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中央学術研究所紀要 第46号 005出野 尚紀「『マヤマタ』第4章~第6章:和訳と註解 ―インド古典建築論書の構成と内容(2)―」

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Academic year: 2021

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全文

(1)

0.はじめに

 本稿ではヒンドゥー建築論書『マヤマタ』の第4章から第6章を、平成28年11月発 行の『中央学術研究所紀要』第45号に訳出した「『マヤマタ』第1章∼第3章:和訳と 註解」に続いて訳出する。『マヤマタ』の制作年代などは、上記を参照していただきたい。  日本語訳においては、詩節ごとに訳文を作るべきと考えるが、英訳を参照して訳出 範囲を分け、サンスクリット文の前に記した。これは、原文の詩節と文が構造的に対 応しないことが見られるためである。また、使用したテクストには、適宜、章内に小 見出しが挿入されているので、その部分も訳出している。

 テクストにはBruno Dagens ed. & trans., Mayamatam treatise of housing, architecture and iconography, Kalāmūlaśāstra series 14, Delhi, 1994. を用いた。また、フランス語訳である Bruno Dagens éd. et notes, Mayamta traité Sanskrit d’architecture, Publications de l Institut Français d Indologie No.40-1, Pondichéry, 1970. を適宜参照した。

1.第4章

 本章は、選定した場所が建築用地として適応するように浄性を高める規定とその調 査方法が記される。そのなかに、選定のさいに用いる場所の浄性を高めるマントラが 含まれる。 〔bhū-parigrahah4〕  地面の占有

―インド古典建築論書の構成と内容⑵ ―

出 野 尚 紀

0.はじめに 1.第4章 2.第5章 3.第6章

(2)

1 3

ākāra-varn4a-śabdâdi-gun4ôpetam4 bhuvah4 sthalam / san4

gr4hya sthapatih4 prājño dattvā devabalim4 punah4 //1// svastivācaka-ghos4en4a jayaśabdâdi-man

4 galaih4 / apakrāman tu bhūtāni devatāś ca sarāks4asāh4 //2// vāsântaram4 vrajan tv asmāt kuryām4 bhūmi-parigraham / iti mantram4 samuccārya vihite bhū-parigrahe //3//

 地面の中でも、形、色、音等々の性質を授かった場所を選び取り、賢明な棟梁(ス タパティ)は、再び神への供物を供える。祝福の言葉を、勝ち鬨等々の吉運な〔言葉〕 を唱える「用地の内側に集いし者よ。去れ。神々や羅刹どもがいるぞ。これから地面 を囲い込もうぞ。」と、マントラを唱えて、地面の囲い込みを行う。

krst4 4 4vā gomaya-miśrān4i sarva-bījāni vāpayet / drst4 4 4vā tāni virūd4hāni phala-pakca-gatāni ca //4//

 耕してから、牛糞を混ぜ、全ての種を植えるべきである。それらが芽生えたのを見 てから、実を調理するべきである。

5 8ab

savrs4 4āś ca savatsāś ca tato gās tatra vāsayet / yato gobhih4 parikrāntam upaghrān4aiś ca pūjitam //5// sam4hrst4 4 4a-vrs4 4a-nādaiś ca nirdhauta-kalus4īkr4tam /

vatsa-vaktra-cyutaih4 phenaih4 sam4skr4tam4 prasnavair api //6// snātam4 gomūtra-sekaiś ca popurīs4aih4 sa-lepanam /

cyuta-romanthanôdgātrair gos4padaih4 kr4ta-kautukam //7// go-gandhena samâvist4 4am4 pun4ya-toyaih4 śubham4 punah4 /

