精神発達遅滞児童の語彙能力
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(2) . 精神発達遅滞児童の語桑能力. 亀. 畑. 義. 彦 ・大. 嶋. 謙. は じ め に. 本研究は, 「絵画語い発達検査 (PTV) 」 および 「動詞絵画語藁検査」(自作) を用いて, 健常幼 児と精神発達遅滞児の理解語員能力を比較検討したものである. 各節は以下の通りである, 工, 問題の所在と目的 江, 「動詞 絵画 語 員検 査 (Ver bsp i l t 」 の作成 t) c u reVocabu a ryt e s. (1) 検査語の選定. (2)・検査語の絵画と呼び検査. 皿. 理解語員数の算定 ‐ 方法 N , (1) 検査用具 (2) 対象児. (3) 検査方法. (4) 測定方法. (5) 処理. V. 結果 (1) 健常児群および精神発達遅滞児群の語桑年齢とその比較 (2} 両群の品詞別語数と理解語員数の比較 (3) 精神発達遅滞児の理解語桑の要因分析 W. 考察 皿, まとめと要約. 工. 問題の所在と目的. 79) は, 「語員は正常な同年齢児の 精神発達遅滞児の語桑能力に関して, ル ビンシュ テイン (19 語集に比べて著しく少ないということが明らかにされている. 普通児の場合でも生じている受動語 員と能動語藁との間の差異は, 精神薄弱児の場合, 特に大きい. 精神薄弱児の能動語藁は非常に乏. しい, 精神薄弱児は形容詞, 動詞, 接続詞をほとんど用いない, 精神薄弱児が用いる単語の意味は, 1 )と述べている 彼が指摘する受動語員とは一般 大部分その単語の実際の意味と一致していない,」 , に理解語桑, また能動語藁とは表出語藁と呼ばれているものである. 彼の指摘するところによれ ば,. 精神発達遅滞児の理解する, また,,表出する単語はほとんどが名詞であるということになる, 2 )は 精神発達遅滞児の語員能力について 肯定的な単語を多く用いる 自己に 1) 小出進 (1 9 7 , , ,. 関する単語が多い, 使用できる語員数が少ない等々を特徴としてあげている. 彼によれ ば, 健常児 と比較して精神発達遅滞児は副詞, 形容詞の使用率が有意に低いことが指摘されている, また,、長 3 )は精神発達遅滞児の使用語藁を「分類語員表」 4 )の意味区分に基づいて分析している 内利雄( 19 70) . , 6%, 用の頚すなわち動詞が全体の2 5%, 相の類 その結果, 体の類すなわち名詞が使用語桑全体の5 すなわち形容詞が13%, その他の類が6%であったと報告している, 意味区分の考察では● , 精神発. 89.
(3) . 亀 畑. 義. 彦・大. 嶋. 謙. 一. 達遅滞児の使用語員は人間活動の主体を現わす語桑および自然現象を現わす語藁が特に少なく, 自 己中心的な語員が多い傾向にあると述べている, 、自己中心的な語意が多く使用される傾向にあると. いう指摘は小出進の考察と共通している, 5 }の研究によれ ば 語藁の表出および理解は精神年齢 19 79) 絵画選択法を用いた高橋八代江ら ( , の影響が大きいこと, また, 健常児との比較では語桑カテ ゴリー間に差異がみられること, 表出で は不確かな概念による応答が多いことなどを結論として尊いている. 特に精神発展遅滞児は身の回 りに限定された単語を多く使用する傾向があり, 自己限定的であることは, 小出, 長内の研究と共 通 す る も の で ある,. 6 }の研究がある そ 75) 絵画を用いて精神発達遅滞児の使用語桑を検査したものに松原隆三 (19 .. の結果によれ ば表出文中の語員数は精神年齢2歳から4歳までは大きな変化が見られない が, 精神. 年齢5歳から1 0歳まではほぼ直線的に増加することが見られている, この研究は精神年齢の低い段. 階から高い段階まで縦断的に検査した研究として特筆される が, 高橋らの結果と比較すると, 語員 数の獲得は精神年齢についての単純相関でないとするところが松原の特徴である. 80) の研究によれば, 分類成 絵カー ドを語員カテ ゴリーに分類させる実験を行っ た神田和枝 (19 績は精神年齢が高くなるにつれて上昇するが, その分類説明は精神年齢が5歳以下では有意に不能. であるものが多いことを指摘している, この結果から 「精神薄弱児は状況に適した言語反能が少な 7 )ことを考察している 精神年齢のある段階までは言語反応が不正確であることは先の松 くない」 . 原の結果と同様であり, 状況に応じた言語を使用することができないことは, これまで見た先行研 究の結果とほぼ一致するものである. 精神年齢と語桑能力が相関するとする指摘も先行研究の一致 した結論であるが, 精神年齢の算出方法は知能指数と正の相関関係にあり, 生活年齢とは逆の相関. 関係にあることを考えると, 精神年齢が高くなるということは, 同じ生活年齢の場合は知能指数が 高くなることであり, 同じ知能指数の場合は生活年齢が低くなることである, 一般に語意は発達的 に促えることが可能とされるが, それは生活年齢と正の相関関係にあることを意味する, 従って, 先の二つの場合, 生活年齢が低くなるという例は考えることが困難となる. 故に, 語員能力が精神. 年齢と相関するということは, 知能指数と相関すると考えてさしつかえないように思う. 語桑能力が精神年齢と正の相関関係にあるとする結論の多く は, 知的能力がその要因であること を 示 唆 し て い る.. 次に, 語員能力について, 主として品詞分類を用いた研究に東京学芸大学附属養護学校の研究 8 )がある 絵画を説明させる検査法を用いて 名詞9語 動詞6語を呈示した 被験児は 19 80) ( . . , , 幼稚部から高等部まであるが, その結果, 名詞絵画に対する説明の的確さは, 学年が上昇するにつ. れて正確になるが, 動詞絵画に対する説明は低学年段階ではほとんど不正確であり, 小学部高学年 に至って, ようやく説明が可能であったと報告している. 9 )の研究がある こ 985) また, 動詞について発語分析法を用いて研究したものに大木・池田 (1 , れは二語発語期にある精神発達遅滞児8名と, 同期の健常児3名 との比較研究である が, その結果,. 健常児は 「だれが~どうする」 という意味関係を早くから獲得しているが, 遅滞児の場合は 「~が. ある」 「~する」 という発語がほとんどであり, 人間意外の 「もの」 についての表現が多く, 人間 関係および行為などについての表現が少なくないことを見出している.. 動詞を自動詞群と他動詞群んとに区分 して, その理解, 表出の差異を検討 したものに池弘子 1 0 )の研究がある 表出検査と理解検査を実施している 対象児は語員年齢で統一された4 (19 81) . , 0名, 遅滞児2 0名である. その結果, 表現に関しては, 自動詞と他動詞の 歳から7歳までの健常児2 分化時期は動詞により差があるが, 遅滞児と健常児は同様な傾向を示すこと, また, 健常児の場合. 90.
