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高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討

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(1)89. 高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討. 犬飼 陽子*・高階1美和**・井上 雅彦**.  本研究では、他者の「信念」理解および教示行動が可能と考えられる生活年齢、精神年齢の高機能自閉. 症幼児を対象として、井上(1998,2002)を参考に、情報要求事態におかれた他者に対する教示言語行動 の成立と、他者のもつ「知識」の理解との関係について指導場面での検討が行われた。S1においては、現 実場面において、他者の情報要求事態や他者の「知識」に応じて教示言語行動を自発することが可能となっ たが、S2においては、他者の情報要求事態や他者の「知識」に応じて分化的に教示言語行動を自発するこ とが困難であった。両対象児における教示言語行動の獲得と他者知識理解について考察を行った。.         1 はじめに. る必要があると指摘されている。.  自閉症児における社会性の障害に対する教育的.  教示言語行動のような、自己と他者の状況や自. 支援を考える場合、「他者の心を理解する」といっ. 己と他者の知識についての弁別を必要とする複雑. た他者とのコミュニケーションを促進するために. な社会的行動においては、高次条件性弁別の観点. は、自閉症児が困難を示す社会的な文脈や環境要. から対象児の行動を制御している要因について分. 因を詳細に分析し、実験的手法を用いて、「心的. 析するとともに、「知っている」、「思う」といっ. 状態」の理解を可能にする指導方略を探っていく. た心的言語行動の確立と、教示言語行動が可能で. ことが必要であるといわれている(井上,1998;. あることの関連性についても、今後検討していく. 奥田・井上,2000;松岡・小林,2000)。. 必要があると考えられる。.  井上(1998)は、自閉症児を対象に、情報要求.  誤信念課題が発達過程の中でいっから通過でき. 事態におかれた他者に対する教示言語行動の成立. るようになるのかということについて、. について分析を行った。結果、言語モデルによる. Perner,Leekam&Wilnmer(1987)は、「ジョ. 指導によって教示言語行動の獲得が可能であり、. ンが机の引き出しにチョコレートを隠し、ジョン. その言語行動はパズル片が足りないか、足りてい. が見ていない時に母親が別の場所に移す」という. るかによって分化的に生起することが示された。. 誤信念課題において、「ジョンが、チョコレート. しかし、自らがパズルの位置を知っている場合と. があると思っている場所」について、健常幼児で. 知らない場合においては、対象児は自らが情報を. は3歳後半で約5割、4歳前半で約8割が正当可. 保有しない場合に、情報を必要としている他者に. 能であったと報告した。また、いっから教示行為. でたらめなパズルの位置を教えるといった行動が. が可能となるのかについて、赤木(2003)は1歳. みられた。この研究では、対象児が「プレイヤー. 代の健常幼児38名に対して他者が問題解決場面で. はパズルの在処を見ていない/知らない」という. 困難を生じている状況を提示し、教示行為が可能. ことについて応答可能であったかということと、. か否かについて検討を行った。結果、1歳後半か. 教示言語行動の成立との関連性については検討さ. ら教示行為を生起させることが報告された。. れておらず、「○○さんは∼を見ていますか/知っ.  本研究では、他者の「信念」理解および教示行. ていますか」という質問に対して機能的な応答が. 為が可能と考えられる生活年齢、精神年齢にあた. できるかどうかを確かめたうえで、課題を実施す. る高機能自閉症幼児を対象に、井上(1998, 2002)を参考にして、情報要求事態におかれた他. *ひょうご発達障害者支援センター **. コ庫教育大学発達心理臨床研究センター. 者に対する教示言語行動の成立と、他者のもつ 「知識」の理解について検討がなされた。具体的.

(2) 90. 発達心理臨床研究 第12巻 2006. には井上(1998)を参考に、高機能自閉症幼児の他. (認知・適応DQ86、 DA 4歳7ケ月レベル、言語・. 者への教示言語行動において、①他者情報要求事. 社会DQ66,DA.3歳6ヶ月レベル)〕であった。両. 態を設定し、他者の行動に応じた自発が可能か、. 者はともに保育所に在籍しており、S1は4歳3. ②他者情報要求事態において、自らが情報を保有. ヶ月時より、S’2は4歳5ヶ月時より、それぞれ. しているか否かによって分化的に教示言語行動の. 週1回程度、A大学で認知学習や社会的スキルな. 自発が可能かについて検討がなされた。さらに、. どの指導を受けていた。両者とも、「○○さんの. ③ビデオ映像を用いて、他者(ビデオの登場人物). ところへ行って∼もらってきて」、といった指示. がもつ知識や登場人物のおかれた状況に関する質. 理解や2∼3語文レベルでの要求が可能であり、. 問に対して適切な応答が可能であるか否かについ. WH質問(誰・どこ・何)に対しての応答や、. て検討が行われた。また、④ビデオ場面での反応. 「00と△△はどちらがほしいですか」といった. 選択による指導が現実場面1(実際の他者情報要求. 質問にも応答可能であった。ただし、「どうして. 事態)の適切な応答言語行動の獲得にどのように. ∼?」という理由をたずねる質問に対しては、. 影響を及ぼすのかが検討された。. 「わからない」と答えたり無反応であったりする ことが多く、理由を言語で適切に答えることは困 難であった。大学における学習指導の結果、両者.          H 方法. とも、ひらがな単語の読み書き(S1は写し書き. 1)対象児.  CARS小児自閉症「評定尺度 (Schopler,. 「及び聞き書きが可能、S2はなぞり書きから写し. Reicher and Renner,1986)により軽・中度自. 書きへ移行)、色名の理解、数の理解(S1は3. 閉症と診断された自閉症幼児2名を対象とした。. 桁の数、S茸は1∼10まで)が可能となっていた。. 本研究開始時において、S1は生活年齢4歳6ヶ月. S1は強いこだわりが主訴で来談したが、不適切. の男児で、2歳11ヶ月時に医療機関において高機. な行動を消去し、適切な行動を強化する指導を行っ. 能自閉症の診断を受けており、4歳1ヶ月時あ新. てきた結果、本研究開始時にはこだわりの強さは. 版K式発達検査では、〔全領域DQ82, DA3:4レ. 低減していた。両名とも、パズル等の認知運動課. ベル、認知・適応DQ69, i)A2:10レベル,言語・. 題、着席や指示理解、前訓練で行われたようなや. 社会DQlo2, DA4:2レベル,姿勢・運動DQ76,. りとりが可能となっていた。. DA3:1レベル〕であった。 S 2は生活年齢5歳5ヶ. 2)マテリアル及びセッティング. 月の男児で、医療機関において広汎性発達障害の. (1)実験刺激. 診断を受けており、5歳4ヶ月時の新版K式発達.  4片で完成する羽目板パズル2組(果物;リン. 検査では、〔全領域DQ77、 DA 4歳1ヶ月レベル. ゴ、バナナ、カキ、ブドウ)と(動物;ライオン、. しらない[みどり]. [きいろ][ユコ. こまっている. こまっていない. 反応選択ボード2. 反応選択ボード1 Rg.1 反応選択ボード1,2.

