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新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサポート —グループインタビューを用いて—

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原著 : 

新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサポート

─グループインタビューを用いて─

中澤沙織*

・鈴木英子**・川村晴美***・田辺幸子****

 目的:新卒看護師をサポートするための教育プログラムを構築することを意図し,新卒看護師が効果 的と認識する実地指導者からのサポートを明らかにする。  方法:A 県内の大学病院 2 施設のいずれかに勤務し,研究協力に同意が得られた新卒看護師 7 名を 対象にグループインタビューを実施した。得られたデータは質的帰納的に分析した。  結果:対象の属性は男性 2 名,女性 5 名であった。分析の結果,新卒看護師が効果的と認識する実地 指導者からのサポートは,《看護技術を習得するためのサポート》,《看護実践を遂行するためのサポー ト》,《実践した看護の意味づけをするサポート》の中カテゴリーからなる【業務的サポート】と,《承 認に関するサポート》,《受容に関するサポート》の中カテゴリーからなる【情緒的サポート】の 2 大カ テゴリーが抽出された。  結論:本研究の結果を基に,実地指導者が新卒看護師をサポートできるような職場環境の調整や具体 的な教育プログラムを作成していくことが必要である。 キーワード : 新卒看護師,実地指導者,サポート ──────────────────

I. 諸   言

 日本の新卒看護師教育は,1980 年代後半から新卒看護 師のリアリティショックの緩和や職場適応を促進するこ とを目的として,多くの施設でプリセプターシップ(新 卒看護師一人に対し,プリセプターがマンツーマンで一 定期間新卒看護師の教育を担当する)が採用され1),プ リセプターは新卒看護師に対し実践面や情緒面のサポー トをしてきた2, 3)。しかし医療技術の急速な進歩,患者 の平均在院日数の短縮化,看護師の役割の多様化等によ り,臨床現場で必要とされる臨床実践能力と看護基礎教 育で修得する看護実践能力との間には乖離が生じ,その 乖離が新卒看護師の離職の要因であると指摘されるよう になった1)。このような状況から 2009 年に新人看護職員 研修ガイドライン(以下,ガイドライン)4) が作成され, 2010 年には新人看護職員研修制度が努力義務化となっ た。各施設ではこのガイドラインを基に,OFF-JT(Off-the-Job Training)では卒後臨床研修を実施し,OJT (On-the-Job Training)では実地指導者,教育担当者,研 修責任者などの役割を持つ看護師をはじめ多くの看護師 が新卒看護師をサポートしている現状がある4, 5)  2010 年以降の新卒看護師を対象としたサポートに関 する研究では,先輩看護師から時間の合間に声をかけて くれる,時間外に食事に誘ってくれる,ケア実施時の思 いや意見を聴いてくれる,プラスの評価をしてくれる, 患者の急変時の的確な采配をしてくれるなど,先輩看護 師からのサポートに対する新卒看護師の認識が報告され ている6)。また,これらの認識に加え,質的研究によっ て先輩看護師からの承認行動や,できていないことに関 する確認や評価をしてくれる,労いの言葉をかけてくれ ることが成長の促進に影響していることが報告されてい る7)。さらに,量的研究によって先輩看護師からの精神 支援と新卒看護師の看護実践能力に正の相関があること が報告されている8)。これらより,新卒看護師が先輩看 護師からサポートを得ることは,看護実践能力を高める ことや,成長を促進する上で重要であると考える。  2010 年の制度改正に伴い,プリセプターがおこなって いた役割はガイドラインにおいて「新人看護職員に対し て,臨床実践に関する実地指導や評価等をおこなう者」 と定義された実地指導者という名称となり4),新卒看護 師は実地指導者をはじめ多くの看護師からサポートを得 *    松蔭大学 **   国際医療福祉大学大学院 ***  昭和大学 **** 帝京平成大学 ※ corresponding author (2020 年 11 月 16 日受理)

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ている。しかしその中でも実地指導者は新卒看護師の指 導のみではなく,身近な相談相手となり気持ちを理解し 支える重要な存在である9)。しかし先行研究では先輩看 護師からのサポートに関する研究はみられるが,実地指 導者に限定された研究は見当たらない。そこで本研究で は,実地指導者からのサポートに焦点を当て,新卒看護 師の視点から研究を進めた。

