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この 調 査 研 究 紀 要 の 使 い 方 研 究 報 告 書 の 別 冊 としての 調 査 研 究 紀 要 この 調 査 研 究 紀 要 は 研 究 報 告 書 第 270 号 の 内 容 に 具 体 例 事 例 資 料 編 を 加 え て 作 成 したものである なお 添 付 のフロッピーディ

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Academic year: 2021

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調 査 研 究 紀 要

学 校 に お け る 生 徒 指 導 ・ 教 育 相 談 の 進 め 方

~ カ ウ ン セ リ ン グ の 考 え 方 を 生 か し て ~

平 成 1 2 年 3 月

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こ の 調 査 研 究 紀 要 の 使 い 方 ○研究報告書の別冊としての調査研究紀要 この調査研究紀要は、「研究報告書第 270 号」の内容に具体例、事例、資料編を加え て作成したものである。なお、添付のフロッピーディスクには、紀要の資料編の内容が 収めらているので、各学校において適宜、取り出して活用できる。 ○全体のねらい 生徒指導と教育相談は対立するものではないこと、教育相談やカウンセリングの理論、 技法、態度を日常の教育活動に生かすことが大切であるとの考えのもとで、南教育セン ターで行っているカウンセリング研修の中から基礎的な内容をまとめ、各学校で活用し てもらうことで生徒指導・教育相談の一層の普及・推進を図ろうとするものである。 ○各章のねらい 第Ⅰ章 生徒指導と教育相談 …… 生徒指導・教育相談の重要性、両者の関係、ねら い、機能、特徴などこの調査研究紀要としての基 本的な考え方を述べる。 第Ⅱ章 面接相談の進め方 …… カウンセリングの理論や技法はすべての教育活動 に生かせるものであり、これを十分に活用するた めにも基本となる一対一の面接相談の進め方や留 意点について述べる。 第Ⅲ章 日常の教育活動に生 カウンセリングが学級経営・ホームルーム経営、 かすカウンセリング …… 授業、日常の会話、人間関係づくり、保護者との 対応など、日常の教育活動にどのように生かせる かについて述べる。 第Ⅳ章 身近な問題行動とそ 身近な問題行動が起こった場面、ありがちな対応、 の対応例 …… 教育相談的な考え方・対応例・対応の基本について、 14 の具体例について1Pずつでまとめている。 第Ⅴ章 組織的対応の在り方 生徒指導・教育相談の組織的な進め方及びカウン と教師の姿勢 …… セリングの理論や考え方を生かした教師の姿勢に ついて述べる。 <資料編> Ⅰ 学校教育に生かすカウンセリン グの理論と技法 学級活動・ホームルーム活動、校内研修 Ⅱ 学級経営・ホームルーム経営等 ……… 会等で、そのまま印刷して使える展開例 における活用例 や資料等をまとめたもの。 Ⅲ 校内研修会の実際

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目 次 第Ⅰ章 生徒指導と教育相談 ……… 4 1 生徒指導の重要性と教育相談との関係 ……… 4 2 生徒指導とは ……… 5 3 学校教育相談(学校カウンセリング)とは ……… 6 第Ⅱ章 面接相談の進め方 ……… 10 1 コミュニケーションの在り方 ……… 10 2 面接相談の基本的な流れ ……… 11 3 基本的な指導・援助について ……… 12 第Ⅲ章 日常の教育活動に生かすカウンセリング ……… 19 1 学級経営・ホームルーム経営に生かす ……… 19 2 授業に生かす ……… 21 3 日常会話に生かす ……… 24 4 児童生徒相互の人間関係づくりに生かす ……… 25 5 保護者(地域の人々)との対応に生かす ……… 27 第Ⅳ章 身近な問題行動とその対応例 ……… 30 1 問題行動のとらえ方 ……… 30 2 身近な問題行動への具体的な対応例 ……… 31 【おはようと声をかけたが返事をしない場合】 ……… 31 【自転車に二人乗りをしている場合】 ……… 32 【遅刻が突然目立ってきた場合】 ……… 33 【学習に集中できない場合】 ……… 34 【集団活動を嫌がる場合】 ……… 35 【たびたび忘れ物をする場合】 ……… 36 【朝自習をやらない場合】 ……… 37 【進路決定がなかなかできない場合】 ……… 38 【朝になると体調が悪くなる場合】 ……… 39 【精神的な理由で体調が悪く欠席した場合】 ……… 40 【友人関係で問題があった場合】 ……… 41 【学級の大半から無視や暴力を受けた場合】 ……… 42 【特定の子どもをいじめる場合】 ……… 43 【タバコを吸っていた場合】 ……… 44

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第Ⅴ章 組織的対応の在り方と教師の姿勢 ……… 45 1 学校における組織的対応の在り方 ……… 45 2 機能する生徒指導・教育相談の組織 ……… 48 3 教師の姿勢 ……… 50 <資料編> Ⅰ 学校教育に生かすカウンセリングの理論と方法 ……… 52 Ⅱ 学級経営・ホームルーム経営等における活用例 ……… 58 ・児童生徒相互の人間関係づくり ……… 58 ~構成的グループエンカウンターを活用して~ ・話し合い活動による集団決定 ……… 63 ~グループワーク・無人島SOSを活用して~ ・自己理解を深める ……… 66 ~エゴグラムを活用して~ ・保護者会における信頼関係づくり ……… 71 ~構成的グループエンカウンターを活用して~ Ⅲ 校内研修会の実際 ……… 73 ・面接演習 ……… 73 ・ロールプレイング ……… 76 ・事例研究 ~南教育センターA、B、S方式を用いて~……… 86 ○不登校・いじめ・児童虐待の早期発見のためのチェックリスト ………… 94 ○引用・参考文献 ……… 97 ○関係機関の概要 ……… 98 ○スーパーバイザー・研究委員 ……… 100

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第 Ⅰ 章 生 徒 指 導 と 教 育 相 談 生徒指導の目指すところは、児童生徒の自己実現に向けて指導・援助していくことであり、 教育相談は生徒指導の一環で中心的な役割を担うものである。したがって、両者は対立する ものではない。また、学校教育相談は教育相談の考え方、理論、技法を日常の教育活動に活 用していくことである。そこで本章では、生徒指導、教育相談、学校教育相談の関係を明ら かにしていくために、それぞれのねらい、機能、特徴などについて概説していく。 1 生 徒 指 導 の 重 要 性 と 教 育 相 談 と の 関 係 (1) 生徒指導の重要性 文 部 省 は 新 学 習 指 導 要 領 の 中 で 、 総 則 の 指 導 計 画 の 作 成 等 に 当 た っ て 配 慮 す べ き 事 項 を 次 の よ う に 明 記 し 、 生 徒 指 導 を 一 層 充 実 す る こ と の 重 要 性 を 強 調 し て い る 。 < 小 学 校 > ○日ごろから学級経営の充実を図り、教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間 関係を育てるとともに児童理解を深め、生徒指導の充実を図ること。 ○各教科等の指導に当たっては、児童が学習課題や活動を選択したり、自らの将来につい て考えたりする機会を設けるなど工夫すること。 < 中 学 校 > ○教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深 め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒 指導の充実を図ること。 ○生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動 全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと。 ○生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに、現在及び将来の生き方を考え 行動する態度や能力を育成することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、ガイダ ンスの機能の充実を 図ること。 < 高 等 学 校 > ○学校の教育活動全体を通じて、個々の生徒の特性等の的確な把握に努め、その伸長を図 ること。また、生徒が適切な各教科・科目の類型を選択し学校やホームルームでの生活 によりよく適応するとともに、現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成 することができるよう、ガイダンスの機能の充実を図ること。 ○教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深 め、生徒が主体的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよ う、生徒 指導の充実を図ること。 ○生徒が自己の在り方生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の 教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと。 ※ ガ イ ダ ン ス と は 生 徒 指 導 の 一 形 態 で あ り 、 学 校 生 活 へ の 適 応 、 学 業 や 進 路 な ど に お け る 選 択 、 さ ら に 、 自 己 の 生 き 方 な ど に つ い て 、 生 徒 が よ り よ く 適 応 し 、 主 体 的 な 選 択 や よ り よ い 自 己 決 定 が で き る よ う に す る た め に 、 学 校 と し て の 情 報 提 供 、 案 内 、 説 明 な ど に 関 し て 指 導 助 言 を す る こ と で あ る 。