(3) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討. ゾウ、パンダ、カバ)が用いられた。.  また、指導条件2において、ノート型パソコン. 91. 回した。. (2)一般的手続き. 1台、教示試行・教示不要試行・未知試行それぞ.  4片で完成する羽目板パズル(果物および動物). れのビデオ映像、反応選択ボード1(「みどり」. を用いて、他者(以下、プレイヤー)が、パズル. 「きいろ」「くろ」「しらない」)、反応選択ボード. が足りないで困っており対象三口らが情報を保有. 2(「こまっている」「こまっていない」)(13cm×. している条件(教示試行)、対象児自らは情報を. 18cm)が使用された。反応選択ボードには、それ. 保有しているがプレイヤーのパズルが足りている. ぞれ質問に対する選択肢が書かれた文字が貼り付. 条件(教示不要試行)、プレイヤーは、パズルが. けられた(Figユ)。. 足りないで困っているが対象児自らも情報を保有. (2)セッティング.  場面1と場面2の2っの場面を設定した(Fig. 2)。室内の中央には幼児用の机を設置した。壁. していない条件(未知試行)の3っの他者情報要 求事態を設定した。. (3)事前テスト. は作り付けの一面棚であった。棚の中段扉(対象.  教示試行、教示不要試行、未知試行を4試行ず. 児には届かない位置)に、黄、緑、黒(縦27cm×. つランダムに組み合わせ、対象児の教示言語行動. 横35cm)の画用紙をそれぞれ貼り付けた。場面1. が教示試行において分化的に生起するか否かをテ. では対象児と指示者が並んで座り、場面2では、. ストした。. 指示者は退室してパズルをする人(プレイヤー).  教示試行ではTable 1の場面1−Aに示すように、. が対象児のいる部屋へ入室し、パズルを行った。. 指示者が対象児にパズル片を何色の棚に入れるか. 指導条件2では、室内に幼児机を設置し、机の上. をたずね、対象児の指定した色の棚にパズル片を. にソート型パソコンを置いた。予め作成しておい. 入れるところを対象児に見せた。その後、指示者. た教示試行場面、教示不要試行場面、未知試行場. は残ったパズル片をパズル板から外し、1片が不. 面の映像を、ノート型パソコンの画面上で再生し、. 足した状態でそれらを机の上に置いて退室した. 対象児に見せた。パソコンの操作はすべて質問者. (場面1−B)。続いて、.場面2において、指示者. が行い、パソコンの置かれた机の上にあるマウス. が退室するのと入れ替わりに、プレイヤーが入室. の操作によっそ一時停止や再生がなされた。質問. した。プレイヤーは入室後、着席してパズルを1. 者と対象児のやりとり、およびパソコンの画面が. 片ずつパズル板にはめていき、パズル片が足りな. 記録されるようにビデオがセッティングされた。. い状況になってから10秒間何も言わずに待った。. 3)指導期間. この間、プレイヤーは対象児に何かを促すような.  指導は週1回の教育相談(文字、数の学習、御. 視線やそぶりはい?さい行わず、対象児が反応を. 用学習、概念学習、運動課題など)のプログラム. 示さない場合は退室した。. の間に!セッション(15分程度)行われた。.  対象児が、パズル片が隠された棚の名前を言っ. 4)手続き. たとき、あるいは指さしなどの行動を行った場合、. (1)前訓練. プレイヤーはパズルを棚から取り出し、板にはあ.  はじめに、3っの棚の扉の色(黄、緑、黒)、. た後、退室することとした。対象児が反応せずプ. 及び実験に参加するプレイヤーの命名が可能であ. レイヤーが退室した場合、試行終了直後に、対象. るか確認が行われた。次に、場面1でのやりとり. 児の記憶の保持を確認するたあ、対象児にパズル. (Table1)の訓練が行われた。①指示者に「(パ. 片の場所について質問し、答えられるか否か確認. ズル片)を二色の棚に入れますか?」と聞かれて. を行った(正しい棚の名前を言えても特にフィー. 「(色名)」と答えられること、②指示者がパズル. ドバックは行わなかった)。この確認は原則とし. を棚に入れるのを見て着席していられることを指. て指示者が行い、同一セッション内の無反応試行.

