石 井 佳 世
キーワード:学校図書館,別室登校,図書室登校,居場所,司書 Ⅰ . 問題と目的 1. 不登校児童生徒への支援における学校図書館の役割 文部科学省 (2017) による「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に 関する調査」によると平成 27 年度の国・公・私立の小中学校で,不登校児 童数は 27,583 人,不登校生徒数は 98,408 人である。全体の児童生徒数との 割合では,小学生は 0.42%,中学生は 2.83% であり,不登校児童割合は過 去最高,不登校生徒割合も過去最高水準にある。このような状況に対して, 学校現場では児童生徒へ登校を促す,児童生徒の相談にのる,保護者との面 談を行う,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用する など,様々な対応がなされてきており,一定の成果をあげている。しかしな お,不登校の児童生徒数が高水準で推移している現状をふまえ,文部科学省 は平成 27 年 1 月に文部科学省初等中等教育局長の諮問機関として,不登校 に関する調査研究協力者会議を発足した(文部科学省 ,2016)。本会議には不 登校児童生徒の社会的自立を支援する観点より,①不登校児童生徒の実情の 把握・分析,②学校における不登校児童生徒への支援の現状と改善方策,③ 学校外における不登校児童生徒への支援の現状と改善方策,④その他不登校 に関連する施策の現状と課題について調査研究を行う役割があるとされ,そ の結果が「不登校児童生徒への支援に関する最終報告∼一人一人の多様な課 題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進∼」にまとめられている(文 部科学省 ,2016)。この最終報告によると,不登校児童生徒に対する学校等の 取組として①不登校が生じないような学校づくり等,②不登校児童生徒に対 する効果的な支援の充実,③不登校特例校制度・指導要録上の出席扱い制度別室登校の児童生徒にとって学校図書館とは
どのような居場所か
―司書を対象とした調査から―
等の活用,④青少年教育施設等の体験活動プログラムの積極的な活用が挙げ られている。特に②不登校児童生徒に対する効果的な支援の充実に関しては, 児童生徒に対して予兆への対応を含めた早期支援の重要性や不登校の要因や 背景を的確に把握するためのアセスメントの必要性と共に,不登校児童生徒 の再登校時の受け入れ体制の充実についても言及されている。それによると, 不登校児童生徒の再登校に際しては,「保健室,相談室や学校図書館などで 学校での居場所を作り,心の安定を図り,興味関心に基づく学びを行いなが ら,その居場所から徐々に学校生活になじませることも有効である。(中略) なお,これらの居場所においては,教員や学習ボランティア等による学習支 援や ICT 等を活用した個人学習のサポートなど,教室に入っても授業が理 解できる程度の学力を身につけることができるように支援を行うことが肝要 である(下線は筆者による)。」と述べられている。このように,不登校児童 生徒への対応において,学校での居場所づくりのうちのひとつとして保健室 や相談室と並び,学校図書館の活用が国として推進されていると言えるであ ろう。 2. 別室登校の意義と課題 文部科学省 (2016) の「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」にお いて提唱された「保健室,相談室や学校図書館などで学校での居場所を作り, 心の安定を図り,興味関心に基づく学びを行いながら,その居場所から徐々 に学校生活になじませる」という支援は別室登校と呼ばれることが多い。吉 井 (2004) によると別室登校は「学校には登校するが,所定のクラスに入ら ない生徒が,相談室や保健室など教室以外の別室で学校生活を送ること」と 定義されている。