 雄牛たちや子牛たちが牛たちの間に住んでいる。そんな牛たちによって歩き回られ、 そして、匂っていることで認められる。喜ぶ雄牛たちの大鳴き声で汚れは浄化される。 子牛の口から零れた涎の流れによって飾られ、牛の尿の飛散で洗われ、そして、牛糞 で塗られている。反芻やゲップが落ちていて、牛の足跡があることが望まれる。牛の 臭いが等しく染み渡り、再び聖水で浄められている。 8cd 10ab

tathā pun4ya-tithôpete naks4atra-vis4aye śubhe //8// karan4e ca sulagne ca muhūrte ca budhêpsite /

(3)

aks4ataih4 śveta-pus4paiś ca balikarma vidhīyate //9// brāhman4aiś ca yathāśaktyā vācayet svastivācakam /

 さて、星々の配置が幸運を示す聖なる月夜で、そして、目出度い時刻に、賢者に望 まれて、色々な穀物や白い花々で、供物となされる。そして、ブラーフマナたちによ って、最大限の感謝の祈りが捧げられる。

10cd 15

vastu-madhye tatas tasmin khanayed vasudhā-talam //10// aratini-mātra-gambhīram4 caturaśra-samanvitam /

digbhāga-stham asambhrāntam asam4ks4ipta-samucchrayam //11// arcyitvā yathānyāyam4 tam4 kūpam abhivandya ca /

candanâks4ata-miśren4a sarva-ratnôdakena ca //12// payasā tu tatah4 prājño niśādau paripūrayet /

tasya kūpasya câbhyāśe śucir bhūtvā samāhitah4 //13// bhūmau darbhâvakīrn4āyām4 sam4viśet prākśirā budhah4 /     ayam4 mantrah4

asmin vastuni vardhasva dhana-dhānyena medini //14// uttamam4 vīryam āsthāya namas te 'stu śivā bhava / upavāsam upakrāmed etam4 mantram4 japam4s tatah4 //15//

 それから、建築用地の中央で、そこの場所の表土を掘り起こすべきである。1アラ トニ1の深さで正方形に〔四辺を〕結ぶ。針が指し示す方角に、冷静に引き延ばして高 くし、敬して、正にまた、その穴に敬礼して、賢者は、黄昏時に、センダン2と穀物を 混ぜて、そして、全てに、宝石と水、または牛乳で満たすべきである。そして、その 穴の側に浄めて運ぶ。賢者は、ダルバ草で覆い、東を向いて、横になるべきである。 断食を行い、そして、「大地よ、この用地で、富を、穀物を増やせよ。最高の活力をも たらして、辞儀して、幸運にせよ」というマントラを唱える。 16 18ab

ahna ādau prīks4eta tam4 kūpam4 sthapatir budhah4 /

sâvaśes4am4 jalam4 drst4 4 4vā tad grāhyam4 srava-sampade //16// klinne vastu-vināśāya śus4ke dhānya-dhanaks4ayah4 / pūrite tan mr4dā khāte samatā madhyamā matā //17// uttamā bhūr mr4d ādhikyā hīnā hīnā mr4dā mahī /

 昼から初めて、賢い棟梁は、その穴を中止するべきである。残っている水を見て、 それを全ての幸運のために得るべきである。湿った〔土の〕用地は死を、焼けた〔土

(4)

の用地は〕穀物や健康の喪失を〔もたらす〕。掘り起こして、そこを土で覆い、中央と 等しくすると考えられる。最良の地面は、土が特別なのではなく、地面は土によるの ではない。

18cd 19ab

tan madhyâvat4a-surst4 4 4a-pradaks4in4a-carôdakām //18// surabhi-pratimām4 bhūmim4 gr4hn4īyāt sarva-sampade /