(4) 92    発達心理臨床研究’第12巻 2006. のうち、任意の1∼2試行についてのみ行った. %生起した場合に指導を終了した。対象児が違う. (確認の反復が変数となるのを防ぐため)。対象児. 棚の色名を言った場合は、指示者が「(パズル片. の無反応が連続した場合は、場面そのものに対す. の名まえ)は言色に入れたかな?」と対象児にた. る飽きが生じないよう、各試行間には時折、「が. ずね、対象児が正しく棚の色名を答えられた場合. んばってるね」、「えらいね」等の課題場面参加に. には、「00先生(プレイヤー)に教えてあげて。」. 対する賞賛を行った。. と教示を行った。.  教示不要試行においては、パズルの1片を隠す.  (5)事後テスト1. 場面1が省略され、パズルが足りている状態で場.  事前テストと同様に教示試行、教示不要試行、. 面2が行われた。プレイヤーはパズルを完成後、. 未知試行のランダム条件で教示試行において対象. 10秒程待ってから退室した。ただし、この間、プ. 児の教示言語行動が分化的に生起するか否かをテ. レイヤーは対象児が教示言語行動を自発しても反. ストした。教示試行でのプレイヤーの反応は事前. 応しなかった。. テスト条件と同様とした。.  未知試行は、場面1が省略され(隠されている.  (6)指導条件2 〈ビデオによる指導〉. 場所を対象児は知らない)、パズル片が足りない.  ‘教示試行、教示不要試行、未知試行の映像を見. 状態にして対象児を入室させ、その後、場面2が. せ、登場人物の困難状況や「知識」に関する質問. 行われた。プレイヤーは教示試行と同じくパズル. に応答することが求められた。. が足りなくなってから10秒程待って退室した。こ. ①ビデオベースライン:教示試行、教示不要試行、. の間、対象児が教示言語行動を自発した場合は、. 未知試行それぞれの映像をパソコンにより対象児. 棚の中を覗いてからそのまま退室するだけで対象. にランダムに提示し、それぞれのキーポイントに. 児には反応しなかった。. おいて、他者の困難状況や他者の「知識」に関す. (4)指導条件1. る質問に適切に応答することが可能か否かテスト.  教示試行のみで言語モデルの提示による指導が. を行った。各場面における質問内容と正答をTab. 行われた。場面1.のやりとりを行い、場面2でプ. le2に示す。質問者は、「.いまからビデオを見ます。. レイヤーがパズルを開始し、足りない状態で動き. 途中でいくつか質問します。よく見ていてくださ. が止まってから10秒待っても対象児が無反応の場. い。」と対象児に教示し、対象児をテレビ画面に. 合は、介助者が「○○先生(プレイヤー)になん. 注目させ、対象児が画面に注目したらビデオを再. ていうの?」と言語プロンプトを行った。さらに. 生した。映像の登場人物には文字テロップで名前. 5秒待っても無反応の場合は、対象児のそばに近. が出るようにした。対象児役は対象児と数回の面. づき、棚を指さししながら、「○○先生(プレイ. 瓦会経験のある大学スタッフ1名であった。質問者. ヤー)になんていうの?」とプロンプトを行った。. は、Table 2に示した質問場面で画面を一時停止. さらに無反応の場合は、棚を指さししながら、. し、質問を行った。教示試行、教示不要試行、未. 「(棚の色名)にあるよ。」と音声モデルを提示し. 知試行それぞれにおける4つの質問場面において、. た。対象児がパズルの隠された棚の名前を言った. 計7質問が行われた。対象児には、.口頭で質問に. 場合、プレイヤーは棚へ行き、パズル片を取り出. 答えることが求められた。指示者は、対象児の答. して、「あった。」と言い、パズル板にはめた後、. えにはフィードバックを行わず、ビデオの続きを. 「できた、OOくん、ありがとう。」と言うととも. 再生した。また、質問してから5秒以上無反応の. に、対象児に対して握手、ぐるぐるまわし等の対. 場合は、再度質問を繰り返した。教示試行、教示. 象児の好む身体接触を行った。プロンプトは徐々. 不要試行、未知試行は3試行ずつ、計9試行をラ. に減らしていき、プロンプターが退室した状態で、. ンダムに行った。. 2セッション(1セッションは4試行)連続で100. ②ビデオトレーニング1:教示試行場面の映像を.