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(2) 生 徒 指 導 と 教 育 相 談 と の 関 係 生 徒 指 導 と 教 育 相 談 に つ い て は 、 ど ち ら も 問 題 の 解 決 の み で な く 、 広 く 児 童 生 徒 の 自 己 実 現 に 向 け て 指 導 ・ 援 助 し て い く こ と を 目 指 し て い る 。 し た が っ て 、 生 徒 指 導 も 教 育 相 談 も 学 校 教 育 の す べ て の 場 で 機 能 す る も の で あ り 、 す べ て の 教 師 が 、 い つ で も ど こ で も 行 う も の で あ る 。 し か し 、 学 校 に お い て は 、 今 な お 対 立 の 関 係 が 払 拭 さ れ て い る と は 言 え な い 現 状 が あ る 。 そ れ は 次 の よ う な 誤 解 か ら 生 ま れ て い る と 思 わ れ る 。 【 生 徒 指 導 に 対 す る 誤 解 】 【 教 育 相 談 に 対 す る 誤 解 】 生 徒 指 導 は 指 示 、 命 令 、 説 諭 な ど 教 育 相 談 は 相 手 の 話 を 受 容 的 共 感 訓 育 的 な 指 導 が 中 心 で 、 反 社 会 的 的 に 聴 き 、 非 社 会 的 な 問 題 が 起 き な 問 題 が 起 こ っ た と き や 、 し つ け た と き に 、 専 門 家 が 個 室 で 一 対 一 の 指 導 、 ル ー ル を 守 る な ど 秩 序 あ の 面 接 相 談 と い う 形 で 行 う も の 。 る 集 団 を つ く る た め に 行 う も の 。 【 生 徒 指 導 と 教 育 相 談 の 関 係 に 対 す る 誤 解 】 生 徒 指 導 は 厳 し く 教 育 相 談 は 甘 や か す も の で あ り 、 2 つ は 車 の 両 輪 の よ う な 関 係 に あ る 。 一 人 の 教 師 が 両 方 を 行 う こ と は 難 し い 面 が あ り 、 役 割 分 担 を し て 行 う も の で あ る 。 こ れ ら の 誤 解 は 、 生 徒 指 導 や 教 育 相 談 を 特 定 の 領 域 や 指 導 方 法 に 限 定 し て 考 え る こ と が 一 般 化 し て し ま っ た 結 果 、 生 ま れ た も の で あ る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、 こ れ ら の 誤 解 を 払 拭 す る た め に 、 次 節 で 生 徒 指 導 、 教 育 相 談 、 学 校 教 育 相 談 の 意 味 や 機 能 に つ い て 明 ら か に し て い く 。 2 生 徒 指 導 と は (1) 生 徒 指 導 の ね ら い ア 生 徒 指 導 は 、 学 校 が そ の 教 育 目 標 を 達 成 す る た め の 重 要 な 機 能 の 一 つ で あ る 。 ( 生 徒 指 導 の 手 引 よ り ) イ 生 徒 指 導 と は 、 一 人 一 人 の 生 徒 の 個 性 の 伸 長 を 図 り な が ら 、 同 時 に 社 会 的 な 資 質 や 能 力 ・ 態 度 を 育 成 し 、 さ ら に 将 来 に お い て 社 会 的 に 自 己 実 現 で き る よ う な 資 質 ・ 態 度 を 形 成 し て い く た め の 指 導 ・ 援 助 で あ る 。 ( 生 徒 指 導 資 料 第 20集 よ り ) (2) 生 徒 指 導 の 2 つ の 側 面 ア 積 極 的 な 生 徒 指 導 … … 子 ど も の 人 格 あ る い は 精 神 を よ り 望 ま し い 方 向 に 推 し 進 め よ う と す る 指 導 で 、 あ ら ゆ る 教 育 活 動 を と お し て 行 わ れ る 。 イ 消 極 的 な 生 徒 指 導 … … 適 応 上 の 問 題 や 心 理 面 の 問 題 な ど を も つ 生 徒 に 対 す る 指 導 。 ( 生 徒 指 導 資 料 第 20集 よ り )

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(3) 自 己 指 導 能 力 の 育 成 生 徒 指 導 の ね ら い は 先 に 述 べ た と お り で あ る が 、 そ の 究 極 の 目 標 の 一 つ が 個 々 の 児 童 生 徒 の 自 己 指 導 能 力 を 育 成 す る こ と で あ る 。 自 己 指 導 能 力 と は … … 自 己 を 認 め 、 自 己 を 理 解 し 、 さ ら に 自 ら の 目 標 を 明 確 に し 、 自 発 的 、 自 律 的 に 自 ら の 行 動 を 決 断 し 、 実 行 で き る 能 力 ☆ ☆ 自 己 指 導 能 力 育 成 の た め の 3 つ の 留 意 点 と そ の 意 義 ☆ ☆ ① 自 己 存 在 感 を 与 え る 人 間 は 他 者 と の か か わ り の 中 で 自 己 の 存 在 感 を 感 じ た と き 、 生 き 生 き と 活 動 で き 、 自 己 実 現 を 図 っ て い く こ と が で き る 。 ② 共 感 的 な 人 間 関 係 を 育 成 す る 相 互 に 人 間 と し て 無 条 件 に 尊 重 し 合 う 態 度 で 、 あ り の ま ま に 自 分 を 語 り 、 共 感 的 に 理 解 し 合 う 人 間 関 係 の 中 に あ っ て こ そ 自 己 受 容 は 一 層 促 進 さ れ る 。 ③ 自 己 決 定 の 場 を 与 え る 選 択 決 定 を せ ま ら れ る こ と で 自 己 理 解 が 進 め ら れ る と と も に 、 決 断 し た 行 動 に 対 し て 責 任 を と る こ と も 学 ん で い く 。 3 学 校 教 育 相 談 ( 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ ) と は (1) 生 徒 指 導 の 一 環 と し て の 教 育 相 談 「 教 育 相 談 は 、 生 徒 指 導 の 一 環 と し て 位 置 づ け ら れ る も の で あ り 、 し か も そ の 中 心 的 な 役 割 を 担 う も の で あ る 。 ( 生 徒 指 導 資 料 第 21集 よ り ) 」 と あ る こ と か ら も 、 教 育 相 談 は 生 徒 指 導 を 支 え る 重 要 な 機 能 で あ る 。 ま た 、 教 育 相 談 は 「 一 人 一 人 の 子 ど も の 教 育 上 の 諸 問 題 を 取 り 上 げ 、 本 人 又 は そ の 親 、 教 師 な ど が そ の 望 ま し い 在 り 方 を 見 い 出 す こ と が で き る よ う 指 導 ・ 援 助 す る こ と ( 同 上 ) 」 と あ る よ う に 個 別 的 な 指 導 ・ 援 助 で あ る 。 (2) カ ウ ン セ リ ン グ と は カ ウ ン セ リ ン グ は 、 一 般 に 「 相 談 」 「 助 言 」 と い う 意 味 を も ち 、 定 義 も 様 々 で あ る が 、 本 報 告 書 に お い て は 次 の よ う に 定 め る 。 こ れ は 、 南 教 育 セ ン タ ー に お け る 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ に 関 す る 研 修 会 で 用 い て い る も の で あ る 。 カ ウ ン セ リ ン グ と は … … 言 語 的 及 び 非 言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 活 用 し て 相 手 の 行 動 の 変 容 を 試 み る 人 間 関 係 で あ る 。 こ の う ち 、 「 非 言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 と は 、 表 情 、 視 線 、 声 の 調 子 、 ジ ェ ス チ ャ ー な ど 言 葉 以 外 の 表 現 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で あ る 。 ( P10参 照 ) ま た 、 「 行 動 の 変 容 」 と は 、 児 童 生 徒 が 「 頭 や 心 で わ か る 」 だ け で は 行 動 が 変 わ ら な い 場 合 も あ る た め 、 実 際 に よ り よ い 行 動 が と れ る よ う に な る こ と を 目 指 し て い こ う と す る も の で あ る 。

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(3) 学 校 教 育 相 談 ( 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ ) と は 教 育 相 談 に 「 学 校 」 と い う 冠 を つ け る こ と で 、 単 に 問 題 を も つ 児 童 生 徒 の 個 別 の 指 導 ・ 援 助 と い う こ と に と ど ま ら ず 、 カ ウ ン セ リ ン グ や 教 育 相 談 の 考 え 方 、 理 論 、 技 法 を 日 常 の 学 校 教 育 に 活 用 し て い く と い う 広 義 の 意 味 で と ら え る 。 し た が っ て 、 い わ ゆ る 教 育 相 談 所 が 行 う カ ウ ン セ リ ン グ と は 異 な っ た 学 校 な ら で は の 特 徴 や 展 開 の 仕 方 が あ り 、 学 校 教 育 の 目 標 を 達 成 す る た め に 欠 く こ と の で き な い 重 要 な 機 能 の 一 つ で あ る 。 な お 、 本 報 告 書 に お い て は 、 学 校 教 育 相 談 を 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ と 同 義 に 用 い る 。 (4) 学 校 教 育 相 談 ( 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ ) の 対 象 ・ 場 ・ 機 会 学 校 教 育 相 談 は 個 人 及 び 集 団 の す べ て の 児 童 生 徒 を 対 象 に 行 わ れ る も の で あ り 、 す べ て の 教 師 が 、 い つ で も ど こ で も 行 う も の で あ る 。 し た が っ て 、 各 教 科 ・ 科 目 、 道 徳 ( 小 ・ 中 ) 、 特 別 活 動 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 と い っ た 教 育 課 程 の 領 域 内 及 び 休 み 時 間 や 放 課 後 な ど に 行 わ れ る 指 導 ・ 援 助 と い っ た 教 育 課 程 の 領 域 外 の 両 者 に お い て 行 う も の で あ る 。 ま た 、 学 校 教 育 相 談 は 学 校 の 教 育 活 動 の 一 環 と し て 行 う も の で あ り 、 保 護 者 や 地 域 、 専 門 機 関 、 各 種 相 談 員 と 連 携 し て 、 組 織 的 ・ 計 画 的 に 取 り 組 む も の で あ る 。 (5) 学 校 教 育 相 談 ( 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ ) の 3 つ の 機 能 ア 治療的な機能 … 非行など反社会的な問題行動や不登校など非社会的問題行動を起 こした児童生徒に対して、心理的なメカニズムを 理解し、問題の 解決に向けての指導・援助を個別またはグループカウンセリング などの方法を用いて行う。したがって、特定の児童生徒が対象と なる。 イ 予防的な機能… 児童生徒が問題を起こしたり、不適応に陥ったりしないように、 あるいは教師が気になる子どものサインをキャッチしたときに、 問題行動につながったり、問題が深刻化したりるすることを事前 に防ぐように指導・援助することである。したがって、すべての 児童生徒が対象となる。例えば、薬物乱用に陥らないために、保 健だよりで啓発活動を行うことや、いじめにあっても、いやなこ とはいやと言えるように自己主張の練習をすることはその一例で ある。 ウ 開発的な機能 … どの子どもも学業、進路、性格、友人など年齢に応じた発達課題 をもっている。それを達成して自己実現に向けて成長していくよ う指導・援助することであり、すべての児童生徒を対象としてい る。進路相談をしたり自己成長を目指して人間関係づくりの体験 学習をしたりすることはその一つである。

