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<研究論文>路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察─エスノグラフィーから見えてきた支援を拒む池袋地区のホームレスを事例として

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Academic year: 2021

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(1)l b _. 三. The Rise of Public in “Another Suburb”: A History of Grassroots Activists in Hiratsuka and Isehara after the 1960s. 研究論文. Naoki Kawaue. ──エスノグラフィーから見えてきた支援を拒む池袋地区のホームレスを事例として1. 路上生活者を取り巻く生活環境と 健康との関連性に関する一考察 高桑郁子. In order to reconsider history of postwar Japanese society, this paper revisits. history of suburb. Scholars have believed suburb as the place of “private life centrism”, primary nature of Japanese society after 1970s. However, this paper finds history of grassroots activism in Hiratsuka and Isehara after the 1970s demands to rethink the concept.. 1.研究目的. Existing perspective about suburb is narrow, only looking at private lives of its 本稿の目的は,池袋地区で実施する 1)医療相談会データを用い,年齢,. resident. However, in this perspective, we can understand just one side of suburb. In fact,. 症状,受診回数,医療機関への紹介状の内容を精査するとともに,2)炊. many movements happened in suburb. From 60s to 70s, through the development of. き出し・夜回り・医療相談会に来る路上生活者の他者との関わり方と生活. urbanization, many houses were built in inconvenient areas in suburb. There were no. 環境を観察することで,現在の路上生活者の様相と健康課題について分析. market, no nursery, and no public transport. This situation caused movement to. し,生活環境と健康との関連性を考察することである。. improve neighborhood. Contrary to the image of “private life centrism”, this movement created “publicness” around these areas.. 2.はじめに. Particularly in Hiratsuka and Isehara, it is crucial to pay attention to its historical. legacy of the Movement for Civic Rights and Freedom in the 1880s. This tradition of. 2.1. 政府統計からみるホームレス. social movement did help the newcomers to the area in the late 20th century.. 厚生労働省の概数調査によると,全国の路上生活者の数は2016年1月の. Existing perspective about suburb could not give light on these facts. Suburb is. not only new residential quarter, but also originated from farming village. People lived. 時点で6,235人おり,過去最多だった2003年の25,296人と比べると,約4. there are concerned with not only their own family lives, but also “our town”. In fact,. 分の1に減少している(厚生労働省2014) 。しかしながら,実際にはこの. it was “another suburb” filled with the sense of “publicness”. Given this insight, it is. 数値以上の路上生活者が存在することは,支援者たちの間では周知の事実. now possible to grasp the history of Japanese society in a new light. This view provides. である。2012年の「ホームレスの実態に関する調査」では,路上生活者. a possibility to comprehend the present state of “publicness” again.. の「高齢化」と「長期化」の進展が指摘され,長期層ほど「今の生活でい い」と考えていることを示している。また,路上と屋根のある場所を繰り 返し行き来している路上生活者が存在し,自立支援センターなどからアパ ートに入居しても,路上生活に戻る人が一定数いることを指摘している. 112. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. 三. 113. ー.

(2) し. 二 (厚生労働省2012)。路上生活者が高齢化・複雑化する中で,従来の支援. は肺炎,餓死,凍死をはじめ,総じて予防可能な死因による死亡であった。. では対応しきれなくなっている現状がある。. 森川ら(2011)は2008年の調査で,ホームレスの6割が精神障がいを有す. 京都市では,ホームレス支援施設の運営見直しを行ない,住みながら生. ることを明らかにした。青山ら(2012)は,路上生活者の救急要請から. 活訓練を行う従来の「更生施設」から,身体や精神の疾患を抱えている人. 診療終了までの状況を調査し,救急要請の応需と診療の遂行に支障を来す. にも対応できる「救護施設」を,2020年度にも新設して移行する政策を. 因子を解明している。しかし,欧米のホームレス研究数と比較しても,医. 発表した。全国的にも,厚生施設から救護施設への移行が進められている。. 療分野においての研究は限られている。東京都内の医療相談会の実態報告. そして医療・介護の視点を持ち合わせた上で,個別的な対応を充実させる. は2000年代初期までされていた(五十嵐2005,大村2003,大脇2003)が,. 計画がある 。現場ではこのように路上生活者問題は,労働問題から医療・. それ以降は報告されていない。. 福祉問題へと移行しているが,学術的にはどのような議論が交わされてき. 2.2.3 看護学分野. たのか,先行研究の整理をする。. 看護の分野になると,文献検索データベース医中誌でキーワード「ホー. 2. ムレス」「路上生活者」「看護論文」「原著論文」で検索しても,8本の論 2.2. ホームレスに関連する先行研究の整理. 文のみが該当した。そのうち4本が結核に関する調査だった。その他の4. 本節ではホームレスに関連した先行研究について,社会学と,医療・看. 本は,清水ら(2002)の,山谷地区に住む路上生活者の日々の生活の参. 護学の分野から示す。. 与観察で記述し考察している。古謝(2010)は,ホームレス状態にあっ. 2.2.1. 社会学の分野. た患者の退院調整を,PSW との協働作業で実現したことを報告した。松. 1990年代より多くの社会学者によって研究されてきた。寄せ場研究か. 井(2011)は,アルコール依存症を持つ路上生活者への支援を,梶原. ら始まり,歴史的な変遷,差別や排除の構造,反発から来る闘争運動,路. (2014)は,病院に搬送された重篤な疾患を持つ路上生活者の事例を通し,. 上生活者の日常生活,日本における家族規範と自己責任に関しての議論,. インフォームド・コンセントの在り方と看護師の役割を考察した。このよ. 支援者との関係性など,さまざまな角度より探求されてきた。(青木1989,. うに看護学においても,ホームレスに関連した研究は少ないことがわかっ. 山口1999,堤2000,妻木2000,藤井2003)。時代の流れの中で,女性ホー. た。. ムレスや若年層,知的障がいを持つ路上生活者など,今まで見えづらい存. そこで本稿では,2000年代後半以降なされていない健康相談会のデー. 在 だ っ た 人 々 が 着 目 さ れ 始 め て い る( 丸 山2006, 山 北2015)。 白 波 瀬. タをまとめ,観察的参与をすることで,現在の路上生活者の様相と健康課. (2015)はあいりん地区の簡易宿泊所に住む高齢者に着目した研究を始め. ー. 1 1. ―壬}. 題を調査することとした。. ている。社会学において,労働問題として取り上げられてきたホームレス 研究は,医療・福祉問題へと注目・移行され始めている。. 3.本研究の方法. 2.2.2 医療分野. 路上生活者問題は,医療・福祉問題に移行しているにも関わらず,医療. 本研究では量的調査と質的調査の手法の一つであるエスノグラフィーを. 分野の研究は少ない。文献検索データベース医中誌で, 「ホームレス」 「路. 用いたミックスメソッドで調査研究を行った。量的調査で得られる演繹的. 上生活者」「原著論文」をキーワードに検索すると,1990年以降 で該当す. 推論とエスノグラフィーで浮かび上がる帰納的推論を組合せ多角的に分析. る論文は49本のみであった。逢坂(2003)は,大阪市のホームレスの死. し,路上生活者の統合理解を目指した。. 亡調査を実施し,死亡平均年齢が56.2歳であることを明らかにした。死因. 量的調査では,A 団体が管理する路上生活者のための医療相談会データ. 114. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 115. F.

