現代の日本人の「生きる課題」と 学校カリキュラム(試案第2版の1)
佐 藤 年 明
IssuesofLifeforModernJapanese
andTheirSuggestiontoSchooICurriculum(Ver.2‑1)
ToshiakiSATOU
Ⅰ.はじめに
筆者は、現代日本に生きる人間として直面せざるを得ない課題について、既存教科の区分に
こだわらずに学校のカリキュラムの中に積極的に位置づけて、学習を組織することが必要であると考えている。
本稿は、拙稿「現代の日本人の『生きる課題』と学校カリキュラム(試案第1版の1)」
(『三重大学教育学部研究紀要』第48巻(教育科学)1997年)を修正し、現時点(1999年 10月)で筆者が設定すべきであると考えている10の課題領域について、素描を試みたもので
ある。
Ⅱ.学校カリキュラムに位置づけるペき現代の日本人の「生きる課題」
筆者は、現代の日本人が社会生活において直面している様々の課題のうち主なものを学校の 教育課程構成に反映させるべきであるという基本的見解を持っている。以下に提案するのは、
筆者が構想した課題領域である。
第1版(1997年)では、以下の9項目を提案した。
1.生と死 2.食 3.性
4.生産・消費・廃棄 5.環境
6.平和
7.パフォーマンスとコミュニケーション
8.情報とコンピュータ9.原初的レベルからの人間的連帯と共感
第2版では、以下にゴチックで表現した通り、既存の2項目の表現を修正し、新たに1項目 を追加した。
‑121‑
1.生と死 2.食 3.性
4.生産一消費一廃棄・資源再利用 5.環境
6.平和
7.パフォーマンスとコミュニケーション
8.情報とコンピュータ9.原初的レベルの人間生活における共感・連帯・共同行動 10.価値葛藤
第4項目修正の趣旨は、これらの人間の活動がプロセスとして展開していることを明確にす ること(「・」を「‑」に変えた)と、廃棄で終結する場合の他に、リサイクルによって再び 生産に戻る1つのサイクルを形成する場合もあることを追加することである。
第9項目修正の趣旨は、阪神・淡路大震災から学ぶべき人間行動の諸次元を、より幅広く表 現したいためである。
以上、表題の修正点に限って説明した。9つの項目設定の基本的趣旨については、第1版を 参照されたい。
次に新設した第10項目の趣旨を説明する。
<10.価値葛藤>
名古屋市の藤前干潟へのゴミ処分場建設問題は、代替地を探す方向で一応決着したが、この 間題の議論で提示された「自然環境を保全すべし」という価値判断と「大都市のゴミ処理を適 切に行なうべし」という価値判断は、そもそもいずれを優先すべきものだろうか。具体的文脈 から切り離して一般論として論じれば、誰もが納得するような普遍妥当性を持っ優先順位を付 けることば困難であり、「どちらも大切」ということに落ち着かざるを得ない。しかし現実の situationでは、どちらか一つの価値判断を選択することを迫られる場合が往々にしてある。
マクロな社会問題に限らず、隣人間のトラブルのような身近なsituationでもそのような価値 葛藤(異なる価値観が対立して互いに譲らない膠着状態や、何らかの収拾が必要とされる状態) が起こりうる。もちろん価値葛藤は一個人の内面においても起こりうるが、そこにはその人間 をめぐる人間関係が何らかの形で反映しているだろう。ここでは個人内よりも個人間、社会関 係における価値葛藤を取り上げる。
価値葛藤を含んだ社会問題を学習において取り上げた場合、学習の終末において何らかの結 論とか方向性を確認できないかもしれない。しかし、「容易には解決できない価値観の対立」
という人間社会の現実を知ること自体が大切な学習であり、安易な結論付けはむしろ意識的に さけるべきであろう。但し、「人間とはどうしようもないものだ。」という絶望感を与えて終わ るのは望ましくない。価値観の違う相手と共存していくための人間の知恵のようなものを学び とらせることができないかと考えている。世界の各地の民族紛争や宗教紛争にそういう面から 光を当てることはできないだろうか。
‑122‑
Ⅲ.学習方法について
私のカリキュラム構想において、この側面からの考察が決定的に弱いことば以前から自覚し ている。「あれも大事だ。これも学べ。」と主張するだけなら、一億総教育評論家社会の誰でも できることである。子どもたちや学校の具体的状況にかみ合った提案でなければ、聞き流され
ておしまいである。
まず第一にはっきり述べておきたいのは、10項目(現時点で)の学習テーマをすべての子 どもたちに網羅的に学ばせるべきだと主張するつもりはないということである。いずれのテー マも重要だと考えているが、相互に関連していて切り離すことができないものもあるし、一つ のテーマに取り組むことで他のテーマが見えてくる場合もあるから、どこから入っていっても よい。また、テーマの内容自体が流動していくし、学校での学習だけで完結させることはでき ない。社会に出てからあらためてそのテーマを真剣に考えるということがあってもよい。学校 教育においては子どもたちひとりひとりの関心と学習の条件に応じて取り組めばよい。
