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PVDF/PMMAブレンド高分子膜の電界配向処理による光高調波発生 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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論 文

PVDF/PMMAブレンド高分子膜の電界配向処理による光高調波発生

高坂岳 鈴木隆 田中章 武藤真三

Second Harmonic Generation in Poled

PVDF/PMMA Blend Polymer Films

TakeshiKOHSAKA TakashiSUZUKI AkiraTANAKA ShinzoMUTO

      Abstract   Polymer alloys of poly(vinylidene fluoride)(PVDF)and poly(methyl methacrylate) (PMMA)with a PVDF composition around 70 wt%, in which theβ一phase PVDF tends to crystallize, have good transparency. When a dc high electric field was applied to those films at about glass−transition temperature of the PMMA, they showed optical nonlinearity with the effective d−coefficient of O.14 d、、(quartz). Similar SHG(Second−harmonic generatin)property was obtained even in the PVDF/PMMA blend polymer films poled during their polymerization by the UV light irradiation. These SHG activities were stable for long term. 1.はじめに  ポリフッ化ビニリデン(PVDF)あるいはそれとトリ フルオロエチレン(TrFE)との共重合体などは極性基 の大きいC−F結合を持つため,ポーリング処理によっ て圧電性や光学非線形性が誘起できる高分子として知 られ,薄膜スピーカーや光ファイバ位相器あるいは光 第二高調波発生(Second Harmonic Generation: SHG)などへの応用1∼3が注目されている.しかし,こ のSHGを含めた光機能素子応用の場合,低屈折率で 透明性に劣ることがこれらの応用範囲を制限する要因 となっている.この点を改善するため,田中らは最近,

透明性に非常に優れたポリメタクリル酸メチル

(PMMA)をPVDFにブレンドしたPVDF/PMMA

ポリマーアロイ膜の作成を試み,PVDFの重量比率が 70%付近のときにβ結晶の発現による透明で熱安定 *電子情報工学科,Department of Electrical Engineer−  ing and Computer Science ** ッ研究生 ***x士通株式会社機構部品事業部 性に優れた光学用ポリマー材料となることを示した. その結果,このポリマーアロイの光ファイバやCDな どへの応用も可能になっている4).しかし,今後その応 用範囲をさらに拡大するためには,上述のような線形 光学特性以外の機能性の付与も必要となってくる.  そこで本論文では,このPVDF/PMMAポリマーア ロイ膜にポーリソグ処理を施したときの光学非線形 性,特にSHGについて検討を加えた. PVDFとその誘 導体あるいはTrEFとの共重合体など対するこの種 の研究は既に多くの報告1∼3)があるが,これらより高透

明なPVDF/PMMAポリマーアロイの光学非線形特

性の研究は本論文が初めてであり,その結果はポリ マーアロイの光応用に有用な資料を与えるものと期待 される.本論文ではさらに,熱的安定性に欠ける非線 形材料をブレンドしたポリマーのポーリング方法を探 るため,PVDFをモノマーであるメタクリル酸メチル (MMA)に混合した試料の紫外線重合時に電界を印 加するという低温ポーリング法を提案し,それによっ

て得られるPVDF/PMMAブレンドポリマー膜の

SHGについても実験を行っている.

(2)

 上述のようなブレンドポリマーはプラスチックファ イバのクラッド材としても有効であるため4),本研究 の結果は非線形ファイバ作成の可能性をも与えると考 えられるので,その詳細についてここに報告する. 2.実験

 作成したPVDF/PMMAポリマーアロイ(膜厚約

140μm)のブレンド比率に対する光線透過率の関係を 図1に示す.同図より明らかだが,PVDFの重量比が 80%以下の領域では光線透過率がPMMA単体と同程 度に良好となった.これは,PMMA(屈折率nd=1.49) の混合によってPVDFの結晶粒塊(屈折率nd=1.48) や非晶領域(屈折率nd;1.37)の大きさが可視光の波 長より小さくなり,レィリー散乱が減少したためと考 えられる4).図2にはこれらの膜の屈折率をアッベ屈 折計を用いて測定した結果が示してある.屈折率はブ レンド比率に対して直線的に変化していることがわか る.これらの結果と,ブレンドポリマー中でPVDFの 重量比が70∼80%のときβ型結晶構造をとる傾向が ある5)という点を考慮して,ここではPVDFの重量比 80%のPVDF/PMMAポリマーアロイ膜を用いた.  このポリマーアロイ膜を図3のように電極間隔2 mmの針一平板電極間に挿入し, PMMAのガラス転 移温度付近の80℃まで加熱して5kVの直流電圧を印 加した.その後,直流高電圧を印加したままの状態で 室温まで徐冷した.ここで平行平板電極ではなく,図 100  

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        PVDF composition(wt%) 図1 PVDF/PMMAポリマーアロイ膜のPVDF重量比に    対する光線透過率 Fig.1Luminous transmittance of PVDF/PMMA blend   polymer as a function of PVDF composition 1.55

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,t 庄 1.40 0 PVDF/PMMA btend potymer     λ=532nm

λム.

