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Assessing Tactile Speed in the Speed of Tactile Information Processing (STIP) Test of Blind Pupils

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盲児童生徒の触覚情報処理スピード(STIP)検査における 触覚処理速度の検討

大 城 英 名

Assessing Tactile Speed in the Speed of Tactile Information Processing (STIP) Test of Blind Pupils

Eimei OSHIRO

The  purpose  of  the  present  study  was  to  assess  the  tactile  speed  in  the  speed  of  tactile  information processing  (STIP)  test  of  blind  pupils.  The  STIP  test  measures how  fast  blind  pupils  can  carry  out  scan- ning task in the test. Subjects consist of 53 blinds pupils of 8-17 years old attending schools for the blind.

To examine tactile speed in STIP test, correlation between tactile speed in STIP test and result of cogni- tive ability tests (WISC-Ⅲ test, Braille reading speed test, Blind Learning Aptitude Test: BLAT, and Digit span test) were tested. As results, a negative correlation was found respectively between tactile speed in STIP test and WISC-Ⅲ VIQ, between the speed in STIP test and braille reading speed test result, between the speed in STIP test and BLAT result, and between the speed in STIP test and Digit span test result.

Based on these results, the meaning of the tactile speed in the STIP test of blind pupils was discussed.

Key words:blind  pupils, tactile information processing, cognitive ability, digit span, STIP test

Ⅰ 問題と目的

盲児童生徒が直面する課題の一つに,点字や触図など の触覚教材の情報をいかに速く読み取り,処理するかと いうことがある。触覚による情報の読み取り速度の違い は,個々の盲児童生徒の学習時間やカリキュラムへのア クセスの問題とも関係してくる。このため,触覚による 情報処理速度を正しく評価し,その処理能力に応じた学 習支援を行うことは大切である。

課題の処理速度については,これまでも心理学的な課 題として関心がもたれてきた(Tate,  1950)。例えば,

晴眼児における課題の処理速度は知的機能の重要な構成 要素であること(Furneaux,  1960;  Eysenck,  1967;

Sternberg  &  Detterman,1986),また一般知能とも関係 があること(Brand  & Deary,  1982;  Jensen,  1987;  Net- tlebeck,1985),などが指摘された。今日,Wechsler式 の知能検査やKohs Block-Design Testなどに時間制限法 の課題が課せられているのは,そのことを反映している と考えられる。

しかし,心理学的に意義のある処理速度をどのように 測 定 す る の か に つ い て は 課 題 が あ っ た 。 例 え ば , Furneaux(1960)は課題の処理速度を測定する方法と

して,従来の時間制限法は適していないことを3つの構 成要素(処理速度,正確さ,持続力)の分析から指摘し た。かりに同じスコアでも処理速度は異なった要因によ って影響を受けるからである。また一方で,課題遂行の 正確さ,処理速度,持続力の3つの変数を統合して分析 する幾つかの数学的モデルが提案された(Rasch,  1960;

White, 1973; Van der Ven, 1973)。しかし,これらの手 法 は 数 学 的 に 扱 い に く く 効 果 的 で な い と さ れ た

(Furneaux, 1960)。

さらに,課題の処理速度はその課題の難易度とも密接 な関係にあることから,有意義な処理速度を測定するた めには,課題の難易度と処理速度との関係を分離する必 要があると指摘された(Furneaux,  1956)。また,児童 生徒の課題の遂行力をみる場合,その課題の難易度で示 すより課題の処理時間で示す方がよいということも指摘 された(Furneaux,  1960;    Rasch,  1960;  Van  der  Ven, 1973)。ただしこの場合,課題はどの被験者にも遂行で きるものでなければならない。なぜなら,課題の難易度 が増すと処理時間は次第に偏ったものになり,知的に高 い被験者のデータのみが得られ,知的に低い被験者のデ ータは得られにくくなるからである。