II. 研 究 目 的

 新卒看護師をサポートするための教育プログラムを構 築することを意図し,新卒看護師が効果的と認識する実 地指導者からのサポートを明らかにする。

III. 用語の操作的定義

1. 新卒看護師:看護基礎教育課程を卒業し,初めて看 護職として働く 1 年未満の看護師 2. 実地指導者:新卒看護師に対して,臨床実践に関す る実地指導,評価等を行う看護師4) 3. 新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサ ポート:南ら10) の定義を参考とし,本研究では,新 卒看護師が特定の時点で実地指導者から得ている有 形/無形の諸種の援助とした。

IV. 研 究 方 法

1. 調査対象及び期間  2018 年 2 月に A 県内の大学病院 2 施設のいずれかに 勤務し,研究協力に同意が得られた 7 名の新卒看護師を 対象とした。 2. データ収集方法  対象者にグループインタビューを実施した。安梅11) に よるとグループインタビュー法は,参加者同士の発言に よって 「なまの声」 を体系的に整理でき,潜在的な情報 やニーズ,意見を把握することができる。また,グルー プダイナミクスが生じることで相互作用により意見が引 き出され,グループとしての意見の構築ができるといわ れている。さらに Susan et al.12) は,グループで実施す る利点として,1 対 1 のインタビューよりもグループ内 のやりとりによってそれぞれの参加者が自分の意見を述 べやすいとしている。  本研究では実地指導者からのサポートについて,新卒 看護師が効果的であると認識する内容や場面を可能な限 りとらえ,新卒看護師に潜在するニーズや意見までも収 集するために,1 対 1 のインタビューではなくグループ インタビュー法を用いた。  初めに,A 県内の大学病院の管理者に,1)目的,2) 方法,3)日時,4)場所,5)倫理的配慮,6)問い合わ せ先を口頭および書面で説明し,対象者の抽出を依頼し た。また,調査対象者へも上記 1)~6)の内容を口頭お よび書面にて説明し,書面による同意を得た。  グループインタビューは,外部から影響を受けない静 かな会議室を使用し,7 名全員で実施した。データの収 集には,参加者の承諾を得て,IC レコーダーを設置し記 録した。インタビュー中は,番号で呼び合い,参加者の 名前が一切出ないことを保証し,安心してグループイン タビューができるよう配慮した。所要時間は 1 時間 30 分とした。参加者がお互いの顔を見てリラックスして話 し合えるよう,テーブルを丸く囲い,お茶とお菓子を用 意するなど工夫した。なお,グループインタビューが効 果的に進められるために,グループインタビュー法に精 通した専門家のスーパーバイズを受け実施した。 3. 調査内容  対象者の基本属性(性別・実務職種・新卒看護師の教 育体制)と,職務の中で認識する実地指導者の接し方, 指導方法についてどのような効果的なかかわりがあるか 具体的な場面を含め自由に語ってもらった。  グループインタビュー中はサポートという表現ではな く,かかわりという表現を使用しているが,中原13) の一 般社員を対象とした他者支援調査では,支援という言葉 は一般のビジネスパーソンにとってはなじみがないこと や,社内の制度や職制上の責務から提供される助言やア ドバイスのみを想起してしまいがちである等から,あえ てかかわりという包括的な用語を用いて調査を行ってい る。本研究においてもサポートという表現は,院内の研 修やパートナーシップなどの看護体制を想起してしまい がちであると考え,かかわりという包括的な表現を用い てグループインタビューを実施した。 4. 分析方法  安梅11) のグループインタビュー法をもとに,質的帰納 的に分析した。ICレコーダーから得られた記録から逐語 録を作成した。逐語録を精読し,新卒看護師が効果的で あると認識する実地指導者からのサポートについて語ら れている内容を抽出する際には,語りの意味を損なわな いよう細心の注意を払い,さらに一文章一意味となるよ うフレーズとして抽出した。フレーズごとにその内容を 簡潔な一文にしてコードとし,意味が共通するコード同 士を集めてグループ化して,内容を表す見出しをつけた ものを小カテゴリーとした。同様の手順により帰納的に 分析を進め,徐々に抽象度を高めながら中カテゴリー, 大カテゴリーとした。分析結果の妥当性確保のため,こ れらの分析の過程において,新卒看護師の研究を行って

