フランス歌曲における日本語訳詞の研究:フォーレを中心として
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(2) 第3節では、ドビュッシーの〈巷の雨か心の涙〉. 3.研究の概要 第I章第1節では、明治の文明開化とともに西. を取り上げて、原詩に忠実な訳詞をつける際に起. 洋音楽が学校教育と軍楽隊を通して受け入れら. こる問題点について述べた。. れていったことや、ラジオとレコードの普及によ. 第1V章第1節では、フォーレの《リディア》、《愛. り、クラシック音楽は不特定多数の聴衆に広まっ. の夢》、《夢のあとに》の3つの歌曲に音楽的な日. た経緯を述べた。. 本語訳詞を試みた。. 第2節 唱歌が西洋の民謡や大作曲家のメロデ. 第2節では、第1節で試みた日本語訳詞とフラ. ィーに日本語の詩をつけて歌って、西洋音楽を普. ンス語原詩により、2010年9月2目、名古屋市. 及するのに役立った。レコードが発明されてから. の広小路ヤマハホールに於いて開催された日本. は、外国の流行歌の日本語版が出て、同時代の外. 学術会議協力学術研究団体「全国大学音楽教育学. 国の音楽を親しめるようになった。オペラも日本. 会第26回全国大会名古屋大会」において、筆者. 語訳詞によって上演され、一定のオペラファンを. は研究演奏を行った。また、同年9月から11月. 生んだ。シャンソンも日本語詩によって流行した。. にかけて、同様の演奏によるアンケート調査も行. 第3節軍楽隊を通してフランス流の音楽が輸. った。さらに、アマチュア女声コーラスに《愛の. 入された。フランス人の演奏家も多く来日し、フ. 夢》をフランス語と日本語で歌ってもらい、感想. ランス音楽を普及した。日本人の申でもフランス. をまとめた。. に音楽留学する人が増え、安川加寿子などのフラ. 第3節では、全章の総合考察を行った。. ンス派ピアニストも現れた。NHK交響楽団もフ ランス系のシャルル・デュトワを五指揮者に迎え. 4.研究のまとめと今後の課題. てフランス系の音を作った。. 本研究を通して、フランス語はそれ自体が美し. 第4節では、「外国語の歌に関するアンケート」. く芸術的価値のあるものだが、外国人である日本. の結果をまとめた。海外の歌を原語で歌うには、. 人にとっては発音が難しく、詩を理解し、正確な. 発音の問題があり、日本語訳詞で歌うことで歌の. 原語で演奏するにはあまりに難解であるという. 内容の理解も伴って、この問題をクリアできるこ. ことがわかった。そして、フランス歌曲を広く普. とがわかった。. 及するには、いろいろな問題があるにもかかわら. 第n章第1節 フランス語の歌を歌うには、ど. ず、日本語訳詞が必要であった。筆者が試みた訳. うしてもフランス語の問題を解消しなければな. 詞による演奏を通して、芸術的にも鑑賞に堪える. らない。この節では、フランス語の歴史と現在の. ものが出来上がった。. フランス語圏の状況を調査した。. 今後の課題としては、今回作ったものをコーラ. 第2節では、フランス歌曲を歌う時に問題とな. ス団体中心に歌ってもらい広めていくことと、ラ. る発音の研究を行った。. イフワークとして、フォーレの歌曲に音楽に合わ. 第3節では、日本語とフランス語の発音の比較. せた日本語訳詞をつけ、さらに研究をすすめて行. を試みた。. きたい。また、筆者が自身の演奏を通して日本語. 第㎜章第1節では、フォーレの生涯をたどり、. 訳詞の良さをアピールし、沢山の人達にも歌って. 年代順に創作の過程を追ってみた。. もらうことに努めたい。. 第2節では、フォーレの代表作である2つの連 作歌曲《優しい歌》、《イヴの歌》について考察し た。また、《リディア》、《愛の夢》、《夢のあとに》. については詩句と楽曲分析を行った。. 一369一. 主任指導教員 保坂博光.
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