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企業の利潤と経済政策の影響

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企業の利潤 と経済政策の影響

日 次 緒 言 1 企業の利潤と市場均衡 1- 1 競争市場での採算概念と生産可能領域 1- 2 企業の等利潤曲線 1- 3 ㌧独占市場の均衡 1- 4 寡占市場の均衡 1- 5 独占的競争市場における二重性格 緒 言 完全競争市場 の理論的前提は,市場の供給者 と 需要者 のすべてが,市場で決定 され る価格を所与 として行動す るプライステ ィカーであ り,いかな る市場参加者 も市場価格には何 ら影響を及ぼ しえ ない ことにある。 この完全競争市場 とい う理念型 の反対側の極に単純独 占市場があ り,企業は市場 を独占し価格を支配 してい る。完全競争市場 と独 占市場 との間に存在す る中間領域は不完全競争市 場 とよばれ,それは さらに独占的競争市場 ,寡 占 市場,複占市場な どに分摂 され るのが 普 通 で あ る。 この市場構造に対 して,従来多 くの研究がな され,個 々の市場 の均衡分析に関 して,種 々の問 題が残 されてい るにせ よ,ほぼ煮詰 った段階 であ るといえ よ う。 市場 の均衡分析が この よ うな段階にあ るに もか かわ らず,従来の研究 に若干の未開発領域が残 さ れてい るよ うに思われ る。 それは,一つには個別 的企業 の均衡 と全体的市場の均衡 との問の統一的 関連性に関す るものであ り,他には,市場均衡に 及ぼす経済政策 の影響に関す るも の で あ る。即 ち,従来の市場分析はあ ま りに もミクロ的側面か ら考察 されす ぎ,市場全体 としてのマ クロ的側面 との関連性が希薄になってしまい,そのために市 場均衡に対す るマ クロ的経済政策の影響は分析対 象 とはな りに くか ったわけである。 この よ うな状態に鑑み,本論文においては,企 業の等利潤曲線,採算曲線,利子均衡曲線,生産 可能領域 な どの概念を援用す ることに よ り,個別

2 経済政策と市場均衡 2- 1 需要別造政策 2- 2 課税率変更政策 2- 3 利子率変更政策 2- 4 賃金率変更政策 結 口 企業の均衡 と全体の市場均衡の関連性において統 一的に追求 し, さらにそれ らの均衡に及ぼす経済 政策の影響について検討を試みた。

1

企業の利潤 と市場均衡

1- 1

震亮争市場での採算概念 と 生産可能領域 完全競争市場においては,すべての生産者は市 場で決定 され る価格を所与 として行動 し,個 々の 生産者はその価格で売 りたいだけ売 ることができ る(1)。即 ち,従来の方法においては個別生産者 の 需要 の弾力性は無限大 となってい る。 しか し,現 実をかえ りみ ると,競争市場に近い といわれ る農 産物の市場を例に とって も,市場価格で売 りたい だけ売 ることができるとい う理論的帰結を聞いた な らば,農家はび っ くりす るだろ う。農家に とっ て,現実に売 りたいだけ売 ることができるのほ, 野菜のような競争的生産物ではな く,む しろ米や 麦の よ うな政府公定価格の付いた生産物であ ると 答え るだろ う。 それでは, この理論 と現実 との乗離は どこか ら 生 じるのであろ うか。 明 らかに因果関係の問題 に 関係 してい ると思われ る。従来 の方法では,競争 価格は静的な需要 と供給 との均衡 として市場に ア プ リオ リに与え られてい る。従 って,市場に比較 して十分小 さい生産者は,静的均衡点を示す価 格 で,売 りたいだけ売 ることがで きる。 しかし,実 際には価格が先に決定 され,それに向って生産物 を販売す るわけではない。 因果関係はむ しろ逆で - 25

(2)

-あ り,各生産者は価格を-ある程度予測 しなが ら, 自分な りの利潤を計算 して,ある一定量を市場に 供給 してい る。 この個 々の供給品は市場全体の供 給量 と比較す ると十分小 さいので,個 々の生産者 が価格を支配す ることはほ とん ど不可能であ る。 総計 として送 り出 された生産物は市場でセ リにか け られ,そ こでの需要 と供給の力関係で価格が決 定 され る。 この時点で初めて生産者は市場の価格 を知 り, 自分の生産物がその価格で採算に合 った か どうかを評定す るわけであ る(2)。 この よ うに, 実際には生産者は市場価格を前提に して行動す る わけではな く,個 々の生産物の総計がセ リにかけ られ,結果 として価格が決定 し,生産者は採算に 合 ったか どうかを評定 し,次の生産行動に移行す るわけであ る。 この意味では,伝統的方法は因果 園係の誤謬におちい ってい るともいえ よう。 いま,市場におけ る生産者の採算点を,短期的 にみてあ る価格以上 では生産を続行 し,それ以下 の価格では生産を断念す るような分岐点を示す と しよ う。 従 って,採算点は狭い意味では費用 と収 入 とが均衡す る点 と考えてよいが,広い意味では 費用 -収入を示す点ではな く,その価格で生産者 が生産を続行す る意志が有か否かを示 す 点 で あ る。 各生産者は生産物を出荷す る際,それぞれ価格 をあ る程度予想 し,採算点を設定 して行動 してい る。各生産者の採算点を数孟一価格平面上 にモデ ル的に示すと,図

1

のようになる。ここで, ・ 印 I.日 日i) (C1 1n

_

.

L

r L q l

Lト

ーL

L H : ttl 、 U I女皿q 図

1

競争市場における個別生産者㈱,(C) , ( 臥 (D)の採算点 上方の半区間が,個別生産者にとって採算が合う 所であり ,生産可能銀城である。各生産者により 採算点が異なるのは , 生産者の生産性にバラツキ があるからで ,この/ ミラツキは労働の質や益の差 輿 ,生産技術や設備の優劣,土地の肥沃度の差異 などによって引きおこされるだろう。もちろん, 低価格で採質に合う図1の(Qのような生産者は他 の生産者に比較して競争力が強いといえる。 さて , 競争力が強い脚こ各生産者の採算点を総 計して , 採算点の社会的集合がどのようになるか を検討してみよう。価格が示強変数で生産量が示 量変数であることに注意して,個々の生産者の採 算点を総計すると , 市場全体の採算点及び生産可 能的域はモデル的に図

2

のように表わすことがで ql q2 q3 q4 q 5 q6 qT q3 q` q6 q 図

2

競争市場 における個別生産者(1)∼(7)の採算点 とその総計 と しての採算曲線 - 26

(3)

きる。 市場全体では採算点の集合はLL′の 軌 跡 をえが く曲線 とな り, これが市場 での採算曲線で あ り,それ以上の領域が市場全休 として看す る生 産可能 領域 とな る。 た とえ ば,あ る日市場に生産者(3)まで生産物を 供給 した とすれば,その 日市場は需要曲線DD′と 交わる