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いる複数の研究者と検討を重ねた。 5. 倫理的配慮  施設の管理者および対象者には,名前や施設等の個人 情報が外部に出ることがないこと,グループインタ ビューの参加は自由意志であり,グループインタビュー 参加の有無によりいかなる不利益も受けないこと,一度 同意をしても撤回できることを説明した。IC レコーダー により録音することを説明の上,このデータは,鍵のか かるところで厳重に管理し,本研究目的以外には使用し ないこと,分析の際には,施設や個人が特定されないこ とを配慮し,インターネットに接続しないコンピュータ を使用し外部に情報を漏らさないこと,研究終了後は一 定の保管期間後に速やかにデータを破棄することを説明 し書面にて同意を得た。本研究は,国際医療福祉大学倫 理審査施設委員会の承認を得て実施した(承認番号 18-Ig-58)。

V. 結   果

1. 対象者の属性  対象者 7 名は,性別は男性 2 名,女性 5 名であり,年 齢は全員が 20 代であった。2 施設の教育体制は,とも にエルダー(新卒看護師の相談相手となり精神的サポー トを行う),実地指導者,教育担当者(新卒看護師研修 の運営や実地指導者への助言及び指導,新卒看護師への 指導,評価を行う)がいる施設であった。 2. 新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からの サポート  分析の結果,新卒看護師が効果的と認識する実地指導 者からのサポートとして 69 コードが抽出され,20 小カ テゴリー,5 中カテゴリー,2 大カテゴリーに集約され た。その結果を表 1 に示した。以下,大カテゴリー別に 詳細を記載し,本文中の大カテゴリーは【 】,中カテ ゴリーは《 》,小カテゴリーは〈 〉,コードは 「 」 で示した。  1 つ目の【業務的サポート】は,58 コード,14 小カテ ゴリー,3中カテゴリーで構成され,総コード数の84.1% を占めた。1 つ目の中カテゴリーである《看護技術を習 得するためのサポート》では,〈看護技術をしていると ころをみせてくれる〉,〈看護技術の見守り・助言をして くれる〉,〈看護技術を経験する機会をつくってくれる〉 の 3 小カテゴリーで構成されていた。  2 つ目の中カテゴリーである《看護実践を遂行するた めのサポート》は,〈看護実践の見守り・助言をしてく れる〉,〈医師への報告の方法を教えてくれる〉,〈判断に 困ったときの対応方法を教えてくれる〉,〈自分の改善す べき点を教えてくれる〉,〈病棟独自の基準を教えてくれ る〉,〈チェックリストで看護技術の到達度や疾患の理解 度を確認してくれる〉,〈実施した課題を確認してくれ る〉,〈患者のアセスメントができるよう指導してくれ る〉,〈看護業務が円滑に進むよう助言や調整をしてくれ る〉の 9 小カテゴリーで構成されていた。  3 つ目の中カテゴリーである《看護実践を意味づける サポート》は,〈看護実践に関する根拠が理解できてい るか確認してくれる〉,〈看護実践に関する根拠を教えて くれる〉の 2 小カテゴリーで構成されていた。  2 つ目の【情緒的サポート】は,11 コード,6 小カテゴ リー,2 中カテゴリーで構成され,総コード数の 15.9% を占めた。  1 つ目の中カテゴリーである《承認に関するサポート》 は,〈看護師としての態度を教えてくれる〉,〈褒めてく れる〉,〈叱ってくれる〉の 3 小カテゴリーで構成されて いた。  2 つ目の中カテゴリーである《受容に関するサポート》 は,〈声をかけてくれる〉,〈話を聴いてくれる〉,〈勤務 時間外の交流〉の 3 小カテゴリーで構成されていた。

