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Influence of Classification Method by means of Gravity Sedimentation on Particle Size Distributions for Cubic Hematite Particles

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Academic year: 2021

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全文

(1)

重力沈降による分級方法がキューブ状ヘマタイト粒子の 粒子径分布に与える影響

鶴岡勇大

*

・青島政之

*

(2020 年 8 月 31 日受理)

Influence of Classification Method by means of Gravity Sedimentation on Particle Size Distributions for Cubic Hematite Particles

Yudai T

SURUOKA

* and Masayuki A

OSHIMA

*

(Accepted August 31, 2020)

       

*茨城大学教育学部物理化学研究室(〒310-8512 水戸市文京2-1-1;Laboratory of Physical Chemistry, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).

はじめに

粉体・コロイド状物質は顔料や塗料をはじめ,私たちの生活の中の様々な場面で活用されている。

コロイド粒子の中でも磁性酸化鉄の一種であるキューブ状ヘマタイト粒子は粒子の対角方向に磁気 モーメントを持ち,重力による沈降によって容器底面に二次元薄膜状に凝集することが知られてい る(青島ら

2010

)。この凝集体は外部磁場に敏感に応答して構造が変化するという特徴を有してお り,センサーなどへの応用が期待できる。応用にあたっては磁気モーメントによる凝集体の小さな 変化を大きな変化へと増幅させる仕組みが必要となる。その実現のためにはできるだけ粒子径がそ ろった粒子を得ることが求められる。したがって粒子の大きさを揃える作業(分級作業)およびそ の粒子径分布を求めることが重要である。

コロイド分散系の場合,粒子径の違いを沈降時間の差によって分ける方法が一般的である。した がって,分級作業は遠心分離機を用いて行われることが多い。ところが粒子径が

1 μ m

付近の粒子 はナノ粒子の場合よりも沈降速度が早いため,遠心分離機で細かな分級作業を行うことは難しい。

より精密な分級のためには,重力沈降を用いた分級作業(デカンテーション法)が適しているが,

沈降作業には数時間単位の時間をかける必要がある。

一方,粒子径分布を求める方法は数多く存在する(粒子径計測技術

1994

)。レーザーによる光散 乱を測定する方法は迅速な解析が可能だが,高価で専門的な装置を必要とする。走査型電子顕微 鏡(

Scanning Electron Microscopy, SEM

)画像解析法を用いた粒子径分布解析は粒子径の直感的な 理解が可能であるという利点を持つ。

SEM

は観察対象に電子をビーム状に照射し,対象から放出 された二次電子を利用することで像を観察することができる顕微鏡である。本来であれば観察対象 鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイト粒子の分級 39 茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)39 - 48

(2)

は導電性をもつこと求められるため,ヘマタイトのような不導体を観察するにあたっては粒子に金 などの導電性金属膜を蒸着させる必要がある。もし,金の蒸着を行わずに観察を行うと観察対象の 表面に照射された電子が蓄積し,観察対象が白く染まった像が観察される(チャージアップ現象)。

この現象は粒子表面の観察を行うには不向きな現象だが,粒子の形状やサイズのみを議論するため にコンピュータによる画像解析を行う場合はかえって都合がよい。ただし,画像解析法は統計的に 十分な数の粒子データを集めるために数多くの画像撮影を行う必要があるため手間がかかる。

以上のように,重力沈降法および

SEM

画像解析法を行うにはかなり多くの時間と手間が必要と なるため,重力による分級方法についての定量的な検討は行われておらず,実験者の経験と勘に基 づいた分級が行われてきた。そこで本研究では,これまでキューブ状ヘマタイト粒子に関する筆者 の経験に基づいて得られた重力による分級法が,粒子径分布にどのような効果を与えるかについて の定量的な検討を試みた。

