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(1)

社会的態度の研究(8) 外顕行動に及ぼす社会的態度 の効果の研究 : (2)要因分析によって解明した効果 の被調査者集団間比較

その他のタイトル The research of social attitudes (8) Component analysis of attitude effects upon behaviors : Comparison of the effects among various

student groups

著者 高木 修

雑誌名 関西大学社会学部紀要

6

2

ページ 89‑122

発行年 1975‑03‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00023188

(2)

社会的態度の研究 (8)

外顕行動に及ぽす社会的態度の効果の研究

(2)要因分析によって解明した効果の被調査者集団間比較

態度概念を取り扱かってきた研究者の多くは,態度が行動の主要な決定因であると考えていた

(この根底には,言語的な反応が行動的な傾性を反映するという仮定がある)。そして,この態度 と行動とがどの程度対応しているかという問題は,長らく研究されて議論の的となってきた。し かし,実験室や現場においてなされた研究の多くは,この研究者たちの期待に反して,態度と行 動との間の対応の欠如を,または,対応があったとしてもかなり弱い関係のみを報告しているだ けである(詳しくは,例えば, Wicker,A. W. (6)を参照されたい)。この両者の間の食違いに対 して,研究者の多くは,これまでと同じような手法を使っている限り態度から行動は予測できな いと考えた。そして, より正確に行動を予測するために, 彼等は態度以外の変数を多数導入し た。多数の研究者が態度と行動との関係に影響するものとして導入した説明要因(変数)は,個 人的(個人差や個人内の)要因と情況的(個人外の,環境的)要因に大別される。各要因の具体 的な内容については,高木修(4)を参照されたい。

態度と行動との間の食違いに対してもう 1つの別の接近法がある。そこでは,態度以外の説明 要因を導入するまえに,対応の欠如が主として態度概念それ自身や態度と行動との関係の概念化 及び方法論,具体的・操作的には態度や行動の測定法や両者の対応の分析法などに帰因すると考 える。それは,態度と行動との間の対応関係を究明しようとする典型的な研究パターンが,或る 社会的な問題(例えば,人種偏見,カンニング,仕事など)に対する態度を単一の質問項目か一 連の尺度項目によって測定し,一方,これに関連する行動(一緒に写真に撮ってそれを他人に配 る,人種問題についての集団討議に参加する,試験の自己採点をごまかす,仕事の業綾とか欠勤 率)を測定して,そして,これらの態度と行動との対応関係の程度を,中央値,レンジ,種々の 相関値,百分率などで示そうとするものであり,この種の粗い分析によるならば,態度と行動と が対応しなくてもそれほど驚くに値しないように思われるからである。

例えば, Tittle,C. R., & Hill, R. J.  (5) 主として後者の方法論的観点からこの問題を再 分折した。彼等は,態度と行動との関係を究明しようとした多数の研究を比較検討し,両者の対 応の程度が用いられた態度の測度のみならず行動の指標として使われた基準(具体的に問題とな っている行動)によっても変わるということを発見した。そして,両者の対応の程度は, (1)態度 が単一の質問項目から測定されるのか,それとも多数の項目から構成された尺度により測定され

‑ 89 ‑

(3)

るのか(態度の測定技法), (2)基準となっている行動がその人の日常行動の文脈の中で起こるも のか(行動の種類), (3)その行動情況がその人の生活経験の中で繰返し生起するか(情況のタイ プ),の関数であり, 多数の尺度項目によって測定された態度は, その人の日常生活の中で通常 の行動としてしばしば生起するような行動の有効な予言要因になるとした。

さて,この研究は主として後者の接近法に属する。もちろん,筆者は,態度と行動との関係に 個人的要因や情況的要因が影響することを認めている。だが,態度以外の説明要因を導入するま えに,この研究では,まず従来の研究が持っている概念上の不明確さと方法論上の不備の幾つか を改善し,新たな分析の方法を甜入して態度と行動との間の正身の対応関係を明らかにする。そ こで,この研究では,従来の研究が態度を一側面(ほとんどの研究が態度の感情的側面のみを問 題にしていた)からとらえていたのに対して,態度を多成分構成体(主として,感情的成分,認 知的成分,及び行動意図成分の 3成分から構成されていると考える)と考え,それぞれの成分に 対応する態度側面を別個に測定するために態度を多次元・多側面的に測定する。そして,従来の 研究が単一の態度と行動との間の 11の関係を主として相関法によって分析したのに対して,