(4) . 精神発達遅滞児童の語桑能力 は, 自動詞と他動詞が分化していない場合, 他動詞で代表させて使用する傾向があるのに対して , 遅滞児の場合はこの傾向があいまいであると報告している, 理解検査の結果では, 健常児の場合は. 動詞獲得の発達的差異はほとんど見られないが,遅滞児の場合は差異が大きいことを見出している. 結論として, 「自動詞よりも他動詞に正答が多 い傾向にあるということから, 発達の初期において は他動詞な観点がまずあり, その後, 自動詞的なものの見方が出てくる可能性が示唆される,」 と して いる,. 以上,特に動詞を中心とする先行研究を検討したが,遅滞児の場合,関係を意味する動詞の理解・ 説明が困難であることが, 名研究者の共通点である, 1 1 )は 「名詞の扱 品詞に区分された語意の発達と獲得の障害について, ジャコ ブソン.R ( 19 8 4) ,. い方と動詞の扱い方との関係は,言語および言語障害の研究にとっては枢要な問題のひとつ である. 品詞はもっとも安定した範時として, その点では動詞に対立しているが, 動詞由来の名詞は動詞と 同レベルにあり, 形容詞が名詞と動詞の中間の位置を占める. このような観察結果と洞察を照らし. 合わせてみると, 動詞は有微の範暖として名詞に対して上部構造をなしでいるということになり , また言語の習得と崩壊はそろってこの順序の正しいことを裏書きしている.」●と指摘している, こ. れは言語の習得が名詞, 形容詞, 動詞の順序でなされ, 言語の障害は動詞, 形容詞, 名詞の順序で 崩壊し, 重篤化していくものであることを示唆するものである, 本研究は語桑の理解能力に視点をあてて, 特に名詞と動詞を中心とした検査を実施 し, 両検査の 結果を精神発達遅滞児群および健常児群と比較する中で, 遅滞児群の語藁理解力の特徴を検討する ことを目的とした.. ロ.. 「動詞 絵画 語藁 検 査 (Ver bsp i l 」 の作成 ure Vocabu ct t) ar s yTe. 本研究は名詞と動詞を対象とした語員理解力の検討を目的とするが, 検査用具についてこれまで に標準化された言語検査の中で, 語員理解力を語藁年齢という基準で算定できるものは 「絵画語い 2 )だ け で あ る こ の 検 査 は名 詞 を 中 心 に 構成 さ れ た もの ー 発達検査 (p i 」1 t) t ryTes a c u r evocabu であ ,. る. 動詞を質問する課題は全6 8間中6問である, この検査を本研究では, 名詞の理解力を検討する 検査と考えることにした. 従って, この検査で質問される動詞6語 (「はく」 「ほえる」「泳ぐ」 「飛. ぶ」 「わかす」 「住む」) を削除することにした. 他方, 動詞だけを対象として語員理解を検討する 検査は今までのところ作成されてはいない, 本研究の目的を遂行するために, この動詞だけからな る検査用具を作成する必要があった, 作成手順は以下のとおりである. (1) 検査語の選定. 「動詞絵画語桑検査 (VPVT) 」 の作成にあたって, 検査語をどのように選定するかが第一の課 題であった, ここでは 「基礎語」 および 「基本語」 という国語学の概念を参考することとした. こ 3 ) の概念の共通理解として次のことが揚げられる,1 i, 歴史的に変化の少くない語群. =, 使用頻度の高い語群 1 =. 日常の言語生活がひと通りまかなえる最小限の語群. i v, 動作を表現する語群 1 4 )がある 検査 これらの共通理解点を用いて基礎的な語員を掲載している辞典として 「広辞苑」 , 語を選択するにあたって, 本研究では 「広辞苑」 の基礎語のリス トを標準とした. このリス トをも 91.
(5) . 亀 畑. 義 彦・大. 謙 一. 嶋. とに, 語員の研究にみられる共通性のある単語を求めるために以下に見る各種の文献を参照した. ・ 小 学 こ と ばのつ か い か た辞 典 1984 教 育 社. i 97 ・基礎日本語( ) 7 森田良行 角川小辞典7 ・1 2 )1 ・基礎日本語( 98 0 森田良行 角川小辞典8 ・ か どか わ こ ど も え じて ん 1982 村 石 昭三. 角 川 書店. 9 岩波書店 ・岩波国語辞典第三版 197 ・ 分 類 語 藁 表 1964,国立国語研究所 秀英出版 76 岩淵・村石 日本放送出版協会 ・用例集幼児の用語 19. 85 五味太郎監修 ・言葉図鑑②う ごきのことば 19 9 84 阪本一郎 学芸図書 ・新教育基本語員 1 77 阪本一郎 ・絵本の研究 19. 借成社. 日本文化科学社. ・言語行動の諸相 19 7 8 林 四郎 明治書院 83 島村直巳 国立国語研究所報告4 ・小学校低学年用国語教科書の用語. 19 9 81 国立国語研究所報告69 ・児童の連想語藁表 1 ・幼児′ 6 7 大久保 ・幼児言語の発達 19. 愛 東京堂出版. 8 2 大久保 愛 国立国語研究所報告71 ・就学前幼児の語員 19 4 , 83 ・動詞とその下接続の発達の実態 19 ・ 大久保 愛 国立国語研究所報告7 4 中西靖子 聴覚言語障害3巻2号 7 ・幼児の共有語藁 19 6 中西・大和田 7 ・幼児との対話における成人の語藁 19. 聴覚言語障害5巻1号.. 9 78 中西・大和田 聴覚言語障害7巻1号 ・3歳児の共通語員 1 8 7 福沢周亮 ・子どもの言語心理② 19. 大日本図書. 979 河井芳文 田中教育研究所 ・言語発達診断検査 1 6 0 国立国語研究所報告6 ・幼児の語藁能力 198 7 4 長谷川ほか ・3歳児における語員検査の検討 (第1報) 19. 聴覚言語障害3巻1号. 9 80 中西・大和田 音声言語医学 VOL21, No4 ,・絵単語同定検査の作成 1 97 8 田中恒夫 日本文化科学社 ・増訂言語治療ハン ドブック 1 ・ こ と ばの テ ス トえ ほ ん 1964 田 口 ・機 沼. ・動作絵カー ド 1 85 玉井ほか ( ) 19. 日 本文 化 科 学 社. 都立神経病院リハ ビリ科. 失語症の言語治療 19 78 湖沼ほか 医学書院 2 児玉・品川・茂木 ・日本版 WI SC‐R知能検査法修正版 198 73 旭出学園教育研究所 ・ITPA 言語学習能力診断検査 19. 日本文化科学社. 日本文化科学社. 81 小田・茂木 日本文化科学社 9 ・マ ッカーシー知能発達検査修正版 1 70 田中教育研究所 田研出版 70年新訂版 19 ・田中 ビネー知能検査法19 これらの文献を照合した結果, 「広辞苑」 の基礎語リス トとの共通性は最高18文献に共通してみ られる語が1語, 17文献に共通してみられるものが3語等々であっ た, いま10文献以上に共通する b l 単語を掲 げると Ta elの通りである. 本研究ではこれらの単語を生活基本語員と考えることにし た.. l b この表をもとに動作を表現する語を選び検査語とした. その結果, Ta e 2 に見られる40語が選. 択さ れ た.. (2) 検査語の絵画化と予備検査 92.