1.実験方法

1.1 キューブ状ヘマタイト粒子の合成

本研究におけるキューブ状ヘマタイトの合成方法(吉良・青島

2019

)は以下の通りである。まず,

塩化鉄(Ⅲ)六水和物を

2.43 g

量り取り,

50 mL

ビーカーへ移した。次に,ビーカーに蒸留水を加 え,塩化鉄(Ⅲ)六水和物が溶けきるまでガラス棒を用いて攪拌した。さらに,その水溶液を

100 mL

メスフラスコに移し,蒸留水を加えてメスアップした。この水溶液を

200 mL

の耐熱瓶に移し,

100

℃に設定したオーブン(東京硝子器械株式会社製 

Fine FO-30P

)に入れ,

8

日間熟成した。

1.2 キューブ状ヘマタイト粒子の分級およびサンプルの採取

遠心沈降法による分級を行い,次に重力沈降法による分級を行いながら重力沈降回数ごとにサン プルを採取した。その方法について以下に示す。

まず,取り出した耐熱瓶から粒子を取り出し,

200 mL

トールビーカーに移した。粒子がガラス 壁に付着することを防ぐため,溶液の

pH

10

となるようにアンモニア水を加えた。さらに,トー ルビーカーを超音波洗浄機に入れ,

3

分間超音波をかけて粒子を分散させた。この溶液を遠心分離

機(

KOKUSAN

社製 

H-19 α)を用いて 2000 rpm

3

分間遠心分離を行った。その後,上澄みを

吸引機(

ULVAC

社製 

MDA-006

)で除去し,

200 mL

トールビーカーに粒子を移した。耐熱瓶からトー

ルビーカーに粒子を移してからの作業を繰り返し,

3

回遠心分離を行った。

次に,粒子を

200 mL

トールビーカーに移して

3

分間超音波で分散した後,水平な机の上に

2

時 間静置することで重力沈降による分級を行った。

2

時間後,吸引機を用いて上澄みを除き(デカン テーション),

pH = 10

となるようにアンモニア水と蒸留水とを加えた。その後,粒子を

3

分間超 音波で分散したのち一部の粒子分散液をサンプル瓶に保存した。本研究ではこの操作を

5

回行い,

デカンテーション前のものも合わせ計

6

本の試料を得た。

1.3 走査型電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察および画像の撮影 茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)

40

(3)

ている

SEM

画像解析法(益子・青島 

2020

)を採用した。以下にその方法を記述する。

はじめに,

SEM

で粒子を観察するための試料を作成した。まず試験管を用意し,蒸留水をおよ そ

5 mL

入れた。さらに採取したサンプルをパスツールピペットを用いて

5

滴加え,攪拌した。次 いで吸引装置の上に孔径

0.2 μ m

のメンブレンをのせて吸引して水分を取り除いた。さらにメンブ レンを蒸留水で湿らせ,希釈したサンプルをパスツールピペットを用いて数滴垂らした。このメン ブレンを

42

℃に設定したオーブンに入れ,

30

分乾燥させた。

本研究ではデカンテーションを繰り返すにつれて,分散液の数密度が小さくなる。このまま

SEM

観察を行うと画像内に写る粒子の数が少なくなってしまう。図

1

に示すように,デカンテーショ ン

2

回目から試料とする溶液の色が非常に薄くなるため,サンプルを

10

滴加えた。また,図

2

に 示すようにデカンテーション

3

回目のサンプルが重力沈降前の粒子の希釈液と同様の色味だったた め,デカンテーション

3

回目からサンプルの原液を用いて試料を作成した。

次に

SEM

(日立ハイテク社 

TM-1000

)を用いて粒子の観察および画像の撮影を行った。画像 解析を行うにあたっては粒子の輪郭をはっきりとさせる必要がある。そこで,本研究では金蒸着は 行わず,チャージアップ現象が起こる条件で画像を撮影した。画像は

3,000

倍の倍率で複数の異な る場所を撮影した。映っている粒子の数を考慮して重力沈降回数ごとに数枚の画像を撮影した。

1.4 SEM画像解析法による粒子径分布解析

本研究では,益子・青島(

2019

)の方法を参考に画像解析ソフト(

Wayne Rasband

ImageJ

」の 日本語版)を利用して

SEM

画像解析法による粒子径分布解析を行った。その具体的な方法を以下 に示す。

1.4.1 スケールの測定

まず,撮影した画像のスケールバーのピクセル数を調べ,スケールを計測した。その結果は以下 の表

1

の通りとなった。これらの結果をもとに粒子径分布を算出した。

図1 希釈したサンプル

(左からデカンテーション0回,1回,2回,蒸留水)