多変量解折法の手法を用いて,多側面的にとらえられた態度と行動との間の関係を同時に分析す る。また態度構造の研究とこの研究とを関係づけ,態度構造研究で得られている知見をこの研究 の結果の解釈に利用するため,態度の分析単位は構造研究で用いてきた態度要素を使用する。な ぉ,特にこの研究では,前者の接近法にも従がい,態度と行動との間の関係に影響を及ぽす個人 的要因,すなわち,個人差の要因を導入し,両者の間の関係を個人(集団)間で比較する。

目 的

この研究には以下の2つの主要な目的がある。

(1)態度と行動との間の関係,言い換えると,行動に及ぽす態度,特に態度を構成する要素や 成分の効果を解明する。この効果の解明とは,

①  態度を構成する要素または成分は,それぞれ行動に対していかなる影響を与えるのか(行 動の生起や生起頻度を促進するのか,それとも抑制するのか)。

②  態度要素または態度成分が行動に及ぽす影響力の相対的な関係はどのようになっている か。すなわち,要素または成分間で影響力に差があるのか。

⑧  全体的にみて, それらの態度要素または,態度成分によって行動はどの程度説明される か,または行動がどの程度予測されるか。などの点を明らかにすることである。

(2)態度の対象となっている問題に関する社会的学習の程度やそれについて習得した認知や認 知体系の特性を異にする個人(そのような個人の集団)間で(1)の行動に及ぽす態度の効果を比較 し,いわゆる社会化,ないしは,それと平行して行なわれる態度の構造化に伴なって行動に及ぽ す態度の効果がどのように変化していくかを究明する。

これらの主要な目的以外に,態度と行動との間の関係を解明するために採りうる種々の分析法 が持っている効用と限界を明らかにするという目的もある。

‑ 90 ‑

(4)

外顕行動に及ぼす社会的態度の効果の研究(高木)

手 続 1)被調査者(集団)

国立K大学において一般教養科目の『心理学』を受講する男女学生 (146名),京都府立M高等 学校の3年生の男女学生 (96名),宇治市立H中学校の3年生の男女生徒 (120 3種の人 々(集団)を調査対象とした。これらの人々(集団)はこの研究で取り扱かっている問題に関す る社会的学習や経験の程度,自我関与の程度,態度の観点から言うならば,態度の形成と構造化 の程度において相異している。

2)態度対象(態度領域)

社会的行動の生起と方向づけに主要な影響を及ぽすことが予想される態度の対象(領域)とし て,この研究では 戦争 を選定した。この領域の態度は,今日,広範な対象者層にかなりセー リエント (salient)に保持されている。 したがって, 対象者層間の比較を有意味なものにする という観点からこの対象は望ましいものであるが,反面,そのあまりにも明瞭な内容から紋切型 の態度が持たれたり表明されたりして行動との対応関係を弱めることが心配される。

3)態度要素(測度)

社会的行動を説明・予測するための態度は,従来のこの種の研究で採用されたように,その主 要な単一の側面から測定されたものではなく,構造的に有意味な全ての側面から測定された態度 である。換言すると,単一の測度で代表された態度ではなくて,有意味な複数の測度から総合的 に表わされた態度を使って社会的行動を説明しようとするのである。

そこで,この研究では,因子分析法によって整理し,以後の態度構造研究(2)(3)において一貫し て採用してきた以下の11種の側面から態度を多次元的にとらえることにする。なお,このように して得られた態度の側面を態度要素 (element)と呼ぶ。さて,その11種の態度要素を簡単に説 明しよう。

①  感情の方向性:態度対象について,例えば,好意的な感情を持っているか,それとも非好意 的な感情を持っているか。

感情性の強度:態度対象に対する感情性(例えば,好意性)がどの程度強力であるか。

⑧  行動意図性:態度対象に対して行動意図的(積極的に対象に向かい,深い関連性を持とうと する)か,それとも,非行動意図的(対象を避け,関連性を持たないようにそれから遠ざかろう

とする)か。

④  行動性の強度:態度対象に対する行動性(行動意図性)がどの程度強力であるか。

⑤  認知の豊富さ:態度対象について持っている認知(情報)がどの程度豊富であるか。

⑥  認知の分化:態度対象について持っている認知(情報)がどの程度多様性に富んでいるか。

⑦  認知の非論理性:態度対象について持っている認知(情報)がどの程度非論理的であるか。

⑧  認知の感情性:態度対象について持っている認知(情報)がどの程度感情性を滞びている

‑ 91 ‑

(5)

