ヴィクトリア朝ソネット集について(VI)
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(2) 岡. 22. 前回(8)において,. Monna. 雄. 卑. 田. Innominataにおいて,. ShakespeareのSonnetsと共通した表現. 方法というか,主題が用いられていることに言及した(4)。この点から先ず話を進めること にすると,その時に指摘したように,. `love'という言葉の多義性がRossettiのSon.6に. おいてReesによって取上げられていることに言及したが,この間選ば-篇の作品の複雑 性と逆説性のみならずこの連作集全体の問題と関係して来るように思われる。. Rossettiは. この前のSon.5において,多くのソネット連作集における,詩人の貴夫人に対しての態度, `obedient. servant'としての態度を`God'へのそれにおきかえて転用している。 Yea, So. for. much. To. love. As. without. love Jordan. Since. at. much. dear. me,. all l. sweeps. love. made. ;. end. more,. you. either. helpmeet. friend?. can. an. to. yet. and. be,. you. without. his flood is the. woman. for. stint and. world. yotl. have. would. b也t what. tomorrow,. Today, To. you;. you. He. as. you. perfect. shore;. for. man.(5). つまり宮廷風恋愛における女性への奉仕が,ここでは神への奉仕へと転化され,その中で 男女間の愛がjustifyされるという構図が9行目(but. what. for. dear. me,. friend?)以下. Biblicalreferenceを伴って示される(8).っまりここで考えられることは,この. sestetで,. 連作集においてChristina. Rossettiが創り出した`Lady・poet'というpersonaはt. 彼女が. `divinelove'を自らに課するため作り出されたものではないであろうか,ということ である。 Christina. Rossettiにおいては,信仰と神の愛の問題は,確固とした自信と信念に基い. て扱われたというよりは,心の葛藤と不安に伴われていたものであったと言って差支えな いだろうか。. Thougb writer,. Jam. Marshの次の評言,. Rossetti her. is often is also. verse. held. wracked. to. by. be. an. unproblematically. doubtand. (even. banal). religious. fear.{7). は,私のように正統的信仰と録のない者にとって同感しやすいものであり,この点で John. Donne,彼のHoly. Sonnetsの世界と通ずるものがあるというのもー特にLater. LifeにおいてそうだとJan. Marshは言っているが(8)-うなづかれる見方と言えよう。. ただしその時代背景から来る表現上の特質といったことについては,厳密な検討が必要と されるであろう。. 前回に言及したSon.6の最後の2行. I cannot. love. I cannot. you. love. if l love Him. not. if l love. Him, you. not..
(3) ヴィクトリア朝ソネット集について(Ⅵ). について,. Reesは5行目(unready. ら,. contrary. `Two. loves,. one. impulses. human. the. and. to. strike. forgo. each. just. other. divine,. other. forsook) (italic筆者)にふれなが. l. what. in the. as,. their. make. 23. claims. as. poem. against. a. whole,. each. two. other'と評. しているが(9),この2行はこうしたconflictの表現として詩の最後におかれているもので, 決してこれがある種の解決を示しているものではないことに注目すべきであろう。 E. SpenserのAmwetti. これに関連して,. So. let. loue. loue,. vs. is the. deare. lesson. 68の結末の2行がよく引合に出される。. loue,. lyke. the. which. as. Lord. we. ought, taught.uO. vs. Reesは;このcoupletに含まれている問題は少くともPetrarch以来,愛の問題を扱って釆 た詩人達を捉えて釆たものであるとし, of. Spenserの場合について`the. Christian. sacrament. Whitla. marrliAge'の観点からこの2行を考えようとしている凹。これに対しWilliam. は,これを単なる`the. witty. `a. Rossettiの2行をSpenserの2行目と比べて, the. Christina. excuse'という次元で考え,. or. permission. more. serious. theolgical. challellge. tO. beloved'と評しているがOB,これをどちらがより正しいのか断定する立場にはない。 Christinaの兄,. ついでながらこのSon6.の最後の2行は, ネット連作集TheHouse. `Heart's. ofLifeのSon5.. Dante. Gabriel. Rossettiのソ. Hope'の結末の3行を思い起させ. る。. I fain. Lady, Thy. l know. soul. Thee. tell how. would. from. from. not. myself,. evermore. thy. love. our. neither. body,. nor. from. God.姻. この,官能的な愛欲を`God'に結びっけようとする,殆んど漬禅的(?)ともいうべき 大胆さの見られる詩行が,. Christinaと血を分け合った,生涯親しかった肉親によって書. かれたという事実に,意外(?)と驚異の念を禁じ得ない。そしてDante. Gabrielの詩の. 世界がこの後次に不安と憂愁の色を濃くして行くことになる。これはChristinaの作品の あるものと通い合うかも知れない(必ずしも全部ではないが)0 次のSon7.は,. Son6.の最後の2行を敷延するかのように。. "Love "Love As. Of. for I love. me, me,. happy. love, that. you". for I love equals knows. in. -and. you". the. not. a. -so. answer. shall. me, we. flowering. land. dividing. sea.吐4. stand. という呼びかけで始まり,この4行目に出て来る`love'という名詞は,次の行における Biblical. reference. (Mattew. 7:24-27)によって聖愛(divine. love)の色合いをおびる。.