図2 (左)希釈したデカンテーション

前のサンプルと(右)デカンテー ションを3回行ったサンプル 鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

3

1.3

走査型電子顕微鏡(

SEM

)による粒子の観察および画像の撮影

本研究ではキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分布を求めるための手法として従来から用いられ ている

SEM

画像解析法(益子・青島

2020

)を採用した。以下にその方法を記述する。

はじめに,

SEM

で粒子を観察するための試料を作成した。まず試験管を用意し,蒸留水をおよそ

5 mL

入れた。さらに採取したサンプルをパスツールピペットを用いて

5

滴加え,攪拌した。次いで 吸引装置の上に孔径

0.2 m

のメンブレンをのせて吸引して水分を取り除いた。さらにメンブレンを 蒸留水で湿らせ,希釈したサンプルをパスツールピペットを用いて数滴垂らした。このメンブレン を42℃に設定したオーブンに入れ,

30

分乾燥させた。

本研究ではデカンテーションを繰り返すにつれて,分散液の数密度が小さくなる。このまま

SEM

観察を行うと画像内に写る粒子の数が少なくなってしまう。図

1

に示すように,デカンテーション

2

回目から試料とする溶液の色が非常に薄くなるため,サンプルを

10

滴加えた。また,図

2

に示す ようにデカンテーション

3

回目のサンプルが重力沈降前の粒子の希釈液と同様の色味だったため,

デカンテーション

3

回目からサンプルの原液を用いて試料を作成した。

次に

SEM

(日立ハイテク社 TM‐1000)を用いて粒子の観察および画像の撮影を行った。画像解 析を行うにあたっては粒子の輪郭をはっきりとさせる必要がある。そこで,本研究では金蒸着は行 わず,チャージアップ現象が起こる条件で画像を撮影した。画像は

3000

倍の倍率で複数の異なる場 所を撮影した。映っている粒子の数を考慮して重力沈降回数ごとに数枚の画像を撮影した。

1 .4 SEM

画像解析法による粒子径分布解析

本研究では,益子・青島(

2019

)の方法を参考に画像解析ソフト(

Wayne Rasband

「ImageJ」 の日本語版)を利用して

SEM

画像解析法による粒子径分布解析を行った。その具体的な方法を以 下に示す。

1

希釈したサンプル(左からデカンテーショ ン

0

回,

1

回,

2

回,蒸留水)

2

(左)希釈したデカンテーショ ン前のサンプルと(右)デカン テーションを

3

回行ったサン プル

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイト粒子の分級 41

(4)

1.4.2 閾値設定の基準

まず,撮影した画像内で粒子として扱う範囲を設定した(閾値設定)。図

3

に示すように閾値設 定の程度によっては

2

つの粒子が

1

つの粒子と判断されたり,粒子があるはずの場所に粒子がない と判断されたりする。例えば,図

3

c

)のように右上の小さな粒子像が粒子であると判断されている。

本研究では

1

1

つの粒子の形状が概ね元の画像と一致するように閾値設定を行った。

表1 計測したスケール

スケールバーの長さ(30 μm)

1ピクセルの長さ(μm)

1ピクセルの面積(μm2

770ピクセル 0.039 0.0015

図3 閾値設定した粒子

(a)閾値設定前の画像 (b)2つの粒子が1つの粒子と判断された場合

(c)本研究で適用した設定に近い例 (d)小さな粒子が粒子と判定されて いない場合

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70号(2021)