学習を立ち上げる領域は学習指導要領上の各教科でも、道徳でも、特別活動でも、新設され た「総合的な学習の時間」でもよい。
但しここで、「総合的学習の時間」にかかわって述べておきたいのは、「子どもの興味・関心」
を最優先原理とする考え方では、総合学習の「総合」が保証されない危険があるということで
ある。
学習において子どもたちの興味・関心を尊重し、これを喚起することはもちろん大切である。
しかし、「総合的学習」の「総合」が、字義通り、「個々別々のものを一つにまとあ合わせるこ と」(『新潮国語辞典』)、「関係する幾っかのものを集めて、一つの統一体となるようにするこ と」(『新明解国語辞典 第四版』)を意味するとすれば、はたして教師は学習において子ども たちの興味・関心の自然発生・自己展開を待っだけでよいのだろうか。
子どもの関心は必ずしも総合的である、あるいは自ずと総合の方向へ進むとは限らない。中 には、断片的な事実に執着して追求しようとする子どももいるだろう。そして、それはそれで その子にとって意味ある学習なのである。しかし、断片的事実に執着して展開する学習にまで
「総合的学習」というラベリングをすることは、概念の混乱を招くだけである。
子どもたちの日常生活の中では必ずしも十分に意識されていない今日的テーマを、教師が課 題設定することによって子どもたちが意欲的に参加してくるという学習過程も十分あり得るは ずである。また、総合的性格を持っ現代社会のテーマに挑むには、学習過程での情報収集や思 考や行動において子どもたちが相互に協力してアイデアを出し合ったり、教師や親や地域社会 の人々や専門家など大人の協力を引き出していくことが必要になる。そうした活動に子どもた ちが自力で取り組んでいけるならそれでよいが、壁にぶつかったときに教師が適切な援助をす るかどうかがその後の活動の成否を左右することもある。学習を発展させるために教師がどの 場面でどのような指導や援助を行なうかが重要だと考える。
「子どもの興味・関心」が教師をはじめとして学習環境に参加してくる人々との関係におい てどのように発展したり停滞したりするかを具体的に検討する実践研究が必要であろう。
また実践者に対しては、生活科導入時の「教師の指導自粛」の二の舞を演じることなく、学 習活動を発展させる積極的指導のあり方を大いに議論し実践していただきたいと要望しておく。
‑123‑
Ⅳ.1998‑99年版学習指導要領における「生きる課題」に対応する記述(その1・
小学校)
小学校学習指導要領(1998年版)の「第2章 各教科」における、各教科各学年の「内容」
の項目から、Ⅱで提起した10項目の学習課題領域に関係する事項をすべてピックアップした (紙数の都合上、本稿では1〜4項目を掲載する)。その際、旧版(1989年)と比較対照した。
旧版の内容のうち新版では削除された部分には下線(…)を付した。新版に新たに登場し た内容はゴチックで表した。
<1.生と死>
小学校・生活
7=一、れ
(5)動物を飼ったり植物を育てたりして、それら も自分たちと同じように生命をもっているこ とに気付き、生き物への親しみをもちそれを 大切にすることができるようにする。
(6)入学してから自分でできるようになったこと や日常生活での自分の役割が増えたことなど が分かり、意欲的に生活することができるよ
うにする。
匝頭
(5)野外の自然を観察したり、動物を飼ったり植
物を育てたりして、それらの変化や成長の様 子に関心をもち、また、それらは自 分たち
と同じように成長していることに気付き、自 然や生き物への親しみをもちそれらを大切に することができるようにする。
(6)生まれてからの自分の生活や成長には多くの 人々の支えがあったことが分かり、そらの人々 に感謝の気持ちをもち、意欲的に生活するこ とができるようにする。
第1学年及び第2学年
(7)動物を飼ったり植物を育てたりして、それら の育つ場所、変化や成長の様子に関心をもち、
また、それらは生命をもっていることや成長 していることに気付き、生き物への親しみを もち、大切にすることができるようにする。
(8)多くの人々の支えにより自分が大きくなった こと、自分でできるようになったこと、役割 が増えたことなどが分かり、これまでの生活 や成長を支えてくれた人々に、感謝の気持ち をもつとともに、これからの成長への願いを もって、意欲的に生活することができるよう にする。
[コメント]
新の(7)は、旧の1年(5)+2年(5)であり、内容も大差ない。
同様に、新の(8)は、旧の1年(6)+2年(6)である。自己の成長を振り返るとき、旧では1年は 入学以後に限定し、2年で初めて誕生までさかのぼらせていたが、2学年統合表示となったこ
とで機械的な段階論は消滅することが期待される。なお、成長を振り返ることを今後への見通 しにつなげるという視点(ゴチック部分)が追加されている。
ー124‑
小学校・社会
旧 新
匝互享司 摩3学年及び第4学年l
(2)地域社会において、火災、交通事故、盗難な
\)′ヽ)′ヽ
