• 検索結果がありません。

エネルギー課税の長期的な国際比較(特集 環境税の財政社会学―長期的傾向と国際比較の分析から―)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "エネルギー課税の長期的な国際比較(特集 環境税の財政社会学―長期的傾向と国際比較の分析から―)"

Copied!
18
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1). エネルギー課税の長期的な国際比較. *. 佐  藤  一  光. はじめに. する理由は,環境税が登場する以前のエネルギー 課税や環境税を導入していない国や時期をも分. 本稿の目的はエネルギー課税の長期的な国際. 析対象としているからであり,気候変動に対す. 比較によって,エネルギーに対する課税の国際. る環境税という税制改革のコンセプトはエネル. 的な多様性を確認し,各国の平均的なエネル. ギー課税の制度変更を通じて実現されるからで. ギー税率が国際的に大きく異なる理由について. ある.このことは例えば,二元的所得税のコンセ. 考察することである.本稿では特に環境税制改. プトが所得課税のあり方に変化をもたらしたのと. 革の成功と失敗に関する政策過程の歴史分析が. 同様である.しかも, エネルギー課税は所得課税,. 行われているデンマーク,ドイツ,日本,オラ. 消費課税といった基幹税につぐ担税力を有して. ンダ,アメリカを中心に,OECD 諸国のうち. おり,各国の租税体系において重要な位置付け. 比較可能なデータが存在する 27 カ国について. となっている.環境税の導入は各国の租税体系. 検討を行う.. に影響を与えた可能性を有しており,環境政策. 1990 年以降,気候変動への対策として欧州諸. としてだけではなく租税政策としても環境税の. 国を皮切りとして次々と環境税のコンセプトに. 登場がエネルギー課税に与えた影響を分析する. 従った税制改革がなされた.これらは明示的な. 必要があるのである.. 炭素税(explicit carbon tax)だけではなくエネル. 税率の多様性や課税方法の複雑性については. ギー税の増税,税収中立的(revenue neutral)な. OECD が定期的に国際比較を行なっている.. 改革や純粋な増税など多くのバリエーションが. 全体的な傾向としては自動車用ガソリンは重課. 存在している.エネルギーへの課税単位にも重. され,自動車用ディーゼル燃料にはそれよりは. さや体積などの単位,エネルギー量の単位,炭. 軽課,産業用燃料への課税水準は重課されてい. 素含有量の単位など様々なタイプが存在してお. る場合から全く課税されない場合まで存在して. り,各国ではそれらを組み合わせてエネルギー. いる.しかし,そのような多様性はいつ形成さ. 課税の体系が形成されている.しかも,特定の. れたのであろうか.エネルギー税制の多様性は. 産業に対する軽減税率や免税措置が存在してい. 長期的に存在していて,その多様性が保存され. たり,電力などのエネルギー転換に際して二重. ているのか,それとも環境税制改革を採用した. 課税,戻し税,免税などの措置が取られていた. 諸国においてその方法が異なるために多様性が. りするなど,エネルギー課税体系は複雑である.. 形成されたのであろうか.もしくは環境税制改. 本稿では特に炭素税や炭素・エネルギー税,. 革を採用した諸国と採用していない諸国の間に. エネルギー税における環境税の導入に着目する.. 違いが生まれているのであろうか.本稿の第一. 環境税ではなくエネルギー課税を分析の対象と. の目的はこの多様なエネルギー税率体系を長期 的に国際比較することで,多様性が形成された. *岩手大学人文社会科学部准教授  [email protected]. 時期を明らかにすることである. 環境税に対する研究は,環境税のコンセプト. 『エコノミア』第 69 巻第 2 号(2019 年 3 月),5-22 頁[Economia Vol. 69 No.2(March 2019),pp. 5-22].

(2) . を税制改正に具体的に適用することが税制史上. る可能性がある.. の新しい試みであったため,その導入や政策変. 他方で,エネルギー課税がもともと重い国々. 更に焦点を当てるものが多かった.世界的な環. では,エネルギーへの課税を行う国内環境が. 境税の流行は,環境問題に対する意識の高まり. 整っているため,環境意識の高まりとともに環. や,京都議定書等の具体的な削減目標に対する. 境税制改革が行なわれやすい可能性がある.こ. 政策として提案され,そこに社会保障財源・環. のような経路依存の可能性を検証するために. 境政策財源・既存の租税や社会保険料の減税財. は,長期的な国際比較に基づいた税率変化の要. 源を期待した国庫目的の政策が重なり,国内の. 因分析が必要となる.本稿の第二の目的は,環. 多様なアクターの利害調整の上に成立したと議. 境税を導入しなかった諸国も含めて,エネル. 論されてきた.. ギー税率の決定要因を推定することである.特. もっとも,これら環境税の導入ないし成功に. に各国研究より明らかになっている,エネル. 焦点を当てた各国の政策研究からは見えてこな. ギー集約産業の強さや輸出産業の重要性といっ. い問題がある.第一に,環境税の流行は一過性. た経済構造要因や,財政需要の増税への圧力や. で限定的なものに留まったのだろうか.炭素税. 付加価値税の増税可能性といった財政要因の影. の導入が相次いだ 90 年代から 2000 年代の特定. 響が各国の平均エネルギー税率に与えた影響に. の政策である税制改革に焦点を当てるのであれ. ついて検討する.. ば欧州諸国の流行は沈静化し,国際協調の困難. 本稿の構成は以下の通りである.第 2 節にお. 性や租税競争の可能性すら示唆される.長期的. いてエネルギー課税と財政の国際比較の方法に. な国際比較によって,環境税制改革の流行以降. 関する先行研究を整理する.第 3 節において二. のエネルギー税制の動向も把握可能となる.. 酸化炭素を課税ベースと考えた平均的なエネル. 第二に環境税制改革は各国の租税構造に影響. ギー税率とジニ係数の推計方法について説明す. を与えたのだろうか.炭素税の導入や環境税制. る.第 3 節において推計された平均エネルギー. 改革は表面的なものに留まり,大きく租税構造を. 税率とジニ係数について長期的に国際比較す. 変更するには至らなかった可能性も考慮する必. る.第 4 節において,推計された平均エネルギー. 要がある.本稿は,二酸化炭素を課税ベースと. 税率を決定する要因について,パネルデータ分. 考えた場合の平均的なエネルギー税率を推計す. 析とマルチレベル分析といった計量的な手法を. ることによって租税構造が変化した可能性につ. 用いて推定を行う.. いて検討する.さらに,二酸化炭素を課税ベー スとした場合の産業と家計におけるエネルギー. 2 先行研究. 源別の税率がどの程度偏在しているのか,ジニ. OECD(2013,2015,2016)は各国のエネルギー. 係数を求めることで長期的な国際比較を行った.. 税率の現状について,カロリーベース・二酸化. 第三に環境税を導入しなかった国があるのは. 炭素炭素ベースに分けて詳細な分析を加えてい. なぜか.歴史的制度論の分析概念である「経路. る.OECD の分析によるとエネルギー課税はい. 依存」が正しいのであれば,エネルギー税制の. ずれの諸国においても輸送用のエネルギー利用. 多様性は長期間に渡って保存されている可能性. には高く課税している一方で,熱利用や発電に. が高い.すなわち,エネルギー税率が低い諸国. 関するエネルギーへの課税は低いことを明らか. では,そもそも国内要因としてエネルギー多消. にしている.電力への課税は,二酸化炭素の排. 費産業の重要性が高く,もしくは輸出入の産業. 出量取引制度(Emission Trading Scheme, ETS). の重要性が高く,政治的リソースも大きいため. の有無も含めて各国によって大きな差異が存在. に税率が低く抑えられ,それゆえエネルギー多. している.さらに,家計に対する課税と比較し. 消費産業が強化されるという構造が持続してい. て産業対しては軽減措置が導入されている諸国.

