,スーパーバ イザー的行動をとり, 請われた際にアドバ イスを行う。 ○これまでの知識や経 験を他者と関わり合 いながら深い学びに していく。 ○無批判に同化してい た仮説や信念・価値 観・見方に疑問を持 つよう投げかけを行 う。 ☆学習内容に関して仲 間と理解を確認し合 う。 ☆学習内容に関して共 通点や相違点を議論 する。 ☆仲間と交代でお互い に考えを作り出す。 ☆互いにそれまで知ら なかった知識を協同 で作り出すことで, 新しい知識や見方を 生み出す。. ○協同学習したことや 取り組んだこと(プ ロセスを含む)に対 する意味や価値につ いて,子どもたち同 士で語り合わせる。 ○自分たちで学習をま とめさせ,自主研究 論文を作成し,発表 させるなどを行う。. ☆学習の手続きや 知識を,新しい ☆仲間と一緒に様々な 文脈や異なる問 知識や見方を使って 題に適用できな 新しい知的生産物, いかを検討する。 解釈,アイディアを 生み出す。.

(3) 21. 教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. そこで本研究では,小野寺(2018)が作成した新要. るとされている。分類にあたっては, 「被侵害・不適応. を展開し,その内容の妥当性及び効果について検討を. 共有されている) 」と考え, 「承認感」の得点を「親和的. 領に対応する小学校理科の学習過程例に基づいた授業 することとした。授業展開にあたっては,学級状態を 掌握した上で,学級毎に授業を行うこととした。. 感」の得点を学級内の「ルールの共有(点数が低い方が. な人間関係の確立(点数が高い方が確立されている)」 と考え,以下の分類で捉えるとしている。その6つと. は,両方が確立している「親和的でまとまりのある学 級集団(親和型) 」 ,リレーションの確立が弱い「かたさ. 【方法】. 調査対象. A県の公立小学校1校の4年生3学級の児童86人. を調査対象とした。 調査時期. 201X年9月から201X+1年3月の間に,下記のと. おり,授業及び各種調査を実施した。なお,授業及び 各種調査の診断は本研究者が実施した。また観察調査 においては,本研究者の他に社会教育施設において学 校教育を担当している職員も一緒に実施した。 ・プレテスト(以後プレと記載). 201X年9月. のみられる学級集団(かたさ型)」,ルールの確立が弱 い「ゆるみの見られる学級集団(ゆるみ型) 」 ,両方の確 立が弱い「不安定な学級集団(不安定型) 」 ,両方が全く 確立していない「崩壊した学級集団(崩壊型) 」 ,両方の. 確立に方向性がない「拡散した学級集団(拡散型)」で ある。また,この分類をおおよその分布図にすると. Figure 1のようになるとも指摘されている(なお拡散 型は,河村(2017)において記載されていないことか. ら,本研究においても割愛する)。プレでは,この他 に授業の効果測定をするために「月と星の動きに関す. ・事前授業と観察調査. 201X年11月. る知識を測る質問紙 (亀谷, 2014) ( 」Figure 2) も行った。. ・事後授業と観察調査. 201X年12月. 月と星の動きについての理解度を調べる質問紙であり,. ・学年全体での観察授業. 201X年11月. ・ポストテスト(以後ポストと記載). 201X+1年1月. ・フォロアップテスト(以後フォロアップと記載) 調査内容. 201X+1年3月. 本質問紙は,調査対象である小学校4年生で学習する 授業前の児童のレディネスを測ることで授業計画に役 立てることができるとともに,授業後の定着度も計る ことができることから調査を実施した。なお,得点化. に当たっては,亀谷 (2014) と同様に以下のように行っ. た。問1については,三日月の形が書けた児童が1点,. 上記調査及び授業を下記のとおり行った。まずプレ. 三日月の形を逆に書いた児童が0.5点,その他の形や未. び学級満足度尺度(河村, 1998)を行い,3学級の学級. 書けた児童が1点,形の向きが逆な児童が0.5点,さら. とポスト及びフォロアップでは,学校生活意欲尺度及 状態を掌握することとした。なお,どちらの尺度も標. 準化され,市販されている心理テストである。前者は, 河村(1998)によると,学校・学級の集団生活ないし諸. 活動に対する帰属感や満足感などを要因とする児童の. 心理状態を理解する尺度であり,友達関係・学習意欲・. 学級の雰囲気の3つの因子を4件法各3項目で測定し,. 記入を0点とした。問2については,上弦の月の形が に方位が正解した場合にはさらに1点の加算とした。 それ以外の児童は0点とした。問3については,正解 の児童が1点,不正解の児童を0点とした。また,問 1と問2は月に関する問題であることから,その小計 も求めた。さらに,すべての問題の合計点も求めた。. 事前授業及び観察授業と事後授業においては,. その合計点及び得点バランスで状態を掌握する尺度と. Table 2にある学習活動と評価の観点に基づき授業を. が学校生活において満足感や充実感を感じているか,. 級実態の違いによりTable 1に基づいた教師及び児童. されている。一方後者は,河村(2017)によると,児童 自分の存在や行動をクラスメートや教員から承認され ているか否かに関連している「承認感」と,不適応感や. いじめ・冷やかしの被害の有無と関連している「被侵 害・不適応感」の2因子から構成され,4件法各6項目 で構成された尺度である。この2因子は直交する因子 とされ,学級内の全児童の各因子得点の交点の分布状 態によって,大きく6つの学級分類をすることができ. 展開した。さらに事前授業と事後授業については,学 の活動を行うこととした。なお本研究では,学級実態 の違いにより授業展開を変え,その効果を検討するこ とを目的としていた。そこで,事前授業及び事後授業 においては,Table 2にある評価の観点にある児童の. 活動が表出しているかの観察調査を,授業者も含めた 2名により行った。.