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な お 、 学 校 教 育 相 談 に お け る 治 療 的 な 機 能 を 発 揮 す る た め に は 、 関 係 機 関 と の 連 携 が 必 要 な 場 合 が あ る 。 学 級 担 任 や 学 校 は 問 題 を 抱 え 込 む こ と な く 、 連 携 を 組 織 的 、 積 極 的 、 効 果 的 に 行 う こ と で 、 問 題 の 解 決 に 結 び つ く の で あ る 。 ( P 45~ 50及 び 『 資 料 編 』 P 98、 99参 照 ) 関 係 機 関 と 連 携 を す る と き に は 、 学 校 と し て で き う る 最 大 限 の こ と を 行 う こ と が 前 提 で あ る 。 そ の た め に も 、 教 師 一 人 一 人 が 面 接 相 談 の 流 れ や 方 法 を 知 り 、 そ れ を 身 に つ け る こ と 、 問 題 行 動 に つ い て 基 本 的 な 理 解 と 対 応 が で き る よ う に な る こ と が 求 め ら れ る 。 ( P 10~ 14及 び 『 資 料 編 』 P 73~ 75参 照 ) 次に、生徒指導の2つの側面と学校教育相談の3つの機能の関係を示す。 < 生 徒 指 導 > < 学 校 教 育 相 談 > 消 極 的 な 生 徒 指 導 治 療 的 な 機 能 予 防 的 な 機 能 積 極 的 な 生 徒 指 導 開 発 的 な 機 能 (6) 学 校 教 育 相 談 ( 学 校 カ ウ ン セ リ ン グ ) の 基 本 的 な 考 え ・ 姿 勢 カ ウ ン セ リ ン グ に は 主 な も の だ け で 40以 上 の 理 論 が あ り 、 そ れ ぞ れ の 理 論 の 考 え 方 や 技 法 に は 相 違 点 が あ る 。 そ れ ら を 総 合 的 に と ら え 、 日 常 の 教 育 活 動 に お い て 必 要 な 教 師 の 態 度 と し て 基 本 的 で あ る と 思 わ れ る も の に つ い て ま と め た も の が 以 下 の と お り で あ る 。 基 本 的 な 考 え 方 ○ 人 は 誰 で も よ く な ろ う と す る 力 と 意 欲 を も っ て い る 存 在 と し て 尊 重 す る 。 → → → し た が っ て 、 こ の 子 ど も は 変 わ ら な い と 決 め つ け た り 、 裏 切 ら れ た と 落 胆 し て 指 導 を や め た り す る こ と な く 、 根 気 強 く 継 続 し て か か わ る 。 ○ 人 は 信 頼 し て い る 人 の 言 う こ と は き く も の で あ る 。 → → → し た が っ て 、 日 常 の 信 頼 関 係 づ く り を 重 視 す る 。 信 頼 関 係 が で き て い な い と こ ろ で 、 何 か 問 題 が 起 き た と き だ け 指 導 し て も 効 果 が あ が り に く い し 、 自 分 か ら 相 談 し に 行 こ う と は し な い 。 信 頼 関 係 が あ れ ば 、 素 直 に 指 導 や 助 言 を 受 け 入 れ る よ う に な る し 、 頼 り に し よ う と い う 気 持 に も な る 。 ○ 人 は 気 持 を わ か っ て も ら う こ と で 心 理 的 変 容 が あ り 、 そ れ が 行 動 変 容 の 原 動 力 に な る 。 → → → し た が っ て 、 ま ず は 子 ど も の 気 持 を わ か ろ う と す る こ と が 大 切 で あ る 。 も ち ろ ん 、 場 面 に よ っ て は 、 指 示 や 禁 止 を 行 う こ と も あ る が 、 そ れ で 行 動 が 改 ま ら ず 、 個 別 指 導 を 行 う と き に は 、 な お そ う と す る よ り も 気 持 を わ か ろ う と す る こ と か ら 始 め る こ と で 、 子 ど も が 自 分 を 見 つ め 、 な お す べ き と こ ろ に 目 を 向 け 、 行 動 変 容 へ と つ な が る 。

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○ 自 分 で 決 め た こ と は 、 行 動 に 移 し や す い 。 → → → し た が っ て 、 教 師 は 、 目 の 前 の 子 ど も が ど の く ら い 自 己 決 定 で き る 力 が あ る か を 見 極 め 、 そ れ に 応 じ て 自 己 決 定 で き る よ う な 活 動 場 面 や 役 割 を つ く っ た り 、 自 己 決 定 の た め に 考 え る ヒ ン ト を 与 え た り す る な ど の 援 助 を 行 う 。 教 師 が す べ て を 決 め る の で も な く 、 何 で も 自 分 で 決 め な さ い と 放 任 す る の で も な い 。 基 本 的 な 姿 勢 ○ 児 童 生 徒 の 発 達 、 置 か れ て い る 状 況 、 内 面 の 気 持 な ど 多 面 的 に 理 解 す る 。 → → → し た が っ て 、 児 童 生 徒 の 発 達 段 階 に 応 じ た 特 徴 や 問 題 行 動 に 対 す る 一 般 的 理 解 を 行 う と と も に 、 資 料 を 集 め る 、 観 察 を す る 、 心 理 テ ス ト を 行 う 、 本 人 と 面 談 す る 、 保 護 者 や 関 係 す る 教 師 、 友 人 な ど か ら 情 報 収 集 す る な ど に よ り 個 別 的 な 理 解 を 行 う 。 安 易 に 決 め つ け た り 、 思 い 込 み を も っ た ま ま で 指 導 し た り す る こ と は 、 問 題 解 決 に 結 び つ か な い ば か り か 、 時 に は 問 題 を こ じ れ さ せ る こ と に も な る 。 ○ 少 し の 我 慢 を 意 図 的 に 設 定 す る 。 そ し て 、 少 し の 変 化 を 認 め る 。 → → → し た が っ て 、 児 童 生 徒 と 話 し 合 い な が ら 、 そ の 子 ど も が で き る こ と を 目 標 と し て 決 め さ せ 実 行 さ せ る 。 目 標 が あ る と 張 り 合 い を も つ こ と が で き 、 や り 遂 げ る こ と で 達 成 感 、 有 用 感 、 存 在 感 を も つ こ と が で き る 。 目 標 を 決 め る と き は 、 簡 単 す ぎ る も の や 子 ど も が 内 心 で き そ う に な い と 思 っ て い る も の で は な く 、 尐 し 努 力 す れ ば で き そ う な も の を 設 定 す る の が ポ イ ン ト で あ る 。 子 ど も は 、 「 で き て 、 ほ め ら れ て 、 そ の 行 動 が 身 に つ き 、 次 の 意 欲 が わ く 」 の で あ る 。 で き た こ と を 当 た り 前 と 思 わ ず 、子 ど も と 共 に 喜 び た い 。 ○ 温 か さ の 中 に も 厳 し さ を も つ 。 → → → 温 か さ に よ り 、 子 ど も の 心 は 安 定 し 意 欲 的 に な れ る 。 た だ し 、 過 保 護 や 甘 や か し に な っ て は な ら な い こ と は 言 う ま で も な い 。 温 か さ の 基 盤 の 上 に 立 っ て 、 し つ け を し た り 、 ル ー ル を 守 ら せ た り 、 間 違 っ た こ と に 対 し て は 毅 然 と し た 態 度 を と る こ と で 、 子 ど も の 社 会 化 を 図 る こ と が で き る 。

