氏 生年月日
学位論文審査結果の報告書
名本籍(国籍)
学位の種類
学位記番号
学位授与の条件
(博士の学位)長楽寿子
平成 2年6月 日本 博士(薬学)
第 152学位規程第5条該当
論文題目化学療法に求められる医療安全における 20 日学位論文受理日
学位論文審査終了日
審査委員
号 平成平成
(副主査)西田升三 (主査)高田充隆 (副査) 儲^教勵 矛 (副主査)小竹武留谷圃
日日
月月
年年
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,、 1 1 3 3 1 2がん化学療法において、抗がん剤の投与量設定にはほとんどが、腎機能の確認を要す る。血液尿素窒素や血清クレアチニン値が腎機能を反映しているが、具体的な抗がん剤 の投与時前の用量調節に用いられる指標はクレアチニン・クリアランス値(ccr)がGFR 値の代用として用いられている。そこで、腎機能により用量調節が必要な薬剤の処方せ んにCcrを予め、記載するとともに、薬品名の後に「腎」が明記されるよう処方せん記 載に工夫をすることは、薬剤の調剤および監査において、極めて有用であると考えられ る。第1章では、病院薬剤師および大学薬学生を対象とし、 ccrを記載した模擬処方せ んに腎機能により投与量調節が必要な薬剤について、「腎」の「記載なし」処方せんと「記 載あり」処方せんで調剤と監査の正確性、迅速性を比較検討した。また、プレアボイド 報告にっいて、 2015年のプレアボイド報告集団(「記載あり(2015)D と 2014年のプ レアボイド報告集団(「記載なし(2014)」)との間で、腎機能による用量調節が必要な薬 剤に関する報告を比較した。「言己載あり」を監査した場合では、信己載なし」と比較して 監査の正確性は統計学的に有意に高い結果となり(Pく0.OD、監査の所要時間についても
有意に短縮された(Pく0.01)。「言己載なし(2014)」群と「記載あり(2015)」群の腎機能に関
連するプレアボイド件数の比較を行ったところ、階己載あり(2015)」において報告件数は 有意に増加した(Pく0.OD。処方せん記載の工夫が調剤・監査の正確性の向上と所要時間 の短縮につながり、正確かつ迅速に、効率的な監査が可能であること、プレアボイド報 告の比較からは早期タイミングで適正な薬物治療が実践できることが示唆され、安全で 適正な薬物治療の貢献に有用であると考えられた。以上のことから、処方せん記載の工 夫は腎機能により用量調節が必要な薬剤が多い、特にがん化学療法における投与量設定 等に有用であることが示唆された。 第1章では処方せん記載の工夫による薬学的管理事項におけるりスクマネージメント の視点からの検証であったが、第2章では抗がん剤調製による曝露の医療事故回避を目 的としたオゾンによる抗がん剤の分解を検証した。抗がん剤の多くは発がん性・催奇形 性を持ち、生殖毒性、遺伝毒性および臓器毒性を引き起こす。抗がん剤の調製業務にお いて、これらの薬剤に曝露されるりスクの高い医療従事者にとって有害である。これま で、ヌクレオシド抗がん剤の汚染除去剤としてオゾンガスの有用性が示されており、今 回、アントラサイクリン系抗がん剤に対してのオゾンガスの適用性について検証を行っ た。ドキソノレビシン、エピノレビシンおよびダウノノレビシンを含むアントラサイクリン系 抗がん剤をオゾンガスに曝露し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって残留 薬物濃度を測定し、オゾンガスに曝露されたアントラサイクリン系抗がん剤を亘PLCI フォトダイオードアレイ(PDA)で分析した。アントラサイクリン系抗がん剤の残存率 は、湿度および CT値の増加とともに減少した。 HPLCΦDA分析から得られた結果で は、オゾン曝露後の抗がん剤や他の添加物に対応するピークは検出されず、抗がん剤の 構造がオゾンガスによって分解されたことを示唆しており、オゾンガスのアントラサイ論文内容
の要
6-旨