(3) . が多いが,軽減税率の適用水準・方法について. われた.低い税率であるがゆえに大規模な産業. も各国で違いが存在していることも明らかにし. 軽課措置は取られなかった.日本においては環. ている.. 境政策以外の一般的な財政需要に対しては,消. それでは,このような各国の租税構造の違い. 費税の増税を軸として政策が展開されている.. はなぜ形成されてきたのだろうか.各国研究と. 島村(2017)においてもオランダにおける環. しての環境税導入の経緯については豊富な先行. 境税の導入には財政需要が背景となっていたこ. 研究が存在している. 例えばドイツにおいては,. とを強調するが,租税構造の間接税化とグリー. 1980 年代のアイディアの発明によって環境税. ン化が引き続き税制改正のスローガンとなり続. が政策の選択肢となるが,産業界の反発によっ. けたことも長期的には重要であるとする.他方. て一度沈静化し,1994 年のシミュレーション. で倉地(2017)は,デンマークにおいて所得税. 研究による議論の再活性化とそれに続く赤緑政. 率引き下げという財政需要によって環境税を導. 権の誕生という政治的イベントによって環境税. 入するものの,高い税率を実現するためには産. 制改革が実現したと説明されてきた(Krebs,. 業界への軽課措置が必要となったことを指摘し. Reiche1999,諸富 2000,坪郷 2009,朴 2009) .い. ている.産業軽課,すなわち家計重課はそれ自. ずれの研究も環境意識の高まりと,それに伴う. 体不公平感を醸成するものであり,エネルギー. 緑の党の躍進や既存政党のグリーン化が原動力. 課税は所得に対する逆進性が高いこともあり,. であると考えられている.ミランダ(2007)は. 再分配政策と環境税との不整合が租税抵抗を生. 環境税そのものを分析の対象としている訳では. み,環境税税率引き上げが困難に直面したこと. ないが,日米独の環境政策の比較に際して国内. を説明している.. 制度とアクター,さらには国際協力における各 国のポジションの重要性を指摘している.. これらの研究から示唆されることは,第一に 担税力のあるエネルギー課税は財政需要の増大. 佐藤(2015)はドイツのシュレーダー政権の. に対する財源調達手段として引き上げられてき. 環境税制改革(1999∼2003)において年金保険. た可能性である.しかし第二に,ドイツと日本に. 料率の引き下げという大きな財政需要が存在し. おいては環境税制改革以降の財源調達方法は付. ていたことと,日本においては環境税収を環境. 加価値税が主となっており,長期的には付加価. 政策財源とすることで財政需要は小さなものに. 値税の増税可能性が高ければエネルギー課税を. 留まったを対比的に説明要因とする.ドイツに. 引き上げる必要性が低くなることが示唆される.. おいては社会保険料の引き下げという大きな財. 第三に,エネルギー課税より付加価値税が好ま. 政需要を賄うために高い税率のエネルギー増税. れる理由として,付加価値税は形式的には転嫁. が必要となり,それゆえエネルギー集約的産業. が制度的に担保されており,付加価値ベースで. と輸出競争力の維持を目的として大規模な産業. は産業ごとへの課税の偏りがなく,輸入財に課. への軽減措置が導入されることとなった.ただ. 税し輸出財には中間財への課税を還付すると. し,産業への軽減措置は家計重課を意味するた. いった経済のグローバル化に対応した仕向地課. め,後には産業と家計の間の負担調整として軽. 税であるが,エネルギー課税は転嫁について制. 減措置の縮小も行われることとなった.もっと. 度的担保は無く,付加価値ベースで見た場合に. も,ドイツに置いてエネルギー課税は一時的に. はエネルギー集約産業に重課され,国境税調整. 重要視されたにすぎないことも示唆される.メ. が行われない原産地課税であり,しかも付加価. ルケル政権における財源調達の主力は一般消費. 値税よりも低所得の家計に対する負担が重いと. 税へとシフトしていったからである(福田 2013) .. いった特徴があることが考えられる(佐藤 2015) .. 日本においては環境税率を低く抑えるため. 経済のグローバル化とエネルギー課税に関し. に,税収を環境政策の財源とする制度設計が行. て,倉地・佐藤・島村(2016)は,環境税の政.

(4) . 策拡散の枠組みを,北欧における租税協調の成. 際比較において重要となる多元因果の可能性で. 功,EU における租税協調ではなく租税調和へ. ある.倉地(2015)では「同一の要因でも異な. の採用,国際的な租税競争という複層的な枠組. る結果が起こりうること,逆に異なる要因でも. みで説明し,国内要因というより国際要因に. 同一の結果が起こりうること」という多元因果. よって環境税制改革の継続が困難になったこと. の重要性を指摘しており(倉地 2015,p.28) ,国. を説明する.経済のグローバル化が進み,輸出. 際的に共通の要因と各国において異なる個別要. や輸入の重要性が高くなるに従い,国際的な租. 因を探るアプローチは財政社会学において共有. 税競争に強く晒されるが,そこに国際的な租税. されている(Martin et al. 2009).比較財政につ. 協調が租税競争の圧力に対抗する効果との大小. いては特徴の整理が,財政社会学においては因. 関係が重要となると結論づけている.. 果関係の推定が追求されてきたと整理すること. 以上の研究は各国におけるエネルギー税率の. ができよう.. 高低や,軽減税率が導入された経緯を説明する. エネルギー税率の水準が同様で,同じ経済・. ものであるが,第一に炭素税の導入や環境税制. 財政的背景を有している場合には共通の因果関. 改革に焦点を当てているため,長期的なエネル. 係にあることが想定されるが,多元因果を考慮. ギー税制の動向を十分に把握していないこと,. して水準の差異を説明すること自体は複雑であ. 第二に各国の制度・政策研究であるか少数の国. る.同じ課税水準にあってもそこに働いている. の比較に留まっているためエネルギー税の国際. 要因は異なる場合があるが,複数の要因が税率. 的な動向や国際比較については OECD の研究. 水準に影響を与えている可能性を考慮すれば特. に限られるという問題が存在している.した. 定の要因が税率の水準に与える影響は同様で. がって,本稿では長期的なエネルギー税制の動. あっても構わない.しかし,異なる課税水準で. 向を把握し,比較可能なデータを用いて少数の. ある場合は,①同じ要因が同じ影響を与えてい. 国の比較に留まらない国際比較を行い,各国の. るが水準は異なる可能性があるし,②同じ要因. エネルギー税制の現状に関して検討を行うこと. が異なる影響を与えているため水準が異なる可. にする.. 能性もある.①の可能性は歴史的制度論の経路. 次に比較財政についての問題意識について確 認する.倉地(2015)によれば,国際比較の目. 依存と同様に,現在の多様性は過去の差異に よって説明される.. 的は①理念型を用いた特徴の析出である類型化. さらに,同じ要因が異なる影響を与える可能. と,②因果関係の推定にあるという.財政制度. 性を考慮すると,③課税水準が同じであっても. の比較においてまず問題となるのは水準に関す. それは異なる要因が異なる影響を与えている結. る差異である.本稿の分析においてはエネル. 果が偶然同じ水準を形成している可能性も考慮. ギー税率の高低の違いを明らかにすることと,. しなければならない.②と③の多元因果の可能. 課税ベースの偏りを明らかにすることで,各国. 性については比較歴史分析における文脈化され. のエネルギー課税の特徴を抽出する.. た 比 較 に よ っ て 説 明 さ れ て い る(Locke &. 他方で問題となるのが因果関係の推定であ. Thelen 1995,Mahoney et al. 2003) .文脈化され. る.究極的に説明が必要なことは各国のエネル. た比較とは各国において異なる独自の文脈を考. ギー課税水準の差異であるが,因果関係を推定. 慮した変数の測定のことであるが,例えばエネ. する場合は水準の変化が注目される.課税水準. ルギー課税においては経済のグローバル化が税. の変化を,経済・社会・政治的要因の変化で説. 率を引き上げる場合もあるし,抑制要因として. 明することができれば,各国のエネルギー課税. 働く場合もあるということを意味している.. の多様性が発生する要因について明らかにする. 因果関係があると考えられる場合とは,通常. ことが出来る.その際に注意が必要なのは,国. であれば同じインプットに対して同じアウト.