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コミュニケーションにおける 言語と非言語の占める割合 言語 35% 非言語 65% 言語 非言語 第 Ⅱ 章 面 接 相 談 の 進 め 方 面 接 相 談 と は 、 児 童 生 徒 の よ り よ い 学 校 生 活 の 実 現 を 目 指 し 、 教 師 が 児 童 生 徒 や 保 護 者 と 共 に 、 学 業 や 進 路 、 自 己 の 生 き 方 や 学 校 生 活 へ の 適 応 な ど の 問 題 に つ い て 考 え 、 適 切 な 指 導 ・ 援 助 を 行 う こ と で 、 問 題 解 決 を 図 っ て い く も の で あ る 。 そ こ で 最 初 に 、 面 接 相 談 の 中 心 と な る 「 こ と ば 」 と 「 動 作 や 表 情 な ど の 非 言 語 」 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の は た ら き に つ い て 概 説 し 、 次 に 面 接 相 談 の 基 本 的 な 流 れ と 主 な 技 法 等 に つ い て 述 べ る 。 1 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 在 り 方 (1) こ と ば と 動 作 や 表 情 な ど の 果 た す 役 割 相 手 と 面 接 を 進 め 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る 手 段 と し て は 、 「 こ と ば 」 ( 言 語 ) と 「 こ と ば 以 外 の 動 作 や 表 情 な ど 」 ( 非 言 語 ) の 2 つ が あ げ ら れ る 。 こ の 2 つ の 手 段 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 占 め る 割 合 は 、 「 こ と ば 」 が 35% で 、 残 り の 65% が 「 動 作 や 表 情 な ど の 非 言 語 」 に よ る ( 「 異 文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 古 田 暁 監 修 ) と 言 わ れ て い る 。 ま た 、 こ の 2 つ の 手 段 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お け る 役 割 を 考 え る と 、 「こ と ば 」が 主 と し て 事 実 や 思 考 の 伝 達 に 能 率 的 に 機 能 す る の に 対 し て 、 「 動 作 や 表 情 な ど の 非 言 語 」 は 主 と し て 感 情 な ど の 伝 達 に 機 能 し て い く 。 「こ と ば 」に よ る 事 実 な ど の 伝 達 は 意 識 的 に 行 わ れ る も の で あ る が 、 感 情 な ど は そ の 時 、 そ の 場 の 気 分 や 状 況 に よ っ て も 異 な る た め 、 無 意 識 の う ち に 動 作 や 音 声 、 表 情 な ど に 表 れ る も の で あ る 。 そ こ で ま ず 、 「 動 作 や 表 情 な ど の 非 言 語 」 に つ い て 概 説 し 、 「 こ と ば 」 ( 言 語 ) に つ い て は 、 第 3 節 の 「 基 本 的 な 指 導 ・ 援 助 に つ い て 」 で 具 体 的 に 述 べ て い く 。 (2) 動 作 や 表 情 な ど の 大 切 さ 動 作 や 表 情 な ど に 代 表 さ れ る 非 言 語 の 種 類 は 実 に 多 様 で あ る 。 ま た 同 時 に 極 め て 日 常 的 な も の で も あ る 。 し か も 、 こ れ ら の 中 に は 、 自 分 で 意 識 せ ず と も 自 分 の 癖 で 自 然 と 出 て し ま う も の も あ る 。 そ こ で 、 面 接 相 談 に お い て 教 師 は 、 相 手 の 思 考 や 感 情 な ど を 的 確 に 把 握 す る た め に も 、 相 手 の 「 こ と ば 」 に 耳 を 傾 け る と 同 時 に 、 無 意 識 の う ち に 表 れ る 「 動 作 や 表 情 な ど の 非 言 語 」 に も 着 目 し な が ら 面 接 を 進 め て い く 必 要 が あ る 。 非 言 語 は 相 手 の 感 情 を 的 確 に 把 握 す る た め の 判 断 材 料 と し て 効 果 的 に 活 用 で き る も の で あ る 。 ま た 、 教 師 自 身 が 無 意 識 の う ち に 非 言 語 に 表 れ る 自 分 の 癖 等 に つ い て 周 知 し て お く こ と で 、 相 手 か ら 誤 解 さ れ た り 、 よ く な い 印 象 を 与 え た り す る こ と を 事 前 に 防 ぐ こ と に も つ な が る 。 す な わ ち 、 非 言 語 は 相 手 と の 信 頼 関 係 を 築 い て い く 上 で も 欠 か せ な い 要 素 の 一 つ と 言 え る 。

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< 面 接 相 談 に お け る 非 言 語 に 関 す る 留 意 事 項 > ○ 視 線 : 目 は 感 情 の 出 る チ ャ ン ネ ル で あ る か ら 、 相 手 の 心 理 を つ か む た め に は 、 原 則 と し て 目 を 見 る が 、 過 度 の 凝 視 に 留 意 す る 。 ○ 表 情 : 感 情 の 起 伏 は 目 と 同 時 に 表 情 に 出 る 。 眉 間 の し わ は 困 惑 ・ 怒 り ・ 焦 り 等 を 表 す 。 ○ 姿 勢 : 腕 組 や 足 組 は 、 時 に は 相 手 に 対 す る 威 圧 と な る 。 ま た 前 傾 姿 勢 も 度 を 過 ぎ る と 威 圧 的 に な る 。 ○ 動 作 : 不 要 に 手 足 が 動 く 場 合 は 、 焦 り ・ 困 惑 ・ 嫌 悪 等 の 感 情 の 表 わ れ で も あ る 。 保 護 者 が 来 た と き 、 立 ち 上 が っ て あ い さ つ を す れ ば 相 手 を ね ぎ ら う 気 持 や 関 心 が あ る こ と を 示 す こ と に な る 。 ○ 距 離 : 空 間 的 距 離 は 心 理 的 距 離 を 表 す 。 相 手 と の 距 離 が 近 す ぎ る と 相 手 に 圧 迫 感 を 与 え 、 一 方 、 離 れ す ぎ て い る と 疎 遠 な 感 じ を 与 え て し ま う 。 ○ 服 装 : 相 手 に 敬 意 を 表 す 服 装 を 心 が け る 。 清 潔 で 整 っ た 服 装 は 相 手 に 安 心 感 を 与 え る 。 ○ 声 の 調 子 ・ 質 ・ 量 : 話 す 速 さ 、 声 の 大 き さ 、 調 子 等 に よ っ て も 相 手 に 安 心 感 を 与 え る 。 ○ ジ ェ ス チ ャ ー : あ っ た 方 が よ い も の の 、 過 度 に な ら な い よ う に す る 。 < 面 接 相 談 に お い て 感 情 が 無 意 識 の う ち に 非 言 語 に 表 れ て い る 例 > [ 例 1 ] 教 師 : 「 … … で 悩 ん で い る ん だ 。 そ の こ と に つ い て も う 尐 し 話 し て く れ る ? 」 ○ 音 声 : 穏 や か ○ 表 情 : 真 剣 ◎ 動 作 : 貧 乏 ゆ す り … … 教 師 自 身 の 面 接 に 対 す る 苛 立 ち [ 例 2 ] 生 徒 : 「 友 達 の こ と は 、 別 に 気 に し て い な い し 、 平 気 だ よ 。 」 ○ 音 声 : 普 通 ○ 表 情 : 笑 顔 ◎ 動 作 : こ ぶ し を ぎ ゅ っ と 握 り 締 め る … … 友 達 に 対 す る 怒 り や 悔 し さ 等 * 上 記 の 2 つ の 例 は 、 無 意 識 の う ち に 感 情 が 非 言 語 に 表 れ た も の を 示 し て い る 。 し か し 、 面 接 の 状 況 や 場 面 等 に よ っ て も 感 情 は 微 妙 に 異 な っ て く る た め 、 一 概 に 非 言 語 が 肯 定 的 ま た は 否 定 的 な 感 情 を 表 し て い る と 断 定 で き る も の で は な い 。 2 面 接 相 談 の 基 本 的 な 流 れ 面 接 相 談 の 基 本 的 な 流 れ に つ い て 、 面 接 の 3 段 階 を 用 い て 説 明 し て い く 。 面 接 の 3 段 階 < 第 1 段 階 : 面 接 初 期 > 信 頼 関 係 を つ く る ○ お 互 い に 構 え が な く 、 ざ っ く ば < 第 1 段 階 > < 第 3 段 階 > ら ん な 雰 囲 気 を つ く る 。 面 接 初 期 面 接 後 期 < 第 2 段 階 : 面 接 中 期 > 問 題 の 核 心 を つ か む ( 信 頼 関 係 づ く り ) ( 適 切 な 指 導 ・ 援 助 ) ○ 相 手 の 取 り 組 む べ き 問 題 の 核 心 が 何 で あ る か を つ か む 。 < 第 2 段 階 > < 第 3 段 階 : 面 接 後 期 > 適 切 な 指 導 ・ 援 助 を す る 面 接 中 期 ○ 問 題 の 解 決 を 図 る た め の 適 切 な ( 問 題 の 核 心 の 把 握 ) 指 導 ・ 援 助 を す る 。 * 曲 線 の 深 さ は 問 題 の 複 雑 さ ・ 深 刻 さ を 表 す

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< 第 1 段 階 : 面 接 初 期 > ○ 個 別 面 接 に お い て 大 切 な こ と は 、 ま ず 相 手 と の 信 頼 関 係 を 築 く た め に 、 相 手 の 話 を 傾 聴 す る こ と で あ る 。 受 容 し た り 、 相 手 の 気 持 に 沿 い な が ら 聴 い た り し て い く こ と で 、 相 手 は 自 分 の 心 を 開 く よ う に な る 。 < 第 2 段 階 : 面 接 中 期 > ○ 相 手 の 話 を 傾 聴 し な が ら 問 題 の 核 心 を つ か ん で い く 。 話 の 内 容 に よ っ て は 、 問 題 の 核 心 が す ぐ に 把 握 で き る 場 合 も あ れ ば 、 な か な か 把 握 で き な い 場 合 も あ る 。 第 1 段 階 と 第 2 段 階 で よ く 活 用 さ れ る 基 本 的 な 技 法 が 、 「 受 容 」 「 支 持 」 「 繰 り 返 し 」 「 質 問 」 「 明 確 化 」 の 5 つ で あ る 。 < 第 3 段 階 : 面 接 後 期 > ○ 問 題 の 核 心 を つ か ん だ な ら ば 、 次 は そ の 問 題 の 解 決 に 向 け て 適 切 な 指 導 ・ 援 助 を 行 い 、 相 手 に 行 動 の 変 容 を 求 め て い く 。 ○ 具 体 的 な 指 導 ・ 援 助 と し て よ く 活 用 さ れ る 技 法 が 、 「 助 言 」 「 示 唆 」 「 解 釈 」 「 情 報 提 供 」 「 指 示 」 「 説 得 」 等 で あ り 、 教 師 側 か ら の 積 極 的 か つ 具 体 的 な は た ら き か け が 鍵 と な る 。 ○ 留 意 す べ き こ と は 、 問 題 解 決 に 向 け て 相 手 が 具 体 的 な 行 動 を と れ る よ う に 自 己 決 定 さ せ て い く こ と で あ る 。 自 分 の 意 志 で 決 め た こ と で あ れ ば 、 行 動 変 容 の 意 識 も 高 ま り 、 具 体 的 な 行 動 に も 結 び つ き や す い 。 ま た 、 そ の 行 動 が と れ な か っ た 場 合 で も 、 自 分 で 決 め た こ と で あ れ ば 自 ら の 責 任 に お い て 行 動 を 振 り 返 り 、 反 省 す る 機 会 と も な り う る 。 し た が っ て 、 第 3 段 階 で は 、 教 師 は 、 子 ど も が 自 分 で 考 え 、 決 断 で き る よ う に 具 体 的 に 指 導 ・ 援 助 し て い く の で あ る 。 な お 、 面 接 終 了 後 は 、 自 己 決 定 し た こ と を 実 行 し て い る か ど う か を 見 守 り 、 見 届 け る と と も に 、 実 行 で き た 場 合 は 十 分 に 認 め 、 で き な か っ た 場 合 は 再 度 、 行 動 化 に 向 け て 面 接 を 繰 り 返 し て い く 。 個 別 面 接 は 一 般 的 に 上 記 の よ う な 3 段 階 の 過 程 を 経 て 進 行 し て い く 。 し た が っ て 、 傾 聴 す る と い う こ と は 、 ま ず 相 手 と の 信 頼 関 係 を 築 き 、 第 3 段 階 で の 指 導 ・ 援 助 が 適 切 に 行 わ れ る よ う に す る た め の も の で あ る 。 こ の よ う な 面 接 の 過 程 が 正 し く 理 解 さ れ ず 、 第 1 段 階 の 傾 聴 の み が 過 度 に 強 調 さ れ 、 ま た 一 人 歩 き を し た た め に 、 教 育 相 談 は 「 聴 く だ け 」 「 指 示 を し な い 」 な ど と い う 誤 解 が 生 じ た の で あ る 。 3 基 本 的 な 指 導 ・ 援 助 に つ い て (1) 面 接 相 談 の 3 段 階 の す べ て に 活 用 す る 指 導 ・ 援 助 (基 本 的 な 5 つ の 技 法 を 中 心 に ) 面 接 相 談 を 効 果 的 に 進 め る た め に は 、 ま ず 相 手 と の 信 頼 関 係 を つ く る ( 面 接 相 談 の 第 1 段 階 ) こ と で あ る 。 信 頼 関 係 づ く り に 効 果 的 な 技 法 と し て 、 こ こ で は 「 受 容 」 「 支 持 」 「 繰 り 返 し 」 「 質 問 」 「 明 確 化 」 の 5 つ の 基 本 的 な 技 法 に つ い て 概 説 す る 。 こ の 5 つ の 基 本 的 な 技 法 は 、 面 接 相 談 の 第 1 段 階 ば か り で な く 、 問 題 の 核 心 を つ か む 第 2 段 階 、 適 切 な 指 導 ・ 援 助 を す る 第 3 段 階 に お い て も 活 用 さ れ る も の で あ る 。