4

1.4.1

スケールの測定

まず,撮影した画像のスケールバーのピクセル数を調べ,スケールを計測した。その結果は以下 の表

1

の通りとなった。これらの結果をもとに粒子径分布を算出した。

1

計測したスケール

スケールバーの長さ(

30 m

770

ピクセル

1

ピクセルの長さ(

m

0.039 1

ピクセルの面積(

0.0015

1.4.2

閾値設定の基準

まず,撮影した画像内で粒子として扱う範囲を設定した(閾値設定)。図

3

に示すように閾値 設定の程度によっては

2

つの粒子が

1

つの粒子と判断されたり,粒子があるはずの場所に粒子がな いと判断されたりする。例えば,図

3(c)

のように右上の小さな粒子像が粒子であると判断されてい る。本研究では

1

1

つの粒子の形状が概ね元の画像と一致するように閾値設定を行った。

(a) (b)

(c) (d)

3

閾値設定した粒子

(a)

閾値設定前の画像

(b) 2

つの粒子が

1

つの粒子と判断 された場合

(c)

本研究で適用した設定に近い例

(d)

小さな粒子が粒子と判 定されていない場合

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70号(2021)

4

1.4.1

スケールの測定

まず,撮影した画像のスケールバーのピクセル数を調べ,スケールを計測した。その結果は以下 の表

1

の通りとなった。これらの結果をもとに粒子径分布を算出した。

1

計測したスケール

スケールバーの長さ(

30 m

770

ピクセル

1

ピクセルの長さ(

m

0.039 1

ピクセルの面積(

0.0015

1.4.2

閾値設定の基準

まず,撮影した画像内で粒子として扱う範囲を設定した(閾値設定)。図

3

に示すように閾値 設定の程度によっては

2

つの粒子が

1

つの粒子と判断されたり,粒子があるはずの場所に粒子がな いと判断されたりする。例えば,図

3(c)

のように右上の小さな粒子像が粒子であると判断されてい る。本研究では

1

1

つの粒子の形状が概ね元の画像と一致するように閾値設定を行った。

(a) (b)

(c) (d)

3

閾値設定した粒子

(a)

閾値設定前の画像

(b) 2

つの粒子が

1

つの粒子と判断 された場合

(c)

本研究で適用した設定に近い例

(d)

小さな粒子が粒子と判 定されていない場合

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70号(2021)

4

1.4.1

スケールの測定

まず,撮影した画像のスケールバーのピクセル数を調べ,スケールを計測した。その結果は以下 の表

1

の通りとなった。これらの結果をもとに粒子径分布を算出した。

1

計測したスケール

スケールバーの長さ(

30 m

770

ピクセル

1

ピクセルの長さ(

m

0.039 1

ピクセルの面積(

0.0015

1.4.2

閾値設定の基準

まず,撮影した画像内で粒子として扱う範囲を設定した(閾値設定)。図

3

に示すように閾値 設定の程度によっては

2

つの粒子が

1

つの粒子と判断されたり,粒子があるはずの場所に粒子がな いと判断されたりする。例えば,図

3(c)

のように右上の小さな粒子像が粒子であると判断されてい る。本研究では

1

1

つの粒子の形状が概ね元の画像と一致するように閾値設定を行った。

(a) (b)

(c) (d)

3

閾値設定した粒子

(a)

閾値設定前の画像

(b) 2

つの粒子が

1

つの粒子と判断 された場合

(c)

本研究で適用した設定に近い例

(d)

小さな粒子が粒子と判 定されていない場合

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)

42

(5)

1.4.3 画像の加工

閾値設定した画像と元の画像とを見比べながら画像の加工を行った。ヘマタイト粒子は磁性をも つため,鎖状に凝集しやすい。本研究で撮影したキューブ状ヘマタイト粒子も凝集が観察された。

それらの粒子を

1

つの粒子として扱うことがないよう境界線を引き,個別の粒子として扱うように 画像を加工した。また,画像内に見られる,粒子と同じような色をしているため粒子と判定されて いる部分(図

4

)や,境界線を引くことができない粒子塊を消去することで,より正確に粒子の面 積を求めることができるよう加工を行った。

1.4.4 粒子と背景の分離(二値化)