(5) . プットが観察される場合である.同じインプッ. 国家構造にどのように影響し,その構造がどの. トに対して異なるアウトプットがある場合には. ように社会の歴史的な変容に影響を与えるのか. 因果関係がないと考えられる.しかし,文脈化. を描くことが財政社会学の課題である」のであ. された比較においてはインプットがアウトプッ. る(Ibid .,p.13) .. トに影響を与えるが,それは正負・大小におい. 多元因果・文脈化された比較と同様の問題意. て異なりうることを示唆している.仮にそのよ. 識は比較福祉国家論・福祉国家の計量分析にお. うな因果関係があるとすれば国際比較を通じた. いても共有されている.筒井(2013)は,国際. 因果関係の推定は困難を極める.類似・共通性. 的に異なる制度や文化を背景として個人の行動. と差異・多様性を明らかにする国際比較研究に. が規定される可能性,各国において異なる国の. おいて,多様な結果がそれぞれ独自のメカニズ. 構造・制度的特性が個人の意識・態度に影響を. ムで形成されるとするならば, 「財政社会学に. 与える可能性について指摘し,計量分析におい. おける国際比較分析の方法論上のジレンマが存. てある説明変数の係数が各国において異なるこ. 在する」といえよう(倉地 2015,p.38) .. とをマルチレベル分析によって明らかにするこ. 文脈化された比較に関して,井手(2013)は 財政収支の国際的な多様性の背景に同じ「要因. とが出来るという.因果関係の推定においては, 国際的傾向(between 推定)は見せかけの因果. はいかなる先進国にも存在する.だとすれば,. であり,それぞれの国に着目した因果(within. それが原因となりながら,いかなる因果連関の. 推定)が正しいというパネルデータ分析の縛り. もとで」多様性が形成されているのかを明らか. を緩めた分析方法であるマルチレベル分析は,. にする必要があると指摘する(井手 2013,p.4) .. 各国における共通の要因に関して,各国におけ. 例えば,財政再建という結果と,現実の財政制. る平均的な影響とバラツキのある影響をそれぞ. 度の間に存在する「政治的,社会的,経済的要. れ分析することを可能とする 1).. 因との関係を明らかにする必要がある.なぜな. 歴史分析を通じた比較は,少数の国について. ら,こうした文脈を捨象し,解決方法を学ぶた. 多くの独自の変数を検討し,変数と変数の間に. めの手段として他国の事例を参照しても,なぜ. ある因果関係の可能性について精査できること. それが日本に適用可能なのかを説明したことに. に強みがある.他方で,計量分析は多数の国に. はならないからである」 (Ibid .,p.5) . 「つまる. ついて共通する変数についての因果推定を行う. ところ,制度の比較は,各国の相違を明らかに. ことが出来る.そこで本稿は比較財政で問題と. するだけである.必要なのは,同様の制度が異. してきた水準の共通性・多様性を明らかにする. なる結果を導いたり,異なる制度が同様の結果. ことに加え,財政社会学における多元因果・文. をもたらしたりするという複雑な現実の説明で. 脈化された比較の問題意識を共有し,パネル. あり,この現実を規定するのは文脈である」と. データ分析とマルチレベル分析といった計量的. いう(Ibid .,p.6).. 手法を用いて平均エネルギー税率の規定要因に. 「因果メカニズムの過程追跡と制度理論の豊 富化,精緻化という課題は魅力的である.しか しながら,財政社会学が財政学の豊かな伝統の. ついて推定することとする. 3 平均エネルギー税率の推計とデータ. 上に立つとすれば,制度がアクターの行動に与. 次に,本稿で用いる平均エネルギー税率の推. える影響力そのものを分析課題としても仕方が. 計とデータについて説明する.本研究ではエネ. ないし,制度変化の理論化が重大な関心事なの. ルギー源別の税額とエネルギー利用量とによっ. でもない.財政現象を起点として,国民国家の 構造そのものに切り込むこと,特に財政をめぐ る意思決定過程に注目し,社会的要因が一国の. 1)マルチレベル分析の社会科学への応用につい ては筒井・不破(2008)を参照のこと.技術的問 題については佐々木(2007)に詳しい..

(6) . て,長期的に国際比較が可能なエネルギー源別. タは 1978 年から 2015 年まで存在している.. 炭素税率(US$/CO2-t)を求める.本稿の平均. 用いた税率のデータは産業セクターについて. エネルギー税率は加重平均であるため,税率が. の石炭(Steam coal) ,天然ガス(Natural gas) ,. 高くともエネルギー利用量が少なければ平均税. 灯油(light fuel oil) ,ディーゼル(Automotive. 率を大きく押し上げることはなく,エネルギー. diesel) ,家計セクターについての石炭,天然ガス,. 利用量が大きいエネルギー源の税率が重要とな. 灯油,ガソリン(Premium leaded gasoline)を利. る.エネルギー源は石炭,自動車用燃料,灯油,. 用した 4).本データには多くの欠損値が存在し. 天然ガスを産業と家計における利用に分けた. ており,一定の仮定をもとにデータを補完して. 8 種類である.さらに,エネルギー源別の税率. いる.具体的には,前後のデータがある場合に. の偏りを確認するために,エネルギー税収のジ. は線形補完を行い,前ないし後のデータも含め. ニ係数を求める.エネルギー税収のジニ係数に. て欠損している場合には直近の値を延伸した.. ついては,エネルギー使用量を税率の低い方か. なお,明らかにゼロであることがわかる場合に. ら q1,q2,q3……とし,それぞれの税率を t1,. はゼロを入れている.欠損値の補完も困難であ. t2,t3……とした上で,  Gini = 1 – ローレンツ. るオーストラリア,チリ,エストニア,韓国,. 曲線の下部の面積 / 三角形の面積(=1/2)  と. ラトヴィア,イスラエル,アイスランド,スロ ベニアは分析から除外し,27 カ国のデータを用. して次式を用いて計算した.. いている. また,本稿においてはエネルギー課税のうち. Guni = 1 –(1/2*q1*t1/ ∑ qiti*q1/ ∑ qi + 1/2*{q1*t1/ ∑ qiti +(q1*t1/ ∑ qiti+q2*t2/ ∑. 電力に関する課税を分析の対象外とした.とい うのも,電力の分野は原子力発電や再生可能エ. qiti)}*q2/ ∑ qi ……. ネルギーなど多様な電源が存在しており,二酸. + 1/2*{(q1*t1/ ∑ qiti+……+qn-1*tn-1/ ∑ qiti). 化炭素だけを基準とした税率の推計では正確に 電力に関する課税の実態を把握できないこと,. + 1}*qn/ ∑ qi)/(1/2) (1). 燃料段階の課税を控除する場合,転嫁させる場 合,二重課税する場合などエネルギー転換部門. 価格については IEA Energy Prices and Taxes. の課税方式が複雑であること,排出権取引や固. Statistics, End-use prices: Energy prices in US. 定価格買取制度などの他の制度との関係が重要. dollars(Edition 2018)より total tax(US$/unit). であるためエネルギー課税だけの分析では不十. を利用して炭素1トンあたりの税額を算出し. 分であるといった理由が存在するからである.. た.単位あたりの税率を炭素あたりの税率に変. 次にエネルギー利用量については,IEA CO2. 換するために,単位あたりの熱量は前出 IEA. Emissions from Fuel Combustion Statistics, CO2. の デ ー タ を 利 用 し, 二 酸 化 炭 素 排 出 係 数 は. emissions by product and flow(Edition 2018)か. IPCC2016 のデフォルト値を利用した. ら,MCO 2 トンで示された石炭(Coal),石油. .デー. 2) 3). (Oil),天然ガス(Natgas),その他(Other)を 2)利用した二酸化炭素排出係数は,灯油 71.9 t-co2/TJ,軽油 74.1 t-co2/TJ,天然ガス 64.2 t-co2/ TJ,石炭 98.3 t-co2/TJ を用いた.なお,エネルギ ー変換は 1toe=41.868GJ で計算した. 3)本来,二酸化炭素排出係数はエネルギー源の 質や燃焼効率によって変化するため,国や時期に よって変動するものであるが,本稿ではデータの 制約のため共通した係数を用いていることの留意 が必要である.. 利用した.これらのエネルギー源からは発電・ 発熱用(Electricity and heat generation)を除外 4)自動車用燃料について,エネルギー利用量を 産業・家計に分類することができない.産業では バスやトラックの利用が多いためディーゼルのみ を利用している,家計ではガソリンのみを利用す るという強い仮定を置かざるを得なかった..

