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集合住宅における居住者の採涼行動とエネルギー消費量の関係に関する研究 横浜市郊外の長期経過集合住宅を対象として

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Academic year: 2021

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(1)集合住宅における居住者の採涼行動とエネルギー消費量の関係に関する研究 横浜市郊外の長期経過集合住宅を対象として 1563201 指導教員. 張晴原教授. 菊地弘樹. 田中稲子准教授. 1.序論 近年、地球温暖化等の地球規模の環境問題が問題 …WBGT 計・風速計 視されるなか、夏季の住宅においては壁面緑化をは じめとするパッシブクーリングが注目されている。 既往研究においても、根本らによる地窓付近の植栽 の室内温熱環境に与える影響に関する研究 1)など、 パッシブクーリング手法に関する研究は数多く行わ れている。一方で、パッシブクーリングでは、それ らの手法を用いる居住者自身が温熱環境を正しく認 知し室内を快適にするためにとる行動(以下、採涼行 動)を適切に行うことが前提として重要となってく る 2)。しかしながら、長期経過集合住宅における居 住者の採涼行動については研究が進んでいないのが 図 1 実測住宅の平面図 現状である。 表 2 アンケート概要 したがって、本研究では長期経過集合住宅におけ 項目 概要 る生活環境や習慣、意識と採涼行動の関係を明らか 調査期間 2018年10月25日~11月9日 にすると同時に、採涼行動が実際のエネルギー消費 調査対象 左近山団地第2街区の居住者 量に与える影響を把握することを目的とする。 調査方法 アンケート用紙による調査 有効回答数 92件(回答率16.9%) 2.研究方法 3.温熱環境及び団地居住者の実態調査 研究対象は長期経過集合住宅で、過去に大規模な 採涼行動や習慣、エネルギー消費量等に関するヒ 断熱改修工事等が行われていない横浜市郊外の団地 アリングの結果を表 3、また、ヒアリング結果から とした。まず、居住者の生活環境や意識、採涼行動 外出習慣や生活意識等に特に大きな差が見られた世 等の実態を把握するために、2018 年 9 月、夫婦二人 帯 A と世帯 B における湿球黒球温度(WBGT)と温冷感 暮らし 3 世帯を対象に実測調査、温冷感・快適感申 申告、快適感申告の結果を図 2 に示す。申告結果を 告及びヒアリング調査を行った。実態調査の概要と 比較すると、世帯 A の方が温熱環境の変化に対する 実測対象の平面図及び機器設置位置はそれぞれ表 1 快適感の変動が小さく、申告値は全体的に世帯 B よ と図 1 に示す通りで、調査時期は、採涼行動の変化 りも快適側に分布している。実測期間中は世帯 A、B について明らかにするために、猛暑よりも暑さが和 らぎ採涼行動が多様化すると考えられる 9 月とした。 ともにエアコンの使用はなかったが、日中の最も気 温が高い時間帯の WBGT を日本生気象学会の基準 3) その後、より多くの居住者の意識や採涼行動、エネ と比較しても、日常生活に置ける熱中症の危険性は ルギー消費量等を把握するために、同団地にて 2018 低いという結果が得られた。 年 10 月下旬にアンケート調査を実施した。アンケー ト概要は表 2 に示す。以上の調査結果を分析するこ 表 3 ヒアリング結果 とで、団地における居住者の習慣や意識と採涼行動 ヒアリング対象 世帯A 世帯B 世帯C の関係、採涼行動の違いによるエネルギー消費量の 回答者性別・年齢 女性・79歳 男性・77歳 女性・72歳 違い等を把握する。 回答者身⾧・体重 153cm・50㎏ 160㎝・47㎏ 156㎝・44㎏ 世帯構成 夫婦二人暮らし 夫婦二人暮らし 夫婦二人暮らし 表 1 実態調査概要 居住階・年数 5階・49年 3階・30年 2階・50年 普段の運動習慣. 2時間以上/日. 30分~1時間/日. 30分以下/日. 8月の採涼の仕方. エアコン・扇風機・窓開け併用. エアコン・扇風機併用. エアコン・扇風機・窓開け併用. 世帯A:2018年9月21日~9月24日. 9月の採涼の仕方. 扇風機・窓開け併用. 扇風機・窓開け併用. 扇風機・窓開け併用. 世帯B:2018年9月25日~9月27日. 窓開放時の不快要因. 風・砂埃. ―. ―. 調査場所. 横浜市郊外のS団地(1968年竣工). 調査期間. 世帯C:2018年9月28日~9月30日. バルコニー緑化につ. ・温熱環境測定(WBGT計(30秒間隔)、風速計(1分間隔)) 調査項目 ・温冷感・快適感申告(各7段階、3回/日) ・ヒアリング調査(8,9月の採涼行動、緑化・外出習慣等). いて. 栽培・鑑賞のため・育てた野菜 を食べるためにプランターで栽 培している. 省エネルギーに関す 使っていない家電のスイッチは る生活の工夫につい なるべく切るなど意識的に行っ て. ている. バルコニーが土で汚れるのが嫌 栽培・鑑賞等の趣味のためにプ なので栽培しない 関心がなく特に何も行っていな い. ランターで栽培している 具体的に何を行えばよいのかわ からないので特に何も行ってい ない.