(3) し. 二 を活用した。データを整理して,相談者の年齢,症状,受診回数,紹介状. 図表2 2014年度医療相談会 相談者数年齢別. の内容から特徴を分析した。医療相談会のデータは,2014年4月から2015. 年齢. 20 代. 30 代. 40 代. 50 代. 60 代. 70 代. 80 代. 年3月の1年間のを利用した。. 相談者数. 2名. 13 名. 76 名. 162 名. 479 名. 148 名. 5名. 観察的参与 では,炊き出し,夜回り,医療相談会時に出会う路上生活. 全体比. 3. I I I I I I I I 0.2%. 1.4%. 8.5%. 18 %. 54 %. 16 %. 5.6%. 者を継続的に観察した。期間は,2013年7月から2016年12月に月に1 ~ 3 度支援現場に入り,観察的参与を繰り返した。観察した点は,他者との関. 600. りと生活環境などであった。観察的参与をする中で,交わした路上生活者. 500. とのインフォーマルな会話の中での「声」は,フィールドノーツにまとめ. 400 300. ていった4。. 200. , : _ _ _ , _ _ . . ! ! . 20 代. 図表1 研究方法 医療相談会データ. 2014年4月~2015年3月. 観察的参与 医療相談会, 炊き出し, 夜回り. 2013年7月~2016年12月. I i i 40代. I• • _ : _ 50 代. 60代. 70 代. 80 代. 図表3 2014年度 医療相談会. 60歳代の相談者が54%と一番多く,60歳以上の相談者の割合が,全体 の75.6%を占めていた。また60歳以上の相談者数を各年齢別に分類すると,. ー. 量的調査 質的調査. 30代. 62歳が56人,63歳が58人,64歳が56人と,団塊の世代のホームレスが多く,. 4.倫理的配慮. 次いで61歳が46人,60歳が45人,65歳が28人と分類された。高齢者の中. `[. 医療相談会のデータは,研究目的を A 団体に説明し,年齢,症状,受診. においても団塊の世代の人が圧倒的に多いことがわかった。. 回数,紹介状の内容をまとめて論文に使用をすることの承諾を得た。エス ノグラフィーをする中で,繰り返し聞かれた言葉や意見は,論文の中で使 用するが,性別,年齢含めて個人が特定できないよう倫理的に配慮をし た5。. 時れ 戟ま. ●饉 PL. CL. 饉U. 5.1. 量的調査─医療相談会のデータ分析. L ● 饉L 1 犠9 L . t l l S L. 1. 5.調査結果. '饉Itll"L. 1 1. ―壬}. -tll"•. 図表4 医療相談会年齢分布図. 医療相談会の相談者数は1年間で述べ1007名おり,1日平均37名の相談 者数がいた。年齢が特定されている者は885名おり6,それを年齢別に区分 して,全体数からの割合を導き出した。. 相談者を疾患別で分類すると,症状の多い順で,胃腸炎・胃痛22%, 軽症呼吸器疾患20%,高血圧症14%,下痢2.6%,痛み15%と,身体的な 症状が大半を占めていた。高齢者の相談回数を分析すると,相談に何度も. 116. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 117. F.