(4)地域社会における災害及び事故から人々の安 どの災害や事故から人々の安全を守るため、関
\ノ′ヽ、】/()
全を守る工夫について、次のことを見学したり 係の諸機関が相互に連絡を取り合いながら緊急 調査したりして調べ、人々の安全を守るための に対処する体制をとっていることを見学したり 関係機関の働きとそこに従事している人々の工 調べたりして、人々の安全を守るための関係機 夫や努力を考えるようにする。
関の働きとそこに従事している人々の工夫や努
ア関係の諸機関が相互に連絡を取り合いなが 力について理解できるようにする。 ら緊急に対処する体制をとっていること。
[コメント]
生命・生活の安全を脅かす緊急事態の貝体例(下線部分)が削除されたが、他は語句の順序 変更程度で、内容に大きな変化はない。
小学校・理科
直画
A 生物とその環境
(3)人の身体を観察したり他の動物と比べたりし て、人の体のつくりを調べることができるよ うにする。
ア
人の身体には目、耳、皮膚などがあり、
それらにはきまった働きがあること。
イ 人が体を動かすことができるのは、骨や 筋肉の働きによること。
匝互至司
A 生物とその環境
(1)人及び他の動物を観察したり資料を活用した りして、呼吸、消化、排出及び循環の働きを 調べ、人及び他の動物の体のつくりと働きに
ついての考えをもつようにする。
ア 体内に酸素が取り入れられ、体外に二酸 化炭素などが出されていること。
イ (→「2.食」の項に記載)
り 血液は、心臓の働きで体内を巡り、養分、
酸素及び二酸化炭素を運んでいること。
[コメント]
5年での生命誕生の学習の前提にもなっていた3年での人体の基本構造に関する学習は、全 面削除されてしまった。変わってこれまで動物の体の仕組みの学習だけだった6年に、人の体
についての学習が登場した。
一125‑
小学校・体育
第5学年及び第6学年 G 保健
(2)けがの防止について理解できるようにする。
ア 交通事故、学校生活の事故などによるけ
がの防止には、周囲の危険に気付いて的確
な判断の下に安全に行動することが必要であること。
(3)病気の予防について理解できるようにする。
ア
病原体が主な要因となって起こる病気の 予防には、病原体を体に入れないことや病
原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。
イ 生活行動や環境が主な要因となって起こ
る病気の予防には、望ましい生活習慣を身に付けること、住まいや衣服を整えること などが必要であること。
(4)健康な生活について理解できるようにする。
ア
健康の保持増進には、運動、休養、睡眠 及び食事の調和のとれた生活をすることが 必要であること。
イ 健康の保持増進には、良い水、良い空気及 び日光が欠くことのできないものであること。
り
健康の保持増進には、個人の努力とともに、家庭、学校などの努力も必要であること。
第5学年及び第6学年 G 保健
(1)けがの防止について理解するとともに、けが
などの簡単な手当かできるようにする。
ア
交通事故、学校生活の事故などによるけ
がの防止には、周囲の危険に気付いて、的確な判断の下に安全に行動することや環境 を安全に整えることが必要であること。
イ けがをしたときなどは、速やかに手当を する必要があること。また、簡単な手当が できること。
(3)病気の予防について理解できるようにする。
ア
病気は、病原体、体の抵抗力、生活行動、
環境がかかわりあって起こること。
イ 病原体が主な要因となって起こる病気の 予防には、病原体を体に入れないことや病
原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。
り 生活習慣病など生活行動が主な要因となっ て起こる病気の予防には、栄養の偏りのな い食事や口腔の衛生など、望ましい生活習 慣を身に付けることが必要であること。ま た、喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は、
健康を損なう原因となること。
第3学年及び第4学年 F 保健
(1)健康の大切さを認識するとともに、健康によ い生活の仕方が理解できるようにする。
ア
毎日を健康に過ごすためには、食事、運 動、休養及び睡眠の調和のとれた生活を続 ける必要があること。
イ
毎日を健康に過ごすためには、体の清潔を保つことや明るさ、換気などの生活環境 を整えることなどが必要であること。
[コメント]
生命・身体の安全を確保するために、子ども自身も積極的に具体的行動を起こすという観点 がより強調されるようになった。
病気については、対処法に先立ってまず発生の基本原因を学ぶことになった。また発病の因 子として、環境よりも人間自身の行動がより強調されるようになり、「生活習慣病」「喫煙、飲
‑126‑
酒、薬物乱用」の語が新たに登場した。健康な生活については、高学年から中学年に繰り上げ られた。子どもたちの健康や安全な生活をめぐる状況が深刻化しているという状況認識の反映
であろう。
<2.食>
小学校・社会
恥一一、亘
