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人 材 発 見 と 組 織 戦 略(1)
「 新 しい組 織 管 理 の基 本展 開 一
山 田 一 生
(目 次) 1.は じめ に 一 組 織 管 理 メ ソ トロ ジ ・一一 皿.現 代 組 織 の 動 向 と 組 織 動 態 化 の 基 本 問 題
皿.組 織 管 理 へ の 意 思 決 定 支 援 シ ス テ ム ーODS一 の 概 念 設 計 N.ODS‑一 組 織 管理 へ の パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル ー め 開 発 と試 行 V.ま と め に か え て 一 組 織 の 未 来 展 望 とODS一
〆
1.は じ め に 一 組 織 管 理 メ ソ ト ロ ジP・一一
く ラ
J.K.ガ ル ブ レイ ス教 授 の唱 えた 「不 確 実 性 の時 代」 とい う言 葉 に象 徴 され る よ うに,現 代社 会 の ゆ くえは,ま さ し く 「一 寸先 は 暗」 で あ る と言 え よ う。
す なわ ち,同 教 授 が危 惧す る よ うに,か って の高度経 済 成 長政 策 に支 え られ て
で ぐロ
発 展 した 「ゆ た か な社 会 」 は,環 境資 源 の稀 少性 とい う人 類 共 通 の大 問題 の ま えに,根 本 的 な方 向転換 を余 儀 な くされ た もの と考 え られ る。 そ れ と同時 に,
ゆ
「新 しい産業 国家」 のな かで,同 教 授 が展 開 した テ ク ノス トラ クチ ュ アの ゆ く えが,こ の 「環 境資 源 の不確i実性 」 とい う問題 解 決過程 に 対 処 して,ど うな る で あろ うか とい う認 識 が,ま す ます 重 要 に な る と言 え よ う。
原 稿 受 領1978年11月8日
(1)JohnKennethGalbraith,TheAgeofUncertainty,HoughtonMi田inCo.,
Boston,1977.(都 留 重 人 監 訳 『不 確i実 性 の 時 代 』,㈱TBSブ リ タ ニ カ,1978.)を 参 照 せ よ 。
(2)JohnKennethGalbr,aith,TheaffluentSociety,NewYork,NewAmerican
Libr4ry,1958.(鈴 木 哲 太 郎 訳rゆ た か な 社 会 』,岩 波 書 店,1960.)を 参 照 せ よ 。 (3)JohnKennethGalbraith,TheNewIndustrialState,・Houghton:Mi田in、Co.,
Boston,1967・(都 留 重 人 監 訳r新 し い 産 業 国 家 』,河 出 書 房 ・1968)・ を 参 照 せ よ 。
\
現 代 の企 業 組 織 を め ぐ る不 確 実 性 要 因 の増 大 傾 向 は,激 動 す る環 境 の な か で と りわ け め ざ ま しい もの が あ り,現 代 企 業 の 経 営 者 は,こ の 不 確 実 性 回 避 の た め に,た え ず 経 営 革 新 と適 切 な リー ダ ー シ ップ を 発 揮 せ ざ るを え な い の で あ る。
そ の た め に は,ま ず 企 業 組 織 を と りま く内外 の 環 境 的 諸 変 化 を,き わ め て 動 態 的 に 把 握 す る た め の 接 近 法 が 必 要 とな る の で あ る。
そ こ で,マ ネ ジ メソ トの 最 も基 本 的 な3つ の 職 能 は,計 画 化(Planning), 組 織 化(organizing),統 制(controlling)で あ る。 さ らに,計 画 化 とは,組 織 を 統 合 す る活 動 とみ な され,組 織 の 概 念 は,構 造 か ら プ ロセ スへ と変 化 す る。
す な わ ち,組 織 は 「自己 調 節 す る ホ メ オ ス タ テ ィ クな 機 構 」 とみ な され,統 制
ω
は 他 の 諸 機 能 を 連 結 す る職 能 で あ る。
こ の よ うな,マ ネ ジ メ ソ トの 職 能 で あ る計 画 化,組 織 化,統 制 とい う3つ の プ ロセ スは,組 織 化 の 原 理 に シ ス テ ム ズ ・ア プ ロ ーチ を 適 用 す る こ とに よ って, い わ ゆ る シ ス テ ム化 に よ っ て統 合 的 な 関 連 枠 と して と らえ られ る の で あ り,そ の全 体 的 ネ ッ トワ ー クに お け る ブ イ ー ドバ ッ ク ・メ カ ニ ズ ム と して作 用 す る の がMIS(ManagementInformationSystems)な の で あ る。 さ らに,MISへ の ア プ ロ ー チ は,プ ロ グ ラ ム ドな 諸 決 定 が な さ れ うる方 法 を 構 造 化 し,改 善 す るた め の 大 き な 期 待 を 担 っ て い る の で あ る。 そ こで の 重 要 な ポ イ ソ トは,意 思 決 定 過 程 とマ ネ ジ メ ソ ト活 動 と の一 体 化 を ど の よ うに と らえ る べ き か で あ る。
そ の 点 に つ い て のH.A.サ イ モ ソ教 授 の 諸 理 論 を 発 展 さ せ れ ば,プ ロ グ ラ ム ドな 意 思 決 定 と ノ ソ プ ロ グ ラ ム ドな 意 思 決 定 とに,マ ネ ジ メ ソ ト活 動 を識 別 す る こ とに よ っ て,意 思 決 定 過 程 と管 理 過 程 とは,組 織 的 意 思 決 定 の過 程 と して 一 体 化 さ れ る の で あ る。 こ の 組 織 的 意 思 決 定 の 過 程 とは ,ま さ に サ イ パ ネ テ ィ ッ ク ・シ ス テ ム と して の マ ネ ジ メ ソ トの 展 開 で あ り,と くに 企 業 組織 を 対 象 と す る場 合 に は,組 織 サ イ バ ネ テ ィ ッ ク ス の 展 開 と呼 ば れ る も の と な る で あ ろ
う。
(4)'JoelE.Ross,ManagementbyInformationSystem,Prentice‑Ha11,1970,p.