(7) . 図1 平均エネルギー税率の長期的国際比較[産業+家計] (単位:Euro/t-co2) デンマーク. ぷx ・ ・ x ・ x ・ ・. 200. X••l< ぷ ... ? ' ・ ・ x . . ~.-~--X.--x. ・沢ぷ. X. ぺ・'. オランダ. x. ぷ. x . . . x. x ..'. x .. x . . x . .. . . . . . . . .x... . . . . . .. •. xぷ·-x·•X. ドイツ. •••. 100. 日本. ••. . x. ・ ・ ・ 文. x x . x x .. ••. 2015. 2014. 2013. 2011. 2010. 2009. 2008. 2007. 2006. 2005. 2004. 2003. 2002. 2001. 2000. 1999. 1998. 1997. 1996. 1995. 1994. 1993. 1992. 1991. 1990. 1989. 1988. 1987. 1986. 1985. 1984. 1983. 1982. 1981. 1980. 1979. 1978. 2012. アメリカ. 0. 出所:IEA Energy Prices and Taxes Statistics, End-use prices: Energy prices in US dollars (Edition 2018), IEA CO2 Emissions from Fuel Combustion Statistics, CO2 emissions by product and flow (Edition 2018) より筆者作成.. 表1-1 度数分布:平均エネルギー税率[産業+家計] (Euro/ t-co2) 1978-1989 1990-2000 2001-2015. 050 242 98 67. 50100 67 87 65. 100150 11 96 106. 150200 4 39 81. 200250 0 4 37. 250300 0 0 16. 300350 0 0 6. 350400 0 0 0. 300350 0 0 0. 350400 0 0 0. 250300 0 0 23. 300350 0 0 13. 350400 0 0 1. 0.60.7 63 51 27. 0.70.8 15 22 8. 0.80.9 14 3 3. 表1-2 度数分布:平均エネルギー税率[産業のみ] (Euro/ t-co2) 1978-1989 1990-2000 2001-2015. 050 295 177 166. (Euro/ t-co2) 1978-1989 1990-2000 2001-2015. 050 237 98 68. 50100 69 79 63. 0.10.2 14 11 12. 0.20.3 31 22 42. 50100 21 127 104. 100150 0 15 72. 150200 0 0 21. 200250 0 0 8. 250300 0 0 0. 表1-3 度数分布:平均エネルギー税率[家計のみ] 100150 13 85 90. 150200 5 56 80. 200250 0 6 40. 表1-4 度数分布:ジニ係数 Gini 1978-1989 1990-2000 2001-2015. 0.30.4 44 44 65. 0.40.5 63 70 71. 0.50.6 69 96 98.

(8) . している.ここには発熱用のエネルギーも含ま. 計の平均税率とジニ係数の度数分布を,環境税. れているため,推計に歪みをもたらさざるを得. 制改革の流行以前の 1978 年から 1989 年の 11. ないが,データの制約上,全てが発電に用いら. 年間,環境税制改革が欧州各国で行われた 1990. れたものとして控除している.. 年から 2001 年の 11 年間,それ以降の 2002 年. また,石油から自動車用燃料(Transpor t; of which road)を抜き出して,ディーゼル・ガソ. から 2015 年の 13 年間について記している. まず,図 1 と表 1-1 から,1978 年時点での平. リンとして取り扱い,残りを灯油として扱って. 均エネルギー税率はいずれの国も低く,平均エ. いる.エネルギー利用量については最終消費量. ネルギー税率は長期的に上昇傾向にあるもの. (Memo: Total final consumption)を家計,残りを. の,税率が上昇している諸国と上昇していない. 産業としている.なお,自動車用燃料について. 諸国があり,税率のばらつきは増加傾向にある. は産業と家計に分離することができず,石油に. ことが分かる.上昇のトレンドは 1980 年代中頃. おける産業と家計の比率をそのまま用いている. から 1990 年代前半にかけてスタートしており,. ため,ディーゼルとガソリンの推計には歪みが. 1990 年代後半は上昇トレンドが停滞するが,. 生じていることに留意が必要である.さらに,. 2000 年代になって再び上昇していることがわか. エネルギー利用量において石油のうち重油と灯. る.. 油のデータを分離させることが困難であり,重. 平均エネルギー税率の級内相関係数 6)を求め. 油の価格データには欠損が多いことや,エネル. ると 0.424 であり,平均エネルギー税率の変化. ギー利用量においては硫黄含有量の違いを分離. の 42%は税率の国際的な多様化によって説明さ. できないこと,重油の多くは発電・発熱に利用. れることが分かる.多様性が生まれ始めた時期. されることなどから石油の利用量は全て灯油で. は 1980 年代中頃であり,平均税率の差異が長. あると仮定して推計を行った.. 期にわたって保存されるという単純な歴史的経. 産業・家計におけるエネルギー源別の,二酸. 路依存では説明できないことが示唆される.た. 化炭素単位の税額とエネルギー利用量を掛け合. だし,平均エネルギー税率が上昇に転じた諸国. わせてそれぞれの税額を算出し,産業・家計・. と停滞する諸国は一度分離した後にほとんど傾. 産業+家計で税額を合計し,エネルギー利用量. 向を変えていないことから,それ以降の違いは. で除することでそれぞれの加重平均されたエネ. 歴史的経路依存で説明できる可能性も示唆され. ルギー税率を算出した.. る.さらに 1980 年代中頃以降に平均税率が上. 4 推計結果. 加重平均によって求められたデンマーク,ド イツ,日本,オランダ,アメリカにおける二酸. 昇に転じた諸国においても 2000 年代以降にさ らに税率が上昇した諸国とそうではない諸国に 多様化が進んでいることも看取される. 特に注目している諸国についても確認する.. 化炭素あたりの平均エネルギー税率(US$/CO2-. デンマークは 80 年代より税率は高く,それ以. Mt)について,図 1 に産業と家計の合計,図 2. 降も国際的にトップクラスの税率で推移してい. に産業のみ, 図 3 に家計のみ, 図 4 にジニ係数 (産. る.継続的な税率上昇も特徴である.オランダ. 業+家計)を示す.さらに,比較した 27 カ国の. は 80 年代から税率が上昇した典型的な国であ. 1978 年− 2015 年のデータ について図 5 に平均. り,2000 年代以降もさらに税率が上昇してい. エネルギー税率とジニ係数(いずれも産業+家計) の散布図を記した 5).全体的な傾向とその推移 を要約するために表 1 に産業+家計,産業,家 5)税率がゼロなどジニ係数を求められないデー タについては除外している.. 6)級内相関係数(Interclass Correlation Coefficients, / 外分散+内分散)であり,本稿に ICC)とは外分散 (. おいては国家間のばらつきが全体のバラツキの 42% は国家間のばらつきによって,58%が時間を通じた ばらつきによって説明されることを意味している..