(4) 岡. 24. Love. the. builds. Love. laughs. house what. on. while. 雄. 卑. 田. rock. and. the. winds. on. not. sand, desperately;. rave. この最後の`desperately'という言葉の波紋を拡げるかの如く,. 7行目以下のsestetに至っ. て愛の不安が詰られ,その救いが次のように示される。. Still l find. Tho'jealousy And. in. comfort. death. be. cruel. be. strong,. as. his Book, the yet. who. saith,. grave,. love. is strong. death.. as. 「別離の恐れへの表現であり,これ. Whitlasはこの詩のsestetの見られるテーマについて,. は愛は死に勝るという考えによってのみ克服される」という意味のことを言っているが姻, ここで注目すべきことばこの連作集において始めて`Death'が姿を見せることである。 そしてそれがSon.10において再び姿を現す時,それは`Time'を先導とし,その支配を 受ける`hope'. `1ife'. ,. `faith'を伴って現れる。. ,. 9番目のソネットとともにこの連作集にvoltaが来るとWhitlaは指摘する姻。 は`sonnet. 9番目と. of sonnets'ではsestetの始めを意味する。確かにここで何らかの「転機」の. 如きものが表されていることは確かのようだo気がつくことは,詩篇における語り草が自. 分のことを語るうちに,自らの衰えをはっきり意識して,表現していることである。. For. is. woe. So Apt. apt to. Faithless. me. to. shrink. lie down and. walk. so. apt. to. afraid,. so. apt. to. who. and. hopeless. die(ah, turning. fall,. is. woe. to. flee,. the. me!) (ll.5 -8. wall.. ). ここではRossettiが創り出した`1ady・poet'が語っているというよりは,. Christina自身. のことが直接語られていると見ることが可能であろう。この作品の中では,. 9行目,. se§tet. に入って主題の「転換」が行われ,気を取りなおすかのように神への,その恩寵(grace) への祈りと呼びかけがなされる。. And. yet. Because. not not. So Ready. take to. hopeless loveless;. l heart spend. and. 次のSon.10では,先にふれたように.. love. faithless. nor. quite. toil all night.... may. of grace be spent. `Time. quite,. as. best. l can,. for your. sake.. flies'という言葉で始まり,. 「死」 (Death). が続いて登場する様が語られる。ここには,時の経過と死と到来を受け入れ,死後の世界.
(5) 25. ヴィクトリア朝ソネット集について(Ⅵ). へ安らぎを求める気持が見られる。 Life. wanes;. Tired. and. hope,. Let. us. love. when less. and. his wings. feel. we. fall asleep,. go. folds. dear. above. his conscious friend,. pulse,. in peace:. ここで引用した最後の1行は,簡潔,かつ効果的にその心情を表しているといえよう的.. A A Loss. little while,. little while, decay. and. age. and. cease;. and. life reborn. annuls. and. death,. all is love.. and. DonneのHoly. John. ここで思い出されるのは,. sorrow. and. be. `Death. Sonnetsの有名な-篇,. not. proud'である。その結びの2行。 One. short. sleepe. And. death. shall. を想起させるo. wee. past,. be. no. eterrlally,. wake Death. more,. thou. JanMarshのいうようにChristina. に親しんでいたことは確かのようだ吐9o. shalt. RossettiがDonneの作品を読み,それ. しかしRossettiの方がはるかに平静な気持ですべ Donneの方は`bravery'が強く,. ての受け入れようとする気持を表しているのに対して, 反語的,. die.旭. paradoxicalな言い方にその特徴がよく現れているということは言えるであろう。. Son.12においては,. ShakeepeareのSonnetsに多く見られる`exchange. hearts'の. of. これはShakespeareにおいては,友情(?)関. テーマが見られることは前回指摘した榊o. 係の破綻という状況において,自己の否定という形でparadoxicalな自己主張がされてい るのが特色だが,それがRossettiの作品にどのような影響を及ぼしているか,或いは全く いないかは,今は何とも言えない。. そして最後にSon.14が来る。この作品は明らかに他の13篇と異なっているが,. 14篇全. 体で最後に来るべき作品であることば明らかである。ここには`lady-poet'が`you'と 呼びかけて釆た相手(`beloved')は姿を消し, as. dwelt. `if there. beauty. in. this'といった表現に見られる通り,ここで語っているのはChristina. あることば明らかと言えるであろう。この作品はLaterLife. gone,. Dwelt. beauty. Youth. gone. I will not. beauty. and. bind. in and. so. poor. beauty,. fresh. if. gone. roses. a. face. what in my. ever as. there this;. remains hair,. poor. a. of. bliss?. face. Rossetti自身で. 24篇のうちの或るもの,特. にSon.17やその以降の番号の作品と共通性があるものと言ってよいであろう。. Youth. so.