⑨  認知の統合性:態度対象について持っている認知(情報)がどの程度まとまっているか。

⑩  認知性の強度:自分が態度対象についてどの程度の量の認知(情報)を持っていると思って いるか。また,それらの認知(情報)にどの程度確信しているか。

⑪  自己関与度:態度対象と自己との関係をどのように認識し,その関係をどの程度維持ないし 強化しようとするか。

以上の11種類の態度要素を単位として分析を行なう。

4)社会的行動(行動領域)

戦争 に対する態度と直接的に閑連し,その内容いかんで生起とその方向性が影響されるこ とが推定され,しかも, 3種の対象者集団が平均してある程度の経験を持ちうる社会的行動とし て,「戦争に反対するための諸活動への参加」を選定した。そして,以下のような質問項目とそ れに対する反応カテゴリーとからこの行動を測定した。その質問項目とは,

「あなたは,今までに,戦争に反対する何らかの運動(集会,催し,署名,募金,など)に参加 したことがありますか』

1.  しばしばある 2.  かなりある 3.  ときおりある 4.  ない であり,その測定は 戦争 に対する態度の測定と同時に行なった。

この種の質問によって得られる行動は, 種々の観察法によって得られる外顕的な行動 (overt behavior)  というよりはむしろ回顧的応答によって得られる行動である。態度と行動との対応 関係を解明する場合,前者の行動を取り扱かうことが望ましいが,実際に外顕的な行動を観察等 によって得るためには非常に大きな,また多数の困難を克服しなければならない。したがって,

まず第1段階としてこの研究では後者の行動を取り扱かう。なお,回想法により,しかも態度と 同時に行動が測定された場合,一貫性への無意識の傾向から,態度と行動との対応が誇張される

ことが予想される。

5)データの整理と分析方法

態度と行動との対応関係,具体的に換言すると,行動の生起やその頻度に有意味な影響を与え る態度要素や成分を発見するために,この研究では,林知已夫の数量化理論(第II (1)の手法 を使用する。 この一連の手法の一つの主要な特徴は, 数量が研究の目的に応じて与えられるも のであり,そのもの自身に内在するものでないとし,それが数量であろうと分類のかたあろうと 測定されたものを,「アイテムにおけるカテゴリーヘの反応」というかたで統一的にあらわし,そ れらを同時に分析する というところである。この手法では,説明・予測されるべき目的変数(

例えば,選挙の投票)を外的基準(分類で与えられた)とし,その外的基準の予測・説明という 目的にそった要因(アイテム・カテゴリーと呼ぶ)(例えば, 支持政党, 階級帰属,候補者の評 価,政策評価,組合所属,など)を説明変数として分析が進められる。

今,各アイテム・カテゴリーが数量化され,その重み(カテゴリー数量と呼ぶ)が決っている とする。各人の外的基準の観測値と各アクテムヘの反応 (i=反応パターンと呼ぶ)が得られて

‑ 92 ‑

(6)

外顕行動に及ぼす社会的態度の効果の研究(高木)

いるなら,研究の目的にそい先の重みを利用して i=反応パターンに対応する o=反応パターン が得られる。そして,それらの一次結合(和)というかたちで銀測値に対応する再現値,予測値 あるいはサンプル数量が得られる。

なお,このカテゴリー数量及びそれらから得られる再現値は未知であるから,観測値と再現値 が全体としてよく一致するように数量化するということが分析の目標となる。言い換えると,観 測値と再現値の誤差を最小にする(統計的には,両者の相関係数を最大にする)ように各アイテ ム・カテゴリーに数量を与えるわけである。

このようにして数量が決定されて各サンプルにサンプル数量が与えられるのであるが,その場 合,同じグループに属するもののサンプル数量は相互に出来るだけ近く,異なったグループに属 するもののサンプル数量は相互に出来るだけ離れていることが望ましい。すなわち,各グループ 毎に描かれたサンプル数量の度数分布がグループ間で効率よく分離されるようにカテゴリー数量 を決めるのである。統計的にこのことを言い換えると,サンプル数量のグループ間の分散と全体

ob2 

の分散の比(相関比, 7/2=―‑)を最大にすることに等しい。

o,2 

ところで,前に研究の目的を外的基準の要因(アイテム・カテゴリー)による説明・予測と記 したように,要因による外的基準の説明に加えて,その予測ということも重要な意味を持ってい る。すなわち,要因と外的基準との関連性をもとにして,それらの要因から外的基準がどれくらい 正確に予測されうるかということも明らかにしたいということである。このことに対しては,判 断成功率がその求めている予測効率を表わしていると考えて,これから推定することにしている。