(4) し. 二 来ている人がいた。一番多い人で21回(66歳),次いで17回(75歳と73歳) ,. 人もいたが,大半の相談者は,医療者の質問に答えて支援者とのやり取り. 15回(73歳と69歳)と定期的に来ている。医療機関への紹介状 を渡した. を楽しむ様子が見られた。そのような中で支援者たちは60歳以上の路上. 人は,50歳代が8名と一番多く,次いで60歳代7名,40歳代と30歳代が2名,. 生活者に,様子をみながら福祉制度の利用や生活保護の申請の紹介をする. 70歳代が1名だった。医療相談会に来る人の75.6%が60歳以上であるが,. が,大方は「今は自力で頑張る」「福祉は後でいいです」「都合が悪い」. 紹介状を受け取った60歳以上の高齢者は8名と,50%にも満たなかった。. 「いや,大丈夫」「次来た時考える」「まだ路上脱出の気持ちになれない」. 7. など,先延ばしにするような返答が多かった。支援者もタイミングを見計. 更に65歳以上で,紹介状を受け取ったケースはたった1例であった。. らって福祉を勧めるが,彼らは,聞いているような素振りはみせて最後は. 「いややはりまだいい。次来た時また考えるよ」 と帰るケースが多かった。. 図表5 2014年度医療相談会 紹介状利用者 年齢. I. 20 代. 紹介状. I 0名. 30 代. 40 代. I I 2名. 2名. 50 代. 60 代. 70 代. I I I 8名. 7名. 1名. 高齢者の中には,血圧値が220 ~ 250㎜ Hg 以上で異常に高い人もいた。. 80 代. I 0名. I. 医師は医療機関への受診を勧めるがこれも大抵は断る。病院受診にもつな がらない現状があった。 相談の中で,路上生活歴を聞くことがあった。数か月から5年未満の人. 医療機関への紹介状を書いたケースは全部で20件あった。それを身体. が多かったが,10年以上路上生活をしている人もいた。一方相談者には,. 的疾患か精神的疾患かで分類すると,50%は精神疾患またはそれに関連. アパート生活をする人もいた。食費の節約のために炊き出しを利用し,無. した症状で医療機関に紹介されていた。残りの50%は身体的症状で,大. 料のマッサージや医療相談会を利用をしていた。生活保護受給者もいれば,. 半は高血圧症による受診の促しであった。医療相談会の大半が身体的症状. 公的年金だけで生活している人もいた。例えば70歳代の男性は,その日. であったにも関わらず,身体症状で紹介状を書く例は50%であった。ま. は医療相談会に風邪薬をもらいに来た。ついでに血圧を測ったところ,高. た精神疾患症状を持った10名中の8名は59歳以下であり,20歳代1名,30. 血圧があることがわかった。話を聞くと,国民健康保険を失効したため,. 歳代1名,40歳代2名,50歳代3名と,高齢者は少ないことが分かった。. 内服治療を中断していたことがわかった。実は借金返済のために介護保険. 以上のことをまとめると,炊き出し会場には60歳代の男性が多く,医. も国民健康保険も滞納してしまい,家賃を払うので手一杯な状態であった。. 療相談会に来る人の75.6%が60歳以上であった。また医療相談会では,大. このように炊き出し会場には,一応は屋根のあるアパートに住んではいる. 半が身体的症状を訴えるが,医療機関への紹介状は50%が精神的症状に. が,暖房もクーラーも使用せず,安価な麺類などを食べて生活する人が一. よる症例であった。また精神疾患症状を訴える年齢層は59歳以下の相談. 定数いることが見えてきた。生活保護を受給しておらず,公的年金だけで. 者が10名中8名おり,高齢者で精神疾患症状を訴えるケースは低いことが. は生活するのが厳しく,国民健康保険を滞納したため病院にもかかれず,. わかった。言い換えれば,医療相談会に来る20歳から50歳代の相談者は. 慢性疾患を放置しているようなケースは,2013年7月から比べてみても. 24.4%と少ないが,精神症状が見られて医療機関につながるケースが多い. 年々増加しているように見える。このような生活困窮者にも,生活保護制. と言えるだろう。. 度を紹介するが, 「今はまだ大丈夫」と断るケースが多い。助けを求めな. ー. 1 1. ―壬}. ければ,路上生活に至る可能性が高いのに,相談会に来る高齢者は一般的 5.2. 質的調査─観察的参与. に支援を拒むケースが多いことがわかった。 . 5.2.1. 医療相談会に来るホームレス状態の人の様相. 5.2.2. 炊き出し会場に来るホームレス状態の人の様相. 医療相談会に何度も来る人は多く,常連の人もいた。極力話すのを拒む. 隔週土曜日に炊き出しを行い,炊き出し会場には食事の提供の他,衣服. 118. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 119. F.

(5) し. 二 の無料配布や,無料医療・福祉相談,鍼灸,マッサージなどを実施してい. は弾むが,彼ら同士は付かず離れずといった関係を保っているようだった。. た。一回の炊き出しには,200人から300人程のホームレス状態の人が集. だからといって,交流がないと言ったらそれも違う。お互いに炊き出しの. った。炊き出しに並ぶ平均人数は,約220人程度であった 。. 場所やアルバイト情報など,それぞれ生きていくための情報を交換しあっ. 炊き出し会場となる公園の入り口付近には長方形の花壇があり,それを. ていた。両者の関係性は近くはないが,時に笑いも起こり悲愴感が漂う様. 囲う50㎝程の鉄策に若者たちは腰をかけて,公園に住みついた猫と戯れ. 子はなかった。. たりしていた。その奥に円状の花壇が3つあり,花壇の周りはベンチで初. 年齢は50歳代から70歳代が多かった。ほぼ男性で,時に30 ~ 40歳代の. 老の男性たちが腰をかけていた。彼らは大きな荷物を抱えていることもあ. 男性も見られたが,年齢に関わらず,炊き出し会場でみられるホームレス. れば,手ぶらな時もあった。隣の人と話すこともあれば,話しをせず何も. は身なりを綺麗にしていた。筆者が25年前に病院で搬送されてきた時に. 考えていないような表情をして公園の情景を見るようでもあった。彼らは,. 見たような,身なりが汚れていて匂いがきつい人は見かけず,アルコール. 炊き出しが始まるのを待つホームレス状態の人であった。なんとなく定位. を摂取している人もいるが多いとはいえなかった。喧嘩も稀であり年に数. 置が決まっているようだ。月2回ではあるが,来ている人はだいたい同じ. 回は起こるが,支援者に止められ発展することは少なかった。彼らは基本. 顔であった。花壇の更に奥,右手には鍼灸診療をするテントがあり,その. 大人しく礼儀正しかった。. 反対側に医療・福祉相談会のテーブルと椅子が置かれていた。更に左手に,. 食事が入ったケースを置くテーブルと,彼らが並ぶ先頭の位置は3メー. ボランティア達が募り流れを確認するミーティングを行っている。そのボ. トル程離れていた。テーブルの上には,ご飯が既によそってあるプラスチ. ランティア達が募っている場所から更に奥の,一見外からでは見えない場. ックボールが並べてあった。ベテラン支援者が並んでいる路上生活者たち. 所に,配食を待つホームレス状態の人が立った状態で2列に並んでいた。. を10名ずつ順番に呼び,そのテーブルに近づくよう誘導した。新人ボラ. 食事の提供の時まで一時間以上ある中,大人しく待っていた。見えないよ. ンティアを中心にご飯を手渡す。