構造工学論文集 Vol. 63A (2017 年 3 月) 土木学会
FEM
と
3D
プリンタを用いたハニカムパネルの挙動解析
Behavior analysis of honeycomb panels using FEM and 3D printer 後藤文彦†,田部井香月∗,吹附茜∗∗,大竹壯弥∗∗∗,野田龍∗∗∗∗ Humihiko Gotou, Kazuki Tamegai, Akane Fukitsuke, Masaya Otake, Ryu Noda
†博(工学)秋田大学大学院理工学研究科(〒 010-8502 秋田市手形学園町 1-1)
∗サムシングホールディングス (株) (〒 135-0042 東京都江東区木場 1-5-25 深川ギャザリア タワーS棟 4F) ∗∗長野県(〒 380-8570 長野県長野市大字南長野字幅下 692-2)
∗∗∗柴田町(〒 989-1692 宮城県柴田郡柴田町船岡中央 2 丁目 3-45)
∗∗∗∗博(生物資源科学)秋田大学大学院理工学研究科(〒 010-8502 秋田市手形学園町 1-1)
Recently honeycomb panels are used in many fields such as architecture, aircraft structures and so on. FEM analysis is needed to investigate behavior of such com-plicated structures such as honeycomb panels, which can not be simplified as beam or plate. Since FEM analysis is influenced by meshing, boundary condition, element and so on, it is important to validate the accuracy by experiments. In this study we evaluate stiffness and local buckling behavior of honeycomb panels compared with grate panels by FEM and try to utilize their 3D printer models for experiments. Key Words: honeycomb panel, CalculiX, SALOME-MECA, 3D printer キーワード: ハニカムパネル,CalculiX, SALOME-MECA, 3D プリンター 1. はじめに 近年,ハニカム構造や各種の折り紙構造が,様々な 分野で応用され,建設分野での利用も期待されている. ハニカムが利用される一つの理由は,単位重量当たり の強度・剛性が大きいということであるが1),同じ重量 の格子パネルと比べても有利かといった視点2),3)から の研究はあまり見当たらない4),5),6).一般にハニカムパ ネルや折り紙構造を利用した円筒など,幾何学的に複 雑な構造物は,板や円筒に単純化して剛性を評価する ことはできないので,有限要素法等の数値シミュレー ションにより挙動を解析せざるを得ない.一方,有限 要素法は,要素選択やメッシュ分割,境界条件,ソル バーの種類などに敏感で,これらの条件が適切に設定 されていないと,信頼できない解を与えることもある ので,実験による実測値と比較して,解の妥当性を検 証することが重要になる.従来は,こうした複雑な構造 の試験体を製作することは困難であったが,昨今,3D プリンタの普及が進み,解析用の有限要素モデルを作 成すれば,それをそのまま樹脂材料で成形することが できるようになった. 本研究では,建築資材として近年 普及しているハニ カムパネル構造を対象として,直角 2 方向の剛性につ いては最も最適化されていると考えられる格子パネル と比較した場合の剛性や座屈挙動について有限要素解 †連絡著者/ Corresponding author
E-mail: gotou@gipc.akita-u.ac.jp
析による評価を実施し,更に 3D プリンタによる模型 実験でその精度検証を行う可能性についても検討する. 2. 解析手法 本研究では,実際の天井パネルなどで使用されている 程度の表-1 に示す諸元のアルミ製ハニカムパネル(図-1)を解析モデルとし,これと比較するための格子パネ ルも,同じ材料諸元で材料重量がハニカムパネルと同 じになるように設定する. 解析モデルはオープンソースの SALOME-MECA と FreeCADを用いて作成する.モデルは実際の天井パネ ルほどの大きさのものを想定しているが,要素数を節 約し,拘束部と載荷部の応力集中を緩和するため,図-2 のように,単純支持 3 点曲げではなく片持ち梁で曲げ解 析を行う.メッシュ分割は,SALOME-MECA の UNV 形式出力をオープンソースの Gmsh に読み込んで,inp 形式(Abaqus の入力データ形式)にエクスポートした ファイルを gfortran のプログラムで整形して行う.パネ ルの壁面については,壁面の高さ方向分割数が最低で も 4 分割以上になることを目安としてメッシュ分割し, その要素分割で壁面と上下板の交線に作られる節点を もとに,上下板のメッシュ分割を行う. 解析ソルバー には,オープンソースの有限要素解析ツール CalculiX を用い,6 節点三角形シェル要素で解析する.ちなみ に,ソルバーも SALOME-MECA と連動している Code Asterを用いるなら,SALOME-MECA のみを用いた解