この研究は以上の手法を態度と行動との間の対応関係の分析に適用する。そこで,次にその適 用の仕方を具体的に説明しよう。まず,説明・予測される外的基準は態度の反映であるところの 行動である。この研究では, 4)の社会的行動の項で記した行動に関して2種類のグループ分類 を試みた。第1の分類は,前記の行動を経験したものの群(経験有り群と呼ぶ), 即ち,カテゴ ルー1, 2,  3で応答したものと経験しなかったものの群(経験無し群と呼ぶ),即ち,カテゴリ

‑4で応答したものの2群分類である。第2の分類は,カテゴリー 1, 2で応答した多頻度経験 者の群,カテゴリー3で応答した少頻度経験者の群,そしてカテゴリー 4で応答した無頻度経験 者の群の 3群分類である。前者の分類法による分析によって,行動の生起に及ぼす要因の効果が 解明され,後者の分類法による分析によって,行動経験の頻度を規定する要因の効果が究明され

るだろう。

一方,これらの外的基準を説明・予測する要因(アイテム・カテゴリー)として前記の行動と 直接的に関連することが推定される態度を用いる。今回の研究では,アイテム及びカテゴリーと して2種類のものが使われた。アイテムに関しては,第1 3)の態度要素の項で記した10 類(認知性の強度は分析から除外されている)の要素 (element)を用いる場合,第2 11 の態度要素間の相互連関に基づき因子分析法によって態度成分(component)を抽出し, それら をアイテムとして用い.る場合とである。また,カテゴリーに関しては,第1に,アイテムを2

‑ 93 ‑

(7)

割する場合である。すなわち,態度要素がアイテムのとき,各要素得点をメディアン・カットし て,また,態度成分がアイテムのとき,因子得点として算出された態度成分得点を正・負で2 割する。第2は,アイテムを4分割する場合である。すなわち,第1で分割されたものを更にほ 2等分することによって 4分割する。前者の分割法による分析によって,行動と各態度要素(

態度成分)との間の直線的な関連の仕方の方向性と関連の程度が解明され,後者の分割法による 分析によって,交互作用を含んだ両者の間の関連の仕方と関連の程度が究明されるだろう。もち ろん,いずれの場合も,これらの知見に加えて,説明効率を表わす相関比と予測効率を表わす判 断成功率が算出され,全体的な行動と態度との間の対応の程度が判明されるだろう。

これらの分析の手続きから態度と行 動との間の対応関係を研究するデザイ

ンは第1表のようにまとめられる。そ こで,この研究は,このデザインに沿 って具体的に進められた。

前述の分析のうち,態度要素から態 度成分とその得点を得るための因子分 析法は,BMD(BiomedicalComputer  Program)  xn・に従って行な

った。また,行動と態度との間の対応 性を検査するための分析,数量化理論

II類)は, SPSS (Statistical 

第 1表 態度一行動分析のデザインと分析番号

摺匁

の分類 態 度 要 素 態 度 成 分

大 学 生

, 11  13  15  高 校 生

10  12  14  16  17  19  21  23  中 学 生

18  20  22  24 

(数字は分析の番号を意味する)

Package for the Social Sciences) "HAYASI‑2"に従って実施された。なお,これらの 分析の実行は,京都大学大型計算機センターの FACOM230‑60/75によった。

最後に,枚紙の関係上,今回の報告では数量化理論の原理や実際の計算法などの説明を省略し たが,この手法は種々の学問領域で多様な問題に適用されてその結果が多数報告されており,ま た,近版の多変量解析法の入門書などにも詳しく説明されているので,それらを参照されたい。

結 果

1表の研究デザインにしたがって行なわれた分析の結果を被調査者層別に報告するが,枚紙 の都合で,態度要素をアイテムとし,それを4分割してカテゴリーとしたときの分析(分析番号 3,  4, 11, 12,  19,  20)と態度成分をアイテムとし,それを2分割してカテゴリーとしたとき の分析(分析番号5, 6 13,  14,  21,  22)の結果は省略する。

