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レーザクラッディング表面機能化技術による次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発

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Academic year: 2021

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(1)24  特集 辰巳,嵯峨,阿部,坂口,宮部,米山,松井:レーザクラッディング表面機能化技術による次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発. レーザプロジェクト最前線. 特  集. レーザクラッディング表面機能化技術による 次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発 辰 巳 佳 宏*,嵯 峨 信 一**,阿 部 信 行***,坂 口 篤 司****, 宮 部 成 央****,米 山 三樹男*,松 井 祥 司* *. 大阪富士工業株式会社 技術センター(〒 660-0811 兵庫県尼崎市定光寺 1-9-1) 鉄道総合技術研究所 車両制御技術研究部 ブレーキ制御研究室(〒 185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38) *** 大阪大学 接合科学研究所(〒 567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘 11-1) **** 新日鐵住金株式会社 製鋼所 輪軸製造部 輪軸技術室(〒 554-0024 大阪府大阪市此花区島屋 5-1-109). **. Development of Brake Disc for Next-Generation Ultra-high-speed Railway by Laser Cladding Surface Modification Technology TATSUMI Yoshihiro, SAGA Shinichi, ABE Nobuyuki, SAKAGUCHI Atsushi, MIYABE Naruo, YONEYAMA Mikio, MATSUI Shouji (Received November 7, 2017) Key words : Shinkansen, Brake disc, Laser cladding, Plasma arc, Heat affect, Sliding wear. 船舶などの主に耐摩耗を要する部材)がある.また,炭化. 1. 緒   言. 物を多量に含有する金属を肉盛することも可能であること. 近年の高速鉄道の高速化に伴う熱負荷の増大で,現用の 鋼製ブレーキディスクの適用は限界に近づきつつある.さ. から,同様に炭化物を多く含むブレーキ材の特性に似た肉 盛層を生成することも可能である. 一方,LMD は PTA に代って近年,各産業界での導入が. らに,将来計画されている時速 400 km 走行においては, 摺動面が 1,000℃近く上昇するため,鋼製では熱亀裂や変. 進んでいる比較的新しい溶接法 2)で,レーザ源の電気−光. 形の問題が生じることから,高速対応ブレーキディスク開. 変換効率が高まったこと,ファイバ伝送が可能になったこ. 発は必須である.. とが実用化の背景にある.制御性の高いレーザを溶接対象. そのため,優れた耐熱性を有する特殊金属材料を鋼製. 部に照射し,その照射領域に金属粉末を噴射することによ. ディスクの摩擦摺動面にのみに付与することができる経済. り粉体肉盛を行う仕組みで,熱量をもたないレーザ光を用. 的な方法として,粉体肉盛プラズマアーク溶接法による肉. いることにより,PTA のアーク温度(約 1 万℃)に比べて. 盛ブレーキディスクの開発を行ったが,入熱が大きく溶込. 溶接対象物の温度影響(熱ひずみや変形)を低く抑えられ. み量も多いため,変形や熱亀裂が発生して健全な品質を得. るメリットがある.. るのが困難であった1).. その他,溶接対象物の希釈率(肉盛材と母材の融合比. 本 研 究 開 発 は, 従 来 の 紛 体 肉 盛 プ ラ ズ マ 法(Plasma. 率)が低減されること,肉盛厚さが 0.1∼2 mm の範囲で制. Transferred Arc,以下,PTA)に代わる高品質な溶接肉盛法. 御可能であることなどがあげられる.こうした優れた特. として,レーザクラッディング法(Laser Metal Deposition,. 長をもつ LMD 溶接機について,本研究ではディスクの. 以下,LMD)の適用検討を行い,新たなブレーキディスク. 摩擦摺動面積と溶接時間を考慮し,ドイツトルンプ社製. の開発を行った.. の TruDisk4006(レーザダイオード励起 YAG レーザ,出力. 2. 表面機能化処理の開発. 䝍䞁䜾䝇䝔䞁㟁ᴟ. 2.1 レーザクラッディング法. 䝟䜲䝻䝑䝖䜺䝇. 䝺䞊䝄. ෭༷Ỉ. ෭༷Ỉ. 溶接方法の概念図を Fig. 1 に示す.PTA は,電極と母材. ⁐ᮦ䠄⢊ᮎ䠅. ⁐ᮦ䠄⢊ᮎ䠅. 間にプラズマアークを発生させその中へ溶材である粉末を. 䝅䞊䝹䝗䜺䝇. 䝅 䞊䝹䝗䜺䝇. キャリヤーガス(アルゴンガス)とともに供給して溶接を 行う手法である.粉末を溶接材料として用いるため,溶け 込みが浅く,平滑なビードが得られ,高能率で自動化が可 能であることから,肉盛溶接に適した施工法として産業界 で多くの実績(建設機械,製鉄機械,化工機械,火力発電所,. ― 24 ―. ⫗┒ᒙ ẕᮦ. (a). (b). Fig. 1 Welding method comparison.(a)PTA,(b)LMD.