(4) 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践. 親和型. かたさ型. ゆるみ型. 不安定型. 22 崩壊型. 縦軸が承認感因子得点(リレーションの確立),横軸が被侵害・不適応感因子得点(ルールの確立). Figure 1 学級集団の代表的な状態(河村, 2017). 月や星に関する下のしつ問について,分かることを答えてください。 問1. 夕方の三日月の形をかきましょう。. 問2. 夕方の半月の形と方位(東西南北)を かきましょう. 問3. 下の図は,北の空をスケッチしたものです。 1時間後にスケッチすると,①~⑤のどれになっていると思いますか。 ①かわらない. ②ばらばらにうごく. ③右にうごく. ④左にうごく. 1時間後. ⑤まわる. Figure 2 「月と星の動きに関する知識を測る質問紙(亀谷, 2014)」.

(5) 教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. 23. Table 2 単元の学習計画と評価の観点 学習活動. 評価の観点. 事前授業:経験の共有と学習課題設定(1時間) 学習過程: 「自然事象に対する気づき」→「問題の見出し」→「予想・仮説の設定」→「検証計画の立案」 ・ 月に関わる経験を共有し,月の形や位置に関する仮説を 立てる。 ・ 星や星座に関わる経験を共有し,星の色や明るさ及び星 座の位置に関する仮説を立てる。 ・ 仮説に基づいたプラネタリウムでの観察学習の課題を設 定する。 ・ 星座早見盤の使い方を知る。. 思: 月を見た経験を基に,日によって形に違いがあることや見える方位が違う ことに気づくことができる。 思: 星や星座を見た経験を基に,星は明るさや色の違いがあることや,季節に よって見える星座が違うことに気づくことができる。 思: 月や星が時間変化に伴い見え方が違う予想を立てることができる。 主: グループ毎の話し合いを基に,仮説を立て,それを確かめるための課題を 設定することができる。 知: 星座早見盤の使い方を知り,日にちと時間を変更し,その日時に見ること のできる星空を導くことができる。. 観察授業:プラネタリウムでの観察学習(1時間) 学習過程: 「観察・実験の実施」→「結果の処理」 観察学習 (3クラス合同) ・ 月の形が日によって違うことを観察する。 ・ 月が時間とともに動いていることを観察する。 ・ 星の明るさや色の違いを観察する。 ・ 星が時間とともに動いていることを観察する。 ・ 日時の違う星空を,星座早見盤を使って呼応させ,観察 する。. 知: 日にちの違う月の日周運動の観察や月位相をまとめた画像から,月の形が 日によって違うことを理解する。 思: 予想に基づいて,月が時間とともに動いていることを観察できる。 思: 星空を観察し,星の色や明るさの違いに気づく。 知: 星の日周運動を観察し,星座の形を変えずに星が時間とともに動いている ことを知る。 知: 星座早見盤を使って,星座や1等星等の名前を呼応させることができる。 主: プラネタリウムでの星座解説を聞き,実際の星空でも星座を探そうとする。. 事後授業:観察学習のまとめ(1時間) 学習過程: 「結果の処理」→「考察や結論の導出」 ・ 学習のしおり及び教科書を使って月及び星や星座に関わ るプラネタリウムでの観察学習の振返りを行う。 ・ 教科書を使って,グループ毎に観察学習のまとめと発展 問題の検討をする。 ・ 秋の星空や冬の星空を個々に見ることができるように星 座早見盤を使って,秋や冬の星座を確認する。. 知: 月は日によって形が変わって見え,1日のうちでも時刻によって位置が変 わることを理解する。 知: 空には,明るさや色の違う星があることを理解する。 知: 星の集まりは,1日のうちでも時刻によって並び方は変わらないが,位置 が変わることを理解する。 知: 星座早見盤が自由に使えるようになる。 主: 仲間と協力して,学習のまとめをしたり発展的な問題を解いたりする。. 知:知識・技能,思:思考・判断力・表現力,主:主体的に学習に取り組む態度. 調査手続. 尺度得点については, scheffe法による多重比較も. べての担任教師と打合せを行い,研究の趣旨を説明し,. 下位尺度得点がA組より有意に高いことが明らかと. 調査に当たっては,対象校の学校長及び対象学級す. 理解をいただいた上で,研究計画の立案を一緒に行っ た。また,調査結果を学校名や児童個人が特定される ことのない範囲で研究発表をすることについても承認. を得る倫理的配慮を行った。一方,児童に対しては, 調査が成績に関係ないことや調査用紙回収時に調査内 容が担任教師に知られる可能性がない旨を調査用紙に 記載し,協力を得た。その上で,手順に従って担任教. 行った。その結果,プレ時において,B組はすべての なった(被侵害・不適応得点は有意に低い)。またC組. も, 「学級の雰囲気得点」と「承認感得点」がA組より 有意に高く, 「被侵害・不適応得点」が有意に低いこと. が明らかとなった。よって,B組,C組,A組の順に 学級状態が良好な状況にあるのではないかと考えられ た。. 以上の結果をFigure 1と照らし合わせ,さらに事前. 師には回収の協力を得た。さらに児童の保護者に対し. 授業前に各学級の授業を見学し,プレ時の各学級状態. していただいた。. 況及び授業中における自分勝手な発言や立ち歩きがあ. ては,担任教師より,授業計画を学年通信により連絡. 【結果】. 学校生活意欲尺度及び学級満足度尺度の結果. プレ・ポスト・フォロアップの各尺度の調査結果は,. Table 3及びFigure 3のとおりであった。また,それ ぞれの尺度の下位尺度得点毎に学級を独立変数とした 一要因の分散分析を行い,有意なF値が得られた下位. を検討した。その結果,A組は学級満足度尺度の分布状 る児童が複数名いることから, 「不安定型」に近い学級 と考えられた。B組は学級満足度尺度の分布状況や各. 因子得点の全国平均値との比較,及び授業において教師 の指示を聞く態度や話し合い活動が十分に行われてい ることから, 「親和型」に近い学級と考えられた。C組 は学級満足度尺度の分布状況及び教師主導の授業展開. であることから, 「かたさ型」に近い学級と考えられた。.