(6) 岡. 26. To. a. shame Leave. his. youth. best. at. cheek. roses,. 卑. 田. but. 雄. little fair,bear. can. who. thorn,-(Son.. a. 14. ll.1-6). すでに遠い昔となった1940年(昭和15年)に,入江直祐氏はその[クリスチナ,ロセッ (岩波文庫32・23411)の中でMonna. ティ詩抄]. Innominataより,こ甲詩篇を「若き日と」. と名づけて取り上げ,上の6行を次の通り訳している。 うるは. かみ. 若き日と麗しさ. 早去りぬ。その昔は み. あさましき. め. よかりしと. この眉目も のこ. 逝き遺す. 若き日と麗しさ みづみづし. 人いへど。. さち. 幸ありや,. 吾が髪に. かざすまじ。. 吾が頬の. 花の春に. 恥ぢら-ば-. 忘れぬる. 若き日ぞ. 蕎蕨を摘め-. 蓄蔵の花 lまlま. うつろひの とけ. さす刺を. 原詩の趣きとはかなり違った世界がここに見られることは確かであろう。しかし。過ぎ去っ (続く). た若き日への思いが原詩とは養った感じで我々に訴えて来るのも又確かであろう。. 注 ReesはThe. Dante. Gabriel. lnnominataについては言及しながら,. Later. (1) Joan. (2) Monna. Poetry. of. Rossetti,. Cambridge. Convention. Kent. (ed). :. The. :. Christina. Rossetti's. Achievement. William. (3)沓掛良彦(梶,釈). Crump.. (5) textはChristina, Edition,. 3vols,. Cornell. (ed). State. : Christina. "Questioning in. Znnominata"". U. P.. 1996. Whitla,. Daria. A. 1987が参考になるo. p.25及びpp.7617参照o. pp.22-23.. (ed). R. W.. Louisiana. Marsh. してはJan. Rossetti,. "Monna. [トルバドゥ-ル恋愛詩選]平凡社,. (4)横浜国立大学人文紀要Ⅱ第42輯(1995). onLm. Sequence. Sonnet. Christina. of. Monna. 1981の中で,. Lifeについてはイ可も触れていない。. Innominataにおけるconventionの問題については,. the. U.P.. :. The. University. Rossetti,. Poems. Complete. of. Christina. Rossetti:A. Press,1979-90,による.. Poems. and伽se. Vari-. Rossettiのtextと Lib.. Everyman. 1994は大変便. 利である。 (6) Joshua (7). 3:15-4:18 Marsh:Introduction. Jam. to. `ChTistina. Rossetti-Poems. and. Biogaphy. Janathan. 1994,. Prose'. ,Everyman,. p.xxvii. Marsh.. (9) Joan. Christina. Rees,. op.°it.. uO) textはThe ford U.P.. 0.1) Rees, u2). Whitla,. Poetical. Rossetti. Works. p.157. op.cit.. LiterlaYy. Cape.. 1994.. P.483.. pp.156-7.. 1959.による.. op.cit.. -A. -.. (8) Jam. pp.121-2.. of. Edmund. Spenser,. ed.. by. J. C. Smith. and. E. de. Selincourt.. Ox-.
(7) ヴィクトリア朝ソネット集について(Ⅵ). G. Rossetti. a3) textはD. Baum,. Havard. :. The. Univ.. u4)この`dividing. House. Press,. of Life,. lntroduction. an. with. 27. and. Notes. by. Paul. Franklin. 1928.による.. sea'はHeroとLeanderの神話に出て来るHellespont.海峡を指すとWhitlaは. 指摘し,注にDanteからエリザベス朝のソネット集, 家の典拠を示している(Whitla.op,°it, Arnoldの`To. Marloweを始めとする多くの詩人,劇作 Matthew. pp.122-3)。しかしここで思い浮ぶのは,. Marguerite-Continued'という,人間の孤立を歌った詩篇に措かれている海,. もとは一つであった陸地を一つ一つの島に孤立させる海のことである。そしてChristina Rossettiの場合,. secularな愛を可能ならしめるものとして,神の愛への呼びかけがなされてい (a God). たのに対して, Amoldのこの作品では,人間一人一人の孤立を命じたのは「ある神」 なのである。 A. God,. And. bade. The. unplumbed,. (M.. Whitlas,. a6) ibid.. a7). their. between. op.cit,. severance. their. "To. to. shores. Marguerite. Amold,. !. ruled. be. sea.. salt, estranging. Arnold,. Matthew. of a5). God. a. -. Longmans,. Continued''ll.. 22-4.. textはK.. Allot. (ed). :. The. Poems. 1965による.). p.117.. pp.125-6.. cf. Unam,. Eros. ; the. we. must. And. u8) textはHelen. a9) Jam. Marsh,. long sleep.. task. (Antony. (ed). Gardner op.cit.. day's. :. The. is done, and. Cleopatra,. Divine. Poems. AuroTla. (Ⅳ)で取り上げたElizabeth Leigh. and. of John. 35-6) Donne. (Oxford,U.P.. 1978)による.. p.483. eQ)横浜国立大学人文紀要Ⅱ,第42輯(1995). 追記,. 4. 12.. Other. もこの中に含まれている。. Poems.. p.23.. Barret Penguin. Browningには最近Elizabetb Books,. 1995,が出た。. Sonnets. Barret. from. the. Browning Pwtuguese. :.
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