(6) . 精神発達遅滞児童の語員能力 Tabl el. 生活基本語桑一覧. 生活基本語員 分 類 語 員 対 象 年 齢 使 用 頻 度 青い. 相・自然現象 赤い 相・自然現象 開く・明く 用・抽象関係 用・抽象関係 開ける 上 げる・揚 げる 用・精神行為 遊ぶ 用・精神行為 用・抽象関係 有る・在る 有難う 相・精神行為 歩く 用・精神行為 言う 用・精神行為 用・抽象関係 行く 痛い 相・精神行為 要る 用・抽象関係 入れる 用・抽象関係 用・抽象関係 居る 歌う 用・精神行為 大きい 相・抽象関係 用・抽象関係 置く 落ちる 用・抽象関係 想う・思う 用・精神行為 用・精神行為 買う 帰る 用・抽象関係 書く 用・精神行為 用・精神行為 聞く 切る 用・抽象関係 来る 用・抽象関係 下さる 用・精神行為 く れる 用・精神行為 黒い 相・自然現象 , 用・精神行為 捜す・探す 知る 用・精神行為 白い 相・自然現象 する , 用・精神行為 好く 用・精神行為 少ない 相・抽象関係 用・抽象関係 出す 小さい 相・抽象関係 違う 用・抽象関係 用・抽象関係 付く 用・精神行為 着ける 造る・作る 用・精神行為 出る 用・抽象関係. 2歳 2歳 5歳. F=. 4歳. F = 170. 3歳. F = 508. 3歳. F = 255. 3歳 5歳 3歳. F=. 42. F=. 53. 3歳. F = 803. 2歳 4歳. F =1623. 4歳 2歳 2歳. F = 215. 4歳 2歳 3歳 3歳 3歳. 幼 児 の 語 桑 能 力. 33. F = 192 ′. F = 163. F = 995. F = 234 F = 321. ’BI1 C42 ’D31D21 ’ A33 , , , , ’ A13 ,B52 ,A65 ,D64. B72 A35, D32 A32 D24 ,. D14. F =2291 F=. 61. D7 3. F = 424 F = 240 F=. 20. F=. 97. C3 3 C72. .. F = 228. ’ B51. F = 136. ’ A23. F = 419. C65 D ,C73 , 52 , D53 ,. 2歳 4歳 3歳 2歳 2歳 3歳 3歳 3歳 5歳. F=. 38. 2歳 3歳. F=. 37. F = 339. 2歳. F=. 3歳. F =1544. 5歳 4歳. F = 232 F=. 2歳. F = 127. 2歳. F = 212. 4歳 4歳 3歳. F = 272. 2歳. F = 597. 3歳. F = 283. F=. 45. F = 105 F =1307 F = 289 F = 110. 47. C3 5. ’ D42. ’ C31. A25 、. 68. F = 195 F = 209. ’ C45 ,D14. B5 4 ’B61 A14 A73 , , D3 1 ’ A43. 坂本1979 AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI A2, AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI. 93.
(7) . 亀 畑 le 2 Tab. .. 対 象 年・齢. 義. 彦・大. 嶋. 謙 一. 動詞絵画語桑検査の検査語 検. 査. 語. 1歳6月. 開ける. 出す (出る). 待つ. 切る. 2歳. 回す. 探す. 行く. 有る. 2歳6月. 遣る 」. 来る. 取る. 持っ. 3歳. 作る. 書く. 乗る. 上がる. 3歳6月. 知る. 入る. 読む. 買う. 4歳. 要る. 見る (見える). 聞く. 言う. 4歳6月. 遊ぶ. 呉 れる. 分かる. 思う. 5歳. 好く. 落ちる. 歩く. 似る. 5歳6月. 置く. 違う. 帰る. ,折る. 6歳. 着く. 終る. 歌う. 飛ぶ. ・. 居る. l l Tab e2 e 2 の 検 査 語40語 を 幼 児 向 け に絵 画 化 した. 図 版 は9omm×9ommで 白黒 線 描 で あ る, Tab. の対象年齢を参考に, 各年齢対象の4語各1枚の図版, 合計4枚で1ページとした. 検査は練習問 i 題 3 問 1 ペ ー ジを 加 え て, 全部 で11ペ ー ジと な っ た. F g.1 は練 習 問題 に 採用 した 図 版 で ある,. 壱. F i g .1 検査後の絵画化. A. UM5:09. SDO: 0名 (CP 作成した検査について予備検査を実施した, 対象児は幼稚園児年長児6. d D 」 43:10 05) , SDO:04) である, . SDO:03) 年 少 児30名 (CA , 年 中 児30名 (Cm44:10. 検査は1枚の図版に対して1語を質問し, 被験児は4枚の図版から, 質問に相応する図版の1枚 を指差しで答えるという方法によっ た, この結果, 「要る」{各年齢平均通過率45%) , 「知る」(各年 4%) 齢平均通過率42%) , 「終わる」(各年齢平均通過率48%) の通過率 , 「違う」(各年齢平均通過率4 の低い4語を検査から削除することとした, これは表現された絵画に問題があると考 えられると共. に, これらの語の絵画表現 が困難であることも併せて検討された. 次に発達に応じた単語の配列の. 94.