(9) . 図2 平均エネルギー税率の長期的国際比較[産業のみ] (単位:Euro/t-co2). 200. オランダ ドイツ 100. デンマーク 日本. 2015. 2014. 2013. 2011. 2010. 2009. 2008. 2007. 2006. 2005. 2004. 2003. 2002. 2001. 2000. 1999. 1998. 1997. 1996. 1995. 1994. 1993. 1992. 1991. 1990. 1989. 1988. 1987. 1986. 1985. 1984. 1983. 1982. 1981. 1980. 1979. 1978. 2012. アメリカ. 0. 出所:図 1 に同じ.. 図3 平均エネルギー税率の長期的国際比較[家計のみ]. ••••• . .X. x. ••. x. .次 x . x. x x. . . x .. ••. x . x . 次 . x 汎 . x . ゥ .. x . . .. . x . . . . . x x . . .x ' x. x. . . . . . . . . 文・・・・・・. x . . .. x . x x . . . x. デンマーク. •. x A. (単位:Euro/t-co2). 200. •. •. •. オランダ. ドイツ. 日本. •••. x. •. ••. 5. . .x . .x︳. . . . .. . . x x . x . x x .. 100. ••. アメリカ 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015. 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992. 1981 1982 1983 1984 1985. 1978 1979 1980. 0. 出所:図 1 に同じ.. る.ドイツは 80 年代よりオランダと同様の経. いないことが分かるが,両国はガソリン課税の. 路をたどり,環境税が導入された 2000 年前後. データに大規模な欠損値が存在しており,デー. はオランダよりも税率が高くなっているが,そ. タの補完方法による結果である可能性が高いこ. れ以降は税率が停滞していることが見て取れ. とには留意が必要である.. る.日本とアメリカはほとんど税率が上昇して. 産業のみの平均エネルギー税率の図 2 と表1-2.

(10) . 図4 エネルギー課税におけるジニ係数の長期的な国際比較 1. 0.8. 日本 オランダ. 0.6. 0.4. ドイツ. アメリカ. ~-·X··wx·~-x. X. : : •x-~,,x. X . ·x.'><'.x-~ 次ぷ.兄!,(.・. 0.2. デンマーク. 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015. 0. 出所:図 1 に同じ.. と,家計のみの平均エネルギー税率の図 3 と表. 率が高くなる傾向が見て取れるが,相関関係が. 1-3 からは,①いずれも平均税率の上昇傾向があ. るとまではいえない.. ること,②産業と比べて家計の平均税率は高い. 以上の分析から得られた知見を確認する.第. こと,③産業の上昇率以上に家計の上昇率が高. 一に平均エネルギー税率は上昇傾向にある.第. いため,より家計重課の大衆課税の様相が強まっ. 二に平均エネルギー税率は多様化傾向にある.. ていることが看取される. デンマークは産業軽課・. 第三に多様化傾向が生じる理由は 80 年代中頃. 家計重課の傾向が顕著であり,オランダは家計. から税率の上昇する諸国が生じたこと,それら. に対して重課は同様であるが,産業に対しても. の諸国のうち 2000 年代にさらに税率が上昇し. 相対的に重課しているという特徴がある.ドイツ. た諸国が存在することである.第四に産業軽課,. は産業に対して比較的重課しているが,家計に. 家計重課の傾向が共通して見られること,第五. 対する税率が中位となっている.日本とアメリカ. に家計重課の傾向は強まっていること,第六に. においては産業,家計のいずれにおいても軽課. 産業軽課と家計重課のバランスは各国によって. の傾向が顕著であることが分かる.. 差異があることである.第七にジニ係数は緩や. ジニ係数( 図 4,表1-4)については緩やか. かな低下傾向があり,もともと多様性が強いこ. な低下傾向が見て取れるが,1978 年から多様. と,第八にジニ係数と平均税率の間に明確な関. な課税ベースに対する税率の構造が存在してい. 係を見出せないことが挙げられる.次節におい. たことが示唆される.具体的にはいずれの国に. て平均エネルギー税率の決定要因について推定. おいても自動車用燃料課税に偏ったエネルギー. を行う.. 課税が行われてきたためであると考えられる. ジニ係数については多様化傾向が認められず,. 5 平均エネルギー税率の決定要因の推定. 緩やかに収束する傾向が見て取れる.平均税率. 平均エネルギー税率が上昇しつつ,国際的に. とジニ係数との関係は平均的にエネルギー源に. 大きな差異が生じてきたのはなぜだろうか.本. 課税(ジニ係数が低い )している場合に平均税. 節ではその要因のうちいくつかの仮説について.

(11) . 図5 平均税率とジニ係数の関係 1 y = -0.0011x + 0.5814 R² = 0.2204. 0.5. 0 0. 100. 200. 300. 検証を行う.説明変数として利用されるデータ. あろうと考えられる底辺への競争説,底辺への. はすべて OECD による国際比較が可能なデー. 競争が制度的に食い止められるとする経路依存. タである.第一に,経済発展の要因である.二. 的調整説,特に途上国において成立する工業化. 酸化炭素排出においては一人当たり GDP が上. の進展に伴う頂点への競争説が存在している.. 昇する経済発展に伴い排出量が増加するが,一. 環境税制改革の先行研究によると輸出産業界の. 定以上の経済発展が進むと排出量が減少する環. 反対によって税制改革が困難になる底辺への競. 境クズネッツ曲線が成立することが知られてい. 争説と,産業への軽課措置の導入によってむし. る.環境クズネッツ曲線が成立する要因は様々. ろ家計への重課を実現する経路依存的調整説が. であるが,経済的余力ができる事により環境へ. 妥当すると考えられる.説明変数としては先行. の意識が高まることが背景として考えられる.. 研究で経済開放度として利用されている(輸出. 本稿の分析では環境意識の高まりの代理変数と. +輸入)/GDP を用いる.. して一人当たり GDP を採用する事にする.係 数は正となることが予想される.. 第四に財政需要の圧力である.財政需要が増 大すれば増税の必要性が生まれる.増税の必要. 第二に,エネルギー集約度(エネルギー利用. 性が高まれば環境税の導入も後押しされる.財. 量(toe)/GDP)である.GDP あたりのエネル. 政需要として政府支出を用いたいところである. ギー利用量が多いということは,産業としては. が,政府支出の定義は複雑である.特に 08SNA. エネルギー集約的産業が大きいこと,消費者と. への対応が諸国によって別れていること,93SNA. してもエネルギー利用量が多いこと,それゆえ. に準拠している 90 年以前の統計については一. エネルギー課税の引き上げについて政治的反発. 貫していて比較可能なデータが整備されていな. が大きいことが予想される.係数は負となるこ. いといった問題がある.そこで,08SNA 準拠. とが予想される.. の政府最終消費支出 /GDP を代理変数として. 第三に,経済のグローバル化である.グロー. 用いる事にする.ただし,政府消費支出には年. バル化は財政制度に大きな影響を与えると考え. 金や最低生活保障などの現金給付が含まれない. られているが,その影響のあり方については複. ため,かなり大きなバイアスが生じている可能. 数の説が存在している.下平(2013)の整理に. 性に注意する必要がある.. 従うと,エネルギー税率に負の影響を与えるで. 第五に他の租税の増税可能性である.本稿で.