分析結果を具体的に報告するまえに, そこで示される種々の統計量の意味をまず説明してお く。第1に, ウエイト とは, カテゴリー数量のことであり, 各カテゴリーと外的基準との間 の関係の方向と関係の程度を意味する。第2に, 偏相関係数 とは, 他のアイテムを一定にし たときの外的基準とそのアイテムとの間の正身の関係の程度を意味する。第3に レンジ と

‑ 94 ‑

(8)

外顕行動に及ぼす社会的態度の効果の研究(高木)

は,前述のカテゴリー数量の最大値と最小値との間の幅であり,偏相関係数と同様に,アイテム と外的基準との間の関係の程度を表わしていると考えられる (この両者はよく対応している)。

4に, 順序 (カッコの中の数値)は,偏相関係数又はレンジの全アイテムに於ける大きさの順 位を示している。第 5に, 相関比 は, 群間分散の全分散に対する比であり, 採用した要因に よって外的基準がどの程度説明されたかを表わす, いわゆる分析の精度を意味する。最後に,

判断成功率 は,カテゴリー数量を基にして各々のサンプルに得点が与えられ,外的基準のグ ルーフ゜別に描かれたそれらの累被頻度グラフの交点 (x座標値は判断の分点, x。を, y座標値を 100から減じたものが判断成功率である)から決定される。先の相関比は分析の精度を示すが,

得られた解から各サンプルの得点(サンプル数量と呼ぶ)を算出し,何点(判断の分点, Xo) 上を「何々群」,何点以下を「何々群」 と判断したときのその成功率をこの統計量は意味する。

すなわち,前者が説明効率を表わすと考えるならば,後者は予測効率を表わすと考えられる。な "MEANZ (SD)"は,サンプル数量の平均と標準偏差とを外的基準のグループごとに算出 したものであり,カテゴリー数量の符号の解釈と多数群の分析における解の意味を判断するとき などに役立つ。

2 態度要素を説明要因にしたときの要因分析結果の比較(大学生)

I~ ア イ テ ム 外 的 基 準 2 分 類

No.  1 2

カ テ ゴ リ ー

ウエイト レンジ/PC順位 ウエイト レンジ/PCI順位 ウエイト レンジ/PCI順位 非 好 意 的 .08  0.26  s  ‑ .01  0. 03  : 10  ‑ .18  0.57  :  1感 情 の 方 向 性

好 意 的 ‑ .18  0.03  .02  0. 01  ; 10  .39  0.04  `  ‑ .20  o.45  4  ‑ .07  0.15• 7  .29  0.64  :  2感 情 性 の 強 度

.25  0.06  .08  0.03  7  ‑ .35  0.05  行 動 意 図 的 .62  1.68  .51  1.38  1  ‑ .37  1.00  3行 動 意 図 性

非 行 動 意 図 的 ‑1.06  o.  18  1  ‑ .87  o. 21  .63  0.07  ‑ .10  0.23  , .16  0.38  .46  1.11  4行 動 性 の 強 度

.13  0. 03  : 9  ‑ .22  0.07  5  ‑ .65  0.08  .12  o. 27  :  .11  0. 26  6  ‑ .04  0. 09  , 

5認 知 の 豊 富 さ

‑ .15  o. 04  1  ‑ .15  0. 05  .05  o. 01  ‑ .02  0.06  10  ‑ .04  0.14  : 8  ‑ .03  0.11  6認 知 の 分 化

.04  0.01  10  .10  0.02  :  .08  0.01  , 

非 論 埋 的 認 知 無 ‑ .11  0.54  .11  0.55  :  .42  2.03  7認知の非論理性

非 論 理 的 認 知 有 .43  0.06  ‑ .44  0.09  : 3  ‑1.61  0.14  感 情 的 認 知 無 .54  1.17  .45  0. 99  : 2  ‑ .29  0.63  8認 知 の 感 情 性

感 情 的 認 知 有 ‑ .63  0.15  , 2  ‑ .54  0.  19  .34  0. 05  9認 知 の 統 合 性 認知のまとまり有 ‑ .16  0.39  : 5  ‑ .19  0.46  : 4  ‑ .00  0.01  10 

認知のまとまり無 .23  0.05  :  .27  0.09  :  .01  0.00  10  10自 己 関 与 .10  0.33  : 6  ‑ .03  0.09  : 9  ‑ .25  o. 80 