E3

点で均衡 し

,P

8とい う価格が付 く。 こ の価格水 準では,生産者(4)(5)(6)も採 算 に 合 うか ら,次 の 目は当然(6)の生産者 ぐらい ま で 市 場 に 参加して くる。供給量はq3か らqOに大幅 に 増 加 し,需要 曲線 との交点はE8点に移行 し,価 格 は P6まで下落す る。 ところが P6の価格は生産者(4) (5)(6)が採 算に合わない水準であ るか ら,その次の 日はそれ らの生産者は供給を休止す る可能性が強 いだろ う。 このよ うにLL′曲 線 とDD′曲 線 の 交点E★を中JLhに,供給数量の変動 を 伴 い な が ら,価格 も周期的に変動す る。各生産者が採算点 以上の利潤を要求 しない と仮定すれば,E★ほ市 場 の安定的均衡点 とな り, このまわ りで価 格 は 周期的 に変動するが, この よ うな変動は従来 よ く 知 られ る くもの巣理論に対応す る。 従来の方法においては,供給曲線をぱ くぜん と したス ケジュール的な生産意志力 とし て 捉 え た が,採算 曲線ほ よ り現実的重みを もった ものであ ることに注意 しよ う。 とい うのは採算点が生産 の 費用 -収入を示す狭い意味に解釈すれば,生産者 の利潤や欠損が計量化 され るか らであ る。先の例 で

,P3

とい う価格が成立す る と き

,(

1

)

(

2

)

(

3

)

の生 産者に とって,

が利潤 として計上 され る。

p

6とい う価格では,逆に(4)(5)(6)の生産者は

E

j

とい う欠損を こ うむ る。 この よ うに,現実 の競争的市場 で は,供 給 数 量-セ リ-市場価格 とい う因果関係が成立 し,市 場価格はある程度予測できるにせ よ,各生産者は い くらで売れ るか前 もってわか らない。株式市場 のよ うに,情報 のフ イ- ドバ ックが速い場合,価 格が相当程度予測できる場合 もあ り, 自分の生産 物を現在 の市場価格に近い価格で売れ るか どうか は市場 の性格に依存す る。いずれに しても,生産 者は市場価格で売 りたいだけ売 ることができると い う従来の説明は,誤解を招 きやす く,因果関係 の錯覚におちい っているといわ ざるをえない。 競争的生産者がすべて採算点を分岐点 として行 動すれば,図

3

に示す よ うに,採算曲 線

LoL′

o

図3 競争市場 における算曲線 と需要曲線 と需要 曲線DD′の交点Eが市場 の 均 衡 点 と な る,しか し,もしすべての生産者が採算点以上 の利 潤がなければ生産行動を しない とすれば,その利 潤分だけ現実の採算曲線は上方にシ フ トす るであ ろ う。 これを示す ものがLIL′1曲線であ り, こ のとき市場の均衡点はE′- と移行す る。E′点が

q

,q

2

q

4

競争市場における採算曲線 と需要 曲線の変化 - 27

(4)

-E

点か らどの程度乗離す るかは,市場の利子率や 市場全般が有す る利潤率に依存す るであろ う。図 3よ り明らかなよ うに,多 くの生産者が採算点 以 上の利潤を期待 して行動す るな らば,対応す る価 格はPか らP′へ と上昇 し,生産数量はqか らq′へ と減少す る傾向を生 じる。 今度は,市場の採算曲線が一定で,需要品が変 化す る場合,価格が どのよ うに変化す るかを考え てみ よう。図

4

において,需要量が

DID

1

曲 線 か らD2D2′曲線へ と増大す ると,価 格 は Plか らP2へ と上昇 し,生産数量 もqlか らq2- と増 加 す る。 このよ うに,需要曲線が変化 した り採算曲 線が変化す る際,価格や生産数品が変化す るよう すは,従来か らよ く知 られている需要 と供給にお け る変化の法則 と全 く同様であるか ら, これ以上 論及 しない。 (註) (1)競争市場においては供給者を生産者とし、企業と はしなかった。というのは企業という語 句 に は 競争的生産者のイメ-ジよりも,現代の産 業 を 代表する株式会社のようなイメージが強 いか ら である。 (2)厳密に言えは,生産において採算を考え るこ と 自体完全競争市場の前提に抵触するだ ろ うOも っとも,従来の完全競争の理念の中に内部 矛 盾 を含んでいるかもしれない。

1-2

企業の等利潤曲線 性な どに変化がない とすれば,生産物の出荷価格 と数量に依存す る, とい う単純な命題か ら出発す る。即 ち,企業の短期的生産体制の下では,企業 の利潤率は価格 と数品の関数 として表わす ことが できる, とい う常識的命題 を採用す る。 利潤率 卓を示強変数 とし,ある生産物に対す る 利潤率 少は,企業が使用 してい る総資本に対す る 利潤 (または欠損)の比率

¢-÷

(1) とす る。 ここで Tと52はそれぞれ利潤 と総ff本を 示す示量変数である(3)0 前述 の命題か ら,企業の利

率は短期的には生 産数量qと価格

P

の関数であるか ら,

¢ -

f(q,P) (2) とな り, 少はq- P平面上の曲面で示 され る。 こ の曲面上において,等 しい利潤率を示す曲線を等 利潤曲線 と呼び,それはq-P平面上に射 影 す る ことができる。簡単なその ような曲線 の 例 と し て,

¢-0

,

¢-0

.

1

,

¢-0.

2

,

¢ニー0.

1

の 等 利潤 曲線を図

5

に示す。

¢-0

の等利潤 曲線は, q-P平面上におけ る企業の黒字 で も赤字 で も な い点の軌跡であ り,戦略的意味を除けば,それは 平均費用曲線 と一致す るだろ う。平均費用曲線の 形か ら,等利潤 曲線は多 くの場合図5の ように右 下が りの曲線で表わ され る。 重化学工業に代表 され る現代の企業 の 大 部 分 は,競争市場的な生産者ではな く,ある程度の価 格支配力を もつ独 占化 した企業形態である。 この よ うな企業においてほ,競争的な生産 者 と異 な り,価格を規定す る要素は主 として生 産 費 に あ る。周知の ように,企業の費用は固定費用 と可変 費用に大別 され,生産設備が巨大化す るに伴い, 固定費用が増大す る傾向があ る。企業行動におけ る最 も基本的前提は最大利潤 の追求 とい うことで あ り,各企業は将来の戦略的意味を含めて自己の 最大利潤を求めてい る。 われわれは企業におけ る利潤率を決定す る因子 は, もし固定設備 ,要素費用,生産技術,労働生産 数

i

t_:,q 図

5

企業の等利潤曲線の代表例

(5)

明 らか に, 等利潤 曲線は無差別 曲線 と同 じよ う な性格 を有す る。第1に,等利潤 曲線 は右上 方-行 くほ ど高い利潤率 を与え る。第2に,それ らは 互に交 わ ることがない。第3に, 原点 に対 して凸 であ る。 この よ うに等利潤 曲線は無差別 曲線 と形 式的には 類似 してい るに もかかわ らず,それ は可 測量で あ るとい う本質的差異 を有す る。 利潤 率 中は qとPの二変 数関数であ るか ら 一 般 には図

