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学位論文題名 A novel regulatory role of retinoidin lipid metabolism in mammalian cells

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Academic year: 2021

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博 士( 獣医学 )マ ブル クアテ イア アブ ドゥ ルダイ ムア ブドゥカティロ

     学位論文題名

  A novel regulatory role of retinoid in lipid metabolism in mammalian cells

(哺乳動物細胞の脂質代謝におよぼすレチノイドの新たな作用)

学位論文内容の要旨

    ビタ ミンA (VA)は 視 覚、 免疫 機能 、繁 殖、 胚発 生、 さら には 細胞 の増 殖や 分 化 など多岐に渡る生理現象やその過程に重 要な役割を果たす。

    本研 究で は先 ず反 芻 類に おける主要な血中VAであるレチノールお よぴその輸送体 であ るレ チノ ール 結合 タ ンパ ク質RBP4の動態を明らかにするため、様 々な生理的、病 態生 理学 的条 件に ある 牛 の血 漿、初乳および乳中レチノール濃度とRBP4濃度を測定し た。 非妊 娠、 非泌 乳期 の 牛血 漿RBP4濃 度は 大凡45 yg/mlであ り、 牛に60時 間、 餌 を 与え なか った 場合 でも そ のレ ベルは維持されたが、LPS投与実験では投与後4時間で有 意な減少が見られた。非妊娠、非泌乳期 の牛血漿レチノール濃度は約30 Lxg/dlであり、

非 給 餌60時 間 後 に は 対 照 群 の3分 の1に 、LPS投 与 後8時 間 で は 対 照 群 の2分 の1に 減少 した 。出 産3−6日 前 の血 漿RBP4濃度およぴレチノール濃度は非妊 娠、非泌乳期の それ らとほぼ同程度であった。しかし、出 産直後に両者は有意な減少を示し、その2週 間後 に元 の水 準に 復帰 し た。 興味深いことに、RBP4は初乳中に検出さ れ、その濃度は 16.4土5.6 yg/mlで あ っ た 。 し か し 、 出 産 後7日 あ る い は15日目 の乳 中か らは ほ と んど 検出 され なか った 。 初乳 中のレチノール濃度は血漿の約10倍であ り、乳中の濃度 は血 漿と ほば 同程 度に ま で減 少した。これらの結果は牛において血中VAとRBP4の濃度 が、生理的あるいは病態生理学的条件下 で独立して調節されていることを示しており、

またRBP4がレ チノ ール 同 様に 母体から子牛に初乳を介して輸送、移動 することを示し た。

    レチ ノー ルは 細胞 に 取り 込まれるとレチノイン酸(RA)に代謝され 、強い生物活性 を持っようになる。その生物活性のーっ として脂肪細胞分化の抑制が知られるが、逆に RAが 脂肪 分化 を促 進す る との 報告もある。そこで本研究ではRAの脂肪 蓄積に及ぼす作 用を む汀troの 培養 系で 再評 価した。牛筋 問脂肪細胞とマウス3T3―Ll細胞に正常なグ ルコ ース 濃度(NG,5.5mM)で 培養し、RAを添加すると脂肪蓄積が抑制 された。一方、

高グ ルコース濃度(HG,217.5mM)ではRAは何れの細胞においても脂肪蓄 積を促進した。

グル コー スに 代え 酢酸(lOmM)を脂肪合成基質として添加してもRAの作 用の反転は見ら れな かっ た。RAの 脂肪 蓄 積へ の作 用は 脂肪 酸合 成酵 素(FAS)遺伝子発 現と並行して起 こり 、ア セチ ルCoAカル ポキ シラ ーゼ 遺伝 子発 現と は 解離した。またFAS mRNAの転写 を促 進することが知られる転写因子SREBP―1遺伝子発現もFASの発現と パラレルに変化 したが、SREBP−2遺伝子発現は異なる変 化を示した。活性化型SREBPーla cDNAの3T3−L1 細 胞 へ の 強 制 発 現 はFAS遺 伝 子の 発現 増強 を伴 いNGにお けるRAの 脂肪 蓄積 抑制 作 用 を解 除し た。 一方 、SREBP−1siRNAの 添加 はFAS遺伝 子の 発現 を阻 害し 、HGにお け る

