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釜無川(富士川)における中規模河床変動特性 利用統計を見る

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(1)

釜無川(富士川)における中規模河床変動特性

砂田憲吾

(昭和60年8月31日受理)

Characteristics of the Meso-Scale River Bed

Variation in Kamanashi River (Fuji River)

KengoSUNADA       Abstract   In this paper, results of the research on the actual conditions of the meso−scale river bed variation based on data of the丘eld survey in Kamanashi river are presented. Putting emphasis of the consideration on the bars in the river bed, variations of the averaged bed form, changes of the bar height and the migration distance of the corresponding bars at the two stages, before and after a flood runoff, are discussed.

1.はじめに

 実際のいくつかの河川では,大規模1次元的な河床 変動の扱いによる横断面平均河床の把握を大幅に上ま

わる区間的,2次元的な河床変動がしばしば生ず

る1)’2)。この2次元的な河床の洗掘・堆積は主として河 床の砂州の動態に関連しており中規模河床変動と呼ば れる。大スケールでの経年的な河床変動傾向にこの種 の中規模河床変動が加われば,より以上に河道および 河川工作物,橋梁ほかの構造物への影響は大きなもの となる。この河床変動特性を解明するためには,これ まで行なわれてきた理論的実験的研究と並んで,特に 河川現地での資料の蓄積と解析を進める必要があ る3)。  本研究は,重要性が指摘されながら従来必ずしも十 分でなかった実際河川における中規模河床変動特性に ついての検討を目的としたものである。この場合,議 論をより一般的に進めるためには水理学的にできるだ け一様な河道における実態把握に基づくことが望まれ る。筆者は昭和58年に富士川上流部(釜無川)のほぼ 直線部分の一部区間における詳細な河床変動調査を行 ない,その結果の一部を報告している4)・5)。本稿は同区 間を含む約11km区間の河床資料に基づいて,昭和58 年調査の解析結果と比較しながら砂州に注目した河床 変動特性を検討したものである。 2.対象区間河床変動概要  解析の対象は富士川河口より67.7km地点(距離標 K90)から78.4 km地点(K190)のFig.1に示すB区 間である。この区間の平均河床こう配は1/202,河幅は 370∼520mで,わずかに存在する恒常的な高い砂州域 を除けばほぼ全区間で単断面河道となっている。河床 材料の粒度は(S.53年度調査による)水際部資料で, dm=19.7∼33 mm, d,。=2.5∼6.O mmである。  河床高資料は昭和57年3月および昭和58年3月の 流下方向100mピッチの定期縦横断測量によるもの である。この期間には最近の大出水,台風8210号洪水 および台風8218号洪水が相次いで発生している。前 者は最大流量が約4000m3/s(K108・浅原橋観測所)で 100年確率洪水,後者は最大流量が約2000m3/s(同観 *土木工学科,Department of Civil Engineering       J Fig.1 釜無川解析対象区間

(2)

K169        K165       Kl 60       K155 トー一一一一一一1000m −一一一一一一一{     Fig.2 平均河床高の変化 K150 方向に比較的大きな河床変化が生じた。後述するよう に,この間のB区間では河床上昇傾向にあり,低水流 路水際部を除いてArmor coatはほとんど認められな い。なお昭和58年に調査したFig.1中のA区間は比 較的短区間ではあるが,台風8305号(最大流量約2000 m3/s)洪水の直前直後の河床測量資料に基づく検討が 行なわれている4)’5)。

 Fig.2は昭和57年3月から1年後のK169∼K150

における断面平均河床高の変化を示す。0.2∼0.5mの 河床上昇が生じており,この傾向はB区間全体でもほ ぼ同様である。洪水直後の上流流入支川の河床状況を 総合すると,この河床上昇は本川上流約30km地点で       両台風洪水時に生じた河床洗       掘,いわゆる??ミニ・キャニオ K’