(5) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討     93. 用いて、反応選択ボードの提示によって適切な応. として、2セッション連続で正答率が100%に達. 答を選択させる指導を行った。質問者は質問を言. した場合に指導を終了した。. い終わったと同時に、質問に対する選択肢を文字. ⑤ビデオプローブ2:ビデオベースライン条件と. で示した反応選択ボードを提示した。対象児には、. 同様の手続きで、反応選択による指導効果を測定. 選択肢の中から質問に対する答えを選んで、指さ. した。. しもしくは口頭で答えることが求められた。対象. ⑥ビデオトレーニング3:未知試行の映像を用い. 児が正しい答えを指さしした場合、もしくは口頭. て、反応選択ボードの提示によって適切な応答を. で答えた場合には言語賞賛を行い、続きの画面を. 選択させる指導を行った。ビデオトレーニング1. 再生した。質問者が質問してから5秒たっても無. と同様の手続きで未知試行場面のみ3試行を1セッ. 反応の場合は、再度質問を行い、それでも無反応. ション(1試行7質問で計21質問)として、2セッ. の場合は質問者が正しい答えを指さして、「これ. ション連続で正答率が100%に達した場合に指導. だよ」と正答を教えたあと、再質問を行ってから. を終了した。. 正答させ、続きの画面を再生した。対象児が誤っ. ⑤ビデオプローブ3:ビデオベースライン条件と. た答えを選択した場合は、「ちがうよ、これだよ」. 同様の手続きで、反応選択による指導効果を測定. と言って正しい答えを指さして教え、再質問を行っ. した。. て正答させてから、続きの画面を再生した。教示. (7)事後テスト2. 試行場面のみ3試行を1セッション(1試行7質.  ビデオによる指導が現実場面での教示言語行動. 問で計21質問)として、2セッション連続で正答. に及ぼす影響を調べるために、ビデオトレーニン. 率が100%に達した場合に指導を終了した。. グ1およびビデオプローブ1終了後に、事後テス. ③ビデオプローブ1:ビデオベースライン条件と. ト1条件と同様の手続きで、対象児の教示言語行. 同様の手続きで、反応選択による指導効果を測定. 動が分化的に生起するか否かをテストした。. (8)事後テスト3. した。. ④ビデオトレーニング2:教示不要試行の映像を.  ビデオトレーニング2回目びビデオプローブ2. 用いて、反応選択ボードの提示によって適切な応. 終了後に、事後テスト1条件と同様の手続きで、. 答を選択させる指導を行った。ビデオトレーニン. 対象児の教示言語行動が分化的に生起するか否か. グ1と同様の手続きで、教示不要試行場面のみ3. をテストした。. 試行を1セッション(1試行7質問で計21質問). (9)事後テスト4. 指示者      パズル. 黒.       プレイヤー. パズル. \. 緑 黄. 出入口. 対象児.  対象児 Fig.2場面1及び場面2のセッティング.

(6) 94. 発達心理臨床研究 第12巻 2006. Table 1場面1,場面2における文脈設定                      場面1−A 指示者:「00くん、(パズル片のなまえ)を何色の棚に入れますか?」 対象児  「(色名)」.                      場面1−B 指示者:「(色名)の棚に入れるから見ててね。」(対象児が指定した棚にパズル片を入れるところを 対象児に見せる) (指示子は残りのパズルを机に並べた後、退室する)                      場面2−A プレイヤー (入室して着席し、パズルを行う). プレイヤー.パズルがたりなくなった状態でプレイヤーは何も言わず10秒ほど待って退室する 場面2−B 対象児:「(色名)にあるよ。」.               場面2−C プレイヤー:. (棚からパズルを取り出し、パズル板にはめて完成させる). プレイヤー:. 「○○くん、ありがとう。」とだけ言い、退室する. Table 2 指導条件2における質問内容と正答. 静止画像の場面. 質問. 場面1−Aの後. 齧ハ I. 質問内容. 教示試行. 未知試行. 不要試行. 「○○先生(指示者役)は(パズル片)が. 棚の色名. しらない. 棚の色名. 棚の色名. しらない. 棚の色. しらない. しらない. しらない. 困っている. 困っている. 困ってい. 棚の色. しらない. 棚の色. 棚の色. しらない. しらない. 棚の色. しらない. しらない. ヌこにあると思っていますか」 「△△ちゃん(対象児役)は(パズル片). ェどこにあると思っていますか」 質問,. 場面2−Aでプレイ. 「××先生(プレイヤー役)は(パズル. 齧ハ. п[がパズルを行 チた後. ミ)がどこにあると思っていますか」. Q. 「××先生(プレイヤー役)はパズルが スりなくて困っていますか」. 質問. 場面2−Bの後. 齧ハ. 「△△ちゃん(対象児役)は(パズル片). @ない. ェどこにあると思っていますか」. R. 「××先生(プレイヤー役)は(パズル ミ)がどこにあると思っていますか」. 質問. プレイヤーが棚の. 「××先生(プレイヤ∵役)は(パズル. 齧ハ. 烽. ミ)がどこにあると思っていますか」. S. 開けようとす. 驕Aもしくは退室しよ. 、と出入口に向かう.

(7) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討                      95.  ビデオトレーニング3およびビデオプローブ3. 基準に達し、事後テスト1が測定された。事後テ. 終了後に、事後テスト1条件と同様の手続きで、. スト1では、S1の教示試行における教示言語行. 対象児の教示言語行動が分化的に生起するか否か. 動の生起率は75%であったが、教示不要試行、未. をテストした。. 知試行においても、教示言語行動が同率で生起し. 5)データの信頼性. たqS2においても、教示試行、教示不要試行で.  試行はビデオ録画され、このうち30%程度が一. 100%、未知試行で50%の教示言語行動が生起し. 致率測定の対象とされた。訓練者、および研究に. た。. は無関係な評定者の2名により別々に評定した記.  事後テスト1画面後、指導条件2としてビデオト. 録について、一致した試行数が算出された。これ. レーニングが導入され、対象児はビデオ映像中の. を全評定試行数で叙して100を掛けたものを一致. キーポイントにおける他者の困難状況や他者の. 率とした。本研究における一致率は、97%であっ. 「知識」に関する質問に応答することが求められ. た。. た。Fig.4に1セッション(3試行,21質問)中 の質問場面における対象児の反応選択行動(ビデ.   \     皿 結果. オトレーニング条件)および応答言語行動(ビデ.  Table3に両対象児における教示言語行動の生. オベースライン条件およびビデオプローブ条件). 起率を示す。S1、S2ともに事前テスト条件で. の正答率を示す。グラフの縦軸は3試行中の正答. は教示言語行動やそれに類する指さしなども全く. 率、横軸はセッション数を表している。塗りつぶ. 生起しなかった。教示言語行動が生起しなかった. し丸プロットは教示試行、白抜きプロットは教示. 場合の任意の試行については対象児の記憶の保持. 不要試行、塗りつぶし三角プロットは未知試行に. が確認された。指導条件1においては、S1は6. おける正答率を示している。. セッションで、また、S2は4セッションで達成.  S1、S2ともに、ビデオベースライン条件で. P 1 Training. Trainip91. 100. P:≧r aining一. 怩p▲. P3 」 ●教示試. @●○. 寞ウ示不 」  未知試. 50 o●. 」 0. 2345678910 1112.      1. 100. BL. Training 1. P. 1Training 2 ●. 一. Training 3. ●. o. 一. o. 一. P3 ▲. ●. o ▲. 0. P2 ○. ■. 50. 13.14  1516 17Sessions. ▲. ▲. 1. 2  3  4  5  6  7. 8. 9  10 11. 12. 13 14 15. 16Session. Fig.4 指導条件2における反応選択行動および応答言語行動の正反応率.