96.(鈴 木 幸 毅 ・山 田 一 生 訳r現 代 経 営 の シ ス テ ム と 理 論 』,日 本 経 営 出 版 会,1973.) p.、69.を 参 照 せ よ 。
人材発見 と組織 戦略(1) 一新 しい組糖 理 の基本展 開一
,Z9 さ らに,J.K.ガ ル ブ レ イ ス 教 授 の 唱 え た テ ク ノ ス トラ ク チ ュ ア(techn(》
structure)と は,大 企 業 組 織 に お け る集 団 的 意 思 決 定 に 参 画 す るす べ て の人 々 に よ っ て形 成 さ れ る組 織 の こ とで あ り,そ れ はH.A.サ イ モ ソ教 授 が 組 織 的 意 思 決 定 の過 程 と して と らえ る組 織 そ の も の と同 義 で あ る と言 え よ う。
そ の 意 味 で も,組 織 サ イ バ ネ テ ィ ッ クス の展 開 は,高 度 経 済 成 長 か らゼ ロあ る い は マ イ ナ ス経 済 成 長(安 定 成 長?)へ と全 面 的 な 進 路 変 更 を 必 至 の も の と す る 「不 確 実 性 時 代 」 の も とで,「 進 攻 戦 略 」 ふ ら 「撤 収 作 戦 」 へ と対 処 可 能 な問題 解 決過程 をめ ざす,企 業 組織 の テ ク ノス トラ クチ ュ アの死 命 を制 す る根 本 的 課題 で あ ろ う。
本 稿 のテ ーマで あ る 「人 材 発 見 と組 織 戦 略」 に おけ る組織 戦略 とは,ま さ し く組織 サ イ・ミネテ ィ ッ クス の展 開 を 通 じて実 現 す るで あ ろ う適 応 的組 織形 態 を め ぐ る 「組 織 管 珪 メ ソ トロ ジ ー」 の 探 究 で あ り,よ り具 体 的 に は,「 組 織 的 意 思 決 定過 程」 の確 立 を め ざ した情 報 シ ステ ムズ ・ア プ ローチ の もつ 戦略 的側 面 を 意味 す るので あ る。 と りわ け,企 業 体 質 の総 点 検作業 を通 じて ます ます顕 著 とな るで あろ う 「人 材発 見」(減 量経 営 政 策)の もつ重 要 性 は,ま さ し くテ ク ノス トラ クチ ュ アの死 命線 で あ ろ う。 す なわ ち,「 組 織 管理 メソ トロジ ー」 の 探 究 こそ,最 緊 急課 題 で あ る・
ll.現 代 組 織 の 動 向 と 組 織 動 態 化 の 基 本 問 題
本 研 究 は,現 代 組 織 の 二 面 性(硬 直 化 と流 動 化)に ね ざす 組 織 管 理 に 関 す る 意 思 決 定 を 支 援 す る方 式 で 展 開 され る マ ソ=マ シ ソ ・シ ス テ ムの パ イ ロ ッ ト ・
モ デ ル の 開 発 と試 行 で あ る。 も と よ りODS(OrganizationDecisionSupPort
Systems)の 実 証 的 研 究 へ の取 り組 み は,こ れ ・まで に 筆 者 が 展 開 して き たMIS (ManagementInformationSystems)の 体 系 的 研 究 か らの 苦 悩 の 産 物 で あ り, 顧 み れ ば 当 然 の 帰 結 で あ る。 な ぜ か と言 え ば,概 して 人,金,物 とい う経 営 シ ス テ ム の3要 素 の な か で,情 報 シ ス テ ム ズ ・ア プ ロ ー チ の面 か ら捉 え て,最 も 管 理 不 能 な要 素 は,人 材 だ か らで あ る。̀
こ こで 驚 くべ き 事 実 は,現 代 組 織 へ の コ ソ ピ ュ ー タ ・ア プ リケ ー シ ョ ソ ズ の
進 行す るなか で,最 も遅 れ た適用 分 野 こそ,人 事管 理 部 門 とい うこ とで あ る。
そ の主 要 な理 由 の1つ と しては,個 人 の プ ライバ シ ー問題 もあ げ られ よ う。 し か しなが ら,そ れ以 上 に重 視 す べ きは,「 組 織 の中 の人 間」 問題 を と りあ げ る 場 合 の,組 織 の立 場 か らみた 人 間観 の相違 で あ る。 この こ とは,根 本 的 には, 現 代組 織 の二 面性 に も通 じる もの で あ り,現 代 組 織 研 究 の最 重要 課 題 の1つ と
な ってい る。
す なわ ち,ODSの 研 究 は,管 理社 会,組 織 社会,情 報 社 会 ともい わ れ る現 代 社 会 に生 き る人 間 の 自由度 と不 自由度 につ い て,具 体 的 組 織活 動 を通 じて展 開 され るモ チ ヴ ェー シ ョン=リ ー ダ ーシ ヅプの状況 的理 解 に と どま らず,現 代 人 の誰 もが抱 く個 人 的 人格 と組 織 的 人 格 との葛藤 と調 整行 動 の メカ ニズ ムの徹 底 的 分析 と解 明をは か ろ う とす る もので あ る。 も とよ りそ の背 景に は,す で に 筆者 の提 唱 した 「目に み え ない 欄(情 報 シス テ ム)と い う社 会 的 必要 悪 の認 識 あ って の こ とで あ る。 さ らに,「 固定 的 ・静 態 的 組織 」(環 境 の変 化 に保 守 的 側 面)と 「流動 的 ・動態 的組織 」(環 境 の変 化 に順 応 的 側面)と の葛藤 と して 捉 え られ る現代 組 織 の動 向に鋭 く対 処す る能 力 は,現 代 組織 管理 者 の必須 条 件 で あ る。
こ こで,現 代 組織 の動 向に み られ る人的 資源 の効 率 的活 用 を はか るた め の組 織 づ く りの必要 性 は,低 成 長 ・安 定 成 長 期を 迎 え て,ま す ます 高 ま って い る。
と りわ け,減 量 経 営 政策 の実 施 を真 向 か ら迫 ま られ て い る現 代企 業 のほ とん ど に とって,ODSの 実 証 的 研究 は,企 業組 織 の最 高機 密 に属 す るほ どの,戦 略 的 課題 で あ る。
した が って,組 織 変 革 と情 報 シ ステ ムに つい ての考 察 は,組 織 計画(技 術 的
。構 造 的 側 面)と 組織 開発(職 能 的 ・人 間的 側面)と い う2つ の視 角 を統 合 す るア プ ローチを め ざ して進 め られ る べ きで,現 代 の激変 す る環境 に適応 す る組 織 体 の確 立 を め ざす た め に も,き わ め て優 先度 の高い 課題 の1つ で あ ろ う。 そ こで,「 目に み え ない 濫」 に例 え られ た 「情 報 シ ステ ム」 の分 析 ・・設 計 とい う 現 代 の最 緊 急課 題 に 対処 す るた めに,そ の問題 解 決過程 へ の ア プ ローチ を め ざ
して展 開 され て きた のが,ODSの 実 証 的研 究 とい う,こ こで の主 題 で あ る。
、
人材 発見 と組織 戦略(1)
一 新 しい組織管理 の基本 展開一 21
また,そ こか ら派 生 す るで あ ろ う現 代組 織 の二面 性 との 関連 で,現 代 の人 事 管 理 制度 の根 本課題 の1つ で あ る 「人事 管理」 と 「人 材管 理」 との統 合 的 ア プ
ローチ を め ざす こ と こそ,筆 者 の研 究 関 心 の原 点 と もい え るので あ る。 も とよ り,ODSの 実 証 的研 究 とい うこ こで の主題 は,情 報 シ ス テ ムズ ・ア ブPt‑一一チ の立 場 か ら,現 代 組織 の二 面 性 に も通 じる 「組 織 計 画」 面 と 「組織 開発」 面 と のあ い だに,何 らか の有 機 的 な架 橋 を 試み る こ とで あ り,文 字 通 りの試 行錯 誤 の第 一 歩で もあ る。
い わ ゆ る組 織 管 理 の新展 開に つい て,筆 者 の これ まで の 分 析視 角 のPerspec・