6

の よ うな曲面 で表 わ され る。図5に示 し た

q

-P

平面上 の等利潤 曲線 は, あ る一定 の 利 潤 率で曲面 を水平に切 り,そ の切 り口を

q

-P

平 面 に投影 した ものであ る。 q 図6 利潤曲面 と等 利潤曲線 無数に存在 す る等利潤 曲線 の うちで,経 済的 に み て2つ の曲線 が重要 であ る。一つは, ¢-0を 示す等利潤 曲線 であ り, これは

q

-P

平面 上 に お け る企 業 の損益 分岐 点 の軌跡 を示すか ら,採 算 曲 線 と呼 び,競 争市場 の ときと同様少 し広い意味 で 用い る。 他は,iを市場 の利子率 とし¢-iとな る 等利潤 曲線 であ る。 この曲線は企業 の利潤率が利 子率 と均衡す る軌跡 を

q

-P

平面上 に描い た も の であ り,利子 均衡 曲線 と呼ぶ ことにす る。 図

7

よ り明 らかな よ うに

,q

-P

平面は

3

つ の 領域

A′

B′

C

に区分 され る。 領域Aは採算 曲 線 の 下 の と ころで,企業 は この領域 では採算に合 わな q 図7 採算曲線と利子均衡曲線により分 割され

3領域 いか ら,現存 の生産 体制 の下では存続 で きない。 生産 体制が不 変 とすれば,企業 はそ の生産 物市場 か ら撤退せ ざるをえ ない領域 を意味す るか ら,顔 域Aを退 出領域 と呼ぼ う(4)0 領域Bは採 算 曲線 よ り上方 であ るが,利子均衡 曲線 よ り下方 にあ り,企業 は損は しないが利 子ほ どには も うか らない状態 を示す。 この領域 では企 業 は生産 を続 行す るだ ろ うが,好 んで生産 を拡張 す る気 にはな らないだ ろ う。 とい うのは,企業 に は 通常家臣 や楼概 な ど多 くの固定設備が存在 して い るか ら,利 子ほ ども うか らない とい って企業 は おいそれ と市場か ら退 出す ることは で きない。即 ち,退 出障壁が存在す るか らであ る。 この傾 向は 企業形 態が高度 化 し固定設備が大 き く な る に 伴 い, ます ます強 くな るだ ろ う。 もっ と も, よ り高 い利潤 率が見込 め る生産対象が存在す るときは, 企業が市場 か ら撤退す る ことはあ りうるだ ろ う。 この よ うに,領域Bでは 多 くの場 合,企業 は撤退 もしない し拡張 もしないで現状にあ まんず る こと にな るか ら, この領域 を停滞 領域 と呼ぶ ことにす る。 領域Cは利 子均衡 曲線 の上方 に位置 し, この領 域 では企業 は生産 に よ り利 子以上 の利潤 を得 るわ け であ るか ら,企 業 は市場か ら撤 退す ることは な -

(6)

29-く,む しろ生産を拡張 しようとす る力が働 くであ ろ う。 この領域でのみ企業の投資が誘起 され る可 能性があ るか ら, この意味で領域Cを拡張 領域 と 呼ぼ う。 固定資本が多 く用い られている現代の企業にお いては,退出障壁は相当高いか ら,多 くの場合採 算曲線以上の領域 では,企業の生産が維持 され る と考えて よい。従 って,各企業に とって

¢-0

以 上の領域すべてが生産可能領域 となる。 次に,企業間におけ る等利潤曲線の形状の相違 と,企業体質の強 弱について若干考察 し て み よ う。等利潤曲線は企業の平均費用曲線 と対比 され るか ら,それ らの問の形状はほぼ同形になるだろ う。固定設備がほ とん どない場合- 小規模企業 形態にみ られ るが- ,等利潤曲線は 図

8

の¢ A や¢ Dの ように水平的曲線 となるだろ う。逆に, 大 きな固定設備を有す る大規模企業形態において は,等利潤曲線は¢ Cのよ うに左上方に急に立 ち 上 った曲線 とな る。また,そ られの中間に位置す る 中規模企業の等利潤 曲線は¢ Bの ようにな る。 こ こで注 目すべ きことは,重化学工業の発展 と共に 企業は大規模化 し,独 占度を強め る傾向があるか ら,産業が高度化す るに伴い等利潤 曲線¢Cの よ うな形状にな ってい く。従 って,後の独占市場や 寡 占市場 の考察においては,典型的形 状 と し て ¢ Cのよ うな等利潤 曲線が仮定 され る。 q 図

8

等利潤曲線の形状 と企業体質の強弱 さらに,企業体質の強弱について調 べ て み よ う。体質の強い企業 とは,同一の生産物を他の企 業 よ り低い価格で生産 して も,高い利潤にあ りつ け るとい う企業である。一般には,等利潤 曲線が 下方にある企業の体質が強い ことになる。ただ, ¢Aと¢Bと¢ Cの間の企業体質は一概には比較で きない。生産数量の小 さい ところではA企業が有 利であ り,逆に数量が大 きい ところではC企業が 有利 となる。D企業 と比較す るな らば,D企業は すべての数鼓の領域で,他の企業 よ り等利潤 曲線 が下方にあるか ら,図8の中では最 も強 力な体質 であるといえ る。 しか し,現実の生産体帥 こおい ては

,D

企業 のよ うに固定費用がほ とん どな く, かつ安価に生産す ることは不可能である。 (註) (3)詳しくは,拙著 「科学における人間的要素 (Ⅰ)」, 長野大学紀要約 9号,昭和53年を参,R.liせよ。 (4)もし採算曲線を平均公用曲線と一致させ れ ば, A銃域は必ずしも企業の操業中止を表わ す もの ではない.この場合,操業中止点は限界 費用 曲 線と平均可変費用曲線の交点で与え られ る (今 井他編 「価格理論l」,第4章,岩 波 告店,昭 和16年

)。

1-3

独占市場の均衡 等利潤曲線を援用 して,単純供給独 占企業にお け る市場均衡を分析 してみ よう。q-P平面 上 に 右下が りの需要 曲線を重ね合わせてみ ると,需要 _LB1.1の大 きさに対応 して,図9に示す よ うに, 3つ の場合に大別 され る。 第1は需要 曲線がDIDl′の よ うな 場 合 で あ り,需要 曲線は退出領域のみに存在す る。 もし企 業体質に変化な く¢Oと≠i曲線が不変に とどまる とすれば,企業は この生産物 の市場か ら退出せ ざ るをえない。 もちろん,長期的には設備,人員, 金利な どの軽減に よ り企業体質を強化 し

,

¢Oと ¢i曲線を原点側に近づけ,DD′曲線に交わ る よ うに して退出を くい止め る方策は残 されてい る。 第2は,D2D2′曲線の ように,企 業 は (q2, P2)∼ (q′2,P′2)の数量-価格 の組合せの範囲 で,採算曲線 ¢Oの上方にあ るが,利子均衡曲 線

