サービス品質の測定尺度に関する実証研究 : SERVQUALの再検討
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(2) 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). 40 (632). ビス品質の評価が,事前,最中,事後のすべて. は,5 次元 22 項目 か ら な る と い う 点 で あ る.. のプロセスで起こる長期的な評価であるのに対. Parasuraman, Zeithaml, & Berry(1985)で 特. して,満足はサービスを体験した後の短期的な. 定した 10 次元 97 項目から精緻化を進め,最終. 感覚である.また阿部(2002)は,満足が成果. 的 に 有形性(tangibles:物理的 な 施設,設備. あるいは期待と成果のズレの認知そのものであ. や従業員の外見),信頼性(reliability:約束さ. るよりも,その認知によって引き起こされる感. れたサービスを正確に遂行する能力),反応性. 情的要素の強い心的反応であるのに対して,品. (responsiveness:顧客 を 進 ん で 助 け,迅速 な. 質評価は,認知的であるとともに感情的側面を. サービスを提供する意向),保証性(assurance:. 含んではいるがどこまでも評価であって,評価. 従業員の知識や丁寧さ,顧客に信用や信頼を与. に対する反応ではない,とその違いを述べてい. える能力),共感性(empathy:顧客に対する. る.. 気遣いや個人に合わせた配慮)という 5 次元に. しかし,仮に概念上の違いは明白であれ,実. 集約された.第 3 点目は,特定のサービスを対. 際の計測ではその差が明らかでないという指摘. 象としているわけではない点である.すなわち,. も あ る.例 え ば,Taylor & Cronin(1994)の. サービスエンカウンターの問題には業種を越え. 実証研究で報告されているように,サービス品. た共通項が多いことに注目して作られたもので. 質と顧客満足は,一方向の因果関係ではなく相. (須賀 2003),サービ ス の 業種横断的 な,い わ. 互の因果関係が有意な結果となっている.また,. ば一般化を目指して構築された手法である.. サービス品質と満足の間の関係を考えると,短 期的な満足と長期的な品質評価との関係を問. 2.SERVQUAL の適用. うならば,満足が品質評価の規定要因となるで. SERVQUAL は概念の検討が不十分な点が見. あろうし,長期的な満足と短期的な品質評価の. られるものの,それでもサービスの質として納. 場合にはその逆の関係となるであろう.さらに. 得できる特性を定量的に測定できる点が評価. 品質評価であっても,購買前の品質評価と購買. されて,これまでさまざまな業種において研. 後の品質評価とではかなりの違いがある(阿部. 究され,適用が試みられてきた.例えば,病. 2002) .. 院( Reidenbach & Sandifer-Smallwood 1990;. 以上見てきたように,サービス品質と顧客満. Babakus & Mangold 1992; Headley & Miller. 足は異なる概念であるが非常に密接した概念で. 1993; 冨田 2003),図書館(Cook & Thompson. もあり,実際に多くの研究の中で区別されずに. 2000; 佐 藤・ 永 田 2003), 公 共 体 育 館(中 西. 使われている.このような現状を踏まえ,本稿. 1995),ホ テ ル(Knutson et al. 1992; 松尾・奥. では特に「次元」の問題を考える際,サービス. 瀬・プ ラート 2001)な ど が あ る し,Carman. 品質の測定尺度のみならず,満足研究で用いら. (1990)で は,歯科・職業紹介所・タ イ ヤ 専門. れた尺度項目も積極的に検討の対象とする. Ⅲ.SERVQUAL. 店が,Mels, Boshoff, & Nel(1997)では,銀行・ 保険ブローカー・車の修理・電化製品の修理・ 生命保険会社がそれぞれ研究の対象とされた.. 1.SERVQUAL の特性. Parasuraman らは,22 項目は省略すべきで. SERVQUAL は次の 3 点で特徴付けられる.. はなく,新たな項目を追加して実施する場合. 第 1 点目は,サービス品質を「顧客の期待と知. は,結果の分析は 22 項目とは別に行うべきだ. 覚した成果との差」と捉えたことであり,こ. と述べており,SERVQUAL を修正して用いる. れは後述するように知覚成果のみでサービス. ことに対して否定的である(須賀 2003).しか. 品質を捉える考え方と比較される.第 2 点目. し,これらの応用研究では,SERVQUAL を修.