(8) . 精神発達遅滞児童の語員能力 問題である, Ta b l e 2に見る対象年 齢は先行研究照合の結 果であるが, この通りに検査を組んで みると, 各年齢群の通過率がTa b l e2の準備通りの傾向を示さない, 従って本研究では予備検査の 結果を参考に語の順を入れかえることにした, なお, 図版は予備検査に用いたものと同じである.. 各図版のそれぞれについては被験児に与える情報の量に差異がみられた. 理解検査では通過率が高 い単語でも, 図版1枚を見せて説明させるという表出検査の結果が必ずしも高い得点を得てはいな いなどの不一致の問題である. これは用いた絵画それ自体の問題と, 理解能力, 表出能力の関係な. ど, 興味深い問題として残されている,. 3 動詞絵画語員検査の問題 Tab l e・ 練習問題. 問. 題1. A, 飲むという 絵はどれですか B, 泣くという絵 はどれですか C, 笑うという絵 はどれですか 1. 2, 3. 4,. 問. 題V. 1, 見る 3. 待つ. 3. 開ける 4. 置く. 問. 題W. 1, 帰る 2, 折る. 2. 似る 4, 来る. 問. 題孤 ・1, 思う 3. 探す. 2, 読む 4. 作る. 2, 歩く 4. 言う. 問. 題孤. 1, 好く 2, 有る. 2, 上 がる 4. 回す. 問. 題広. 1, 分かる. 歌うと いう絵 はどれですか 聞くという絵はどれですか 飛ぶという絵 はど れですか 落とすという絵 はどれですか. 問. 題江. 1. 入る 3. 買う. 問. 題l n l. 乗る 3. 切る. ‐ 1 書く 問 題W ,. 2 持つ . 4, 出る .. 3. す る. 2, 着く. ・ 4. 取 る. 2. 遊ぶ 4, 遣る. 3. 行く. m. 語桑数の算定 5 ) 子供の語員数を扱った代表的な先行研究はTa b l e 4の通りである.1 Tabl e4. 1 ス ミノレノ フ. 歳. 10~15. 村石昭三 イ エス ベ ルセン. 2. 歳 300. 200 一400 38. 久保良英 大久保愛. 360. ナイス. 133. シュ ミッ ト. 各年齢段階の語桑数 3. 歳. 4 ・歳. 1000. 2000. 800~1000. 1500. 6. 歳. 2500 2000~2400. 3000 2688. 295. 886. 1675. 2050. 1029. 1544. 2160. 3180. 1139. 1765. 2502. 3075. 2072. ・ 2589. 2386. 2728. 272. 896. 1540. アルキン. 39. 300. 1100. 1926. 平均. 85. 379. 1046. 1795. 標準偏差. 歳. 232. 3. 128 ,8. 5. 269 ,3. 230 ,7. 244 .9. 411 ,9. 2289. 391 ,4. 95.
(9) . 畑. 亀. 一. 嶋 ,謙. 彦・大. 義. 本研究では, この表をもとに各年齢段階ごとに値を平均して, それを各年齢の語員数の基準値と 1 6 )の算定式を用 1981) した. 次に, この語員数を品詞に区分した. ・区分する方法と・して樺鳥忠夫 ( いた. 樺島の式は以下の通りである. 1. Ad =44 ,16-0 ,55N. 2, Log l ;12.59-7.21Log N. 1) 3, V=100- (N 十 Ad 十・. ‐は名詞 Vは動詞 1はその他の品詞を意味する また指数は%を示 ただし, Adは形容詞, N , , , b l e 5の通りとなる, している, これらの算定式を用いると, 各年齢段階における品詞別語数はTa. 各年齢の品詞別語数. Table 5. 年齢 1 歳 2 歳 3 歳 4 歳 5 歳 6 歳 85 379 1045 1795 2386 2728 総数 N. 54. 240. 660. 1134. 1508. 1 724 ‐. V. 19 ,. 83. 229. 393. 523. 597. Ad T 1 1. 8. 3. 98. 169. 224. 256. 5. 22. 57. 99. 131. 150. 但し、 数値は累加計算値と考える. た l Tab e 5をもとに名詞数および動詞数のそれぞれから語員数を予測するため, 回帰分析を行っ , そこから次の回帰式が導かれた. (a) TN =2 .0十1 .58N 1 (b) Tv ; - ,5+4 .57V. (a) 式は名詞数から語員数を予測する式, (b) 式は動詞数から語桑数を予測する式である. た語員数, Nは名詞数, Vは ● ただし, TN は名詞数より予測した語員数, Tv は動詞数より予測し. 動詞数である. 次に 「PVT」 お よ び 「VPVT」 に採用 された検 査語を, 発達年齢 を 目途 と して整理する と 1 7 } ど Ta b l e 6の通りとなる. 各年齢における語数の算定は検査手引 および語員発達に関する研究な を参照した.. Table 6. 96. 両 検査 語 数 動詞数. 年齢. PVO. 1歳. 3. 54. 2. 2歳. 8. 240. 6. 83 229. 名詞数. VPVT. 19. 3歳. 14. 660. 22. 4歳. 22. 1134. 30. 393. 5歳. 29. 1508. 33. 523. 6歳. 37. 1724. 36. 597.