tivesを 試 み るなか で,お ぼ ろ げ なが らも姿 を捉 え る こ との で きた 「組織 管 理 の あ り方 」 とい う分 析 視 点 に焦 点 を あ わせ て,あ え て試 論 を挑 む とす れ ば,次 の よ うな概 念 図 を描 くこ とが で き る。
組 織 開 発 (職 能 ・人間 面)
組 織 管 理 (ゾ フ ト面)
組 織 変 革 (ハ ー ド面)
'、
、 組 織 計 画 (技 術 ・構 造面)●
す でに組 織 変 革 の二 大潮 流 を形 成 す る 「組 織 計画」 面 と 「組織 開発 」 面 との あい だ に,何 らか の有機 的 な架 橋 を試 み る こ とこそ,「 新 しい組 織 管理 の あ り 方」 を 探究 す る こ とそ の ものだ か らで あ る。 こ こで,新 し く登 場 す る こ とに な
る 「組 織 変 革」(情 報 シス テ ム)と 「組 織 管理 」(新 架 橋)と の対応 関係 は,現 代 組 織 の メカ ニズ ムを解 明す る意 味 で,き わ め て重要 な新 機軸 とな ろ う。
こ こで 「新 しい組織 管理 のあ り方 」 とい う観 点 か ら,現 代 組織 の二 面 性 に つ
い て 再 度 吟 味 す れ ば,新 た に 「組 織 変 革 」(ハ ー ドウ ェ ア側 面)と 「組 織 管 理 」 (ソ フ トウ ェア 側 面)と が 導 出 さ れ る こ とに な ろ う。 前 老 は,現 代 組 織 の ハ ー ド面 で の 情 報 シ ス テ ムを 核 とす る潮 流 で あ る の に 比 べ て,後 者 は ソ フ ト面 で の 人 間 観 ・価 値 観 に も とつ く潮 流 で あ る。 この ハ ー ド面 と ソ フ ト面 との あ い だ に 確 立 され る で あ ろ う有 機 的 な 架 橋 こそ,「 新 しい 組 織 管 理 の あ り方 」 を 具 体 的 に 示 唆 す る もの とな ろ う。 これ こそ ま さ に 組織 管 理 へ の 意 思 決 定 支 援 シ ス テ ム の パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル と して の 役 割 を は た す べ きODSの プ ロ ト ・タ イ プで あ
る と考 え て い る。
と こ ろ で,現 代 の 人 事 管 理 制 度 の 一 般 的 特 徴 は,(1)経 営 の 効 率 化 を め ざ した 人 材 の 有 効 活 用,(2)従 業 員 の 人 間 性 尊 重 に も とつ く人 事 管 理,(3)能 力 主 義 を 前 提 とす る人 的 資 源 の 公 平 な 配 分 と処 遇,と い う3点 に 要 約 され る。 と くに,経 済 環 境 の 激 変 に と もな う組 織 の 流 動 化 ・動 態 化 傾 向 と,従 業 員 が 個 々 の 仕 事 を 通 じて 「自己 啓 発 」 を は か るた め のOJT(onjobtrainning)を 重 視 す る 企 業 の 増 加 が,最 近 とみ に 顕 著 と な っ て き て い る 。
と りわ け,組 織 の 流 動 化 ・動 態 化 を め ざ した 組 織 改 革 の 動 き は,能 力 主 義 の 台 頭 と と もに,い わ ゆ る プ ロ ジ ェ ク ト ・チ ー ム や タ ス ク ・フ オ ー ス制 度 を 導 入 す る方 式 で,き わ め て 熱 心 に 取 り組 まれ て い る。 そ こで,こ の よ うな 動 態 的 組 織 の 発 展 に つ い て,分 類 整 理 を 試 み る とす れ ば,次 の よ うな 見 解 に 代 表 さ れ る
ゆ
で あ ろ う。 す な わ ち,ま ず 第1段 階 と して は,定 常 組 織(静 態 組 織)の 補 完 策 と して 導 入 され た 場 合 で あ り,静 態 組 織 とい う トー タ ル シ ス テ ム に 対 す るサ ブ シ ス テ ム(動 態 組 織)に す ぎ な い こ とに な る 。 第2段 階 と して は,ト ー タ ル シ ス テ ム と して の 動 態 組 織 の 展 開 さ れ た 場 合 で あ るが,あ る面 で 伝 統 的 組 織 を 否 定 し,他 の面 で は 稟 議 経 営 か ら脱 出 して,名 実 と もに そ な わ っ た 動 態 組 織 と し て,プ ロ ジ ェ ク ト型 組 織 と して 確 立 され る こ とに な る の で,成 功 例 は きわ め て 少 な い の で あ る 。 第3段 階 と して は,MIS時 代 の 動 態 組 織 の 展 開 され る場 合 で あ る が,そ こに は(1)マ ソ、・マ シ ソ ・シ ス テ ムの 確 立,(2)MISの 確 立,(3)有 為 の
(5)倉 橋 宏 ・鶴 見 直 輔 編rプ ロ ジ ェ ク ト ・ チ ー ム の 編 成 と 運 営 一 組 織 動 態 化 の 方 向 一r2,.ダ イ ヤ モ ン ド社,1970,pp.6‑21.参 照 の こ と 。
人材発見 と組織戦略(1)
一新 しい組織管理の基本展開一23
人 材確 保 とい う,い まだ未 解 決 な課題 もあ って,本 格 的展 開に は至 らな い ので あ る。
した が って,こ れ らの動 態 的組織 の発 展 に は,さ ま ざ まの阻 害要 因 が介 在 す る もの と分 析 され るが,そ れ らの問題 点に つ い てほ とん ど吟 味 され ない ばか り か,無 関 心 に もまった く看 過 され た ま まで,い た ず らに 組織 の動 態 化手 法 の短 兵 急 な導 入 のみ を はか る と ころに,組 織 動 態 化 の基 本問題 が あ るので あ る。
皿.組 織 管 理 へ の 意 思 決 定 支 援 シ ス テ ムーODS一 の 概 念 設 計
日本 で 「能 力 主 義 」 とい う言 葉 が 盛 ん に 登 場 しは じめ た の は,昭 和35〜36年 ごろ か ら と され て お り,総 じて 日本 の 能 力 主 義 化 へ の 努 力 に は,3つ の 段 階 が
ゆ
あ った と考 え られ る。 す なわ ち,第1の 段 階 は,昭 和27〜35年 にか け て の 「職 務 権 限 明確 化 」 の展 開で あ り,第2の 段 階 は,そ れ に続 く 「職 能 的資格 制 度」
を 云 々す る時代 で あ る。 さ らに,昭 和40年 代 よ り,「 目標 に よる管理」 「動 態 的
・流動 的組織 」 等 に 象 徴 され る能 力主 義 の第3段 階 をむ か え た ので あ る。 しか しなが ら,こ れ まで の ところ,「 能 力主 義」 に も とつ く組織 管 理 は,本 格 的 な 意 味 では ほ とん ど 日本 の組織 風 土 に 定着 す るにい た らない 。
そ の根 本 的理 由 と しては,ア メ リカ経営 管理 学 の根底 に あ る 「科 学主 義 ・合 理 主義 」 の側 面 と 「人 間中 心 ・個 人尊 重 」 の側 面 とが,調 和 された か た ちで 共 存 して い く上 で の基 本 ル ール を形 成 す る もの こそ,「 能 力主 義」 そ の もの で あ
る と判 断 され るか らで あ る。 さ らに重 要 な点 は,真 の 日本 的能 力主 義 を確 立 す るた めには,「 能 力主 義 」 と 「組織 体質 」 とが 同時進 行 のか た ち で検討 され な け れば な らない こ とで あ る。
そ のた めには,ア メ リカの経営 管理 技術 をいた ず らに導 入 す る よ うな,こ れ まで の実 践面 で の根 本 的反 省か ら,ア メ リカ経営 管理 学 の原 点 にか え って,つ
(6)土 方 文 一 郎r能 力 主i義 と動 態 組 織 』,産 業 能 率 短 期 大 学 出 版 部,1975,pp.89‑90.