(12) . 表2 記述統計量 平均税率. 全体. 1978 ∼ 1989 1990 ∼ 2001 2002 ∼ 2015. GDP / 人口. エネルギー /GDP. グローバル化. 直接税. GST. 政府 消費 支出. 観測数. 1026. 938. 1026. 977. 966. 966. 977. 平均値. 86.398. 9.789. 0.147. 74.631. 21.143. 5.964. 0.187. 標準 偏差. 66.99. 29.124. 0.068. 48.555. 5.999. 2.257. 0.042. 観測数. 324. 276. 324. 276. 274. 274. 276. 平均値. 36.957. 5.945. 0.171. 60.02. 20.386. 4.988. 0.179. 標準 偏差. 29.604. 16.256. 0.074. 34.941. 6.631. 2.456. 0.048. 観測数. 324. 321. 324. 323. 314. 314. 323. 平均値. 87.643. 8.906. 0.151. 68.181. 21.624. 6.096. 0.186. 標準 偏差. 52.19. 25.438. 0.06. 38.723. 6.075. 2.035. 0.041. 観測数. 378. 341. 378. 378. 378. 378. 378. 平均値. 127.709. 13.731. 0.124. 90.811. 21.291. 6.562. 0.194. 標準 偏差. 72.746. 38.497. 0.061. 58.887. 5.367. 2.037. 0.037. は直接税に当たる所得課税+社会負担(SSC). ランダにおいては一人当たり GDP で正,エネ. とエネルギー課税などを除いた付加価値税など. ルギー /GDP で正,グローバル化で負,GST. の一般消費税(GST)を分けて検討する.これ. で負の有意水準が示されている.アメリカは一 人当たり GDP が正,グローバル化が正,GST. らの記述統計量を表 2 に示す. 以上の仮説に基づき,被説明変数として平均 エネルギー税率,説明変数として GDP/ 人口,. が負の係数を統計的有意に示している. 表 3 については推計結果の解釈は行わず,問. エネルギー /GDP, ( 輸出+輸入 )/GDP,政府. 題点を指摘する.第一に,それぞれの国のデー. 最終消費支出 /GDP,直接税 /GDP,GST/GDP. タで回帰分析を行うと,共通の説明変数を用い. を用いて分析を行う.はじめに,デンマーク,. て係数の違い,すなわち各国の文脈の相違を確. ドイツ,日本,オランダ,アメリカのそれぞれ. 認することができるが,国際的な動向や共通す. の国において単純に回帰分析を行ってみる.モ. る要因とメカニズムについて把握することがで. デルは(2)式であり,α は定数項と,複数存. きない.例えば日本についてこのモデルは何も. 在する説明変数 X に対して係数 β を推計する.. 因果を示しておらず,国際比較の意義が十分に. ただし,i は国,t は暦年,ε は誤差項を表す.. 発揮されない.第二に,多重共線性や単位根と. Y i t=a+B X ; ,+. (2). いった推計上の問題をクリアできておらず,推 計結果の信頼性が低い.そこで,上記の 5 カ国. 各国の推計結果を表 3 に示す.デンマークで. を含む OECD27カ国のデータについてパネル. は 1 人あたり GDP の影響が正,グローバル化. データ分析を行うことで,国際的な動向や各国. の影響が負,GST の影響が正となり,統計的. に共通するメカニズムの可能性を考慮し,統計. に有意水準を示している.ドイツにおいてはエ. 的な問題もクリアすることが出来る.. ネルギー /GDP のみが負で統計的有意である. 日本は統計的に有意な説明変数はなかった.オ. パネルデータ分析のモデルは次式で α の定 数項,複数存在する説明変数 X に対する係数.

(13) . 表3 各国分析 デンマーク GDP/ 人口 36.344 *** (5.730) エネルギー /GDP -550.655 (490.494) グローバル化 -2.800 *** (0.789) 直接税 1.001 (3.604) GST 34.000 *** (11.034) 政府最終消費支出 -402.864 (306.230) 定数項 15.938 (212.884) サンプルサイズ 36 決定係数 0.951 F(自由度) 93.991 ***. ドイツ 日本 -112.785 79.588 (75.092) (78.907) -1511.236 *** -174.427 (246.975) (272.851) 0.167 -0.347 (0.397) (0.283) -1.532 0.411 (2.862) (1.537) 10.368 -2.031 (6.654) (3.579) -241.007 187.604 (369.039) (137.051) 342.741 *** 20.817 (67.044) (70.887) 37 36 0.972 0.785 171.887 *** 17.695 ***. オランダ 123.245 *** (12.163) 733.257 ** (284.751) -0.679 *** (0.246) 1.843 (1.200) -17.105 ** (6.551) 184.201 (164.877) -110.313 (73.016) 36 0.981 245.688 ***. アメリカ 118.025 *** (33.799) 8.635 (22.568) 0.277 ** (0.111) -0.312 (0.194) -5.153 ** (1.901) -46.154 (30.042) 23.122 * (12.148) 37 0.982 275.114 ***. カッコ内は標準誤差 ***: p<0.01, **: p<0.05,*: p<0.1. βを推計する.ただし,i は国,t は暦年,μ. めエネルギー課税に頼らざるを得ない状況が見. は国別の効果,ε は誤差項を表す.. て取れる.もっとも,直接税よりも GST の効果.  . =a+f3Xtt+μ,+ i=1 ,. ., N ,t=1 ,. ., T. の方が大きく,直接税というより間接税の増税可 (3). パネルデータ分析においては F 検定から固. 能性が重要であることが示唆される.政府消費 支出についても正の係数であり,財政需要が高 ければ税率が高くなるという関係が見て取れる.. 定効果モデルが,BP 検定からは変量効果モデ. 以上のパネルデータ分析によって得られた係. ルが,Hausman 検定からは固定効果モデルが. 数は,各国に共通する平均的な効果として推計. 支持されるため固定効果モデルを選択する.係. されたものである.しかし,多元因果・文脈化さ. 数の推計結果を表 4 に示す.GDP/ 人口の係数. れた比較の議論を考慮するとこれらの説明変数. は正であり,経済発展に伴い税率が上昇してい. の係数は各国によって異なる,場合によっては符. ることが分かる.エネルギー /GDP の係数は. 号が逆である可能性がある.そこで,次式で表. 強い負で仮説を支持している.グローバル化に. されるマルチレベル分析を行う事にする.マルチ. 関する係数は正で統計的に有意であるがその値. レベル分析では,被説明変数の係数は各国共通. は小さい.グローバル化の係数については注意. の場合(パネルデータ分析と同じ)と各国によっ. が必要で,プールド OLS では負の係数となっ. て異なる場合(各国ごとの回帰分析と同じ)があり,. ていて底辺への競争説が支持されているように. 式(2)と式(3)の両方の性質を持つ.式(4). 見えるが,それは見せかけの関係でありグロー. の β0 は各国共通の係数,βi は各国で異なる文. バル化の影響は若干平均エネルギー税率を引き. 脈を示す. +. 上げるという経路依存的調整説と整合的な結果 となっている. 直接税と GST の係数はいずれも正であり,基 幹税の税率が高ければ増税可能性が低くなるた.  . +/1;+ . ., T. (4). マルチレベル分析の結果は表 5 に示してあ.

(14) . 表4 パネルデータ分析 GDP/ 人口 エネルギー /GDP グローバル化 直接税 GST 政府消費支出 定数項 サンプルサイズ   個体数   決定係数    F(固定 VS プールド)    BP(変量 VS プールド)    Hausman(固定 VS 変量). 固定効果 0.595 (0.128) -539.128 (47.354) 0.224 (0.093) 4.459 (0.636) 13.33 (1.244) 478.546 (79.443) -119.786 (17.733). *** *** ** *** *** *** ***. 0.732. 変量効果 0.669 (0.124) -565.611 (45.493) 0.133 (0.089) 3.964 (0.615) 13.178 (1.224) 462.829 (78.483) -98.697 (19.705) 929 27 0.483 22.934 1549.486 19.825. *** ***. *** *** *** ***. プールド OLS 1.313 *** (0.073) -705.996 *** (27.78) -0.493 *** (0.043) 1.101 *** (0.384) 7.952 *** (0.887) 516.048 *** (65.739) 45.285 *** (6.856). 0.553 *** *** ***. カッコ内は標準誤差 ***: p<0.01, **: p<0.05,*: p<0.1. る. 自 由 度 を 確 保 す る た め に エ ネ ル ギ ー /. ているが,グローバル化の影響は不安定である.. GDP,グローバル化,直接税,GST,政府最終. エネルギー/GDP の係数は概ね負の係数となっ. 消費支出について,それぞれ各国の係数が異な. ているがばらつきは大きく,日本については係. る場合のモデルを構築している.本稿の分析で. 数が正となっている.このことは,産業構造の. は,それぞれの説明変数について,各国におい. 高度化が進み,エネルギー集約度が低くなって. て係数が異なる場合について検討し,その変数. いるにも関わらず平均エネルギー税率が低く抑. については β0 は 0 として分析を行なっている.. えられているという日本固有の文脈を示してい. なお,一人当たり GDP については各国で統計. ると考えられる.. 的有意かつ係数の符号が逆転する事例は見出せ. グローバル化を国別の効果に分離した場合,. なかったため各国ごとの推計は行わなかった.. その係数は正と負に散らばっている.ドイツ,. モデルは F 検定,Hausman 検定より変量効. デンマーク,オランダなどの頂点への競争説が. 果を選択している.比較のためにパネルデータ. 支持される諸国,日本やアメリカのように底辺. 分析の変量効果を再掲してある.また,モデル. への競争説が妥当する諸国が存在していること. においては 27 カ国それぞれの係数が推計され. が見て取れる.このような国際的にばらつきが. るが,煩雑さを避けるために,本稿で特に比較. 大きい状態であるため,平均の効果が不安定と. 対象として取り上げている 5 カ国についてのみ. なっていると考えられる.. 推計値を示してある.. 次に,直接税と GST の影響についてである.. エネルギー/GDP を国別の効果に分離した場. 直接税と GST との係数も正と負に大きくばら. 合,グローバル化の係数が負になる傾向が見て. つきがある.デンマークでは直接税も GST も. 取れる.統計的には有意であるという結果が出. 正の値をとっており,他の税率の高さが平均エ.