(10) . 精神発達遅滞児童の語員能力 Tab l l 」 と 「動詞絵画語藁検査 (VPVT) e 5 お よ び Tab e 6から, 「絵画語い発達検査 (PVT) 」. を用いて理解語員数を算定する式は以下の通りである.. i) TN =2 ] .0十1 .58 [一96 ,5十52 .2(PVT 粗 点) i i) Tv ニ ー1 5十4 5 [ 一3 7 4 5十1 5 9(V P T 点) V 粗 ] , , . . m) T = (TN 十 Tv) / 2. ただし, Tとは両検査粗点から予測される理解語員数を意味している.. N. 方. 法. (1)検査用具 i)「絵画語い発達検査(PVT) 」7ページまで. ただし 「はく」「ほえる」「泳ぐ」「飛ぶ」「わ. ,. かす」「住む」 の名語を除く3 7問,. i i) 「動詞絵画語員検査 (VPVT) 」 9ページ, 全問3 6問で構成,. (2) 対象児 Table 7. 年 小 児 年 中 児 年 長 児. 健. 性 別 人数. 常. 児. CA. 群 SD. ・ .. Tab - e8 発達 遅 滞 児 群 MA. 人数 男児 女児 M A平均 I A平均 Q平均 C. 男 児. 15. 3:08. 0:03. 3. 30. 25. 6. 女 児. 15. 3:08. 0:03. 4. 30. 22. 8. 合 計. 30. 3;08. 0:03. 男 児. 15. 4:07. 0:04. 5. 30. 22. 8. 女 児. 15. 4:10. 0:03. 合計. 90. 69. 21. 合,計. 30. 4:08. 0:03. 男 児. 15. 5:07. 0:02. 女 児. 15. 5:07. 0:04. 合 計. 30. 5:07. 0:03. 3:06. 03) (0 : 4:05. 03) (0 : 5:06. (0 ) :03. 37 .6. 9:10. 47 ,1. 9;08. 52 .3. 10:07. 11) (7 : ,2) (1 (7 06) : .7) (1 (7 05) : .3) (2. (3) 検査方法. 検査は初めに 「絵画語い発達検査 (PVT) 」から実施した. 練習問題3問を行っ●た後, 本検査に 、という問いかけでなされた はいる. 教示は 「000はどれですか」 . 被験児は適当と思う絵画を4枚の中から1枚選択し, 指差しで答える, このとき, 絵画に付され た番号を口答したものも正答反応とした, なお 「絵画語い発達検査」 は全37問で構成されているが,. 正答数・誤答数に関係なく最後の質問まで応答したものを有効解答者とした. 「動詞絵画語桑検査 (VPVT) 」 の教示は, 「000という絵はどれ ですか」 という問いかけで なされた, 全3 6問で構成されているが, 有効解答者は 「PVT」 と同一基準にした. 検査は特別教室を利用して, 個人面接方式で実施した. 健常児群, 精神発達遅滞児群とも両検査 に要した時間は 人15分程度である,. 97.
(11) . 亀 畑. 義 彦・大. 嶋 謙. 一. (4) 測定方法 両検査とも, 解答用紙に正答は○, 誤答は×で記入した, 正答数を個人別, 検査語別に集計した, (5) 処理 i) 両群の語桑年齢による比較. i i) 両群の品詞別語数と理解語員数の比較 i =) 精神発達遅滞児の理解語員の要因分析. V. 結. 果 VーA. V. n一 皿 . F ig 2. 両群の語員年齢比較. AGE F ig 3. 両群の品詞別語数と理解語桑. F i g.2 は健常児群および精神発達遅滞児群の各年齢 ごとの語藁年齢を基準として比較した結果. 78 p<0 である. 3歳児群における健常児群および遅滞児群ではt=2 .3 ,05で遅滞児群が劣ってお. り, 4 歳 児 群 で は t=2 .01 ,705 p <0 .197 p <0 .05で 遅 滞 児 群 が劣 っ て お り, 5 歳 児 群 で はt=2. で遅滞児群 が有意に劣っている, なお, 健常児群の男児, 女児による語藁年齢に有意差は見られな. f=28) f=28 f=28 い. (3 歳 児 群t=0 ,671 d .270 d .736 d , 4 歳 児 群t=2 , 5 歳 児 群 t=0 び精神発達遅滞児群の各年齢ごとの品詞別語数および理解語員数を基準 F i 3 は健常児群およ g.. f f=28) と して 比 較 した 結 果 で あ る. 名 詞 数 で は3 歳 児群 (t=2 .925 d ,028 d , 4 歳 児 群 (t=1. =28) で健常児群と遅滞児群に有意差はない. 動詞数では3歳児群で有意差が見られるが (tご. 2 0 .606) で は差 がな い. 理 解 語 員 数 で は す べ て の ,665 .05) .284 p〈 , 5 歳 t=1 , 他 群 (4 歳t=1 群 =2 3 8 <0 が 劣 た (3 歳 7 群で遅 滞 児 t , ってい . p .05 ,197 p <0 .05 , 5歳 , 4 歳 児 群 で はt=2. 児t=2 ,01) ,705 p <0 次 に Tab l e 9 は精神発達遅滞児の各年齢群について, ,理解語員数にかかわる要因を主成分分析に. よって算出した結果である, 各年齢群ともに主成分1では「生 活年齢」 にかかわる要因が抽出され, 主成分虹では 「精神年齢」 にかかわる要因が抽出された, 主成分亘の寄与率は5歳児群で高い. 98.