(6) 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践. 24. Table 3 学校生活意欲尺度及び学級満足度尺度の結果 プレテスト. 友達関係 (全国平均値:9.9). 学習意欲 (全国平均値:9.2). 学級の雰囲気 (全国平均値:9.5). 承認感 (全国平均値:18.5). 被侵害・不適応感 (全国平均値:11.5). ポストテスト. フォロアップテスト. A組 29人. B組 28人. C組 29人. A組 29人. B組 28人. C組 29人. A組 29人. B組 26人. C組 28人. 9.7 (1.5). 11.0 (1.4). 10.2 (1.5). 8.4 (1.6). 10.5 (1.4). 10.3 (2.4). 9.1 (2.5). 10.9 (1.3). 9.6 (2.5). F(2,83) =6.1** B組>A組 8.9 (2.3). F (2,83)=11.7*** B組,C組>A組. 10.3 (1.7). 10.0 (1.6). 9.7 (2.0). F(2,83) =4.3* B組>A組 8.7 (1.8). 10.7 (1.7). 10.6 (1.4). 18.8 (3.6). 18.6 (3.8). 9.0 (2.3). 8.6 (3.0). 16.8 (4.3). 19.7 (2.8). 12.2 (4.0). 8.4 (3.1). 9.7 (1.5). 9.3 (2.3). 9.0 (2.1). 19.5 (3.2). 10.0 (1.9). 16.2 (3.5). 19.1 (3.0). <C組>. 18.6 (3.6). F (2,80)=6.0** B組>A組 9.3 (2.7). F (2,83)=10.3*** B組,C組<A組. 11.4 (4.3). 8.0 (2.9) F (2,80)=4.1* C組<A組. 上段:平均値,中段:標準偏差,下段:分散分析及び多重比較結果(scheffe法:5%水準) :p<.001,**:p<.01,*:p<.05. <B組>. 10.9 (0.9). F (2,80)=6.3** B組,C組>A組. ***. <A組>. 9.3 (2.0). F (2,80)=2.5 n.s.. F (2,83)=5.9** B組,C組>A組 9.8 (3.7). F(2,83) =8.9*** B組,C組<A組. 10.1 (1.5). 9.0 (2.1). F (2,83)=1.8 n.s.. F(2,83) =7.9*** B組,C組>A組 12.7 (4.4). 9.6 (1.9). F (2,83)=4.1* B組>C組. F(2,83) =14.0*** B組,C組>A組 15.3 (3.8). 11.0 (1.2). F (2,80)=4.6* B組>A組. ○プレテスト. ○ポストテスト. ○フォロアップテスト. ○プレテスト. ○ポストテスト. ○フォロアップテスト. ○プレテスト. ○ポストテスト. ○フォロアップテスト. Figure 3 学級満足度尺度の結果. 8.7 (3.6).