辻・伊藤 (2009) は別室登校の利点として,教室に登校し ている児童生徒・担任をはじめ学校のスタッフと接触可能であり,社会性が 磨かれたり,友人の働きかけにより教室への復帰が促されたりすることをあ げている。一方問題点としては,別室登校の児童生徒に対し,他の児童生徒 が矛盾や不公平感を抱くことがあると指摘している。 不登校支援の一環として,国が別室登校を推進し,また別室登校を認める, あるいは積極的に設定する学校も増加している。メリット,デメリットをふ まえて,別室登校という制度を学校現場がどのように進めればよいのか,ま た別室登校の児童生徒にどのようにかかわるべきかに関する知見が積み上げ られる必要があろう。 3. 居場所としての図書室 宮下・石川(2005)は小学校・中学校における心の居場所に関する調査を
行っている。具体的には,大学生を対象に小・中学校時代を想起させ,小学 校及び中学校において居場所と感じた場面について自由記述を求めている。 その結果,小学校場面における居場所場面として,「教室」「体育館・校庭」「図 書室」「課外活動・クラブ活動」「保健室」「音楽室・理科室」「友達と遊んで いるとき」「先生」の 8 カテゴリーに分類された。また中学校場面における 居場所場面として「部活」「教室」「保健室」「図書室」「トイレ」「友達とい るとき」「職員室」「生徒会室」の 8 カテゴリーに分類され,いずれも図書室 が学校における居場所として認知されていることが示された。さらに,図書 室が居場所と感じる条件として,自分のペースで過ごせる,一人でいても気 にならない,気をつかわなくてもよいなど楽に自分のペースで過ごせること や,仲のよい友達がいるなどの,安心して共にすごすことのできる他者が周 囲にいること等が考察されている。 また,本田(2008)は中学校・高等学校計 3 校の学校司書へのインタビュ ー及び生徒への質問紙による実態調査を行い,学校図書館の心理的援助の可 能性について検討を行っている。その結果,学校司書のうち 1 名は悩んでい る生徒の相談を受けることがあると語っている。また,生徒対象の質問紙調 査においても,悩みを相談したことがある生徒がわずかながら存在すること が示された。 また第 62 回学校読書調査 (2016) によると「学校図書館の先生に何をして もらいたいか」という設問において,小学生は「本がある場所を案内してく れる」(53% ),に続いて「安心できる場を作ってくれる」という回答がみら れ(46%),中学生では「安心できる場」(45%)という回答が最多であっ た。学校図書館に安心できる居場所を求める児童生徒が多いことが伺える。 以上の調査をふまえると,学校図書館は児童生徒にとってなにがしかの心 理援助的機能を期待されていることがうかがえる。 4. 本研究の目的 以上,学校図書館は不登校児童生徒に対する支援の一環として,児童生徒 の居場所となることが文部科学省により推進されており,心理援助的機能を 果たす可能性があることが考えられる。しかし,別室登校に関する研究は散 見されるが,大半が保健室登校や相談室登校を扱ったものであり,図書室登 校に関する調査は圧倒的に不足している。図書室登校は保健室登校や相談室 登校と異なる機能や困難さを持つ可能性があり,区別して検討することが必 要であると考えられる。 そこで本研究では,学校図書館担当司書 ( 学校司書及び司書教諭 ) を対象 に質問紙調査を実施し,学校図書館担当司書が図書室登校の児童生徒をどの
ように捉えているのかについて検討を行うことを目的とする。 Ⅱ . 方法 学校図書館担当司書を対象に,質問紙調査を行った。以下,調査対象者, 調査時期,調査方法,質問紙の構成について述べる。 1. 調査対象者 調査対象者は東北地方及び九州地方の小学校・中学校・高校に勤務する学 校図書館担当司書である。 2. 調査時期 2013 年 3 月。 3. 調査手続き 各県の小学校・中学校・高校 318 校に質問紙を郵送もしくは直接配付し, 郵送にて回収を行った。有効回収率は 42.0% であり,回答者は 134 名(男 性 9 名,女性 124 名,不明 1 名)であった。個別自記入形式の質問紙調査で 実施され,回答依頼時に文書にて説明合意を得た。