(3) サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村). (633). 41. 正の必要なく実用できるとしたものはほとん. スに合わせて新しい項目を追加したり,項目の. ど見られず,多かれ少なかれ修正の必要性が. ワーディングを変更したりしなければならない. 述べられている.実際,次元や項目をかなり. 点.第 2 に 5 つの次元の不安定性.そして第 3. 修正して実施された例が非常に多く,例えば,. に,差異得点による測定である.また山本(1999). Reidenbach & Sandifer-Smallwood( 1990)で. は次元の不安定さ,期待値の意味の多様性,他. は 7 次 元 39 項目,佐藤・永田(2003)で は 7. の構成概念(特に満足度)との関係そして理想. 次元 34 項目,Knutson et al.(1992)で は 5 次. 点を考慮していない点の計 4 点を問題点として. 元 26 項目,冨田(2003)では 8 次元 13 項目が. あげている.これらの先行研究のサーベイから. 用いられている.. も明らかなように,期待に関する問題と次元に 関 す る 問題 と が SERVQUAL の 主要 な 問題点. 3.SERVQUAL の問題点. といえる.. 様々なサービスに共通する部分に焦点を当. ① 「期待」に関する問題点. て,よ り 一般化 を 図った 点 は SERVQUAL の. 期待に関する主な問題点は,期待がどのよう. 優れた点であるわけだが,それは同時に負の側. なレベルのものかということと,そもそも品質. 面を持っていることも否定できない.つまり業. の測定に期待を測定する必要があるのか,とい. 種 を 限定 し な い SERVQUAL で は,ど の 業種. う 2 点である.. にも適用できるような抽象度の高い表現を用い. 第 1 点目の期待のレベルであるが,人々は期. ざるをえなかったと考えられ,ゆえに,個々. 待という概念に対して,製品,個人,状況によっ. の業種に特化して考えれば具体性に欠ける表. て,自分なりの解釈をしている.消費者がどの. 現も多いだろうし,その業種にとってサービ. レベルの期待を使って顧客満足を判断するか. スの重要な質であると考えられている事項が. は,現在のところ解明できていない問題である. SERVQUAL の次元や項目に反映されていない. (宋 2005).近藤(1999)は 日本 の 鉄道 サービ. こともあるだろうということである.したがっ. スを例にとり,予定時刻どおりの到着(理想的. て,特定の業種に限定してサービスの質を明ら. 水準),1 ∼ 2 分遅れでの到着(望ましい水準),. かにしようとするとき,SERVQUAL では不十. 10 分遅れでの到着(我慢できる水準),10 分以. 分という結論が出てくるのは当然である(須賀. 上遅れての到着(受け入れられない水準)と期. 2003) .結果,SERVQUAL をそのまま応用し. 待を 4 つのレベルにわけて説明している.. た研究は少なく,サービスの領域に合わせて次. 1988 年 の SERVQUAL は 期 待 を「 should」. 元や項目を改変した例が多い.. を用いて表しているため,理想的水準に近い. SERVQUAL に関するさまざまな批判は次の. ものであったといえる.しかし,1991 年の論. ような形でまとめられている.松尾・奥瀬・プ. 文( Parasuraman, Berry, & Zeithaml 1991 ). ラート(2001)によれば批判は次の 2 点,すな. では「should」から「would」へ表現を変更し. わち第 1 に,知覚されたサービス品質2)と期待. ているから,求めている期待としては理想的水. のギャップをスコア化するという操作の妥当性. 準では高すぎたようである.1991 年に望まし. の問題であり,第 2 に,SERVQUAL において. い水準に変更されたが,1994 年にはさらに期. 仮定されているサービス品質の次元に関する問. 待に関する変更を行っている(Parasuraman,. 題である,とされている.中西(1995)は次の. Zeithaml, & Berry 1994).それまでは期待を 1. 3 点にまとめている.第 1 に SERVQUAL があ. つで捉えてきたが,この変更では望ましい水準. らゆるサービスに適用できる一般化された測定. と我慢できる水準の 2 点で捉えることを提案し. 尺度であるにもかかわらず,対象となるサービ. ている.英語による表現の差が回答者にどの程.
(4) 42 (634). 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). 度理解され区別されているのかわからないが,. の結果をサービス品質と定義したときから混同. 少なくとも日本語においてはその違いをうまく. されるようになっている.SERVQUAL 尺度に. 表現することは非常に困難である. 「病院は∼. よるサービス品質の測定では,測定される対象. すべきである」 (理想的水準)と「優れた病院. は期待と知覚の差異=満足度概念であるが,測. は∼するだろう」 (望ましい水準)というのが. 定結果はサービス品質とされている.. 直訳に近いものであるが,並べてみてはじめて. ま た,Cronin & Taylor(1992)は 知覚 し た. その差を感じるぐらいで,ほとんどの回答者は. 成果 の 得点 の み を 用 い る SERVPERF を 提案. 影響を受けていない可能性が高い.また,より. し,4 つのサービス産業(害虫駆除,ドライク. 忠実に質問票を作るためにこの 2 点をできるだ. リーニング,ファストフード,銀行)において. け細かく丁寧にわけようとすれば,質問票の文. SERVQUAL と の 比較 の 結果,SERVPERF の. が硬くなり,敷居が高く感じられてしまうかも. 方が優れていることを示した.さらに,差をと. しれない.その点で 1994 年の変更のときに 3. ること自体に問題があるという指摘もなされて. つの質問票の形式について提案されているが,. いる(Brown, Churchill, & Peter 1993) .差の. 比較して回答できるように期待と知覚された成. 測定方法が一致していないこと,本来ならば製. 果を並べて提示する形式は回答者の負担を減ら. 品の消費以前に測定されるべき期待が,実際に. し,より真実に近い回答を引き出すことができ. は経済的理由などにより事後に測定されること. るのではないだろうか.いずれにせよ,本稿で. が多く,そのために認知的不協和などによって. はこの問題については扱わず,むしろ次にあげ. 事前期待が歪められる可能性があることから,. る問題に焦点をあてたい.. 最近 で は「期待」や「不一致」よ り も,「知覚. 期待 に 関 す る 2 つ 目 の 問題 と は,知覚品質. された製品のパフォーマンス」の方がモデル全. を測定する際に,期待は本当に必要なのかと. 体の適合度が高まること,満足に直接的に影響. いう点である.SERVQUAL で定義されたサー. を及ぼすことが報告されている(西尾 1995).. ビス品質は期待と知覚成果との不一致であり,. 山本(1999)によれば,ある程度安定した期待. こ れ は 満足研究 の 主流 で あ る,期待─不一致. 値が想定できるなら,SERVPERF のような事. パラダイムとほぼ同じであるため,満足と品. 後評価と顧客満足の測定などで顧客維持が図れ. 質は異なる概念であるのに違いが表せていな. るし,品質管理のためにはより詳細な知覚品質. い の で はないかと指摘されている.た だ し,. の測定を行うことでサービス品質を測定したほ. Parasuraman, Zeithaml, & Berry(1988)は 顧. うが,マネジメントへのフィードバックも容易. 客満足で使用される期待とは異なることを強. であることが指摘されている.. 調している.顧客満足における期待とは消費. ② 「次元」に関する問題点. 者による予測(prediction)であるのに対し,. サービス品質の次元の不安定さについても多. SERVQUAL における期待では消費者が事前に. くの批判がなされてきた.SERVQUAL を実施. 抱くあるべき一定の水準,基準としての期待. し た 探索的 な 研究 の 結果,Parasuraman ら に. (normative expectation)が 意図 さ れ て い る.. よって提示されてきた 5 次元になるものはほと. しかし 1991 年の変更により SERVQUAL の示. んどなく,多かれ少なかれ次元が統合されたり,. す期待も変更され,概念的には以前よりもさら. 項目と次元が組み替えられたり,新たな次元が. に満足に近づいたため,引き続き満足概念との. 加えられたりしている.Carman(1990)が指. 違いを明確に打ち出せていない点が批判されて. 摘するように,サービス品質の次元はサービス. いる.また村上(1995)では,次のように述べ. の種類によって異なるという考え方もあるが,. ら れ て い る.Gap Model は 期待 の 不一致効果. 本稿では Parasuraman らの主張のように,サー.