(2) レーザ加工学会誌 Vol. 25, No. 1 (2018)  25. 4,000 W)を用いて研究を進めた.. がみられ,LMD の母材熱影響部は PTA に比べて薄い領域. 2.2 肉盛材の溶接性比較. に限定されており,熱影響が小さく抑えられているのがわ. 肉盛マトリックス素材は従来の PTA で実績のあるニッ. かる.. ケル基合金のハステロイ C 系(Ni,Cr,Mo,W,Fe,C,. 2.3 肉盛材の高温強度. Mn,Si)を用いた.この素材は凝固組織をなしており,冷. 肉盛の有無による高温環境下での材料強度試験を実施し. 却過程で組織変態を生じない特性をもつ.また,ヤング率. た.温度条件は,室温から 1,200℃までとした.引張強さ. と線膨張係数がディスク母材とほぼ同等で溶接密着性(濡. および伸び測定の結果を Fig. 4 に示す.いずれの性質も溶. れ性)が良いこと,ディスク母材と上盛の熱応力に起因す. 接方法による違いは認められなかった.現用のディスク母. る剪断力を緩和する効果が期待できることから下盛材に適. 材は,600℃付近で引張強さが著しく低下する鉄系材料特. 用した.ライニングと摩擦摺動し,膨大な摩擦入熱を受け. 有の性質を示したのに対し,耐熱性の高いニッケル基合金. る上盛材も PTA で実績のあるニッケル基合金と高融点金. を用いた肉盛材では温度が高くなるにつれて低下傾向はみ. 属(W,Mo,Nb,Ta)を混合したものを用いた.. られるが,1,200℃の高温時においても高い強度を維持した.. 溶接方法の違いによるディスク母材への熱影響を評価. 伸び測定の結果では,ディスク母材が 600℃付近で著し. す る に あ た り, 試 験 片 の 片 面 に PTA と LMD を そ れ ぞ. い増加が生じている.肉盛材ではこれとは反対に,温度が. れ行い,溶接断面の観察を行った.ただし,予熱温度は. 高くなるにつれて伸びが減少する性質を示した.. 250℃,350℃の 2 種類とし,LMD は下盛 1 層,上盛 2 層. 高速サーモカメラの観察結果から,ブレーキ中のディス. とし,PTA は下盛 2 層,上盛 2 層の肉盛を各溶接法で行っ. ク摩擦摺動面の最高温度は約 1,000℃の高温状態であるこ. た.マイクロビッカース硬さを Fig. 2 に,予熱温度 250℃. とがわかっている. したがって,ブレーキ時の摩擦熱によっ. における断面観察の比較を Fig. 3 に示す.. てディスク母材は強度が低下し,さらに伸びが増大するこ. 硬度測定の結果をみると母材の熱影響層は下盛層からの 距離が,PTA で 4 mm ,LMD で 2 mm であることがわかり,. とで熱き裂が発生しやすい状態になっているものと考えら れる.. LMD の方がディスク母材に与える熱影響が低く抑えられ. 一方,肉盛材では高温環境下でも強度低下が抑えられ,. ていることがわかる.ディスク断面観察をみると,LMD. 加えて伸びが抑制されることから熱き裂が発生し難い状態. 上盛部のマトリックスには,高融点金属が溶解した析出物. になっている.また,肉盛層が緩衝領域となってディスク 母材への直接的入熱を緩和する役割を果たし,母材の強度 低下も低く抑えられることが期待できる. 2.4 肉盛マトリックスの組織分析 肉盛溶接法の違いによる肉盛層の性質を比較するため, 肉盛マトリックスの詳細な組織分析を実施した.分析用の 試験片は,幅 60 mm × 長さ 150 mm × 厚さ 40 mm のディス ク母材(特殊鍛鋼)に下盛 2 mm,上盛 3 mm の肉盛層を形 成したものを用いた. 2.4.1 走査型電子顕微鏡による観察(SEM) 各肉盛層の SEM 観察の結果を Fig. 5 に示す.下盛を比 べると,LMD の方が微細化しており,強度が向上してい るものと考えられる.一方,上盛については差異がみられ. Fig. 2 Hardness distribution comparison.. PTA. なかった.. LMD 肉盛部. 肉盛部 断面マクロ. 熱影響部 熱影響部 5mm 5mm. 5mm 5mm 析出物. 上盛部 ミクロ組織 100µm. 100µm. Fig. 3 Metallographic cross section comparison(preheat:250℃).. Fig. 4 High temperature tensile test.(a)tensile strength,(b)tensile elongation. ― 25 ―.