    200m

0 K90      Fig.3 平均河床高基準の等高線と濡筋         等高線間隔は50cm,実線:平均河床より高い        破線:平均河床より低い {m2} 0.3 O.2 0.1 Kl 30 (m2) O.3 0.2 0.| Kl25       Kl20     Kl16      K|30        Kl25        K120     Kl16  (a)洪水前      (b)洪水後      Fig.4 河床変動強度の分布(A区間) ン,による土砂流出(推定約34 万m3)に主に原因していると考 えられるが,その定量的な考察 までには至っていない。  各断面ごとに定まる平均河床 高を基準に河床の高低をとり, 0.5m間隔(高い場合実線)で等 高線を示せばFig.3のように なる。Fig.3は各測量時に位置 していた濡筋もハッチングで示 しており,河道中心線を直線に して描かれている。同図によれ ば,上下流部の比較的河幅の狭 い区間で2列砂州に伴う濡筋の 規則性のある蛇行が認められる が,他では不明瞭で流路は網状 をなし,河床変動の特性把握の ためには統計的な扱いも必要で ある。 3.河床変動強度の分布  河床高の断面平均河床からの 変化をηとし,各断面ごとにη2 を求め河床変動強度として縦断 方向の分布を調べた。  まず,昭和58年調査による A区間での台風(8305号)洪水 直前(η、2),直後(η22)の場 合の結果はFig.4のようにな る。特にFig.4(b)の洪水後の場 合には波動1生が認められ,この 測所)で20年確率洪水であり,この期間に河道縦横断  点については以下のように考察される。

(3)

7,2 Kl30 Z’{,,,iSiii;i.6;ii;××,. 釜無川

単純化した 複列砂洲の 場合 干 (m2) 2 1 0 Fig.5 河床変動強度の分布の解釈    上段は推定された実際の砂州,ロ:最低河床水路,    ●:2位低河床水路,△:3位低河床水路    下段は式(1)により表される複列モデル砂州,○:最高河床,    ●:最低河床 へ’、 ’1’ 「、,1   v Lノ 〆〔魔激nA

) vu1Aハ!

道中心軸に対して左右対称性を持つと 仮定する。この仮定は並列した交互砂 州の形状に類似した2列砂州の場合に はほぼ満たされるものである。A区間 の河床データによれば,卓越する砂州 の形状はFig.5の上段のようであり, ヴ(y)の対称性は備わっている。結局, 式(1)による変動強度は式(2)のような形 式で与えられる。 7ω一き∬η・(x,y)dy      −P+R…(4πvl.)(2) ここに,Bは河幅,1),Rは定数であ る。式(2)を定性的に示せばFig.5の中 段破線のようになり,その破線波形2 波長が砂州1波長を示す。ところで同 図上段の実際の砂州では,河心部の砂 州が伸び河岸部のものと前縁の近づい たやや変形した形状となっている。こ の場合,η22は砂州前縁直下流部の深 掘れなどの影響を反映してFig.5中    段の実線のようになる。流れ方    向には単純化した場合の破線と    若干のズレはあるが,波長はよ    く対応している。あらためて    Fig.4(b)の破線のピークより,    昭和58年A区間の砂州波長は    1.=850∼900mであることが    知れる。     一方,B区間における昭和57    年洪水前後のη2の分布はFig.    6のようになる。洪水後の河床    変動強度(S.58,3実線)は前年 K190      K170  」一一・ 2km・一一一1 Kl50 K130 Fig.6 河床変動強度の分布(B区間)  縦横断方向の河床の平均からの変化をこの区間での 卓越2列砂州に対応させ,よく用いられる次式で単純 化して表す。 ・(・・y)一グ(y)+・…(?ty)…(21hl4x)(1) ここに,x, yはそれぞれ縦断,横断方向の距離,1.は 砂州波長,ヴ(y)は縦断方向(砂州1波長)平均河床高, aは定数(2a=砂州波高を示す)である。万(y)は河 K110 K90 に較べ全体的に低下している。 河幅の広い区間中央部で洪水前 後ともη2は小さな値をとり,砂 州波高の低いこと(上・下流部 の1/2以下)を示す。特にK130∼K170では2列以上 の砂州が考えられることからη2の分布の波動1生は不 明瞭となっている。しかしながら,河幅も狭く掃流力 の大きい上流(K175∼190)部分では比較的高いη2の 値をとり,ある程度の規則性も認められる。この部分 でのピークから強いて波長を読み取れば,1.=800∼ 900m程度を得る。

(4)

4.洪水前後河床高の相互相関と   砂州の移動  4.1洪水前後河床高の相互相

   関

 前述のηについて洪水前後の 場合をそれぞれη、(x,y),η2(x, y)として2次元相互相関,  C(lx, ly) = η1(κ,y)・η2(X−Llx,y−Lly)        (3) を考える。実際の計算では,河道 の曲りや左右岸部の一部恒常的な 砂州域,洪水前後の河幅の変化な どの影響を避ける必要がある。本 研究では各断面の河道中心に沿う 方向にxを定義し,中心から河床 変動として有効なηを与えるデ ータのみを用いて計算を行った。 また,横断方向には細かな凹凸が 存在すること,河岸付近に極端な 最深点データもあり得ることか ら,それらの影響を軽減するため にデータのsmoothing,左右岸付 近のデータのtruncationなど何 通りかの試算も行った。結果的に は計算前処理の効果は小さいこと が判明した。