閾値設定されていない部分を除く二値化を実行した(図

5

)。次に,粒子解析を実行し,それぞ れの粒子の面積を測定した。粒子解析を行うと粒子の面積がピクセル単位で表示される。結果を見 て,極端に大きい値や小さい値があれば画像加工の漏れがないか確認した。修正が必要であれば再 び加工してもう一度解析を実行した。

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

5

1.4.3

画像の加工

閾値設定した画像と元の画像とを見比べながら画像の加工を行った。ヘマタイト粒子は磁性をも つため,鎖状に凝集しやすい。本研究で撮影したキューブ状ヘマタイト粒子も凝集が観察された。

それらの粒子を

1

つの粒子として扱うことがないよう境界線を引き,個別の粒子として扱うように 画像を加工した。また,画像内に見られる,粒子と同じような色をしているため粒子と判定されて いる部分(図

4

)や,境界線を引くことができない粒子塊を消去することで,より正確に粒子の面 積を求めることができるよう加工を行った。

1.4.4

粒子と背景の分離(二値化)

閾値設定されていない部分を除く二値化を実行した(図

5

)。次に,粒子解析を実行し,それぞれ の粒子の面積を測定した。粒子解析を行うと粒子の面積がピクセル単位で表示される。結果を見 て,極端に大きい値や小さい値があれば画像加工の漏れがないか確認した。修正が必要であれば再 び加工してもう一度解析を実行した。

(a) (b)

5

二値化前後の画像

(a)

二値化前

(b)

二値化後 図

4

境界線の描画による粒子像の分離4 境界線の描画による粒子像の分離

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

5

1.4.3

画像の加工

閾値設定した画像と元の画像とを見比べながら画像の加工を行った。ヘマタイト粒子は磁性をも つため,鎖状に凝集しやすい。本研究で撮影したキューブ状ヘマタイト粒子も凝集が観察された。

それらの粒子を

1

つの粒子として扱うことがないよう境界線を引き,個別の粒子として扱うように 画像を加工した。また,画像内に見られる,粒子と同じような色をしているため粒子と判定されて いる部分(図

4

)や,境界線を引くことができない粒子塊を消去することで,より正確に粒子の面 積を求めることができるよう加工を行った。

1.4.4

粒子と背景の分離(二値化)

閾値設定されていない部分を除く二値化を実行した(図

5

)。次に,粒子解析を実行し,それぞれ の粒子の面積を測定した。粒子解析を行うと粒子の面積がピクセル単位で表示される。結果を見 て,極端に大きい値や小さい値があれば画像加工の漏れがないか確認した。修正が必要であれば再 び加工してもう一度解析を実行した。

(a) (b)

5

二値化前後の画像

(a)

二値化前

(b)

二値化後 図

4

境界線の描画による粒子像の分離

図5 二値化前後の画像 (a)二値化前 (b)二値化後

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイト粒子の分級 43

(6)