‑ .23  0.04  :  .06  0. 02  :  .55  0.06 

0.29  0.40  0.19 

Group  o. 23(0. 99)  o. 93(0. 60)  0.15(0. 79)  MEAN Z(6D)  Group  ‑0. 36 (0. 90)  ‑0. 03(1. 05)  ‑0. 20(1. 04)  Group  ‑0. 31(0. 83)  0.18(0. 97) 

‑ 95 ‑

(9)

では,被調査者層別に分析の結果を報告しよう。なお,ここでは,

釈するにとどめ,被調査者層間の分析結果の比較は次の考察のところで行なうことにする。

それぞれの分析の結果を解

1.  (1) 

被調査者が大学生の場合

2分割された態度要素が要因のとき

2分割された10種類の態度要素をアイテム・カテゴリーとして,行動経験の有無から 2分類さ れた外的基準を要因分析したとき(分析番号1)と,行動経験の頻度から 3分類された外的基準 を要因分析したとき(分析番号2)の結果を第2表にまとめて示した。まず,前者の結果,すな わち,行動経験の有無と要因との間の関係について考えてみる。分析の精度を意味すると思われ る相関比TJ (説明効率)は0.29と非常に低く, この種の外的基準の判別にはここで採用した説明 変数では不十分であることを暗示しているようである。

カテゴリー数量を基にして有意味なアイテム

・カテゴリーを位置づけたものが第1図である。この図によると,行動を経験する者は 戦争 外的基準との関係の軸上にウエイト,すなわち,

行動性

行動経験無 行動性

. .  ̲ 

非意図的 意図的

i [  

行動経験有

1 に対して行動意図的であり,

を持っている。一方,行動を経験しない者は,非行動意図的であり,感情性を滞びた認知を持っ 戦争 について感情性を滞びた認知を持たないが非論理的な認知

ていることが判かる。

次に, アイテムを単位にして結果をみると,第2図のように,偏相関係数(レンジとほぽ一致 しているので以後これをもとに考察する)が最大のアイテムは「行動意図性」

感情性」がこれに次いでいる。他のアイテムの偏相閲係数はいずれも .10以下である。なお,外 であり, 「認知の

的動基準と統計的に有意に関係しているのは第1位の「行動意図性」のみである。すなわち,こ に対してその人が行動意図的で の行動を経験するかそれともしないかと関係するのは,

あるかどうかということだけということになる。さて,得られたカテゴリー数量から各サンプル 戦争

に得点を与え, その値から行動経験の有無を判断したときの成功率(予測効率)は約62形であり,

十分に満足できるものではないが,

しうるようである。

ここで採用した態度要素からこの行動の生起を幾分かは予測

では,次に,行動経験の頻度から外的基準が3分類されたときの結果を第2表にしたがって吟 味する。分析で得られた第1解は多頻度経験者群と他の 2群,特に無頻度経験者群とを判別して

(10)

外顕行動に及ぼす社会的態度の効果の研究(高木)

.20 

2分類, 

‑‑3分類(第1

‑‑3分類(第2

.17 

.10 

‑‑‑‑(5%) 

認知の非論理性

2図 態度要素を説明要因にしたときの要因群偏相関係数(大学生)

行動性

非意図的

無頻度経験 認・非論理性認.感情性 行動性認・感情性

. . 

認・非論理性

少頻度経験

多頻度経験

. 

有 有

<第3図(第1解)>

. 

. 

認行自行

•動己動

性 関 性

 の与

<第4図(第2解)>

/  非意図的 無頻度経験

おり,第2解は主として少頻度経験者群と無頻度経験者群を判別するものである。第1解は3 のうちの両極端群を判別するため相関比が0.40とかなり上昇しているが,第2解は差異の小さい

‑ 97 ‑

(11)

2群の比較のために0.19と非常に低くなっている。さて,判別に有意味に参与するアイテム・カ テゴリーを関係軸上にプロットしたものが第3図と第4図である。これらの図から推定すると,

多頻度経験者は行動意図的であり,対象について持っている認知は感情性を滞びていない。これ に対して無頻度経験者は非行動意図的で自巳関与も小さい。一方,少頻度経験者は両者の中間に あって他の者達と特に異なる点は,非論理的な認知を持っていることである。