 その中央の穴を調べて、右繞して、水を、甘く香った尊像を、大地に成功するため に供える。

19cd 19ef

evam4 yathokta-vidhin4ā vividham4 viditvā

    grāmâgrahāra-pura-pattana-kharvat4āni / sthānīya-khet4a-nigamāni tathêtarān4ī

    yah4 sam4ciciks4ur avanī-grahan4am4 vidadhyāt //19 1/2//

 よって、上記の記述によって様々なことを知り、村落(グラーマ)、直営地(アグラ ハーラ)、都市(プラ)、町(パッタナ)、市場(カルヴァタ)、王都(スターニーヤ)、 集村(ケータ)、小都市(ニガマ)や、その他に区分され、取得した地面に配置するべ きである。

iti mayamate bhū-parigraho nāma caturtho 'dhyāyah4 /

  以上、地面の占有と呼ばれる『マヤマタ』の第4章。

2.第5章

 本章は、前半部では、1原子の大きさから始まる単位体系と建築文献が扱う構築物 で用いられる単位の大きさが記される。この単位体系を図示したものが本論末尾の換 算表である。後半部では、建築に関わる4種の職人とそれらに必要な知識と職分が記 される。 〔mānôpakaran4am〕  単位体系3 1

(5)

tasmān mānôpakaran4am4 vaks4ye sam4ks4epatah4 /kramāt //1//  また、全ての建物には、単位が定まっている。それ故に、私は簡単な方法で、単位 体系について述べましょう。 2 paramān4u-krama mānân 4

gam iti smr4tam /

paramān4ur iti proktam4 yoginām4 drst4 4 4i-gocaram //2//

 パラマーヌ4の大きさの倍数が、指の幅になると記憶されている。1原子が繋がっ

て、目に見えるものになると言われる。 3 6ab

paramān4ubhir ast4 4ābhī ratharen4ur udāhr4tah4 / ratharen4uś ca vālāgra-liks4āyūkā-yavās tathā //3// kramaśo 'st4 4agun4aih4 prokto yavâst4 4agun4ato 'n

4 gulam / an4

gulam4 tu bhaven mātram4 vistasti-dvādaśân 4

gulam //4// tad dvayam4 hastam uddist4 4am4 tat kis4kv iti matam4 varaih4 / pañcavim4śati-mātram4 tu prājāpatyam iti smr4tam //5// s4ad4vim4śatir dhanurmust4 4ih4 saptavim4śad dhanurgrahah4 /

 パラマーヌの8倍がラタレーヌ〔の大きさ〕であると言われる。そして、ラタレー ヌの8倍がヴァーラアグラ。その8倍がリクシャー、〔その8倍が〕ユーカー。その8 倍がヤヴァである。ヤヴァの8倍がアングラである。また、アングラが長さの基準に なるべきである。12アングラが1ヴィタスティである。2ヴィタスティがハスタであ ると指摘され、それが、キシュクの長さであると考えられる。〔それの〕25倍の長さが プラージャーパトゥヤであると記憶される。26倍がダヌルムシュティであり、27倍が ダヌルグラハである。 6cd 11ab

yāne ca śayane kis4kuh4 prājāpatyam4 vimānake //6// vāstūnām4 tu dhanurmust4 4ir grāmâdīnām4 dhanurgrahah4 / sarves4ām api vāstūnām4 kis4kure vâthavā matah4 //7// ratniś caivam aratniś ca bhujo bāhuh4 karah4 smr4tah4 / hastāś catur-dhanur dand44o yast4 4iś caiva prakīrtitah4 //8// dand44enâst4 4agun4ā rajjur dand44air grāmam4 ca pattanam / nagram4 nigamam4 khet4am4 veśmâādīny api mānayet //9// gr4hâdīnām4 tu hastena yāne ca śayane budhaih4 /

(6)