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○ 受 容 受 容 と は 、 相 手 の 話 を 「 う ん 、 う ん 」 と あ い づ ち を 打 ち な が ら 聴 く こ と で あ る 。 非 審 判 的 ・ 許 容 的 な 雰 囲 気 を つ く り 、 あ る が ま ま の 相 手 を 受 け 入 れ る こ と で あ る 。 話 し 手 は 構 え が と れ て 語 る よ う に な り 、 聞 き 手 と の 間 に 信 頼 関 係 が 生 ま れ る 。 た だ し 、 受 容 は 相 手 の 気 持 を わ か ろ う と す る が 、 迎 合 と は 異 な り 、 そ の 行 為 を 認 め る こ と で は な い 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 勉 強 が 手 に つ か な い ん で す 。 」 教 師 : 「 う ん 、 う ん ( あ い づ ち を 打 ち な が ら ) 。 」 ○ 支 持 支 持 と は 、 「 そ れ は そ う だ 」 「 そ れ は 大 変 だ っ た な あ 」 「 よ く ま あ 、 今 ま で 我 慢 し て い た も の だ 」 と 相 手 の 言 動 を 認 め る こ と で あ る 。 支 持 さ れ る こ と を と お し て 、 相 手 は 自 分 に 対 す る 自 信 を つ け た り 、 自 分 自 身 を 素 直 に 受 け 入 れ ら れ る よ う に な っ て く る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 ず っ と い じ め ら れ て … … で も 、 な ん と か が ま ん し て 学 校 に だ け は 来 て い た ん で す 。 で も 、 本 当 に 恐 い ん で す 。 」 教 師 : 「 よ く 、 今 ま で 我 慢 し て き た ね ー 。 本 当 に 辛 か っ た ん だ ね 。 」 ○ 繰 り 返 し 相 手 の 話 し た 語 尾 を 軽 く 繰 り 返 し た り 、 内 容 や 感 情 の ポ イ ン ト を つ か ま え て 、 そ れ を 相 手 に 繰 り 返 し て 伝 え る 。 聞 き 手 の 理 解 に 間 違 い な い か 確 認 す る 気 持 を 込 め て 行 う 。 話 し 手 は 、 自 分 の 話 が き ち ん と 聞 い て も ら え た と い う 満 足 感 が あ り 、 信 頼 感 が 出 て く る 。 ま た 、 自 分 の 気 持 や 受 け 取 り 方 を 離 れ て 眺 め る こ と が で き ( 聞 き 手 が 鏡 に な る ) 、 自 問 自 答 が 促 進 さ れ る 。 そ れ に よ っ て 、 自 分 が は っ き り し て く る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 … … だ か ら 、 A 男 と は も う し ゃ べ り た く な い ん だ 。 顔 を 見 る の も い や だ よ 。 あ ん な や つ … … 。 」 教 師 : 「 も う 顔 も 見 た く な い ん だ 。 」 ○ 質 問 聞 き 手 は 質 問 を と お し て 相 手 か ら 情 報 収 集 が で き る 。 一 方 、 相 手 は 聞 き 手 が 自 分 に 関 心 を も っ て い る と 感 じ る こ と が で き る 。 質 問 に は 、 「 は い 」 「 い い え 」 で 答 え に く い よ う な 「 開 か れ た 質 問 」 と 、 答 え や す い 「 閉 ざ さ れ た 質 問 」 が あ る 。 開 か れ た 質 問 の 方 が 多 く の 情 報 が 得 ら れ る が 、 口 の 重 い 相 手 に は 、 閉 ざ さ れ た 質 問 の 方 が 効 果 的 で あ る 。 < 留 意 点 > ○ 話 題 が あ ち こ ち に 飛 ん で い く よ う な 聞 き 方 に な ら ず 、 一 つ の 話 題 か ら そ れ に 関 連 し た こ と を 聞 い て い く 。 ○ 相 手 が 聞 か れ た く な い と 思 っ た こ と は 後 回 し に す る ( 信 頼 関 係 が で き て か ら ) 。 ○ 好 奇 心 で 聞 か な い 。 [ 例 ] 開 か れ た 質 問 生 徒 : 「 A 男 と は も う し ゃ べ り た く な い ん だ 。 」 教 師 : 「 そ う 、 し ゃ べ り た く な い ん だ 。 で も ど う し て ? 」 生 徒 : 「 A 男 が 僕 の こ と を ば か に す る か ら 。 」 教 師 : 「 ば か に す る 、 ど ん な ふ う に ? 」 生 徒 : 「 僕 が 何 も し て い な い の に 、 『 バ カ 』 と か 『 ア ホ 』 と か 言 う ん だ 。 」 教 師 : 「 そ う か ー 、 A 男 は ど ん な と き に そ う い っ た こ と を 言 う ん だ い ? 」

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○ 明 確 化 話 し 手 が 心 の 中 で 思 っ て い て も ま だ 言 葉 に し て い な い こ と 、 ま た は 、 話 し 手 が 薄 々 気 づ い て い る が ま だ は っ き り と は 意 識 し て い な い こ と を 聞 き 手 が 先 取 り し て 言 う 方 法 で あ る 。 明 確 化 が ぴ っ た り と 決 ま っ た と き は 、 相 手 は 聞 き 手 の こ と を 自 分 の 気 持 が わ か っ て く れ る 人 だ と 感 じ 、 信 頼 関 係 が 深 ま る 。 [例 ]生 徒 : 「 い つ も 、 お 母 さ ん は 僕 ば か り 怒 る ん だ 。 」 教 師 : 「 自 分 ば か り 怒 ら れ て 面 白 く な い ん だ 。 兄 弟 を 平 等 に 扱 っ て ほ し い ん だ ね 。 」 < 技 法 を 活 用 す る 上 で の 受 容 的 態 度 に 関 す る 留 意 点 > 相 手 と の 信 頼 関 係 を は ぐ く む 上 で は 、 受 容 ・ 支 持 ・ 繰 り 返 し ・ 質 問 ・ 明 確 化 の 5 つ の 技 法 を 効 果 的 に 使 い な が ら 、 受 容 的 態 度 で 接 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。 し か し 、 技 法 の 使 い 方 に よ っ て は 、 放 任 や 甘 や か し に な っ た り 、 ま た は 相 手 の 行 為 そ の も の を 認 め て し ま う こ と に な っ た り し て 、 か え っ て 事 態 を 悪 化 さ せ る 原 因 と な る 場 合 も あ る 。 次 の 例 1 と 例 2 の 面 接 相 談 の 一 部 を 比 較 し て 考 え て み た い 。 [例 1 ]迎 合 的 対 応 生 徒 : 「 タ バ コ に ど う し て も 手 が 出 て し ま う ん だ 。 」 教 師 : 「 う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 」 生 徒 : 「 家 で も 認 め て る し … 、 自 分 で も し ょ う が な い と 思 っ て ん だ 。 」 教 師 : 「 う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 」 生 徒 : 「 で も … 、 俺 も 尐 し は 学 校 で は ま ず い と 思 っ て ん だ 。 」 教 師 : 「 ふ ー ん ( う な ず き な が ら ) 、A 確 か に 学 校 じ ゃ ま ず い よ な 。 」 生 徒 : 「 そ う な ん だ 。 だ か ら こ れ か ら は 学 校 で は で き る だ け や め る よ 。 」 教 師 : 「 B う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 な る ほ ど ー 。 」 [例 2 ] 受 容 的 対 応 生 徒 : 「 タ バ コ に ど う し て も 手 が 出 て し ま う ん だ 。 」 教 師 : 「 う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 」 生 徒 : 「 家 で も 認 め て る し … 、 自 分 で も し ょ う が な い と 思 っ て ん だ 。 」 教 師 : 「 う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 」 生 徒 : 「 で も … 、 俺 も 尐 し は 学 校 で は ま ず い と 思 っ て ん だ 。 」 教 師 : 「 ふ ー ん ( う な ず き な が ら ) 、 C 学 校 で は ま ず い と 思 っ て い る ん だ 。 」 生 徒 : 「 そ り ゃ … 、 ま ず い よ 、 俺 だ っ て 。 」 教 師 : 「 D う ん 、 う ん ( う な ず き な が ら ) 。 な る ほ ど ー 。 E で も ど う し て ? 」 * 例 1 で は 、 教 師 は 受 容 的 態 度 で 生 徒 に 接 し て い る つ も り で あ る が 、 下 線 部 A で 生 徒 の 喫 煙 自 体 を 認 め て し ま っ て い る 。 そ の た め 、 下 線 部 B の う な ず き は 、 生 徒 の 喫 煙 を 認 め た う な ず き に な っ て い る 。 そ れ に 対 し 例 2 で は 、 下 線 部 C で 繰 り 返 し の 技 法 を 使 い 、 相 手 の 気 持 や 考 え の み に 焦 点 を 当 て て い る 。 こ れ は 、 喫 煙 行 為 そ の も の を 認 め て い る わ け で は な い 。 そ の た め 、 下 線 部 D の う な ず き は 、 生 徒 の 喫 煙 そ の も の を 認 め る う な ず き で は な く 、 気 持 や 考 え に 対 す る う な ず き と な っ て い る 。 そ し て 、 下 線 部 E で 開 か れ た 質 問 を