図–1 ハニカムパネル 図–2 載荷モデル 表–1 材料諸元 板厚 t 1mm 高さ h 5mm, 10mm, 30mm ヤング率 E 70 GPa ポアソン比 0.3 析も可能だが,今回は,入出力ファイルが可読性の高 いテキスト形式のため,解析ケースごとの整形がしや すい CalculiX をソルバーに用いて解析する. 2.1 ハニカムパネル ここでは,図-3 で表されるハニカムの構成要素をハ ニカムセルと呼ぶことにする.また,図-3 に示すよう に正六角形の上底(板厚中心)から下底(板厚中心)ま での長さをセルサイズとする.解析モデルはセルサイ ズを 20√3 mmとし,図-4 のような向きにハニカムセ ルを並べていき,x 方向寸法 L= 10√3 mm(ハニカム セル 5 個),y 方向寸法 W = 18√3 mm(ハニカムセル 9個)とし,パネルの上面と下面を同じ材料,同じ厚さ の板で挟んだサンドイッチ構造とする.このパネルの 高さは,5mm, 10mm, 30mm の 3 種類について解析を 行う.また比較のため,セルサイズ 25√3 mmで x 方 向にセル 4 個,y 方向にセル 7 個の粗いハニカムモデ ルも作成し解析する. セルサイズ t 図–3 ハニカムセル W z x y L h 壁面の要素分割 図–4 ハニカムパネル(諸元) 図–5 格子パネル(2 方向の壁面数の変化) m枚 n枚 x z h L W y 図–6 格子パネル (m× n) 2.2 格子パネル ハニカムパネルと性能を比較する対象として,格子 パネルをモデル化する.ハニカムパネルとできるだけ 近いサイズにしたいが,ハニカムセルの六角形の制約 を受けるため,セルサイズ 20√3 mmの細かいハニカム パネルに対応する格子パネルは W= 20√3×9≒312mm, セルサイズ 25√3 mmの粗いハニカムパネルに対応す る格子パネルは W= 25√3×7≒303mm とする. 格子の強軸方向,弱軸方向の壁面は,図-5 のように, 正方格子から,壁面の量(体積)を同じにしたまま一 方向の壁面の数を増やしていき,最終的に一方向のみ に壁面のあるモデルまで作成する. 格子パネルの壁面(厚さ一定)の総長が,なるべく ハニカムパネルの壁面の総長と近くなるように,次の
表–2 格子パネルの壁面の数(セルサイズ 20√3mm) m 9 11 12 13 14 15 16 18 19 n 9 7 7 5 5 3 3 0 0 m+ n 18 18 19 18 19 18 19 18 19 表–3 格子パネルの壁面の数(セルサイズ 25√3mm) m 7 9 10 11 12 14 15 n 7 5 5 3 3 0 0 m+ n 14 14 15 14 15 14 15 ように設定する.例えばセルサイズ 20√3 mmのハニ カムパネルの壁面の総長は 5500 mm である.同じサイ ズの格子パネルの壁面の総長も 5500 mm だとすると, x軸に平行な壁面の数を m,y 軸に平行な壁面の数を n とすると,303m+ 312n = 5500 [mm] と表わせる.x 方 向に平行な壁面のみとする場合,n= 0 より,x 軸に平 行な壁面の数は m= 5500 303 = 18.15 となるので,m = 18 のモデルと m= 19 のモデルを作成し,両者を比較する. 以上の要領で他の組み合わせの格子パネルも作成す る.m と n の組み合わせは,ハニカムパネルのセルサ イズ 20√3 mmに対応するものを表-2 に,25√3 mmに 対応するものを表-3 に示す. 2.3 境界条件・載荷条件 次章に,ハニカムパネルと格子パネルを片持ち梁と して曲げを与えた解析例を示すが,固定端側はパネル の上下面の板の全節点の x, y, z 方向変位を拘束し,自 由端側はパネルの上下面の板の全節点の z 方向に等し い大きさの節点荷重を与える.なお,ハニカムパネル の強軸方向に曲げを与える場合は,図-4 の x 軸方向に おいて,ハニカムセルの壁面の中央部で切断した断面 位置をそれぞれ固定端と自由端とし,ハニカムパネル の弱軸方向に曲げを与える場合は,図-4 のy 軸方向に おいて,ハニカムセルの壁面の位置を固定端と自由端 としている.