(7) 教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. 25. Table 4 学級別の事前授業の学習過程 学習過程例 (探究の過程). A組(不安定型). B組(親和型). C組(かたさ型). 【導入】 ①授業者の自己紹介 ②学習内容の確認 ・今 日 の 授 業 の め あ て 「天文台で学ぶことを 決めよう」. ○教師が学習内容を定める。 ☆教師の説明を教師の方を 向いて聞く。 ☆学習内容を声に出して読 む。 ☆ノートに学習内容を写す。 ○ノートへの記載を巡視し て確認する。. ○教師が学習内容を定める。 ☆班毎に机を合わせ,教師 の説明を聞く。 ☆教師が定めた内容を声に 出して復唱する。 ☆ノートに学習内容を写す。. ○教師が学習内容を定める。 ☆教師の説明を教師の方を 向いて聞く。 ☆教師が定めた内容を声に 出して復唱する。 ☆ノートに学習内容を写す。. 【展開】 ③日常体験の共有 ・月を見たことがあるか ・どんな形だったか ・いつ見たか ・どちらの方位にあった か. ○児童全体に1つ1つの事 項について発問をする。 ☆教師の発問に対し,挙手 にて発言をする。 ○児童の発言を,黒板にま とめる。. ○班毎に話し合わせるため に1つずつ発問を行う。 ☆司会は1問毎の輪番とし, 班毎に教師の発問につい て答えをまとめる。 ○班毎に発表された内容を 黒板にまとめる。. ○班毎に話し合わせるため に1つずつ発問を行う。 ☆生活班の班長を司会とし, 班毎に教師の発問につい て答えをまとめる。 ○班毎に発表された内容を 黒板にまとめる。. 【展開】 ④学習課題の設定 ・日常経験から予想され る月や星の運動のきま りについての仮説を立 てる。 ・仮説の設定を基に観察 学習で明らかにしたい ことを設定する。 ・めあての具現化 「月の形の違いや見え る時間・方位のきまり を調べよう」 「星や星座についての きまりを調べてみよう」 ⑤星座早見盤の使い方の学 習 ・星座早見盤の使い方の 説 明 を 聞 き ,実 際 に 使ってみる。 ・星座早見盤を使うこと で星の動きに関する決 まりについて予想を立 てる。. ○日常体験のまとめから, 月や星の運動のきまりが ないかを発問する。 ☆挙手により,考えられる 規則性について発表する。 ○児童の発表を黒板にまと める。また,発表を終え ても明らかにならないこ とについて,児童に提示 し,学習課題を教師が設 定する。. ☆輪番で児童を司会とし, 班毎に月や星の日常体験 に関わる発問に対する規 則性についてまとめ,仮 説を立てる。 ○班毎に発表された内容を 教師がまとめる。 ☆教師がまとめた仮説を基 に,観察学習での学習課 題を班毎に話し合う。 ○班毎に発表された内容を 教師がまとめ,学習課題 を設定する。. ☆生活班の班長を司会とし, 班毎に月や星の日常体験 に関わる発問に対する規 則性についてまとめ,仮 説を立てる。 ○班毎に発表された内容を 教師がまとめる。また, 発表を終えても明らかに ならないことについて, 児童に提示し,学習課題 を教師が設定する。. ○教師が実際に星座早見盤 を使いながらやり方を教 える。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に教える。規則性の発見 までは求めない。 ☆実際に星座早見盤でいく つかの日時の星空を見つ けてみる。. ○教師が実際に使いながら ○教師が実際に使いながら やり方を教える。 やり方を教える。 ☆班毎に教え合いながら, ○担任教師をアシスタント 実際に星座早見盤でいく ティーチャーとして一緒 つかの日時の星空を見つ に教える。規則性の発見 けてみる。 までは求めない。 ○使ってみて,星空のきま ☆班毎に教え合いながら, りがないかの発問をする。 実際に星座早見盤でいく (時間が足りず,発問の つかの日時の星空を見つ みで終了) けてみる。. 【終結】 ⑥学習課題の確認. ☆観察学習時の課題を,再 度声を出して読む。. ☆観察学習時の課題を,再 度声を出して読む。. 自然事象に 対する気づき 課題の把握(発見) 問題の見出し 及び 予想・仮説の 設定 課題の解決(追究) 検証計画 の立案. 学級別の活動 ○は教師の活動 ☆は児童の活動. 授業概要. 事前授業及び事後授業での児童の活動観察結果. ☆観察学習時の課題を,再 度声を出して読む。. た。その結果,2人の観察者による共通の確認事項とし. 上記学級状態をふまえ,Table 1に基づいた事前授. て,B組とC組においては,Table 2に挙げた評価の. Table 1における学習過程の「自然事象に対する気づ. なおA組に関しては,グループでの学習をすることが. 業を学級別に計画をし,実施をした。事前授業では, き」 , 「問題の見出し」, 「予想・仮説の設定」, 「検証計画. の立案」までを実施する計画であったことから,それ ぞれの学習過程の段階において,学級別の計画を. Table 4のように計画し,実施した。また事後授業に ついても学級別に計画し, 「結果の処理」, 「考察や結論. の導出」の学習過程についてTable 5のように実施をし. 観点に関してTable 6に示す観点の表出が認められた。 難しいと判断し,Table 1における「自治性の低い学級」 の授業展開をしたことから,グループ毎の活動に関す る行動が行われず, 「主体的に学習に取り組む態度」に 関しては評価ができなかった。しかし,Table 6に示. す「主体的に学習に取り組む態度」以外は,B組とC組. と同様の表出が見られた。よって本研究の授業により,.