本研究において、腎機能により用量調節が必要な薬剤について処方せんに明記するこ とは、安全で適正な薬物治療の貢献に有用であると考えられる。また、抗がん剤の汚染 除去邦ルしてのオゾンガスの有用性について、ヌクレオシド抗がん剤同様、アントラサ イクリン系抗がん剤においても、オゾンガスが汚染除去剤として有用であることが示さ れた。 本研究結果より、処方せん記載の工夫による適正な薬物治療ヘの貢献が示唆され、こ れらの工夫は化学療法においても有用なものであると考えられる。また、抗がん剤曝露 対策としてのオゾンガスの有用性が示され、化学療法における医療安全の確保の一助と なることが期待される。
本論文の第1章において、投与量設定に腎機能に依存する抗がん剤などの薬剤を処方 せん上で簡易に確認できるシステムを採用することによって医療安全にどれほど寄与 できるかを以下のように検証している。病院薬剤師および大学薬学生を対象とし、 ccr を記載した模擬処方せんに腎機能により投与量調節が必要な薬剤について、「腎」の階己 載なし」処方せんと「言己載あり」処方せんで調斉ル監査の正確性、迅速性を比較検討した。 また、プレアボイド報告について、2015年のプレアボイド報告集団(「記載あり(2015)D と 2014年のプレアボイド報告集団(「記載なし(2014)D との間で、腎機能による用量 調節が必要な薬剤に関する報告を比較した。「記載あり」を監査した場合では、階己載な し」と比較して監査の正確性は統計学的に有意に高い結果となり(Pく0.01)、監査の所要 時間についても有意に短縮された(Pく0,OD。曙己載なし(2014)」群と信己載あり(2015)」 群の腎機能に関連するプレアボイド件数の比較を行ったところ、信己載あり(2015)」にお いて報告件数は有意に増加した(Pく0.01)。処方せん記載の工夫が調郵卜監査の正確性の 向上と所要時間の短縮につながり、正確かつ迅速に、効率的な監査が可能であること、 プレアボイド報告の比較からは早期タイミングで適正な薬物治療が実践できることが 示唆され、安全で適正な薬物治療の貢献に有用であることを示している。第2章では第 1章と同じく医療安全の観点から、発がん性・催奇形性を持ち、生殖毒性、遺伝毒性お よび臓器毒性を引き起こす抗がん剤の調製業務において、これらの薬剤に曝露されるり スクの高い医療従事者にとって曝露の医療事故回避を目的としたオゾンによる抗がん 剤の分解を検証している。これまでの研究でヌクレオシド抗がん剤の汚染除去剤として オゾンガスの有用性が示されているが、本研究でドキソルビシン、エピルビシンおよび ダウノルビシンを含むアントラサイクリン系抗がん剤に対してのオゾンガスの有用性 を以下のように検証している。オゾンガスに曝露したアントラサイクリン系抗がん剤を 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびHPLC/フォトダイオードアレイ(PDA) によって分析し、アントラサイクリン系抗がん剤の残存率は、湿度およびCT値の増加 とともに減少していることやオゾン曝露後の抗がん剤や他の添加物に対応するピーク は検出されず、抗がん剤の構造がオゾンガスによって分解されたことを示唆しており、 オゾンガスのアントラサイクリン系抗がん剤の汚染除去剤としての有用性を示してい る。 本研究において、腎機能により用量調節が必要な薬剤について処方せんに明記するこ とは、安全で適正な薬物治療の貢献に有用であると考えられた。処方せん記載の工夫に よる適正な薬物治療ヘの貢献が示唆され、これらの工夫は化学療法においても有用であ
論文
査結果
の要
8-旨
クレオシド抗がノV剤同様、アントラサイクリン系抗がん剤においても、オゾンガスが汚 染除去剤として有用であることが示され、化学療法における医療安全の確保の一助とな るととが期待された。 以上、本研究は、適正な薬物治療ヘの貢献が期待できる処方せん記載の工夫は、特に 化学療法において有用であり、さらに抗がん剤調製における曝露対策としてのオゾンガ スの有用性から化学療法における医療安全の確保の一助となることを示しており、博士 論文として評価できる論文である。