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使 い 、 生 徒 の 気 持 や 考 え に さ ら に せ ま っ て い っ て い る 。 こ の 点 が 例 1 と の 大 き な 違 い で あ る 。 こ の よ う に 、 同 じ 「 う ん 、 う ん 」 と い う う な ず き で あ っ て も 、 例 1 の よ う な う な ず き は 受 容 と は 言 え ず 、 事 態 を か え っ て 混 乱 さ せ る 原 因 と も な る 。 こ の 点 を 押 さ え な が ら 、 受 容 的 態 度 で 接 し て い く こ と で あ る 。 * 例 1 に 関 し て も 、 そ の 場 の 生 徒 の 感 情 や 教 師 と 生 徒 と の 信 頼 関 係 の 程 度 な ど に よ っ て は 微 妙 に 状 況 が 異 な っ て く る 。 そ の た め 、 下 線 部 A の よ う な 教 師 の 発 言 が 、 す べ て の 場 合 に お い て 生 徒 の 喫 煙 を 認 め た こ と に な る と は 一 概 に 断 定 で き る も の で は な い 。 (2) 面 接 相 談 の 第 3 段 階 で 活 用 す る 主 な 指 導 ・ 援 助 面 接 相 談 の 第 3 段 階 で は 、 相 手 の 行 動 変 容 を 促 す た め に 教 師 か ら の 具 体 的 な は た ら き か け が 必 要 と な る 。 こ の 具 体 的 な は た ら き か け と し て よ く 使 わ れ る 指 導 ・ 援 助 に つ い て 概 説 す る 。 ア 相 談 者 に 対 す る は た ら き か け ○ 助 言 助 言 と は 、 「 ~ を し て み た ら 」 「 ~ は ど う 」 な ど と 、 相 手 の 行 動 を 促 し た り 、 ま た 、 「 ~ か も し れ な い よ 」 な ど と 、 将 来 起 こ り う る こ と を 予 測 し て 言 っ た り す る こ と で あ る 。 大 事 な こ と は 本 人 に 行 動 の 自 己 決 定 を さ せ る こ と で あ る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 … … … 行 き た い 高 校 が 見 つ か ら な い ん で す … … 。 」 教 師 : 「 そ う か 、 そ れ じ ゃ 、 高 校 説 明 会 や 体 験 入 学 に 参 加 し て み た ら ど う 。 」 ○ 示 唆 示 唆 と は 、 「 私 だ っ た ら ~ す る け ど 」 「 そ の 場 合 は 、 ~ と 考 え ら れ る か な 」 な ど と 、 相 手 の と る べ き 言 動 を そ れ と な く 教 え る こ と で あ る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 お 風 呂 に 入 っ た 後 は す っ き り し て 、 勉 強 も や る 気 が 出 る ん で す 。 で も 、 家 は お 風 呂 の 時 間 が 遅 い ん で す 。 」 教 師 : 「 そ う か 、 先 生 な ら 、 お 母 さ ん に 頼 ん で 、 家 に 帰 っ た ら す ぐ に お 風 呂 に 入 れ る よ う に し て お い て も ら う け ど な ー 。 」 ○ 解 釈 解 釈 と は 、 相 手 が 自 分 の 言 動 や 考 え 方 に 気 づ い て い な い こ と を 気 づ か せ る 発 言 で あ る 。 例 え ば 「 言 い 方 が き つ い 人 に は 何 も 言 え な く な っ て し ま う ん だ ね 」 「 失 敗 す る と す ぐ に 投 げ 出 し て し ま う ん だ ね 」 な ど で あ る 。 解 釈 は 一 つ と は 限 ら な い の で 決 め つ け た 言 い 方 を し な い よ う に す る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 … … … … 実 は 、 も う 学 校 を や め よ う と 思 っ て い る ん で す け ど 。 」 教 師 : 「 学 校 に 来 る の が 苦 痛 で 、 そ の 苦 痛 か ら 逃 れ て 楽 に な り た い ん だ ね 。 」 ○ 情 報 提 供 情 報 提 供 と は 、 相 手 が 必 要 と 感 じ て い る 情 報 を 与 え る こ と で あ る 。 例 え ば 、 「 公 立 高 校 の 入 試 日 程 は … と な っ て い ま す 」 な ど で あ る 。 留 意 す べ き こ と は 、 相 手 の 求 め て い る 情 報 内 容 か ど う か を 確 認 す る と と も に 、 情 報 提 供 す る 時 期 を 逃 さ な い 、 量 が 多 す

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ぎ な い こ と で あ る 。 こ う し た 情 報 提 供 は 、 相 手 の 主 体 的 選 択 や 自 己 決 定 を 促 す こ と に も な る た め 、 ガ イ ダ ン ス の 機 能 が 効 果 的 に 生 か さ れ る こ と に も つ な が っ て い く 。 [ 例 ] 親 :「 引 っ 越 し て 来 た ば か り で 、 付 近 の 高 校 の 様 子 が 全 く わ か ら な い も の で す か ら … 、 子 ど も の 進 路 を 考 え る と 不 安 な ん で す 。 」 教 師 : 「そ れ な ら ○ ○ と い う 本 と △ △ と い う 本 が あ り ま す よ 。 そ れ を 参 考 に す る と よ い と 思 い ま す が 。 」 ○ 指 示 指 示 と は 、 「 ~ す る ん だ よ 」 「 ~ な 行 動 を と り な さ い 」 「 ~ と 言 い な さ い 」 「 ~ を 考 え な さ い 」 な ど と 、 相 手 の と る べ き 行 動 や 言 う べ き こ と に つ い て 明 示 す る 。 留 意 点 は 、 指 示 内 容 を で き る 限 り 具 体 的 に し 、 相 手 が 理 解 で き た か を 確 認 す る こ と で あ る 。 [ 例 ] 親 : 「 や は り 、 子 ど も と の ふ れ あ い が 大 切 な ん で す ね 。 」 教 師 A : 抽 象 的 な 指 示 「 だ か ら 毎 日 、 子 ど も さ ん と か か わ る 時 間 を つ く っ て く だ さ い 。 」 教 師 B : 具 体 的 な 指 示 「 だ か ら 毎 日 、 寝 る 前 に 5 分 間 子 ど も さ ん に 本 を 読 ん で あ げ て く だ さ い 。 」 * 教 師 A の 指 示 は 抽 象 的 な た め 、 親 は ど の よ う な 行 動 を と っ て よ い か わ か ら な い 。 一 方 、 教 師 B の 指 示 は 具 体 的 な た め 、 親 は 自 分 が と る べ き 行 動 が よ く 理 解 で き る 。 ○ 説 得 説 得 と は 、 「 ~ と 考 え ら れ な い か い 」 「 そ の 考 え は 勝 手 す ぎ な い か い 」 な ど と 、 相 手 に 聞 き 手 の 考 え を ぶ つ け る こ と で あ る 。 説 得 の 場 合 は 、 聞 き 手 の 考 え が 強 く な る の で 、 十 分 に 信 頼 関 係 が で き て か ら 行 う こ と を 原 則 と す る 。 [ 例 ] 生 徒 : 「 … … … 勉 強 は い や な ん で す 。 で も 、 A 高 校 に は 行 き た い ん で す 。 」 教 師 : 「 で も 、 努 力 も し な い で 自 分 の 都 合 だ け っ て い う の は ち ょ っ と 虫 が よ す ぎ な い か い 。 」 イ 環 境 へ の は た ら き か け 環 境 へ の は た ら き か け と は 、 相 手 に 対 す る 直 接 的 な は た ら き か け で な く 、 相 手 を 取 り 巻 く 環 境 に は た ら き か け て 個 人 を 変 え て い く こ と で あ る 。 例 え ば 、 不 登 校 児 童 生 徒 の 対 応 に 当 た っ て 、 ク ラ ス の 児 童 生 徒 の 受 け 入 れ 体 制 を 整 え た り 、 保 護 者 の 接 し 方 に つ い て は た ら き か け た り す る こ と で あ る 。 ま た 、 自 信 を 失 っ て い る 児 童 生 徒 に 対 し て 、 教 師 全 員 が 同 じ よ う に 声 か け す る な ど し て 、 自 己 存 在 感 を 与 え た り す る こ と で あ る 。 ウ 関 係 機 関 と の 連 携 ( 連 絡 先 等 は 『 資 料 編 』 P 98~ 99 参 照 ) 相 談 内 容 や 相 手 の 状 況 に よ っ て は 、 学 校 で の 対 応 よ り 他 の 専 門 機 関 が 担 当 し た 方 が よ い 場 合 が あ る 。 こ う し た 場 合 は 、 ま ず 教 育 研 究 所 ( 相 談 室 ) や 教 育 セ ン タ ー に 相 談 し て み る こ と で あ る 。 相 談 し た 結 果 、 病 的 傾 向 な ど が 見 ら れ る 場 合 な ら ば 専 門 医 、 家 庭 の 経 済 的 援 助 に か か わ る も の な ら ば 児 童 相 談 所 や 福 祉 事 務 所 な ど の よ う に 、 さ ら に 他 の 関 係 機 関 と も 連 携 を 取 り 合 っ て い く こ と に な る 。