参 照 の こ と。
(7)井 上 富 雄r日 本 的 能 力 主 義 』,日 本 経 営 出 版 会,1969,pp.103‑104.参 照 の こ と。
ぶ さに再 検 討 を くわ え る こ とか らは じめ るべ きで あ る。 そ の結 果 は,い わ ゆ る
「日本 的経 営」 の もつ諸 特 性 との不調 和 の歴 史 に直 面す るのみ で,か ろ うじて
「折衷 論 」 的 ア プ ローチで の 部分 的成 功 例 を と どめ るのみ で あ る。
そ こで 徹 底 的に 究 明 され るべ きは,ア メ リカの思想 的環 境 の なか で,と くに プラ グマ テ ィズ ム哲 学に 根 ざす 人 間 学,ダ ー ヴ ィニ ズ ム的 展 開 をみ せ る制 度論 を 通 じてつ ちか わ れ て きた ア メ リカ人 の思 考方 式が,次 第 に 「シス テ ム思 考」
と して生 成 す る過 程 の産 物 と しての 「能 力主 義 」 に匹 敵 す る存 在 と して,日 本 人 の 儒教 精 神を背 景 とす る 「士 農 工 商」 制度 に根 ざ した 思 考方 式が,明 治維 新 の 「廃 藩 置 県」 後 約100年 の今 日まで,依 然 と して発 露 され続 け た 「年功 序 列 」
「終 身 雇用 」 に 象 徴 され る 日本 人 の精 神 基 盤 そ の もの で あ る。 と りわ け 「学歴 主 義 」を 最優 先 とす る現 代 日本 の 「ひず み」 傾 向の もた らす 加速 度 的症 状 を根 底 よ り見 直 す作業 こそ 急 務 で あ る。
したが って,相 容れ ない2つ の精 神 基 盤 の葛 藤 と しての み捉 え られ る 「日本 的 能 力主 義」 の確 立 と,日 本的 経 営 の 諸特 性 に 集約 され た 「組 織 動 態 化 の基 本 問題 」 とは,ま った く同 一 の分 析 視角 の中か ら再 検 討 され るべ きであ って,日 本 の組 織 風 土 の 中で,真 に確i立され る 日を 待 つ しか な いの で あ る。
日本的 能 力主 義 を実 践 して きた特 異 の事例 と してぽ,日 本IBM社 の場 合 を 考 え る こ とが で き よ う。 す な わ ち,同 社 の場 合 に は,国 際 的 企業 の一 員 と して の 経 営管 理 技術 との接 触 を背 景に,日 本的風 土 の なか で今 日まで,「 日本 のた め の 能 力主 義」 を 推進 す べ く,段 階 的 な体 質改 善 を展 開 して きた独 自の組織 体
ゆ
質 を も つ 企 業 と して,注 目 さ れ るの で あ る。 と くに,人 事 ・組 織 管 理 面 で の 数 少 な い成 功 例 と して の 日本IBM社 の 存 在 は,格 好 の 分 析 資 料 を 提 供 す る もの
と言 え よ う。'
よ くア メ リカ人 は まず 行 動 す る前 に プ リソ シ プル を 確 立 す る こ とか らは じめ る点 が,「 シ ス テ ム思 考 」 の実 践 レベ ル で 注 目 さ れ て い るが,こ の 場 合,「 能 力 主 義 」 こそ ま さ し く プ リソ シ プ ル そ の もの で あ り,ア メ リカ人 の 思 考 方 式 の 根 底 に あ る経 営 哲 学 な る もの の発 露 と考 え られ る で あ ろ う。 す な わ ち,ア メ リ カ
(8)Ditto,ibid.,は し が き を 参 照 の こ と 。
人材 発見 と組織 戦略(1)
一新 しい組織管理 の基本 展開一 25
的 経 営 管理 技術面 か ら 捉 え てみ れ ば,「 能 力主 義」 こそ 「組織 管理 のあ り方」
の プ リソ シ プル で あ る こ とに,注 目 した いの で あ る。
そ こで,日 本IBM社 の経 営理 念 は,「 個人 主 義」(個 人 の尊 重),「 機 能 主義 」 (顧 客 へ のす ぐれ た サ ー ビス),「完 全主 義 」(一流 主 義)と い う3本 柱 で構 成 さ れ るの で あ り,こ れ ら3つ の基 本概 念 が相互 に 有機 的 に結 びあ って,企 業 の 目 標 達 成 と個 人 尊重 の追 求 とが,と もに実 現 され てい る ところに,日 本IBM社 の
ゆ
人 事 ・組 織 管 理 面 で の 企 業 体 質 を 特 徴 づ け る もの と言 え よ う。 そ の 際"Think"
とい う言 葉 は,IBMの 標 語 と して有 名 で あ るが,そ の理 論 的 根 拠 よ り も,む し ろ 経 営 理 念 の 象 徴 で あ った と理 解 され る。 す な わ ち,「 シ ス テ ム思 考 」 に も と つ い て宥 動前 提 と して の プ リソ シ プル に つい て熟 慮 す る こ とを徹 底す るた め の 標 語 で あ った と考 え られ よ う。
日本 皿3M社 に お け る人 事 管 理 制 度 は,「 コ ソ ピ ュ ー タ に よ る人 事 管 理 」、と し て 展 開 され て お り,人 事 情 報 管 理 シ ス テ ム(PersonnelDataSystem,略 して PDS)と 呼 ば れ て い る。 また,同 社 め 人 事 管 理 の 最 大 の 特 徴 点 は,「 ライ ソに よ る人 事 管 理 」 を 徹 底 的 に 実 践 して い る と こ ろ に あ る。 さ らに,同 社 の 人 事 管 理 制 度 は,経 営 理 念 → 人 事 方 針 → 制 度 → 職 場 管 理 とい うネ ッ トワ ー クに も とづ き展 開 さ れ,そ の 結 果 が 人 事 方 針 に フ ィ ー ドバ ッ ク され て,「 ラ イ ソに よ る職 場 管 理 」 を 通 じ て,常 に 人 事 方 針 の 改 善 を は か る と こ ろ に,独 自性 が み られ
ごユゆ
る。 す な わ ち,飼 社 に は,全 仕 的 ス タ ッフ と して の 人 事 本 部 が,ラ イ ソ 部 門 か ら完 全 に 切 り離 して設 置 され てお り,そ こでは 常 に新 しい組織 管理 のあ りか た を め ざ した 人 事 ・組織 管 理 の展 開が 期待 され る と ころに,「 ライ ソに よ る人 事 管 理 」 を実 践 す る こ との,真 骨頂 をみ る思 い が す るの で あ る。
日本IBM社 の人 事管 理制 度 の特 徴点 を要 約 す れ ば,(1)ラ イ ン管理 者 に よる 採 用 管 理,② 年 間 を通 じて異 動 され る人 員配 置,(3)能 力主 義 へ の 移行 を め ざ し た 昇 進 管理,(4)管 理 者 に は定 期 昇給 のな い給 与 管理,(5)社 員 の問題 解 決 を最 優
(9)Ditto,ibid.,PP.177・‑184,参 照 。
⑩ 古 小 路 四 朗 『コ ソ ピ ュ ー タ に よ る 人 事 管 理 』,日 本 経 営 出 版 会,1968,p.5.参 照 の こ と 。
先 す る人 間 関係管 理,(6)教 育に 飽 和点 は ない とす る徹 底 した教 育 訓練 制度,な
ロ ひ
ど で あ る。
こ の よ うに,日 本IBM社 の場 合 に は,「 ライ ソ に よ る人 事 管 理 」 を 出 発 点 とす る 能 力 主 義 的 管 理 方 式 の 段 階 的 実 施 策 を,「 コ ソ ピ ュ ー タ に よ る人 事 管 理 」 (PDS)を 通 じて 展 開 した の で あ り,そ こで は,実 に 見 事 に 「経 営 理 念 の 浸 透 」 が 貫 徹 さ れ て い る。 す な わ ち,lPDSは,適 材 適 所 主 義 を 貫 く能 力主 義 ・実 力 主 義 の 人 事 管 理 シ ス テ ム と して,(i)デ ー タ の 重 複 項 目を な くす,(ii)長 期