(1)我が国の農業や水産業の現状に触れ、それら の産業に従事している人々が生産を高める工 夫をしていることを理解できるようにすると ともに、国民生活を支える食料生産の意味に ついて考えることができるようにする。
ア
我が国の農業について、主な生産物とその 分布、土地利用の特色などを地図や資料など で調べて、我が国の農業は自然環境と深いか かわりをもって営まれていることや国民の食 料の確保の上で農産物の生産が大切であるこ となどを理解するとともに、農業の盛んな地 域の具体的事例を調べて、農業に従事してい る人々の工夫や努力に気付くこと。
イ 我が国の水産業について、主な漁業や漁 場、漁獲高などを地図や資料などで調べて、
我が国の水産業の特色や国民の食生活の上 で水産資源が大切であることなどを理解す るとともに、水産業の盛んな地域の具体的 事例を調べて、水産業に従事している人々 の工夫や努力に気付くこと。
※内容の取扱い
(1)内容の(1)のアについては、農業の盛んな地域 の具体的事例は、稲作のはか、野菜、果実、
畜産物などの生産の中から一つを取り上げる ものとする。
凪∴・、所
(1)我が国の農業や水産業について、次のことを 調査したり地図や地球儀、資料などを活用し たりして調べ、それらは国民の食料を確保す る重要な役割を果たしていることや自然環境 と深いかかわりをもって営まれていることを 考えるようにする。
ア 様々な食料生産が国民の食生活を支えて
いること、食料の中には外国から輸入して いるものがあること。
イ 我が国の主な食料生産物の分布や土地利 用の特色など
り 食料生産に従事している人々の工夫や努 力、生産地と消費地を結ぷ運輸の働き
※内容の取扱い
(1)内容の(1)のりについては、農業や水産業の盛 んな地域の具体的事例を通して調べることとし、
稲作のほか、野菜、果物、畜産物、水産物など の生産の中から一つを取り上げるものとする。
[コメント]
「厳選」の一環として、水産業が必須の内容から選択肢の一つに変わった。食料輸入の項目 が加わったが、問題はそれをどういう観点から扱うかであろう。生産地と消費地のつながりが 加わったことば、基本的には第3次産業重視の観点からであろうが、筆者が提唱する第4のテー マ(生産一消費一廃棄・資源再利用)の観点から見ても評価できる。
ー127‑
小学校・理科
旧 新
匝亘享司 直垂享司
A 生物とその環境 A 生物とその環境
(3)人の身体を他の動物や植物と比較したり関係 (1)(→<1.生と死>の項に記載)
付けたりして、人としての特徴や環境とのか イ 食べ物は、口、胃、腸などを通る間に消 かわりを調べることができるようにする。 化、吸収され、吸収されなかった物は排出 イ人は、食べ物、水、空気などを通して、
他の動物、植物及び周囲の環境とかかわっ て生きていること。
されること。
[コメント]
「1.生と死」の項でも見たように、6年に人体についての学習が登場した。これに伴い、人 の生存条件の一つという扱いだった食が、人体の機能としての消化・吸収・排出という角度か
らより突っ込んで扱われるようになった。
小学校・家庭
れ5・、i布
B 食物
(1)体に必要な栄養素とその働き及びそれら栄養素 を含む食品の種類が分かり、食品を組み合わせ てとる必要があることを理解できるようにする。
(2)野菜や卵を用いて簡単な料理ができるように する。
ア
調理に必要な材料の選び方や計量の仕方 が分かること。
イ 食品の洗い方、切り方、加熱の仕方、味 の付け方及び盛り付け方が分かること。
ウ 野菜を切ったりいためたりできること。
また、卵をゆでたり焼いたりできること。
ヽ̲・■\.・■\. \.■\.■\ \\ノ\
エ
調理に必要な用具や食器の安全で衛生的
■な取扱い方及び燃料やこんろの安全な取扱
\)′\ノm
いができること。
(3)簡単な間食を整え、食べ方やすすめ方を工夫
し、団らんの場を楽しくすることができるようにする。
ヽ‑(\ノ \
■\■\\
ⅥIい‑〃l B 食物
(1)栄養を考えた食物のとり方が分かり、1食分
の献立を作ることができるようにする。
(2)日常よく使用される食品を用いて簡単な料理
第5学年及び第6学年
(4)日常の食事に関心をもって、調和のよい食事 のとり方が分かるようにする。
ア
食品の栄養的な特徴を知り、食品を組み 合わせてとる必要があることが分かること。
イ 1食分の食事を考えること。
(5)日常よく使用される食品を用いて簡単な調理 ができるようにする。
ア
調理に必要な材料の分量が分かり、手順 を考えて調理計画を立てること。
イ 材料の洗い方、切り方、味の付け方及び 後片付けの仕方が分かること。
り ゆでたり、いためたりして調理ができる こと。
エ
米飯及びみそ汁の調理ができること。
オ 盛り付けや配膳を考え、楽しく食事がで きること。
カ
調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及びこんろの安全な取扱いができ ること。
ー128‑
[コメント]
かなり大幅な削減である。
「栄養素」が消え、「栄養的な特徴」という表現になった。