(5) サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村). (635). 43. ビスの種類横断的な次元が存在するという前提. 視点 に 立った も の で あ る.客観的 か 主観的 か. に立ち,SERVQUAL の 5 次元をもとに,次元. は別にしても,技術という次元を肯定してい. の追加の可能性を探る.その際,実用性という. る点ではこれまでの議論を後押しするもので. 観点から医療分野における患者満足度の調査・. あろう.医療の質の議論の中で最も一般的に. 研究について検討を行う.医療分野では消費者. 用いられている Donabedian(1980)の分類に. 行動研究とは異なり尺度の一般化よりも,より. も「技術的要素」がある.図書館のサービスに. 実用性を求められた尺度が用いられているから. SERVQUAL を適用した佐藤・永田(2003)で. である.. も,SERVQUAL は主に機能品質を対象として. 堀(2005)は,長谷川(2000)3)の データ を. おり,技術品質についてほとんど考慮されてい. 用いて分析しなおした結果,外来患者に対する. ない点が指摘されている.. 満足を測定すると, 「医師の能力と技術の高さ」 「症状の軽快」が重要であったことを報告して. Ⅳ.モデルの構築と仮説の設定. い る.ま た 長谷川・杉田(1993)で は, 「医師. 1.「期待」について. の技術と能力の高さ」が最も強く総合評価に影. 満 足 研 究 で は 財 の 3 分 類4 )( Nelson 1970;. 響を与えていた.大和田・郡司・今中(1995). Darby & Karni 1973)の 違 い を 考慮 し て,次. の 結果 も 同様 で「医療技術」と「健康回復感」. のような指摘がなされている.期待と成果のい. が総合評価に最も影響を与える 2 大項目であっ. ずれがより大きな影響を持つかという点に関し. た.この 2 項目を含んだ,あるいは一方を含ん. ては,経験財の場合,成果がより大きな影響を. だ 調査 は 非常 に 多 い(田久 1994;長谷川・杉. 持つであろうし,探索財や信用財の場合には期. 田 1993;大和田他 1995;今井他 2000) .一方. 待の影響が強くなることが考えられる.同化・. で SERVQUAL に こ れ ら の 項目 は な い.正確. 対比理論的な視点から考えれば期待の役割は同. に言うと 1985 年にサービス品質の構成次元と. 化効果であり,対比の役割は成果に関連してい. し て 能力(competence)が あった の だ が,尺. ることになる(阿部 2004).この考え方を利用. 度の精緻化の過程でその他の次元に吸収され,. すると,サービス品質においても,探索財や信. 結局残っていない.SERVQUAL にあわせてこ. 用財は期待の影響が強くなる可能性が高い.先. の 2 項目をより一般的に考えてみると, 「医療. に示したように,Cronin & Taylor(1992)で. 者 の 技術」は「 (専門的な)技術」となる.信. SERVQUAL と SERVPERF の比較が行われた. 用財にあたると考えられるもの(医療,教育,. のは,害虫駆除,ドライクリーニング,ファス. 法律相談,自動車の修理)はいうまでもなく,. トフード,銀行であり,信用財が含まれていな. 例えばレストランでの食事の場合でも,料理が. い.したがって,信用財について SERVQUAL. おいしいか見た目がきれいかどうかは料理人の. と SERVPERF を比較したとき,もしこの指摘. 技術であろう.しかし「健康回復感」にあたる. が正しいならば,SERVQUAL の方がよいモデ. ものは特定的で漠然としている.. ルとなるはずである.しかしその一方で患者満. サービス品質の分類では,Grönroos(1984). 足度調査のような満足の測定にあたっても,患. の分類でまさに「技術品質」がでてくる.ただ. 者の事前期待は考慮に入れられていないことが. し彼のいう「技術品質」は客観的な評価の可能. 多い.その理由は,一般のサービスと異なり,. な成果を指し,本稿で検討しているような技術. 医療の場合は,初診患者以外は患者サービスに. とは少し異なる.ここで検討している技術は客. 対する事前期待を測定するのが困難であると考. 観的である必要はなく,顧客(患者)にどのよ. えられるからである(田久 1994).したがって,. うに知覚されているかという SERVQUAL の. 次のように相反する仮説が立てられる..
(6) 44 (636). 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). � 1������ ���. ���. ����. ���. ���� �����. ����. ��. ����. ���. �� ��. ���. ���. ��� 図 1 仮説モデル. ���������� H1a:信用財 の 場合,SERVPERF(知覚 さ れ. 覚品質と満足のような近接した構成概念との関. た成果のみ)よりも SERVQUAL(知覚. 係について,因果関係に焦点を当てるものとそ. れらを合成したり平均したりして総合的な評価 された成果と期待の差)の方が,モデル ��������������������. の適合度が高い.. とみなすものの 2 タイプが多い.因果関係を捉. H1b:信 用 財 の 場 合 で も , S E R V Q U A L. えることができれば,もちろんより大きなイン. ��� 覚 さ れ た 成 果 と 期 待 の 差)よ り (知. プリケーションをもたらすだろう.しかし全体. SERVPERF(知覚 さ れ た 成果 の み)の. 満足 や 再利用意図 な ど の 構成概念 の 指標 は 特. 方が,モデルの適合度が高い.. 定されておらず,研究特定的な指標が用いられ. ���. たり,それぞれ単一の項目で測定されたりして. 2. 「次元」について. いる点は大きな問題であろう.よって本稿にお. 次 元 に 関 す る 問 題 点 で 述 べ た よ う に,. いては知覚品質の近接構成概念を,あえて構成. ��� SERVQUAL には技術的な要素が抜けている点. 概念ではなく総合評価の指標と捉えることにす. が指摘できる.したがって,次の仮説が立てら. る.. れる. H4:知覚品質は総合評価に正の影響を与える.. ���. H2:技術的な因子は知覚品質に正の影響を与 える. 先行研究では次のような指標が用いられてい. �� H3:技術的な項目を加えることで,SERVQUAL. のモデルの適合度は改善する.. る.長谷川・杉田(1993)では全体満足,再受 療意図,受療推薦度を測定し,それら 3 項目の 平均点を総合的満足度とした.また,医療機関. 3.仮説モデル �. の「優しさ」の評価は,医療機関の快適性・安. �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� 先行研究 で は �� SERVQUAL ら 得��� られた 全性・利便性・親近感 など を 総合的 に測 る上 �� �� �� �� �� �� �� �� � ��か�� ��知 �� �� �. �. �� �� �� �� �. �. �� �� �. �� �. �. �� �. �� �. ��. �� �. �� �.