回答は無記名で行われ た。 4. 質問紙の構成 (1)フェイスシート 職名,年齢,性別,現在の学校への勤務年数,勤務形態(常勤,非常勤), 学校図書館担当経験年数,現在の学校での学校図書館担当経験年数,現在の 勤務校の校種,勤務校の規模,図書室の開室時間に関する記入を求めた。 (2)図書室登校の児童・生徒(教室には行かないあるいは行けないが,図書 館に登校し,授業中など図書館で過ごす児童・生徒)に関する自由記述 現在又は過去に図書室登校の児童・生徒がいたかどうか,図書室登校の児 童生徒の人数,どのような児童・生徒かについて自由記述で回答を求めた。 5. 分析方法 現在又は過去の図書室登校の児童・生徒についてどのような児童・生徒 だったかの回答を求めた自由記述のデータを対象とした。図書室登校児童・ 生徒に関する司書による理解の構造を整理し,より正確に把握するために, KJ 法を参考にした分析を行った。
KJ 法とは文化人類学者である川喜田二郎によって創始されたデータ集約 に関する一つの技法である。KJ 法とは川喜田(1967)によると,①討論に おける発言のエッセンスを,「1 行見出し」と呼ばれる見出しに要約しカー ドに書き込み,②そのカードを分類し,グループ編成を行い,③編成された グループにさらに見出しをつけ,④できたグループ同士を空間的に配置し, 関係性を矢印などを用いて示す,という方法である。 安藤(2004)は,KJ 法を基に,Table 1 の分析方法を紹介している。本研 究ではこの方法の①から④を用いた。 Table1 KJ 法を参考にした方法(安藤(2004)を要約) ①カード化 一つの意味のある文章のまとまりを 1 単位として,カードに短く書き出 す。内容が分かる程度に短い文章や単語で書けばよい。長く話しているこ とでも 1 つの内容としてまとめられるなら 1 枚のカードになるし,短くて も複数のことに言及している場合は複数枚のカードになる。 ②グループを作る 次にカードを大きな紙の上にすべて広げて,似ているもの同士を探す。似 ているカードを同じ場所に集めて,少しずつ小さなグループを作っていく。 どのグループに分類すればよいかわからないカードがあった場合には,無 理にどこかのグループに入れてしまわず,そのままにしておく。 ③見出しをつける グループ分けが終わったら,一つ一つのグループに見出しをつける。同じ グループとして集められたカードをもう一度読んでみて,共通点は何かを 探す。それを簡潔な一言で表して,そのグループの見出しとする。見出し をつける中で,最初に分類したグループに属さないと感じたカードがあれ ば,分類し直したり,独立したカードにしたりしておく。 ④繰り返す ①∼③の手順をこれ以上はまとめられないというところまで繰り返す。 ⑤図解する グループ編成と見出し付けが終わったら,グループ間の関連を考える。 一番上の大きなレベルのグループを見て,紙の上で配置し直してみる。似 ているグループが近くになるようにする。そして,グループ同士に何らか の関連があるかどうかを考え,関連がある場合には矢印などの記号を用い て結ぶ。
Ⅲ . 結果と考察 1. 調査協力者の属性 調査協力者の属性は Table2,3 のとおりである。 Table 2 調査協力者の属性の平均と標準偏差 平均値 (SD) 年齢(歳) 41.95(9.77) 現在の学校勤務年数(年) 5.49(6.83) 学校図書館担当年数(年) 11.89(9.24) 現在の学校図書館担当年数(年) 5.41(6.85) 一週間あたりの図書室開室日数(日) 5.00(0.35) Table 3 調査協力者の勤務校 校数 ( 割合) 小学校 45(33.6%) 中学校 64(47.8%) 高等学校 25(18.7%) 2. 図書室登校の児童生徒の実数 図書室登校の児童・生徒がいるかどうかという質問に対して二者択一で回 答を求めた結果,いると回答した人数は 15 名(11.2%),いないと回答した 人数は 119 名 (88.2%) であった。 