(8) 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践. 26. Table 5 学級別の事後授業の学習過程 学習過程例 (探究の過程). 学級別の活動 ○は教師の活動 ☆は児童の活動. 授業概要. 課題の解決(追究). A組(不安定型). B組(親和型). C組(かたさ型). 【展開】 ①観察学習の振返り ・観察学習における課題 の結果について言語化 し,まとめる。. ○観察学習の課題を提示す る。 ☆観察学習の課題に対して, 観察した結果を個々に ノートに記載する。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に巡視をし,言語化され ているかの確認を行い, 言語化できない児童には 支援を行う。. ○観察学習の課題を確認す る。 ☆観察学習の課題について, 挙手により発言する。 ☆観察学習の課題に対して, 観察した結果を当番と なった児童を中心に言葉 としてまとめる。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に巡視をし,言語化され ているかの確認を行う。. ○観察学習の課題を確認す る。 ☆観察学習の課題について, 挙手により発言する。 ☆観察学習の課題に対して, 観察した結果を班長を中 心に言葉としてまとめる。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に巡視をし,言語化がう まくできていない班には 支援を行う。. 【展開】 ②課題のまとめ ・個々または班毎に出さ れた結果をまとめ,課 題のまとめを行う。 ③発展学習 ・教科書にある問題を解 き,まとめの確認を行 う。 ・星座早見盤の使い方の 練習をする。. ☆挙手によりまとめを発表 する。 ○児童の発表を黒板にまと め,観察学習の結果をま とめる。 ☆教師がまとめた文章を声 に出して復唱する。. ☆班毎に紙にまとめた文章 を,学級全体の前で当番 となった児童が発表し, 黒板に貼る。 ☆班毎に出された文章の中 で,一番妥当だと思う文 章を多数決で選ぶ。 ☆皆で選んだまとめた文章 を声に出して復唱する。. ☆班毎に紙にまとめた文章 を,学級全体の前で班長 が発表し,黒板に貼る。 ○教師がすべての班の文章 を要約し,まとめる。 ☆教師がまとめた文章を声 に出して復唱する。. 結果の処理. 課題の解決. 考察や結論の 導出. 【終結】 ④単元を通しての感想の共 有 ⑤新しい課題の設定. ☆教科書にある問題を個々 に解く。 ☆隣の席の児童と答え合わ せをする。 ☆教師が指定した日時に星 座早見盤を合わせ,隣の 児童と同じ位置になって いるかを確認する。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に巡視をし,理解度が低 い児童には支援を行う。 ○感想の話し合いをルール のある中で行わせる。 ☆星や月に関わることでさ らに知りたいことを, 個々にノートに書く。 ○ 聞 く・話 す の ル ー ル を 守って学習できたことを 褒める。. ☆教科書にある問題を個々 に解いた後,班毎に答え 合わせをする。 ☆班の中で任意の日時を決 めさせ,互いに星座早見 盤の位置があっているか を確認する。. ☆教科書にある問題を個々 に解いた後,班毎に答え 合わせをする。 ☆教師が指定した日時に星 座早見盤を合わせ,班の 中で同じ位置になってい るかを確認する。 ○担任教師をアシスタント ティーチャーとして一緒 に巡視をし,理解度が低 い班には支援を行う。. ☆本単元の授業の感想を班 の中で話し合い,班長が 学級全体の前で発表する。 ☆本単元の授業の感想を班 ☆星や月に関わることでさ の中で話し合い,班長が らに知りたいことを, 学級全体の前で発表する。 個々にノートに書く。 ☆星や月に関わることでさ ○皆で意見を出し合いなが らに知りたいことを, ら学習できたことを褒め 個々にノートに書く。 る。 ○皆で意見を出し合いなが ら学習できたことを褒め る。. Table 6 事前授業及び事後授業において観察された児童の活動 知識・技能 <事前>星座早見盤の使い方を知り,日に ちと時間を変更し,その日時に見 ることのできる星空を導くことが できる。 <事後>月は日によって形が変わって見え, 1日のうちでも時刻によって位置 が変わることを理解する。 <事後>空には,明るさや色の違う星があ ることを理解する。 <事後>星の集まりは,1日のうちでも時 刻によって並び方は変わらないが, 位置が変わることを理解する。 <事後>星座早見盤が自由に使えるように なる。. 思考・判断力・表現力 <事前>月を見た経験を基に,日によって 形に違いがある事や見える方位が 違うことに気づくことができる。 <事前>星や星座を見た経験を基に,星は 明るさや色の違いがあることや, 季節によって見える星座が違うこ とに気づくことができる。 <事前>月や星が時間変化に伴い見え方が 違う予想を立てることができる。. 主体的に学習に取り組む態度 <事前>グループ毎の話し合いを基に,仮 説を立て,それを確かめるため の課題を設定することができる。 <事後>仲間と協力して,学習のまとめを したり発展的な問題を解いたりす る。.