(7) �������������������� ����������. ��������������������. ��������������������. ���������� ���. ��������������������. ���. ���������� ���. �������������������� ���������� ��� ���������� �������������������� サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村) ���. ��� ���������� ���. ��� ���. (637). 45. �������������������� � ������������������� ��������������������. � �. � �. ��� ��� ��� ��� ��� ���. � �. ��� ��� ��� ��� ��� ���. ��. ��� ���. �. ��� ��� ��� ��� ��� ��� ���. �� �� ��� �� �� ���. �� ��� ��� �� �� � ��. � �� �. � �. � � � � � � � � � � � �� �� � � � ���� �� �� �� � � �� � �� � ���� � � �� �� � �� � � �� � � � �� ���� �� �� �� � � ��� ��� � �� � ��� � ��� � � ����� ��� � � � � � �� � � �� ���� �� � � � � � � � � � � � � � �� � �� � � �� � � �� � � � �� � ��� � �� � �� � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � �� � � � ��� �� � � �� � � �� � � � � �� � � � � � � � � � � � ����� �� �� � � ��� � � � �� �� � � � �� �� �� � � � � � � � � � � � � �� � �. � �� � �� � � �� � � � ��. �� � � �� � � �� �� � � � �� � �� �� �� �� �� � � � �� ��� � �� �� � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � �� � �� � � � � ��� � � �� � � �� �� �� �� �� � � � � �� �図 2 予備調査の結果 � �� � � � � � � �� �� � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � �� � � � � � � � � � � � � � �� � � �� ��� ����������������������� �� � � � � � � �� �� � � � � � � � � � � � � �� � � � � � �� � � � � �� ��� � � � �� �� � � � � � ������� � � � � � � � � � � � � � � � � � �� � � � � � � に 予備調査 � 予備調査 を で,非常に重要な項目である(永井・山本・横 � � � � � � �� � � �� ��� � � � � 行った.次 � �� � � �� の 結果 �� め に � � � � � � � � � � � � � �� � � � � � � �� � � �� を � � に � �� � SERVQUAL � � � � � � � � 選 ば れ た 5 項目 の 22 項目 山� 2001)点が指摘されている.大和田・郡司・ � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � � ����������������������� � �� � �� � � � ��� ���� � � ���� �� � � � �� � � � �� � �� � ��� � � �� �� ン � � �� � � ス,再受 � イア 追加し,以下に示すような 今中(1995)で は,コ ン プラ ��� � �� 4 つのモデルを比 � ����������������������� �� ��� � �� � � � � � � � ����� � � � � �� � �� �� � ��� ���� ��� � � � � � � � � � � � � � �� � � � ������� � � � � � � �� � � � � � � � � � � ��デ ル�1 は � �� を,期待 � � � ��22 項目 5 次元 療・病院紹介希望,入院満足度をそれぞれ単独 � � � �� � 較� し た.モ � � � ������� � � � ���� �� �� � ��� ��� �� �� �� �� ��� � � ����������������������� � で用いているが,コンプライアンスは他の 2つ � � � � � と知覚成果との差で測定したものでオリジナ � � � � � � �� � � ル の SERVQUAL で あ る.モ デ ル 2 はオリジ と結果がかなり異なることが示された.松尾・ �������. � �� ��. � �. � �. �. � �. �. �. � ����������������������� ナ�ル の SERVQUAL に 5 項目 か ら な る「技術 ������� 性」次元 を 追加 し た も の で,6 次元 27 項目 全体満足,再利用意図を用いている.これらを ����������������������� 奥瀬・プラート (2001)では全体サービス品質, 踏まえ本稿では「全体品質」 「全体満足」 「再利. �������. �. である.これも期待と知覚成果の差で知覚品. �. 質 を 測定 し て い る.モ デ ル 3 は 5 次元 22 項 用意図」 「薦め」 「優しさ」の 5 つを用いる.本 �����������������������. ����������������������� 目であるが,差をとらず,知覚成果のみで測 稿で用いる仮説モデルは図 �������1 である.. ����������������������� ������� 定 し た も の で,Cronin & Taylor( 1992)が Ⅴ.実証研究 ������� 提案 し た SERVPERF に あ た る.モ デ ル 4 は. 1.調査の概要. SERVPERF に 5 項目からなる「技術性」次元. ま ず「技術」次元 の 測定項目 を 特定 す る た. を追加したもので,6 次元 27 項目である.. � �. � �.