1.5 粒子径分布解析のグラフ化および評価の方法 1.5.1 実寸法での粒子径の算出

ピクセル単位で測定された粒子の面積から実寸法での粒子径を求めた。キューブ状ヘマタイト粒 子は疑似立方体の構造をしているため,厳密にはキューブ状ではない(朴ら

1994

)。しかし,本研 究ではキューブ状ヘマタイト粒子を立方体であるとみなし,その一辺を粒子径と定義して粒子径分 布を求めた。以下にその方法を示す。

2.4.1

で求めた面積でのスケール比(

0.0015 μ m

2

/ pixel

)を測定したそれぞれの粒子の面積 の値にかけることで,粒子径を実寸法に直す。次に,算出した値の平方根を求め,粒子径x

x =       から求めた。ただしSは測定した面積,xは粒子径を表す。

1.5.2 積算分布及び頻度分布の作成

求めた粒子径の大きさを

1

ピクセルの長さ

xごとに階級分けを行い,積算分布Qのグラフを作 成した。すなわちn をある階級に該当する大きさをもつ粒子数,Nはサンプル粒子数とすると,Q

n / Nと表される。

作成した積算分布のグラフのデータを画像の最小単位

1

ピクセルの値で微分することで,どれ だけの頻度である大きさの粒子が存在するのかを表す頻度分布のグラフを得た。本研究では積算分 布のある階級とその

1

つ上の階級との差を求め,

1

ピクセルの長さ

xで除することで頻度分布q

nm

-1)を求めた。その数式を以下に示す。ただし,Qnは求める階級の積算分布の値,Qn+1は求め る階級の

1

つ上の階級の積算分布の値である。

2.結果と考察

2.1 キューブ状ヘマタイト粒子の重力沈降法による分級

6

に遠心分離後に超音波で分散したキューブ状ヘマタイト粒子分散液を示す。デカンテーショ ンを重ねるにつれて分散液の赤みが増していく様子が観察された。分散液の黄色い上澄み液は,デ カンテーションの回数ごとに除かれていることが分かる。

7

は重力沈降後超音波による分散処理を行ってから

2

時間経過後の分散液の様子である。重 力沈降においては,回数を追うごとに沈降速度が遅い粒子からなる黄色い分散液が減少する様子が 観察できた。これは,小さな粒子のみが取り除かれていったためであると推測される。沈降後に採 取した上澄みのサンプルを見ると,デカンテーション回数が

0

回から

2

回の間は赤みが増していき,

以降は回数を追うごとに分散液上澄みの透明度が増していく様子が観察できた。これは,

4

回以降 で除去できる小さな粒子が概ね取り除かれたためと考えられる。

S×0.0015

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70(2021)

6 1.5 粒子径分布解析のグラフ化および評価の方法

1.5.1 実寸法での粒子径の算出

ピクセル単位で測定された粒子の面積から実寸法での粒子径を求めた。キューブ状ヘマタイト 粒子は疑似立方体の構造をしているため,厳密にはキューブ状ではない(朴ら 1994)。しかし,本 研究ではキューブ状ヘマタイト粒子を立方体であるとみなし,その一辺を粒子径と定義して粒子径 分布を求めた。以下にその方法を示す。

2.4.1で求めた面積でのスケール比(0.0015 m² / pixel)を測定したそれぞれの粒子の面積の値に

かけることで,粒子径を実寸法に直す。次に,算出した値の平方根を求め,粒子径 x を𝑥𝑥=

√𝑆𝑆× 0.0015から求めた。ただしSは測定した面積,xは粒子径を表す。

1.5.2 積算分布及び頻度分布の作成

求めた粒子径の大きさを1ピクセルの長さ∆

ごとに階級分けを行い,積算分布Qのグラフを 作成した。すなわちnをある階級に該当する大きさをもつ粒子数,Nはサンプル粒子数とすると,

Q n / Nと表される。

作成した積算分布のグラフのデータを画像の最小単位1ピクセルの値で微分することで,どれだ けの頻度である大きさの粒子が存在するのかを表す頻度分布のグラフを得た。本研究では積算分布 のある階級とその1つ上の階級との差を求め,1ピクセルの長さ∆𝑥𝑥で除することで頻度分布q

(nm−1)を求めた。その数式を以下に示す。ただし,𝑄𝑄𝑛𝑛は求める階級の積算分布の値,𝑄𝑄n+1は 求める階級の1つ上の階級の積算分布の値である。

𝑞𝑞=𝑄𝑄𝑛𝑛+1− 𝑄𝑄𝑛𝑛

∆𝑥𝑥 (1)

2 結果と考察

2.1 キューブ状ヘマタイト粒子の重力沈降法による分級

図6に遠心分離後に超音波で分散したキューブ状ヘマタイト粒子分散液を示す。デカンテーシ ョンを重ねるにつれて分散液の赤みが増していく様子が観察された。分散液の黄色い上澄み液は,