図書室登校の児童生徒が過去にいたかどうかをたずねる質問に対して二者 択一で回答を求めた結果,いたと回答した人数は 39 名 (36.1%),いないと回 答した人数は 69 名 (63.9%),であった。 支援が必要だと考えられる「気になる」児童・生徒がいるかどうかをたず ねる質問に対して二者択一で回答を求めた結果,いると回答した人数は 67 名 (50.0%),いないと回答した人数は 67 名 (50.0%) であった。 3. 自由記述の検討 KJ 法を参考にした方法によって,自由記述データをカード化したところ, 62 枚のカードが得られた。続いて 22 の小グループ,12 の中グループ,4 つ
Table4 カードの分類(表中のカッコ内はカード数) 䜹䞊䝗 ᑠ䜾䝹䞊䝥 ୰䜾䝹䞊䝥 䜾䝹䞊䝥 ಖᐊⓏᰯ䛛䜙ᮏዲ䛝䛷 ྖ᭩ᕼᮃ䛷 䛒䜛 䛣 䛸 䛛䜙ᅗ᭩ᐊⓏᰯ䛻⛣⾜䛧䛯 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛔䚸ே䛧䛟䜎䛨䜑䛷 䜘 䛟ᮏ䜢ㄞ䜐ඣ❺⏕ᚐ ⮬ศ䛛䜙✚ᴟⓗ䛻䝁 䝭 䝳 䝙䜿䞊䝅 䝵䞁 䜢ྲྀ䜙䛺 䛔ㄞ᭩ᐙ䛾Ⓩᰯඣ❺⏕ᚐ ᤵᴗ䛻䛿ฟ䜙䜜䛺 䛔䛜ᮏ䛜ዲ䛝䛺 ඣ❺⏕ᚐ ≉ᐃ䛾ඛ⏕䜔⏕ᚐ䜢㑊䛡䚸ᮏ䛸䜲䝷䝇 䝖ᥥ䛝䛜ዲ䛝䛺 ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛻 ධ䜜䛪Ⓩᰯ䛷 䚸Ꮫᰯ䛷 䛿ಖᐊ䛛ᅗ᭩ᐊ䛷 㐣䛤䛩䚸ㄞ᭩䛜ዲ䛝䛺 ඣ❺⏕ᚐ ᤵᴗ䛾㛫ᖏ䛻ẖ᪥ᮏ䜢䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ 䚻ᮏ䜢䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛻 ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛻 ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ Ꮫ⣭䛻ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻⾜䛡䛺 䛔䛸ゝ䛳䛶 䛔䛯 䛜ᅗ᭩ᐊ䛻䛿㻞㻘 㻟䛛᭶ẖ᪥㏻䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䜔ಖᐊ➼䛷 ᒃሙᡤ䛜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻䜒ಖᐊ䛻䜒䛔䛯 䛟䛺 䛔䛸䛔䛖 ඣ❺⏕ᚐ䠄㢦ぢ▱䜚䛸ヰ䛧䛯 䛔䠅 ᩍᐊ䜢㏨䛢ฟ䛧䛶 䛟䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䜢㏨䛢ฟ䛧䛶 䛟䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠅䚷䈜ᥖ ᢸ௵䛸䛾┦ᛶ䛜䜘 䛟䛺 䛛䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ ᢸ௵䜢᎘䛻ᛮ䛖 ඣ❺⏕ᚐ 㣴ㆤᩍㅍ䛻┦ㄯ䛷 䛝䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ぶ䛜ᢸ௵䛸䝖 䝷 䝤 䝹䛜䛒䜚䚸ᅗ᭩ᐊ䛷 㐣䛤䛩ඣ❺⏕ᚐ ぶ䛜ᢸ௵䛸 䝖䝷 䝤 䝹䛜䛒䜚 䚸ᅗ᭩ᐊ䛷㐣䛤 䛩ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠅䚷䈜ᥖ ༢ไ䛾䛯 䜑ᤵᴗ䛻⾜䛛䛺 䛔௦䜟䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ ༢ไ䛾䛯 䜑ᤵᴗ䛻⾜䛛䛺 䛔௦䜟䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ 䜟䛜䜎䜎䛺 ඣ❺⏕ᚐ 䜟䛜䜎䜎䛺 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠅䚷䈜ᥖ 䜟䛜䜎䜎䛺 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠅䚷䈜䚻ᥖ 