(15) . 表5 マルチレベル分析 変量効果(再掲) エネルギー /GDP GDP/ 人口 0.668 *** 1.205 *** (0.124) (0.149) エネルギー /GDP -565.195 *** (45.487) グローバル化 0.133 -0.247 *** (0.089) (0.082) 直接税 3.960 *** 5.138 *** (0.615) (0.526) GST 13.191 *** 12.086 *** (1.224) (0.997) 政府最終消費支出 462.545 *** 504.247 *** (78.473) (64.125) 定数項 -98.702 *** -25.752 (19.703) (18.292) 各国の効果(抜粋) エネルギー /GDP DNK -2,075.933 *** (191.479) DEU -1,546.064 *** (125.756) JPN 921.977 *** (329.023) NLD -2,910.630 *** (187.471) USA -128.683 (86.879) サンプルサイズ 929 個体数 27 決定係数(全体) 0.732 0.881 F(固定 VS プールド) 22.944 *** 30.742 *** Hausman(固定 VS 変量) 19.825 *** 0.000. グローバル化 1.459 *** (0.157) -635.943 *** (52.538). 5.769 *** (0.577) 11.920 *** (1.126) 295.609 *** (72.874) -129.124 *** (18.971) グローバル化 1.511 *** (0.324) 1.137 *** (0.286) -1.409 * (0.816) 3.111 *** (0.312) -4.555 *** (1.092). 0.845 20.271 *** 0.000. 直接税 0.764 *** (0.119) -417.954 *** (43.339) 0.106 (0.088). 10.775 *** (1.244) 338.486 *** (76.779) -79.233 (57.952) 直接税 17.689 *** (2.055) -17.888 *** (5.395) 2.170 (3.173) -12.630 *** (1.641) 1.170 (3.840). 0.656 18.009 *** 0.000. GST 1.502 *** (0.122) -455.263 *** (40.430) 0.497 *** (0.090) 4.288 *** (0.575). 563.785 *** (69.200) -130.063 *** (20.999) GST 66.229 *** (14.675) 47.584 *** (9.031) -5.489 (4.165) 75.646 *** (1.861) -88.066 ** (34.744). 0.853 24.150 *** 0.000. 政府最終消費支出 0.375 *** (0.131) -464.787 *** (45.462) 0.367 *** (0.097) 2.439 *** (0.644) 11.229 *** (1.247). -106.054 * (58.036) 政府消費支出 -308.654 (392.238) -1,898.748 *** (514.827) -283.332 (235.431) 1,685.980 *** (324.739) 1,023.995 (627.696). 0.600 11.051 *** 0.000. カッコ内は標準誤差 ***: p<0.01, **: p<0.05,*: p<0.1. ネルギー税率の高さの要因となっていることが. している.ドイツにおいては大きく負の係数を. 伺える.ドイツとオランダでは GST は正となっ. 示しており,政府消費支出の増加は平均エネル. ているが直接税は負となっている.これは,直. ギー税率を引き下げる要因となっていることが. 接税( ドイツの場合は社会保険料 )を引き下げ. 示されている.このことは,ドイツにおいてエ. るためにエネルギー課税を引き上げたというド. ネルギー税収は政府消費支出には含まれない年. イツ固有の文脈を示していると考えられる.他. 金財源として位置づけられたことによるもので. 方で,日本においては直接税も GST も平均エ. ある可能性がある.他方で,日本においては係. ネルギー税率を説明する要因としては適切でな. 数は大きく正であり,政府消費支出の抑制が平. いことが示されている.アメリカにおいては. 均税率の抑制に繋がった可能性が示唆される.. GST のみ大きく負の値を示しており,GST と エネルギー課税は代替的な関係,すなわち一般 消費税の増税可能性が残っているために,あえ て反対の大きい平均エネルギー税率を上昇させ る必要がないことが示唆される.. まとめ. 本研究によって得られた知見をまとめる. 第一に,平均エネルギー税率は国際的に低い 状態から,ある国は税率が上昇し,ある国は税. 最後に政府消費支出について確認する.政府. 率が上昇しないために,多様化しながら全体と. 消費支出の係数は正負に大きなばらつきが存在. して上昇してきている.平均エネルギー税率が.

(16) . 表6 まとめ デンマーク 一人当たり GDP (環境意識) 政府最終消費支出 (財政需要) エネルギー /GDP (エネルギー集約的な経済構造) (輸出+輸入)/GDP (グローバル化) 所得税+社会負担 (直接税) GST (一般消費税). ドイツ. 日本. オランダ. アメリカ. プラス −. マイナス. −. プラス. −. マイナス. マイナス. プラス. マイナス. −. プラス. プラス. マイナス. プラス. マイナス. プラス. マイナス. −. マイナス. −. プラス. プラス. −. プラス. マイナス. 上昇する契機は 80 年代中頃からと 2000 年以降. 果の議論と整合的である.例えば,繰り返しに. であり,平均エネルギー税率が上昇し続けたデ. なるが同じ財政需要の高まりが,ドイツにおい. ンマークやオランダ,環境税制改革によって平. ては平均エネルギー税率の抑制要因となり日本. 均エネルギー税率が上昇するがその後は停滞す. においては引き上げ要因となっている.計量分. るドイツ,エネルギー税率が上昇しない日本や. 析からは,なぜ各国で係数が異なるのかについ. アメリカといった諸国に分類することができ. てを明らかにすることは困難であるが,多くの. る.第二に, エネルギー課税について産業軽課,. 事例(本稿では 1978 年―2015 年,27 カ国)から. 家計重課は全体的な傾向だが,平均エネルギー. 平均的な傾向を見出すことによって,それぞれ. 税率が高い諸国でも,産業と家計の税率の差が. の国の平均税率や税源の偏在性,規定要因の特. 大きいデンマークや,差が少ないオランダなど. 徴を明らかにすることができた.. バリエーションは豊富である.. 最後にマルチレベル分析を通じた分析によっ. 第三に,平均エネルギー税率を規定する要因. て,日本の置かれている文脈が特に異なること. についていくつかの仮説を,各国の文脈が異な. について考察を加える.日本の特徴はグローバ. ることを前提として検証した.説明変数は各国. ル化の進展によって平均エネルギー税率が負の. に共通した効果をもたらすと仮定して行ったパ. 影響を受けていること,エネルギー/GDP の影. ネルデータ分析からは,経済発展に伴い,エネ. 響が正であることの2点である.グローバル化. ルギー集約度の低下に伴い,経済のグローバル. の影響が平均エネルギー税率を抑制しているこ. 化が進むにつれ,直接税と GST の税率が高ま. とはアメリカにおいても同様であり,むしろ国. るにつれ,政府消費支出が増加するにつれ,平. 際協調の枠組みが強力な欧州が特殊な事例とい. 均エネルギー税率は高まる傾向が確認された.. えるかもしれない.底辺への競争がエネルギー. しかし,マルチレベル分析によると,各国ごと. 課税に妥当するのかどうかについて,欧州以外. の文脈は多様であることが分かった.表 6 に各. の諸国との国際比較を進める必要があろう.エ. 国の文脈の違いをまとめてある.財政需要の高. ネルギー/GDP の低下がむしろ平均エネルギー. さ,エネルギー集約的な経済構造,グローバル. 税率の抑制を引き起こした点は,日本において. 化の進展度,直接税の高さ,一般消費税の高さ. のみ観察される特殊な文脈である.. が平均エネルギー税率に与える影響は各国に. 本稿の貢献として,比較財政史の方法と計量. よって異なる.この計量分析における係数の違. 分析の方法とを調和しながら,財政社会学にお. いは,比較財政史における文脈の比較・多元因. ける国際比較研究として,各国において異なる.