VI. 考   察

 新卒看護師が認識する実地指導者からのサポートは, 看護技術の習得や看護実践を遂行する,実践した看護の 意味づけをするサポートである【業務的サポート】と, 承認や受容に関するサポートである【情緒的サポート】 であった。 1. 【業務的サポート】  《看護技術を習得するためのサポート》では,実地指 導者が看護技術を実施している場面の見守りや助言をす る,看護技術を行っているところを見せる,看護技術を 経験する機会を設けるという内容が抽出されていた。  山本ら14) の実地指導者を対象とした調査では,対象者 に侵襲がない内容であるかを判断しつつ,新人助産師が 看護技術を行っている場面を見守ることや,実際に正し い方法をやって見せることが報告されている。これらの ことは本研究対象である新卒看護師の結果と類似した見 解であり,妥当な内容であると考える。  2010 年新人看護職員研修が努力義務化となり,新人看 護職員研修ガイドラインが作成された4) ことを契機に, 施設ごとで新卒看護師に向けた研修が行われ,看護技術 を習得するための研修も行われている15)。看護師は,単 に手順のように看護技術を実施するだけではなく,患者 が安全で安楽に看護技術をうけられるよう実施しなけれ ばならない16)。しかし,谷井ら17) の新卒看護師を対象と

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表 1 新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサポート 大 カテゴリー カテゴリー中 小カテゴリー 代表コード(69 コード) 業務的 サポート (58) (84.1%) 看護技術を 習得する ための サポート (17) 看護技術の見守り・助言を してくれる(9) ・何度か実施すると一人で実施させてくれる ・看護技術の経験は 2 回目は自分が主体で実施し助言をしてくれる ・看護技術の経験は 3 回目で自立させてくれる ・最初はこうやるんだよとかってちょくちょく教えてくれる ・2 回目に看護技術を行う時,確認をしてくれる ・看護技術とかもこれやった?と確認してくれる ・自分のやっているところを見守ってくれる 看護技術を経験する機会を つくってくれる(5) ・看護技術が経験できるよう,プリセプターが確認する時間を作ってくれる ・経験したことがない看護技術がある時に声をかけてくれる ・気管挿管など稀な看護技術を行う時に声をかけてくれる ・自立していない看護技術があると声をかけてくれる 看護技術をしているところを みせてくれる(3) ・初めて経験する看護技術を見学させてくれる ・看護技術の経験は,1 回目は見学させてくれる 看護実践を 遂行する ための サポート (31) 看護実践の見守り・助言を してくれる(7) ・重症な患者はプリセプターが一緒に看護援助をしてくれる ・不安がなくなるまでしっかりついてみてくれる ・どこができないのか解らないため,あえて手伝わず見守ってくれる 医師への報告の方法を 教えてくれる(4) ・私たちが医師から怒られないように,医師に報告する前に必要な情報を確認してくれる ・医師に報告する前に相談に乗ってくれる ・医師に報告する前にレントゲンの状態を確認してくれる ・医師に報告する前にアセスメントしたことを確認してくれる 判断に困ったときの対応 方法を教えてくれる(3) ・どうすればよかったのかわからなかったときに相談に乗ってくれる ・どうすればよかったのかわからなかったときに的確な返答をしてくれる ・緊急性の有無の判断がつかないとき相談にのってくれる 自分の改善すべき点を 教えてくれる(3) ・自分の改善すべき点を教えてくれる ・気をつけたほうがいいこと等,自分の評価を教えてくれる 病棟独自の基準を 教えてくれる(3) ・病棟独自の手順書を作成してくれる ・教科書やマニュアルどおりではない病棟の基準を具体的に教えてくれる ・病棟特有の疾患を覚えられるように資料を作成してくれる チェックリストで看護技術の 到達度や疾患の理解度を 確認してくれる(3) ・チェックリストを元に,看護技術ができているか確認してくれる ・チェックリストを用いて看護技術の到達度を評価してくれる ・チェックリストを元に,疾患の知識を確認してくれる 実施した課題を確認して くれる(3) ・疾患を覚えられるよう宿題を出してくれる  ・やってきた宿題の不足部分に対して指導してくれる ・呼吸器など勉強したものを確認してくれる 患者のアセスメントができる よう指導してくれる(2) ・アセスメントしてから報告するよう指導してくれる ・報告する際,要点を抑えていないと聞き返される 看護業務が円滑に進むよう 助言や調整をしてくれる(3) ・今後は,こういうところを頑張っていくという目標を説明してくれる ・業務の優先順位を教えてくれる ・自分が担当する業務が終わらないとき代わりに行ってくれる 看護実践を 意味付ける サポート (10) 看護実践に関する根拠が 理解できているか確認 してくれる(8) ・アラームが鳴っているとき,なんで鳴っていると思う?と考えさせてくれる ・なぜそうしたのかと理由を聞いてくれる ・患者がんが何でその薬を内服していると思う?と確認してくれる ・人工呼吸器を一緒に見ながら,なぜアラームが鳴っているかわかる?と確認してくれる ・実施している看護援助に対してなぜそのようにやっているのかと聞いてくれる ・実施した看護実践に対してフィードバックしてくれる 看護実践に関する根拠を 教えてくれる(2) ・実施している看護援助の根拠を説明してくれる ・なぜこれをやっているのかという根拠を説明してくれる 情緒的 サポート (11) (15.9%) 承認に 関する サポート (6) 看護師としての態度を 教えてくれる(2) ・言葉使いを注意してくれる ・へらへらした態度を注意してくれる 褒めてくれる(2) ・頑張っているところを伝えてくれる ・まず褒めてくれる 叱ってくれる(2) ・普段やさしいプリセプターに叱られる ・業務についてこれはこうだったからこうじゃないの?と叱ってくれる 受容に 関する サポート (5) 話を聴いてくれる(2) ・自分の思いを聴いてくれる 声をかけてくれる(1) ・気にかけて大丈夫?と声をかけてくれる 勤務時間外の交流(2) ・LINE で連絡をくれる ・一緒に食事に行く