・短 期 の 人 事 計 画 に 用 い る,(iii)教 育 訓 練 に 応 用 す る,(iv)情 報 検 索 に 用 い る,(v)管 理 資 料 を提 供 す る な ど の 利 用 目的 か ら設 計 さ れ て お り,基 本 的 に
く の
は 「動 態 的 組 織 管 理 」 に 適 応 で き るだ け の,基 礎 的 諸 条 件 を 備 え て い る。、
しか しな が ら,PDSはIBM独 自の 帳 票 設 計 に よ って,情 報 要 求 の 複 雑 性 を た くみ に カバ ー して い る とは い っ て も,基 本 的 に は カ ー ド ・ベ ー ス の バ ッチ 処 理 方 式 で の 運 用 に す ぎ な い こ と も あ って,致 命 的 と も言 え る タ ー ソ ・ア ラ ウ ソ ド ・タ イ ム の 遅 れ が 生 ず る の で あ る。 した が って,よ り積 極 的 な 意 味 で 能 力 主 義 と密 接 に 関 連 させ て,流 動 的 ・動 態 的 組 織 管 理 を 展 開 させ る た め に は,ど
う して も 「人 事 情 報 管 理 」(PDS)か ら 「人 事 情 報 検 索 」(PRISM)へ と発 展 せ ざ るを え な い の で あ る。
こ こで,PRISM(PersonnelRespondentInformationSystemforMan・
agement)と は,オ ソ ・ライ ソに よ る人 事 情 報 検 索 を 目的 と して 設 計 され た デ ー タ ・ベ ー ス で あ り,多 種 多 量 の 人 事 情 報 の 中 か ら,使 用 頻 度 の 高 い 情 報 に つ い て整 理 統 合 し,オ ソ ・ラ イ ン用 の 人 事 情 報 デ ー タ ・ベ ー ス と して 集 約 す る こ とが 可 能 で あ る。 しか も,Display端 末 上 か ら直 接 に 情 報 検 索 す る こ とが で き
ご
る シ ス テ ムで あ る。
か く し て,日 本IBM社 に お け るPDSか らPRISMへ の 試 行 錯 誤 の プ ロ セ
⑪Ditto,ibid.,pp.7‑19.な らび に,井 上 富 雄,op.cit.,pp.192‑201.を 参 照 の こ と 。
⑫Ditto,ibid。,pp.74‑79.参 照 。
⑬ 日 本 ア イ ・ ビ イ ・エ ム 株 式 会 社,PRISM一 人 事 情 報 検 索 シ ス テ ム ー 〈日 本IBM 社 内 に お け る 適 用 業 務 例 〉,1977,参 照 の こ と 。
人材発見 と組織戦略(1)
一新 しい組織管理の基本展開一27
スは,き わ め て着実 に進 行 され た の であ り,同 社 の業 界 で の優位 性 は,日 本的 能 力主義 の定 着 した企業 体 質 の所 産 であ る卓越 した人 的資 源 の豊 富 さに も とつ くもの で あ る。 しか も,D.マ クレガ ーの提 唱す るX型 とY型 とい う2つ の タ イ プの人 間像 が,は っき りと識 別 され な が らた くみ な チ ー ム ワー クを発 揮 して い る こ とに驚 くばか りで あ る。そ れ を 可能 とす る もの こそシ 新 しい組織 管理 の 展 開 で あ ろ う。
と ころで,非 常 に 興味 深 い事 実 と して,PDSと ま った く同一 の設 計 思 想 に も とつ く人事 総 合EDP化 シ ステ ムが,伝 統 的 な 日本 的経 営 を実 践 して い るは ず のNEC社(日 本 電気株 式会 社 の略称)に お い て,す で に10数 年 以上 の長 期 にわ た って試 行錯 誤 を重 ね て いた こ とが,指 摘 され よ う。 しか も,そ の 内容 そ の ものが驚 くほ ど類似 す るばか りで な く,ほ ぼ 時期 を同 じ く し て 開 発 さ れ た
く の
NEC社 のINQDEMOが,PRISMに 対 応 す る もの で あ る こ とに も,偶 然 とは 思 わ れ ぬ ほ どの 一 致 点 を み い だ す の で あ る。 し た が っ て,NEC社 に お け る Skills&CareerInventorySystemsの 基 本 展 開 は,「 能 力 主 義 」 と 「日本 的 経 営 」 を め ぐ っ て様 々 の 企 業 体 質 の 相 異 点 は 指 摘 さ れ る と して も,日 本IBM社 に お け る実 践 経 過 とほ 底 同 一 の も の と理 解 され る の で あ る。 しか も,「 新 しい 組 織 管 理 の あ り方 」 を 探 究 す る上 で の,運 用 面 で も多 くの 共 通 点 を そ な え て い
る と考 え られ る。
そ こで,両 社 に共 通 す る プア イル面 で の フ レー ム ワー クを前 畢 に して,組 織 管 理 へ の意思 決 定 支援 シス テ み一 〇DS一 の概 要 設 計を試 み る とす れ ば,次 の よ
うな 関連 図 を示 す こ とが で き よ う。
す なわ ち,今 後 ます ます増 大 す る傾 向に あ るrX+Y」 型 とい う現 代 日本 人 の きわ め てエ ソ トロピ ーの高 い組 織体 質 の状況 的変 化 の プ ロセ スを,XとYと の要 因分 析 な らびに 状況 的変 化量 を克 明に識 別 で き る ところ まで,「 新 しい 組 織 管 理 のあ り方」 の要 求 レベ ルが 高 ま る とす れ ば,そ の要件 を充 足す るだ け の
⑭ 日本 電 気 株 式 会 社rlNQエ ン ドユ ー ザ 言 語(EQL)説 明 書 」,FFKO3‑1,1977,
参 照 の こ と 。INQDEMOと は,あ る コ ン ピ ュ ー タ ー ・ メ ー カ ー のSEフ ァ イ ル を 事
]
例 と す るDEMOモ デ ル の こ と で あ る 。
教育記録 評価記録⑧㊨⑭㊥⑧
ODS
④ プロジ・外 (能力主義)
⑬ プロジェ外 (組織体質)
管 理 技 法 を 開発 す る こ とこそ,現 代 組織 論 の緊急 課題01つ であ る と考 え られ るo
しか しな が ら,こ れ らの課 題 に 多 少 な りと も挑 戦 す る意 図を もって,実 証 的 研 究 の展 開 を試 み る ことは,ま さに現 代 の ドソキ ホ ーテに な りか ね な い 冒険 で あ ろ う。 そ れに もかか わ らず,約4年 か ら8年 後 の組 織 社 会 を直 撃 す るで あ ろ う大 混 乱(日 本株 式会 社 の倒 産?)を 予 想 して,せ め て一 矢 な りと も報 い るべ く模 索 され て きた の が,そ の プ ロ ト・モ デル と してのODSの 検 討 で あ る。 以 上 の観 点か ら,IBM社 とNEC社 に おけ るオ ソ ライ ソ ・デ ータベ ー ス方 式 で の 人 事 情 報 シス テ ムの基 本 的展 開 は,き わ め て重要 な胎 動 で あ る こ とが確i認され た ので あ る。
N.ODS一 組 織 管 理 へ の パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル ー の 開 発 と試 行
昭 和51年 度 か ら文 部 省 特 定 研 究 と して ス タ ー トしたODSの 実 証 的 研 究 は, まず 初 年 度 に お い て 着 手 され た 研 究 課 題 と して,DecisionSupPOrtSystemsの
理 論 的 フ レ ー ム ワ ー ク の 研 究 と,そ の 実 証 レベ ル で の ハ ー ドウ ェ ア構 成 の検 討
人材発見 と組織 戦略(1)
一新 しい組織 管理O基 本展開一29
こゆ
と ソフ トウ ェ ア の 開 発 研 究 とい う2つ の側 面 か らの ア プ ロ ー一一チ で あ った 。 昭 和52年 に お い て は,す で に 概 要 設 計 され たODSの 基 本 的 構 成 と詳 細 設 計 を確i立す る作栄 と同時併 行 しなが ら,日 本 国 内 の有 力企業 に つい て,特 に 「コ ン ピ ユ ー タ に よ る人 事 管 理 」 と 「ライ ソ管 理 老 に よ る人 事 管 理 」 との 両 方 またベ