vitastinā vidhātavyam4 ks4udrānām an 4

gulena tu //10// yavenâlpīyasām4 mānam evam4 māna-kramam4 viduh4 /

 乗り物(車)と寝台では、キシュクが、舟では、プラージャーパトゥヤが、また、 種々の建物の〔単位は〕ダヌルムシュティが、村等々の〔単位は〕ダヌルグラハが、 また、数ある建物の〔種類〕全てにおいてキシュクになるとも考えられている。また、 ラトニ、アラトニ、ブジャ、バーフ、カラと言った〔単位〕も記憶される。4ハスタ の長さが「間棹」(ダンダ)〔の長さ〕であり、そして、〔その「棒」のことを〕ヤシュ ティとも呼ぶ。「間棹」の8倍が「間縄」(ラッジュ)である。「間棹」で、村、町、市 街、都市、集村、建物等々も〔測る〕と考えるべきである。また、賢者たちによって、 建物等々の〔他〕、乗り物や、寝台では、ハスタで〔測られ〕、小さいものでは、アン グラを、また、もっと小さいものではヤヴァを単位にする。というように単位の構成 について知られている。 11cd 13ab madhyamān4 guli-madhyastha-parva-mātrâyatam4 tu yat //11// kartur mātrān4

gulam4 proktam4 yāgâdīnām4 praśasyate / dehalabdhāgulam4 yat tad uparist4 4ād vidhīyate //12// evam evam4 vidhitvā tu sthapatir mānayed drd4 4ham /

 また、マートラ・アングラは、造作者の中指の中央にある関節(第2関節)を基準 とする長さであると言われ、祭式等々に〔用いられる〕と言われる。それから、等分 した長さの時にも用いられる。あらゆることを知得した上で、棟梁は厳密さに注意を 払うべきである。 〔śilpi-laks4an4am〕  建築家の職分5 13cd 14ab

bhavanti śilpino loke caturdhā sva-sva-karmabhih4 //13// sthapatih4 sūtragrāhī ca vardhakis taks4akas tathā /

 建築家は、一般に向け、職能から、自身を四種類に区分する。棟梁、補佐役(スー トラグラーヒン)、組立工(ヴァルダキ)、そして、大工(タクシャカ)である。 14cd 18ab

prasiddha-deśa-san4

kīrn4a-jātijo 'bhīst4 4a-laks4an4ah4 //14// sthapatih4 sthāpanârhah4 syāt sarva-śāstra-viśāradah4 /

(7)

na hīnān4

go 'tiriktān4

go dhārmikas tu dayā-parah4 //15// amātsaryo 'nasūyaś câatandritas tv abhijātavān / gan4ita-jñah4 purān4a-jñah4 satyavādī jitendriyah4 //16// citra-jñah4 sarva-deśa-jñaś cânnadah4 câpi alubudhakah4 / arogī câpramādī ca sapta-vyasana-varjitah4 //17// sunāmā drd4 4ha-buddhiś ca vāstuvidyâbdhi-pāragah4 /

 棟梁は、高名な地域の出身で、生まれた身分は幾つかあり、望ましい能力があり、 建て方をよく解っているべきである。全ての論書に精通し、不足や余分がなく、敬虔 であり、他人に優しい。妬み深くなく、親切で、そして、慎重で、また、見目良い。 数学を理解し、プラーナに精通し、真実を語り、怒り等の感情を制御できる。彫像を 判別し、全ての土地のことを知っている。そして、寛容であり、節度がある。健康で あり、そして、注意深く、七種の悪徳を避ける。目出度い名前で、確立した認識を持 ち、建築学をいう大海を修得している。 18cd 19

sthapates tasya śis4yo vā sūtragrāhī suto 'thavā //18// sthapaty-ājñânusārī ca sarva-karma-viśāradah4 / sūtra-dand44a-prapāta-jño mānônmāna-pramān4a-vit //19//

 また、補佐役は棟梁の弟子、或いは、息子である。棟梁に従い、そして、仕事全て に精通している。線や棒の開始点を知り、縦、高さ、横を知っている。

20

śaila-dārv-ist4 4akâdīnām4 sūtragrāhi-vaśānugah4 /

taks4an4āt sthūla-sūks4mān4ām4 taks4akah4 sa tu kīrtitah4 //20//

 補佐役の下僚は、岩、木、レンガ等々を大きくにも、小さくにも切りそろえるので、 彼は大工であると言われる。

21 22ab

mr4tkarma-jño gun4ī śaktah4 sarva-karma-svatantrakah4 / taks4ītānām4 taks4akānām uparyupari yuktikah4 //21// vr4ddhi-kr4d vardhakih4 proktath4 sūtragrāhy-anugah4 sadā /