このようなニーズに対応できる検査として,Elliot

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(1990)は晴眼児用の情報処理スピード検査(Speed  of Information Processing Test: SOIP検査)を開発してい る。このSOIP 検査は,図1に示したように,被験者が 各横列にそって数字を読み,それぞれの横列の中でもっ とも大きな数を選ぶというスキャニング課題である。1 ページ全体の処理時間が測定される。9〜 13 才 11 ヵ月 までは1桁の数が与えられる。14 才以上は2桁・3桁 の数が与えられる。5〜8歳児の場合は図形版の課題が 与えられる。

このSOIP 検査における処理速度は,広範囲な認知能 力検査の結果と相関関係のあることが指摘されている

(Jensen,  1987;  Roberts,  Beh  &  Stankov,  1986;  Irwin, 1984;  Brand  &  Deary,  1982;  Eysenck,1986;  Hunt,  1980;

Stankov,  1983;  Buckhalt  &  Jensen,  1989)。すなわち,

SOIP 検査における処理速度は児童生徒の認知能力と関 係していることを示している。しかし,これは視覚によ る認知能力であり,視覚を活用できない盲児童生徒の触 覚による処理速度について同様のことが言えるかどうか は必ずしも明らかではない。

このような状況のなかで,もし晴眼児用の SOIP 検査 と同様の内容をもつ触覚情報処理速度検査(Speed  of Tactile  Information  Processing  Test:  STIP 検査)を作 成し,それを盲児童生徒に実施した場合,STIP 検査に おける触覚処理速度は盲児童生徒の認知能力と関係する であろう,という仮説を立てることができる。

本研究では,この仮説を検討するため,盲児童生徒の STIP 検査における触覚処理速度と認知能力を反映する 知能(VIQ),点字読速度,触覚認知能力,短期記憶等 との関連性について検討することを目的とする。またこ の結果を踏まえて,盲児童生徒の STIP 検査における触

覚処理速度の意義について考察を行う。

Ⅱ 方 法

1 被験者

盲学校に在籍する8〜 17 才までの盲児童生徒で,点 字による序数と数の知識があることを条件とした。この 条件を満たす児童生徒を学校側に依頼し,データ収集に 協力の得られた児童生徒 53 名(小学部 26 名,中学部 19 名,高等部8名)を対象者とした。

2 検査と手続き

以下に,各検査の内容と検査手続きについて述べる。

検査はすべて個別に実施した。

触覚情報処理速度(STIP)検査:触覚情報処理 速度検査(STIP 検査)を2種類作成した。一つは 8〜 12 才用で1桁の点字数字版の検査,もう一つ は 13 〜 17 才用で2・3桁の点字数字版の検査であ る。検査の課題(図2)は,例えば13〜17才の場合,

1ページに2桁の点字数字がそれぞれの横列(4列)

に5つ提示される。課題はそれぞれの横列で最も大 きな数をできるだけ速く見つけ出すというスキャニ ング課題である。検査は全部で5ページあり,1〜

2ページが練習用,3〜5ページが時間計測用で,

その平均処理速度を STIP 検査の得点とした。

知能検査(VIQ): WISC-Ⅲ知能検査の言語性課 題を手引き書に従って実施し,その VIQ を算出し 得点とした。

点字読速度検査:点字読速度を調べるために,学 年相当の教科書からの文章課題を作成し,その1分 間の読字数をデータとして得点化とした。

触覚認知検査:触覚認知力を評価する検査とし て,Newland(1971)の盲児童生徒用学習適性検査

(The  Blind  Learning  Aptitude  Test:  BLAT 検査)

を実施し,正答1問につき1点を与え,合計 49 点 満点で得点化した。

短 期 記 憶 検 査: 短 期 記 憶 を 調 べ る た め に , 図1 SOIP検査の一例

図2 2裄点数字版のStIP検査の一例

(3)