     50        100 PVDF composition(wt.°/。) 図2 PVDF/PMMAポリマーアロイの屈折率のブレンド    比率依存性 Fig.2Refractive indeces of PVDF/PMMA polymer    alloy as a function of PVDF composition. Sompしe fiしm

   \

DC high vottage

HeGter

図3 PVDF/PMMAブレンド膜のポーリング装置 Fig.3Schematic apparatus for obtaining the poled    PVDF/PMMA blend polymer films. 3のような配置を用いたのは,針電極によるコロナ発 生がポーリングにより有効といわれるためである.し かし,そのメカニズムについては実際のところよく分 かってはいない.  図4にはこのようなポーリング処理の有無によるX 線回折パターンの違いを示した.印加電圧V=0でも PVDF(110)面ピークに相当するθ=21°付近のピーク が見えているが,これはランダム配向のPVDF微結晶 粒塊による粉末X線回折パターンと同等の効果(種々

(3)

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20     40    2θ(deg.)

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図4 ポーリング処理の有無によるPVDF/PMMAブレン    ド膜のX線回折パターン Fig.4X−ray diffraction patterns of PVDF/PMMA    blend polymer films with and without poling.       Pass Filter

鰭/S

P.T. Sample     Pass Filter F、、、er/1.M

C.R.O. 図5 SHGの実験系 Fig.5Experimental setup for measuring SHG Maker’s    fringe. のピークが現れるが,その中で(110)ピークが相対的 に大きい)が現れたもので,ポーリング処理した膜に おけるそのピークの増大は配向性が高まったことを示 すものと言える.  このような方法でポーリング処理した試料を図5の

実験系の回転台に取り付け,QスイッチNd:YAG

レーザ光(波長λ=1064nm,1MW)を基本波とす

るMakerフリンジ法6)でそのSHG特性(λsHG=532 nm)を測定した.その際の標準試料としては(011)面 でカットした厚さL=2.585mmの水晶板を用い,そ の光学非線形係数d11に基づくSHG特性(x軸を回転

1芦裡

PMMA−PVDF(20:80)  L∼140J.lm ●ExperirnentaL −theoreticol

瀬∼⑭締}鯨

      灯  0       \こ     一50      50       Rototing angte θ(deg.} 図6 ポーリング処理したPVDF/PMMA(80:20)ポリ    マーアロイ膜におけるSHGのMakerプリソジ Fig.6SHG fringe of postpoled PVDF/PMMA(80:20)    blend polymer film.      Apptied etectric field(MVIm)    0      10      20 90・1

)d °PVDFIPMMA鰐;

… §°°5 雲 毛 £ 山 0 30

 2       4 ApPし|ed vottage(kV) 6 図7 PVDF/PMMA(80:20)ポリマーアロイ膜における    実効光学非線形係数のポーリング電圧依存性 Fig.7Effective d−coefficient of poled PVDF/PMMA    polymer alloy as a function of the applied vOlt・    age. 軸とするSHGのMakerフリンジの測定)との比較か

らPVDF/PMMAポリマーアロイ膜の光学非線形係

数の実効的な値deffを求めた7).

 図6に測定したSHG強度の角度依存性(基本波

レーザ光ビームの試料膜面に対する入射角をθとす る)を示す.同図中の実線の曲線は実験値によく対応 するKurtzの式6)による計算値を示したものである. この試料と水晶板における包絡線(点線の曲線)のθ= 0でのSHG強度とコヒーレンス長(1,=λ/4(n 2。−n ω),但し,nω, n2.は各々基本波と第二高調波での屈 折率.実験では水晶板で1。=21.0μm,ポリマーアロイ

(4)

膜で1、=29.5μmとなった)の値から,deff=0.065

pm/Vが得られた.この値はポーリング処理した

PVDF単独膜における光学非線形係数d、、の約1/4 と小さいが8),その理由は,PMMAとのブレンドポリ マーであり,かつ,ポーリング電界強度も低かったた めで,電界強度を上げれぽある程度増加すると考えら れる.  ちなみに,図7はポーリング電圧を5kVまでの範 囲で変化させたときの各試料における実効光学非線形 係数d。ffの測定値であり,deffはポーリング電界強度に 比例的に増加する傾向を示した.

 図8はこのようなPVDF/PMMAポリマーアロイ

膜におけるSHG強度の経時変化を測定した結果であ の等方性液体に戻ってしまう.そこで,このDC−SHG 法における配向効果を利用しながら固化する方法(低 温ポーリング法と呼ぶことにする)を提案し,その実 験的検討を試みてみた.ここでは,その1例として,

PVDFをメタクリル酸メチル(MMA)に混合し,そ

れを紫外線重合する際に電界を印加するという方法で PVDF/PMMAブレソドポリマー膜を作成し,かつ,

そのSHG特性の測定を行った.すなわち,図3の針

一平板電極間にPVDF:MMA=60:40の液膜を張

り,電界を印加しながら紫外線重合させた.その結果 得られたブレンドポリマー膜(膜厚L∼165μm)は白 濁して光線透過率は55∼60%に低下したが,図9に示 すように,PVDFの重量比60%のときでも図6と同程

