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研究開発ナショナルプロジェクトにおける実施体制の類型化 -参画企業のポジショニングに着目したマネジメントとその効果-

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Academic year: 2021

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Transactions of the Academic Association for Organizational Science 2020, Vol. 9, No. 2, pp. 7-13.. 7. 研究開発ナショナルプロジェクトにおける実施体制の類型化 1. -参画企業のポジショニングに着目したマネジメントとその効果-. 上坂 真 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構. 1. はじめに 日本において 1990 年代以降、研究開発効率の急速な低下により、既存のクローズドイノ. ベーションが限界に達し、2000 年代にはオープンイノベーションが重視されるようになっ. た。NEDO2などが実施する社会課題解決を目的としたナショナルプロジェクト 3(以下「ナ. ショプロ」という)においても、技術分野毎に競争領域/協調領域を明確化することで、企. 業、大学、国立研究開発法人等の資源を集約し、効果的かつ効率的な研究開発を進めること. とされている。. また、企業にとっても、技術の高度化や複合化が進み、技術開発の成果を実用化まで進め. ることが難しくなり、共同開発への期待が高まっている(Kato, 2010)。その理由として、①研. 究開発の質を高められる点、②より短い時間で製品開発を行える点、③新市場の創造ないし. 新市場への参入をうまく進められる点、の3つのメリットが挙げられる(Aoki et al., 2004)。. 本研究では、企業間連携や企業間共同開発のアライアンスマネジメントなどを参考に、ナ. ショプロにおける実施体制の類型化を通じて、参画企業のポジショニングに着目したプロ. ジェクトマネジメントとその効果の仮説・検証を試みる。. 2. 既存研究 企業間の共同開発は決して簡単ではなく、戦略的アライアンスの約 70%は失敗、市場へ. 送り出される毎年の新製品の約 50%は失敗と言われる(Sivadas et al., 2000)。一方、ナショプ. ロの成功要因としては、民間企業の経営層の関与や支援機関の事務的側面の関与. (Matsushima et al., 2019)、内部の協働(Takada, 2018)、リーダーシップや社内外のコミュニケ. ーションの有無(Tomita, 2018)が着目されている。. 実施体制のうち類型化の観点では、上方・下方への統合を特徴とする垂直的共同開発と同. 業種・異業種を特徴とする水平的共同開発(Aoki et al., 2004)のほか、垂直・水平・越境・階. 層連携に 4 分類したそれぞれの効果との関係(Morioka et al., 2000)や研究開発の内容・目的に. 応じたアライアンス・アウトソーシングパートナーの使い分けによるメリット・デメリット. 1 本研究は、「追跡調査結果を用いた NEDO のプロジェクトマネジメント高度化に関する 基礎調査(2019 年度 NEDO 委託調査)」により実施した分析データを利用している。. 2 NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称 3 ナショナルプロジェクトとは、民間企業等のみでは取り組むことが困難な、実用化・事 業化までに中長期の期間を要し、かつリスクの高い技術開発に対し、国の資金提供と技. 術開発マネジメントの下に取り組む研究開発事業を指す(NEDO 第4期中長期計画)。. Transactions of the Academic Association for Organizational Science 2020, Vol. 9, No. 2, pp. 7-13.. 8. (Kato, 2010)が論じられている。また、コンソーシアムがもたらす効果の観点では、特許に着. 目した特に水平連携の知識共有の影響(Yoshioka et al., 2014)やオープン化に伴う知的財産の. 活用方法の変容(Watanabe, 2010)、及び多様な研究開発体制(集中研、企業間の垂直連携と水. 平連携、産学連携)が参加企業の上市・製品化に及ぼした影響(Kato et al., 2015)について分. 析されている。. しかしながら、企業間共同研究及びナショプロのいずれにおいても、参画企業のポジショ. ニング(立ち位置)に着目した実施体制への考察は少なく、NEDO によるプロジェクトのフ. ェーズに応じてその構造変化(実施機関の関係性、参画機関数)を明らかにしたナノカーボ. ン材料分野の事例に限られている。. 3. 