次に,第2図に示されたアイテムと外的基準との関係の程度を示す偏相関係数についてみる と,多頻度経験者と無頻度経験者とを比較する第1解では,行動経験の有無の2群分類の場合と ほぽ一致して,「行動意図性」と 「認知の感情性」が他のアイテムに比して大きな値を示してい る。そして,これらはいずれも統計的に有意である。一方,無頻度経験者と少頻度経験者とを比 較する第2解では,これらのアイテムの値は小さく, 「認知の非論理性」のみが大きな値を示し ているが,統計的には有意でない。後者の場合,外的基準と有意に関係するアイテムは存在しな いのである。この2群を有効に判別するためには,これら以外の説明要因が必要である。

ところで,判断成功率はどうであろうか。第1解に従って多頻度経験者群と無頻度経験者群を 判別するとき,約81彩の非常に高い成功

率が得られている。これは極端な2群を 判別したためであろう。これに対して,

2解に従って少頻度経験者群と無頻度 経験者群を判別するとき,約52%と満足 できる成功率が得られなかった。このよ うな中間の 2群を判別する場合には,相 関比の低さからもわかるように,他の説 明変数(要因)の導入が必要のようであ

(2)  4分割された態度成分が要因のと

●  ● " 

まず, 11種類の態度要素を因子分析し て,大学生の 戦争 に対する態度の構 造を明らかにした。固有値が1.0以上と いう基準を設けて得た態度構造は,第3

表に示されているように, 4種類の態度 成分から構成されるものであった。態度 成分を因子寄与率の大きさの順番にみる , 『行動性(自巳関与)」 (23.1

「認知の豊富さと分化統合及び感情性』

2分類 .40  ‑‑ ‑̲̲,3分類(第1

\  3分類(第2

\ 

\ 

.30  \ \ 

\ 

11 

.22 1\ T  ,,,.‑ ‑ ‑ ‑ 1   .20 

' - - ~

\  / 

.17  -七~~ ...... ~ ` ‑ ‑ ‑ 1

1%) 

\ ~ y ........... 5%)  .10 

;); 

知 感

富合

の 情

理性統 .̲̲, 

 

5図態度成分を説明要因にしたときの要因群偏相 関係数(大学生)

‑ 98 ‑

(12)

3

外顕行動に及ぽす社会的態度の効果の研究(高木)

大学生の 戦争 に対する態度の構造(回転後因子行列)

No.  態 度 要 素 FI  FII  Flll  FVI  感 情 の 方 向 性 ‑066  ‑085  5  7  感 情 性 の 強 度 4  ‑143  1  ‑846  7  行 動 意 図 性 ‑860  018  3  7  行 動 性 の 強 度 3  ‑032  ‑023  ‑055  7  認 知 の 豊 富 さ 6  704  認 知 の 分 化 3  ‑132  8  8  認知の非論理性 11 0  3  6  認 知 の 感 情 性 ‑070  1  ‑209  6 

, 認 知 の 統 合 性 ‑097  7  ‑652  ‑004  7  10  認 知 性 の 強 度 ‑441  ‑187  ‑063  ‑065  2  11  己 関 与 ‑694  ‑053  ‑089  0  5 

~F2 2.538  2.035  1.468  1.340 

Percent  Communality  23.1  18.5  13.3  12.2  67.1 

行動性 認知の豊富さ、 認知の非論理性

(自已関与) 分化杭合、感情性 感情性、非杭合住 感情性

(18. 5,Slる),『認知の非論理性と感情性及び非統合性』 (13.3%), 『感情性』 (12.2%)とそれぞれ これらの態度構造に従って算出された因子得点を態度成分得点(平均は 命名される。ここでは,

.0,  分散は1.0,各得点は独立)として要因分析を行なった。

4分割された4種の態度成分をアイテム・カテゴリーとして,行動経験の有無から 2分類され た外的基準を要因分析したとき(分析番号7)と,行動経験の頻度から 3分類された外的基準を 要因分析したとき(分析番号8)の結果を第4表にまとめて示した。まず,行動経験の有無の2 分類の結果から検討する。相関比 7/(説明効率)は, 0.28であり,態度要素を説明要因にしたと きより 1形低いが,ほぼ同水準であると言えるだろう。これは,態度要素間の相互連関性を基礎 にしてまとめた態度成分を説明要因にしても,分析の精度がほとんど改善されなかったことを意 味する。

一方,行動の生起と強く関係する要因は,第6図に示されている。この行動を経験することと

< 行動経験無 認・非論理性他行動性 惑情性行動性

1

 

行動経験有

[ ' 川

f [

<第6図>

‑ 99  ‑

参照

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