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RAの 脂肪蓄 積促進作 用を阻 害した。 っまり、RAの脂肪 蓄積に及 ぼす作 用はグル コース 濃 度によ って促進 あるいは 抑制と 反転し、 それは 転写因子SREBP一laの発現を変化させ てFAS遺伝子の転写量を調節することに因ると考えられた。

    RAに よる グ ル コ ース 濃 度 依存 性 のSREBP―laの発 現 調 節機 構 を 明 らか に す るた め、先ず最初に酸化ストレス剤H202の作用を検討した。NGにおいてH202 (211M)で3T3ーLl 細 胞を刺 激すると 高分子量 膜結合型SREBP−laの分解促進(核内活性化型SREBP―laの増 加 )とも にFAS遺 伝子の発 現亢進 と脂肪蓄 積の増 加が見ら れた。しかし、酸化ストレス 剤H202に よ るSREBPーla活性 化とRAによ るその 転写抑制 は独立 して起こ ったの で、HG で 生 じ る 酸 化 ス ト レ ス は RAに よ る 転 写 亢 進 に は 寄 与 し な ぃ と 考 え ら れ た 。     次 に、核 内受容体 のSREBP一laの発現 調節へ の関与を 調べた 。NGにおい て3T3一Ll 細 胞 をRAで 刺 激す る とretinoic acid receptor (RAR)aとRARy遺伝 子 の 発現 増 加と SREBP―la,  retinoid  X  receptor  (RXR)(X,  peroxisome proliferator−activated receptor (PPAR)y,PPARI3/6,韜よ ぴliverXreceptor (LXR)a遺伝子 の発現抑 制が観 察 された 。一方、HGにおい てRAはSREBPーla,RXRp,PPARI3/8,およ びLXRI3遺伝子の 発 現を亢 進させた が、RARa遺 伝子の発 現を減 少させた 。興味深 いこと に、同様 の変化 は脂肪分化誘導後6日目のみならず1日目でも観察された。

    通 常 、3T3―Ll細 胞 を 脂肪細胞 に分化 させるた めには、 コンフ ルエント になっ た 後 、分化 剤[insulin,isobutylmethylxanthinおよびdexamethasone (Dex:合成グルコ コ ルチコ イド)] で2日 間処理 する。各 成分に ついて検 証したところ、NGにおいては分 化 剤 で 刺激 し な かっ た 細 胞に おいてもRAによるSREBP―la発 現抑制 が観察さ れた。HG に おいてRA単独ではSREBP−la発現亢進 は見ら れず、Dexを作 用させた 細胞にお いての み 、 そ の亢 進 作 用が 見 ら れ た。 っ ま り、 グ ル ココ ル チコイ ド(GC)がHGに おけるRAの 応答性を与えることが示された。

    次 にHGに お け るGCお よ びRA依 存性SREBP−1a発 現 誘導 に 対 す る核 内 受 容体 の 関 与について調べた。細胞をRA、9−CIS―RA (RXR刺激剤)、troglitazone (PPARy刺激剤)

あ るいはT0901317 (LXR刺 激剤)で処理するとGC依存性にSREBP−1a発現が亢進したが、

TTNPB (RAR刺激剤) とGW0742 (PPARp/6刺激剤 )では見 られなかった。HX531 (RXR阻害 剤 ) やT0070907 (PPAR‑阻 害 剤 )処 置 、 およ ぴLXR[3あ るい はPPARyに対 す るsiRNA の 細 胞 内へ の 導 入はGCお よびRA依 存性SREBP一la発現 誘導を 阻害した が、LXRaあ るい はPPARp/6に 対するsiRNAの細 胞内への 導入は それらに 影響を 与えなか った。さ らに、

LXRp siRNAの 導 入 はPPARyお よ びRXRI3遺 伝 子 のRAとDexに よる 発 現 亢進 を 抑 制し た のに対 し、PPARy siRNAの導入 はRXR[3遺伝子の 発現亢進 を阻害したが、LXRI3遺伝子 の 発 現 に は 影 響 し な か っ た 。 これ ら の 結果 はLXRp,PPARyお よ びRXRがHGに お け る GCお よびRA依 存性SREBP―la発現 誘導に中 心的な 役割を果 たすこ とを意味 し、LXRI3が PPARlr遺伝子の発現を調節しうることを示唆した。