(8) 96. 発達心理臨床研究 第12巻 2006. Table3 対象児 S1. S2. 場面 教示 不要 未知 教示 不要 未知. 教示言語行動の生起率(%) 事後テスト3. 事後テスト2. 事後テスト1. 事前テスト. 事後テスト4 100. 100. 50 100 50 50. 0. 100. 100 100 25 100 100. 50. 100. 75. 0. 75. 0. 75. 0. 75. 0. 100. 0 0. 0 75 75 75. は、教示試行、教示不要試行、未知試行の順に正. レイヤー役の困難状況を「こまっていない」と答. 答率が高く、質問に対して「しらない」と答える・. えた。. ことが正答となる場合に「しらない」と答えるこ.  ビデオトレーニング3条件では、S1、S2と. とができずに棚の色名をでたらめに答えるという. もに未知試行で対象児役とプレイヤー役が情報を. 行動がみられた。ビデオトレーニング1条件では、. 保持していないことにっいて「しらない」と答え. S1、S2ともに教示試行でプレイヤーが入室し. る行動が獲得され、S1は2セッションで、 S 2. てパズルを行い、他者の教示をまだ受けていない. は3セッションで達成基準に達した。ビデオプロー. 場面において「しらない」と答える行動が獲得さ. ブ3条件では、反応選択による指導を行った未知. れ、S1は9セッションで、また、 S 2は7セッ. 試行における正答率はS1が100%、 S 2が95%で. ションで達成基準に達した。. あったが、教示試行における正答率はS1が28%、.  教示試行における反応選択による指導効果を測. S2が66%、教示不要試行における正答率はS 1. るビデオプローブ1条件においては、S1、S2. が42%、S2が38%とビデオプローブ2条件と比. ともに反応選択ボードという視覚的な手がかりが. 較して低下した。. ない状態であっても、質問者の質問に対して適切.  それぞれのビデオプローブ後に現実場面におけ. に応答することが可能となり、教示試行における. る事後テスト2,3,4が測定された。. 正答率は両対象児ともに100%であった。また、.  事後テスト2では、教示試行、教示不要試行に. この時点では訓練されていない教示不要試行、未. おける教示言語行動の生起率は両対象児ともに. 知試行における正答率も若干上昇した。しかしな. 100%、未知試行における教示言語行動の生起率. がらS1、S2ともに正答率が上昇した質問場面. はS1が25%、 S 2が100%であった。事後テスト. は教示試行と同じ答え方が正答となる場合に多かっ. 3では、教示試行における教示言語行動の生起率. た。. はS1が100%、 S 2が50%、教示不要試行におけ.  ビデオトレーニング2条件では、S1、S2と. る教示言語行動の生起率はS1が50%、 S 2が50. もに教示不要試行で他者の困難状況を「こまって. %、未知試行における教示言語行動の生起率はS. いない」と答える行動および、プレイヤーの知識. 1が100%、S2が75%であった。事後テスト4で. についてパズル片がどこに入っているかを「しら. は、教示試行における教示言語行動の生起率はS. ない」と答える行動が獲得され、両対象児ともに. 1が100%、S2が75%、教示不要試行1とおける. 3セッションで達成基準に達した。ビデオプロー. 教示言語行動の生起率はS1が0%、 S 2が75%、. ブ2条件では、反応選択による指導を行った教示. 未知試行における教示言語行動の生起率はS1が. 不要試行における正答率は、S1が85%、 S 2が. 0%、S2が75%であった。. 100%であった。また、教示試行における正答率 はS1が85%、 S 2.が71%、未知試行における正.          IV 考察. 答率は両対象児ともに23%であった。S2におい.  本研究では、2名の高機能自閉症幼児を対象に、. ては、教示試行すべてにおいて、質問場面2でプ. 井上(1998,2002>を参考にして、パズルが足り.