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エ 具体的活用方法 ① 段 階 的 指 導 の 方 法 段 階 的 指 導 と は 、 児 童 生 徒 の 実 態 を 十 分 に 把 握 し 、 目 標 達 成 に い た る ま で の 過 程 を 細 分 化 し 、 や さ し い 段 階 か ら 順 序 立 て て 取 り 組 ま せ て い く よ う に す る 指 導 法 で あ る 。 細 分 化 し た 段 階 を 達 成 で き る た び に 教 師 が ほ め 、 認 め る と と も に 、 児 童 生 徒 に 自 己 評 価 さ せ 、 自 信 を も た せ な が ら 取 り 組 ま せ て い く 。 < 段 階 的 指 導 の 在 り 方 > 1 活 用 場 面 ○ 同 じ よ う な 行 動 を 繰 り 返 す 児 童 生 徒 へ の 指 導 [ 例 ] 忘 れ 物 が 多 い ・ 係 活 動 が で き な い ・ 規 則 を 守 ら な い ( 遅 刻 等 ) 等 2 面 接 相 談 の 流 れ 1 目 標 設 定 〇 児 童 生 徒 の 学 校 で の 学 習 面 や 生 活 面 を 振 り 返 ら せ 、 そ の 中 で し て よ い こ と 、 必 ず 守 ら な け れ ば な ら な い こ と を 理 解 さ せ 、 目 標 を 設 定 さ せ る 。 [ 例 ] 授 業 を き ち ん と 受 け る よ う に す る ・ 宿 題 は 必 ず や る ・ 時 間 を 守 る な ど * 留 意 事 項 : 目 標 設 定 段 階 で は 信 頼 関 係 づ く り を 重 視 す る た め に 、 ま ず 傾 聴 す る 。 2 行 動 目 標 の 決 定 〇 1 の 目 標 に 沿 っ て 1 週 間 単 位 の 細 か い 具 体 的 行 動 目 標 を 決 定 さ せ る 。 ポ イ ン ト は 現 在 の 実 態 か ら ほ ん の わ ず か レ ベ ル を 上 げ た 程 度 の 行 動 目 標 に す る こ と で あ る 。 [ 例 ] 宿 題 を 忘 れ が ち な 児 童 生 徒 へ は 、 「 漢 字 を 毎 日 2 行 書 く 」 な ど 行 動 目 標 の 結 果 が 一 目 で 確 認 で き る よ う な 具 体 的 な 目 標 に す る ( 「 宿 題 を 毎 日 や る 」 な ど の よ う な 抽 象 的 な 行 動 目 標 に な ら な い こ と 。 ) 。 * 留 意 事 項 : 必 ず 児 童 生 徒 に 行 動 目 標 を 自 己 決 定 さ せ る 。 3 行 動 目 標 の 実 行 ○ 児 童 生 徒 が 行 動 目 標 を 達 成 し た 場 合 は そ の 都 度 ほ め 、 ほ め る こ と を 積 み 重 ね て い く 。 達 成 で き な い 場 合 は 、 叱 責 す る の で は な く 目 標 達 成 を 促 す よ う に は た ら き か け る 。 [ 例 ] 「 A 君 、 今 週 の 君 の 目 標 が 終 わ る ま で 先 生 は こ こ で 待 っ て い る よ 」 と 待 つ 。 4 行 動 目 標 の 達 成 確 認 と レ ベ ル ア ッ プ ○ 1 週 間 の 終 わ り に 1 5 分 程 度 、 本 人 の 行 動 目 標 の 達 成 状 況 に つ い て 話 し 合 う 。 ○ 行 動 目 標 の 達 成 状 況 を 確 認 し 、 し っ か り で き た こ と を ほ め 、 そ の と き の 児 童 生 徒 の 気 持 な ど を 話 さ せ る 。 ○ 児 童 生 徒 の 意 志 を 優 先 し な が ら 、 来 週 の 行 動 目 標 を 具 体 的 に 決 め さ せ る 。 た だ し 目 標 を 一 気 に 上 げ す ぎ な い よ う に 配 慮 す る 。 3 留 意 点 ○ ク ラ ス の 児 童 生 徒 に 、 次 の 2 点 に つ い て 日 ご ろ か ら 説 明 し て お く 。 ア 人 間 は 皆 平 等 で あ る が 、 一 人 一 人 の 特 性 ・ 能 力 は 一 様 で は な い こ と 。 イ 学 校 で 生 活 し て い く た め に は 最 低 限 の ル ー ル が 必 要 で あ る こ と 。 4 そ の 他 の 活 用 場 面 ○ 不 登 校 児 童 生 徒 を 段 階 的 に 登 校 さ せ て い く 際 に 活 用 す る 。 [ 例 ] 着 替 え る → 玄 関 ま で → 公 園 ま で → 学 校 の 正 門 ま で → 保 健 室 ま で → 教 室 へ

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② 成 功 例 を 活 用 す る 方 法 基 本 的 生 活 習 慣 が 定 着 し て い な か っ た り 、 同 じ 失 敗 を 何 度 も 繰 り 返 し た り す る 児 童 生 徒 に も 、 と き に は 失 敗 せ ず に う ま く い っ た 日 も あ る は ず で あ る 。 例 え ば 、 提 出 物 を 毎 回 の よ う に 忘 れ る 児 童 生 徒 で も 、 忘 れ ず に 持 っ て 来 た 日 も あ る だ ろ う し 、 ま た 集 合 時 間 に い つ も 遅 れ る 児 童 生 徒 が 、 時 間 ど お り に 集 合 で き た と き も あ る だ ろ う 。 こ う し た こ と は 、 本 人 が 意 識 的 に 行 っ た 場 合 も あ る だ ろ う し 、 意 識 せ ず に 行 っ た こ と が 偶 然 に よ い 結 果 と な っ た 場 合 も あ る で あ ろ う 。 い ず れ の 場 合 も 本 人 に よ い 結 果 を も た ら し た こ と に は 変 わ ら な い し 、 ま た 、 あ る 意 味 で の 成 功 体 験 に な っ て い る と も 言 え る 。 そ こ で 、 い つ も 問 題 と な る 行 動 を と り が ち な 児 童 生 徒 の 指 導 に 際 し て は 、 そ の 成 功 体 験 の と き を 思 い 出 さ せ 、 そ の う ま く い っ た 場 合 に 着 目 し て 、 そ の 行 動 を 常 に 意 図 的 に と ら せ る よ う に し て い く 。 そ し て 、 尐 し で も 改 善 さ れ る 姿 勢 や 努 力 が 見 え た 場 合 に は 、 本 人 を 認 め 、 自 信 を も た せ て い く こ と で 解 決 状 況 に 導 い て い く よ う に す る 。 < 成 功 例 を 活 用 す る 指 導 の 在 り 方 > 1 活 用 場 面 : 「 段 階 的 指 導 の 在 り 方 」 と 同 じ 2 面 接 相 談 の 流 れ 1 目 標 設 定 : 「 段 階 的 指 導 の 在 り 方 」 と 同 じ 2 成 功 例 を 探 す ○ 生 活 を 振 り 返 ら せ 、 失 敗 せ ず に う ま く で き た と き の 行 動 を 本 人 に 思 い 出 さ せ る 。 [ 例 1 ] 忘 れ 物 の 多 い 児 童 生 徒 ・ 好 き な T V 番 組 を 見 る 前 に 明 日 の 準 備 を し た と き は 忘 れ 物 を し な か っ た 。 [ 例 2 ] い つ も 遅 刻 す る 児 童 生 徒 ・ 朝 、 犬 の 散 歩 を し た と き は 、 時 間 ど お り に 登 校 で き た 。 [ 例 3 ] 友 達 と 気 楽 に 話 が で き な い 児 童 生 徒 ・ 自 分 か ら 先 に 「 お は よ う 」 と あ い さ つ し た と き は 、 友 達 と 気 楽 に 話 が で き た 。 3 成 功 し た と き の 気 持 を 考 え さ せ る ○ ど ん な 小 さ な 成 功 例 に も 肯 定 的 反 応 を 返 す 。 * 肯 定 的 反 応 に よ り 、 う ま く い っ た こ と が 偶 然 の 結 果 で あ っ て も 自 分 の 自 信 と な り 、 自 己 の 意 識 を 高 め る こ と と な る 。 そ の 結 果 、 解 決 へ の 意 欲 を 高 め る こ と に つ な が る 。 * 「 他 に は 」 と 繰 り 返 し 、 気 づ い て い な か っ た 成 功 例 を 意 識 化 さ せ 、 た く さ ん の 解 決 状 況 が 語 れ る よ う に し て い く 。 4 課 題 の 提 示 ○ 自 分 で 意 識 し て う ま く で き た 場 合 は 、 続 け る よ う に 指 示 す る 。 ○ 自 分 が 意 識 せ ず 、 偶 然 う ま く い っ た 場 合 は 、 自 分 か ら 意 図 的 に そ れ を や る よ う に 指 示 す る 。 ○ 具 体 的 成 功 例 が 見 つ か ら な い 場 合 は 、 う ま く い っ た 場 合 の こ と を 想 像 さ せ 、 そ の イ メ ー ジ を も と に 行 動 す る よ う に 指 示 す る 。 * 成 功 例 を 発 展 さ せ 、 積 み 上 げ さ せ て い く よ う に す る 。