 土のことに詳しく、称賛され、賢く、全ての行為を自分の責任で行い、大工たちが 切ったものを直立させ、組み立てる人が、組立工であると言われ、常に補佐役に従っ ている。

(8)

22ca 24

karmin4o nipun4āh4 śuddhā valavanto dayā-parāh4 //22// guru-bhaktāh4 sadā hrst4 4 4āh4 sthapaty-ājñānugāh4 sadā / tes4ām eva sthapaty-ākhyo viśvakarmêti sam4smr4tah4 //23// ebhir vinā hi sarves4ām4 karma kartum4 na śakyate / tasmād etat sadā pūjyam4 sthapaty-ādi-catust4 4ayam //24//

 彼らは、活動的で、練達していて、純であり、強く、優しさを持っている。常に師 を敬い、喜ばせ、常に棟梁に従う。棟梁が述べた「ヴィシュヴァカルマン」6という名

を記憶している。彼らなしでは、決して全ての作業を完遂できない。それ故に、この 棟梁を始めとする4種〔の職人〕を常に敬うべきである。

25

ebhih4 sthapaty-ādibhir atra loke vinā grahītum4 sukr4tam4 na śakyam /

tair eva sārdham4 gurun4ā 'tha tasmād bhajanti moks4am4 bhavatas tu martyāh4 //25//

 これらの棟梁等々によって、この世間に、表出されなければ、良い行為は不可能で ある。彼らこそ師と共にあり、そこで、それによって、また、人々は現在から解脱に 楽しむ。

iti mayamate mānôpakaram4 nāma pañcamo 'dhyāyah4 /  以上、寸法体系と呼ばれる『マヤマタ』の第5章。

3.第6章

 本章では、建築用地において地鎮祭儀礼の前に必要な方位測定のための日時計の作 成方法と、その材料が記される7 〔dik-paricchedah4〕  方位測定 1 2ab

vaks4ye ham4 dik-paricchedam4 śan 4

kunârkôdaye sati / uttarâyan4a-māse tu śuklapaks4e śubhodaye //1// praśasta-paks4a-naks4atre vimale sūryamand44ale /

 私は、日時計の影柱によって、正しい太陽の日の出の上昇角について、また、太陽 が北向する月々の白文において輝く上昇角について、特別な半月の星座8について、輝

(9)

く太陽の表面について、〔それぞれ〕方位の測定法を言いましょう。 2cd 3ab

gr4hīta-vāstu-madhye tu samam4 kr4tvā bhuvah4 sthalam //2// jalena dand44a-mātren4a samam4 tu caturaśrakam /

 与えられた建築用地の中央に、土地を水によって〔水平にした〕地面に、1ダンダ の正方形を作る〔べきである〕。 [śan4 ku-laks4an4am]  影柱(グノモン)の種類 3cd 5

tan madhye sthāpayec chan4

kum4 tan mānam adhunôcyate //3// aratni-mātram āyāmam agram ekân4

gulam4 bhavet / mūlam4 pañcân

4

gulam4 vyāsam4 suvr4ttam4 nirvran4am4 varam //4// ast4 4ādaśân

4

gulam4 madhyam4 kanyasam4 dvādaśân 4

gulam / āyāma-sadr4śam4 nāham4 mūle gre tu navân

4 gulam //5//  それの中央に影柱を立てさせるべきである。ここで、その基準を言おう。1アラト ニの長さで、頂点は1アングラにするべきである。根本は5アングラの真円で、キズ の無いものが最良である。中位の〔影柱〕は18アングラの長さで、低級の〔影柱〕は 12アングラである。9アングラの長さの正しい縄を根本あるいは頂点に〔結びつける〕。 6

dantam4 vai candanaś caiva khadirah4 kadarah4 śamī / śākaś ca tindukaś caiva śan4