(7)

q 図9 種々の需要曲線 に対する独占企業 の均衡状態 ¢i以下 の状態にあ る場合で あ る。 こ の 範 囲 で は,退出障壁 も考慮す ると,他に より高い収益性 の投資 口がなければ,生産は続行され るだろ う。 企業は高 い等利潤曲線に接す る(q2■l,P2★)の ような ところで生産す ることが得策 である。また, このよ うな状態におかれてい る企業は,長期的に は体質強 化に よ り, ¢Oや¢i曲線をで きるだけ原 点側に近 づけ るよう努力す るだろ う。 第3は,D3D3′のよ うに需要 曲線の一部が¢i 曲線の上方に位置す る場合 であ る。需 要 曲 線 は (q3,P3)∼ (q′3,P′3)の範囲で拡張領域に あ り, この範囲で企業は利子率を上回 る収益率を有 す るか ら,投資がお こる可能性が生 じる。 もちろ ん,企業 は必ず しも投資行動をす るとは 限 ら な い。なぜ な らば,投資 自体¢i曲線を変更す る こ とを意味す るか ら,そ の変更如何に よっては利潤 率が低下す るか らであ る。最 も利潤率の高い組み 合せは,(q3★.P3★,) のよ うな点にあ り,もし現実 の生産点が (q3★,P3★)よ り左 側 (P軸側)に あ るな らば,生産量を増加 した方が有利であ り,右側 にあ る場合は,生産量を減少 させた方が企業 に と って有利 となる。 独 占市場の価格均衡は,従来いわれているよう に必 らず Lも一点に収束す るわけではな く,均衡 はあ る範囲内で安定的に存在 し うるような ゾ-ソ 均衡 となるだろ う。 もちろん, この よ うな均衡は 競争市場 でのセ リを通 じて行われ るも の で は な く,流通枚樺 と呼ばれ る市場機能を通 じて行われ る。 この意味では,流通機構は独 占市場の均衡 と 密接に関連 してお り,実際流通機構 の解 明なしに は独占価格の分析はなしえない とい っても過言 で はない(5)。独 占企業は流通経路を支配す ることに よ り,価格 と生産量の制抑が可能 とな る。 独占企業は明 らかに通常批判の対象 となる利潤 を 自ら意志に よって生み 出 す こ とが で き る。 (q′3,Pa′)の よ うな生産点で生産すれ ば,安 い 価格 の製品が多 く利用 され るけれ ど,独占企業は この生産点を好 まず, (q3★,P3★)の ような よ り 高い価格の生産点を選好す るだろ う。独占企業 の この種の生産行動は確かに社会的には好 まし くな いか もしれない。従 って,独占企業に対 して何 ら かの社会的監視が必要 であろ う。 しかし,そ のた めには独占利潤は社会的にみて どこまで許 さ1-Lる か とい う経済外的な価値規準が必要 となる。 さて,企業 の等利潤曲線は不変 として,需要が 変化す る場合を考えてみ よ う。景気好転期にみ ら れ るよ うに,需要が図

1

0

のDIDl′か らD2D2

と増加す る場合,DIDl′上でEl★に存在す る 均 衡点はD2D2′曲線ではE2-E2′の区域で均衡は 可能になる。企業は よ り高い利潤曲線 の上で生産 が可能 となるか ら,企業経営は好転す る。企業が q 図

1

0

独 占企業の採算ゾーンにおける生 産点の選択行動 -

(8)

31-短期的な最大利潤 を追求す るな ら は

,E2

★の よ うな生産点が選好 され, この とき一般に価格は上 昇 し数量 も増加す るから,需要増に対する価格 と 生産数量の影響は競争市場のそれ と拝 似 し て い る。 ところが,現実には企業は必ずしも

E2

★の点 を 選好す るとは限 らない。後に示す よ うに,企業は 将来の需要量の予測によ り,単に短期的な視点だ けでな く,長期的な戦略の下で生産す るものであ り,その戦略にかなっていれば

,E2

fIや

E2

L

の よ うな生産点 も選好 され う る。需 要 曲 線 が

DI

Dl

′から

D2D2

′-移行す る際

,E2H

の点が 戦 略 的に有利であるとすれば価格は大幅に上昇し生産 量は減少するか もしれ ない

。E2L

のよ うな 点 が 有利であるとすれば,生産点がが

El

★から

E2

L

に移動す ることに よ り,価格は下落 し生産量は大 幅に増加す るか もしれない。前者は一般に価格指 向,後者は数量指 向 といわれている現象である。 このよ うに,独占均衡においては,需要品が変化 す るとき,競争的市場 と異な り,価格や生産鼠に 与え る影響は一概には論 じられない複雑 な面を宥 す る。 われわれの分析 と図

1

1

に示す従来の クール ノー の分析 との差は明 らかである。従来の分析では限 界費用 (M C)-限界収入 (M R)の条件で成立 す る最大利潤点Eが,独占均衡を示す唯一 の 生 産点であ った。われわれの場合は,様 々の生産戦 略の下では,企業は必ずしも利潤極大 とい う硬直 的生産をしているのではな く,長期的戦略を含め た弾力的な生産を遂行してい る。 クール ノーの分 析はわれわれの分析 の特殊 な場合であ り,われわ れのい う独占利潤は図11の斜 線分部を 意 味 し な い(6)。現 実の独占均衡の分析 に対してほ, ゾーン 均衡を用いるべきであ り, この ゾーン均衡の概念 なしには,独 占企業群から生れ る経済 の 諸 現 象 (た とえばスタグフt/-シ ョソ)を償明す ること は不可能であろ う。 それではなぜ企業は図10の

E2

★あるいは 図

11

のE点のよ うな最大利潤点を選 好しな い の か を 検討 しよ う。 この理由 として,第1に経済外的要 因,第2に経済内的要因があげ られ る。 第1の要因 として代表的な ものとして,た とえ ば消費者団体や政府からの価格抑制の圧力があげ られ る。 このよ うな企業に対す る圧力は企業の社 会的責任を主張する世論によって一層強められ る かもしれない。 このような状況 を仮定すれば,企 業は図

1

0

E2

★よ り

E2L

のよ うな生産点を選好 せ ざるをえないだろ う。 第2の要因は,経済的環境 と企業 自体の戦略か らくるものである。経済が成長 し,生産が持続的 に拡大 してい く状態であれは,企業に とっては長 期的には設備の拡大を計ったほ うが有利 となる。 生産設備の拡大によ り,採算曲 線 は 図

1

2

の¢1 ¢1′から¢2 ¢2′- と移行 し,企 業 に とって は q. 図

1

1

限界費用-限界収入で決定された独 占均衡 q 図

1

2

採算曲線の長期 的変動 と,企業の 生産点の移動

(9)