デカンテーションの回数ごとに除かれていることが分かる。

図7は重力沈降後超音波による分散処理を行ってから2時間経過後の分散液の様子である。重 力沈降においては,回数を追うごとに沈降速度が遅い粒子からなる黄色い分散液が減少する様子が 観察できた。これは,小さな粒子のみが取り除かれていったためであると推測される。沈降後に採 取した上澄みのサンプルを見ると,デカンテーション回数が0回から2回の間は赤みが増してい き,以降は回数を追うごとに分散液上澄みの透明度が増していく様子が観察できた。これは,4回 以降で除去できる小さな粒子が概ね取り除かれたためと考えられる。

1

) 茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)

44

(7)

2.2 走査型電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察および画像の撮影

8

にデカンテーション回数ごとの

SEM

画像をそれぞれ示す。粒子はチャージアップ現象によ り白く写っている。一方,背景は十分暗く,高いコントラストを示している。すなわち,画像解析 によって粒子面積を測定するのに適した条件での画像が得られたと言える。ただし,画像内の粒子 の数はサンプル採取時の操作に依存するので,制御することは難しい。

2.3 デカンテーション回数が粒子径分布に与える影響

次いで、得られた

SEM

画像から粒子系分布を算出した結果を図

9

に示す。粒子合成直後の粒子 径分布(図

9

a

))をみるとピークは

2

つあり,小粒子のピークは

230 nm

付近に,大粒子のピー

クは

780 nm

付近にあることがわかる。デカンテーション回数が増加するにつれ,小粒子のピーク

の高さは徐々に減少するとともに大粒子のピークの位置はあまり変化しないままその高さが増加し ている。デカンテーション回数が

3

回以上の粒子径分布の形状は似通っており,回数を重ねると特 に小粒子のピークのみが少しずつ減少する。すなわち,重力沈降法によるデカンテーションは小粒 子のみを取り除く効果があることがわかった。

図6 遠心分離をかけた直後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の様子。

(a)から(e)の順にデカンテーション0回目から4回目を表している。

図7 超音波による分散処理を行ってから2時間経過後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の様子。

(a)から(e)の順にデカンテーション1回目から5回目を表している。

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

7

2.2

走査型電子顕微鏡(

SEM

)による粒子の観察および画像の撮影

8

にデカンテーション回数ごとの

SEM

画像をそれぞれ示す。粒子はチャージアップ現象に より白く写っている。一方,背景は十分暗く,高いコントラストを示している。すなわち,画像解 析によって粒子面積を測定するのに適した条件での画像が得られたと言える。ただし,画像内の粒 子の数はサンプル採取時の操作に依存するので,制御することは難しい。

2.3

デカンテーション回数が粒子径分布に与える影響

次いで、得られた

SEM

画像から粒子系分布を算出した結果を図

9

に示す。粒子合成直後の粒子 径分布(図

9(a)

)をみるとピークは

2

つあり,小粒子のピークは

230 nm

付近に,大粒子のピーク

780 nm

付近にあることがわかる。デカンテーション回数が増加するにつれ,小粒子のピークの

高さは徐々に減少するとともに大粒子のピークの位置はあまり変化しないままその高さが増加して いる。デカンテーション回数が

3

回以上の粒子径分布の形状は似通っており,回数を重ねると特に 図 7 超音波による分散処理を行ってから

2

時間経過後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の

様子。(a)から(e)の順にデカンテーション

1

回目から

5

回目を表している。

(a) (b) (c) (d) (e)

(a) (b) (c) (d)

6

遠心分離をかけた直後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の様子。(a)から(e)の順にデ カンテーション

0

回目から

4

回目を表している。

(e)

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

7

2.2

走査型電子顕微鏡(

SEM

)による粒子の観察および画像の撮影

8

にデカンテーション回数ごとの

SEM

画像をそれぞれ示す。粒子はチャージアップ現象に より白く写っている。一方,背景は十分暗く,高いコントラストを示している。すなわち,画像解 析によって粒子面積を測定するのに適した条件での画像が得られたと言える。ただし,画像内の粒 子の数はサンプル採取時の操作に依存するので,制御することは難しい。

2.3

デカンテーション回数が粒子径分布に与える影響

次いで、得られた

SEM

画像から粒子系分布を算出した結果を図

9

に示す。粒子合成直後の粒子 径分布(図

9(a)