格子パネルについては,強軸方向に曲げ を与える場合も弱軸方向に曲げを与える場合も,図-6 の x 軸またはy 軸方向において,固定端部・自由端部 それぞれの壁面の突出部の長さがハニカムセルの強軸 方向載荷と同程度(ハニカムセル 6 角形の 1 辺の半分) になるように両端の壁面位置を決め,その間に等間隔 に残りの壁面を並べる. 3. 解析結果 3.1 曲げ剛性 有限要素法により求めた自由端全節点の平均変位w と荷重合計 P を片持ち梁のたわみの式 (w = Pℓ3 3EI)に代 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 正方格子 9 5 0 軸直角壁面数n 図–7 格子の曲げ剛性(高さ 30 mm) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 EI EI正方格子 9 5 0 軸直角壁面数n 図–8 曲げ剛性(高さ 10 mm) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 EI EI正方格子 9 5 0 軸直角壁面数n 図–9 曲げ剛性(高さ 5mm) 入してパネルの曲げ剛性 EI を求める. 図-7 に正方格子の曲げ剛性で無次元化した高さ 30mm の格子パネルの曲げ剛性を示す.格子パネルの壁面を, 図-5 のように正方格子から一方向に増やしていくと, 強軸側に載荷した場合は強軸方向の桁数が増えるので 剛性が上がっていくが,弱軸方向に載荷した場合は強軸 方向の桁数が減るので剛性は下がっていく.高さ 10mm のハニカムパネルと格子パネルの曲げ剛性の関係を同 様に図-8 に示す.横軸は,格子パネルの場合の壁面の 数で,原点が正方格子で,右に行くほど格子パネルの 壁面が一方向に増えていく.よって,ハニカムパネル の剛性については,横軸の変化はなく,水平線で示さ れる.格子パネルは,ハニカムパネルの壁面の総長よ り小さめになる壁面の数の場合とそれより壁面を 1 つ
0.2 0.4 0.6 0.8 1 EI EI正方格子 9 5 0 軸直角壁面数n 図–10 曲げ剛性(高さ 30mm) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 EI EI正方格子 7 3 0 軸直角壁面数n 図–11 曲げ剛性(セルサイズ 25√3 mm) 増やしてハニカムパネルの壁面の総長より大きめにな る場合とを誤差棒で示したが,両者にほとんど差はな い.ハニカムパネルの曲げ剛性は,正方格子パネルよ りはやや小さくなっている. 高さ 5 mm と高さ 30 mm のハニカムパネルと格子パ ネルの曲げ剛性の関係を図-9, 10 にそれぞれ示す. 格子パネルは高さの大きい方が,強軸方向と弱軸方 向の曲げ剛性の開きが大きくなる.ハニカムパネルは 高さの大きい方が,強軸方向と弱軸方向の曲げ剛性の 差は小さくなり,正方格子パネルよりも曲げ剛性が小 さくなる.一方,高さ 5 mm のハニカムパネルは正方 格子パネルと同程度の曲げ剛性を示している.図-11 に ハニカムのセルサイズ 25√3 mmのハニカムパネルと 格子パネルの曲げ剛性の関係を示す.格子パネルはセ ルの粗いモデルの方が強軸方向と弱軸方向の曲げ剛性 の差が小さくなっている.一方,ハニカムパネルはセ ルの粗いモデルの方が強軸方向と弱軸方向の曲げ剛性 の差が大きくなっている.セルの粗いハニカムパネル は正方格子パネルと同程度の曲げ剛性を示している. 3.2 局部座屈 セルサイズ 20√3 mmで,高さ 10 mm, 5 mm, 30 mm 1 1.5 2 2.5 3 座屈荷重 座屈荷重正方格子 9 5 0 n 図–12 座屈荷重(高さ 10 mm) 1 1.5 2 2.5 3 座屈荷重 座屈荷重正方格子 9 5 0 n 図–13 座屈荷重(高さ 5 mm) 12, 13, 14にそれぞれ示す.横軸は前節と同様に,原点 が正方形格子で,右に行くほど格子パネルの壁面が一 方向に増えていく.縦軸は有限要素法より得られた座 屈荷重を正方形格子パネルの座屈荷重で無次元化した ものである.座屈荷重は,荷重の増加に対して最初に どこかに局部座屈が生じた時点の座屈荷重を示してい る.まず,ハニカムパネルの座屈荷重が正方格子より も大きいことが分かる.また,格子パネルは m= 13, 14 と n= 5 の組み合わせで座屈荷重が大きくなっている. セルサイズ 25√3 mmのハニカムパネルと格子パネ ルの座屈荷重の関係を図-15 に示す.セルサイズが粗く なると,強軸方向載荷と弱軸方向載荷の場合の座屈荷 重の差が大きくなっている. 3.3 座屈モード 高さ 10 mm,ハニカムのセルサイズ 20√3 mmのハ ニカムパネルと高さ 10 mm の格子パネルの座屈モード を図-16∼23 に示す.ハニカムパネルと正方格子パネル は,どちらも固定端側の中央付近に局部座屈が認めら れる.強軸方向載荷で座屈荷重が最も大きくなる壁面 の組み合わせの格子パネルでは,固定端側の両側面に 局部座屈が生じている.