(9) 教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. 27. 新要領における「知識・技能」, 「思考力・判断力・表現. の日周運動や全合計点に関しては,ポストのみならず. 3つの柱」の表出が見られたものと考える。. ことが認められた。よって,学級により定着度の違いは. 力等」, 「学びに向かう力・人間性等」の「資質・能力の 月と星の動きに関する知識を測る質問紙の結果. プレ・ポスト・フォロアップの結果は,Table 7に. あるとおりであった。まず学級別にみると, 「不安定. フォロアップ時においてもプレより得点が有意に高い あるものの,学年全体としては,本研究の授業により. 学習内容の理解度の高まりも認められたものと考える。. 型」と考えられたA組においては,月の方位に関して, 【考察】 フォロアップがプレより有意に得点が高いことが認め. 本研究の目的は,小野寺(2018)が作成した新要領. られた。また,星の日周運動と全合計点に関して,ポ. に対応する小学校理科の学級実態別の学習過程例に基. 次に「親和型」と考えられたB組においては,星の日. することであった。その結果,単元の学習計画でね. ストがプレより有意に得点が高いことが認められた。 周運動に関しては,ポスト及びフォロアップの得点が プレより有意に高いことが認められた。また,半月の 形については,フォロアップがポストより有意に得点 が低いことが認められた。 「かたさ型」と考えられたC. 組においては,月に関する総合的な理解度がプレより. づいた授業を展開し,その妥当性と効果について検討 らった評価の観点である「資質・能力の3つの柱」が表. 出された。また,学習内容の理解度の有意な高まりも. 確認することができた。つまり,本研究の実践により, 小野寺(2018)が作成した学級実態別の学習過程例の 妥当性が確認されたといえる。小野寺(2018)の学習. ポストにおいて有意に高いことが認められた。また,. 過程例が効果的な理由としては,河村(2017)が指摘. フォロアップにおいてもプレより有意に得点が高いこ. 現状に合わせた授業展開を行ったからだと考える。こ. 星の日周運動と全合計点に関して,ポストのみならず とが認められた。. この状況を踏まえ学年全体及び質問紙全体としてみ. ると,月に関する理解度は,プレよりもポストの得点 が有意に高くなっていることが認められた。また,星. するように,学級集団の現状をアセスメントし,その の結果は,新要領の実施において,学級づくり及び現 状の学級集団の実態掌握の大切さも示したものと考え る。そこで,さらに学級集団の現状に応じた授業展開 に関して学級別に考察することとした。. Table 7 「月と星の動きに関する知識を測る質問紙」の結果 問題. 三日月形. 半月形. 月方位. 月合計. 星の 日周運動. 全合計. 学年全体. A組(29人). プレ テスト. ポスト テスト. フォロ アップ テスト. .73 (.39). .83 (.33). .75 (.34). F (2,82) =2.89 n.s. .68 (.40). .85 (.33). .71 (.38). F (2,83)=4.86** ポスト>プレ .19 (.40). .37 (.49). .34 (.48). F (2,83)=3.83* ポスト>プレ 1.60 (.83). 2.05 (.71). 1.80 (.75). F (2,83) =7.92*** ポスト>プレ .23 (.42). .74 (.44). .59 (.50). F (2,83)=30.10*** ポスト,フォロアップ>プレ 1.83 (.91). 2.79 (.86). 2.39 (.93). F (2,83)=27.68*** ポスト>フォロアップ>プレ. プレ テスト .68 (.41). B組(28人). ポスト テスト. フォロ アップ テスト. プレ テスト. .73 (.44). .68 (.41). .83 (.28). F(2,27)=.26 n.s. .64 (.38). .77 (.42). .73 (.42). F(2,27)=.62 n.s. .07 (.26). .29 (.46). .36 (.49). 1.79 (.78). 1.77 (.82). .68 (.48). .46 (.51). =6.08** F(2,27) ポスト>プレ 1.64 (.94). 2.46 (.95). 2.23 (1.00). =6.51** F(2,27) ポスト>プレ. .26 (.45). ポスト テスト. フォロ アップ テスト. .94 (.16). .82 (.28). .67 (.46). .82 (.31). .77 (.29). .93 (.23). .72 (.32). .41 (.50). .33 (.48). F (2,26)=.70 1.85 (.78). 2.28 (.58). .19 (.40). .82 (.40). F (2,27)=1.73 n.s. .64 (.47). .86 (.30). .68 (.39). F (2,27)=2.57 n.s. .25 (.44). .43 (.50). .32 (.48). F (2,27)=1.06 1.87 (.67). F (2,26)=3.11 .59 (.50). 1.57 (.91). 2.11 (.69). 1.77 (.76). F (2,27)=3.45* ポスト>プレ .25 (.44). .71 (.46). .71 (.46). F (2,26)=15.63*** ポスト,フォロアップ>プレ. F (2,27)=11.67*** ポスト,フォロアップ>プレ. 2.04 (.75). 1.82 (.99). 3.09 (.61). 2.46 (.82). F (2,26)=14.09*** ポスト>フォロアップ,プレ. 上段:平均値,中段:標準偏差,下段:分散分析及び多重比較結果(scheffe法:5%水準) :p<.001,**:p<.01,*:p<.05. ***. プレ テスト. F (2,26)=3.65* ポスト>フォロアップ. F(2,27)=2.64 .25 (.44). ポスト テスト. F (2,26)=2.13 n.s. .76 (.35). =3.55* F(2,27) フォロアップ>プレ 1.39 (.75). C組(29人) フォロ アップ テスト. 2.82 (.88). 2.48 (.96). F (2,27)=9.13*** ポスト,フォロアップ>プレ.