(8) 46 (638). 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). 仮説モデルの形に合わせてこれら 4 つのモデ. 3.本調査. ルを共分散構造分析にかけ,その適合度指標の. ① 質問票. 値でモデルの優劣を比較し,仮説の検証を行っ. 質問票は 1991 年の SERVQUAL 修正版を基. た.仮説 1 では「期待と知覚成果の差で測定す. にした.形式は回答者の負担を減らすために逆. る (P−E) 」か,そ れ と も「知覚成果 の み で 測. 転項目は用いず,項目の順番は入れ替えなかっ. 定する (P) 」か,が焦点であり, 「技術性」の追. た.また期待と知覚成果を並べて提示する形式. 加のないモデル 1 とモデル 3 の比較,追加のあ. をとった.さらに医療サービスの品質測定に合. るモデル 2 とモデル 4 の比較が行われた.仮説. わせて言葉遣いを若干修正し,予備調査で得ら. 3 では「技術性の追加の有無」が焦点であるか. れた 5 項目を追加した.各項目は,「まったく. ら, 「期待 と 知覚成果 の 差 で 測定 す る (P−E) 」. そう思わない」から「強くそう思う」までの 7. モデル 1 とモデル 2 の比較, 「知覚成果のみで. 点尺度を用いた.総合評価の指標は,「全体品. 測定する (P) 」モデル 3 とモデル 4 の比較を行っ. 質」が「大変劣っている」から「大変優れてい. た.なお,これらの分析は統計ソフト SPSS14.0. る」の 7 点尺度,「全体満足」は「非常に不満」. と Amos5.0 を用いた.. から「非常に満足」の 7 点尺度,「再利用意図」 は今後その病院を「絶対に利用したくない」か. 2.予備調査. ら「是非利用 し た い」の 7 点尺度,「薦 め」は. ① 質問票. 「まったく紹介したくない」から「是非紹介し. 患者満足度の先行研究で用いられた質問項目. た い」の 7 点尺度,「優 し さ」は「まった く 感. を SERVQUAL に 照 ら し,SERVQUAL の 項. じない」から「とても感じる」の 7 点尺度で測. 目と重ならないものの中から, 「技術」を測定. 定した.. する指標になりうると考えられるものを選んだ. ② サンプリング. と こ ろ,14 項目 に なった.さ ら に 横浜国立大. 楽天リサーチのインターネット調査を 2005. 学の大学院生のゼミナールにおいて検討した結. 年 12 月 26,27 日 に 実施 し た.対象 は 楽天 リ. 果,さらに 2 項目を追加し合計 16 項目となっ. サーチ の モ ニ ター約 120 万人 の 中 か ら,ス ク. た.この中から医療者の技術が高いと感じる. リーニングされた 1 万人(半年以内に医療機関. 時としてあてはまるものを 3 項目ずつ選んでも. を利用したか,現在通院中である人)で,その. らった.予備調査の結果,度数が 100 以上の 5. うち 400 サンプルが集まるまで続けられた.た. 項目を選択することにした(図2) .. だし,予備調査と同様に回答者の割付を行った.. ② サンプリング 楽天リサーチのインターネット調査を 2005. 4.探索的因子分析と確認的因子分析. 年 12 月 19 日に実施した.対象は楽天リサーチ. 各モデルについて因子構造を確認するために. のモニター約 120 万人の中から,スクリーニン. 探索的因子分析を行った.まず直行回転の探索. グされた 1 万人(半年以内に医療機関を利用し. 的因子分析(主因子法,バリマックス回転)を. たか,現在通院中である人)で,そのうち 400. 行い,固有値 1.0 以上を有効因子として因子を. サンプルが集まるまで続けられた.ただし,年. 抽出したところ,複数の因子に高い負荷を持つ. 齢や性別による偏りを避けるために,20 代,. 項目がいくつか見られた.よって直行回転から. 30 代,40 代,50 代,60 代のそれぞれについて. 斜交回転に切り替え,探索的因子分析(主因子. 男女別に 40 ずつの回答者の割付を行った.. 法,直接オブリミン回転)を行った.現実的に 考えて,各因子が互いに独立であるとは考えに くく,その意味でも因子間に相関を仮定する斜.
(9) サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村). (639). 47. 交回転を用いることの妥当性が認められる.そ. 内的整合性による方法として Cronbach の α 係. の結果,モデル 1 と 3 は 2 次元,モデル 2 と 4. 数を採用した.その結果 Cronbach の α 係数の. は 3 次元となった.複数の構成概念が別個のも. 値はいずれにおいても 0.7 以上であり,信頼性. の で あ るのか否かの分析は,確認的因子分析. は比較的高いと考えられる.. を用いてより厳密な形で行うべきであるとされ. ② 収束妥当性. ている.それは探索的因子分析が得られたデー. 一つの構成概念について複数の指標が用いら. タにおける変数間の相関関係のみから,データ. れた場合に,似たような結果にならなければな. 主導的に共通する因子を抽出するものであるの. らない.つまり,同一の構成概念を測定しよう. に 対 し て,確認的因子分析 で は,あ ら か じ め. とする複数の指標の間には,それなりの高い相. 構成概念についての観察変数との間の測定モデ. 関があるべきということである.測定に関して. ルを特定化し,そうした因子構造が成立して. はある構成概念とそれを説明する指標との因子. いるのか否かを与えられたデータでチェックす. 負荷量が統計的に有意かどうかを検討する(阿. るという考え方に立っているからである(阿部. 部 1987).本稿では構成概念とそれを構成する. 2002) .したがって,探索的因子分析によるモ. 項目間の相関が 0.5 以上であるかどうか(畑井. デルと確認的因子分析によるモデルが異なる場. 2004)を検討した結果,いずれもその基準を満. 合,確認的因子分析モデルを採用すべきであろ. たしていることがわかった.. う.以後,確認的因子分析のモデルを考える.. ③ 弁別妥当性 異 な る 構成概念間 に は,そ の 測定結果 に つ. 5.構成概念妥当性の検討. いてもしかるべき差異がみられなければならな. 阿 部( 1987) に よ れ ば, 構 成 概 念 妥 当 性. いということである(阿部 1987).もし異なる. (construct validity)の 問題 と は,指標 を 通 し. 構成概念間 の 相関関係 が 非常 に 高 け れ ば,両. て測定されたものが,測定しようとした構成. 者は別の概念というよりむしろ同じ概念という. 概念をどこまで測定していると考えられるのか. ことになってしまう.本稿では構成概念間の相. を問うことであり,構成概念を含む理論や仮. 関 を 表 す 係数 の 99% 信頼区間(各相関係数±. 説の経験的テストにおいて極めて重要な問題. 2.58SE)が完全な相関である 1.0(あるいは−. であることが指摘されている.さらに構成概. 1.0)を含むかどうかの可否を,確認的因子分. 念妥当性 を 検討 す る 際,そ の 必要条件 と な る. 析を用いて検討した結果,いずれも完全な相関. べ き 4 つ の 条件 と し て,信頼性(reliability) ,. を含まなかった.なお,各構成概念の得点は因. 収 束 妥 当 性( convergent validity) , 弁別妥. 子得点を用いた.. 当 性( discriminant validity) , 法則的妥当性. ④ 法則的妥当性. (nomological validity)があげられている.. 構成概念が理論や仮説の中で有している役割. ① 信頼性. に応じて,他の構成概念に対し法則的な関連を. 測定が常に一貫した結果を導くかどうか,つ. 示さなければならない.つまり,測定結果に. まり測定の安定性と一貫性の程度を表す.信. は理論モデルで考えられているほかの構成概念. 頼性の主な測定方法としては再テスト法(test-. との間の法則的関係(因果関係や相関関係)が. retest method) ,平行 テ ス ト 法(parallel test. 見られるべきであるということである.想定し. method) ,折半法(split-half method) ,内的整. た 各構成概念間 の 因果関係 を 示 す パ ス 係数 が. 合性(internal consistency)による方法などが. 有意かどうかで測定でき(阿部 1987;趙・兪. あげられる(吉田 1994) .本稿ではそれぞれの. 2004),いずれも有意であることがわかった.. 方法の問題点とデータの入手しやすさを考え,.