調理については、貝体的な食品名がすべて消え、「日常よく使用される食品」という表現に 変わった。取り上げる食品について現場の裁量範囲が広がったとは言える。料理名は米飯とみ そ汁だけになり、貝体例が大幅に減った。
また広く食生活を考えるという視点が弱まり、調理そのものの技術面の指導に絞り込まれた と言える。
教科において知識・技術面から食を学ぶことは、教科内容厳選の至上命令によって後退した と言える。「総合的な学習の時間」を活用して調理や会食を楽しめる可能性はあるだろうが。
<3.性>
小学校・理科
匝頭
A 生物とその環境
(3)人と他の動物を比較したり資料を活用したり して、人の発生や成長などを調べることがで きるようにする。
ア
人は、男女によって体のつくりなどに特 徴があること。
イ 人は、母体内で成長して生まれること。
※内容の取扱い
(1)内容の「A生物とその環境」の(3)について は、次のとおり取り扱うものとする。
イ アについては、男女の外部形態の違いのは か、母体内での受精に触れること。その際、
精子や卵の生成過程は取り上げないこと。
Ⅵ1一、ユニ●呵
A 生物とその環境
(2)魚を育てたり人の発生についての資料を活用 したりして、卵の変化の様子を調べ、動物の 発生や成長についての考えをもつようにする。
イ 人は、母体内で成長して生まれること。
※内容の取扱い
(2)内容の「A生物とその環境」の(2)について は、児童がア又はイのいずれかを選択して調 べるようにするものとする。また、受精に至
る過程は取り扱わないものとする。
‑129‑
[コメント]
性に関する学習は、旧版でようやく学習指導要領上の根拠を得たのもっかの間、新版では大 きく後退した。男性女性の体の仕組みの学習が削除されたのである。人の発生過程の学習は残っ たが、内容の取扱いにあるように、魚の発生を選択して人の方をカットしてもよいという扱い である。しかも「受精以前」つまり(交尾や)性交や、精子・卵子の形成の学習が禁止された。
生殖細胞の形成までは、小学校では不要かもしれない。しかし、動物の交尾や人間の性交を扱 うことを明確に禁じたことは大問題である。受精を扱えば、どのようにして受精が可能になる かについて疑問が生じるのは当然だからだ。旧版に準拠した教科書においても人の性交に関す る記述は残念ながら全く見られなかったが、動物の交尾を扱った教科書はわずかに見られた。
今後はこれさえもなくなるであろう。
小学校・体育
lれ・‑一丁隼伎こ骨;・、叫
G 保健
(1)体の発育と心の発達について理解できるよう
‑\.・\\ \\■ヽ一
にする。
ア
体は、年齢に伴って変化すること。また、
思春期になると、体っきが変わり、初経、
精通などが起こって次第に大人の体に近づ くこと。
イ 心は、いろいろな生活経験を通して、年 齢とともに発達すること。また、思春期に なると異性への関心が芽生えること。
第5学年及び第6学年 G 保健
(2)心の発達及び不安、悩みへの対処の仕方につ いて理解できるようにする。
ア
心は、いろいろな生活経験を通して、年 齢とともに発達すること。
イ 心と体は密接な関係にあり、互いに影響 し合うこと。
り 不安や悩みへの対処には、大人や友達に 相談する、仲間と遊ぷ、運動をするなどい ろいろな方法があること。
[コメント]
心身の発達の学習が心、の発達に限定され、しかも異性への関心が削除されて、第2次性徴の 学習という観点がすっぽり抜け落ちてしまった。精神面の発達上の問題への対処については、
より丁寧な記述になったと言える。
理科と合わせて考えると、小学校における性教育は、人の発生の学習を除いて、ほとんど学 習指導要領上の根拠を失ってしまったと言える。
<4.生産一消費一廃棄・資源再利用>
小学校・生活
旧 新
匝頭 第1学年及び第2学年l
(2)家庭生活を支えている家族の仕事や家族の一
m
(2)家庭生活を支えている家族のことや自分でで 員としての自分でしなければならないことが
きることなどについて考え、自分の役割を積分かり、自分の役割を積極的に果たすととも 極的に果たすとともに、規則正しく健康に気
に、健康に気を付けて生活することができる を付けて生活することができるようにする。
ようにする。 (3)自分たちの生活は地域の人々や様々な場所と
ー130‑
匝三一二j川・
(1)自分たちの生活は近所の人や店の人など多く の人々とかかわっていることが分かり、日常生
\̲へ.\.、 へ \■\・\・・\▲ \
活に必要な買い物や使いをしたり、手紙や電話 などで必要なことを伝えたりするとともに、人々 と適切に応対することができるようにする。
(2)乗り物や駅などの公共物の働きやそこで働い ている人々の様子が分かり、安全に気を付け てみんなで正しく利用することができるよう にする。
(4)身の回りにある自然の材料などを用いて遊び や生活に使うものを作り、みんなで遊びなど を工夫することができるようにする。
かかわっていることが分かり、それらに親しみを もち、人々と適切に接することや安全に生活する ことができるようにする。
(4)公共物や公共施設はみんなのものであること やそれを支えている人々がいることなどが分