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した看護技術に関する調査では,新卒看護師の 7 割が看 護技術を経験していても失敗したり,上手くできないと いう理由から自信を無くした経験があり,また看護技術 の経験についても,特に救命処置に関する項目は他の項 目と比較すると経験する機会が少ないことが報告されて いる。これらのことからも新卒看護師が看護技術を習得 することは容易ではなく,実地指導者は新卒看護師が看 護技術を習得できるようサポートしていくことが必要で ある。  《看護実践を遂行するためのサポート》については, 新卒看護師が看護を実践していく中で困らないよう,実 地指導者が見守り,助言をすることや,困ったときに助 ける等の内容が多く抽出されていた。  新卒看護師は,かろうじて及第点の業務をこなすこと ができるレベルであり,ガイドラインに沿って業務をこ なし重要なパターンに気づくことはできるが,最も重要 な業務を選別することはできない18)。また,久留島19) の 新卒看護師を対象とした調査においては,看護実践・業 務遂行に関して,初めて経験することや,自信がないと き,困ったときにかかわってくれたことをサポートとし て認識していることが報告されている。このことから も,実地指導者は新卒看護師が看護を実践する上で新卒 看護師が困っていることに対する助言や,状況に合わせ た見守り等をおこなっていくことが重要である。  《看護実践の意味づけをするサポート》については,看 護実践に関する根拠が理解できるよう導くことや実践し た看護を一緒に振り返るという内容が抽出されていた。  山本ら14) の実地指導者を対象とした調査では,新人助 産師に対し〖発問を用いて推論を引き出す〗ことで,対 象の置かれている状況の理解を促していると報告されて いる。このことは本研究の新卒看護師を対象とした結果 と類似した見解であり,妥当な内容であると考える。  中原13) は,折に触れ,客観的な意見を与えたり,振り 返りをさせたりする内省支援について,業務における経 験は内省を伴ってこそ抽象化することができ,メタレベ ルの教訓を引き出すことができると報告している。ま た,武藤ら20) においても,新卒看護師が看護実践を意識 的に振り返り,気づきや考えたことの意味を再考するこ とは,見えなかった自分の弱みや,自分が大切にしてい ることや,看護実践の具体的な行動や経験することの重 要性に気づくことができると報告している。さらに,中 村ら21) は,看護実践の意味づけをすることは,新卒看護 師自身の行動の変容や,看護師としての内面的変化をも たらすと報告している。これらのことから《看護実践の 意味づけをするサポート》は実践した看護を抽象化する ことや看護観を構築すること,看護師としての内面の変 化などに重要であると考えられ,今後さらなる研究を進 めていくことが望まれる。 2. 【情緒的サポート】  情緒的サポートでは,褒める,看護師としての態度を 教える,叱るという《承認に関するサポート》と話を聴 く,声をかけるといった《受容に関するサポート》が抽 出されていた。  新卒看護師は精神的に余裕がなく,看護の知識や技術 が未熟なため自信をもてずにおり,またある程度の業務 ができるようになっても,受け持ち患者の増加や夜勤等 から,常に不安な気持ちを抱えながら職務を継続してい る9)。先行研究では,新卒看護師が周囲から仕事ぶりを 承認してもらうことは主観的成長につながる22) ことや, 声をかけてもらうことは習熟度を高める23) ことが報告 されており,不安を抱えながら職務を行う新卒看護師に とって情緒的サポートは新卒看護師の精神的な安定や成 長を促すうえでも重要であると考える。  今回,新卒看護師が効果的と認識する実地指導者から のサポートは,【業務的サポート】と【情緒的サポート】 であった。実地指導者は新卒看護師に対しこれらのサ ポートを行えるよう知識,技術,態度を高めることが必 要であり,その実地指導者を支えるための職場環境の調 整や,具体的な教育プログラムを作成していくことが望 まれる。