(12) . 精神発達遅滞児童の語桑能力 精神発達遅滞児群の理解語員数の主成分分析. Tabl e9. M 要. 因. 考. 歳. MA 4歳. M. 主成分工 主成分n 主成分1 主成分n 主成分工. A 5. 歳. 主成分江. 精神年齢. 0 ,571. 0 .537. ‐0 .250. 0 ,499. ‐0 .180. 0 ,580. 語桑年齢. 0 .409. …0 .010. ‐0 ,087. ‐0 ,053. 0 ,070. 0 ,254. 生活年齢. 0 ,919. 0 ,032. 0 ,893. 0 .217. 0 .913. 0 .294. 知能指数. -0 .821. 0 ,404. ‐0 .930. 0 .080. …0 ,949. 0 ,191. 固有 値. 2 .012. 0 ,452. 1,731. 0 ,305. 1 .771. 0 .524. 寄与率. 79 ,853%. 17.960%. 79 .853%. 97 ,495% .813% 81. 累積寄与. 班. A 4. 81 ,452% ,495% 14,349% 80 95 .824%. 80 ,452%. 23 .811% 104 ,264%. 察. (1) 語藁年齢について i F g,2 は生活年齢と比較したときの健常児群の語藁年齢と精神年齢と比較したときの精神発達. 遅滞児群の語員年齢を示す図である, 健常児群の場合は実線が男児破線が女児である. 今, この図 で健常児群に視点をあてて考察すると, 3歳児群および4歳児群では生活年齢と語藁年齢はほぼ相 関しているが, 5歳児群では生活年齢に対して語藁年齢が低くなる傾向を示している, このことは 5歳児群の場合, これまでに獲得してきた語意を検討し, 取捨選択しながら自分の理解可能な語桑 9 5) によれ ば, 子どもの語 8 辞典として取り込む作業をしていることをうかがわせる. 岡本夏木 (1 1 8 ) と表現している 」 員の取捨選択の状態を 「上位-下位概念による階層的組織体の形成 . このこと が可能となる条件として, 岡本は 「語が語どうしの関係づけが問題となり, それがイメージ間の関 1 9 )をあげている この形成が可能となる年齢は小学校の高学年から青年期 係を明確化させること」 , にかけてであるとされているが, 本研究の結果から示唆されることは, 語員の組織化自体の質的問 題は残るが, 少なくとも5歳児または6歳児に第一段階を迎えるのではないかということである. 2 0 )は 「外延的意味の形成期」 と呼び ) 72 J この時期の子 どもの言語活動の特徴をキャロル, , ,B (19 1 2 } 9 62 ) は 「概念的共通化」 と呼んでいる, これらの概念は自己と外界場面と また, ルリア,A (1 の関係づけを中心とするものである. ほぼ4歳児までは自己の生活場面で使用される語員をある程 度無造作に取り込んで来たものが, 思考の発達とともに外界との関係の中で整理する時期として考 えるならば, 本研究の結果 はそれを裏付ける資料を提供しているのかも知れない, 次に, F i g.2で太い実線 は精神年齢を基準とした精神発達遅滞児群の語桑年齢を示す, 精神年 齢に比較して語員年齢は3歳児群, 4歳児群, 5歳児群の各群ともほぼ1歳6ヶ月程度の遅れを示. している, 語藁年齢の増加 は4歳児群において顕著である, 3歳児群の生活年齢平均 は9歳10ヶ月, 4歳児群の生活年齢平均は9歳8ヶ月で, 5歳児群の生活年齢平均 は10歳7ヶ月であり, 3歳児群 7 と4歳児群では生活年齢に大きな差異は認められない. 他方, 知能指数では3歳児群の平均 が3 ,6 であり, 4歳児群の平均が47 ,3である, そして, 4歳 ,1である. また5歳児群の知能指数平均は52 とでは有 が 3歳児群と4歳児群 に顕著な差異は認められない 児群と5歳児群との間には知能指数 , 意な差が認められる. 従って, 4歳児群の語員年齢が顕著に上昇しているのは主として知能指数の. 99.
(13) . 亀 畑. 義 彦・大. 嶋. 謙 一. 要因が作用しているものと思われる. 4歳児群から5歳児群への語員年齢の上昇は主として生活年 齢による要因が作用しているものと考えられる,. 次に, 健常児群と精神発達遅滞児群の語桑年齢を比較すると, 各年齢群について精神発達遅滞児 群は有意に健常児群に劣っている. 遅滞児群の遅れはほぼ1歳6ヶ月である, 健常児群ではほぼ直 線的に語員年齢の上昇が認められるが, 遅滞児群では4歳児群を中心として折れ曲がっている傾向. を示している. 遅滞児4歳児群が健常児群と接近する傾向を示す, このことは語員年齢の遅れを考 えに入れると遅滞児4歳群の語藁年齢は健常児3歳児群の語員年齢とほぼ同一になることを示して いる. 従ってこの時期にある精神発達遅滞児の場合, 先に健常児の言語活動の特徴を考察した時の 結論から推測して, 無造作に語桑を取り込む時期であると考えられる. また先に触れた語員の組織 i 化は, F g.2の傾向から精神年齢が6歳以上の子どもでなけれ ば関係を中心とする語意の再編成 は可能とならないことを示唆する. またこのことは知能指数が低くとも, 生活経験の増加によって 再編成も可能となることを意味するものである. (2) 動詞数, 名詞数および理解語桑数について. F i g.3 は生活年齢および精神年齢を基準として, 健常児群および精神発達遅滞児群の名詞数,. 動詞数, 理解語員数を図示したものである. 健常児群について見ると動詞数については各年齢群とも女児が男児に勝っている. (3歳児群t =2 .098 p <0 .05 .042 p <0 .01 .484 p <0 .01) , 4 歳 児 群t=3 , 5 歳 児 群t=4 名 詞 数 に つ い て は, 3 歳 児 群 (t=1 0 0 9 d f=2 8 ) 4 歳 児 群 (t=0 f=28) で男 女 差 . ,599 d , は認 め ら れ な い が, 5 歳 児 群 で は男 児 が女 児 に有 意 に 勝 っ て い る (t=7 .758 p <0 ,01) , 理解 語. 員数では各年齢群とも男児, 女児に有意差は認められない, 健常児の場合, 動詞数の増加は3歳児 群と4歳児群との間で顕著であるが, 4歳児群と5歳児群との間では顕著な増加は見られない, こ のことは, 健常児の場合, 生活に密着した基本的な動詞は4歳児ま でに獲得されることを示唆する. また名詞数では3歳児群と5歳児群の間でほぼ直線的に増加する, 理解語数も同様な傾向を示す. 従って, 先に考察した語桑の再組織化は4歳までに獲得された動詞を中心にそれに関係する名詞の 外延的意味および共通概念を再編成する作用であることと推察される. 次に健常児群と精神発達遅滞児群とを比較するとブ 動詞数では3歳児群で遅滞児は有意に健常児 に劣っているが, 4歳児群, 5歳児群には有意差は認められない. 名詞数では3歳児群, 4歳児群. では有意差は認められないが, 5歳児群で遅滞児群が有意に健常児群に劣っている. また, 理解語 桑数では各年齢群とも遅滞児が有意に健常児群に劣っている. 従って, 精神発達遅滞児の場合は3 歳児群の劣性要因は動詞の獲得であり, 5歳児群では名詞の獲得に劣性要因があることが示唆され. る, 他方, 4歳児群では動詞数および名詞数に有意差が見られなく, 理解語員数に有意差が認めら れるために, 遅滞児の劣性要因は動詞および名詞以外の品詞の獲得にあることになる. 2 2 )によれば 事物.事象 名詞および動詞の機能性に着目すると, 名詞の機能は加藤一郎 (19 72) , 2 3 )によれ の実態概念を表現する品詞であると説明している. また, 動詞は国立国語研究所 (1 5) 98 ば, 動作・変化などの運動過程を表現する品詞であると説明している. これらの指摘を参考にする. と, 遅滞児3歳児群の場合は動作・変化などの運動過程を理解する語群の獲得に困難を示すこと, また遅滞児5歳児群の場合は事物・事象の実態概念を理解する語群の獲得に困難を示すと考えるこ とができる. 他方, 4歳児群は他の品詞, すなわち事物の様相・性質・情態・程度などを表現する 4 )などの獲得に困難を示すことが考えられる また理解語桑の品詞別獲得を順序的 形容詞,動詞2 . にみると, 動詞, 形容詞, 名詞の順で獲得されることが, 語員発達に ・は重要であるということにな 2 }の 指 摘 し た こ と と 逆 の 方 向 を 示 す こ と に 5 る, こ の こ と は 先 に 引 用 し た ジ ャ コ ブソ ン.R (1984). 100.