(10) 48 (640). 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). 表 1 各次元に関する収束性. � � � � �. � � � � � � � � �. � � �. � � �. �� � ����������� ������������ ������������������� ��������������. 1. 2. 3. 4. 5. ������������������������ 6. ������������������������� 7. ����� 8. ������������� 9. ������������ 10. �������������������� 11. �������� 12. ����������������� 13. ������������������ 14. ������������ 15. �������������������� 16. ������������ 17. ������������������������� 18. ������������������� 19. ���������������������� 20. ������������������������ 21. ��������������������� 22. ����������� 23. ���������������� 24. �������������� 25. ��������������� 26. ��������������� 27. �������. ������� ���� ��� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� �����. 表 2 総合評価の収束性. ���. �����. ��� ����� ����� ������ ��� ����. ������ 0.859 0.894 0.890 0.866 0.812. ����. ������. ������ ���� ��� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� ����� �����.
(11) サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村). 表 3 適合度指標. ��������. ��� 1 ��� 2 ��� 3 ��� 4. RMR 0.108 0.107 0.088 0.084. (641). GFI 0.848 0.816 0.799 0.768. AGFI 0.819 0.788 0.761 0.732. CFI 0.925 0.915 0.918 0.906. RMSEA 0.072 0.072 0.086 0.086. AIC 1090.343 1543.404 1373.257 1961.580. 表 4 標準化推定値 ��� 1 ��� 2 ��� 3 ���� �� ���� 0.550 0.543 0.675 ���� �� ���� 0.947 0.947 0.957 ���� �� ���� 0.948 0.936 0.963 ���� �� ���� 0.935 0.944 0.937 ���� �� ���� 0.897 0.902 0.928 ���� �� ���� � � 0.881 1� �� ��� 0.724 0.725 0.812 2� �� ��� 0.567 0.568 0.734 3� �� ��� 0.599 0.599 0.757 4� �� ��� 0.582 0.582 0.585 5� �� ��� 0.655 0.652 0.776 6� �� ��� 0.879 0.879 0.910 7� �� ��� 0.876 0.877 0.906 8� �� ��� 0.610 0.608 0.567 9� �� ��� 0.771 0.772 0.784 10� �� ��� 0.733 0.737 0.792 11� �� ��� 0.756 0.758 0.817 12� �� ��� 0.910 0.909 0.927 13� �� ��� 0.905 0.903 0.923 14� �� ��� 0.922 0.920 0.947 15� �� ��� 0.929 0.927 0.949 16� �� ��� 0.721 0.722 0.862 17� �� ��� 0.808 0.815 0.881 18� �� ��� 0.836 0.835 0.880 19� �� ��� 0.816 0.814 0.890 20� �� ��� 0.895 0.894 0.949 21� �� ��� 0.896 0.898 0.939 22� �� ��� 0.553 0.557 0.570 23� �� ��� � � 0.834 24� �� ��� � � 0.934 25� �� ��� � � 0.927 26� �� ��� � � 0.798 27� �� ��� � � 0.780 ����� �� ���� 0.861 0.861 0.864 ����� �� ���� 0.892 0.892 0.897 ������ �� ���� 0.889 0.890 0.878 ��� �� ���� 0.864 0.864 0.859 ���� �� ���� 0.818 0.818 0.827 ����� �� ���� 0.564 0.571 0.813 ������������ 1� �����.������������.� � � � � � � � � �. ��� 4 0.667 0.964 0.949 0.948 0.923 0.947 0.810 0.735 0.759 0.583 0.766 0.908 0.912 0.562 0.785 0.797 0.819 0.927 0.919 0.944 0.946 0.865 0.887 0.881 0.890 0.947 0.939 0.571 0.861 0.950 0.939 0.842 0.828 0.864 0.897 0.879 0.859 0.825 0.819. 49.