1 1.5 2 2.5 3 座屈荷重正方格子 9 5 0 n 図–14 座屈荷重(高さ 30 mm) 1 1.5 2 2.5 3 座屈荷重 座屈荷重正方格子 7 3 0 n 図–15 座屈荷重(セルサイズ 25√3 mm) 固定側 載荷側 図–16 ハニカムパネル座屈モード(強軸載荷) 固定側 載荷側 図–17 ハニカムパネル座屈モード(弱軸載荷) 4. 3D プリンタの利用 この章では,3D プリンタによる模型実験で有限要 素解析の精度検証を行う可能性について検討してみる. 3Dプリンタ材料として一般的な Fullcure720 とヤング 率の大きい高耐熱材料 RGD525 に対して行った引張試 験の試験装置と試験結果を写真-1, 図-24 に示す.3D プ リンタは Eden260V を用いた.実験は,写真-1 のよう 載荷側 固定側 図–18 正方格子パネル座屈モード(強軸載荷) 載荷側 固定側 図–19 正方格子パネル座屈モード(弱軸載荷) 固定側 載荷側 図–20 13×5 格子パネル座屈モード(強軸載荷) 載荷側 固定側 図–21 13×5 格子パネル座屈モード(弱軸載荷) な試験体に 30 秒ずつ 1kgf の重りを載荷して,軸方向 のひずみを測定する.ひずみの変化は図-24 のような階 段状のグラフとなるが,Fullcure720 はクリープが大き いため,荷重が変化しない 30 秒の間にもひずみが増加 している.このため Fullcure720 の引張ヤング率は正確 には求められないが,FEM モデルの入力値としては, 試験開始後 30 分間の平均ひずみから求めた 1.40GPa を 用いる.これに対して,RGD525 はクリープがほとん ど認められない.RGD525 のヤング率を引張試験から 求めると,2.84GPa となる. 次に,写真-2 のような厚さ 0.8mm, 外径 53mm, 高さ 104.5mmの円筒を RGD525 で造形し,圧縮試験を行っ た結果を図-25 に示す.圧縮試験は,変位計の変位レン
固定側 載荷側 図–22 18×0 格子パネル座屈モード(強軸載荷) 固定側 載荷側 図–23 18×0 格子パネル座屈モード(弱軸載荷) 写真–1 引張試験体 −200 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 0 50 100 150 200 250 300 350 ひずみ (µ ) 時間 (s) FullCure720 RGD525 図–24 引張試験 ジが小さいためか,荷重を 1kgf ずつ増やしても変位が 変化しない領域があり,線形関係は得られなかった. そこで,写真-3 のような 5mm×10mm×120mm の長 方形断面梁を RGD525 で造形し,スパン 100mm, 中央 載荷の 3 点曲げ試験を行なった結果を図-26 に示す.長 方形断面の長辺を桁高として強軸方向に載荷した場合 は,剛性が大きめで,初期の線形域で求めたヤング率は 3.20GPa程度となった.一方,長方形断面の短辺を桁高 写真–2 圧縮試験体 0 5 10 15 20 25 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 変位 (mm) 荷重 (kgf) 実験 図–25 圧縮試験 写真–3 曲げ試験体 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 荷重 (kgf) 変位 (mm) 強軸 i 弱軸 図–26 曲げ試験 として弱軸方向に載荷した場合は,ヤング率が 1.66GPa と小さめとなり,印刷時の積層方向に対して異方性が あることがわかる.RGD525 は,高耐熱材料としての 利用が想定されているためか,3D プリンタ Eden260V では,内部に微小な格子状の空洞ができるグリッドス タイルによる造形しか選択できないため,こうした異 方性が生じるものと思われる.