ku-vr4ks4ā udīritāh4 //6//

 〔影柱には、〕象牙、センダン、カディラ樹9、カダラ樹10、シャミー樹11、チーク12

ティンドゥカ樹13、シャンク樹といった木々が言われる。

7 8ab

anyaih4 sāradrumaih4 proktam4 tasyâgram4 citravr4ttakam / śan4

kum4 kr4tvā dinādau tu sthāpayed ātta-bhūtale //7// śan4

ku-dvigun4a-mānena tan-madhye mand44alam4 likhet /

 他にも木質部が硬い木々が〔適していると〕言われる。その〔影柱の〕円錐形の頂 点を影柱に作り、また、日の出どきに〔日光が〕射し込む地表〔の場所〕に置くべき である。影柱の2倍の長さ〔を直径に〕して、それを中心とした円を画くべきである。

(10)

8cd 10ab

pūrvâparâhn4ayoś chāyā yadi tan-mand44alântagā //8// tad bindu-dvaya-gam4 sūtram4 pūrvāpara-diśîs4yate / bindu-dvayântara bhrānta-śapharânana-puccha-gam //9// daks4in4ottara-gam4 sūtram evam4 sūtra-dvayam4 nyaset /

 もし東から西に日の影がその円周を最後まで進むなら、その点の〔さらに〕2倍〔の 位置〕を進む線が東から西の方角に望まれる。点の2倍の位置より内側を進む、コイ の口から尾にかけて〔の形のように〕進む、南から北に進むといった線なら、〔影が画 いた〕線の2倍の〔位置に線を〕配する。

10cd 11ab

udag-ādy-aparântāni paryanāni viniks4ipet //10// sūtrān4i sthapatih4 prājñah4 prāguttara-mukhāni ca /

 賢い棟梁は、北から西に円周を定め、そして、北東方向を線の〔開始点〕にするべ きである。

〔apacchāyā〕

日の影が不運をもたらすこと 11cd 13

kanyāyām4 vrs4 4abhe rāśāv apacchāyâtra nâsti hi //11// mes4e ca mithune sim4he tulāyām4 dvy-an

4

gulam4 nayet/ kulīre vr4śike matsye śodhayec catur-an

4

gulam //12// dhanuh4-kumbhe s4ad4-an

4

gulyam4 makare st4 4ân 4

gulam tathā / chāyāyā daks4in4e vāme nītvā sūtram4 pracārayet //13//

 〔太陽が〕おとめ座とおうし座〔の方向〕にあるとき、不運をもたらす影はない。そ して、おひつじ座、ふたご座、しし座、てんびん座にあるとき2アングラ分遅らせる。 かに座、さそり座、うお座では、4アングラ分離す。いて座、みずがめ座では6アン グラ分、そして、やぎ座では8アングラ分〔離す〕。日影の右や左に遅らせることで、 〔東西を結ぶ〕線を動かすべきである。 〔rajju-laks4an4am〕 線の特徴

(11)

14 15

ast4 4a-yast4 4y-āyatā rajjus tāla-ketaka-valkalaih4 /

kārpāsa-patt4 4asūtraiś ca darbhair nyagrodha-valkalaih4 //14// an4

gulâgra-sama-sthūlā trivartir ganthi-varjitā / deva-dvija-mahīpānām4 śes4ayoś ca dvi-varttikā //15//

 8ダンダ長伸ばした線がターラ樹14とケータカ樹15を材料としたり、綿糸、絹糸、そ して、ダルバ草やニヤグローダ樹16を材料としたりする。神々、ブラーフマナ、クシャ トリヤの〔構造物を建てる〕ときは、3本をよじり、つなぎ目を作らず、指先に等し い太さにする。そして、他の2ヴァルナの場合は2本をよじる 〔khāta-śan4 ku-laks4an4am〕 穴掘り用の杭の種類 16

khadirah4 khādiraś caiva madhūkah4 ks4īrin4ī tathā / khāta-śan4

ku-drumāh4 proktā anyam4 vā sāradāru-jam //16//

 そして実に、カディラ樹、カディラ樹の近い樹木、マドゥーカ樹、それから、クシー リニー樹、あるいは、他の硬木に手を加えたものであると、穴掘り用の杭の樹木は説 明される。