(3) 26  特集 辰巳,嵯峨,阿部,坂口,宮部,米山,松井:レーザクラッディング表面機能化技術による次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発. (a). (b) ᚤ⣽໬㻌 500μm㻌. (c). 500μm㻌. (d). 500μm㻌. 500μm㻌. Fig. 5 SEM Image comparison. (a)PTA underlaying,(b)LMD underlaying (c)PTA overlaying,(d)LMD overlaying. Fig. 7 EDX Analysis(PTA, LMD).. (a). (b). Fig. 8 XDR Analysis(PTA, LMD).. 池(モルテンプール)に吹き付ける肉盛粉体(主成分は Ni, Cr)がより多く溶け込んだ結果と考えられる. 上盛ではいずれの溶接法も差異はみられなかった.これ. Fig. 6 Hardness difference of each phase(PTA, LMD).. らの傾向は電子線マイクロアナライザー(EPMA)の分析 結果とも一致した. 2.4.4 X 線結晶構造解析(XRD). 一般に,高硬度下での結晶粒界破壊を防ぐためにはオー ステナイト結晶粒の微細化による結晶粒界強度の向上が有. X 線結晶構造解析の結果を Fig. 8 に示す.下盛では Cr-. 効と言われていることから,LMD においても高融点金属. Ni-Fe-C のオーステナイト組織である回折角 50 deg および. との粒界をなす肉盛層の強度が PTA に比べて向上してい. 60 deg にピークがみられ,LMD は PTA の半値程度である. るものと考えられる.. ことから,結晶方位性(試料座標系に対する原子の並びの. 2.4.2 マイクロビッカース硬さ. 向き)が異なる可能性が高いと考えられる.一方,上盛で. 下盛,上盛のニッケル合金マトリックス部,上盛の高融. はいずれの溶接法も差異は認められなかった.. 点金属部について,マイクロビッカース硬さの平均値を測. 3. 実物大台上試験. 定した結果を Fig. 6 に示す.高融点金属粒子はいずれの溶 接法も同等の硬さであったのに対し,下盛マトリックスお. 3.1 性能試験および耐久試験の概要. よび上盛マトリックス硬さは LMD の方が PTA よりも約 1.2. 現用の実物大中央締結型ディスクの摩擦摺動面に,LMD を用いて下盛層(厚さ 2 mm)と上盛層(厚さ 3 mm)を形成. 倍高い値を示し,強度が向上していると考えられる. 2.4.3. エネルギ分散型 X 線分析(EDX)および電子線マ. して耐熱性を向上したディスクを試作し,台上試験による. イクロアナライザー(EPMA). 基本性能を確認した.ただし,締結ボルト孔周りは下盛材. エネルギ分散型 X 線分析の結果を Fig. 7 に示す.PTA. で肉盛溶接を施し,耐き裂性を向上した.性能試験では最. の下盛では Fe 成分の強度が顕著であり,ディスク母材成. 高速度 400 km/h まで,耐久試験では初速度 300 km/h でそ. 分が溶接時に肉盛層内へ巻き上げられたことが原因と考. れぞれ実施した.. えられる.一方,LMD の下盛では Ni と Cr 成分の強度が. ディスク形状は中央締結型,ライニング形状は等面圧型. 高い傾向を示した.これは,LMD では PTA に比べて溶融. とした.ディスクおよびライニングの外観を Fig. 9 に,供. ― 26 ―.