(2) 1 2 3 4 5 6 7. 温冷感 寒い 涼しい やや涼しい どちらでもない やや暖かい 暖かい 暑い. 快適感 非常に快適 快適 やや快適 どちらでもない やや不快 不快 非常に不快. 8月. 9月 *…p<0.05 **…p<0.01 ***…p<0.001. 図 4 8、9 月の採涼行動と電力使用量の関係 (n=33) 世帯 A. 図5. 8 月 AC 使用者の緑化量と 9 月 AC 使用の関係. 世帯 B. 図2. 世帯 A 及び B の室内 WBGT と申告結果. 4.採涼行動等に関するアンケート調査 4.1 回答者属性 回答者の年齢分布は全体の 85%以上を 60 代以上が 占めており、家族構成は実測した世帯同様、夫婦二 人暮らしという回答が半数以上という結果であった。 4.2 採涼行動とエネルギー消費量 8 月と 9 月の採涼行動についての設問に対する回 答をそれぞれ「エアコンを使用していない群」 (Ⅰ群) と「エアコンと扇風機を併用している群」 (Ⅱ群)と 「エアコンのみ使用している群」 (Ⅲ群)の三つに分 類し月別電力使用量の平均を比較した。8 月・9 月と もにⅠ群<Ⅱ群<Ⅲ群の順で電力使用量に違いが見 られた(図 4)ことから、エアコンの電力消費が夏期 電力消費量に与える影響は大きく、エアコンは扇風 機との併用で、より効率的に使用できると思われる。 4.3 緑化量と採涼行動変化 8 月にエアコンを使用している回答者を対象に緑 化量と 9 月のエアコンの使用有無の関係を分析した ところ、緑化量が多くなるほど「エアコンを使用し ない」割合が増加する傾向が見られた(図 5)。これ は植栽の手入れなど、緑化により屋外に出る機会が 増加したことによる暑さへの適応や環境認知の機会 の増加が要因であると考えられる。 4.4 窓開放時の不快要因と採涼行動変化 窓開放時の不快要因に関する設問の回答と 8 月か ら 9 月にかけての採涼行動変化の関係を図 6 に示す。 窓開放時に風を不快に感じることが多いほど 9 月ま でエアコンを使用する割合が増加する傾向が見られ. 屋外の風を不快に感じる頻度. その他不快要因(注 1)の有無. 図 6 窓開放時の不快感と採涼行動変化(n=78) た。風以外の不快要因(*1)の有無によってもわずかに 差が見られたが、風による不快頻度ほど大きな差は 現れなかったことから、風による不快感が居住者の 採涼行動に与える影響は大きいものと考えられる。 5.結論 以上の結果から、緑化や外出習慣、窓開放時の不 快要因と採涼行動の間に関係が見られた。緑化や外 出習慣により屋外に出る機会が多い人は、暑さへの 適応・環境認知によって採涼行動が変化しやすくな り、その一方で窓開放時の不快要因、特に風による 不快感は在宅時の外気との接触・環境認知を妨げ、 採涼行動が変化しにくくなったと考えられる。さら に、これらの影響で変化する採涼行動は 4.2 の結果 から電力使用量にも影響を及ぼすと考えられる。 不快要因の影響を考慮した実測調査や、被験者実 験による適応や環境認知と採涼行動変化の関係把握 等、より具体的な検証を行い、パッシブクーリング の具体的な提案へ繋げることが今後の課題である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― (注 1):自由記述から排気ガス・騒音・虫・隣家のたばこの煙等が例として挙げられた。 引用・参考文献 1)根本輝ら 7 人: 建築外部空間の微気候調整による住宅のパッシブクーリング効果そ の2,日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿),pp513-514,2014.9 2)下川美代子,手塚哲央:住宅敷地内およびその周辺における緑環境認知と家庭のエネ ルギー消費の関係 居住者の採涼行動・屋外環境の感じ方・省エネルギー行動意識か らの考察,日本建築学会環境系論文集,第 76 巻,第 662 号,pp325-333,2011.4 3) 日本生気象学会:「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3,2013 http://seikishou.jp/pdf/news/shishin.pdf.

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参照

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