かり、それらを大切にし、安全に気を付けて正しく利用することができるようにする。
(6)身の回りの自然を利用したり、身近にある物 を使ったりなどして遊びを工夫し、みんなで 遊びを楽しむことができるようにする。
[コメント]
旧版登場の際、それ以前の低学年社会科にあった職業労働の学習が大幅に削られた。そして 今回、労働については言うに及ばず、(「生活」科であるにも関わらず)子どもが子どもなりに
「生活」を送っていることを意識する機会自体がますます減らされた。「遊び」がより強調され るとともに(子どもの遊びの貧困化を考えれば、それ自体は悪くないが)、子ども自身が社会 生活の中で一定の役割を果たしていくという観点が弱まっている。旧版の「しつけ・生活訓練」
と言われた要素(買い物・手紙・電話など)も削られた。
小学校・社会
.町両・l;
(2)(<5.環境>】次報一に記載)
(3)自分たちの市(区、町、村)を中心にした地 域の商店や商店街の様子について調べて、地域 の人々は品質や価格などを考えて購入している
ことや、商店や商店街などでは販売について工 夫していることを理解できるようにするととも に、自分たちの地域は消費生活を通して広く国 内の他地域などとかかわりがあることに気付く ようにする。
(4)自分たちの市(区、町、村)を中心とした地 域の重要な生産活動は、自然環境を生かしなが
ら営まれていること及び原料の入手や生産品の 販売などの面で工夫がなされていることについ て調べて、地域の生産活動の特色と工夫につい て理解できるようにするとともに、自分たちの 地域は生産活動を通して広く国内の他地域など
とかかわりがあることに気付くようにする。
第3学年及び第4学年 (1)(<5.環境>一次報一に記載)
(2)地域の人々の生産や販売について、次のこと を見学したり調査したりして調べ、それらの仕 事に携わっている人々の工夫を考えるようにす
る。
ア
地域には生産や販売に関する仕事があり、
それらは自分たちの生活を支えていること。
イ 地域の人々の生産や販売に見られる仕事の 特色及び国内の他地域などとのかかわり
(3)地域の人々の生活にとって必要な飲料水、電
気、ガスの確保や廃棄物の処理について、次の一131‑
第l一半呵
(1)地域の人々の生活にとって必要な飲料水、電 気、ガスなどの確保及び廃棄物の処理について
の対策や事業が計画的、協力的に進められていることを見学したり調べたりして、これらの対
策や事業は地域の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解できるようにする。
(3)県(都、道、府)内における自分たちの市
(区、町、村)の地理的位置を確認し、また、県
(都、道、府)全体の地形や主な産業、都市や交通網などを調べたり白地図などに記入したりし て、それらの特色について理解できるようにす
るとともに、県(都、道、府)内における人々 の生活は国内の他地域や外国ともかかわりがあ
ることに気付くようになる。
(4)地域の文化や開発などに尽くした先人の具体 的な事例を調べて、先人の働きや苦心を当時の 人々の生活の様子や考え方、技術や道具などの 面から理解できるようにするとともに、現在に あっても地域の人々の生活の向上と安定のため にいろいろな努力がなされていることに気付く ようにする。
※内容の取扱い(第3学年)
(2)内容の(3)については、地域の消費生活の特色 を消費者の立場から考えさせるよう配慮する必 要がある。
(3)内容の(3)及び(4)については、地域の生活が国 内の他地域だけではなく、外国ともかかわりが あることに気付かせるよう配慮するものとする。
その際、児童に無理のない取扱いをする必要が ある。
※内容の取扱い(第4学年)
(1)内容の(1)、(2)及び(4)については、取り上げる 対象や事例を精選するよう配慮する必要がある。
ことを見学したり調査したりして調べ、これらの
対策や事業は地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを考えるようにする。
ア 飲料水、電気、ガスの確保や廃棄物の処理
と自分たちの生活や産業とのかかわり イ これらの対策や事業は計画的、協力的に進
められていること。
(6)県(都、道、府)の様子について、次のこと を資料を活用したり白地図にまとめたりして調
べ、県(都、道、府)の特色を考えるようにする。
イ 県(都、道、府)全体の地形や主な産業の 概要、交通網の様子や主な都市の位置 り 産業や地形条件から見て県(都、道、府)
内の特色ある地域の人々の生活
工
人々の生活や産業と国内の他地域や外国 とのかかわり
(5)地域の人々の生活について、次のことを見学、
調査したり年表にまとめたりして調べ、人々の 生活の変化や人々の願い、地域の人々の生活の 向上に尽くした先人の働きや苦心を考えるよう にする。
ア
古くから残る暮らしにかかわる道具、それ らを使っていたころの暮らしの様子
※内容の取扱い
(1)内容の(2)については、次のとおり取り扱うも のとする。