(9) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討                      97. なくて困っている他者にパズルの入っている棚を. 解となる質問に対して「しらない」と答えること. 教示するという他者情報要求事態を設定して、教. に困難を示し、各条件における正答率はそれを示. 示言語行動が生起するか否か、また、適切な教示. している。よって、指導条件1において言語モデ. 言語行動が指導によって獲i得されるか否か、さら. ルによる指導によって獲得された教示試行におけ. に、他者や自己のおかれた状況に応じて教示言語. る教示言語行動は、「困っている他者がパズルの. 行動が分化的に生起するか否かについて検討がな. ありかを知らないから教えた」という他者の困難. されたQ. 状況や知識に基づいた行動ではなく、単純にプレ.  さらに、ビデオ映像を用いて他者(ビデオの登. イヤーが入室して着席し、パズルをはめ終えたと. 場人物)のおかれた状況や他者の知識に関する質. いう文脈刺激が、「棚の色名を言う」というステ. 問に対して適切な応答が可能か否か、反応選択に. レオタイプな行動を生起させていたと考えられる。. よる指導によって場面に応じた適切な応答言語行. これは、対象児が事前テスト1条件での教示不要. 動の獲得が可能か否かについて検討された。そし. 試行や未知試行においても教示言語行動を自発し. て、応答言語行動の獲得が現実場面(実際の他者. たことからも明らかである。. 情報要求事態)にどのように影響を及ぼすのかに.  応答言語行動の指導においては、ビデオを用い. ついて検討し、応答言語行動と教示言語行動の成. て第三者の行動を観察させ、映像中のいくつかの. 立条件について検討した。. ポイントで弁別させて他者の知識に関する質問に.  結果、両対象児とも指導によって教示言語行動. 対する正答を選ばせる方法を採った。具体的な選. を獲得することが可能であり、事前テスト条件の. 択肢を使用した条件性弁別訓練が「心の理論」の. 教示試行でプレイヤーが何も言わないことで、教. 指導方略として有効であることは松岡・小林. 示言語行動の生起が、ベースライン時のプレイヤー. (2000)において明らかにされており、本研究に. の言語行動(「たりないなあ」)によって制御され. おいてもその有効性が示唆された。. ているのではないことが明らかとなった。しかし.  ビデオトレーニング1条件においては、S1、. ながら、指導条件1のみでは、両対象児の教示言. S2ともに質問場面2のプレイヤーの知識をたず. 語行動はプレイヤーのパズルが足りているか否か. ねる質問に対して「しらない」と答え、プレイヤー. (他者情報要求事態の有無)、自らがパズルのあり. の困難状況について「こまっている」と適切に答. かを知っているか知らないか(自己が情報を保有. える行動が獲得された。しかしながらビデオプロー. しているか否か)によって分化的に生起しなかっ. ブ1条件では、S1、S2ともに教示不要試行、未. た。. 知試行における質問場面3や質問場面4で、「し.  これは相手のパズルが足りているか、足りない. らない」と答えれば正解となる質問に対して、「. かという刺激事態が教示言語行動の生起を制御す. 「しらない」と答える行動が生起せず、ビデオベー. る弁別刺激として機能していなかったことを示し. スライン条件と同様、棚の色名をでたらめに答え. ている。また、自らがパズルの在処を知っている. る行動がみられた。また、S1、S2ともに教示. 場合と知らない場合では、井上(1998)でも指摘. 不要試行、未知試行それぞれにおいて、訓練され. されているように、弁別刺激としての場面1を経. た質問場面の静止画と質問に対する答えが共通し. 験するかしないかといった対象児の過去の体験が、. ている場合には正答率の上昇がみられた。このこ. 教示を行おうとする際には対象児の目の前に存在. とから、対象児は各試行の質問場面の静止画とい. しなかったことが教示言語行動の分化を困難にし. う視覚刺激と、質問者からの質問という音声刺激. たのではないかと考えられる。. に対して同一の反応を行っていたと考えられ、ビ.  指導条件2におけるビデオベースライン条件で. デオによる教示試行場面で他者の「知識」に関す. は、S1、S2ともに「しらない」と答えれば正. る質問に適切に応答することができても、それは.

(10) 98    発達心理臨床研究 第12巻 2006. 他者の「知識」に基づいた応答言語行動ではなく、. でプレイヤーに対して何も言わずに見ているとい. 質問場面の静止画という視覚刺激によって制御さ. う行動が生起し、教示不要試行ではパズルが足り. れた行動であったと考えられる。ビデオプローブ. ており困っていないプレイヤーに棚の色名を教示. 1条件での教示不要試行において、S2が「動物. する行動がみられた。,さらに、未知試行において. は間違っているから早く換えてあげて。」と言っ. は、プレイヤーに棚の色名を教示する行動がみら. たことは、S2がパズルが足りているか足りてい. れたものの、試行終了後に「なかったんだよ」、. ないかといった他者の困難状況を推論していたの. 「しらなかった」と言う行動が自発された。. ではなく、S2.にとって果物パズルを行うことが.  事後テスト4では、.S1において、教示試行に. 強化を受ける事聾であり、動物パズルではだめだ. おける教示言語行動は維持されており、教示不要. という、他者の困難状況の弁別とはべつのルール. 「試行および未知試行では教示言語行動は生起しな. に基づいた条件性弁別を行っていたといえる。さ. かった。また、教示不要試行終了後、指示者に対. らに、未知試行において、S2が「かおりちゃん. して「こまってない、だって4こあるやん」と言. (対象児役)早く言うんだ。」と言ったことは、S. う行動がみられ、未知試行においても、プレイヤー. 2が、「かおりちゃん(対象継続)もパズルの場. に「なんか足りひんで」と声をかけたりぐ「わか. 所を知らない」ということを理解していたのでは. らへんわからへん」とひとりでつぶやいたりする. なく、プレイヤーに対して何かを言うことが強化. 行動が自発された。さらに、ビデオ映像中の未知. される事態につながるという単純な弁別を行って. 試行における対象児役と同じような姿勢に座り直. いたと考えられる。. すといった行動がみられた。また、ビデオプロー.  事後テスト2条件では、両対象児ともに、指導. ブ条件においては、両対象児ともに、直前に指導. 条件1で指導した教示試行における教示言語行動. した場面においては他者の困難状況や他者の知識. は、指導終了後も維持されていたといえる。S1. について適切に応答することが可能となったもの. においては、未知試行で教示を行わずにプレイヤー. の、獲得した応答言語行動が他の場面の指導後も. の行動を見て待つ行動がみられ、試行終了後に、. 維持されることは困難であった。. 指示者に対して「どこに入れたん?」と質問をし.  