 昭和58年のA区間について洪

水直前直後の河床変化の2次元相 互相関はFig.7のようである。1。, 1ッ軸は断面間距離が距離標に依 っているため等間隔でないので概 略値で目盛られている。Fig.7で は1ッ≒100m(≒B/4)を境に相 関値Cの符号が逆転している。こ のことは横断面の平均的な河床形 状としてy方向にB/4,B/2の波 長の変動が卓越していることを示 し,この区間では(2列)並列の交 互砂州パター一ンにあることが想定 される。さらに,Fig.7より相関値 がP,=(1。i,1。i)=(100 m, Om) およびP,=(lx2, ly2)=(360 m, 70m)付近で同程度のピークを持 つことが知れる。いま,先に報告5)

している低河床位置図および

ぐコ (th) (600) (500) (400) (300) (200) ooo) Fig.7 洪水前後河床の相互相関値の分布(A区間) 0 〇       500m (a)洪水前 K125 〇      5(X)m   (b)洪水後 Fig.8 平均河床高基準の等高線(A区間)    等高線間隔は50cm,実線:平均河床より低い        破線:平均河床より高い

(5)

Fig.8の平均河床高基準の等高線図を総合すると, P2 点は洪水前後の大域的な砂州の移動に対応するものと 考えられる。lx2は流下方向の移動距離を示すが, ly2= 70mはこの区間の緩やかな曲がり(左に約15°)を反映 して砂州がやや右岸寄りにshiftしたことを表わして いる。他方,P、点(lxi)は平面的な砂州の把握からは判 定しにくい変化に対するものである。Fig.8(a),(b)を見 較べると,例えば洪水前ではK126∼K127間に比較的 高い砂州頂部が存在し,洪水後ではK125付近にやは り同規模の高い頂部が認められる。これらを対応させ ると移動量は100m前後であり, lxiと同程度である。 この点については次のようなことが考えられる。  洪水前に頂部の高い比較的規模の大きい砂州があ り,まずその頂部以外の(周辺の)土砂輸送により砂 州の移動が開始される。この砂州頂部は最高点が水 没する水位になって漸く移動が始まる。その間は 水位・水深増加に応じて順次段階的な経過をたどり, 減水時にはほぼこの逆の過程を経るであろう。掃流力 のある範囲内で高い水位・水深が長時間継続すれば,砂 州は全体的に定常な移動を示すことになる。木下6)は 大井川下流部において中規模出水中の地上写真測量か ら砂州の移動距離として100m程度を得ている。大井 川の場合,釜無川に比較して流量の時間変化が小さい ことから,より定常に近い砂州の形成・移動過程がと られたものと推定される。釜無川で形成された砂州は そのような状態に至っていないものと考えられる。  以上の考察から,ここでは上述の2種の移動距離を そのまま取り上げておく。すなわち,大域的な移動距 .(x100m) (a)K190地点からの部分区間 …i き ξ (x10 m) y 離lx2と砂州頂部に注目して得られる移動距離lx、と は,砂州の定常的な形成への過渡的な状態をそれぞれ ある程度代表していると考えられるからである。通常 は濡筋にしか流水のない扇状地河川では,西谷らの指 摘7)や石川の試み8)のように,今後洪水流の非定常性も 考慮された砂州の形成・移動についての詳細な検討も 必要である。

 さて,昭和57年3月,昭和58年3月の河床資料か

ら得られるB区間での河床相互相関の計算結果の例 はFig.9のようになる。各断面では,その断面から始

まる下流1kmの部分データを1。の最大を1kmまで

として式(3)により求めている。Fig.9(a)はK190地点 断面からのものであり,(b)はK125地点断面からのも のである。後者はFig.7に示された部分区間に相当し ており,ほぼ同一区間での別の年の洪水前後の河床の 相関値を表していることになる。ただし,1ッの向きは Fig.7の場合と逆転している。 Fig.9(b)は洪水直前直 後の資料によるものではないこともあり,Fig.7に較 べて相関値のピークは顕著ではないが傾向は一致して いる。また,ピーク値の自己相関値(η2二Fig.4,6よ りオーダーが参照できる)に対する比もほぼ同じで, o.2程度となっている。Fig.9(b)では2組のピークを示 すlxは, lx i≒350 m, lx 2≒800 mとなり,昭和58年 のA区間Fig.7によるlx i≒100 m, lx2≒360 mよ り増大しているが,これは主に昭和57年に生じた台風 8210号洪水の規模が大きかったためと考えられる。 Fig.9(a)については,特に第1のピークの1。はlx= 300∼400mとなっており,上流K190地点ではより大   (x100 m)   3  9  ●  N  ひ  u  b  w  N  P  e