活動前のボランティアミーティングで,. うな場所で並ぶのは,近隣住民を配慮しての行動であり,以前公園での炊. できるだけ「どうぞ」 「お待たせしました」と声をかけるようにと説明を. き出しに対して反対運動が起こったからだ。公園には,近くのショッピン. 受けており,ボランティアたちは声をかけながら手際よく,ホームレス状. グセンターで買い物をした若いカップルもいたが,彼らはホームレス状態. 態の人にご飯の入ったボールを手渡した。次に野菜の煮込み汁をかけても. の人が並ぶ奥まで入ってくることはな買った。たとええ路上生活者らしき. らう。受け取った彼らは,公園の正面で食べることは禁止されているため,. 人を見たとしても,関心を寄せるそぶりは見せない。誰もが,その集団に. ご飯を口にかき込みながら並んでいた方向に引き返した。そしてまた最後. 「田舎から出てきて,東京でホーム 気を留めることはないようであった。. 尾に並んだ。この光景は配布する食料が無くなるまで繰り返された。食事. レスをしていたが,誰も私のことを見てくれない。気に留めてくれない。. をする場所は決められていた。人目の付かない場所ということで,公園の. まるで存在しないようだった。その時おにぎりをくれた人がいたけど,ビ. 奥の方で立ったまま食べていた。大半は2杯目をもらうためにまた並んだ。. ックリして突き返してしまった」 と,人々の無関心さを語る当事者がいた。. 運が良ければ3回の配食が,時によってはお弁当にして配布する時もあっ. 食事の提供時間が近づくと,食事を待つホームレスの列は長くなってい. た。食事を済ませると,彼らは定められた場所にゴミを分別して捨て,そ. った。割り込むものは誰一人いない。早く並ぶ理由は,食べ終わった後に. して瞬く間にいなくなった。. 再度並んでお代わりをもらうためであった。食事は無くなった時点で終了. 5.2.3. 夜回り時に出会う路上生活者の様相. となるため,急いで並ぶ列に戻る。待っている間,当事者同士が話しをす. 夜回りは毎週水曜日に実施した。池袋駅構内と駅周辺に,寝床をつくる. る光景はあまり見られなかった。筆者が声をかけると,筆者を中心に会話. 路上生活者を訪問するため21時半に開始した。始めに池袋駅近くの公園で,. 8. 120. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. ー. 1 1. ―壬}. 121. F.

(6) し. 二 元当事者たちが準備したおにぎりとパンを提供した。その後4チームに分. ボランティアが戸惑いつつもベテランボランティアに促されおにぎりとパ. かれてそれぞれの地区を回り,おにぎりとパンと炊き出しや医療相談など. ンを差し出す。そのまま佇む者もいれば,早足にその場を離れる者もいた。. の情報を載せたチラシを配った。. 「最近風邪気味で」 と返事をしてくれる 支援者は,佇む人に声をかける。. 実際夜回りの日に池袋駅からその公園に辿り着くと,公園の端に一列に. 人もいれば,顔を隠すように返答がない人もいた。様相から何かしらの精. 整列して待っているホームレス状態の人に遭遇した。平均して毎回40人. 神障がいまたは知的障がいを抱えていると筆者が考える時もあった。饒舌. 近くが並んだ。初老の男性が多く,炊き出し会場で見かける顔もあった。. に身体の不調を訴える人もいた。夜回りに参加する支援者はホームレスの. 夜回りに初参加をするボランティア学生に感想を聞くと,「ホームレスの. 様子や訴えから,必要と判断すれば医師やソーシャルワーカーに連絡をし. 方が普通の人でビックリした。もっとホームレスっぽい恰好をしているの. て対応した。駅構内には,比較的新しくホームレスになった人が多いよう. かと思った。 」という言葉をよく聞いた。学生には彼らの路上生活者に対. だ。駅構内で寝るということは,路上生活をする上で準備するものも少な. するイメージがあったようだが,それが払拭されるようであった。「こん. く比較的安全であった。しかし定まった場所に寝床を持てないため,荷物. なに駅近くにホームレスがいるとは全く気が付かず,自分はなにも見てい. の管理や夜中に過ごす場所など新参者ながらの悩みも尽きないようだった。. 「荷物は全て盗まれました」 とよく聞いた。安住な場所を見つけるのは大. なかった」「町ですれ違っても分からないと思う」とボランティア学生は 感想を述べた。. 変であることが想像できた。公園にも寝泊りしている人もいた。公園の中. 公園での配食が終了すると,次は駅周辺を歩いて食事の配布を行った。. でも,手前で人が行きかう場所で寝ている人たちは新しい路上生活者が多. 4コースに分かれるが,2コースは駅構内に居る人を中心に,2コースは駅. かった。女性がいることもあった。簡易な寝床の作り方で,路上生活に慣. 周辺にいる路上生活者を対象にしていた。なるべく多くの支援者が,直接. れていないのは一目瞭然であった。一方,長い間路上生活をしている人は,. 当事者に手渡せるよう配慮していた。おにぎりを渡す人,パンを渡す人,. 彼らなりの生活スタイルが確立されていた。ガスコンロや寝どころなど私. チラシを渡す人と分けて配布した。こうすることによって,多くの方が. 用の物品も整えられていた。路上生活者といっても様ざまであった。関り. 「あなたのことを考えていますよ」というサインを送るそうだ。 「孤独では. を完全に拒む人もいたし,話し好きな人もいた。話には応じてくれるが,. ない」ということ,「側で見守ります」ということをさり気なく伝える行. 炊き出しには行かないと断言する人もいた。身なりを整えている人もいれ. 為で,夜回りの重要な役割を担っていた。夜回りをしていく中で体調が悪. ば,清潔な状態が保ててない人もいた。. い人や,路上生活に慣れてない新人の路上生活者に声をかけた。必要であ. 駅周辺で寝る路上生活者は,既に段ボールの中に潜り込んで就寝してい. れば,医療ボランティアやソーシャルワーカーが必要な機関や人物に連絡. る人が多かった。寝床の様子はきちんと段ボールを密閉するように立て,. を取った。夜回りを開始した2000年代は,冬になると毎週救急車を呼ぶ. 風を防ぐ工夫をしている人,靴を揃えた状態で段ボールの外に置き身の回. ような機会があったそうだ。今は支援活動が浸透したためか,救急車を呼. り品を整えている人もいた。反対に段ボールを地面に敷いただけで,夏だ. ぶような事態は減少してた。それでも冬の間の救急搬送が無くなることは. と何もかけずに寝ている人もいた。寝袋を持っている人もいれば毛布だけ. ないそうだ。. の人もいた。寝床を見ただけで,その人の健康状態が表されているようで. 公園での配食後巡回に出るが,時刻は既に22時頃であった。駅構内を. あった。支援者によると,当事者間でコミュニケーションを取り防寒対策. 中心に回ると,5 ~ 6人の常連と思われる人たちが,食事をもらうために. の方法など伝授し合っているという。トイレは駅近くや公園のトイレを使. 支援者が通るルートで待っていた。まだ一般客も行きかう中,彼らは柱の. 「あ 用するという人が多かった。しかしトイレが汚れている場合があり,. 陰に隠れるようにして待ち,支援者が見えると早足に近づいてきた。新参. まり使用したくない」 という声は何回か聞いた。お風呂はお金があれば,. 122. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. ー. 1 1. ―壬}. 123. F.