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第 Ⅲ 章 日 常 の 教 育 活 動 に 生 か す カ ウ ン セ リ ン グ 教 師 と 児 童 生 徒 の 信 頼 関 係 及 び 児 童 生 徒 相 互 の 好 ま し い 人 間 関 係 を 育 て る こ と が 、 生 徒 指 導 の 充 実 と と も に 、 学 校 教 育 活 動 全 体 の 充 実 に も つ な が っ て い く 。 ま た 一 方 で は 、 教 師 の 学 習 指 導 や 学 級 経 営 ・ ホ ー ム ル ー ム 経 営 ( 以 下 学 級 経 営 と 略 す ) 等 の 指 導 力 の 向 上 が 教 師 と 児 童 生 徒 の 信 頼 関 係 を 築 く こ と に も つ な が っ て い く 。 そ こ で 、 本 章 で は 、 授 業 や 学 級 経 営 及 び 児 童 生 徒 や 保 護 者 と の 日 常 的 な か か わ り の 中 で 、 カ ウ ン セ リ ン グ の 考 え 方 や 技 法 を ど の よ う に 生 か し て 信 頼 関 係 づ く り や 人 間 関 係 づ く り を 進 め て い く か 、 ま た ど の よ う に 指 導 の 充 実 を 図 っ て い く か に つ い て 概 説 す る 。 1 学 級 経 営 ・ ホ ー ム ル ー ム 経 営 に 生 か す 児 童 生 徒 の 学 校 に お け る 生 活 の 中 心 は ク ラ ス ( 学 年 ) で あ る 。 し た が っ て 、 児 童 生 徒 に と っ て は 、 自 分 の ク ラ ス ( 学 年 ) が 親 和 感 に 満 ち た 楽 し く 温 か な 場 で あ る と 同 時 に 、 自 ら を 高 め 、 互 い に 切 磋 琢 磨 で き る 場 で あ る こ と が 必 要 で あ る 。 こ う し た 場 に す る た め に も 、 ま ず 、 教 師 と 児 童 生 徒 の 心 の 交 流 を 大 切 に し な け れ ば な ら な い 。 教 師 が 児 童 生 徒 と 心 の 交 流 を し て い く た め に 必 要 と さ れ る 態 度 と し て は 、 次 の 3 点 が あ げ ら れ る 。 ア か か わ り 態 度 ( 児 童 生 徒 と の ふ れ あ い ・ 対 話 を 大 切 に す る 、 な ど ) イ 誠 実 な 態 度 ( 親 身 に な る 、 一 人 一 人 の 児 童 生 徒 を 気 に か け る 、 な ど ) ウ 受 容 的 態 度 ( う な ず い た り 、 最 後 ま で 話 を 聴 く 、 な ど ) 教 師 が こ の よ う な 態 度 で 児 童 生 徒 と 接 す る と き 、 児 童 生 徒 は 温 か な 人 間 関 係 を と お し て 自 己 の 生 き 方 を 冷 静 に 見 つ め る こ と が で き 、 自 由 な 雰 囲 気 の も と で 自 ら 設 定 し た 目 標 に 向 け て 活 動 し よ う と す る 意 欲 が 喚 起 さ れ て く る 。 ま た 、 教 師 の こ の よ う な か か わ り 方 が 、 児 童 生 徒 相 互 の 関 係 に ま で 波 及 し 、 ク ラ ス ( 学 年 ) 全 体 に 温 か な 人 間 関 係 が 形 成 さ れ て く る 。 た だ し 、 こ の 前 提 と し て 必 要 な こ と は 、 児 童 生 徒 に 対 す る 深 い 愛 情 や 情 熱 、 厳 し さ 、 信 頼 す る 姿 勢 な ど 、 教 師 と し て の 基 本 的 な 姿 勢 が 確 立 さ れ て い る こ と で あ る 。 そ う で な い と 、 単 な る 形 だ け の 態 度 と な り 、 決 し て 心 の 交 流 に は つ な が ら な い 。 < 進 路 で 悩 ん で い る 生 徒 に 対 す る 対 応 例 > [例1]実務中心の一方的な対応 教 師 : 「 今 日 は 進 路 希 望 調 査 票 を 持 っ て 来 た か い 。 」 生 徒 : 「 ま だ は っ き り し て い な い の で … … 。 」 教 師 : 「 そ れ で 持 っ て き た の か い 。 」 生 徒 : 「 だ か ら ま だ な ん で す … … 。 」 教 師 : 「 え ー !?、 今 日 が 最 終 提 出 日 っ て 何 回 も 言 っ て い た だ ろ う 。 何 や っ て る ん だ よ … … 。 そ れ で 親 は 何 て 言 っ て い た ん だ い 。 」 生 徒 : 「 親 と 意 見 が 合 わ な い ん で す 。 」 教 師 : 「 意 見 が 合 わ な い 。 だ か ら 早 め に 話 し 合 っ て お く よ う に 言 っ た だ ろ う 。 と に か く 今 日 中 に 何 と か し な さ い 。 い い ね 。 」

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[例 2 ]心 情 を ま ず 受 け と め る 対 応 教 師 : 「 今 日 は 進 路 希 望 調 査 票 を 持 っ て 来 た か い 。 」 生 徒 : 「 ま だ は っ き り し て い な い の で … … … 。 」 教 師 : 「 ま だ は っ き り し て い な い っ て ど う い う こ と ? 」 生 徒 : 「 実 は 、 親 と 意 見 が 合 わ な い ん で す 。 」 教 師 : 「 親 と 意 見 が 合 わ な い の か ー 。 ど う い う こ と な の か 話 を 聞 か せ て く れ る か な ? 」 生 徒 : 「 実 は … … … … 。 」 * 例 1 で は 、 教 師 の 実 務 面 の み が 強 調 さ れ て い る た め 、 生 徒 の 進 路 に 対 す る 不 安 や 迷 い が 解 消 で き な い 。 ま た 、 生 徒 に 対 す る 一 方 的 な 教 師 の 態 度 に よ り 、 生 徒 の 心 の 中 に は 不 満 も 残 る こ と に な る 。 そ れ に 対 し 例 2 で は 、 教 師 は 生 徒 の 気 持 を ま ず 受 け と め て い る 。 そ し て 、 進 路 に 対 す る 不 安 や 迷 い や 葛 藤 な ど に つ い て 、 生 徒 が 心 を 開 く よ い 機 会 で あ る と と ら え な が ら 対 応 し て い る 。 こ う し た 教 師 の 日 常 的 な 温 か な 対 応 が 、 教 師 と 生 徒 の 心 の 交 流 を 深 め る こ と に な り 、 信 頼 関 係 に 満 ち た 学 級 経 営 に も つ な が っ て い く 。 * 例 2 に お い て も 、 生 徒 の 話 を 傾 聴 し た 後 、 進 路 に 関 す る 適 切 な 指 導 ・ 助 言 を す る と と も に 、 生 徒 が 提 出 期 限 に 間 に 合 わ な か っ た こ と に つ い て は 、 当 然 指 導 し な け れ ば な ら な い 。 心 情 は 受 容 し て も 「 い け な い 行 為 ・ 間 違 っ た 行 為 」 は 指 導 す る こ と が 大 切 で あ る 。 < 声 か け に 関 す る 留 意 事 項 > ア 「 あ い さ つ 」 な ど の 声 か け は 、 教 師 の 方 か ら も 積 極 的 に 行 う こ と ○ 声 か け は 、 受 け 身 で は な く 、 積 極 的 に 行 う こ と で 児 童 生 徒 と の 人 間 関 係 を 深 め て い く き っ か け と な る 。 あ : 明 る く い : い つ も さ : 先 に つ : 続 け て イ 声 か け は す べ て の 児 童 生 徒 に 公 平 に す る こ と ○ 声 か け を す る 児 童 生 徒 に 偏 り が で な い よ う に す る 。 ウ す べ て の 児 童 生 徒 に 積 極 的 に 関 心 を も つ こ と ○ そ の 場 、 そ の 時 点 で の 児 童 生 徒 の 言 動 に 関 心 を も ち 、 変 化 し た こ と や 頑 張 っ て い る 点 を 具 体 的 に 認 め 、 ほ め る 。 エ 児 童 生 徒 の 特 徴 や 努 力 し て い る 点 な ど の 情 報 を 収 集 し て お く こ と ○ 児 童 生 徒 の 情 報 を 幅 広 く 収 集 し て お く こ と で 、 声 か け が 具 体 的 な も の と な る 。 オ 声 か け は 人 間 関 係 づ く り の 視 点 で 行 う こ と ○ 児 童 生 徒 を 注 意 し た り 、 と が め た り す る 姿 勢 で は な く 、 相 手 に 関 心 を 示 す 態 度 で 行 う 。

参照

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