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50 100

図8 PVDF/PMMA(80:20)ポリマーアロイ膜における   SHGの経時変化 Fig.8Time dependence of the SHG intensity in PVDF/   PMMA(80:20)blend polymer film after poling. る.同図より明かだが,室温での配向緩和によるSHG の減少割合は小さい.この結果も,このブレンド系が 分子状に相溶した熱安定性に優れた材料であることを 示すものといえる.  ところで,上述のように,高分子などをホスト材料 としてゲスト材料である非線形材料をブレンドして配 向処理する場合,ホスト材料のガラス転移温度まで昇 温させる必要があることから,ゲスト材料によっては 熱分解の恐れが出てくる.このような熱的に不安定な 非線形材料の評価に対してはDC−SHG法と呼ぼれる 方法がよく用いられている9).これは,非線形材料を溶 媒に溶かし,それを透明電極を付けた光学セルに入れ て液体状態で電界配向させる方法である.しかし,こ の方法だと当然のことながら,電界印加を止めると元

PMMA−PVDF(40:60)  L・v165pm ● Experirnentat 一丁heoreticat

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    −50      0       50       Rσtating angte θ(deg・) 図9 PVDF/PMMA(60:40)ブレンドポリマー膜におけ    るSHGのMakerフリンジ Fig.9SHG fringe of PVDF/PMMA(60:40)blend film   poled during Polymerization. 度のSHGが観測された.試料中の散乱損を無視して 実効光学非線形係数を計算すると,d。ff=0.12 d、、(水 晶)=0.055pm/Vとなり,これは先のポリマーアロイ 膜の結果に近い. 3.むすび

 PVDFの重量比が70%付近のPVDF/PMMAポリ

マーアロイは高透明で光学的熱安定性が優れたフィル ム材料となるが,これをポーリング処理するとSHG 活性となり,d,ff=0.14 d、、(水晶)程度の光学非線形

係数が容易に得られることを示した.また,この

PVDF/PMMAブレンドポリマー系を例にとって,紫

外線重合時の低温ポーリング法でも同様な効果が得ら れることを示した.これらの結果は,ブレンド高分子 の光機能性をさらに高める可能性を与えたものといえ る1°).例えぽ,本材料はプラスチックファイバのクラッ ド材としても有効4)であることから,これをポーリン

(5)

グ処理すると非線形プラスチックファイ・ミの作成につ ながると考えられる.このようなブレンド材の双方の 特徴を生かした新しいブレンドポリマーの探求と光学 応用についての検討を今後さらに進めたい. 参考文献 1)Sessler G. M. and West J. E.:“Foil Electrets  and Their Usein Condenser Microphones”, J.  Electrochem. Soc.,115, pp.836−841(1968). 2)Jarzynski J.:‘‘Frequency response of a single  mode optical fiber phase modulator utilizing a  piezoelectric plastic jacket”, J. ApPl. Phys.,55,  No.9, pp.3243−3250(1984). 3)Kubono A., Kitoh T., Kajikawa K., Umemoto  S.,Takezoe H. and Fukuda A.: “Second−  Harmonic Generation in Poly(vinylidene fluo−  ride)Films Prepared by Vapor Deposition under  an Electric Field”, JPn. J. ApPl. Phys.,31, Part 2,  No.8B, pp. L1195−L1197(1992). 4)田中 章,小島雄次,沢田寿史:“ポリフッ化ビ  ニリデン/ポリメチルメタクリレートポリマーアロ  イの光学材料への適用”,高分子論文集,47,No.4,  pp.347−351 (1990). 5)堀邊英夫,馬場文明,江藤昌平:“PVDF/PMMA  ブレンド系の紫外線透過特性と相溶性”,Polymer  Prepr. Jpn.,38, No.10, pp.3533−3535(1989). 6)ed. Arecchi F. T. and Schulz−Dubois E.0.:  “Laser Hanbook”, Part D by Kurtz S. K., Chap.  D1, pp.923−936, North−Holl and Publishin  Campany(1972). 7)鈴木隆,高坂岳,武藤真三,田中 章:“PVDF/  PMMAポリマーアロイ膜のポーリング処理による  光第二高調波発生”,1994年電子情報通信学会春季全  国大会予講集,C−315. 8)McFee J. H., Bergman J. G. and Crane G. R.,:  “Pyroelectric and Nonlinear Optical Properties of  Poled Polyvinylidene−fluoride Filrns”, IEEE  Trans. Sonics&Ultrasonics, SU−19, pp.305−313  (1972). 9)日本化学会編(実験化学講座12):“物質の機能性”  (丸善,1993)Chap.3.pp.161−166. 10)鈴木隆,高坂岳,田中章,武藤真三:“PVDF/  PMMAブレンドポリマーにおける光第二高調波発  生”,電子情報通信学会論文誌C−1,77−・C−1,No.  10(1994)掲載予定.

参照

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