(10) 「主体的・対話的で深い学び」を目指した学級状態別の授業実践. 28. A組について. で話し合いをしながら学習課題を解決するように教師. と事後授業において,教師主導による一斉授業を基本. つの柱」の定着が図られていくものと考えられる。ま. A組は「不安定型」と考えられたことから,事前授業. とした。児童同士の対話を行う場面は,事後授業にお ける星座早見盤の位置合わせの確認と授業の感想の共 有に留めた。結果,外部の授業者(本研究者)が授業を するという緊張感もあったからか,勝手な発言や立ち. が支援することで,新要領がねらう「資質・能力の3 たその際には,自治性が高い学級なのかとても高い学 級なのかの見極めが教師には求められるといえる。 C組について. C組は「かたさ型」と考えられたことから,事前授業. 歩きは見られなかった。つまりA組においては,小野. と事後授業においては,教師主導ではなく,児童同士. 展開をしたことにより, 「主体的・対話的で深い学び」. 前述の通り,C組は教師主導の授業展開をしている学. 寺(2018)における「自治性の程度が低い学級」の授業. となる授業展開はできなかったものの,日常の落ち着 かない授業よりは,多くの児童が学習に集中すること ができたものと考えられる。その結果として,全合計 点及び星の日周運動に関しては,プレよりポストの方. が有意に高い結果になったのではないかと考える。. よって「不安定型」の学級においては,小野寺(2018) が作成した学級実態別の学習過程例にあるように,教 師が授業のイニシャティブをとりながら,ルールや. ソーシャル・スキルを意識させた協同活動を取り込ん でいくことが有効と考えられる。 B組について. B組は「親和型」と考えられたことから,事前授業と. 事後授業においては,グループによる話し合いを基本 とし,リーダーも輪番で行う授業展開を行った。その 結果,輪番制となるように指示をした児童が司会者を 行う話し合い活動が生活班においてなされた。司会が 苦手な児童が担当したグループにおいても,周りの児. 童が支援をしながら話し合いを進める姿が見られた。 それぞれの班においてまとめた内容についても,司会. の話し合いを中心にした授業展開を行うこととした。 級であったことから,すべての児童が司会者となるこ とは難しいと本研究者が判断し,生活班の班長をリー ダーとした話し合い活動とした。結果,B組と同様に 多くの児童が話し合いに主体的に関わり,対話をする 中で学び合う姿が認められた。授業中には,担任教師 による個々の児童への介入が時々あり,生活班におけ る児童の話し合い活動が担任教師主導になる場面も見 られたが,そのような中でも,班毎の意見を班長がま とめた後,学級全体の前で発表し,互いの意見を交流 することはできたものと考える。つまりC組において. は,小野寺(2018)における「自治性の程度が中程度の 学級」の授業展開をしたことにより, 「主体的・対話的. で深い学び」がある程度できたのではないかと考える。 また結果として,月の合計点において,プレよりポス トにおいて有意に得点が高くなったとともに,星の日 周運動及び全合計点においては,ポスト及びフォロ. アップがプレよりも有意に得点が高い状況が認められ, 学習内容の理解もなされたものと考える。よって「か たさ型」の学級においては,小野寺(2018)が作成した. 者をした児童が学級全体の前で発表を行った。それを. 学級実態別の学習過程例にあるように,教師主導の部. したまとめの言語化を行った。結果,多くの児童が話. できるだけ児童主体の授業展開にすることが有効と考. 受けて,授業者(本研究者)がすべての班の考えを反映 し合いに主体的に関わり,対話をする中で学び合う姿 が認められた。なお,個別指導が必要な児童1名につ いては,担任教師が個別に支援をした。つまりB組に おいては,小野寺(2018)における「自治性の程度が高. 分と児童に主体的に活動させる部分を教師が見極め, えられる。. 【本研究の限界と今後の方向性について】. 以上のように,小野寺(2018)が作成した新要領に. い学級」の授業展開をしたことにより, 「主体的・対話. 対応する小学校理科の学級実態別の学習過程例に基づ. と考えられる。また,星の日周運動においては,ポスト. 現力等」, 「学びに向かう力・人間性等」の「資質・能力. 的で深い学び」となる授業展開がある程度できたもの. とフォロアップがプレより有意に得点が高く,全合計 点においてもポストがプレよりも有意に得点が高かっ. たことから,学習内容の理解もなされたものと考える。 ただし, 「自治性がとても高い学級」の展開までは難し. いと考えられたことから,新要領のねらっている学習. 過程までは展開はできなかったと考える。よって「親 和型」の学級においては,小野寺(2018)が作成した学. 級実態別の学習過程例にあるように,児童が自分たち. いた授業展開は, 「知識・技能」, 「思考力・判断力・表. の3つの柱」の表出に寄与し,学習内容の理解にも影 響を与えたといえる。ただし,新要領のねらう「主体. 的・対話的で深い学び」までには至らなかったとも考 える。特にA組においては,学級実態から教師主導の 授業であったことは否めないからである。またB組や C組にしても,児童の主体性や児童間の対話を意識し た授業展開ではあったが,深い学びになったかは,本. 研究結果だけでは判断ができないと考えるからである。.