(12) 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). 50 (642). 6.結 果. 支持され,H1b は支持されなかった.. モ デ ルの適合度指標は数多くあるが,本稿. ② H2 の検証. ではその中でも最も頻繁に用いられていると考. モデル 2 と 4 の「技術性←知覚品質」という. えられる RMR,GFI,AGFI,CFI,RMSEA,. パスは 0.1% 水準で有意であった.よって,H2. AIC の 6 つを中心に適合度を判定した.. は支持された.. 頻繁 に 用 い ら れ る 尺度 と し て χ 値 も あ る. ③ H3 の検証. が,この指標にはいくつかの欠点が指摘されて. モデル 1(P−E, 5 次元)とモデル 2(P−E,. いる.狩野・三浦(2002)では次の 3 点が指摘. 6 次元)の比較の結果モデル 1 の方が優れ,モ. されている.第 1 点目は帰無仮説が棄却されな. デ ル 3(P, 5 次元)と モ デ ル 4(P, 6 次元)の. いときモデルを採択するというアクションは,. 比較ではモデル 3 の方が優れていた.よって,. その誤りの確率が第 2 種の誤りにあたり,定量. 6 次元(「技術性」の 追加有 り)と 5 次元(「技. 的に測ることができないという点である.第 2. 術性」の追加無し)とでは,5 次元の方がデー. 点目は,多変量正規性の仮定はしばしば正しく. タへのあてはまりがよいといえる.ゆえに,. ないため,この過程が崩れたときの統計的推測. H3 は支持されなかった.. の頑健性が明らかではない点である.そして. ④ H4 の検証. 第 3 点目は,標本サイズが小さいときχ2 近似. 総合評価←知覚品質はすべてのモデルにおい. は十分でなく,大標本ではほとんど必ずモデル. て 1% 水準で有意であった.したがって,仮説. は棄却されてしまうということである.狩野・. は支持された.. 2. 2. 三浦(2002)では,χ 検定に代わって登場し た数々の適合度指標はどれも理論的背景が脆弱. Ⅵ.まとめと考察. であるため,現在のところ 100% 満足できるも. 知覚品質と総合評価の間のパス係数は有意で. のはないとした上で,サンプルサイズが数百程. あり,仮説は支持された.また,技術性という. 2. 度であればχ 検定を,500 前後以上であれば. 追加次元も確認的因子分析の中で有意なパス係. GFI,CFI,RMSEA を指標にするのが妥当で. 数を示したことから仮説は指示された.期待と. あるとしている.この「数百程度」とか「500. 知覚成果の差をとるか,知覚成果のみで測るか,. 前後」といった表現があいまいなことでもわか. という問題と,技術性という追加次元の問題は,. るとおり,サンプルサイズの基準がはっきりし. 結論としては SERVQUAL タイプが最も良い. ていない. 本稿のサンプルサイズは 400 であり,. ということになった.つまり,技術性という次. まさにそのグレーゾーンに含まれる.よって本. 元は考えたければ考えられないでもないが,あ. 2. 稿では,χ 値はモデルの優劣の判断に用いな. えて考える必要は無いということになる.技術. かった.. 性が強く支持されなかった理由もいくつか考え られる.消費者はサービスの品質を評価すると. 7.仮説の検証. きに技術を考慮しないのかもしれないし,直接. ① H1 の検証. 評価しない代わりに他の要素を媒介して間接的. モデル 1(P−E, 5 次元)とモデル 3(P, 5 次. に評価に影響を与えているのかもしれない.例. 元)の比較の結果モデル 1 の方が優れ,モデル. えば,技術は直接判断しづらいので,コミュニ. 2(P−E, 6 次元)とモデル 4(P, 6 次元)の比. ケーション能力の高い医師は技術が高いと考え. 較ではモデル 2 の方が優れていた.よって,P. られやすい.また医療という分野の特殊性が関. −E と差で取る尺度の方が単に P で取るモデ. 係している可能性も非常に大きいだろう.本質. ルよりも優れているといえる.ゆえに,H1a は. 的な問題点ではなく,使用した質問票が未熟す.
(13) サービス品質の測定尺度に関する実証研究(中村). (643). 51. ぎるのかもしれない.よって,質問項目を精錬. 念として捉え,因果関係をつかむ必要があると. させ,より精度の高い項目を用いて適用する必. いうことである.これは因果関係を想定しない. 要がある.また医療分野以外が対象ならどうか. モデルの方が説明力は高いということの答えを. ということを研究していく必要もあろう.. 示すだろう.ただし,その指標を構成概念とし. また,本稿で総合評価の指標として用いた 5. て考えていくためには,まずそれらを説明する. つの項目は,本来ならばそれぞれ構成概念とし. 複数の指標を明らかにしなければならないとい. て扱うべきものである.先行研究ではそれらを. うことを忘れてはならない.. 構成概念として扱ったものも見られるが,それ. 第 4 点目は医療を信用財と考えていいのか,. ぞれを単一項目で測定しているため,それらの. ということである.医療の中でも範囲は非常に. 概念間の因果関係についての議論が不十分であ. 広く,一概に医療はどうだ,といえるものでは. る.したがって,このような構成概念をどのよ. ないと考えられる.少なくとも病状や診療科を. うな指標で測定すればよいか研究する必要があ. 考慮する必要がありそうである.. ろう.ある程度妥当性と信頼性のある複数の指. 第 5 点目は質問票のことだが,医療スタッフ. 標がそろった段階で,因果関係についての研究. と一くくりで考えているのは問題があるかもし. が発展するだろうと考えられる.. れない.患者満足度調査などでは,医師,看護師,. 本稿では多くの問題点が明らかになった.こ. 受付事務などを別個に扱うものが多い.実際,. れからの研究課題としてまとめておきたい.. 医師と受付では患者の求めているものは全く異. まず第 1 点目は,知覚成果と期待の差という. なるだろう.ただし,一概に分ければいいと言. 尺度についてである.SERVQUAL は,不一致. うものでもない.なぜなら,分けることで質問. は知覚された期待と知覚された成果とのズレ. 項目が増加し,さらなる負担を回答者にかける. であるから,期待と成果との差をもって不一致. ことになるし,医師と受付事務では医療におい. とすればいいという立場に立っているが,Yi. て重要性が同等とは考えられないため,なんら. (1990)は,知覚成果と期待の差自体も問うべ. かの重要性を加味した尺度にする必要が出てく. きであるとしている(阿部 2004) .知覚成果と. るかもしれない.これはサービスの特徴の一つ. 期待の差を直接問うたものとそれぞれを測定し. であろうが,複数のサービスがセットになって. その差を計算したものとを実際のデータを用い. 提供される場合にどのように扱うかは難しい問. て比較する必要があろう.. 題である.. 第 2 点目は,本稿の比較の設計についてであ. 第 6 点目は,インターネット調査の信頼性の. る.本稿では「差でとるものと成果のみの比較. 問題である.もともと本研究は病院の入院患者. の結果」と, 「22 項目と 27 項目の比較の結果」. を想定し,研究を続けてきた.しかし,昨今の. を用いた結果,22 項目で知覚成果と期待の差. プライバシーの問題や,暮れの忙しい時期で. をとるというのが最も良いと結論付けたが,ね. あったことなど問題が多く,いくつもの病院に. じれの関係が存在する可能性は否定できない.. アンケートの実施を依頼したが,実現すること. つまり,22 項目のときは差でとる方が優れて. はできなかった.そこで急遽インターネット調. いるが,5 項目追加することで 27 項目では知. 査に切り替えたため,インターネット調査につ. 覚成果のみの方が優れている,という可能性が. いて詳しく調べる間も無く実行となってしまっ. あることである.この点についてねじれの関係. た.インターネット調査の信頼性についても検. を確認できるような実験計画を立てる必要があ. 討する必要が大いにありそうだ.. る.. ここまで問題点をいくつもあげて来たが,本. 第 3 点目は,総合評価概念の各指標を構成概. 稿の貢献として次の 2 点を指摘することができ.