(7) し. 二 「銭湯に行く」 という人もいた。最近では公園の水が止められていること. 指摘したように,精神障がいを有する人は多いと筆者は考える。このよう. 「夏場は辛い」 と言う人もいた。実際に夜回りを繰り返し気が付 が多く,. な人々は総じてコミュニケーションを図るのが難しい。高桑(2016)が. いたことだが,安全に段ボールを置ける場所というのは意外と少なかった。. 指摘したように支援を実践するには,彼らの特性を知った上でのコミュニ. 都市開発が進む中,路上生活者が居付きそうな場所には,オブジェが置か. ケーション技術が必要である。. れるケースが増えた。既に比較的静かなところに寝場所を確保している人. また近年増加している移動型路上生活者9の夜間の過ごし方は厳しいと. は,他人にその場所を渡さない暗黙のルールがあるようだった。新しい路. 筆者は考えた。一般的に良眠が取れないことが推測できる。都市開発のた. 上生活者は,寝る場所を探すことから始めなければならない現状があった。. めに,安住の場所を確保するのが難しく,安全な場所が欠如している状態. 外に比べると駅構内は比較的安全のように見えた。しかし終電終了時ま. である。筆者は3年以上に渡って,路上生活者の生活環境を観察する中で,. で就寝することができるが,終電終了後は構内のシャッターを閉めるため,. 災害時の避難所の状況に似ていると考えた。もちろん遭遇している状況は. 夜中の1時頃には外に出なければならなかった。彼らが戻ることができる. 違うのだが,家を失い,硬い床(コンクリート)の上で寝ている環境は近. のは,始発が始まる5時頃であった。しかし5時ごろに戻って来ても,人. いと考える。実際の避難所での避難者の人々は,硬い床の上でプライバシ. が増え始める7時には再度追い出されるので睡眠時間が取れるのは2時間. ーの確保も難しい状態で,不平も述べずに生活を送っている。. もない。冬場は,外に出た時の防寒の準備が出来ていないため,夜中の1. 都市開発が進む中,公園などに設置された定住型のビニールテントは排. 時から5時近くまで,まちの中を歩くらしい。または24時間営業の店で,. 除される傾向にあり,必然的に移動型の路上生活者が増加している。彼ら. コーヒー一杯の注文で過ごすこともあることがインフォーマルの会話の中. は荷物を盗まれることも多く,安全で安心できる環境の中で睡眠が取れる. でわかった。. 状態ではない。榛沢(2016)は日本と欧米の避難所の違いを指摘するが,. 「ホームレスなんてしたら眠れない。冬は寒いし夏は虫が這ってくる。 . 欧米の避難所には簡易ベッドとテントが利用される。家族用テントが準備. だから夜中じゅう歩く。そうしないといられないから。」 と一人の路上生. されるケースもある。災害後や紛争地帯では,ソフィア・プロジェクト10. 活経験者は話してくれた。. に基づいて,給水・衛星,食料・栄養,避難所,保健サービスなどの災害. ー. 1 1. ―壬}. 援助の最低基準が定められており,それに基づいて緊急援助を実践してい く。しかし日本においてはいまだ公衆衛生学的な「環境の健康」11 といっ. 6.考察. た視点が欠けているようである。東日本大震災時には,震災後2か月が過. 6.1. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康への関連性. ぎてもこれらの国際基準を満たしていない避難所は少なくなかった(國井. 観察的参与をする中で,路上生活者が一般の人々とは少し距離を保ちな. 2012) 。 「世界保健機構(WHO)は,1972年に「住居と健康専門委員会. がら生きているのが見えてきた。当事者同士では情報交換やお酒を飲むな. (Expert committee on housing and Health)を開催しているが,そのテクニ. ど交流もしているが,込み入った関係は避けているようだった。これは支. カルレポートにおいて,住条件が居住者の心身の健康と人間関係に与える. 援者とも付かず離れずの距離を保ち,もちろん話しかければ話してくれる. 影響を指摘し,住居と環境に関する学術的研究の必要性を勧告している。. が,一定の距離を保つことで安全な領域を守っているようであった。また. (中略)しかし,わが国においては,住環境と人間の心理や行動の関係を. 夜回り時に出会う路上生活者は,人との交流を避ける人や精神・知的障が. 研究しようとする動きは,まだまだ少ない現状である。 」ことを宮島. いがありそうな人,会話には応じてくれるが炊き出し会場には来ない人な. (2005:221)は指摘する。災害関連死という言葉があるが12,災害関連死の. ど,長期に渡って路上生活をしている人も見られた。森川ら(2011)が. 一つの要因として避難生活による肉体・精神的疲労が掲げられている(小. 124. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 125. F.