(14) . 精神発達遅滞児童の語員能力 なる.. 語桑の組織化の問題を考えるならば, 健常児は動詞を中心として名詞を関係的に取り込むと推察 されるが, この傾向が正しいものとすれば, 遅滞児の場合は動詞の獲得につまづくが故に, それ以. 後の語員能力の発達は語員を再編成することなく, ただ量的な増加ということで満足している様に 思われる. 従って, 関係的な語員の取り込み作用 は困難であり, 状況の理解も個別的現象的になら ざるをえない, 遅滞児の場合, 語員能力の障害は名詞, 形容詞, 副詞, 動詞の順序で重篤化される ものと予想される. (3) 精神発達遅滞児の理解語藁に関係する要因について. 精神発達遅滞児の理解語桑に関係する要因を分析するために, 精神年齢, 語員年齢, 知能指数, i l l および生活年齢を成分とする主成分分析 (phn i lconponentana s) を 行 っ た, Tab e・9 は遅 c a ys p 滞児の各年齢群についての分析結果である. この表によると, 各年齢群とも主成分工は生活年齢に 0%である. また, 主成分江は3群とも 関係するものである, これが寄与する場合は3群ともほぼ8. 精神年齢に関係するものである. 寄与率は3歳児群および4歳児群では差は見られないが, これら 両群と5歳児群との間には明らかな差異が認められる, 5歳児の場合, 理解語桑に関係する精神年 齢の寄与率は2 4%である. 従って, 5歳児群の場合は他の年齢群と比較して語員能力に関して精神 年齢が寄与することになる, この年齢群が事物・事象の実体概念として語藁を獲得することに困難. を示すとする先の考察と併せて考えると, 思考または知的能力の不足が5歳児群の語桑獲得に対す る問題と考えることができる. しかし, いずれの年齢群でも理解語員に関係する要因として生活年 齢が大きな比重を占めていることに変わりない.. W まとめと要約 先行研究では語藁能力の知的要因について言及したものは多く見られる が, 生活経験の重要性に. ついて力説したものは少なくない, それは先行研究の対象児がほとんど5歳児以上であることと無. 関係でない様に思われる. 対象児の精神年齢が上昇するに従って, 語藁能力について知的能力要因の負荷が増大することは 先に考察した通りである, 精神発達が遅滞しているが故に, 語藁の発達に関しても知的能力に負荷. を有するとする考えは否定できないが, 全ての遅滞児が語員の発達について同様の知的負荷を有す ると考えるのは早計のことの様に思われる. まとめとして, 健常児4名をその誕生から6 歳 に なる. まで, 言葉の発達を追跡した研究から結果の一部を引用したい. この研究は乳児期から幼児期にか けての言語研究としては, わが国最大規模のものであるが, 各種の新しい知見がもたらされたこと も特筆されるべき研究であった, 、 なかでも, 知的能力と言語能力との関係について再考されなけれ ばな らな い 視点 と して, 筆 者 は次の よう に述 べ て い る,. 「私達は4人の子どもの環境の特徴や, その5年間の変化に注意してきましたが, 同時に知能と の 関 連 を テス トで 確 か め て きま した. お しな べ て, 4 人 と もIQ I OO前後で, 特にずばぬけた子は いま せ ん, そ れで こう いう 素 質のそ ろ っ た 子 ど も た ち の場 合 に は, こ と ばの 発 達 につ い て, 進 歩 や. 遅れは知能の発達程度と多少の関係はしますけれども, 簡単に知能と言語発達とは並行するという ように考えないほうがよい, むしろ, 環境に左右されるとみるほうがよいと思います, 知能との関. 係を問題にさ れる人には, 子どものことばの発達, 獲得はお母さんとのことばのやりとりで伸びて 行くこと, それがまた実は知能を伸ばして行く原動力だというよう に考えていただくことが必要と 101.
(15) . 亀 畑. 義 彦・大. 嶋 謙. 一. 6 ) 考 え ら れま す.」2. 本研究の結論はこのことを改めて確認することとなった, 要約すると, 本研究の目的はこれま で名詞を中心に研究がなされてきた精神発達遅滞児の語桑能 力について, 名詞と動詞を同水準に置き, 両品詞語の検査方法を改善し, 併せて理解語数の算定方. 法を工夫すること で, 改めて精神発達遅滞児の語員能力の特性を検討しようとするものであった」 先行研究の結果から, 精神発達遅滞児の語藁能力は直線的に伸長するものではないこと 知的能 , 力との相関が高いことなどが指摘されている. また, 品詞別に研究された知見として 動詞の理解 , , 説明は知的能力および生活年齢が高くなければ困難であ● ることなどが導かれている, 本研究では,検査用具として「絵画語い発達検査(PVT) 」および自作の「動詞絵画語桑検査(V I )VT. ) 」 を用いて, 精神年齢で統制された精神発達遅滞児群3歳児, 4歳児 5歳児を生活年齢が同程 , 度の健常児群と比較するという方法によった. その結果, 精神発達遅滞児群は各年齢群とも健常児 群 に, ほ ぼ1 年 6 ヶ月平均平均の語藁年齢についての遅れがみられた. . また, 遅滞児群で は3歳児 から4歳児にかけて顕著な語桑年齢の上昇がみられる,知能指数と生活年齢を分析の対象とすると , この上昇の要因は知 能指数に起因するものと考察された. 他方 4歳児群から5歳児群にかけての , 語桑年齢の緩慢な上昇は生活年齢に起因するものと考えられていた, 次に品詞別の語数を比較した結果, 遅滞児群は動詞数で健常児3歳児群と有意な差がみられた.. 5歳児群では名詞数において遅滞児群は有意に健常児群に劣っていた. 4歳児群では名詞数および 動詞数に健常児との間で有意差は認められなかっ た. これらのことか・ ら, 遅滞児群は精神年齢が低. い段階での語桑能力の遅滞は動詞の獲得に困難を示すことが要因であり, 5歳児程度になると語員 能力の遅滞は名詞の獲得に困難を示すためであろうと考察された. 4歳児群の場合は名詞・動詞以 外の, 形容詞副詞などの獲得の困難なことが語桑年齢が健常児に比較して遅滞している要因である. ことも検討された. 最後に, 精神発達遅滞児各群を精神年齢, 生活年齢, 知能指数, 語桑年齢を変数として主成分分 析を行った, その結果, 理解語藁に関わる成分として二つの要因が抽出された. 最も大きな要因は 各群とも共通して生活年齢に関係するものであった. このことは検査語に採用された語員が子ども. たちの身近な生活経験を土台と して獲得される語桑群であることを併せて考えると 当然の結果で , あるかも知れない. 他方, 第二の要因は精神年齢に関係するものである, 特に5歳児群にこの要因 のん寄与率が高いことは, 先の名詞すなわち概念の認識に対する知的能力の要因が大きく寄与する とする, これま での知見と同様の結果となる, しかし, この知的能力の要因を過大視することから , 語意の発達に大きな影響を与えている人間関係と生活経験の重大さを見失なってはならないことな どが考察された. 本研究はこれま での精神発達遅滞児についてなされてきた語藁能力の研究の成果と大きく変わる. 結論は導き出されてはいない. この点では先行研究の知見を再確認するものである. しかし 精神 , 発達遅滞児の発達が総じて知的能力の高低に起因するとする一般的な誤解を改ためるための一助と なればと思い, 報告としてまとめたものである.. 謝. 辞. 本研究は兵庫教育大学大学院へ提出した修士論文の一部について整理加筆したものである 兵庫 , 教育大学 では松原隆三教授の指導を仰いだ, ここに記して心から感謝の意を表したい また本論を , 102.