(14) 52 (644). 横浜国際社会科学研究 第 11 巻第 6 号(2007年 2 月). る.第 1 点目は医療分野での知見を生かし,そ. また SERVQUAL にこだわらず,新たな尺度. れをヒントに SERVQUAL を改良しようとし. 開発を進めるというのもまたひとつの方向であ. たことである.これまで医療分野の患者満足. る.開発 の 過程 を 見 る と SERVQUAL は マー. 度調査や医療の質の調査を見ると,研究だった. ケターの経験を重視した経験的な尺度である.. り,病院だったり,実施者に特定的な質問項目. よって,新たな尺度開発の際には,数理的なモ. が設定されていることがほとんどである.その. デルを利用したより理論的なアプローチをとる. ため研究や病院の横断的な尺度は存在せず,そ. という方法も有益であろう.それから顧客,提. れどころか,そのような尺度の一般化そのも. 供者,第三者の 3 側面からの評価を合わせたり,. のを試みているものさえ数少ない.さらに,用. 客観的品質と知覚品質を合わせたりといった試. いられた尺度項目は実施者の直感に頼ったもの. みは発展性があると思われる.. が多く,例えば項目の妥当性や信頼性について きちんと吟味したものは非常に少ない.一方, SERVQUAL など消費者行動研究の分野の尺度 は一般化を目指しているため,その開発や修正 もより客観的に進められている.しかし,具体 性には欠けるため現実ではなかなか使えない. ま た,病院 を 対象 に SERVQUAL の 適用 を 試 みたものもあるが,そこでの「病院」は多様な サービスのひとつとして捉えられているに過ぎ ず,あ く ま で 医療分野 で SERVQUAL が 使 え るかどうかに関心がある.したがって,それぞ れの分野で用いられている尺度項目を比較し, 互いのメリットを活かそうという本稿の着眼点. 注 1)知覚品質は客観品質(objective quality)とは 異なり刺激としての客観品質が変換されたもの で,あくまで製品ベースの仕様ではなく消費者 から見た製品評価である. 2)「サービス・クォリティ」と表現されているが 本稿と表記を一致させるため,ここでは「サー ビス品質」とした. 3)長谷川万希子(2000),「患者満足度調査・入 門─患者さんが満足する医療を目指して─第 13 回 データ の ま と め 方⑶」,『国民健康保険』 , 51 ⑴,pp. 34 40. 4)探索財(search goods) ,経験財(experience goods) ,信用財(credence goods) .. は新しいといえる.第 2 点目は構成概念妥当性 をきちんと確認しながら研究が進められた点で ある.サービス品質に関する先行研究では信頼 性については多くの研究で言及されているもの の,収束妥当性,弁別妥当性,法則的妥当性ま で確認しているものは比較的少ない.さらにそ れらすべてを確認しているものはほとんどな い.したがって,その意味で本稿はより厳密な テストに近づいたといえるだろう. 今後 の 研究 の 方向性 と し て は,引 き 続 き SERVQUAL の問題点を修正し,改善していく という方法がある.しかし,先行研究や本稿の 示唆を考慮すると SERVQUAL の限界も感じ られる.すべてのサービスに使える尺度という よりも,サービスを何らかの基準でいくつかに 分類し,そのグループごとに基準となる尺度を 作成するというのもひとつの方向性であろう.. 参考文献 阿部周造(1987),「構成概念妥当性 と LISREL」, 奥田和彦・阿部周造(編) ,『マーケティング 理論 と 測定─LISREL の 適用─』,中央経済 社,pp. 27 46. 阿部周造(2002),「仮想的消費データに基づく満 足研究 の 妥当性」,『明大商学論叢』,84 ⑴, pp. 1 10. 阿部周造(2004),「消費者満足の測定に関する一 考察」,阿部周造・新倉貴士(編) ,『消費者 行動研究の新展開』 ,千倉書房,pp. 3 20. 今井壽正・楊学坤・小島茂・櫻井美鈴・武藤孝司 (2000),「大学病院の患者満足度調査─外来・ 入院患者 の 満足度 に 及 ぼ す 要因 の 解析─」 , 『病院管理』 ,⑶,pp. 241 252. 大和田瑞乃・郡司篤晃・今中雄一(1995),「患者 による入院医療の質の評価に関する研究─患 者評価の方法論と評価特性の検討─」 ,『病院 管理』 ,32 ⑷,pp. 15 25..
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