 〔)袖ω゜:l

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 二)1ω。:1ω .:

       袖    吋      ω    一    〇・   ●         ω    ω    r4   ●    ω     ●   −

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 :: (b)K125地点からの部分区間 ▲ 占 o N … ξ ξ 9 d 。(xlO m) ly Fig.9 洪水前後河床の相互相関値の分布(B区間)(単位10 3m2)

(6)

1xp (m) 800 600 400 200 0 ●   .   ● o o o o 2 〆 /△、、▽ o:first peak ●:second peak K190       K170       K150       Kl30      Kl10 トー2k・一叫    Fig. lo 洪水前後河床の相互相関値のピークの位置(B区間) きな砂州移動が生じたものと考えられる。  4.2砂州頂部移動距離の推定  沖積河川特に扇状地河川の河道の計画や管理にとっ ては砂州の移動に伴う河道内流路変動や水衝部の推定 は重要な課題である。砂州の移動については,本来流 れの3次元性や流砂の厳密な機構を考慮した解析が必 要であるが,断面平均の水理量を用いた簡潔な推定に も大きな工学的意義がある。ここでは,今回得られて いる資料に基づいて断面平均水理量による扱いの可能 性の検討も含めて単純な解析を試みる。ただし,年間 の水位(流量)の非定常性により遷移状態を含む砂州 全体の移動の把握には困難があるため,主として台風 洪水高水位時に生起した砂州頂部の移動について検討 してみる。  Fig.10はFig.9のように得られる河床相関値につ いて,代表的な断面(5km)毎に求まる相関値の第1 位,第2位のピーク位置(流れ方向のみ,1。p)を示し たものである。1。pのうち小さい距離のものを採り,前 述の考察から高水位での砂州頂部の移動距離(D.)と すれば,D.は100∼500mを示す。  一方,砂州の変形を無視し,よく用いられるFig.11 のような波高(H)一定の2次元砂州の定常移動を考 える。単位幅当りの掃流砂量qBが砂州下流側斜面に すべて推積するとすれば,砂州移動速度をWとして 次式(4)が成立する。 ,’

      門

      ⊂≒>qB        , ヘ       ザ      .N      ノ       ’s     ノ ノ       ロ         ’N  ,’−   H      、、 ’       、 Fig.112次元モデル砂州の定常移動 _r:_s

w一 E一( 11−A)H卯   (4)

ここに,Aは河床(砂州)の空隙率である。  掃流砂の全量が砂州下流斜面に堆積せず,ある比率 の掃流砂のみが砂州の移動に関係すると考えるのがよ り妥当であるが,ここでは仮にその比率を1.0として おく。qBには比較的高い掃流力時に用いられ浮流砂も 含むBrownの式(5)を適用する。

嘉一・・z*・−1・(緩)2  −(5)

ここに,τ、は無次元掃流力,u,は摩擦速度, sは砂れ きの水中比重,gは重力加速度, dは砂れきの粒径であ る。dには,水際部粒径資料に基づいていること,掃流 力についての区間全体の縦断方向分布との検証が妥当 であることを考慮してd3。を用い,一様粒径として扱 う。  式(4)を砂州頂部が水没する時間(ti∼t2)で積分し, 準定常流の仮定のもとで式(5)を代入すれば,砂州頂部 の移動距離(推定値DB,E)として式(6)を得る。 D・,E− i1一λ是、・9・4∫、㌦・dt (6)  u、(t)には一次元河床変動計算により洪水中刻々求 まる値を用いる。また,積分区間ti, t2については,実 際の計算では2回の台風洪水中で砂州頂部の水没水位 に対応する流量(約1000m3/s)以上の時間に分割して 考えている。  Fig.12は,河床資料からFig.10のようにして得ら れた砂州頂部移動距離(D.)と式(6)による推定値( DB,E)とを各代表断面についてプロットしたものであ る。K120以下の断面(△印3断面)では全体の傾向か ら逸脱しており,これは区間下流部での河幅の減少や 河道の曲がりなど上中流部との河道特性の違いによる