は い ず れ か 一 方 を 実 践 す る企 業 に つ い て 調 査 分 析 を 進 め る こ とに した が,い ず れ も 「人 事 秘 」 とい う大 義 名 分 の 前 に,充 分 な成 果 を あ げ る こ とが で きず,結 果 的 に は 約14社 に つ い て あ る程 度 満 足 で き る調 査 研 究 を 実 施 す る こ とが で き た 。
しか しな が ら,す で に 紹 介 したIBM社,NEC社 の場 合 で あ っ て も,こ こで 取 りあ げ た 資 料 は す で に 公 表 さ れ た もの に 限 定 さ れ た の で あ り,そ の 他 の 貴 重 な 資 料 は,手 元 に 死 蔵 され た ま まで あ る。 逆 言 す れ ば,そ れ ほ どに 人 事 管 理 に' 関 す る諸 資 料 は,各 企 業 に と っ て 重 要 な機 密 事 項 な の で あ る。 この よ うな 事 情 、 に 顧 み て,思 い 切 った 発 想 の 転 換 に 迫 られ て 出 発 した の が,こ こ で 紹 介 す る ODSの パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル と して のALIS(AutoLibraryInformationSystem)
で あ る。
そ こで,ALISの 概 要 を 紹 介 す る ま え に,こ れ らの 実 証 的 研 究 を 展 開 す る上 で の 「組 織 の 厚 い 壁 」 を 前 提 とす る,今 後 のODSの 開 発 計 画 へ の ア プ ロ ー チ に つ い て,付 言 す る こ とに した い 。 す な わ ち,今 後 のODSの 開 発 計 画 は,次 図 に 示 さ れ る よ うな4つ の ア プ ロ ーチ を め ぐ って 試 行 錯 誤 さ れ な が ら,次 第 に そ の標 準 作 業 もす す め られ る こ とに な るで あ ろ う。1
こ こで 標 準 モ デ ル とは,あ らゆ る角 度 か らの 組 織 体 質 の 分 析 を も とに,例 え ば 新 プ ロジ ェ ク ト ・チ ー ム め編 成,既 存 プ ロ ジ ェ ク ト ・チ ー ムの 最 適 化,各 プ ロジ ェ ク ト ・チ ー ムの 推 進 管 理 等 の 意 思 決 定 を 支 援 で き る ま で に,相 当 程 度 の 標 準 化 作 業 が進 め られ た 段 階 で 確i立 さ れ るで あ ろ うDecisionSupPOrtSystems
ご ゆ へ
のCoreModelの 標 準型 で あ る。 した が って,本 研究 の最 終 目標 を想 定 す る際 の試 行錯 誤 の産 物 と しての み現 段階 では捉 え られ るに す ぎな い ので あ る。
⑮ 山 田 一 生 「DecisionSupportSystemsの 実 証 的 研 究 一 計 画 策 定 と 予 算 編 成 と の 統 合 モ デ ル ー 」,東 洋 大 学 付 属 電 子 計 算 機 セ ソ タr『 情 報 科 学 論 集 』,第6号,1978
年3月 を 参 照 の こ と 。
⑯Ditto,ibid.,PP。81‑85.参 照 。
ALIS
(原 理 モ デ ル)
!(墾『
ODS
(標準 モ デル)
SMIS
(試 作 モ デル)
\(1}ヱ
っ ぎに概 念 モ デル とは,す でに10数 年 にわ た る試 行 錯誤 の経 過 を ふ まえて確 立 されたIBM社 とNEC社 の両 方 に共 通す る プ レ・一ム ワー グに っ い て概念 的 検討 を加 えた結 果 と して捉 え られ たPDSな らびにPRISMで あ る。 した が っ て,基 本 的 にはSkills&CareerInventorySystemsと して捉 え られ る こ とに な る。
第3に 実 証 モ デ ル とは,昭 和53年 度 に な って策 定 された 実 際 に活 動 中 の現 実 企業 に つい て,「 コソ ピュ ー タに よる人 事 管理 」 と 「ライ ソ管理 者 に よる人 事 管理 」 とい う2つ の条件 を前 提 に,ア ソ ケ ー ト方 式 の 自己 申告制 度 の実施 と, 徹 底 的 な面 接調 査 分 析 を通 じて組 織体 質 を解 明 し,青 写 真 の方 式 で提 案 され る 予 定 の もので あ る。 した が って,大 げ さに捉 えれ ば 「ホ ー ソソ工 場 の実 験」 に 匹 敵 す るほ どの予 期せ ぬ成 果 も期 待 され,で き るか ぎ り長 期に わ た って試 行 錯 誤 を積 み重 ね て,有 効な フ ィー ドバ ック情報 を 生 か した改 訂 作業 も期 待 す る と
ころで あ る。
第4に 原理 モ デル とは,具 体 的 に はALISを 通 じて模 索 され る もの で,現 在 汎用 型文 献 内容 検 索 シス テ ム と して,開 発作 業 を 進行 中 の もので あ る。 現段 階 では,管 理 科 学 系研 究 室 に あ る約2,000冊 の文 献 内容 に つ い て,自 動 情報 検 索 の試 行実 験 を継続 中 であ る。 また,基 本 的に は 一書 籍 を一 人 材 に みた て る とい
人材発見 と組織戦略(1).
一 新 しい組織 管理 の基本展 開一 31
う発 想 で,ODSの パ イ ロ ヅ ト ・モ デ ル の 開 発 と試 行 を,同 時 併 行 的 に 重 ね て い る こ とに な る の で あ る。
第5に 試 作 モ デ ル とは,PRISMとALISと の あ い だ に 共 通 す る フ レ ー ム ワ ー クを構 築 す る こ とに ょ っ て
,操 作 的 な モ デ ル 実 験 を 具 体 的 に 検 討 で き る よ う な シ ミュ レ ー シ ョソ ・モ デ ル と して 試 作 さ れ た もの で あ る。 具 体 的 に は,概 念
モ デ ル の簡 易 型 シ ミュ レ ー シ ョン実 験 を 可 能 とす る もの で,同 時 にODSのPR モ デ ル も兼 ね て い る。
ODSを 中 核 とす る これ ら4つ の ア プ ロ ・一チ は,も と よ り最 終 的 に は 一 元 化 を め ざ して 展 開 され て い る点 で,す べ てODSの パ イ ロ ヅ ト ・モ デ ル の 開 発 と 試 行 とい う こ とに な ろ う。 こ こで 最 も重 視 さ れ る べ き 戦 略 的 側 面 は,理 論 と実
践 との あ い だ の 有 機 的 架 橋 を どの よ うな ソ フ トウ ェ ア に よ っ て 確 立 す べ きか と い う点 で あ る。 した が っ て,「 思 い 切 った 発 想 の転 換 」 と 「組 織 の 厚 い 壁 」 と の 葛 藤 の 中 か ら生 ま れ た 具 体 的 な 戦 術 を 志 向 す る もの こそ,ALIS.とODSと
の 共 通 フ レー ム ワー クを,す で に 概 要 設 計 の レベ ル か ら組 み 入 れ て い た 点 で あ る。 す な わ ち,通 常 の 書 籍 の ラ イ フ ・サ イ クル は,組 織 の 中 の 人 間 の もつ 人 材 と して の ラ イ フ ・サ イ クル に,き わ め て 類 似 す る の で あ る。 出版 時 は 入 社 時 と, タ イ トル は 所 属 グル ー プ と,内 容 検 索 は プ ロ ジ ェ ク ト ・グル ー プ と,重 版 は 定 年 延 長 と,改 定 は 再 教 育 訓 練 とい う具 合 に,書 籍 と人 材 を 対 応 させ て捉 え る こ
とは,き わ め て 興 味 深 い もの が あ る。 と りわ け,Skills&CareerInventory