(8) し. 二 原2015) 。過酷な環境の中での生活は心身ともに疲弊を与えることが推察. は,自らの事情を積極的には話さない。医療相談会の中で関係を持つ中で. できる。. ポツリポツリと事情を話し出すケースが多い。. 睡眠がもたらす身体への影響に関する研究は多くされている(久保. 近年SOSを出せずに高齢者が亡くなるケースが報道されるようになった。. 2016) 。内山ら(2016)は「5時間未満の短時間睡眠はうつ病の合併を有. 種々の社会政策や福祉制度によって極度な貧困はみられなくなったが,そ. 意に多いこと」 (同掲 ::516),「睡眠の問題が,認知症の発症リスク上昇や. の制度を上手く利用できずに,貧困状態に陥いる人々がいる。相対的貧困. 進行を促進する可能性を示唆する報告がみられるようになった。」(同掲. 率が高まる中,日本においての格差社会が指摘される。高齢者の生活保護. :516)ことを指摘する。森川ら(2011)は,路上生活者の6割に精神障が. 申請の割合は年々増加しているが,一方で公的年金だけでは生活が不安定. いを有することを明らかにしたが,それは路上生活によって発症したのか,. な人が,正しい情報を持てずにアパートで孤立していることが示唆される。. または精神障がいがあったから路上生活に至ったのかまでは解明されてな. このような人々は,病気などをきっかけに路上生活に陥る可能性が高く,. い。今後探求していく課題となるだろう。. 今後はその動向にも着目していく必要がある。医療相談会に来た人は,こ. ホームレス状態の人への住居環境に関しては,近年新たな支援モデルが. こ5年以内ほどで路上生活になったケースが多く,高齢化に伴い職を失っ. 欧米で実践され,成果を上げている。ハウジングファーストという名のホ. たと考えられる。貧困層は確実に拡大している。日本では「都市公園,河. ームレス支援政策は,精神障がいを抱えた人を,施設ではなくまずはアパ. 川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んで. ートに入居することで生活の基盤を整えることを目的としている。ホーム. いる者」15 たちをホームレスの定義として捉える。一方欧米諸国では,も. レス支援を根本から問い直したモデルであり,この政策は一定の効果を示. っと広い範囲でホームレス状態の人を捉えている16。一定層の慢性的ホー. し,慢性的にホームレス状態である人のアパートの定着率が高まってい. ムレス状態の人17 が問題視されるようになった昨今,定義の見直しを検討. る13。F・ナイチンゲール14は,健康への回復のためには清潔で安全な環境. することも今後の課題と考える。. が重要であることを論じた。プライバシーもなく寒暖の影響を直接受ける. 最後に観察的参与を通して見えてきたホームレス状態の人を3タイプに. 環境下で睡眠を取る状態が,心身の疲労に影響することは容易く想像でき. 分類した。これらタイプによって,支援の方法やコミュニケーションの取. る。そのような環境下で路上生活者は生きている。生活保護などの支援を. り方は違ってくる。今後はより専門的な知識を持った上での介入が必要と. 受けることに抵抗を持ち,生きるために何かしらの仕事を見つけながら,. なるであろう。. ー. 1 1. ―壬}. 路上での生活を選択している現状がわかった。しかしそれは本当に彼らが 望む選択なのだろうか。路上生活者はなぜ支援を頑なに拒むのか,更なる. 7.結論. 調査が必要である。. 観察的参与を通して,ホームレスは定住を持てない状態で就寝しており, 6.2. 高齢化する路上生活者と炊き出しを利用するアパートに住む貧困状態の高齢者たち. 路上での生活は安全とはいえず,良眠を取るのが難しい環境の中で生活し. 炊き出し会場には,路上生活者だけではなくアパート生活をする生活困. ていることが分かった。その姿は災害後の避難所の環境に相似しており,. 窮者も来ていることが分かった。路上生活予備群の一人は,国民健康保険. 心身の疲労に影響を与えていることが推測できる。ホームレスは他者との. の支払いを滞納したため,内服治療を中断していた。公的年金だけでは生. 距離を保ちながら,支援を拒む傾向があり,それは医療相談会に来る高齢. 活することが厳しく,アルバイトをして生活維持に努めるが,借金がある. 者に顕著にみられた。ホームレスの高齢化は池袋地区でも起きており,ま. ケースもあり,簡単には解決できない問題を抱えていた。そのような人々. た生活困窮をする高齢者が炊き出し会場に来ていることがわかった。下流. 126. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 127. F.

(9) し. 二 図表6 池袋におけるホームレス高齢者の分類. 長期路上生活者層. 新規・中期路上生活層 路上生活数か月~数年の層. 路上生活予備群層 住居はあるが, 経済的に不安 定であり, 炊き出し・無料医療相 談会を利用する層. 引用・参考文献. 青木秀男,1989『寄場労働者の生と死』明石書店. 長期に路上生活をしている。彼らは基本, 自分たち生活する術を身に つけている。何かしらの仕事をして, 炊き出し会場に来ない者もいる。 公園や広場などに居住し, 生活用品を取り揃えているケースもある。 荷物を公園の隅に置いているケースもある。独語など, 明らかに精神 障がいを持っている例もある。 このような例は, 声掛けしても拒否される ケースが高く, 会話をするのが困難なケースもある。. 青山紘子他,2012「路上生活者の救急受診状況に関する検討」日本救急医学会雑誌23(9) . 375-382 五十嵐真紀,中村円他,2005「新宿区内の医療機関に対するはがきアンケート調査から 『清潔の機会の提供』の実践はここから始まった(ミニ特集『医療中心の支援』から 『健康と生活を取り戻す支援』へ) 『Shelter-less』 (27):215-221. 加齢に伴い身体に支 彼らの路上生活歴は最大5年であると考えると, 障をきたし, 解雇されて路上生活に至ったケースが多い。 または年金だ けでは生活困難であり, 借金などで経済的に危機に陥り, ホームレス 状態に至ったケースである。若いうちは何とかできたことが, 高齢化と 共に, 生活が立ち行かなくなるケースは多いと考える。. 内山真他,2016「高齢者における睡眠の問題とフレイル」『老年精神医学雑誌』27(5) :511-520 大村令恵,2003「野宿している人のからだの状態─隅田川の路上医療相談会から(路上 死をなくすために─全国の健康支援活動) 『shelter-less』 (19):35-42 大脇甲哉,2003「野宿者の健康問題 - 加齢による影響(路上死をなくすために─全国の 健康支援活動) 『shelter-less』 (19):101-107. 今まで問題視されて来なかった層である。現在増加していると推察さ れる。生活困窮しているにも関わらず, 生活保護を受けておらず, 年金 だけで生活するのが厳しい状態である。自己負担や薬代を準備する のが難しく, 病院に行かない。 また国民健康保健の支払いが止まって いるケースもある。炊き出しの医療相談会は無料なので来ることある。 中には交流を求めて来る人もいる。. 逢坂隆子,坂井芳夫,2003「大阪市におけるホームレス者の死亡調査」 『日本公衆衛生雑 誌』50(8):686-696 小原真理子,2015「災害医療の基礎知識 災害関連死」 『系統看護学講座 統合分野 災 害看護学・国際看護学』医学書院. 出典:高桑2016『ホームレス高齢者のセルフネグレクト化要因に関する─考察─自己防衛手段としての「拒否」』 に加筆. 河西菜緒,杉田早苗,2010「オーストラリアにおけるホームレス支援の実態に関する研 究」 『都市計画 別冊 都市計画論文集』45(3):757-762 梶原由美,2014「インフォームドコンセントにおける看護の役割:ホームレス患者の意 思決定支援を通して」看護総合』44:90-93. 老人18と呼ばれる人たちが,今後ホームレスに至る可能性が示唆される。. ー. 1 1. ―壬}. 