Elよ りE2さらには E3のよ うな生産点を選好す る方が 有利 となる。か くして,経済が長期的に発 展 してい くときには,需要量が増大 して も価格は 上昇 しない ような状況が可能 となる。実際,わが 国の高度成長期において, このよ うな状態が主力 産業を中心に出現 し, このために国際競争力 も著 しく強 化 されたのであ る。 高度成長期をす ぎ,経済環境が悪化し,需要量 の拡大が停止す るよ うになると,企業は E3よ り もむ しろE2やElのよ うな生産点が選好 され るか もしれ ない。企業に とって,生産量の拡大を計 る よ りもむ しろ価格 の上昇に よ り利潤を確保 した方 が有利 となる。 このよ うな企業 の価格指 向は,高 度成長期 の末期に産業社会が経験す る一般的 な も のであ り,スタグフレーシ ョンと呼ばれ る現象の 本質を形成す る。スタグフレ-シ ョソは独 占的巨 大企業 に代表 され る高度資本主義社会の末期軒こ必 然的内在 され る病根であ る(7)。 (註) (5)拙著 「市場均衡と流通掛 算に関する若干 の基礎 的検討」,長野大学紀要第9号,昭和54年。 (6)従来の独占利潤の分析においては,利子 率 が 全 く考慮されていない。即ち,図11か ら もわかる ように,平均費用以上で得られる利潤 は 独占利 潤 とされる。しか し,利 子 率 までの利潤は,独 占企業といえども不当で は ないだろう。この意 味で,現実の問題と して は,利子均衡曲線以上 で得られる利潤を独占利 潤 とすべきであろう。 (7) 先進国のスタグフレーションに関する最 近 の解 説の一つとして,川 合 一郎 「エ コノミス ト」56 巻,第1号,P82,昭和53年,をあげて お く。

1-4

寡占市場の均衡 市場 での企業数が少な くな り,それ らの問でお 互いに競争相手の行動を推測 しあ うよ うな相互依 存関係が生 じる寡 占市場 の分析は,従来か ら最 も むづかしい分野 であ り,単純 なモデルではそ の市 場様式を十分表現 できない。 とい うのは,企業間 の相互依存 とい うことは まことに不確実な世界で あ り, この世界を明快に説明す るよ うな理論を構 築す ることは きわめて困難 となるからであ る。 ここでは,企業の個別的採算曲線 とその総和 と しての社会的採算曲線の概念を援用 して,寡 占市 場 の均衡を分析 してみ よ う。議論を簡単にす るた めに, 3つの企業がある同一 の生産物をすべて生 産 してい るもの とす る。 もちろん, ここで用い ら れ る手法は原則的には3社以上に も拡張適用す る ことができる。 い ま, 3つの企業を生産設備の小 さい順になら べ,それぞれ(1)(2)(3)社 とす る。前述 した よ うに, 生産設備が大きいほ ど固定費用が多 くなる反面, 可変費用が少 しですむから,各企業 の採算曲線は 図

1

3

のようになる。 ここで,それぞれの企業 の生 産可能領域は E≡ヨ の部分である。 3企業が このよ うな採算曲線を もっ て い る 場 令,その総計 としての社会的採算曲線は,示量変 数であ る生産量を合計す ることに よ りえ られ る。 この よ うに して作 られた市場全体 の採算曲線 と生 産可能領域を図13の右端に示す。い ま,市場 の需 要を

A,

B,

B′

,

C,

D

とい う典型的 な点 で 仮 想 的 に表わ し, この市場全体の需要点 と個別企業 の需 要 との間の関連 を検討 してみ よ う。 まず,需要点Aを想定す るとき, この需要に対 す る価格 と数量においては,企業(3)は生産活動に 参加 しえない。 とい うのは,企業(3)に とってほ, この需要点では生産可能領域に入 りえ ないからで あ る

。A

点で生産が可能なのは,企業(1)か企業(2) の比較的生産規模の小 さい ところであ る。 このよ うに価格が高 く需要量が小 さい ところでは,生産 規模 の小 さい企業が有利であ り,図のAlとい う よ うな点ですべての需要量

A

を企業(1)が引き受け るか もしれない。 もちろん,企業(2)が生産に進 出 す る可能性 もあ り,そ うなれば企業(1)は生産を縮 少 または撤退 しなければならないだろ う。 次に,需要点Bを想定すれば, この点は生産 数 量が大 き く,企業(1)に Bl,企業(2)に B2,企 業 (3) に B3とい うよ うな生産が可能 となる。 もしこの よ うな状態が実現すれば, 3つの企業はお互に共 存 できる。 もちろん, B-Bl+B2+B3とい う 関係が成立つ。 しか し,価格が不変で,需要量が BからB′- と減少すれば, 3つの企業 の共 存 関 係は成立 しない。なぜ ならば

,B

′では

3

つ の 企 ー 33

(10)

-ql q

q3 図

1

3

寡 占市場 における個別企業の採算曲線 とその合計 と しての採算曲線 と生産可能領域 業 の採算曲線の数量 を総計 して も

,B

′の数 量 に は満たないか ら, 必 らず どこかの企業 は生産可能 領域外 とな ってしま うか らであ る。 需要点がCの状 態にあ るとすれ ば,今 度 は 企 莱(1)に とっては この価格水準では採算に合 う領域 は存在 しないか ら,企業(1)は市場 から退出せ ざる をえ ない。生産は企業(2)と企業(3)に よ っ て 行 わ れ,C-C2+C3となる。C点 では,(2)か(3)の一 つの企業 のみ で生産す るには数量が大 きす ぎ,必 らず(2)と(3)との共存 に よ り生産 は 行われ ることに 注意 しよ う。 D点に需要点が存在す ると想定す る と, この価 格 と数量 では企業(3)だけが生産可 能 で あ り,企 莱 (1)と(2)は市 場か ら退出せ ざるをえない。 この よ うな需要状態 の出現は,企業(3)に よる独 占的生産 - の移行を意味す る。従 って, もし企業(3)が競争 相手(1)と(2)を打ち負かすためには,生産点をDの よ うな領域 S3に移 行 させ る戦略を立 てることで あ る。 同様に,企業(1)に とって最 も有利 な戦略 領域は Slであ り, この領域内に需点点を もち込めば 企 莱(1)のみが生産可能 であ る。企業(2)に とっての戦 略領域 は S2であ り, この筒域では企業(2)のみが 生産可能 とな る。 この よ うに,寡 占市場におい ては,各企業 の生 産可能 領域 と市 場全体 の生産可能 領域がq-P平 面上 で どの よ うな形状にあ るか, また需要点 が ど こに設定 され るかに よって,各企業 の生産可能性 は決定 され, また企業 が共存 で きるか否かが決 っ て くる。一般的には,価格が高 く生産品が小 さい ときは,小規模企業が有利 とな り,逆に価格が低 く生産品が大 きい ところでは,大規模企業が有利 となる。 この意味 で,寡 占市場 で需要 量 が 増 大 し,価格競争が激烈に なれば,小規模企業は敗退 せ ざるをえない状況が生ず るのであ る。 ここでの分析 では各企業 の採算曲線を不変 とし て議論 したが, もちろん長期的 には各企業は将来 の需要予測に立脚 して生産 設備を調整す るであろ うo このよ うな行動を含め ると,寡 占市場 の分析 は一層複雑になるが,本質的には上述 した分析方 法が拡大適用 され る。

1-5

独 占的競争市場 における二重性格 独 占的競争市場は比較的多数の生産主体が存在 し,実質的 または想象上 の特殊 化 した製品を主 と して生産,販売 してい るよ うな状態をい う。 この 市場では,普通製品の特殊 化 とい うことに よ り部 - 34

(11)