(16) . 精神発達遅滞児童の語桑能力 まとめるにあたっ て, 北海道教育大学旭川分校末岡一伯教授から暖い助言を数多くいただいた 併 , せて心から感謝する次第である,. 恩師北海道教育大学旭川分校亀畑義彦教授からは修士論文の一部を本論として整理加筆するため. に数多くのご助言ご指導を仰いだ. 心より感謝する次第である,. 引用文献 1) ルビンシュティ ン (大井清吉ほか訳1979) 知能遅滞児の発達 明治図書 2) 小出 進 197 1 精神薄弱児の言語能力 小宮山 倭編 精薄教育における 授業 -- 国語 -- 日本文. 化科学社. 3) 長内利雄 19 70 精薄児の使用語いの実態調査 精神薄弱児研究1 37号 4) 分類語員表 1964 国立国語研究所資料集6 秀英出版 5) 高橋八代江ほか 197 9 精神薄弱児の言語発達に関する研究 精神薄弱児研究248号 6) 松原隆三ほか 1975 精神薄弱児の教育内容・方法に関する研究 国立特殊教育総合研究所研究紀要第2 巻 7) 神田和枝 1980 精神薄弱児の概念形成 (1) 認知的等価性と言語概念について 3号. 特殊教育学研究第17巻. 8)東京学芸大学附属養護学校 1 9 8 0 精神薄弱児の国語指導 学芸図書. 9) 大木文子・池田由紀江 19 85 精神発達遅滞児の答辞2語発語に関する研究 特殊教育学研究第2 3号1号 10) 池 弘子 198 1 知能障害児における自動詞と他動詞の分化の過程 特殊教育学研究第18巻4号 11) ジャコ ブソン.R I98 0 池上嘉彦・中山桂一郎訳 19 84 言語とメタ言語 勤草書房 12) 絵画語い発達検査 (PVT) 1978 上野一彦・撫尾知信・飯長喜一郎 日本文化科学社 13) 基礎語, 基本語の概念については以下の文献を参考とした. a) 大野 晋 19 74 日本語をさかのぼる 岩波新書 b) 大野 晋 1979 日本語について 角川書店. c) 真田信治 1977 基本語員・基礎語桑 岩波講座日本語9 岩波書店 d) 鈴木孝夫 1973 ことばと文化 岩波新書 e) 田中章夫 197 8 国語語梁論 明治書院 f) 林 四郎 1 97 8 言語行動の諸相 明治書院 g) 水谷美典 1985 日本語の起源をさ ぐる PHP研究所 14) 広辞苑第二版補訂版 1978 岩波書店 15) 子どもの語藁数一覧表は以下の文献を参考に作成した.. a) スミルノフ 1965 ソビエトの教科書心理学 (新版) 下 柴田義松訳 柴 明治図書 b) 村石昭三 19 75 言葉のしつけ文化庁ことばシリーズN 2 文化庁 o. c) イ エ ス ベ ル セ ン. 0 1 922 三宅鴻訳 198 1 言語冊その本質 質・発達・起源ふ 岩波文庫 岩 d) 久保良英 1939 幼児の言語の発達 児童研究所紀要5 e) 大久保 愛 1 967 幼児言語の発達 東京堂出版 f) 福沢周亮 1 976 中学校における語藁指導 教育出版 16) 樺島忠夫 1981 日本語はどう変わるか 岩波新書 17 ) 絵画語い発達検査手引 1978 上野一彦・撫尾知信・飯長喜一郎 日本文化科学社 日. 18) 岡本夏木 198 5 ことばと発達 岩波新書 19) 岡本夏木 198 5 o i t ‐ c e p 2 0) キャロルJ 2 言語と思考 岩波書店 .B I964 詫摩武俊訳 197 2 1) ルリア,A 山口薫訳 1962 精神薄弱児 三一書房 22) 加藤一郎 19 77 名詞とは何か. 品詞別日本文法講座-名詞・代名詞- モ ョ 明治書院 ロ 103.
(17) . 亀 畑 ・義 彦・大. 嶋. 謙. 4 分類語桑表 国立国語研究所資料集6 秀英出版 23 ) 国立国語研究所 196 71 日本文法事典 有精堂出版 24) 北原保雄ほか 19 i t 25) ジ ャ コ ブ ソ ン.R I980 OP ‐ c e. ) 岩淵悦太郎ほか 1968 ことばの誕生 -- うぶ声から五才ま で --日本放送出版協会 26. 亀畑義彦 (本学教授・旭川分校) 大嶋謙一 (札幌市手稲養護学校教諭). 104.
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