㻭 㻰 㻴㻰 䛾ඣ❺⏕ᚐ 㻭 㻰 㻴㻰 ➼䛒䜚ᩍᐊ䛷 ⴠ䛱 ╔䛡䛺 䛔䛻ᅗ᭩㤋䜢ᒃሙᡤ䛻䛧䛶 䛔䛯 ඣ❺⏕ᚐ Ⓨ㐩㞀ᐖ䛜䛒䜚䜽䝷䝇 䝯䜲䝖 䛸䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛔䛣 䛸䛜ᗘ䚻䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ ⢭⚄ⓗᏳᐃ䛺 ඣ❺⏕ᚐ Ẽ䛻䛺 䜛 䛣 䛸䛜䛒䜛 䛸⪃䛘 ㎸䜣䛷 ⴠ䛱 ㎸䜐ඣ❺⏕ᚐ 䛔䛨䜑䛜ཎᅉ䛷 ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛛䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ ẕᏊศ㞳Ᏻഴྥ䛜ឤ䛨䜙䜜䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᐙᗞ⎔ቃ䛛䜙䛛䜽䝷䝇 䛻⾜䛛䛺 䛛䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ Ⓩᰯഴྥ䛾ඣ❺⏕ᚐ ⓏᰯẼ䛾ඣ❺⏕ᚐ ᑐே㛵ಀ䛜䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ே㛵ಀ䛾ᝎ䜏䛜䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛷 㐩䛸䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ Ꮫ⣭䛻㥆ᰁ䜑䛪⮬ศ䛾ᒃሙᡤ䜢ᣢ䛶 䛺 䛔 ඣ❺⏕ᚐ ே䛸㛵䜟䜛 䛾䛜ⱞᡭ䛺 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛔䚸௰㛫䛵 䛟䜚䛜ୖᡭ䛻䛷 䛝䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ ఇ䜏㛫䛜⤊䜟䜚ே䛜䛔䛺 䛟䛺 䜛 䛸ᅗ᭩ᐊ䛻ධ䛳䛶 䛟䜛 ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛷 䛿 䛚䛸䛺 䛧䛟↓ཱྀ䛺 ඣ❺⏕ᚐ ே䛧䛟⣲┤䛺 ඣ❺⏕ᚐ ಖᐊ䛸⫋ဨᐊ䛸ᅗ᭩ᐊ䛷 㐃ᦠ䛧䛯 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻ධ䜜䛪ಖᐊ䛛ᅗ᭩ᐊ䛷 㐣䛤䛩ඣ❺⏕ᚐ Ⓩᰯ䛷 ᩍᐊ䛻ධ䜛 䛣 䛸 䛜䛷 䛝䛪ಖᐊ䛛ᅗ᭩ᐊ䛷 㐣䛤䛩ඣ❺⏕ᚐ 䜅䜜䜣䛹 䛧䛳䜇䛾ඣ❺⏕ᚐ ᅗ᭩ᐊ䛷 ᤵᴗ䜢ཷ䛡䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᅗ᭩ᐊ䛷 ᤵᴗ䜢ཷ䛡䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᅗ᭩ᐊ䛷 ⮬⩦䜢䛧䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᅗ᭩ᐊ䛷 ⮬⩦䜢䛧䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠅䚷䈜ᥖ Ⓩᰯ䛛䜙ᅗ᭩ᐊⓏᰯ䛻⛣⾜䛧䛯 ඣ❺⏕ᚐ Ⓩᰯ䛛䜙Ⓩᰯ䜎䛷 䛾ᚅᶵሙᡤ䛸䛧䛶 ᅗ᭩㤋䛜ᶵ⬟䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ ಖᐊ䛛䜙ᩍᐊ䜈䛾ᖐ䛾ẁ㝵䛷 䚸ே䛾ど⥺䛻័䜜䜛 ẁ㝵䛻䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᖖ䛷 䛿䛺 䛟䚸㻝᪥䛾䛖 䛱 ఱ㛫䛛䜢㐣䛤䛧䛶 䛔䛯 ඣ❺⏕ᚐ ẕ䛸Ⓩᰯ䛧䚸ᩍᐊ䛻⾜䛟䜎䛷 䛾㛫䜢㐣䛤䛩ሙᡤ䛸䛧䛶 䚸ᅗ᭩ᐊ䛜ᶵ⬟䛧䛶 䛔䛯 ඣ❺⏕ᚐ ᩍᐊ䛻䛺 䜜䜛 䜎䛷 䛾ሙᡤ䛸䛧䛶 ᅗ᭩㤋䛜ᶵ⬟䛧䛯 ඣ❺⏕ᚐ 䜽䝷䝇 䛻㥆ᰁ䜐䜎䛷 䛾ሙᡤ䛸䛧䛶 ᅗ᭩㤋䛜ᶵ⬟䛧䛯 ඣ❺⏕ᚐ ㌿ᰯ䛧䛶 䛝䛯 䜀䛛䜚䛷 㐩䛸䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛛䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ ≉ᐃ䛾ᤵᴗ䛜ཷ䛡䜙䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ Ⓩᰯ䛿ᬑ㏻䛻䛩䜛 䛜ᤵᴗ䛻⾜䛝䛵 䜙䛔ඣ❺⏕ᚐ ┦ㄯᐊⓏᰯ䛾䛯䜑 ┦ㄯᐊ䛜㛤䛟 䜎 䛷 䛾㛫䜔䚸 ᑐே䝖䝷 䝤 䝹➼䛷୍ⓗ䛻 ⴠ䛱 ╔䛟 䛯䜑 䛾㛫䜢 㐣䛤 䛩 ሙᡤ䛸 䛧 䛶 ᅗ᭩ᐊ䛜ᶵ⬟䛧 䛯ඣ❺⏕ᚐ ୍㡸䛛䜚䛾ᑐ㇟䛸䛺 䜛 ඣ❺⏕ᚐ ᮲௳䛝䛾୍ⓗ䛺 ⏝䜢䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠐䠅 ᒃሙᡤ䛷 䛒䜛 䠄䠔䠅 ᒃሙᡤ䛜䛺 䛔䠄䠍䠒䠅 ᒃሙᡤ䛻䛺 䜛䠄䠍䠕䠅 ᒃሙᡤ䛻䛩䜛 䠄䠍䠕䠅 ᮏ䛜ዲ䛝䛺 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠒䠅䚷䈜ᥖ ᤵᴗ୰䛻ᮏ䜢䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅䚷䈜ᥖ Ꮫᰯ㐺ᛂ䛻ᅔ㞴䛾䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠍䠌䠅 ே㛫㛵ಀ䛜䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠓䠅䚷䈜ᥖ 䛚䛸䛺 䛧䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅䚷䈜ᥖ ᅗ᭩ᐊⓏᰯ䛾⤌䜏䜢ά⏝䛧䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠓䠅 㐺ᛂ䛾ḟ䛾ẁ㝵䜈䛾䝇䝔䝑 䝥䛸䛧䛶ᅗ᭩ᐊ䜢 ⏝䛩䜛ඣ❺⏕ᚐ䠄 䠔䠅 ༢ྲྀᚓ䛜䛷䛝 䛺䛟 䛺䜚ᤵᴗ䛻 ฟ䜛௦䜟䜚䛻 ᅗ᭩ᐊ䛻 ᮶䜛ඣ❺⏕ᚐ䠄 䠎 䠅 䚷 䈜ᥖ ᮏ䛜ዲ䛝䛺 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠒䠅 ᤵᴗ୰䛻ᮏ䜢䜚䛻᮶䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ᩍᐊ䛻ධ䜜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠒䠅 ᩍᐊ䛻䜒ಖᐊ䛻䜒ᒃሙᡤ䛜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ᩍဨ䜢㑊䛡䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠏䠅 ୍ⓗ䛺 ᒃሙᡤ䛸䛧䛶 ᮶ᐊ䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 Ⓨ㐩㞀ᐖ䛾䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠏䠅 ᚰ⌮ⓗ䛻㈇ᢸ䛾䛝䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠑䠅 Ⓩᰯഴྥ䛾䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ே㛫㛵ಀ䛜䛖 䜎䛟䛔䛛䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠓䠅 䛚䛸䛺 䛧䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ⫋✀㐃ᦠ䛷 㛵䜟䛳䛯 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠐䠅 ᅗ᭩ᐊ䛷 ᤵᴗ䜢ཷ䛡䛶 䛔䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 Ⓩᰯ䜈䛾䝇 䝔 䝑 䝥 䛸䛧䛶 ᮶ᐊ䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠏䠅 ᩍᐊ䛻ධ䜛 䜎䛷 䛾ᒃሙᡤ䛸䛧䛶 ᮶ᐊ䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ᪂䛧䛔⎔ቃ䛻័䜜䜛 䜎䛷 䛾ᒃሙᡤ䛸䛧䛶 ᮶ᐊ䛩䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠏䠅 ฟ䜙䜜䛺 䛔ᤵᴗ䛜䛒䜛 ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 ༢ྲྀᚓ䛜䛷䛝䛺䛟 䛺䜚 ᤵᴗ䛻ฟ䜛௦䜟䜚 䛻ᅗ᭩ᐊ䛻᮶䜛ඣ❺⏕ᚐ䠄䠎䠅 Ꮫᰯෆ䛻ᒃሙᡤ䛜䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠕䠅 ᩍဨ䜢ᒃሙᡤ䛻䛷 䛝䛺 䛔ඣ❺⏕ᚐ䠄䠐䠅
の大グループとグループ編成がなされた。この結果を Table4 に示す。 以下,大グループは【】, 中グループは〈〉, 小グループは《》, 最小単位 のカードは「」で示す。 学校図書館担当司書の自由記述から,どのような児童生徒が図書室登校を しているかに関して,【居場所である】【居場所がない】【居場所になる】【居 場所にする】という 4 つの大グループが見出された。 【居場所である】は〈本が好きな児童生徒〉〈授業中に本を借りに来る児童 生徒〉の 2 つの中グループから成る。【居場所がない】は〈学校内に居場所 がない児童生徒〉〈教員を居場所にできない児童生徒〉〈単位習得ができなく なり授業に出る代わりに図書室に来る児童生徒〉〈わがままな児童生徒〉の 4 つの中グループから成る。【居場所になる】は〈学校適応に困難のある児 童生徒〉〈人間関係がうまくいかない児童生徒〉〈おとなしい児童生徒〉の 3 つの中グループから成る。【居場所にする】は〈図書室登校の仕組みを活用 している児童生徒〉〈適応の次の段階へのステップとして図書室を利用する 児童生徒〉〈条件付きの一時的な利用をする児童生徒〉の 3 つの中グループ から成る。 【居場所である】 自明のことだが,図書室は読書ができる場であり,〈本が好きな児童生徒〉 にとって図書室は好きな読書ができる居場所であり,図書室登校につながっ ていることがうかがえた。また,図書室登校をしていて毎日,もしくは時々〈授 業中に本を借りに来る児童生徒〉の記述より,読書が好きな児童生徒にとっ て,図書室登校ができることは登校のきっかけとなっている可能性も示され た。 以上をふまえると読書に親和性の高い児童生徒にとっては,図書室は相談 室や保健室にはない,魅力的な居場所であることが考えられる。 【居場所がない】 〈学校内に居場所がない児童生徒〉は《教室に入れない児童生徒》《教室に も保健室にも居場所がない児童生徒》《教室を逃げ出してくる児童生徒》の 3 つに分類された。教室に居場所間がなかったり,保健室にも居場所がなく 保健室登校も難しかったりする児童生徒が図書室登校をしていることが示さ れた。 〈教員を居場所にできない児童生徒〉は《教員を避ける児童生徒》《親が担 任とトラブルがあり,図書室で過ごす児童生徒》の 2 つに分類された。児童 生徒本人が担任教員や養護教諭と相性が悪かったり,相談ができなかったり
する場合や,児童生徒の保護者が担任教員との関係がうまくいっていない場 合に図書室が活用されていることが示された。 また,〈単位習得ができなくなり授業に出る代わりに図書室に来る児童生 徒〉〈わがままな児童生徒〉の記述も見られた。 総合すると,図書室の本来の機能である読書ができるということとは関係 なく,学校内に居場所がない児童生徒が避難できる場として図書室が機能し ている可能性が考えられる。 【居場所になる】 〈学校適応に困難のある児童生徒〉は《発達障害のある児童生徒》《心理的 に負担の大きい児童生徒》《不登校傾向のある児童生徒》の 3 つに分類された。 発達的な特性をもっている児童生徒や,精神的に不安定な児童生徒が図書室 登校をしていることが示された。 また所属クラス等で〈人間関係がうまくいかない児童生徒〉や〈おとなし い児童生徒〉も図書室登校をしているとの記述が見られた。 このように特性や性格などから学級集団に居場所感をもちにくい児童生徒 は,集団生活をしなくてもよい図書室が居場所になることでなんとか学校生 活をこなしていく様子がうかがえた。 