WISC-Ⅲ知能検査の数唱問題を手引き書に従って実 施し,その換算得点を短期記憶の得点とした。

3 検査データ収集期間 平成16年9月〜平成18年10月 4 統計解析

SPSS for Windows 14.0Jを使用し,データを分析した。

Ⅲ 結果と考察

1 触覚処理速度と知能(VIQ)の相関分析

触覚処理速度と知能(VIQ)の関係を明らかにするた めに,STIP 検査における平均処理速度とWISC-Ⅲ知能 検査 VIQ の相関関係を調べた。図3はその相関図であ るが,触覚処理速度と VIQ に有意な相関関係が認めら れた(r =-0.587,  p< 0.01)。これは STIP 検査における 触覚処理速度が速くなるにつれて VIQ も高くなる傾向 を示している。データ範囲の分布をみると,触覚処理速 度10〜20秒間に VIQ90 以上のデータが多く分散する散 布図となっている。これまでの研究からも盲児童生徒の 点字読速度と知能(VIQ)には有意な相関関係のあるこ とが指摘されている(佐藤,  1984)。その知能(VIQ)は 盲児童生徒の認知能力を反映していると考えることがで きるので,STIP 検査における触覚処理速度も同様に盲 児童生徒の認知能力と関連していると指摘できる。

2 触覚処理速度と点字読速度の相関分析

次に,触覚処理速度と点字読速度の関係を検討するた めに,STIP 検査における平均処理速度と1分間の点字 読速度の相関関係を調べた。その相関図を図4に示した

が,触覚処理速度と点字読速度とに弱いが有意な相関関 係が認められた(r=-0.364,p<0.05)。すなわち,触覚に よる処理速度の速い盲児童生徒は点字読速度も速い傾向 を示している。データ範囲の分布は触覚処理速度 10 〜 20 秒間に,点字読速度の速いデータと遅いデータが分 布する散布図となっている。ただ触覚処理速度と点字読 速 度 と に 有 意 な 相 関 関 係 が あ る と は い え , 例 え ば , STIP 検査における触覚処理速度は速いが点字読速度は 遅いデータもある。これらのデータを調べてみると点字 学習を始めてまだ1年未満がほとんどで,そのことが点 字読速度に影響していると考えられる。

触覚処理速度と触覚認知能力(BLAT 検査の得点)

の相関分析

触覚処理速度と触覚認知能力の関係を明らかにするた めに,STIP 検査における平均処理速度と BLAT 検査に おける得点との相関関係を検討した。図5はその相関図 であるが,触覚処理速度と触覚認知能力に弱いが有意な 相関関係が認められた(r=-0.294,p<0.05)。データ範囲 の分布は触覚処理速度 10 〜 20 秒間に,BLAT 検査にお ける得点の低いデータから高いデータまで分散してい る。これは BLAT 検査における触覚認知力に個人差の 大きいことを示している。

BLAT 検査は Spearman の知能説に基づいた検査であ るとされ,とくに一般知能因子(G因子)と関係がある とされている(Newland,  1971)。Spearman のいうG因 子とは,①経験の認識,②関係の抽出,③関係肢の抽出,

のことである(伊藤,  1978)。特に,BLAT 検査によっ て評価される力は,Spearman のいう「関係の抽出」と

図3 SOIP検査の触覚処理速度とWISC-Ⅲ知能検査(VIQ)の相関図

(4)

図4 SOIP検査の触覚処理速度と点字読速度の相関図

図5 SOIP検査の触覚処理速度とBLAT検査得点の相関図

「関係肢の抽出」の力であるとされている。STIP 検査も 情報を比較し,関係づけ,速くその数の大小を判断して いく,まさに関係を認知する力である 。このことが STIP 検査における触覚処理速度と BLAT 検査における 触覚認知能力の共通の認知的基盤にあると言える。

4 触覚処理速度と短期記憶得点の相関分析

触覚処理速度と短期記憶との関係を明らかにするため

に,STIP 検査における平均処理速度と短期記憶得点の 相関関係を検討した。その相関図を図6に示した。触覚 処理速度と短期記憶には弱いが有意な相関関係が認めら れた(r=-0.443,p<0.01)。すなわち,触覚情報処理速度 の速い人は短期記憶の得点も高い傾向にあることを示し ている。データ範囲は触覚処理速度 10 〜 20 秒間に,短 期記憶得点が 12 以上の比較的高い得点範囲に分布して

(5)