(4) レーザ加工学会誌 Vol. 25, No. 1 (2018)  27. 試体の諸元を Table 1 に,設定トルクを Fig. 10 に,ブレー. 動する非常ブレーキ向上(以下,EB 向上)の 2 種類,ブレー. キ条件を Table 2 にそれぞれ示す.性能試験のブレー キ種. キ初速度は ATC 各速度段とし,試験回数は各条件 3 回と. 別は,列車分離や故障時に作動する非常ブレーキ(以下,. した.耐久試験では,初速度 300 km/h からの非常ブレー. EB)と,ブレーキ力を EB の 1.4 倍増大させた地震時に作. キを 105 回繰り返す条件とした.ライニングの押付制御は 通常の押付力制御とした.. (a). 3.2 試験結果. (b). ㌴㍯. 3.2.1 摩擦係数および停止距離. 䝤䝺䞊䜻䝕䜱䝇䜽. 平均摩擦係数(距離基準)の平均値を Fig. 11 に,停止距 離の平均値を Fig. 12 に示す.平均摩擦係数は,0.25∼0.35. 䝷 䜲 䝙 䞁 䜾. の範囲にあり,おおむね想定値と近く,400 km/h の EB 向 ཯䝣䝷䞁䝆ഃ. ⫗┒㒊. 上においても摩擦係数の大幅な低下は生じなかった.その 結果,停止距離についてもおおむね想定値を満足した. 3.2.2 各種温度 ディスク最高温度の平均値を Fig. 13 に,ライニング最 高温度の平均値を Fig. 14 に示す.いずれの条件において も,ディスク温度は目安値の 700℃を下回り,ライニング. Fig. 9 Test material before brake test.(a)disk,(b)Lining. 温度は目安値の 1,050℃を下回った. 3.2.3 ディスクの耐摩耗性 耐久試験後の供試体外観を Fig. 15 に示す.ディスクの. Table 1 Design specification of test material. 㡯┠. 摩擦摺動面には目立ったき裂および荒損もなく,良好な状. ㅖ್ ㌴୧㔜㔞. 529 kN㸦54 tonf 㸧. ័ᛶಸ⋡. 5%. ㌴㍯ᚄ. 860 mm. ヨ㦂ᶵ ័ᛶ࣮࣓ࣔࣥࢺ. 1322 kgm2 㸦54.5 tonf 㸧. ᙧ≧. ୰ኸ⥾⤖ᆺ㸦┤ᚄ720 mm㸪ᦾືᖜ125 mm 㸧 ୖ┒㸦Ni ᇶྜ㔠㸩㧗⼥Ⅼ㔠ᒓ⢏㸧㸸⫗┒ཌ 3 mm. ᮦ㉁. ୗ┒㸦Niᇶྜ㔠㸧㸸 ⫗┒ཌ 2 mm. ⥾⤖࣎ࣝࢺᙉᗘ. チᐜ್100 kN㸪17 kN㸦200୓ᅇࡢ᫬㛫ᙉᗘ㸧. ┠Ᏻ ᗘ. 700Υ㸦ᦶ᧿ᦾື㠃6 mmୗ㸧. ࢹ࢕ࢫࢡ. 㸩ẕᮦ㸦≉Ṧ୍య㘫㗰㸧. ࢟ࣕࣜࣃ. ᪉ᘧ. ✵ᅽࢸࢥᘧ. ᮦ㉁. ↓㖄㖡⣔↝⤖ྜ㔠. ᙧ≧. ➼㠃ᅽ. ᝿ᐃᦶ᧿ಀᩘ. 0.3㸦EB㸧㸪 0.28㸦EBྥୖ㸧. ┠Ᏻ ᗘ. 1050Υ. ࣛ࢖ࢽࣥࢢ. Fig. 11 Average value of average coefficient friction.. Fig. 10 Specified torque. Table2 Brake test condition. ヨ㦂௳ ᛶ⬟ヨ㦂 ⪏ஂヨ㦂. ✀ู EB EBྥୖ EB. ึ㏿ᗘ㸦km/h㸧 70,118,169,210,260,300,320,360,400 70䠈118䠈169䠈210䠈260䠈300䠈320䠈360䠈400 300. ᅇᩘ 各3回 各3回 105ᅇ. Fig. 12 Average value of slip distance for brake.. ― 27 ―.