仮説と分析方法 プロジェクトマネジメントの観点から、参画機関の立場や意向を理解した上でのコーデ. ィネートが重要であり、本研究では、これまで事例の少なった参画企業のポジショニングに. 着目した分析アプローチを試みることで、新たな示唆を得ることを目的とした。. (1) 仮説の設定 企業が参画する企業間共同研究及びナショプロいずれも最終的にその成果が社会実装さ. れることを前提にすれば、一般的には当該研究開発に関わった企業自らが実用化、事業化を. 目指すことになる。また、特に研究開発が長期間に及ぶ場合には、参画企業のポジショニン. グは、経営判断も伴って変化することが想定される。. このような仮定の下、最終的にビジネスプレイヤーとなる企業がいわゆるコンソーシア. ム型で実施される研究開発プロジェクト終了後、研究開発を継続し、如何にして実用化、事. 業化に結び付けることができるのか。こうした問いに対して、実施体制からの視点が、効果. 的なプロジェクトマネジメントが行われているかを判断する材料としての妥当性を検証す. るため、『参画企業のポジショニング』という組織間の問題として次の仮説を設定する。. 【仮説】. ≪ナショプロの実施体制は、当該プロジェクトに対する参画企業の立ち位置を示すポジシ. ョニングと捉え、その違いによってプロジェクト終了後の短期的アウトカム 4の構成要素の. 割合が変化する。具体的には、参画企業のポジショニングが相対的に高まると、「実用化 5」. 及び「中止・中断」の割合は増加し、「継続」の割合が減少する(図 1、表 1参照)。≫. つまり、研究開発が進み、参画企業のポジショニングが相対的に高まるに従って、研究開. 発の確度が高まり「実用化」する事例が増加するとともに、企業の経営判断が伴う「中止・. 4短期的アウトカムとは、追跡調査により把握した状況として、追跡対象企業のプロジェク. ト終了後 6 年目のステージ状況を、「上市」「製品化」「研究開発を継続中」「中止・中 断」で分類したもの。. 5 実用化:本研究では、「上市」「製品化」の数値を合計し、「実用化」とした。NEDO の第 4 期中長期計画では、この実用化の割合を実用化達成率として 25%以上を数値目標とし ている。. Transactions of the Academic Association for Organizational Science 2020, Vol. 9, No. 2, pp. 7-13.. 9. 中断」の意思決定も進み(増加)、ナショプロ終了後から企業単独で資金負担を「継続」す. る割合は減少することを意味する。. こうした実施体制による短期的アウトカムの違いを分析することで、実際のナショプロ. の実施体制面において最適なプロジェクトマネジメントが行われていたかを確認すること. ができると考える。. 表1 実施体制の類型と模式化. 図1 実施体制と短期的アウトカムの構成. 割合との関係(仮説). (2) 分析方法 具体的には、NEDO が実施し、2006 年度から 2012 年度に終了したナショプロ事例(約 140. 件)を対象として、実施体制における参画企業のポジショニングに着目した類型化方法を定. め、類型Ⅰ(大学、研究所中心)、類型Ⅱ(産学官連携)、類型Ⅲ(企業主体)、の 3つの類. 型にまとめた(表1)。この類型化方法に従い、ナショプロの各種情報(実施方針、事後評. 価報告書等に記載された実施体制図)から一つ一つ類型化を行い、追跡アンケート調査で得. られた短期的アウトカムの結果(実用化状況等)との関係について分析を行った。なお、最. 終的に事業化を目指す企業に対するプロジェクトマネジメントについて論じることから、. 対象は NEDO と直接契約関係(再委託等の間接契約を除く)にある企業に絞っている。. 4. 結果と考察 (1) 分析結果. 対象としたナショプロの類型別の内訳としては、およそ類型Ⅰ:類型Ⅱ:類型Ⅲ=1:7:2 と. なった。また技術分野別では、エネルギー/環境/材料・ナノテクノロジー/機械システム. /バイオテクノロジー/電子・情報通信に分けられ、単一プロジェクト当たりの参画機関の. 規模は、一機関単独のものから数十機関に及ぶものもある。. 短期的アウトカムについては、各ナショプロの追跡調査対象企業の状況を類型毎に合算. して集計した。集計の結果、類型Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの順に、実用化の割合が増加、中止・中断の割. Transactions of the Academic Association for Organizational Science 2020, Vol. 9, No. 2, pp. 7-13.. 10. 合が減少した。一方、研究開発継続中の割合は類型に関わらず、概ね一定であった(図 2)。. 図 2 実施体制と短期的アウトカムの構成割合との関係(分析結果). (2) 考察 NEDO の典型的なプロジェクトは、企業単独で実用化・事業化に取り組むことが困難であ. って国の関与が必要であることから、産学官連携の体制(類型Ⅱ)に分類されたナショプロ. が大半を占めるのは妥当といえる。