いる。触覚処理速度と短期記憶の有意な相関関係には,

STIP 検査におけるスキャニング課題が関係していると 考えられる。スキャニング課題の場合,最初に入ってき た情報を一時的に記憶に保持し,次に入ってくる情報と 比較・照合し,その結果をさらに記憶に保持し,また次 に入ってくる情報と比較し,処理していくという一連の 認知処理過程がある。この処理過程は短期記憶にかなり 負荷がかかる。このことは短期記憶のキャパシティの大 きいほど STIP 検査の課題処理は有利になる。例えば,

短期記憶得点の高い盲児童生徒の場合,一度に多くの情 報を記憶・保持しておくことが可能であるので,結果と して触覚処理速度も速くなると判断される。

Ⅳ 総合的考察

盲児童生徒の STIP 検査における触覚処理速度は,今 回の検査結果から,知能(VIQ),点字読速度,触覚認知 能力,短期記憶等のいずれとも相関関係のあることが示 された。知能(VIQ),点字読速度,触覚認知能力,短期 記憶等は,児童生徒の認知能力を反映するので,今回立て た STIP 検査における触覚処理速度は盲児童生徒の認知 能力を反映するであろう,との仮説を認めることができる。

一方,STIP 検査における触覚処理速度が認知能力を 反映するのは,その課題とも関連していることを指摘し た。すなわち,STIP 検査はスキャニング課題であり,

その情報処理速度は,情報の比較,照合,記憶,処理,

判断等の一連の認知処理過程の速さであり ,これは Buchalt  and  Jensen(1989)の指摘する認知的処理速度 であると判断されるからである。

以上の結果を踏まえて,STIP 検査における触覚処理 速度の意義について,その教育的観点から次の三つの点 について指摘しておきたい。

第一に,STIP 検査における触覚処理速度が個々の盲 児童生徒の認知能力を反映するということから,盲児童 生徒の一人ひとりの認知能力に応じた教育的支援を行う ときの重要な情報を提供するということである。すなわ ち,STIP 検査における触覚処理速度の情報から,盲児 童生徒の学習時間の計画や触覚教材へのアクセスの可能 性と課題について考えることができる。例えば,STIP 検査における触覚処理速度の遅い児童生徒の場合,触覚 教材を処理するのにそれだけ時間がかかることを意味す るので,そのことを考慮した教科学習の時間立案や触覚 教材の工夫が求められることになる。

第二に,盲児童生徒の触覚処理速度の結果から,その 児童生徒の実態に応じた触覚教材の提供を考えることが できる。例えば,触覚処理速度の遅い盲児童生徒は短期 記憶のキャパシティが低い傾向にある。したがって,こ のような児童生徒の場合,複雑な触覚教材を処理し,記 憶に保持することに困難を示す場合が多い。そのため,

支援にあたってはできるだけ触覚教材の重要な情報だけ を残し,教材を簡略化していく必要がある。その工夫に よって,盲児童生徒の触覚情報処理過程における記憶に 図6 SOIP検査の触覚処理速度と短期記憶得点の相関図

(6)

大きな負担をかけなくてすむ。STIP 検査における触覚 処理速度はその重要な情報を提供する。

第三に,盲児童生徒の STIP 検査における触覚情報処 理過程から,触覚によるスキャニング技能とその指導の 手がかりを得ることができる。すなわち,個々の盲児童 生徒の両手読み,滑らかな左から右への指の渡りや動き,

マーカーとしての片手の使用,あるいは必要に応じて前 後を探索する指の動きなどをみることができる。これは 触察指導における大切な支援の手がかりとなる。

以上のように,STIP 検査における触覚処理速度から,

盲児童生徒の認知能力の推測や触覚教材の提供のあり 方,さらに触察指導の手がかりなどの重要な情報などを 得ることができ,その教育的意義も大きいと指摘できる。

この検査が標準化されれば,さらに触覚処理速度に関す る盲児童生徒の個々の相対的位置と触覚認知能力の特性 と発達を明らかにする有効な検査バッテリーの一つにな ると言える。

[付記]本研究の一部は,科学研究費補助金基盤研究(C)

「視覚障害児用の視覚・触覚認知検査の実用化研究」(研 究代表者:大城英名)(研究期間 平成 16 年度〜平成 18 年度)から,研究費の補助を受けた。

引用・参考文献

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