S1において、ビデオプローブ条件で柔軟な応. たり、r何色の棚に入れたんかわからんかった」. 答言語行動を生起させることに困難を示しながら. と言う行動が自発されるようになった。しかしな. も現実場面では他者の困難状況や他者の知識に応. がらS2においては、教示試行、教示不要試行、. じて分化的な教示言語行動を生起させていたこと. 未知試行における教示言語行動の分化は見られな. から、ビデオ映像中の他者の困難状況や他者の知. かった。教示不要試行では、ベズルが足りている. 識について正しく弁別することと、現実場面にお. 他者の状況に関わらずに自分の知っている棚の色. ける他者の困難状況や自己と他者の情報の有無に. 名をプレイヤーが退室するまで言い続けるという. 応じて適切に教示を行うこととのあいだには、直. 行動が生起した。さらに、未知試行においても、. 接的な関連があるわけではないということが示唆. 自らが情報を保持していなくてもプレイヤーに棚. された。このことは、自閉症児にとって教示や助. の色名を教示する行動がみられた。. 言という「行動」の成立と、「他者が知っている.  事後テスト3条件では、S1において教示試行. /知らない」という「信念」に相当する言語行動. で獲得した教示言語行動は維持されており、教示. の成立が独立であるという奥田・井上(2000)の. 不要試行では何も言わずに見て待つという行動が. 指摘を裏付けている。. みられた。しかしながら未知試行においては、す.  S2においては、ビデオプローブ条件において、. べての試行においてプレイヤーに棚の色名を教示. 他者の困難状況や他者の知識の有無によって分化. する行動が生起した。S2においては、教示試行. 的な応答言語行動を獲得することは困難であり、.

(11) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示言語行動と他者知識理解の成立条件の検討                      99. また、現実場面における事後テスト4においても. られることから(s1:DQ102, S 2:DQ66)、. 柔軟な応答言語行動を生起させることは困難であっ. 今後、対象児の言語能力と、教示言語行動のよう. た。S2においては、映像という視覚刺激に共通. な複雑な条件制弁別を必要とする行動との関連性. の要素や、対象児役が受ける強化事態といった、. についても、さらに検討していく必要がある。. 他者の「知識」や困難状況ではないべつのルール に基づいた応答言語行動であったことが示唆され.          文  献. る。. 1)赤木和重.(2003).1歳児は「教える」こと.  井上(1998)は、対象児が「プレイヤーはパズ.   ができるか?一他者の問題解決困難場面にお. ルの在処を見ていない/知らない」、「プレイヤー.   ける教示行為の生起一.日本発達心理学会第. は困難状況を解決する物品を知らない」というこ.   14回大会発表論文集,415.. とを知っていたかどうか(応答可能か)という問. 2)Astington, J.W.(1993).7んθc屈醜41s−. 題と、教示言語行動との成立との関連性を確かあ.   coびθrッ(ゾ伽η伽d. Cambridge, MA:. るためには、「○○さんは∼を見ていますか/知っ.  Harvard University Press.松村暢隆(訳).. ていますか」という質問に対して機能的な応答が.   (1995).子供はどのように心を発見するか. 可能となるよう別の場面で指導し、信頼できる応.   〈心の理論〉の発達心理学.新曜社.. 答行動が確立していることを前提条件として課題. 3)Baron−Coher1, S.(1989a). The autistic. を実施する必要があると指摘している。.  child,s theory of mind:A case of specific.  別府・野村(2005)は、3歳∼6歳の健常児60.  developmental delay. Jo配rπαZ(ゾ0ん鋸. 名と、WISC皿での言語指数が70以上の高機能自.  Pεッ。んoZogy αη(1 P8ッc1話αむry, 30,285−297.. 閉症児29名(小学校1∼6年生)を対象に、サリー. 4)Baron.Cohen, S,(1989b). Are autistic. とアンの誤信念課題を改変したものを通常通りに.  children”behaviorists’1?:An Examination. 回答を求めると共に、なぜそちらを選択したかの.  of Their Mental−Physical and Appea−. 言語的理由付けを行わせた。結果、健常児では言.  rance−Reality Distinctions. JoωrπαZ (ゾ. 語的な理由付けはできないが誤信念課題に正答す.  ・4面S配α雇Dεひθ加mθπ亡αZαsorゴθr8,. るレベルが存在するのに対して、高機能自閉症児.   19(4),579−600.. においては、言語的理由付けなしに誤信念課題に. 5)Baron−Cohen, S., Leslie, A. M.,&Frith,. 正答できるレベルが存在しないことが明らかとなっ.  U.(1985).Does the autistic child have a. た。このことから、高機能自閉症児においては、.  1嗜theory of rnind?11.、 Co91z詫εoπ,21,37−46.. 「心の理論」をふまえた行動をとるためには、言. 6)Baron−Cohen, S、, Leslie, A.M、,&Frith,. 語的理由付けを可能にする言語能力が必要条件と.  U.(1986).Mecanical, behavioral and in−. なっていることが示唆されている。.  tentional und6rstanding.of picture sto−.  本研究において、両対象児ともに、ビデオ映像.  ries in autistic children. Br詫‘8んJoωηταZ. 中の他者の困難状況や他者のもつ知識について反.  oゾZ)θひθZoPητθrL亡αZ I)sycんoZo9ニソ,4. 113−125.. 応選択による指導を行い、指導した場面では適切. 7)別府 哲・野村香代(2005).高機能自閉症. に応答することが可能となっても、それが別の場.  児は健常児と異なる「心の理論」をもつのか:. 面で機能的に分化することは困難であった。一方.  「誤った信念」課題とその言語的理由付けに. で、S1は「こまってない」、「わからんかった」、.   おける健常児との比較.発達心理学研究,16. 「しらなかった」など他者の困難状況や自己と他.   (3), 257−264.. 者の知識について言語化する行動がみられた。両. 8)Frith, U.(1989)A碗εsηzEκ1ρ♂α‘π‘ηg疏θ. 対象児のプロフィールにおいて言語能力に差がみ.  θ配g1γzα. Oxford:Basil Blackwe11.冨田真紀・.