(5) 28  特集 辰巳,嵯峨,阿部,坂口,宮部,米山,松井:レーザクラッディング表面機能化技術による次世代高速鉄道用ブレーキディスクの開発. Fig. 16 Dsik Shape of after brake test.. Fig. 13 Average value of maximum disc temperature.. Fig. 17 Abrasion loss compared of after brake test.. 約 7 倍,現用の鍛鋼製ディスク比で約 3 倍,耐摩耗性が大 幅に向上した.これは,肉盛層の硬度が 1.2 倍に向上して いること,結晶粒の微細化により粒界強度が向上している ことなどの肉盛層の耐摩耗性向上に加え,ライニング材が ディスク摩擦摺動面へ移着して自己潤滑層を形成し,ディ Fig. 14 Average value of maximum lining temperature.. スク摩擦摺動面が保護されたことが理由として考えられ る.事実,73 回目のディスク形状は耐久試験前よりも摩 耗状態が改善されている.この性質は現用の鍛鋼製ディス クではみられないことから,LMD を適用したことによる 特質の一つと言える. 4. ま と め 現用の鍛鋼製ディスクの耐熱性を向上する目的で,ディ スクの摩擦摺動面に耐熱肉盛層を形成する手法の深度化を 進めた.従来の粉体肉盛プラズマアーク溶接法に代り,よ り強固な肉盛層形成が期待できるレーザクラッディング法. (a). を新たにディスクの摩擦摺動面へ適用し,実物大台上試験. (b). により各種性能を評価した.得られた成果をまとめると以. Fig. 15 Test material after endurance test.(a)Disk,(b)Lining. 下の通りである. (1) 肉盛性能を比較した結果,レーザクラッディング法. 態であった.また,ライニング外観も同様の結果であった.. は従来の粉体肉盛プラズマアーク溶接法に比べて,. 耐久試験後のディスクを解体した後,摩擦摺動面の浸透探. ディスク母材への熱影響が低く抑えられることがわ. 傷試験を行った結果,摩擦摺動面のき裂は認められなかっ. かった.. た.. (2) 肉盛の有無による高温強度を比較した結果,現用の. 最も摩耗形状が顕著であったフランジ側のディスク形状. ディスク母材が 600℃付近で著しい強度低下を示した. を Fig. 16,17 に示す.LMD ディスクは従来の PTA 比で. のに対し,肉盛材では 1,200℃の高い温度においても. ― 28 ―.

(6) レーザ加工学会誌 Vol. 25, No. 1 (2018)  29. ディスク母材よりも高い強度を維持し,2 種類の肉盛. こと,ディスクの耐摩耗性が従来の粉体肉盛プラズ. 溶接方法による差異はみられないことがわかった.. マアーク溶接法に比べて約 7 倍,現用の鍛鋼製ディ スクと比べて約 3 倍に向上することを確認した.. (3) 肉盛層の詳細な組織分析を実施した結果,レーザク ラッディング法の組織は従来の粉体肉盛プラズマ. (6) 台上試験後のディスクを割断調査した結果,内部組. アーク溶接法に比べて微細化していること,硬度が. 織にき裂等の異常はみられないこと,ディスク母材. 約 1.2 倍に向上していること,結晶方位性が異なるこ. への熱影響が小さく抑えられていることがわかった.. とがわかり,強度向上が図られた.. 本報告書には,中小企業庁 戦略的基盤技術高度化支援. (4) レーザクラッディング法を摩擦摺動面に適用した実. 事業による成果が含まれている.. 物大ディスクを試作し,最高速度 400 km/h までの台. 参考文献. 上試験を実施した.その結果,停止距離やディスク 温度およびライニング温度等は基本ブレーキ性能を 満足することを確認した. (5) 初速度 300 km/h からの非常ブレーキを 105 回掛けた 耐久試験後の摩擦面に熱き裂等の損傷が発生しない. 1) 嵯峨信一,狩野泰:粉体肉盛溶接を適用したブレーキディス クの開発,鉄道総研報告,28-7,(2014). 2) 片山聖二:レーザ溶接技術開発の最新動向,溶接学会誌, 80-7,(2011)11-17.. ― 29 ―.

(7)

Fig. 1 Welding method comparison. (a) PTA, (b) LMD
Fig. 3 Metallographic cross section comparison (preheat:250℃) .
Fig. 5 SEM Image comparison.
Table 1 Design specification of test material.
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