-分的に独 占を看す ることが強調 され るが,小売業 のよ うに同一の製品を扱 ってい るよ うな場合 もあ り,製 品の特殊化は必ず しも独 占的競争市場 の必 要条件 ではない。 ここでは独 占的競争市場 とは市場に比較的多数 の生産 主体が存在 し,それ らの主体がい くぷんな りと価格に対す る支配力を有す る場合をい う。 独 占的競争市場に対 して,チ ェンバ リンの先駆 的業績 が光 ってお り,その後の研究 とあい まって 独 占的競争市場に対す る分析方法は,種 々の問題 があ るに して も,一応確立 された段階 であるとい える(8)

0

ここでは もちろん従来の方法を検討す るわけで はな く,前節で導入した採算曲線の概念を援用 し て,独 占的競争市場が有す るあ る種の 二 重 性 格 - 寡 占的性格 と競争的性格- についてのみ若 干考察す る。 独 占的競争市場を具体的 な例 として, よ くいわ れ るよ うに小売業,スーパ-, レス トラ1/,ホテ ル, タバ コ星,土木建設業 な どであろ う。 これ ら の企業は レス トランやホテルなどの ように,製品 の特殊化が行われてい る場合 もあ るし,小売店や タバ コ臣のように特殊化が行われ てない場合 もあ るか ら,前述 した ように製品の特殊化は独 占的競 争市場 の必要条件ではない。それ では独 占的競争 市場が看す る価格支配 力は何に依拠す るのであろ うか。明らかに この種の価格支配 力は地域的なも の と密接に関連 した,いわゆ る地域独 占と呼ばれ る形態である。地域独 占に関す る研究は,経済立 地論 と関係 してかな り詳 しい研究があ り, この問 題 を正面から取 り扱 うことは本研究 の範囲外であ る(9)

0

独 占的競争市場が地域独 占の主た る形態であ る とすれば,独 占的競争が有す る第1の性格は,全 市場での見地か ら眺めた競争的市場 としての もの と,第2の性格は市場を地域でみた場合の寡 占的 市場 としての もの, とい う二重性格 であ る。 この こ とをわか りやす く図示す ると図

1

4

の よ うに な る。図14において,市場に分散す る企業は,全体 とすれば市場に比較 して小 さい ものであ り,かつ 図

1

4

独 占的競争市場の

2

側面

(

A)

全体 と しての完全競争的性格 (B)部分的地域 と しての寡 占的性格 一 35-(A)

q

(B)

q

(12)

比較的多数存在す るから,市場全体 としての生産 可能領域は紬に示す よ うに競争市場に近 い形態 と なるだろ う。 しか し,地域的見地 からみた場合, 全市場 から眺めた場合 とは市場 の性格は失 って く る。われわれが タバ コを買いに行 くときほ,必ず とい っていいは ど一番近い タ/ミコ星で買 うし,ま たち ょっとした小物を買 う際は,ほ とん ど最寄の 小売店で買 うであろ う。 もちろん,遠 くのタ′ミコ 星や小売店に買いに行 く人 もい るだろ う。 この傾 向は製品の特殊化 と伴に強化 され るだろ う。 しか し,大多数の人 々の 日常的経済活動は地域的なも のである。 このよ うに,ある地域を中心 と考える と,㈱ に示す ように寡 占的性格を有す る。 独 占的競争市場は全体的に眺めれば,競争市場 的性格を有す るが,地域的見地か らす ると寡 占市 場的性格を看す るものであ り, これが独 占的競争 市場 の特徴 ともいえ る。独 占的競争市場 を分析す る際は, この二重性格に注意 して,市場 全体 とし て考察す るときは競争市場 の手法を,局地的に取 り扱 う場合は寡 占市場 の手法を用い るべ きであろ う。 もちろん, どちらかを選ぶかは研究対象 と目 的な どの性格に依存 し,分析者が問題 の本質を見 抜いて決め るべ きものであ る。 (読)

(

8

) E.H.Ctlamberlin''TheTheoryof Monop-olisticCompetition"8th ed.,HarvardUni -versityPress,1962(青山秀夫訳「独占的競 争の 理論」至誠堂,昭和41年)や J.ち.Bain ''l ndu-stria1Organization"2TLded.,1968(宮 沢 健

一監訳 「産業組織論」上 ・下,丸 善,昭和15年) などを参照せよ。 (9) 地域独占の研究は,経済立地論と関連 して レッ シュ,グリ--ット,7イサー ドらの研究 が有 名であり,とくにレッシュの蜂房的市場構 造 の 理論がよく知られている (宮坂正治,山崎 匡 毅 「不完全競争市場と工業立地- 蜂房構造 の立 地図法を援用して- 」,信州大学繊維学 部 紀 要,NolO,Pl,昭和42年)0

2

経済政策 と市場均衡

2- 1

需要創造政策 企業の等利潤曲線が短期的には不変で きる と仮 定 し,企業 に対す る需要創造政策が どの ような影 響を与え るかを分析 してみ よ う。い ま,需要創造 政策に よ りあ る個別企業に△gだけの需要効黒が 生 じるとしよ う。図

1

5

に示す ように,た とえば最 初需要曲線dd′が需要創造△gに よ りd+△g曲線 へ とシフ トしてい く。dd′曲線は停 滞 領 域 に あ り,利子均衡曲線 ¢tか′と接す ることがで き な い需要状態にあ るから, この状態では企業は投資 を した り雇用を拡大す ることは望め な い。 む し ろ, この ような状態が続 くならば,企業は労働者 の解雇な どの合理 化に より企業体質を酎 ヒせ ざる をえな くなるだろ う。 \ q 図

1

5

企業の採算曲線 と需要創造 需要創造政策に よ り,需要曲線 がd十△gへ と 移行す る結果,企業は よ り高い等利潤曲線におい て生産が可能 とな り,企業経営は好転す る。図15 のよ うに,利子均衡曲線 と交わ るぐらい需要が増 加すれば,企業 の利潤率は利子率を超 過 す る か ら,投資意欲 も高 ま り,それに伴い労働者の雇用 も誘起 され るであろ う。 多 くの場合,企業におけ - 36

(13)

る生産 点は

E

★か ら

E

g

- と移 行す るから,価格 は上昇 し生産数量 も増加す る傾向が 生 じ る が, 1- 3節で詳 し く論 じた ように,価格や数量はそ のよ うにならないか もしれない。 この点は ともか く,需 要創造政策は明 らかに企業に高い利潤 を う るお し,投資を誘起 し雇用に対 しても 好 影 響 を 与え る。 このよ うな市場均衡分析の観点 からも, ケイソズが主張す る需要創造政策は,景気や雇用 に とって極めて有力な武器 であ ることは疑 う余地 がない。

2-2

課税率変更政策 法人税や所得税な どの税率を変更す ることに よ り,企業 の等利潤曲線や需要 (民間需要)曲線は 変化す るであろ うか ら,その影響を明らかに しな ければ ならない。い ま,税率を引き上げ るとし, 企業 の採算曲線 と需要 曲線の変化を典型的に示 し た ものが図