金井一薫,1993『ナイチンゲール看護論・入門 看護であるものとないものを見わける 眼』現代社. 貧困層の拡大は確実に起きており,今後は高齢者が支援を拒む要因を探求 していくことが課題となる。. 國井修編,2012 『災害時の公衆衛生─私たちにできること─』南山堂. 今回の調査は池袋地区のみで実践され,また医療相談会に関しても1年. 久保智英,高橋正也,2016「働く人々の睡眠不足と認知機能: 「良い眠り」の重要性」 『ねむりとマネージメント』3(2):76-79. 限りのデータを分析しただけである。それがこの調査の限界であり,一般. 厚生労働省,2012「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果」 www.mhlw. go.jp (最終閲覧2017.1.7). 化するまでには至らず今後も継続的に研究する必要がある。また,精神障. 厚生労働省,2014「 「平成25年国民生活基礎調査」を用いた相対的貧困率の動向の分析」 www.mhlw.go.jp(最終閲覧2017.1.7). がいが疑われる若年層に関しての調査にまで至らなかった。ホームレス状 態にある人は,高齢者・若年層ともに増加しており,今後は若年層のホー. 清水裕子他,2002「≲ミジメ〉と ≲ホコリ〉のはざ間で生きる人々 山谷でのフィールド ワークから」聖路加看護学会誌,49(1).58-63. ムレス状態にある人の研究も必須であると考える。. 白波瀬達也,2015「単身高齢化が進むあいりん地区の福祉(1)生活困窮者の住まい」 『部落解放』 (713) ,80-88. 最後にこの論文を執筆するにあたり,たくさんの示唆を与えてくれた,. 榛沢和彦,2016「わが国と欧米の避難所の違いは?」 『治療』98(11):1809-1812 高桑郁子,2015「生活環境と心と身体の関連性」 『ともに安心の場所をつくる ときわハ ウス報告書』ホームレス資料センター :30-31. 路上生活者の皆さまに深く感謝申し上げます。また全面的に調査に協力し てくれた,池袋スタッフの皆さま,支援者の方々,ご指導頂いた藤掛洋子. 高桑郁子,2016「越年活動における医療相談会とシェルター利用者概要からの一考察─ 池袋周辺地区におけるホームレス支援活動から見えてきたこと─」常盤台人間文化 論叢 2(1) , 126-136. 教授を始め,都市イノベーション学府の先生方,ゼミの同志たちに心より 感謝を申し上げます。. 高桑郁子,2016『ホームレス高齢者のセルフネグレクト化要因に関する一考察─自己防 衛手段としての「拒否」 』修士論文,横浜国立大学大学院 妻木進吾,堤圭史郎,2000「家族規範とホームレス」青木秀男編『ホームレス・スタデ ィーズ─排除と包摂のリアリティ』ミネルヴァ書房 :169-201. 128. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 129. F.

(10) し. 二 堤圭史郎,2000「ホームレス・スタディーズへの招待」青木秀男編『ホームレス・スタ ディーズ─排除と包摂のリアリティ』ミネルヴァ書房 :1-29. 5. 論文執筆後,各支援団体代表者に提出をし倫理的に問題がないか最終確認をした. 藤田孝典,2015『下流老人』朝日新書. 7. 診察後,医療機関での受診や検査が必要と医師が判断した場合準備する公的な用紙. 6. 年齢が記載されてないケースは除外した。. 松井達也,2011「アルコール依存症を持つホームレスに対する支援 文献検討」大成学 院大学紀要,13:203-211. 8. TENOHASI ホームページから引用した。http://tenohasi.org/(最終閲覧2017.1.20) 9. 公園などに居住する定住型のスタイルが現在難しくなり,日中は荷物をロッカーな どに預けて公園やスーパー,図書館などで過ごし,夜になると駅周辺やビルの狭間 に寝床を準備する移動型のスタイルを強いられるホームレスが増加している。. 丸山里美,2013『女性ホームレスとして生きる─貧困と排除の社会学』世界思想社 宮島朝子,2005「環境とこころの健康―第4章こころの世界と看護」南裕子編著『active nursing 実践オレムーアンダーウッド理論こころを癒す』講談社 :220-238. 10. 多くの NGO 団体と赤十字,国連機関らが協力して人道憲章と災害援助に関する最 低基準を作った。. 森川すいめい,上原里程他,2011「東京都の一地区におけるホームレスの精神疾患有病 率」 『日本公衆衛生雑誌』58(5):331-339. 11. Health Canada, 1974「A new perspective on the health of canadians / Laland Report」 www.phac-aspc.gc.ca/ph-sp/pdf/perspect-eng.pdf (最終閲覧2017.1.20). 森川すいめい,中村あずさ他,2003「池袋野宿者の高血圧と生活習慣病 - 池袋医療班の 試み(路上死をなくすために - 全国の健康支援活動)『shelter-less』(19):58-67. 12. 災害が間接的な原因となりストレスによる疾患や自殺などによる死亡のことをさす. 藤井克彦,田巻松雄,2003『偏見から共生へ─名古屋発・ホームレス問題を考える』風 媒社. 13. 基調講演 Pascale Estecahandy「Un chez soi dʼabord フランスのハウジングファースト 政策」より 世界の医療団主催 第2回ハウジングファースト国際シンポジウム な ぜ住まうことから始めると回復するのか 2016.11.5開催 . 古謝邦隆他,2010「ホームレス患者への退院支援 看護師と PSW との協働作業により隊 員が実現した症例」日本精神看護学会誌,53(1).154-155 フローレンス・ナイチンゲール,訳湯槇ます他,2013『看護覚え書─看護であること看 護でないこと─(改訳第7版)』現代社. 14. フローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)イギリスの看護師。クリミア戦争で負 傷兵の看護を実践する中,病室の環境整備を徹底して行ったところ負傷兵の死亡率 が減少し,生活環境を整える重要性を説いた人物である。. 山北輝裕,2015「知的・精神障害をかかえた野宿者の地域生活への移行」理論と動態(8), 55-73. 15. 2002年8月に制定された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の定義を 使用. 山口恵子,1999「見えない街の可能性─新宿で野宿する一人の「おじさん」の語りか ら」青木秀男編『場所をあけろ─寄せ場 / ホームレスの社会学』松籟者 :165-195. 16. 例えばオーストラリアのホームレスは文化的定義として3のグループに分かれる。1 次ホームレス「宿泊施設を持たない人々。路上,廃墟,鉄道車両,橋の下,公園に 住むなど」2次ホームレス「様々な形態の一時的シェルターを動き回る人々。ただし 友人宅,緊急宿泊施設,若者避難所,ホステルと下宿を含む」3次ホームレス「下宿 等の一間に恒久的に住むが,自身のバスルームやキッチンがなく,その場所の保有 権が保障されていない人々」. 山本薫子,2014「福祉化する都市下層地域における社会的包摂 / 排除―カナダ・バンク ーバーにおけるハウジングファーストによるホームレス支援施策を中心に─」『年報 社会学論集』27:208-219 Canadian Nurses Association/Mental Health Commission of Canada「Putting Housing First」 FEATURE CANADIAN-NURSE.COM (閲覧2017.1.21). ー. 1 1. ―壬}. 17. 屋根のある場所(シェルター,ネットカフェ,病院,矯正施設,社会福祉施設,ア パートなど)とない場所を行き来しているホームレス状態の人々. Girard, Estecahandy, Chauvin, 2009『La Sante des Personnes sans chez Soi』Ministere des Affrares Sociales et de la Sante(閲覧2017.1.21). 