17 ekādaśân4

gulâdy-ekavim4śan-mātram4 tu dairghyatah4 /

pūrn4amust4 4is tu nāham4 syān mūlam4 sūcī-nibham4 bhavet //17//

 11アングラから21アングラまでの長さであり、また、直径は手に余るほどで、根本 は針のように〔とがった形に〕するべきである。

18 19ab

gr4hītvā vāma-hastena prān 4

-mukho vâpy udan4

-mukhah4 / daks4in4enâst4 4hīlam4 gr4hya tād4ayed ast4 4abhih4 kramāt //18// prahāraih4 stapatih4 prājñas tat kuryāt sthāpakâjñayā /

 〔杭を地面に刺すために〕打ち付けることにおいては、賢い棟梁は、〔杭を〕左手で 握ってから、右手で丸い石を掴み、東向きあるいはまた北向きになり、順に8回叩く べきである。棟梁の指示のもとにそれをするべきである。

(12)

〔sūtra-vinyāsam〕 線の設置

19cd 21ab

pramān4a-sūtram ity uktam4 pramān4air niścitam4 hi yat //19// tad bahih4 parito bhāge sūtram4 paryantam is4yate /

garbha-sūtrâdi-vinyāsa-sūtram4 deva-padôcitam //20// pada-vinyāsa-sūtram4 hi vinyāsah4 sūtram is4yate /

 基準線(pramān4a-sūtra)と呼ばれる線は、基準によって、決められる。外側の全周 の部分に引かれた線による外周線(paryanta-sūtra)が望まれる。内周線などの設置さ れる線がある。マス目に〔合わせて〕置かれるものが、マス目設置線である。〔すべて の〕設置が線については望まれる。

21cd 22

gr4hān4ām4 daks4in4e garbhas tat-pārśve sūtra-pātanam //21// tat-sūtrāc chan4

ku-mānena nītvā śan4

kum4 nikhānayet /

upānam4 nis4kramârtham4 vā bhitty-artham4 vā tha tad bhavet //22//

 家々の南に内陣があり、その脇に線を引く、その線から影柱の長さによって〔位置 を〕導いて、影柱を固定するべきである。それは、出入り口あるいは壁に適合させる ように、存するべきである。

23 24ab

nagara-grāma-durges4u vāyv-ādī rajju-pātanam /

avācyâśâdy-udīcy-antam4 prāk-pratyag-gata-sūtrakam //23// pratīcy-āśâdi-pūrvântam4 visr4jed daks4in4ôttaram /

 都市、村落、城砦において、北西を開始点として線を巡らせる。そして、線は、南 から北に、東から西に巡らせ、さらに、西から東に、北から南に進める。

24cd 25

brahma-sthānāt pūrva-gatam4 tat tri-sūtram4 tad ucyate //24// tato dhanam4 paścimagam4 dhānyam4 daks4in4agam4 tatah4 / brahma-sthānād uttaragam4 sukham ity abhidhīyate //25//

 それ(線)はブラフマンの場所から東に進み、それはトゥリ・スートラと言われる。 それから、西に進むものはダナと、南に進むものはダーニヤと〔呼ばれる〕。ブラフマ ンの場所から北に進むものはスカと説明される。

(13)

26

sukha-pramān4am4 yat sūtram4 tat pramān4am ihôcyate / eka-hastam4 dvi-hastam4 vā tri-hastam4 parito dhikam //26// vimānam4 mand44apa-vyāsāt khānayet tad balârthakam //26 1/2//