(7)

DB.。bs (m) 500 100    /  〆/  / /功’ / o /● o/o 500    1000   2000  / ∠11  Kl90 − 175  K170  145 メプ K140 − 125  K120 − 110 DB,E (m) Fig.12 砂州頂部移動距離の推定(B区間) ものと考えられる。しかしながら,K125以上の区間で は多少のバラツキはあるもののD.とDB,Eとの比例 関係が認められる。両者のオーダーの違いは,先に用 いたqBのうち一定比率(Fig.12からはo.15)の流砂の みが砂州の移動に関与すると考えれば解消することに なる。Fig.12の比較的明瞭な関係は実河川での砂州の 移動量に対して一次元的な解析による推定の可能性を 示している。この結果は,今回対象とした河道・流量 条件のもとでのものであり,その一般性には多くの議 論が残されるが,ほぼ一様幅直線河道に限れば,今後 は断面平均水理量に集約された砂州移動理論の展開も 有効と考えられる。

5.おわりに

 河床定期測量資料と昭和58年部分区間調査結果と の比較に基づいて,釜無川における河床変動強度,砂 州頂部の移動などに注目して中規模河床変動特性につ いて考察した。砂州の変形・遷移状態を含むより広い 議論のためには,扇状地河川特有の水位(流量)の非 定常性を考慮した更に多くの検討が必要である。実際 現象の観察と資料の収集および解析を今後も進めてゆ きたいと考えている。  本研究で明らかになった点,結論的に得られた事項 を要約すれば以下のようである。  (1)昭和57年の台風洪水により釜無川対象区間で   は最大0.5m程度の平均河床の上昇が生じ,新た   な砂州の形成がみられた。  (2)横断方向の河床の変化(統計的な砂州波高)は    河幅の増大と共に低下する傾向にある。   (3)対象区間内の一部で見出された砂州波長は約    900m,対河幅比(1./B)=2.2程度であった。   (4)洪水中に移動した不規則な砂州の移動距離の検    出には洪水前後河床の2次元相互相間が有効であ    り,対象区間で砂州頂部移動距離として100∼500    mが得られた。  (5)一様幅直線河道区間に限れば,断面平均水理量   を用いた一次元的な解析による砂州の移動量の推   定が可能のようである。  最後に,貴重な河床測量資料を提供された建設省甲 府工事事務所並びに資料整理に協力された当時学生の 桑原浩徳氏(富士屋建設),杉江叔之氏(桜田機械工業) の両氏に深甚なる謝意を表します。なお,本研究の一 部は昭和58,59年度文部省科学研究費(自然災害特別 研究)の補助を受けて行われたことを付記する。

参考文献

1)たとえば,Leopold, LB. and Wolman, M.G.:River chan−  nel patterns−braided, meandering and straight, U.S.GS.  Prof. Paper,282−B,1957. 2)たとえば,木下良作:石狩川河道変遷調査,科学技術庁資源  局資料,No. 36,1961年. 3)土木学会水理委員会研究小委員会(研究代表者;芦田和  男):洪水流の三次元流況と流路形態に関する研究,1982年  3月. 4)砂田憲吾:釜無川(富士川)における一洪水による河床変動  について,第39回土木学会年次講演会概要集,II, pp. 441−  442,1984年10月. 5)砂田憲吾:釜無川(富士川)における一洪水による河床変動,  土木学会論文集,No.363/II−4, pp.235−243,1985年11月. 6)木下良作:大井川牛尾狭窄部開削の影響に関する「砂レキ堆  相似による模型実験」,建設省中部地建静岡河川工事事務所  資料,1980年8月. 7)西谷隆亘・吉野文雄・牧野立平:洪水による河床変動につい  ての実験的研究,法政大学工学部研究集報,No.9, pp.29−51,  1973年2月. 8)石川忠晴:移動床水理模型実験による黒部川洪水流況の把  握,第27回水理講演会論文集,pp.753−760,1983年2月. 9)芦田和男:富士川の河床変動に関する研究,京都大学防災研  究所年報,第11号B,pp.311−326,1968年3月. 10)福岡捷二・内島邦秀・山坂昌成・早川 博:交互砂州上の流  砂量分布,第27回水理講演会論文集,pp.697−703,1983年  2月. 11)木下良作:航空写真による洪水流解析の現状と今後の課題,   土木学会論文集,No.345/II−1, pp.1−19,1984年5月.

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