18. 藤田孝典,2015『下流老人』朝日新書 (都市イノベーション学府博士後期課程・都市イノベーション専攻). 註. 1. 本論文は2016年に提出した修士論文『ホームレス高齢者のセルフネグレクト化要因 に関する一考察―自己防衛手段としての「拒否」 』の中の第3章と第4章の部分の一部 と,平成27年3月のホームレス資料センター『ともに安心の場所をつくる ときわハ ウス報告書』で高桑が執筆した「生活環境と心と身体の関連性」の一部を加筆・修 正したものである。 2. 京都新聞2017.1.12 朝刊付けより引用した 3. 筆者はボランティア看護師として参加をしていたが,この研究においての立ち位置 は,完全な観察者としての立場を取りデータを分析する。 4. 研究期間中,繰り返し聞かれた言葉や筆者にとって印象に残った「声」を,この論 文の中で使用している。 「対象者の声」 ように,フォントをイタリック形式にしてカ ッコで囲み,ホームレス状態の人の「声」と分かるように記述した。. 130. 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 131. F.

(11) し. 二 Environmental Factors that Influence the Health of Homeless Individuals. was difficult to stay in a safe place. It was similar to the condition of a shelter after a disaster. The research suggested that homeless individuals were under stress and it affects the state of mental and physical conditions, which was one of the causes of. An Ethnographical Study of the Homeless in Ikebukuro who Refuse Public Assistances. disaster-related deaths. Homeless individuals keep a distance from other people. They tend to refuse the public assistances, which was more remarkable in elderly than young individuals.. Ikuko Takakuwa. Homeless individuals also became elderly in Ikebukuro. The number of the poor. is expanding. It suggested that many poor elderly people are becoming homeless easily. It is a task of the next research to study the reason why elderly homeless individuals. The purposes of this study is to analyze and consider some of the relationships. refuse the public assistances.. between the health and living environment of homeless individuals: 1) to investigate the age, symptoms, the number of medical consultations, and the types of medical referrals for each individual: 2) to observe the living conditions where the homeless were living and the relationship between them and other people at soup kitchens,. ー. 1 1. ―壬}. outreach programs and medical consultations.. Methods is a mixed-method combining quantitative research and ethnography.. The data from 1008 individuals who received medical consultations between April 2014 and March 2015 were collected. The living conditions and interactions/ relationships of 200-300 individuals who used a soup kitchen, received medical consultations, or stayed near Ikebukuro station were observed.. Result is 220 homeless individuals, on average, gathered in the park. 1008. homeless individuals received the medical consultation. The 885 out of the 1008 homeless individuals told them their age, 75.6% of the 855 homeless individuals were over 60 years old. There were very few people between 20 and 50 years old. However when they received medical consultations, many cases were suspected of mental illness. 50% of the referral cases had psychological symptoms.. Elderly homeless individuals tend to refuse public assistances. Poor people living. in apartments also came to the park, used a soup kitchen and received medical consultation free of charge. Homeless individuals tend to keep a certain distance from others. Some homeless individuals seem to feel disconnected from the world, as if there is an invisible wall between them and others. Homeless individuals didn’t have any place where they could stay in a safe place on the streets. Conclusion. 132. There are few places where the homeless could have a good sleep on the streets. It 研究論文. 路上生活者を取り巻く生活環境と健康との関連性に関する一考察. ----E~. 133. F.

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