NDC 541.55
固体インダクタンスの特性の考察
金子一宗*矢野健三*
(昭和57年4月30日受理)
The performance of a solid state inductor
Kazumune KANEKo, Kenzou YANo
(Received April 30, 1982)
The characteristcs of the net work consisting of R, C and Transistor was reported already.3)
In this paper, the performance of a solid state inductor, that is, a net work consisting of R, C and operational amplifier is described.
1 ま え が き
コイルを用いないで4ンダクタンスL(以下しという)
を得る種々の研究が発表されている。1)・2)著者等はさきに トランジスタ,C、 Rを用いた固体インダクタンス回路の 特性について考察した。3)
本報告においては,まつ演算増幅器とC,Rを用いてL を得る従来の回路の周波数特性が理論と予想外に異なるこ とを明らかにした。この点を中心に検討中,帰還回路に抵 抗を挿入することによって比較的大きなしが実現できた。
そこで,さらに回路に改良を加え良質のLを得る端緒を旧 い出したことを報告する。
R2
R3
741
2 実験方法と測定結果
2.1実験I Fig.1は入力インピーダンスが誘導リアク タンスXLを含む回路として知られている。入力インピー ダンスは次式にて示される。
鋤濃繰髪。。、R、}・…・・(・)
この式で,ある周波数において,抵抗分に比べて誘導リア クタンス分が大きくとれるにはどうすれば良いかというこ とである。f,R3, R4, Cを大きくすればXしが大きくなるが,
R3, R4を大きくすることは抵抗分を大きくすることになり 良質のインダクタンスLを得ることにならない。Cも周波
Zl・ウ
R4 c
Fig.1 Circuit of experiment−1.
*電気工学科
数特性等の点から,あまり大きくはできないので,大きな リアクタンスを得るにはある程度高い周波数の時でなけれ ば,Qの高いコイルに相当するものは得られないことがわ かる。以上のことを考慮にいれて,Fig.1でR3=R4=10 KΩ,C=100ρFを用いた回路を構成し,周波数を変化し
ながらインピーダンスメータで入力インピーダンスを測定 した。Fig.2において,インピーダンスの周波数特性は理 論的には特性①に示されるが,測定結果は特性②のように なった。周波数が高くなると,リアクタンスXL=ωしがあ まり大きくならないばかりか.実効抵抗が大きくなること が明らかとなった。
一25一
津山高専紀要第20号(1982)
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実効抵抗が減少し,リアクタンスもある範囲の周波数帯で は増加することが理論的に言えるので,目的を達するため には適切な回路と考えた。
. Vi−V R3多1=
ゴ2=:ノωC(γo−V)
vo=(i+一RR−沿黶jvi
V= (i1 一t−i2) R4
y
【 γ .21︐Z
Z =
・・・・・・… (2)
R2R3R42
(R3十R4) H.2 c2
Rl
鱒
1+e)r・c2=!itgit!S211 t!S4Z
R12
20 Reat kn一ウ +ゴ・c{ (R3十R4)R2R4
Rl
+ R3 R4 ]
Fig.2 lmpedance diagram by changing of frequency 1+fo2c2−llt!19!iZ 8.42
Rlli
・・・・・・… i3)
そこで,良質のLを得るにはどうしたならば良いかを検 討し,帰還回路に抵抗R2を挿入することに決めた。これ
に基づき測定を行なった結果,抵抗分が減少し誘導リアク タンスが増加することがわかった。また,抵抗R2の値を
赤tレ壷.虹Lフ ア L[r し ln 7 荊ノ 、 t.e h 、 Vt L. 手口N凱.六tT v;一一 タ」 1ヒ。.cr!tS)L・(_V」diソ, /\ノJ−1 / 」一7 ! 〈k)n 目=4多ヒー!1しヲ
ることがFig.2の①,②以外の特性から明らかとなって
いる。
2.2実験皿 Fig.1の回路を実験1の結果を考慮に入れ て,Fig.3に示す回路に変更した。この回路では〔2)式が成 立し,入力インピーダンスば3拭にて示される。(3)式にお いて,Rsを無限大にすれば(1拭と同じになる。
ただし,.このR1があることにより周波数が高くなると
R2
実験にあたり,Rl=R2として測定することにした。そ の値は実験工のFig.2の特性より帰還抵抗R2が36κΩ 50κΩ,62KΩの付近が良質のLを得るのに都合が良いの ではないかと推察して,即ちR1・・=R2・=36KΩ,50K:Ω,62KΩ
セ ワ し
(二し7こ。
Fig.4はこの回路の入力インピーダンスの周波数特性の 理論値と測定結果を示したものである。(3)式に示された理 論式によれば,Rl=R2の条件ではその抵抗値に関係なく 同一の周波数特性になるはずである。しかし,測定結果は 理論値によるものと類似の傾向を示しているが,R1= R2
RS
vi Ziゆ
R3
v
十
741
r v
vo
R4
c
陥陥洋 5鵡鱗
=呂昌3ム・RRC
Fig.3 Circuit of experiment−2.