ア
イについては、農家、エ場、商店などの中 から選択して取り上げること。その際、地域 の生産活動を取り上げる場合には自然環境と の関係について、販売を取り上げる場合には
消費者としての工夫について、それぞれ触れるようにすること。
イ イについては、国内の他地域だけではなく、
外国ともかかわりがあることに気付くよう配 慮すること。その際、児童に無理のない取扱
いをすること。
(2)内容の(3)の「飲料水、電気、ガス」について は、それらの中から選択して取り上げるものと する。また、「廃棄物の処理」については、ご
‑132‑
匝亘享司
(1)(<2.食>の項に記載)
(2)我が国の工業生産の現状に触れ、工業に従事 している人々が生産を高める工夫をしている ことを理解できるようにするとともに、国民 生活を支える工業生産の意味について考える
ことができるようにする。
ア
我が国の工業について、工業地域の分布 や各種の工業生産の特色などを地図や資料 などで調べて、原料を輸入し製品をしてい る我が国の工業の特色や国民生活の上で工 業生産が大切であることなどを理解すると ともに、工業の盛んな地域の具体的事例を 調べて、工業に従事している人々の工夫や 努力に気付き、また、各種の公害から国民
の健康や生活環境を守ることが大切である ことを考えること。
イ 我が国の伝統的な技術を生かした工業に ついて、それが盛んな地域や生産物を図や 資料などで調べて、原料や土地の条件、技 術などを生かして生産していることを理解 するとともに、伝統的な技術を生かした工 薫製品のもつ意味について考えること。
(3)我が国の運輸、通信などの産業の現状に触れ、
それに従事している人々の工夫や努力につい て理解できるようにするとともに、国民生活
を支えるこれらの産業の意味について考える ことができるようにする。
ア
我が国の陸上、海上、 航空などの運輸業
′「し/\̲ノ\ノへし/ヽ】′\ノ【し/ヽノヽJへ)()、\/へ
や主な貿易相手国と輸出入の品目などにつ いて、地図や地球儀、資料などで調べて、
我が国の運輸業の働きや貿易の特色につい て理解するとともに、これらの産業に従事
み、下水のいずれかを選択して取り上げ、そ の際、廃棄物を資源として活用していること についても扱うようにする。
(5)内容の(6)については、次のとおり取り扱うも のとする。
ア
ウの「県(都、道、府)内の特色ある地 域」については、伝統的なエ業などの地場 産業の盛んな地域と地形から見て特色ある 地域を含めて取り上げること。
四日一丁:りIl
(1)(<2.食>の頓に記載)
(2)我が国の工業生産について、次のことを調査 したり地図や地球儀、資料などを活用したり して調べ、それらは国民生活を支える重要な 役割を果たしていることを考えるようにする。
ア
様々な工業製品が国民生活を支えている こと。
イ 我が国の各種の工業生産や工業地域の分 布など
ク エ業生産に従事している人々の工夫や努 力、エ業生産を支える貿易や運輸の働き
(3)(<8.情報とコンピュータ>の項一次報一に 記載>)
‑133‑
している人々の工夫や努力に気付くこと。
イ (<8.情報とコンピュータ>の項一次報一 に記載)
※内容の取扱い (1)(<2.食>に記載)
(2)内容の(2)のアについては、工業の盛んな地域
の具体的事例は、金属工業、機械工業、化学工業などの中から一つを取り上げるものとす る。
(3)(<8.情報とコンピュータ>の項一次報一に 記載)
(4)(<5.環境>の項一次報一に記載)
※内容の取扱い (1)(<2.食>の項に記載)
(2)内容の(2)のりについては、工業の盛んな地域 の具体的事例を通して調べることとし、金属
工業、機械工業、石油化学工業、食料品工業 などの中から一つを取り上げるものとする。
(3)内容の(1)のり及び(2)のりの「運輸の働き」に かかわって、交通網について取り扱うものと する。
(4)(<8.情報とコンピュータ>の項一次報一に 記載)
(5)内容の(1)から(3)の指導に当たっては、仕組みや エ程に深入りしないよう配慮するものとする。
(6)(<5.環境>の項一次報一に記載)
[コメント]
生産労働・産業に関する学習は小学校社会科の発足以来のメイン・テーマの一つであるが、
ここでも大幅な内容削減が行なわれている。
中学年の地域の産業学習では、具体的記述が減って「生産や販売」という抽象語で一括され た。農・工・商業を網羅的でなく選択的に扱うとされている。飲料水・電気・ガスについても 選択的扱い、廃棄物処理のゴミ・下水についても選択的扱いである。全てを網羅的に扱うこと を良しとするわけではないが、地域の自然・社会環境に働きかける人間の労働の具体的過程に ついての学習の位置づけが弱まることに対しては危惧を覚える。旧版での生活科登場の際に、
低学年での人間の労働に関する学習が著しく弱められた。今回その趨勢が中学年(以上)にも 押し寄せた感がある。
なお、今回伝統工業の学習が高学年から中学年に降ろされた。