SystemSの 立 場 か ら,書 籍 の 内 容 検 索 シ ス テ ム と過 去 の 貸 出 情 報 検 索 か らの 利 用 者 情 報 を 通 じて の評 価 シ ス テ ムを 連 動 さ せ る とい う試 み は,ま さ し くODS
の 原 理 モ デ ル そ の も の で あ る。
この よ うに,ALISとODSと の あ い だ に は,ご く基 本 的 な モ デ ル 比 較 の レ ベ ル で 捉 え て み て も数 多 くの 共 通 点 を み い だ す こ とが で き る の で あ り,さ らに 通 常 は き わ め てnoncontrollableな 存 在 で あ る人 材 とは 異 な り,書 籍 の 内 容 検 索 に 関 す る ス キ ル ・コ ー ドブ ッ クの 作 成 を 通 じて 展 開 され る で あ ろ うモ デ ル ・
ビル デ ィ ソ グの 方 が,よ り高 度 な 試 行 錯 誤 を 繰 り返 し重 ね な が ら研 究 目的 を 達 成 させ る意 味 で,き わ め て操 作 的 な 容 易 性 に す ぐれ る と判 断 され た の で あ る。
そ の 上,こ の モ デ ル の 開 発 と 試 行 を 通 じ て,さ ら に 試 作 モ デ ル と し て のSMIS (SkillsManagementInformationSystems)の 発 展 も,ま す ま す 容 易 と な ろ
}
う。
ここで,ODSの 実 証 モデ ル会社(XYZ)を 選 捉 した理 由に つい て,若 干 の 検 討 を くわ え る とす れ ば,以 下 の通 りで あ る。 す なわ ち,こ れ まで の調 査 分 析 作業 を通 じて,ソ フ トウ ェア産業 あ るいは 情 報処 理 産業 と呼 ばれ る業 界 で の組 織 体 質 の特 徴 は,ま さ し く 「コソ ピュ ー タに よる人 事管 理 」 と 「ライ ソ管 理 者 に よる人 事 管理 」 とい う2つ の基 本 戦略 の うち,い ず れ の実 践 の面 で も最 短 距 離 に あ る こ とが判 明 した 点に あ る。そ こで の よ り平均 的 な組織 体 質 と しては,
きわ め て プ ロジ ェ ク ト志 向性 の強 い と ころか ら,人 材資 源 の流動 性 の 高い こ と が 指 摘 され る。 そ れ ゆ え に,と りわ け シス テ ム ・エ ソ ジ ニア的人 材 へ の依 存度
の高 い組 織体 で あれ ば あ るほ ど,実 践 レベ ルで のODSを 試 行 す る可能 性 が あ る との結 論 に到 達 した の であ る。
逆 言 す れば,こ の業 界 を め ぐる激 烈 な市 場 競 争 へ の経 済環 境 面 で の悪 影響 は, そ の本来 的 な組 織体 質 とも言 え る人 的流 動 の激 しさ とは ま った く逆 行す るか た
ちで,各 組織 体 に おけ る人 的 バ ラソ ス面 で の高令 化問 題 と,さ らに は よ り激 し い 技術 革 新 に対 応 す るた め の多職 能 化問題 とを,何 とか解 決 す るた め の問題 解 決過 程 へ の ア プ ローチを,市 場 に 生 き残 るた め の必須 条件 とす る までに,深 刻 度 を ま した ので あ る。
す なわ ち,低 成 長時 代 に突 入 した 情 報処 理 産業 では,も は や 「紺 屋の 白 袴」
な ど と悠 長 な対応 を示 す 余裕 な どみ じん も許 され ぬほ どに,組 織 体 質 面 で の改 善策 を迫 られ て いた ので あ り,そ の結 果 と して,思 い 切 った 組織 体 質 の変 革 を 決意 す ると ころ まで,経 営諸 条 件 の悪 化現 象 が 目立 って きた ので あ る。 も と よ りXYZ社 の場 合 に も,表 面 的 には 平 静そ の もの であ るが,内 情 と して は 「高 令 化 」 と 「多職能 化 」 問題 へ の対 応面 で の遅 れ か ら,平 均 的社 員像 での 「モ ラ ール」 の低 下 と 「経 営理 念 」 の不徹 底 とい う深 刻 な組織 病 巣 まで ,発 見 され た ので あ る。 さ らに 運用 上 の問題 点 と しては,毎 期 断 行 され るた て 割 り組 織 と し て の組織 変 更 の みで,横 わ り組織 面 で の配 慮 は ほ とん ど見 あた らない な ど,す
1
人材発見 と組織戦略(1)
一新 しい 組織 管理 の基本展 開一 33
べ て に 中 途 半 端 な 組織 改 革 を 断 行 しす ぎた 弊 害 に み ち て い る の で あ る。 した が っ て,ODSと,の 関 連 で 捉 え たXYZ社 の 現 状 は,す べ て に わ た っ て ま った く 白紙 の 状 態 で あ る と言 え よ う。
そ こ で,こ れ ま で の 分 析 経 過 を ふ ま え て,SMISの デ ー タ ・ベ ー ス論 理 構 造 を 例 示 す れ ば,次 図 の通 りで あ る。 も とよ り,そ の 場 合 に お け るXYZ社 の社 員 フ ァイ ル は,狭 義 のSkillCodeに 限 定 さ れ ず に,CareerCode(大 分 類), Education(;ode(中 分 類),Ski11Code(小 分 類)と い う有 機 的 関 連 枠 を 構 成 す る 意 味 で の 統 一 コ ー ドの も とに,多 次 元 レベ ル で 捉 え られ る 社 員 像(人 材) に 関 与 す る も の とな ろ う。
者23e TANG
教育 コー ス蜘 KCSG
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、SKLG
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そ れ ゆ え に,SMISの 応 用 的 レベ ル で の 吟 味 は,す べ て これ か らの試 行 錯 誤 を 通 じ て,は じめ て 可 能 と な りえ よ う。 そ の 成 否 を 決 す る も の こそ,「 経 営 者 の 決 断 」 で あ り,さ らに 組 織 内 へ の 「経 営 理 念 」 の 浸 透 で あ る。 した が っ て, ODSの 実 証 モ デ ノヒの 展 開 と運 用 上 の 問 題 点 は,ま さ し く 「ホ ー ソ ソ工 場 の 実
験 」 以上 に 複雑 怪 奇そ の もの であ る。
V.ま と め に か え て一 組 織 の 未 来 展 望 とODS一
現 代組 織 の二面 性 に つ い ての具 体 的検 討 手 段 と して,筆 者 の意 函す る 「組 織 変 革 」(ハ ー ド面)と 「組 織 管理 」(ソ フ ト面)と い う2つ の側面 か ら捉 え てみ る とい う分 析視 角 を,少 な くと も1つ の モデ ル構成 の なか で展 開 す る こ とは,
「新 しい組 織管 理 の あ り方 」 を探 究 す るた めに も,も は や 必須 の条件 と考 え ら れ るので あ る。
しか るに,ほ とん どの 日本的 人 事管 理 は,人 事 部 門に 独 立 した 権 限 を もた せ る 「スタ ッフに よる人 事管理 」 で あ り,し か も年 功 序列 主 義,学 歴尊 重 主 義 に 徹 底 してい る と ころに,特 徴 点 がみ られ る。 また,「 人 事秘 」 とい う大 義 名分 に もとつい て,な るべ くコン ピュ ー タの適用 を 回避 し続 け て きた と ころ も,多
くの場 合 に 共通 す る と ころで あ る。
した が って,日 本 的 人 事管 理 制度 の場 合,コ ソ ピュ ー タの適 用 は,せ いぜ い 「給与 計算 」 どま りであ って,「 能 力主 義」 に も とつ く適 材適 所 の人 員配 置 等 を考 え る ことは,ま った く期待 で きな い実 情 で あ った と言え る。 と ころが, 昭和48年 秋 以 来 の オ イル シ ョ ックを契 機 とす る長期 不 況 の も と で,い わ ゆ る