(11) 教育カウンセリング研究 Vol. 10 No. 1 2020. 29. 河村・武蔵(2016)は,小学校5年生15学級の授業. 編) 図書文化社. を観察・検討し,学級集団の状態の違いにより,アク. 河村茂雄(2017).アクティブラーニングを成功させ. し, 「親和型」学級であれば,どんな学級でもアクティ. 河村茂雄・武蔵由佳 (2016) .小学校におけるアクティ. ティブラーニング的な授業が展開できているかを検討 ブラーニングが可能なわけではなく,担任教師が学習 者自身の選択や自発性を促す自律性支援を行う授業観. を持った「親和型」学級において展開が可能となると. る学級づくり 誠信書房. ブラーニング型授業の実施に関する一考察 ─ 現 状の学級集団の状態からの検討 ─ 教育カウン. セリング研究, 7, 1-9.. 指摘している。また,アクティブラーニング型の学習. 文部科学省(2015).教育課程企画特別部会における. 上し,学習に対する動機づけが高まり,学業や対人関. //www.mext.go.jp/component/b_menu/shin. をくり返し行うことで,協同の良さに対する認識が向 係に対する認識が改善されるとも指摘している。この ことは,本研究のB組の実践からもうかがわれた。つ. 論点整理について (報告) Retrieved from http: gi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/12/11/. 1361110.pdf (2018年4月2日). まり本研究における授業は,担任教師ではない外部者. 文部科学省(2016a) .幼稚園,小学校,中学校,高等. ては形だけを組み込んだ形骸化した授業(河村・武蔵,. び必要な方策等について(答申) Retrieved from. 究における実践は,担任教師による学級経営の中で段. yo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017. 待でき,その結果として,最終的に「自治性の程度が. 文部科学省(2016b) .理科ワーキンググループにおけ. いかと考える。そのためには,実践を行う担任教師に. www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ch. (本研究者)の一過性の授業であり,子どもたちにとっ. 2016)の可能性も考えられるのである。よって,本研. 階的・継続的に展開されることでさらに高い効果が期. とても高い学級」の展開が可能となっていくのではな 対しても,学習者自身の選択や自発性を促す自律性支 援を行う授業を実施できるようにしていく支援も必要 と考える。これらの方向性は,学校現場を巻き込み長 期的に取り組む必要があり,今後の課題といえる。 【引用文献】. 後藤顕一・松原憲治(2015).主体的・協働的な学びを 育成する理科授業研究の在り方に関する一考察 ─ カリキュラムマネジメントに基づく理科授業. 研究モデルの構想 ─ 理科教育学研究, 56, 17-. 32.. 亀谷光(2014).小学校と天文台の連携による単元ま. る ご と 学 習 の 実 践 第 2 8 回 天 文 教 育 研 究 会・. 2014年天文教育普及研究会年会集録, 46-49.. 河村茂雄(1998).たのしい学校生活を送るためのア. ンケート「Q-U」実施・解釈ハンドブック(小学校. 学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuk /01/10/1380902_0.pdf (2018年4月2日). る審議の取りまとめ Retrieved from http://. ukyo3/060/sonota/__icsFiles/afieldfile/2016 /09/12/1376994.pdf (2018年4月2日). 文部科学省(2018) .小学校学習指導要領(平成29年告 示) 東洋館出版社. 森本信也(2017). 「深い学び」を実現する授業をいか にデザインするか 理科の教育, 66, 217-220.. 長沼武志・森本信也(2015).自己調整的な理科学習 を進めるためのフィードバック機能に関する研究 ─ フィードバックが機能する四つのレベルを意. 識した授業デザイン ─ 理科教育学研究, 56,. 33-45.. 小野寺正己(2018).学級環境の視点を入れた「主体 的・対話的で深い学び」─ 小学校理科に注目し て ─ 学級経営心理学研究, 7, 59-67.. 寺本貴啓(2017).理科における「主体的・対話的で深 い学び」の考え方 理科の教育, 66, 159-162.. (2018.7.23受稿,2019.3.22受理).

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Table 1 資質能力を育成するために重視すべき学習過程のイメージ(学級状態を考慮した小学校理科の例) 学級の状態(自治性の程度)に応じた対話的な学び ○は教師の活動  ☆は児童の活動 低い学級 中程度の学級 高い学級 とても高い学級学習過程例(探究の過程) 理科における資質・能力の例 自然事象に 対する気づき 課題の把握 (発見) 課題の探究 (追究) 課題の解決 問題の見出し 予想・仮説の設定検証計画の立案観察・実験の実施 結果の処理 考察や結論 の導出 次の探究の過程 ○学習内容,方法,メンバー構成
Figure 1 学級集団の代表的な状態  (河村, 2017) Figure 2 「月と星の動きに関する知識を測る質問紙  (亀谷, 2014) 」親和型かたさ型ゆるみ型不安定型崩壊型 縦軸が承認感因子得点(リレーションの確立),横軸が被侵害・不適応感因子得点(ルールの確立)②ばらばらにうごく④左にうごく①かわらない③右にうごく⑤まわる1時間後月や星に関する下のしつ問について,分かることを答えてください。問1  夕方の三日月の形をかきましょう。問2  夕方の半月の形と方位(東西南北)をかきましょう問3
Table 3 学校生活意欲尺度及び学級満足度尺度の結果 プレテスト ポストテスト フォロアップテスト 29人A組 B組 28人 C組 29人 A組 29人 B組 28人 C組 29人 A組 29人 B組 26人 C組 28人 (全国平均値:9.9)友達関係 (1.5)9.7 11.0 (1.4) 10.2 (1.5) 8.4 (1.6) 10.5 (1.4) 10.3 (2.4) 9.1 (2.5) 10.9 (1.3) 9.6 (2.5) F(2,83)=6.1 ** B組>A組 F(2,83)=11.
Table 5 学級別の事後授業の学習過程 Table 6 事前授業及び事後授業において観察された児童の活動 知識・技能 思考・判断力・表現力 主体的に学習に取り組む態度 <事前> 星座早見盤の使い方を知り,日に ちと時間を変更し,その日時に見 ることのできる星空を導くことが できる。 <事後> 月は日によって形が変わって見え, 1日のうちでも時刻によって位置 が変わることを理解する。 <事後> 空には,明るさや色の違う星があ ることを理解する。 <事後> 星の集まりは,1日のうちでも時 刻によって並び方は

参照

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