また、大学、研究所中心の実施体制(類型Ⅰ)に分類さ. れたナショプロにも、一般的に事業化を目指す企業が参画しているが、大学、研究所にプロ. ジェクトの主導権を与えた方が効果的と判断されたものといえる。逆に、企業主体の実施体. 制(類型Ⅲ)に分類されたナショプロは、大学、研究所が技術の評価や検証などの役割に担. うことで、企業の主体性を支援することが意図されている。これらの類型Ⅰ、Ⅲでは、NEDO. プロジェクトの典型例である類型Ⅱ以外の実施体制を採用することで、参画機関をコーデ. ィネートするプロジェクトマネジメントが効果的に働き、短期的アウトカムの発現につな. がっているものと考える。. 仮説で設定した類型毎の短期的アウトカムの構成割合の変化については、実用化の割合. 変化は仮説と一致し、研究開発の確度の高まりに応じて増加しているものと考えられる。一. 方、中止・中断の割合変化は、仮説とは逆の傾向となった。このことは、大学、研究所を中. 心とすることで、基盤技術の確立などの技術シーズレベルから企業の参画を促す仕組みと. しているが、プロジェクト終了後、企業の半数は次のフェーズへ進むことができた一方、残. り半数の企業は研究成果が得られていないなどの要因から撤退の判断を早期に行っており、. 類型Ⅰのプロジェクトマネジメントの難しさを表していると考えらえる。. 今後は実施体制の類型毎に、短期的アウトカム別の参画企業のポジショニングに関する. 傾向と個々のナショプロの特性との関係などを分析することで、継続すべきものをできる. だけ継続し、中止すべきものは速やかに判断し、全体として研究開発投資効果のバランスを. 維持したプロジェクトマネジメントにつなげていきたい。. . Transactions of the Academic Association for Organizational Science 2020, Vol. 9, No. 2, pp. 7-13.. 11. References Aoki, Y., & Onzo, N. (2004). 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Under our hypothesis, the structure of consortiums implemented under R&D national projects is regarded as positioning that indicates the position of a company in the project, and the difference of each structure will change the proportion of short-term outcome results after the project. Specifically, as the positioning of participating companies rises relatively, the ratio of “practical use” and “discontinued” increases, and the ratio of “continuation” decreases.. We chose 140 NEDO national projects that ended in between FY2006 and FY2012, and classified them into three types according to the position of participating private companies in the consortium formation: type I as the universities/research laboratories- centered consortium, type II as the industry-academia-government collaboration, and type III as the consortium with the company’s initiative. Then the short-term outcome results are compared for these three types to see if the hypothesis is verified. . Keywords: R&D, national project, project management, structure of consortiums implemented, position, classification, short-term outcome. 1. はじめに 2. 既存研究 3. 仮説と分析方法 (1) 仮説の設定 (2) 分析方法. 4. 結果と考察 (1) 分析結果 (2) 考察

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