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ロ く ゴコ
/ @ 200kHz
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瞭︐一
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x x 解値OR1署R2
叫i繊三
一26一
O 5 R eat. k:一一一一lb 一 一 一
Fig.4 lrnpedance digrarn by changing of frequency.
固体インダクタンスの特性の考察.金子・矢野
=・Rの値を変えることによって,少しずつ変化しているこ とがわかる。
Fig.5はFig.4より,インダクタンスしと実効抵抗との 周波数特性を求めたものである。実効抵抗の特性はR1=
R2≠Rを変えても特性に余り変化が見られないので,1つ の曲線でその傾向を示し,図を見易くした。
25
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t,一t)一一 . 一Hpe一.一..x.
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eRl=.51・2 kn R2=sC12ku wN
xR1冨62.4k兜 R2胃61.9k竃
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10
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oo 100
150 F(kHz》一炉
Fig.5 lnductance and resistance diagram by changing of frequency.
2.3実験皿 実験皿の回路にコンデンサを直列に接続 し,その共振周波数よりしの値の確かさをチェックするこ とにした。発振器の出力は32(擁yとし,コンデンサの容量 は50PF,100PFとした。
Fig.6はRl=R2=360KΩの時の共振曲線を示したもので ある。50PFのコンデンサを直列に接続した測定結果は共
振点が150KH2のところである。実験皿の結果との関連で 検討してみる。Fig.4において測定値グラフで150KH2の 時のリアクタンスは20KΩでFig.5よりしは1.2mHであ る。それ故,.共振周波数はノ=1/(2πVLC)より154.7KHg となり,その値は信頼できそうである。ただし,100PFを 接続した時は計算値が107KHgで共振の測定値は125Kll 付近となり誤差は大きかった。しかし,周波数が低.くなる と実効抵抗が増加するので共振曲線がゆるやかになったこ とがわかる。
2.4実験W Fig.3の回路において1〜1とR2の値を同じ にせず,Rl>R2, Rl<R2等の場合における入力インピー ダンスの周波数特性を求め,その測定結果をFig.7に示し
た。
40
30齪cd遷20
10
Rt=120Kn R2=3S,4Kft
論〉\.
諸θ。
̲蜘 \黙
800
700
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500
ハ這400;
300 200 100
o C=50PF
. C=100PF
O 5 10 Reat. Kn . IS
Fiett.7 lmpedance diagram by changing of frequency.
10 100
1mo F(kHz)
Fig.6 Series resonance curve.
3 あ と が き
演算増幅器とC,1〜を用いた回路においで,良質の固体 インダクタンを得る手がかりを卜い出した。その手がかり となる事項を列挙しておく。
1.実験工の回路では帰還抵抗R2の値が大きい程,高い 周波数で良質のしが得られる。
2.実験皿の回路ではRlを挿入することにより,実験工 のR2の値が同じであっても低い周波数で良質のしが得 られる。
3.Fig.4よりRl==R2=Rの時はRの値が小さい程,低い 周波数で良質のしが得られる。
4.Fig.7よりR1/R2が小さい程,低い周波数で良質のL が得られる。ただし,R2/Rrbs 1, 5付近より大きくなる
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津山高専紀要第20号 (1982)
と実験皿:の直列共振特性を求める時,固体インダクタン スの両端電圧にひずみが生じる。
なお,能動素子の測定であるので,0.1μFのコンデンサ で直流をカットした。原因不明の点が多く,今後の研究に 待つ次第である。
文 献
1)野口,近藤,吉田;二段接続のリアクタンス・トラン ジスタ,電子通信学会全国大会(昭和48−3)112 2)金子,近藤;複合リアクタンス・トランジスタの特 性,津山高専紀要 昭和49年度
3)矢野,金子,近藤;固体インダクタンスの特性の考 察,津山高専紀要 昭和51年度
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