1

6

に示す。法人税率の引 き上げは企業 の採算を悪化 させ るか ら,採算曲線は ¢o¢o′か ら¢1 ¢1′の方向に移動す る。 また,家計に対す る課税強化は,家計の可処分所得を減少 させ,氏 間需要は減少す るか ら,個別需要曲線 も一般 には dodo′か らdldl′- と移行す るだろ う。明 ら か に企業 に とって採算が悪 くな り, この ことは課税 率の引 き上げは景気を抑える働きをす る。 P q 図

1

6

税率引 き上げに伴 う採算曲線 と需 要曲線変化 この政策で物価をおし上げ るかおし下げ るか と い うことは一概に論 じることはできないが,恐 ら く1- 3節で述べた よ うに,等利潤 曲線の どの点 で生産 していたかに依存す る。 もし企業が

EH

の よ うな価格指向型の生産 を していた とすれば,税 率の引き上げに よ り

,EH

から

E

★- と移動す る 可能性が強いから,物価を抑制す る傾向が生ず る であろ う。逆に, もし

EL

のような数量指向型 の 生産点にあ った とすれば,税率の引き上げに よ り

EL

から

E

★へ移行す る可能性が強いか ら,価 格 は上昇す る効果を及ぼすであろ う。 さらに一般論 を述べ るならば,税率の引き上げに よる物価-の 影響は,企業の コス ト上昇に よるプラ ス の 効 果 と,需要域に伴 うマ イナスの効果 とのかね合に よ って決 まって くる。 一万,税率を下げ る政策 では,企業 の採算曲線 は原点側に移動 し,民間需要は右上方に移動す る か ら,企業の利潤は高 くな り,従 って景気を刺激 す る効果がある。 家計に与える効果 として,税率変更政策が景気 の刺激策 ない しは抑制策に有効であ る か ど うか は,単に税率変更幅だけでな く,その変更が実際 の需要量に どの程度影響す るかに も依存す る。即 ち,家計の消費性向に大 き く影響 され る。た とえ ば, アメリカのよ うに消費性向 の 高 い 国 (9 2-93%)では,減税に よる可処分所得の増大は民間 需要を大いに増加 させ,企業 の利潤率を高め るか ら,景気浮揚策にはかな り有効で あ ろ う。 し か し,日本のように,消費性向の低い国 (75-80%) では,減税の効果は景気刺激策には さほ ど有効 で はないだろ う。従 って,景気浮揚策 として減税政 策を実行す る場合,その需要へ及ぼす効果をあら か じめ推計す る必要があ る。 日本の ような消費性 向の低い国では,減税に よる民間部問の需要創造 政策 よ りも, ケインズ流の公共支出の増大に よる 需要創造政策の方が,景気浮揚策 としては優れて い るであろ う。

2-3

利子率変更政策 企業 と家計の財務内容を比較す ると,一般に企 業は慢性的借金体質 (赤字体質)であ り,家計は 貯蓄体質 (黒字体質)であ るのが普通であ る。 も - 37

(14)

-ちろん,すべての企業が赤字体質ではな く,すべ て自己資本で無借金 とい う企業 もある。同様に, 大きな借金をかかえた家計も多 くあるだろ う。 し かし,一国の企業や家計を統計的見地から眺める ならば,企業は赤字体質であ り家計は黒字体質で あることは疑いを入れない事実であ る。ただ,企 業が どの程度赤字体質で,家計が どの程度黒字体 質であるかは,それぞれの経済事情によ り大 きく 異なるであろ う。 よ く知 られてい るように,欧米 の企業では 自己資本率が高いが,わが国の企業で は 自己資本率は約20%で,その他は金融機関から の借金である。それに対 して,わが国の家計の貯 蓄は1世帯当 り,平均400万円程度 と推計 され, 約1年分の収入を貯蓄 として保有している勘定 と なる。企業が赤字体質で家計が黒字体質 とい う経 済状態を前提 として,利子率変更政策の影響を調 べてみ よう。 利子率の下落は借金をかかえてい る企業の負担 を少な くす るか ら,企業の採算曲線は原点側にシ フ トす る。一方,貯蓄をかかえている家計は,刺 子収入が減少 し可処分所得が減少す るか ら,需要 曲線は下方にシフ トす るだろう。 しかし, この家 計に対す る効果は,利子率の下落に伴 う消費性向 の増大に よって打ち消され るか もしれないか ら, 利子率変更の影響は この相反す る二つの効果のか ね合いに依存 してお り,一概に論ずることはでき ない。従 って, ここでは需要に対する利子率の影 響を不変 と仮定して,議論を進める。 この仮定は 利子率の変更が企業に与える影響 と比較 して,家 計に与える影響の方が軽敬であることか らも正当 化され る。なぜならば,企業の借金の絶対宅封土家 計の貯蓄額に比較 してケタ外れに大 きく,そのた めにち ょっとした利子率変更で も企業の影響はは るかに大 きいか らであ る。 このような条件の下では,利子率の下落は図

1

7

より明らかな ように,採算 曲 線 を ¢o¢o′か ら ¢1 ¢1′へ と移行させ,そのために景気を刺激 す る効果がある。 この効果は もちろん企業 の 自己資 本率が高い欧米の場合 よ り, 自己資本率が低いわ が国の場合の方が よ り大 きい といえる。従 って, 利子率変更政策が景気刺激策 として どの程度有効 であるかは,家計に対す る需要 (もっと広 くとれ ば投資需要 も含め るべ きであるが)を 別 に す れ q 利子率の引き下げ に伴 う企業の採 算曲線の変化 ば,主 として企業が どの程度借金体質であるか, さらにそれが及ぼす心理的効果 の大小に依存す る だろ う。利子率の下落が与え る価格-の影響は, 前節で述べたように,主として企業が どの生産点 を選好す るかに依存す る。 以上,利子率の変更に伴 う企業 の採算曲線の変 動を中心 として論 じたが,利子率の変更の影響は そればか りではな く, もう一つの重要な影響があ る。それは利子率の変動に伴 う企業の利子均衡曲 線の変動である。 もし,当該企業が無借金である に しても,利子均衡曲線の変動 によ り,利子率変 更政策は景気に確実に影響を与える。 利子率が下落す る場合を考え ると,利子均衡曲 線は原点側にシフ トす るであろ う。個別需要曲線 が不変であるとすれば,利子均衡曲線が原点側に シフ トした ことによ り,企業 の拡張韻域がよ り拡 大するから,企業の収益率が利子率を超える可能 性が大 きくなる。 ケインズが示 した ように, この ILbJからも利子率の下落は投資を誘発す る傾向を生 じ,景気を刺激す る効果があ る。 このように,利子率の引き下げ策は,二重の意 味で景気を刺激す る効果があ る。逆に,利子率の 引き上げ策は,企業の収益性を悪化 させ,景気を 抑える効果があることはい うまでもない。 - 38

(15)