「組 織 体質 の総 点検 」(減 量 経 営政 策)の 必要 性 に直 面 す る昨 今 に おい ては, 人 事 管理 面 で の コソ ピュ ー タ適 用 の問題 が,急 激 に注 目され てい る。 しか しな が ら,人 事 管 理 には,「 採用 」 「配 置」 「給 与」 「評 価」 「昇 進 」 「教 育」 「管理 」 等 々の諸側 面 が あ るの で,そ の一 部分 のみ を取 り上 げ て 「能 力主 義」 を め ざ し た コソ ピュ ー タの適用 をはか る こ とは,き わ め て危 険 で あ る。
本研 究 の背 景 とな る思 考方 式(理 念)と しては,現 代 の官 僚 制 組織 が す べて の面 で君 臨 す る異常 事 態 を捉 え,そ の形 骸 化 とと もに,や が ては 崩壊 す るであ ろ うことを予 測す る立場 に あ って,近 い将 来 に登 場 す るで あろ う 「新 しい 人 事
・組 織管 理 の方 式」 を 模索 しよ うとす る と ころ に あ る。 した が って,そ の意 味 で は 「組織 の未 来展 望」 に 関す る1つ の私 見的 ア プ ローチ を試 み る ことに もな るが,も と よ り筆老 は そ の推 進 を はか れ る立場 で は ない。 そ れ は,あ くまで も
人材発 見 と組織戦略(1)
一新 しい組織管理 の基 本展 開一 35
「机 上 の空論」 以外 の何物 で もな い と判 断 され る。 そ れに して も,'突 然 と背 筋 に空 々 しい恐怖 感 が 走 るの を覚 え るのは,一 人 筆者 のみ で あ ろ うか 。
三 隅 二不 二 氏に よれ ば,「 新 しい人 間組 織 は近 代 官僚 制 的 組織 形 態 を 包 括 し
こ
た 動 態 的 複 合 組 織 に な る で あ ろ う。」 と,新 しい 人 間 組 織 の 構 図 を 予 想 さ れ る の で あ る。 す な わ ち,同 氏 に よれ ば,か か る複 合 組 織 に つ い て3つ の基 本 形 態 を 区 別 し,(1)一 定 の課 業(task)遂 行 を 中 心 と した メ カ ニ カル 組 織(mechanical organization),(2)課 題(problem)解 決 を 中 心 と した リサ ー チ 組 織(research organization),(3)集 団 的 意 思 決 定 を 含 む 参 画 組 織(participativeorganization)
を 取 り上 げ て い る。
さ らに,「 現 実 の 組 織 は,こ れ らの基 本 形 態 が 組 織 の 内 部 的,外 部 的 諸 条 件 に 即 応 して変 形 さ れ,ま た そ れ ぞ れ の 形 態 が 組 み 合 わ さ れ て 展 開 して い る もの
ロ レ
で あ り,そ れ は動 態 的複 合 組織 で あ る。」 と,三 隅 二不 二 氏 は指 摘す る と同時 に,こ れ ら3つ の基 本形 態 は程度 の差 こそ あれ,い ず れ の 人 間組 織体 に も共存 す る とい う仮 説 を 導 出 した の であ る。
また,「 メカ ニカル組織 と リサ ーチ組織 は,組 織 が何 を なす か とい う組織 の 仕 事遂 行 に 関す る形 態 で あ るが,参 画 組織 は,組 織 の仕 事 遂 行 のみ な らず,組
ぐ
織 な のか の 人間 的要 求充 足 の要請 に も とつい て編 成 された 組織 形 態 で あ る。」
と指 摘 し,さ らに,そ れ ぞれ の基 本形 態 の特 性 に つい て 考 察 して い る。
この よ うな新 しい人 間組織 に関 す る複合 的 動態 組 織 の デ ッサ ソを試み て い る 三 隅仮 説 を詳 細 に 吟味 す る こ とは,別 の機 会 に譲 る と して も,少 な くと もそ の 総 括 に おけ る 「組 織 の 未来展望 」 とも称す べ き複合 組織 形 態 と して の参 画組 織 形 態に 関す る3つ の パ タ ー ソを見 逃す こ とは で きない。 す なわ ち,同 氏 に よれ
ご コ
ぽ,参 画 組織 に は 第1類 型 と第 皿類 型 とが あ るのであ って,さ らに 第r類 型 の
⑰ 三 隅 二 不 二 「複 合 的 動 態 組 織 一 ポ ー ス ト ・ ビ ュ ー ロ ク ラ シ ー の 人 間 組 織 を さ ぐ る 一 」,三 隅 二 不 二 ・渡 辺 保 男 編r新 し い 地 方 行 政 と 組 織 』 第3章,学 陽 書 房, 1977,p」125.
09Ditto,ibi(1.,P.125.
O窃Ditto,ibid.,P.126.
②◎Ditto,ibid.,p.144.参 照 。
36 商 学 討 究 第29巻 第3号
場 合 に は,(1)機 能 部 門別 参 画 組織,(2)マ トリッ クス型参 画 組織,(3)独 立 型 参 画 組 織 とい う3つ の パ タ ー ソが あ る。 これ ら第1類 型 に おけ る参 画 組織 の人 々の
もつ意 思 決 定権 は,そ の最 高 の権 力 者か ら所与 の許 容範 囲に 限 られ るのに 対 し,し 第 皿類 型 の場 合 に は,こ れ ら トップ層 の最 高 の意思 決 定権 に直 接 参画 ない しは な ん らか の間接 的 参 画 を ともな う組織 形 態 で あ る とされ,「 これ か らの 人 間 組
じ
織 は,没 人 間 的 な社 会 的 機 械 の組織 か ら人 間味 豊 か な組織 とな るであ ろ う。」
とい うの が三 隅二 不 二 氏 の結 論 で あ る。 す なわ ち,同 氏 の提 唱 す る 「組織 の 未 来展 望 」 とは,ま さ し く動 態的 複 合組 織形 態 と して の参 画組 織 であ って,よ り 具体 的 には3つ の参 画組織 の パ タ ー ンの組 み合 せ に よって構 築 され る もので あ るo
この よ うな三 隅仮 説 に も とつ く動 態 的 複合 組 織形 態 と して の参 画組 織 とは, 完全 な意 味 で メカ ニカル組織 とか リサ ーチ組 織 に とってかわ る とい うの では な
く,次 第 にそ の優位 性 を増 大 す る もの と考 え る と ころ に,そ の先 見 的役 割 が 期 待 され るの で あ る。す なわ ち,現 実 の組織 は きわ め て複 雑 に 入 りくんだ 複 合形 態 と して認 識 され るの であ り,ま た 複 雑怪 奇 な存 在そ の もの で あ る。
ここで三 隅仮 説 を 検証 す る立場 か ら,こ れ までのODSモ デ ル の特 性 に つ い て吟 味 す れば,驚 くほ ど適 確 な対 応 関係 が生 まれ るの であ る。 す な わ ち,現 代 組織 の もつ保 守 的 な側 面(固 定的 ・静 態的 組 織)と メカ ニ カル 組織 の基 本形 態, 順 応 的 な側面(流 動 的 ・動 態 的組織)と リサ ーチ組 織 の基 本形 態 さ らに 「新
しい人 事 ・組 織 管理 の方 式」(有 機 的 架橋)と 動 態 的 複合 組織 形 態 と して の参 画 組織 の運 用形 態 とい う3つ の対応 関 係 で あ る。ODSの 実 証 的研 究 が 未 完 了 の ま まに 結論 づ け る ことは さけ る と して も,少 な くともモデ ル の基本 設 計 レベ ルで の 筆老 の意 図 と,三 隅仮説 とは,何 ら抵 触 す る と ころが ないば か りで な く, 数 多 くの共通 点を 見い 出す ことに は,驚 くば か りで あ る。
ま とめに か え て,今 後 の研 究方 向に つ い て付 言す れば,現 在 進 行 中 の実 証 モ デル の調査 分 析作 業 の完 了 を まって,そ の 後 さ らに,ODSの パ イ ロ ッ ト・モ
21)Ditto,ibi(1.,P.145。