    以 上のよ うにRAは細 胞外液 のグルコ ース濃 度に依存 して細 胞の脂質 代謝を抑 制あ る いは亢 進きせる ことが新 たに見 いだされ た。こ のRAの相反 する作 用の鍵と なる分 子 はSREBP―laであり、その遺伝子のRAによる発現変動は脂肪分化の初期段階から見られ、

HG、GCお よ ぴRA依 存 性 に 核 内 受 容 体LXRI3,PPARyお よ びRXRが 誘 導さ れ る こと で SREBP−la遺 伝子発現 が亢進 すること が明ら かとなっ た。LXRpは細胞内グルコースセン サ ーとし て知られ るので、 この核 内受容体 がRA作用 の細胞外 グルコ ース濃度 依存性 に 関わると考えられる。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    木 教 授    石 准 教授    佐 准 教授    寺

村 和 弘 塚 真由 美 藤 耕 太 尾    晶

     学位論文題名

    A novel regulatory role of retinoid     in lipid metabolism in mammalian cells

(哺乳動物細胞の脂質代謝におよぼすレチノイドの新たな作用)

     ビタミン A は視覚、免疫機能、繁殖、胚発生、さらには細胞の増殖や分化など多岐に 渡る生理現象やその過程に重要な役割を果たす。本研究ではまず反芻類における主要な血 中ビタミン A であるレチノールおよぴその輸送体であるレチノール結合タンパク質RBP4 の動態にっいて調ベ、牛においてレチノールと RBP4 の濃度が、生理的あるいは病態生理学 的条件下で独立して調節されていることを示し、さらにRBP4 がレチノール同様に母体から 子 牛 に 初 乳 を 介 し て 輸 送 、 移 動 す る こ と を 初 め て 明 ら か に し た 。      レチノールは細胞に取り込まれるとレチノイン酸(RA) に代謝され、強い生物活性を持 っようになる。その生物活性のーっとして脂肪細胞分化の抑制が知られる。しかしながら、

牛筋間脂肪細胞とマウス3T3 ―Ll 細胞を用いた本研究において RA の脂肪蓄積に及ぼす作用 は正常グルコース存在下では抑制であるのに対し、高グルコース存在下では促進と反転す ることを初めて明らかにした。また、グルコース濃度に依存したRA の脂肪蓄積に及ばす作 用は転写因子sterol regulatory element −binding protein (SREBP) ーla の発現を抑制ある いは亢進させて脂肪酸合成酵素遺伝子の転写量を調節することに因ることが強く示唆され た。

    RA によるグルコニス濃度依存性のSREBP 一la の発現調節機構を明らかにするため、最 初に高グルコース濃度で生じる酸化ストレスの作用について検討したが、酸化ストレスは 高グルコース濃度条件下での RA による転写亢進には寄与しないと考えられた。次に、核内 受容体の SREBP ―la の発現調節への関与を調べた。各種アゴニスト、アンタゴニストを用い た解析結果により、RA によるSREBP ―la 遺伝子の発現変動にはグルコース濃度のみならず、

グル ココ ルチコイド が必要であ り、それら 3 っの因 子に依存し て核内受容 体 liverX

receptor  (LXR)p ,peroxisome proliferator ―activated receptorY およてドretinoidX

receptor が誘導されることでSREBP ―la 遺伝子発現が亢進することが明らかとなった。LXR

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は細胞内グルコースセンサーとして知られるので、この核内受容体が RA 作用の細胞外グル コース濃度依存性に関わると考えられた。

     。

     以上のように、本研究は、ビタミンA の作用やその輸送に関わるRBP4 .の動態にっいて

新たな一面を明らかにしたものであり、哺乳動物の生理学に貢献が大である。よって、審

査委員一同は、上記博士論文提出者、Mabrouk Attia Abd Eldaim Abd Elkader 氏の博士論

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審査等に合格と認めた。

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