研究の限界と今後の課題

 本研究はA県内の2施設の大学病院の新卒看護師から 得た結果であり,一般化には限界がある。今後は,同様 の調査を他の地域や設置主体においても実施し,比較検 討していくことが必要である。また,質的研究の信頼性 と妥当性を保つためにフォローアップアンケートを実施 しデータを評価することや,量的研究を組み合わせて比 較するなどの方法を利用しさらなる検討が必要である。

結    論

1. 新卒看護師が認識する実地指導者からのサポート は,看護技術の習得や看護実践を遂行する,実践し た看護の意味づけをするといった直接的な業務に関 する【業務的サポート】と,新卒看護師の状況を気 にかけ,声をかけることや話を聴く,一人の新卒看 護師として認め,褒める,叱るなど情緒に働きかけ る【情緒的サポート】であった。 2. 本研究の結果を基に,実地指導者が新卒看護師をサ ポートできるよう,職場環境の調整や,教育プログ

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ラムの作成を行う必要性が示唆された。 謝辞:本研究を実施するにあたり,ご協力いただきまし た施設の管理者および新卒看護師の皆様に深く感謝いた します。また,研究過程において熱心にご指導いただき ました鈴木英子教授に深く感謝いたします。  なお,本研究は国際医療福祉大学大学院医療福祉学研 究科に提出した博士論文の一部を加筆修正したものであ る。 文    献  1) 日本看護協会:2004 年新卒看護職員の早期離職等実 態調査報告書.日本看護協会中央ナースセンター事 業部,東京,2005  2) 濱中喜代,花澤雪子:小児看護領域における卒後教 育・指導に関連した新人看護師およびプリセプター の現状と課題 総合病院における調査から.日小児 看護会誌 17(1):31-37,2008  3) 原田慶子,唐澤由美子,大脇百合子,千葉真弓,中 村 惠,坂本規子:プリセプターが捉えたプリセプ ティの就職半年後の困難や課題とプリセプターの対 応.長野看大紀 11:19-27,2009  4) 厚生労働省:新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】. 2014,https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000049466_1.pdf(2020. 02. 26 アクセス)  5) 末永由理,安藤瑞穂,嶋澤奈津子,宮本千津子:新 人看護職員研修ガイドライン活用の実態.東京医療 保健大紀 9:1-7,2014  6) 中山由美:新人看護師が期待する指導者からの支援  救命救急領域に勤める新人看護師へのインタビュー を通して.大阪府大看紀 17:55-64,2011  7) 澤 結花,内山あゆみ:新人看護師の成長促進への 要因.中国労災病医誌 24:65-72,2015  8) 山口大輔,浅川和美,栁澤節子,小林千世,上原文恵, 松永保子:新卒看護師の看護実践能力と他者支援と の関連 ─大学附属病院に就職後 6 ヵ月目と 1 年目 の比較─.日看研会誌 40(2):97-106,2017  9) 三堀一久:新人看護師が入職して直面しうる気持ち. 神奈川保健福大看教研録 40:152-156,2015 10) 南 隆男,稲葉昭英,浦光 博:「ソーシャル・サポー ト」研究の活性化にむけて─若干の資料.哲學 85: 151-184,1987 11) 安梅勅江:ヒューマン・サービスにおけるグループ インタビュー法Ⅲ/論文作成編 科学的根拠に基づ く質的研究法の展開(全 122 pp).医歯薬出版株式 会社,東京,2014 12) Susan K. Grove, Nancy Burns, Jennifer R. Gray/監 訳黒田裕子,中木高夫,逸見功:バーンズ & グロー ブ 看護研究入門 原著第 7 版 評価・統合・エビ デンスの生成(全 656 pp).東京,ELSEVIER,2015 13) 中原 淳:職場学習論 ─仕事の学びを科学する─ (全 200 pp).東京大学出版会,東京,2010 14) 山本真実,片岡弥恵子:実地指導者が新人助産師の 分娩期における気づきと解釈を促進する教育.日助 産会誌 33:38-49,2019 15) 高野美奈子,伊藤ひろみ:新人看護師が効果的と受 けとめた支援方法と今後の課題.砂川病医誌 28: 42-45,2015 16) 有田清子,石田寿子,今井宏美,榎本麻里,後藤奈 津美,坂下貴子,茂野香おる,丹生淳子,松尾理代, 屋宜譜美子:系統看護学講座 専門分野Ⅰ基礎看護学 [2]基礎看護技術Ⅰ第 17 版(全 360 pp).医学書院, 東京,2019 17) 谷井真弓:新卒看護師における看護技術の自信への 支援 一基本的な看護技術の自信の程度と経験頻度 の調査から.東医大病看研録 26:96-97,2006 18) Patricia Benner/監訳井部俊子:ベナー看護論 新訳 版 初心者から達人へ 初心者から達人へ(全 296 pp). 医学書院,東京,2005 19) 久留島美紀子:新人看護師が先輩看護師から受けた 効果的な支援.人間看研 1:39-42,2004 20) 武藤雅子,前田ひとみ:新人看護職に対する複数回 の臨床経験のリフレクション支援の効果.日看科会 誌 36:85-92,2016 21) 中村美保子,東サトエ,津田紀子:新人看護師のリ フレクションが専門職者としての成長に与える意味 についての研究.南九州看研誌 12:21-32,2014 22) 荒川千秋,細川淳子,小山内由希子,叶谷由佳,佐 藤千史:大卒新人看護師の支援のあり方に関する研 究.日看管理会誌 10(1):37-43,2006 23) 掛谷和美,城生弘美:中規模病院における新人看護 師の習熟度に影響する要因 職場環境と新人研修プ ログラムの側面から.日看研会誌 40:791-802,2017