)をみるとピークは

2

つあり,小粒子のピークは

230 nm

付近に,大粒子のピーク

780 nm

付近にあることがわかる。デカンテーション回数が増加するにつれ,小粒子のピークの

高さは徐々に減少するとともに大粒子のピークの位置はあまり変化しないままその高さが増加して いる。デカンテーション回数が

3

回以上の粒子径分布の形状は似通っており,回数を重ねると特に 図 7 超音波による分散処理を行ってから

2

時間経過後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の

様子。(a)から(e)の順にデカンテーション

1

回目から

5

回目を表している。

(a) (b) (c) (d) (e)

(a) (b) (c) (d)

6

遠心分離をかけた直後のキューブ状ヘマタイト粒子分散液の様子。(a)から(e)の順にデ カンテーション

0

回目から

4

回目を表している。

(e)

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイト粒子の分級 45

(8)

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70(2021)

8

小粒子のピークのみが少しずつ減少する。すなわち,重力沈降法によるデカンテーションは小粒子 のみを取り除く効果があることがわかった。

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f)

8

キューブ状ヘマタイト粒子の

SEM

画像 (a)から(f)はそれぞれデカンテーション 回数

0

回目から

5

回目を表している

図8 キューブ状ヘマタイト粒子のSEM画像

(a)から(f)はそれぞれデカンテーション回数0回目から5回目を表している 茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)

46

(9)

3.まとめ

本研究では,キューブ状ヘマタイト粒子分散液を重力沈降法によって分級し,デカンテーショ ン回数ごとにサンプルを採取,その後

SEM

画像解析法を用いてそれぞれのデカンテーション回数 ごとの粒子径分布を得た。合成直後のキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分布には

200 nm

300

nm

800 nm

900 nm

2

つのピークがある。デカンテーション回数ごとの粒子径分布を比較す

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイトの分級

9

3.

まとめ

本研究では,キューブ状ヘマタイト粒子分散液を重力沈降法によって分級し,デカンテーショ ン回数ごとにサンプルを採取,その後

SEM

画像解析法を用いてそれぞれのデカンテーション回数 ごとの粒子径分布を得た。合成直後のキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分布には

200 nm

300

nm

800 nm

900 nm

2

つのピークがある。デカンテーション回数ごとの粒子径分布を比較す

(a) (b)

(d)

(f) (c)

(e)

9

デカンテーション回数ごとのキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分布

(a

から

f

まで順にデカンテーション回数が

0

回から

5

回に相当する

)

図9 デカンテーション回数ごとのキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分布

(aからfまで順にデカンテーション回数が0回から5回に相当する)

鶴岡・青島:重力沈降によるキューブ状ヘマタイト粒子の分級 47

(10)

ると,

2

つのピークのうち小さな粒子径をもつ粒子が取り除かれることがわかった。すなわち,重 力による沈降時間を

2

時間にとった場合,

4

回程度のデカンテーションを繰り返せば小粒子を取り 除くことができることが定量的に示された。

引用文献

青島政之・尾崎正孝・佐藤明.2010.キューブ状ヘマタイト粒子からなる自己集合格子構造の解析.化学工学 論文集,36(6),594-604.

朴 京洙・新藤大輔・早稲田嘉夫・村松淳司・杉本忠夫.1994.疑似立法体型単分散ヘマタイト粒子の電子顕 微鏡による形態及び構造評価.東北大学素材工学研究所彙報,50(1/2),47-55.

粉体工学会編.1994.粒子径計測技術.pp. 8-17,日刊工業新聞社.

吉良知之・青島政之.2019.垂直磁場中におけるキューブ状ヘマタイト粒子の凝集現象.茨城大学教育学部紀要

(自然科学),68,7-1.

益子天篤・青島政之.2019.異なる走査型電子顕微鏡画像から得られたキューブ状ヘマタイト粒子の粒子径分 布の比較.茨城大学教育学部紀要(自然科学)69,19-31.

茨城大学教育学部紀要(自然科学)70 号(2021)

48

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