2-4

賃金率変更政策 景気 や雇用に対す る賃金率変更政策は,従来か ら多 くの議論 の対象 とな ってきた。 なか で も雇用 問題に関 して, ピグーに よる賃金政策 とケインズ に よる需 要政策の論争はあ ま りに も 有 名 で あ る色吟。 賃金 を引 き下げ る場 合,賃金は企業に とって コ ス トの主要部分であ るか ら,賃金の切 り下げは企 業の採 算曲線を原点側にお し下げ る。 もし賃 金切 り下げ に よって も需要 曲線が不変 であ る と す れ ば,企 業 の利潤が上昇 し, ピグ-の主張す るよ う に雇用 には好都合な影響を与 え るだろ う。即 ち, 賃金を企業 の コス トとい う観点だ け か ら は, ど グーの主張は正当であ るか もしれ ない. しか し, 賃金の引 き下げが家計部門の需要に与え る反作用 を考慮す る とき, ピグーの主張は効 力を失 う。 ケ インズが主張す るよ うに,賃 金の切 り下げは家計 の可処 分 所得を減少 させ,有効需要が綿少 し, こ の需要 の縮少の影響 が企業 の コス ト減か ら くる採 算性の好転の効果 を打 ち消 して も余 りあ るか もし れない。 この よ うすを 図

1

8

に 示 す。 ¢

o

¢o′,do do′は 賃 金率変更以前の企業 の採算曲線 と需 要 曲 線をそれぞれ示 してお り

,

¢1¢1′,dldl′ほそ れぞれ賃 金を切 り下げた場合 の採算曲線 と需 要 曲 q 図

1

8

賃金率 引 き下げ に伴 う採算曲線 と 需要曲線 の変化 線を示 してい る。 賃 金切 り下げに よ り,採算曲線は原点側に シフ トす るが,需要曲線 も原点側にシフ トす るか ら, 企業 の利益は好転す るか悪 化す るかは,それ らの シフ トのかね合に依存す る。ただ,企業 の生産点 は一般に

Eo

★か ら

E

l★- とシフ トす る可能性が 強いから,価格は下落す る傾向があ る。賃金切 り 下げ政策は一般にデ レフ効果を及ぼす ことは明ら かであ る。 逆 に,労働組合が よ く主張す る賃 金切 り上げに ょ り,需要を高め景気や雇用を維持す る とい うこ とも同様に説得力のない ことがわか る。賃 金の引 き上 げに よ り需要は増大す るが,企業に とって も コス トが上昇 し採算を悪 化 させ るか ら,必ず しも 景気や雇用に好都合な影響 を与えないだ ろ う。た だ明 らかな ことは,賃金切 り上 げ政策 は インフレ 効果 を及ぼす ことであ る。 この よ うに,景気や雇用に対 して, ピグ-に代 表 され る賃金切 り下げ政策 も,労働組 合が主張す る賃 金切 り上げ政策 も,強 力な理論 的 板 拠 は な い。一方の効果 のみを主張す ることは,経済理論 に とって重大な欠陥 とな る。 この点, ケイソズが 唱道 した 有効需要創造政策 は,疑い もな く景気や 雇用 に好影響 を与 え る。 ここに,現実 の経済 問題 に対す る彼の銃い直観 力 と鋭い洞察 力 が 見 出 せ る。 (読) (lq この論争の意味をわか りやすい解説書 と して, D.Dillard -`TIleEconomicsofJohnMa〉11 -ard Keynes''Prilltice-Halllnc・,1948(岡 本 訳 「J.M.ケインズの経済学」第 2章,東 洋経 折新報社,昭和25年)0 結 .I 従来の市場分析 におい て,欠落 していた と思わ れ る個別企業 の均衡 と,その総計 としての全体的 市場 均衡 との間の統一的関連性を,等利潤 曲線や 生産 可能 領域 の概念を導 入す ることに よ り考察 し た。 とくに,企業 の等利潤 曲線 の うち最 も重要 な 意味 を もつ採算曲線 と利子均衡 曲線を援用 して, 市場 におけ る ミクロとマ クロとの接点を追求 し, - 39

(16)

-個別企業の均衡 と市場全体の均衡 との関係を明確 にした。 競争的市場においては,市場 の採算曲線及び生 産可能領域は,数量規制 された多数の個別的生産 者の採算点の集計 として導 出され るこ とを 示 し た。 また,市場価格を所与 として各生産者が行動 す るとい う従来の考え方には,因果関係において 若 干の誤謬があることを示唆 した。 企業においては,等利潤曲線は数量一価格平面 上 において,無数の右下が りの曲線群 として描か れ る。 この等利潤 曲線を援用 して,独 占市場 の均 衡を考察 した結果,企業 の社会環境や戦略的側面 も考慮す ると,均衡は極大利潤を示す ク-ル ノー の点で確定的に定 まるわけではな く,一般には企 業が戦略上 あるいは社会上有利 と判断す る ゾーン に均衡が存在す ることが示 された。従 って,われ われ の分析では市場均衡にあ る不確実が不可避的 に生 じ,従来の クール ノ-の分析はわれわれの分 析 の特殊な場合にあては まる。 寡 占市場に対 しても,採算曲線 と生産可能領域 の概念を応用 して,市場におけ る企業 の複雑な行 動様式の解 明に手がか りを与えた。 この分析に よ り,従来解析不可能であ った よ うな問 題 に 対 し て,かな り納得のい く説明がで きると 考 え ら れ る。 また,独 占的競争市場に対 して,それが看す る二重性格を指摘 した。即 ち,独 占的 競 争 市 場 は,市場全体 として眺めれば完全競争市場的性格 を有す るのに反 し,地域的観点か らは寡 占的性格 を有す る地域独 占の形態である。 さらに,採算曲線 と利子均衡曲線の概念を援用 して,市場均衡に与え る経済政策 の影響を検討 し た。有効需要創造政策,課税率変更政策,利子率 変更政策,賃金率変更政策 と市場均衡の関連性を 個 々に考察 し,景気 に与え る効果や価格や生産数 品に与え る影響な どを検討 した。 この検討におい て,種 々の経済政策が価格に与え る影響は,通常 考え られてい るよ うな単純 な ものではな く,企業 の生産戦略が どの よ うな ものであ るか とい う問題 に も依存す る多次元的側面を有す ることを示唆 し た 。 等利潤曲線や生産可能領域 の概念を用いて,市 場 の ミクロとマ クロとの接点を追求 し, さらに経 済政策が市場均衡に与え る影響を検討す る本論文 の方法は,確かに従来分析不可能であ った よ うな 複雑な市場現象をかな りうま く説明で きると考え られ るが,問題点がないわけではない。 とくに, 企業 に対す る総需要か ら個別需要への分配が不確 実であ るに もかかわ らず,それ らを所与 と仮定せ ざるをえなか った し, また等利潤曲線や需要曲線 についても,分析 に都合のよい ような形状を選択 せ ざるをえなか った。 このよ うな細部にわた る問 題は,今後の検討課題 として残 されてい る。 - 40

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エッジワースの単純化は次のよう な仮定だった。すなわち「すべて の人間は快楽機械である」という

 事業アプローチは,貸借対照表の借方に着目し,投下資本とは総資産額

断するだけではなく︑遺言者の真意を探求すべきものであ

シンガポール 企業 とは、シンガポールに登記された 企業 であって 50% 以上の 株 をシンガポール国 民 または他のシンガポール 企業

このほか「同一法人やグループ企業など資本関係のある事業者」は 24.1%、 「業務等で付 き合いのある事業者」は