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*    Shoin University **   International University of Health and Welfare Graduate School ***  Showa University **** Teikyo Heisei University ※ corresponding author

Abstract

Effective Support by On-site Nursing Instructors as Perceived by 

Novice Nurses : A Group Interview Study

(Accepted November 16, 2020)

Saori N

akazawa

*

, Eiko S

uzuki

**, Harumi K

awamura

***, Sachiko T

anabe

****

  Purpose : This study aims to describe the effective support by on-site nursing instructors 

as perceived by novice nurses, and to develop an educational program to support novice 

nurses.

  Methods : A group interview was conducted with seven novice nurses working in two 

university hospitals in A Prefecture who had expressed consent to participate in the study.  

The data obtained were analyzed qualitatively and inductively.

  Results : The participants were two male and five female nurses.  An analysis of the 

interview data showed that the effective support by on-site nursing instructors as perceived 

by these novice nurses is comprised of two categories, [duty support] and [emotional support].  

[Duty support] includes the following subcategories : «support for acquiring nursing skills», 

«support for performing the nursing», and «support in assessing the significance of the 

nursing they performed».  Subcategories of [emotional support] are «support for approval» 

and «support for acceptance».

  Conclusions : Based on the results of this study, it is necessary to improve the workplace 

environment and develop practical educational programs that enable on-site instructors to 

support novice nurses.

Key words : novice nurses, on-site nursing instructors, support

表  1 新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサポート カテゴリー大 中 カテゴリー 小カテゴリー 代表コード(69 コード) 業務的 サポート (58) (84.1%) 看護技術を習得するためのサポート(17) 看護技術の見守り・助言をしてくれる(9) ・何度か実施すると一人で実施させてくれる ・看護技術の経験は 2 回目は自分が主体で実施し助言をしてくれる・看護技術の経験は 3 回目で自立させてくれる・最初はこうやるんだよとかってちょくちょく教えてくれる・2 回目に看護技術を行う時,確認をしてく

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