(17) . 文脈の可能性を明らかにした.ただし,なぜ文 脈が異なるのかについては各国の財政史研究を. DP2017-11. 下村好博(2013)「福祉国家の産業化理論・修練理. 通じて具体化する必要があろう.最後に,今後. 論―生成・発展・縮減の理論分析―」鎮目真人,. の課題について記しておく. 第一に, エネルギー. 近藤正基編『比較福祉国家』ミネルヴァ書房,. 課税の国際比較研究としては電力税を扱ってい ない.第二に,比較財政史の分野で蓄積のある 5 カ国の分析に絞ったが,比較可能なデータの 存在する 27 カ国それぞれについて分析を深め ることが必要である. 参考文献 石弘光編,環境税研究会著(1993)『環境税―実態 と仕組み』東洋経済.. 22-37 頁. 竹内恒夫(2004)『環境構造改革――ドイツの経験 から』リサイクル文化社. 坪郷實(2009)『環境政策の政治学―ドイツと日本 ―』早稲田大学出版部. 筒井淳也,不破麻紀子(2008)「マルチレベル・モ デルの考え方と実践」 『理論と方法』第 23 巻 2 号,139 149 頁. 筒井淳也(2013)「マルチレベル分析―態度と価値. 石弘光(1999)『環境税とは何か』岩波新書.. 観における国家と個人の分析―」鎮目真人,. 井手英策(2008) 「財政社会学とは何か?」『エコ. 近藤正基編『比較福祉国家』ミネルヴァ書房,. ノミア』第 59 巻 2 号,35-59 頁. 井手英策(2013) 「財政学批判としての比較財政史 ―財政社会学の方法論的豊富化のために―」 井手英策編『危機と再建の比較財政史』ミネ ルヴァ書房,1-22 頁. 神野直彦(2009) 「租税政策の形成過程―財政社会. 118 142 頁. 西澤栄一郎・喜多川進(2017)『環境政策史:なぜ いま歴史から問うのか』ミネルヴァ書房 朴勝俊(2009) 『環境税制改革の「二重の配当」 』 晃洋書房. 福田直人(2013)「ドイツにおける紗愛保証制度の. 学的アプローチによる国際比較」神野直彦,. 変容と財政問題―ハルツⅣ改革と社会保障財. 池上岳彦編『租税の財政社会学』税務経理協会,. 政再編―」井手英策編『危機と再建の比較財. 1-23 頁.. 政史』ミネルヴァ書房,251-268 頁.. 喜多川進(2015)『環境政策史論:ドイツ容器包装 廃棄物政策の展開』勁草書房. 倉地真太郎(2015)「比較財政における方法論的検 討―財政社会学における国際比較―」『三田学 会雑誌』,107 巻 4 号,27(571)-41(585). 倉地真太郎・佐藤一光・島村玲雄(2016)「環境税. 諸富徹(2000) 『環境税の理論と実際』有斐閣. 八巻節夫(2000) 「環境税制改革の実現可能性」 『経 済研究年報』第 25 号,65∼95 頁. ピアソン(2010)『ポリティクス・イン・タイム− 歴史・制度・社会分析』勁草書房. Krebs, Carsten und Danyel T. Reiche ,1999, Der. は 国 際 協 調 に な ぜ 失 敗 し た か?」Keio-IES. Einstieg in die ökologische Steuer reform ,. Discussion Paper Series, DP2016-001.. Aufstieg, Restriktionen und Durchsetzung eines. 倉地真太郎(2017)「デンマークにおける環境関連. umweltpolitischen Themas , Peter Lang GmbH,. 税制の政策過程分析−炭素税に着目して−」. Europäischer Verlag der W issenschften,. Keio-IES Discussion Paper Series, DP2017-10.. Frankfurt am Main.. 佐々木義之(2007)『変量効果の推定と BLUM 法』 京都大学出版会. 佐藤一光(2015) 『環境税の日独比較』慶應義塾大 学出版会 島村玲雄(2017) 「オランダにおける環境税の導入 過 程 」Keio-IES Discussion Paper Series,. Locke, Richard M. & Kathleen Thelen, 1995, ‘Apples and Oranges Revisited: Contextualized Comparisons and the Study of Comparative Labor Politics , Politics & Society 23(3), pp.337367. Mahoney, James & Dietrich Rueschemeyer, 2003,.

(18) . Comparative Historical Analysis in the Social. 本稿の作成にあたり,環境政策史研究会の各位,. Sciences , Cambridge University Press.. 特に喜多川進先生(山梨大学)には有益なコメン. Mar tin, Isaac W. et al., 2009, The Thunder of. トを頂いた.環境経済・政策学会の企画セッショ. History: The Origins and Devel- opment of the. ンにおいては,朴勝俊先生(関西学院大学),伊藤. New Fiscal Sociology , Martin, Isaac W. et al.. 康先生(千葉商科大学) ,古市将人先生(帝京大学). eds., The New Fiscul Sociology: Taxcetion in. には建設的なご批判を頂いた.生態経済・環境税. Comparative and Historical Perspective ,. 研究会では井手英策先生(慶應義塾大学),島村玲. Conbridge University Press.. 雄先生(熊本大学),茂住政一郎先生(横浜国立大. Schreurs,Miranda Alice, 2002,Environmental. 学) , 倉地真太郎氏(後藤・安田記念東京都市研究所). Politics in Japan, Germany, and United States ,. と共に研究を進めた.データ収集には高橋涼太郎. Cambridge,The Syndicate of the Press of the. 氏(慶應義塾大学経済学研究科)に,データ整理. University of Cambridge(長尾伸一,長岡延考. のプログラミングには藤遥氏にご協力頂いた.以. 監訳(2007) 『地球環境問題の比較政治学――. 上の方々にここに記して深く感謝申し上げる.な. 日本・ドイツ・アメリカ』岩波書店).. お,本稿における誤りは全て筆者の責に帰するも. OECD, 2013, Taxing Energy Use a Graphical. Analysis , OECD Publishing. OECD, 2015, Taxing Energy Use 2015: OECD and. Selected Partner Economies , OECD Publishing.. のである.本研究は文部科学省私立大学戦略的基 盤形成支援事業「ユーラシアにおける「生態経済」 の史的展開と発展戦略(事業番号 S1491002)」の 助成を受けて行なっている.. OECD, 2016, Effective Carbon Rates: Pricing Co2. Through Taxes and Emissions Trading Systems , OECD Publishing.. (査読付論文 2019 年1月受理) (岩手大学人文社会科学部准教授).

(19)

参照

関連したドキュメント

民間ベースの事業による貢献分 とは別に、毎年度の予算の範囲 内で行う政府の事業により 2030 年度までの累積で 5,000 万から

2 つ目の研究目的は、 SGRB の残光のスペクトル解析によってガス – ダスト比を調査し、 LGRB や典型 的な環境との比較検証を行うことで、

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

Combining energy-derived CO 2 emissions (industrial, commercial, residential, and transport sectors) with non-energy-derived CO 2 emissions (others), trends and composition ratios

Combining energy-derived CO 2 emissions (industrial, commercial, residential, and transport sectors) with non-energy-derived CO 2 emissions (others), trends and composition ratios

If you have any questions concerning this assessment, wish to apply for an exemption from, or reduction of, duties and taxes, or prefer customs duty assessment in accordance

Solar Heat Worldwide Market and Contribution to the Energy Supply 2014 (IEA SHC 2016Edition)

析の視角について付言しておくことが必要であろう︒各国の状況に対する比較法的視点からの分析は︑直ちに国際法