Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
卒後研修課程第35期生による症例展示
Author(s)
小林, 弘史; 諸星, 貴大; 斉藤, 裕香; 田草, 川舞; 村
瀬, 千明; 飯塚, 美穂; 須田, 永子; 植木, 亮和; 田口,
奈央子; 松浦, 彰子; 西井, 康; 末石, 研二
Journal
歯科学報, 112(4): 555-555
URL
http://hdl.handle.net/10130/2866
Right
目的:モデリングコンパウンドを用いた筋圧形成印 象法は長年行われており,部位ごとに筋圧形成の運 動方法は確立されている。しかし,軟化温度の異な る各種モデリングコンパウンドの使い分けや適切な 軟化条件は決められておらず,術者の経験に頼るの が現状である。そのため術者の経験に左右されずに 適切な筋圧形成を行うには,モデリングコンパウン ドの適切な軟化条件を明確にする必要がある。 そこで,口腔内の部位ごとの適切なモデリングコ ンパウンドの選択および適切な軟化条件を探求する ことを目的として,本実験ではまず,下顎の筋圧形 成時にモデリングコンパウンドにかかると想定され る圧力を調べることとした。 方法:歯列欠損のない健常有歯顎者10名(平均29± 1.7歳)に対し,JMS 舌圧測定器(GC 社)を用い て,下顎の筋圧形成時にモデリングコンパウンドに かかると想定される圧力を測定した。測定部位は下 顎右側第一大臼歯部口腔底,下顎右側第一大臼歯齦 頬移行部,下顎中切歯部口腔前庭とした。計測方法 は各部位に舌圧測定用プローブを挿入し,大開口, 口角牽引等の機能運動を行わせた。その後,各部位 ごとの測定された圧力について一元配置分散分析後 に Bonfferoni 検定を行った(α=0.05)。 成績および考察:計測された圧力は下顎右側前歯部 唇側の口角牽引運動が8.13kPa となり最も高く,下 顎右側第一大臼歯齦頬移行部の大開口が2.70kPa と なり最も低かった。また,下顎右側第一大臼歯部口 腔底では舌前方突出運動と舌左右突出運動との間に 有意差が認められず,下顎右側第一大臼歯齦頬移行 部では口角牽引運動と吸綴運動,吸綴運動と嚥下運 動との間に有意差が認められなかった。今回の実験 結果から同一部位であっても運動によりモデリング コンパウンドにかかると想定される圧力が大きく異 なることが分かった。そのため,各部位において必 要な機能運動の種類も絞られると思われる。また最 も高い圧がかかった部位と最も圧が低かった部位で は5.0kPa 以上の差が見られ,モデリングコンパウ ンドを同一条件で使用することには疑問がもたれ た。よって,部位ごとにより最適なモデリングコン パウンドの選択と軟化温度の変更を行う必要がある と考えられる。 目的:東京歯科大学歯科矯正学講座の卒後研修課程 は,昭和50年に発足し,本年3月末日現在285名が 修了している。これは,矯正歯科専門医養成を目的 とし,認定医資格の取得に向けた,歯科矯正治療に 関する基本的な診断・治療・評価法を習得する3年 間のカリキュラムが組まれている。特に臨床技能に 関しては,第1期治療での Functional appliance, 顎外装置および第2期治療(外科的矯正治療を含 む)での Standard edgewise 法,Bioprogressive 法, Pre-adjusted appliance などの習得を中心に治療お よび管理を行っている。また症例は多岐にわたり, 顎変形症,口唇口蓋裂,各種症候群,歯周疾患,顎 関節症などを伴う症例も含まれている。そして,卒 後研修過程の研修修了に際しては,研究論文1編と 治療4症例,保定2ヵ年以上の1症例の報告が義務 づけられている。そこで,本年3月に当講座の卒後 研修課程を修了した35期生10名の研修医が研修終了 時に提出した治療40症例について自己評価を行い, 学会展示することにより外部評価の獲得を目標とす る。 症例:資料は,本年度の卒後研修課程修了者10名が 提出した治療40症例の術前,術後の模型とレントゲ ン写真,顔面写真および口腔内写真である。症例は 非抜歯症例17症例,抜歯症例10症例,外科的矯正治 療13症例(うち抜歯症例1症例)であった。その内 訳 と し て Angle 分 類 で は Ⅰ 級 が11例,Ⅱ 級 が12 例,Ⅲ級が17例であった。また,性別は男性10例, 女性30例であった。動的治療期間は,11ヶ月∼3年 2ヶ月で平均1年11ヶ月であった。 成績および考察:評価法は , Gottlieb s Grading Analysis を用い,全40症例について治療に対する 自己評価を行った結果,Good が31症例,Satisfactory が9症例と判定された。当研修課程の臨床研修で は,本格矯正治療に必要な知識と技術が習得できた と考えられる。