高学年では、<2.食>の項で述べたように水産業が選択的扱いに変わったほか、工業学習の 観点記述も著しく簡略化された。産業学習では「仕組みや工程に深入り」することが禁じられ た。筆者自身過去に授業実践の分析に取り組んだことがあるが、小学校5年生でも現代の自動 車工業のオートメーション生産の仕組みの初歩を学ぶことば可能だし、ものをっくる具体的な 仕組みに注目することから現代社会の様々な問題点へと学習を発展させていくこともできるの である。薪学習指導要領は「厳選」の大義名分のもと、その可能性を閉ざしてしまった。
なお、通信とともに(第3次産業として)独立した項目に含まれていた運輸が、農業・工業 の各項目の中の下位項目に移動した。
一134‑
小学校・家庭科
匝頭
A 被服
(1)被服の働きが分かり、目的に応じて日常着を 着ることができるようにする。
(2)日常着の整理・整とんやボタンなどを付ける ことができるようにする。
(3)簡単な小物及び袋を製作することができるよ うにする。
ア
使用目的に応じた形や大きさ及び材料の 選び方が分かり、採寸や裁断ができること。
Wノ\/\ノ\/\/\/\ノ\/\ノ\ノ\ノ\ノへし/ヽ】√・し′、し′ヽ)′\ノ\/\ノ\ノ【、̲/\ノ、ノ■\ノW
イ 手縫いによるなみ縫い、返し縫い、玉結 び、玉どめなどができること。また、ミシ ンを用いて直線縫いができること。
り 簡単な装飾ができること。
ェ
制作に必要な用具の種類や扱い方が分か り、その安全な取扱いができること。
B 食物 (<2.食>の項に記載) C 家族の生活と住居
(1)家庭における家族の仕事や役割が分かり、家 族の一員として家族の仕事に協力できるよう
にする。
ア
家族の仕事や役割が分かり、自分の立場 や役割について考えること。
イ 自分の分担する仕事を工夫してできること。
(3)(<5.環境>の項に記載)
匝司
A 被服
(1)日常着の適切な選び方が分かり、 被服の整え
\ノ(」/\ノ
方を工夫することができるようにする。
(2)日常着の手入れの仕方が分かり、洗たく及び はころび直しができるようにする。
(3)簡単なエプロンやカバー類を工夫して製作で きるようにする。
ア
使用目的に応じた形や大きさの決め方が
分かり、材料を選ぶことができること。イ 採寸や裁断が工夫してできること。
ウ 手縫いやミシン縫いにより、目的に応じ て縫うことができる。
B 食物 (<2.食>の項参照) C 家庭の生活と住居
第5学年及び第6学年
(1)家庭生活に関心をもって、家庭の仕事や家族 との触れ合いができるようにする。
ア
家庭には自分や家族の生活を支える仕事 があることが分かること。
イ 自分の分担する仕事を工夫すること。
(2)衣服に関心をもって、日常着を着たり手入れ したりすることができるようにする。
ア
衣服の働きが分かり、日常着の着方を考 えること。
イ 日常着の手入れが必要であることが分か り、ボタン付けや洗たくができること。
(3)生活に役立つ物を製作して活用できるように する。
ア
布を用いて製作する物を考え、製作計画 を立てること。
イ 形などを工夫し、手縫いにより目的に応 じた簡単な縫い方を考えて製作ができるこ
と。また、ミシンを用いて直線縫いをする
こと。
り 製作に必要な用具の安全な取扱いができ ること。
(5)(<5.環境>の項に記載)
(7)身の回りの物や金銭の計画的な使い方を考え、
適切に買い物ができるようにすること。
ア
物や金銭の使い方を自分の生活とのかか わりで考えること。
イ 身の回りの物の選び方や買い方を考え、
購入することができること。
ー135‑
[コメント]
家庭生活に関係する製作活動についても、また消費生活の学習においても、具体的な技術面 の記述が大きく削減されて簡略化されている。家庭における生産及び消費生活を根本から考え るという視点が弱まり、身近な生活技術を限定的・重点的に習得させるという実用性の側面が より強調されるようになった。
(この節未完)
Ⅴ.おわりに
小学校学習指導要領の第5〜10項目の観点からの検討と、中学校・高等学校学習指導要領の 検討は、紙数の都合上次報において行なう。
2000年度からの教育課程移行期を前に、学校によってはすでに教科内容の一部削減・変更 や「総合的な学習の時間」の試行が開始されている。「教科学習は縮小、目玉は『総合的な学 習の時間』」という受けとめ万が一般的なようだが、筆者はこの時期にこそ改めて各教科の成 立根拠と今日的課題を鮮明にすべきだと考える。また、「総合的な学習の時間」は教科学習と
は別だということが強調されているようだが、教科の独自性は尊重しつつも、むしろ教科間や 教科と「総合的な学習の時間」、あるいはそれ以外の領域との相互交渉を重視すべきである。
特に「総合的な学習の時間」については、いたずらに他領域との違いを強調するのではなく、
むしろそれが新設されたことで既存各教科の学習をも活性化していくという発想こそが重要だ と考える。
学習指導要領分析を引き続きすすめっっ、教育課程再編成期という好機を利用して、諸領域 の大胆なクロスオーバーによる現代的課題の学習の可能性を積極的に追求し、その成果を次報 以降で明らかにしたい。