写真–4 ハニカム板の 載荷試験 写真–5 正方格子板の 載荷試験 表–4 Fullcure720 の格子のたわみ ハニカム板 正方格子板 FEM 4.24mm 1.04mm 実験 7.21mm 1.29mm 表–5 RGD525 の格子のたわみ ハニカム板 正方格子板 FEM 4.67mm 0.18mm 実験 4.14mm 1.00mm 4.1 ハニカムパネルの曲げ剛性 今回 用いた 3D プリンタ材料は,クリープや異方性 があり,有限要素解析の精度検証に適しているとは言 えないが,有限要素解析とおよその傾向が一致するか を確認する意味で,ハニカムパネルと格子パネルの 3D モデルを Fullcure720 と RGD525 のそれぞれの材料で 造形し,写真-4 や写真-5 のようなスパン 180mm のサ ンドイッチパネルのない桁のみの板に 500gf の棒状の 重りを載せ,3 点曲げ試験を行う. パネルの曲げ試験から得られたたわみと,引張試験 体から得られた引張ヤング率を用いた FEM 解析による たわみを表-4, 5 に示す.Fullcure720 はクリープが大き いためか,ハニカム板の解析値と実験値が大きく開い ているが,クリープの小さい RGD525 では,解析値と 実験値は近い値となっている.もっとも,RGD525 を 用いたハニカム板と正方格子板は,形状が異なるため に印刷方法が完全に同じ訳ではなく,材料の全体をサ ポート材で覆って印刷された正方格子板は材料の純度 が落ちたせいか解析値よりもたわみが大きくなった一 方,材料の一部にサポート材を付ける方法で印刷され たハニカム板は剛性が大きく,解析値に近い値になっ た可能性もある.とはいえ,同じ材料量のハニカム板 と正方格子板では,FEM 解析でも 2 種類の材料を用い た実験でも明らかに正方格子板の方が剛性が大きいこ とが確認できる. 5. まとめ • 今回数値解析を行ったケースでは,ハニカムパネ ルが正方格子パネルの曲げ剛性を上回るケースは 認められなかったが,セルサイズ 20√3 mm,高さ 5 mmのハニカムパネルと,セルサイズ 25√3 mm, 高さ 10 mm のハニカムパネルは正方格子パネルと 同程度の曲げ剛性が得られた. • セルサイズ 25√3 mmの粗いハニカムパネルの方 が強軸方向と弱軸方向の曲げ剛性の差は小さい. • 座屈荷重は,ハニカムパネルが正方格子パネルよ りも大きい.セルサイズの粗いハニカムパネルの 方が,強軸方向載荷と弱軸方向載荷の場合の座屈 荷重の差が大きくなる. • ハニカムパネルと正方格子パネルの局部座屈は固 定端側の中央付近に生じ,座屈荷重が大きい格子パ ネルの局部座屈は固定端側の両側面付近に生じる. • 3D プリンタによる模型を用いた実験は,クリー プ等,材料特性が良くないため精度は期待できな いが,材料量の同じハニカム板と正方格子板では, 正方格子板の方が明らかに剛性が大きい傾向があ ることは確認できる. • ハニカムパネルは製造が容易な割には比較的大き い剛性が得られるという意味で有用な構造材料と 考えられるが,曲げ剛性において正方格子パネル よりも有利とは言えない. • FEM の精度検証としての利用が期待される 3D プ リンタであるが,一般的な材料の Fullcure720 は クリープが大きく,クリープの小さい高耐熱材料 RGD525にしても,印刷方向による異方性や,載 荷方法による特性の違いがあり,現状では,高精 度の試験目的には向いていない.但し,3D プリン タのこうした利用ニーズが増え,材料や造形方法 が改善されれば,FEM モデルをそのまま造形して 試験できる 3D プリンタの利用可能性が広がるこ とも期待される. 参考文献 1) 菅原 憲明:ハニカム構造材料,日本ロボット学会誌, Vol. 13, No. 2, 180-184, 1995. 2) 江村 拓郎,滝田 拓史,後藤 文彦: 有限要素シミュ レーション検証手段としての 3D プリンターの可能 性, 平成 25 年度 土木学会東北支部技術研究発表会 講演概要集 (CD-ROM), I-23, 2014. 3) 大竹 壯弥,坪井 瑛靖,竹内 駿哉,斉藤 輝,後藤 文 彦: 3D プリンタを用いた FEM 検証手法,平成 26 年度 土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集 (CD-ROM), I-13, 2015.
4) An Chen, Julio F. Davalos: A solution including skin effect for stiffness and stress field of sandwich
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5) Yi-Ming Jen, Fu-Lung Teng, Ta-Cheng Teng: Two-stage cumulative bending fatigue behavior for the ad-hesively bonded aluminum honeycomb sandwich pan-els, Materials and Design 54, 805-813, 2014.
6) R.M. Neville, A. Monti, K. Hazra, F. Scarpa, C. Remil-lat, I.R. Farrow: Transverse stiffness and strength of Kirigami zero-ν PEEK honeycombs, Composite Struc-tures 114, 30-40, 2014.
(2016年 9 月 26 日 受付) (2017年 2 月 1 日 受理)