 スカを基準とする線が、プラマーナであると言われる。その精度を高くするために、 マンダパの幅により、周囲1ハスタ、2ハスタ、あるいは3ハスタ大きく、掘り下げ るべきである。 〔punar apacchāyā〕 日の影が不運をもたらすこと補則 27

dvy-ekam4 no naika-netre nayana-gun4a-yugam4 câbdhi-rudrāks4am aks4ī

    netraikam4 no na candram4 nayana-nayanakam4 vahni-vedâbdhi-bān4am / s4at4-s4at4-saptâst4 4akâst4 4air muni-rasa-rasakam4 bhūta-vedâbdhy-ajāks4am4

    netram4 mātram4 ca mes4âdis4u daśa-daśake smin dine tyajya yuñjyāt //27//

 歳差はおひつじ座〔の第1日目〕から10日ずつ、〔おひつじ座は〕2・1・0、〔お うし座は〕0・1・2、〔ふたご座は〕2・3・4、〔かに座は〕4・3・2、〔しし座 は〕2・1・0、〔おとめ座は〕0・1・2、〔てんびん座は〕2・3・4、〔さそり座 は〕4・5・6、〔いて座は〕6・7・8、〔やぎ座は〕8・7・6、〔みずがめ座は〕 6・5・4、〔うお座は〕4・3・2と離して決定するべきである。 28

samīks4ya bhānor gamanam4 sarāśikam4 tyajet proktân 4

guli-mantra-yuktitah4 / tatas tu kāst4 4hād upagr4hya tad vaśād visr4jya ūtram4 vidadhīta ca sthalam //28//

 太陽の通過するところは、星座との関連で考慮される。〔必要な線を〕杭から導き出 し、それにより調整を行い、そして、地面の準備をするべきである。

iti mayamate vastuśāstrae dik-paricchedo nāma s4ast4 4ho dhyāyah4 /

 以上建築論書『マヤマタ』における方位の測定という名称の第6章。 ―――――――――――――

 長さの基準は、第5章で記される。

 学名 Santalum album。学名の同定は、Joshi2000による。 他の文献の単位体系との関連については、出野2011がある。

(14)

 元来の意味は「原子」であり、この単位の定義では、原子の直径の何倍であるかが ものの長さとなる。この節では、長さの単位としての「パラマーヌ」と一般的な「原 子」の2つの意味で用いられている。 5 建築家の職分について、Śilparatna との記述比較をしたものに、出野2007がある。 Viśvakarman は、工芸を司る神。 古典インドの建築論書における日時計については、Yano1986がある。 星座への言及があるのは、太陽が黄道上のどの位置にあるのかを示すためであり、 1周360度を12分した1星座を30度として、さらに1星座を3つに分ける。 9 学名 Acacia catechu。 10 不明。kadala であれば、バナナを指す。 11 学名 Prosopis cineraria。 12 学名 Santalum album。 13 学名 Diospyros malabarica。 14 学名 Borassus flabellifer。 15 学名 Pandanus tectorius、ketakī とも呼ばれる。 16 学名 Ficus benghalensis、なお、和名はベンガルボダイジュ。 《テクスト》

Bruno Dagens ed. & trans., Mayamatam treatise of housing, architecture and iconography, Kalāmūlaśāstra series 14, Delhi, 1994.(底本)

Bruno Dagens éd. et notes, Mayamta traité Sanskrit d’architecture, Publications de l Institut Français d Indologie No.40-1, Pondichéry, 1970.

《参考文献》

出野尚紀「建築論書にみえる職人の職掌と職能」、『印度學佛教學研究』第55巻2号、 日本印度学仏教学会、2007年、pp.788 784。

出野尚紀「ヒンドゥー建築論において用いられる単位とその長さについて」『東洋学研 究』第48号、東洋大学、2011年、pp.352 335。

Shankar Gopal JOSHI, Medicinal Plants, Delhi, 2000.

Michio YANO, Knowledge of Astronomy in Sanskrit Text of Architecture Oritentation Methods in the Īśān4aśivagurudevapaddhatī , Indo-Iranian Journal 29, Brill, 1986, pp.17 29.

(15)

表 単位体系換算表

参照

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