【居場所にする】 〈図書室登校の仕組みを活用している児童生徒〉は《他職種連携でかかわ った児童生徒》《図書室で授業を受けている児童生徒》《図書室で自習をして いる児童生徒》の 3 つに分類された。保健室や職員室などとの連携を行い, 児童生徒にかかわっているという記述が見られた。 〈適応の次の段階へのステップとして図書室を利用する児童生徒〉は《再 登校へのステップとして来室する児童生徒》《教室に入るまでの居場所とし て来室する児童生徒》《新しい環境に慣れるまでの居場所として来室する児 童生徒》の 3 つに分類された。図書室登校の児童生徒が,不登校から教室復 帰へいたるプロセスにおいて図書室を利用していたり,一日の中で教室に入 るまでの居場所として活用していたり,転入等で新たな環境になじむまでの 居場所として図書室を利用している様子が伺えた。 〈条件付きの一時的な利用をする児童生徒〉は《出られない授業がある児 童生徒》《一時的な居場所として来室する児童生徒》の 2 つに分類された。 特定の授業が受けられず,その時間を図書室で過ごす児童生徒や,普段は相 談室登校をしているが,相談室が開くまで一時的に図書室に登校する児童生 徒がいるという記述があった。
総括すると,学校が図書室登校のシステムを構築し,図書室を積極的に居 場所にすることで,児童生徒の支援にあたっている様子が示された。 Ⅳ . 結語 学校図書館担当司書への質問紙調査より,図書室は既に別室登校の場所と して活用されている学校もあり,児童生徒にとって様々な居場所としてのあ り方があることが示された。保健室や相談室とは違い「悩みや体の不調など なにかがなくてもいける場所」と認識されているであろう図書室が,児童生 徒の居場所となることは利点も多いことと考えられる。しかし,図書室が不 登校児童生徒の居場所となることは,学校図書館担当司書にとっては本来の 業務ではなく,図書室が児童生徒の多様な居場所となることに困難さを抱え ることもあると推察される。今後,学校図書館担当司書が抱える困難さにつ いて調査を行い,改善策を検討することが必要であろう。 付記 調査にご協力いただいた学校図書館担当の司書の先生方に深く感謝申し上げます。 引用文献 安藤香織 (2004) データを整理する . 無藤隆 ・ やまだようこ ・ 南博文ら編 質的心理学 ―創造的に活用するコツ―. 新曜社 .192-204. 第 62 回学校読書調査報告・全国 SLA 調査部 (2016) 第 62 回学校読書調査報告 . 学校 図書館 2016 年 11 月号 ,12-62. 本田広美 (2008) 教育現場の図書室または学校司書における心理的援助についての一 考察 . 図書館学 93,13-20. 川喜田二郎 (1967) 発想法―創造性開発のために―. 中公新書 . 宮下敏恵・石川もよ子 (2005) 小学校・中学校における心の居場所に関する研究 . 上越 教育大学紀要 ,24(2),783-801 文部省 (1992) 登校拒否 ( 不登校 ) 問題についてー児童生徒の「心の居場所」づくりを 目指してー ( 学校不適応対策調査研究協力者会議報告 ). 文部科学省 (2003) 子どもの居場所づくり新プラン . 文部科学省白書 文部科学省 (2016) 不登校児童生徒への支援に関する最終報告∼一人一人の多様な課 題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進∼ ( 不登校に関する調査研究協力 者会議 ). 文部科学省 (2017) 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 . 辻紀子・伊藤宗親 (2009) 生徒の別室登校生徒への援助行動に関する研究−援助行動 にかかわる「Controllability」の判断の根拠に注目して . 岐阜大学カリキュラム開
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