(12) 100. 発達心理臨床研究 第12巻 2006.   清水康夫(訳).(1991).自閉症の謎を解き.   R.(1989),CARS:小児自閉症評定尺度.佐々.   明かす.東京書籍..  木正美.(監訳).岩崎学術出版社.(Schopler,. 9)井上雅彦.(1998).自閉症児における他者へ.   E.,Reicher, R, J.,&Renner, B. R.(1986)..   の教示言語行動の獲得と般化.発達心理学研.   7んθ面痂oo4幅‘sm rα伽g scαZe(α4R8)..   究,9(3),179−190..   New York:Irvingt on Publishers.). 10)井上雅彦.(2002).自閉症児における役割交. 18)William D. F.(2002)高機能自閉症児にお.   替手続きによる教示言語行動の形成と反応分.   ける社会的コミュニケーションスキル.氏森.   化.兵庫教育大学附属発達心理臨床研究セン.   英亜・清水直治(監訳).自閉症児の発達と.   ター.発達心理臨床研究,8,9−18..   教育,(pp.77−96).二瓶社.(Koege1, R. L,. 11)Leekam, S. R.,&Perner, J.(1991). Does.   王∼oegel, L K「(2002).7θαc1乙加gα読(かθπ.   the autistic child have a metarepre−.   ω痂・ノ4面s砿s古rαεeg‘εs》br砺亡どα伽9.   sentational deficit? σ09π‘亡εoπ, 40, 203−.   POS‘伽εZπ亡θrr礁‘0ηSα屈Improひ1π9.   218..   L2αr漉90PPQr伽薦θ&). 12)前田美麗・三隅輝見子・山中福子.(2001).   高機能自閉症の早期療育プログラムの開発.   リハビリテーション研究紀要,11,31−36..   横浜市リハビリテーション事業団(編).横   浜市総合リハビリテーションセンター企画研   究室.. 13)松岡勝彦・小林重雄.(2000),自閉症児にお.   ける「他者意図」の理解に関する研究一ビデ   オ弁別訓練による「言外の意味」の理解と般   面一,特殊教育学研究,37(4),1−12.. 14)大塚由美子・日戸応訴・三隅輝見子.   (2001).高機能自閉症の早期療育 一「心の   理論」の障害に配慮した課題の提示と遂行一,.   リハビリテーション研究紀要,11,13−17..   横浜市リハビリテーション事業団(編).横   浜市総合リハビリテーションセンター企画研   究室.. 15)奥田健次・井上雅彦.(2000).自閉症児への.   「心の理論」指導研究に関する行動分析学的   検討一誤信課題の刺激性制御と般化一.心理   学評論,43(3),427−442 16)Perner, J., Leekam, S. R.,&Wimmer, H..   (1987).Three.year−old’s difficulty with.   false belief :The case for a coHceptual   deficit. British JoωrηαZ(ゾDεoθZop1ηθπ亡αZ   Ps二ycんoZo9)7, 5, 125−137.. 17)Schopler, E., Reicher, R. J.,&Renner, B..

(13) 犬飼・高階・井上:高機能自閉症幼児における教示.言語行動と他者知識理解の成立条件の検討. 101. 1nstructional verbal behavior to other person and Understunding of Other Knowledge for children with High−Functioning Autism. YOKO INUKAI*, MIWA TAKASHINA**, MASAHIKO INOUE** *Hyogo Center for Development disorders(Takasago−shi, Hyogo−ken 671−0122)           *℃enter for Development and Clinical Psycholo.gy,.    Hyogo University of Teacher Education(Kato−gun,Hyogo−ken 673−1494).   This study was examination about acquisition of instructional verbal behavior to other person and ullderstanding of”Other Knowledge「1 for children with High−Functioning Autism.As a result, Children acquired instructional verbal behavior to o七her person by using a verbal prompt−fading. method, but didnIt differentiate by the situation of other person and Other KnowledgeFinally, Children answere.d the questions about the situation of.other persbn and Other Knowledge with− out a visual prompt, however, their.responsi母1 verbal behavior didnlt defarenceate. S1. was able to acquire differentiatial instructional verbal behavior depending o.n the situation of other pbrson. and presence of Other Knowledge, but S2 wasn’t,The result were discussed about acquisitiorl of. instructional verりal behavior to other person and understanding of”Other Knowledge”..

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