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看護実践能力修得度調査からみた教育評価 第5報

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Academic year: 2021

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第15回 新潟医療福祉学会学術集会

看護実践能力修得度調査からみた教育評価 第5報

新潟医療福祉大学看護学科 中山和美,袖山悦子,坪川麻樹子,宇田優子

【背景】

A大学では毎年,卒業時に学習成果について自己評価を行 うことで,4 年間でどのような看護実践能力が身についたか 調査を行っている.3年間のデータならびに全国調査から考 察を試みたので報告する.なお,本研究は新潟医療福祉大学 倫理委員会の承認を得て実施した.

【方法】

A大学看護学科4年生を対象に卒業前の平成27 年2 月に自 記式質問票を配付しその場で記入してもらい提出させた.そ の際に得られたデータを研究として取り扱うことの可否を同 意書により確認した.

調査票には看護実践能力の構造(5 能力群,20 能力,55 到 達目標ならびに学習成果 202 項目)を示したうえで,学習成 果について「できない」から「よくできる」の 4 段階で自己 評価をさせた.学習成果評価点を該当する 20 能力に集約して 平均値を求め,24 年 3 月の報告1)(全国の看護大学生 765 名

(うち回収率 50%)の調査結果)と比較した.またA大学に おいて過去に実施した学生の自己評価2)とも比較した.

【結果】

研究の趣旨を説明し同意の得られた 88 名(100%)の結果 を本研究において分析した.

表 1 に修得すべき 20 の看護実践能力と年次別・全国平均を 示した.平成 27 年卒業生は,すべての項目においてポイント が全国平均を上回った.また,同じようにすべての項目で平 成 25 年,26 年を上回った.さらに 2 点台だった 11 項目のう ち「18.看護を創造するための基礎となる能力」の 1 項目を 除き網掛けの 10 項目が 3 点台になった.

【考察】

これまで学生の自己評価による看護実践能力は1~3の項 目が該当する「ヒューマンケアの基本に関する能力」が高く,

少人数制ゼミや PBL などの学習形態がコミュニケーション能 力を高めていることが推察されてきた.一方で地域特性のア セスメント・地域ケアの構築,健康の保持増進・急性期や慢 性期にある人への援助,さらに生涯学習や看護の専門性等に ついては 2 点台が多く,苦手とする傾向があり教育上の課題 であった.しかし,平成 27 年卒業生は1項目を除いて 3 点台 になると同時にすべての項目が初めて全国調査を上回る結果

表1.20 実践能力における年次別平均・全国との比較

となった.その要因を分析すると 3 点挙げられる.1)当初 卒業時到達目標は,卒業前に初めて見るといった状況だった が,新年度ごとのオリエンテーションでの説明やカリキュラ ムマップを示すなどしたことから,自分が修得すべき看護実 践能力に対する意識が高まった可能性があること.2)指定 規則の改正による統合実習や看護実践論は,検討を重ねてよ り実践能力を高めるような教育内容となったこと.3)教員 FD を通し,科目担当者が教育方法や内容を改善していること.

が挙げられる.

今後は水準の維持ならびに更なる向上をめざして教育に活 用できるよう検討を重ねていきたい.

【結論】

教育内容や方法の改善,自分が修得すべき看護実践能力に 対する意識づけによって全国看護系大学学生の看護実践能力 を上回る自己評価につながった.

【文献】

1)日本看護系大学協議会:大学卒業時到達度の評価手法開発 のための調査研究報告書,2012.3

2)中山和美他:看護実践能力修得度調査からみた教育評価 第 4 報,第 14 回新潟医療福祉学会学術集会,2014.10

看護実践能力(20 項目) H25 H26 H27 全国 1.対象の尊厳と権利を擁護

2.実施する看護の説明と同意 3.援助的関係の形成 4.根拠に基づいた看護の提供 5.計画的に看護を実践 6.健康レベル・成長発達の査定 7.個人・家族生活の査定 8.地域特性・健康課題の査定 9.援助技術を適切に実施 10.健康の保持増進と疾病予防 11.急性期・回復期にある人への援助 12.慢性疾患をもつ人への援助 13.終末期にある人への援助 14.看護ケアの質改善 15.地域ケアの構築・機能充実 16.安全なケア環境

17.保健医療福祉における協働・連携 18.看護を創造するための基礎 19.生涯学習・継続学習 20.看護の専門性

3.32 3.31 2.87 2.75 3.01 2.86 2.98 2.75 3.02 2.95 2.81 2.93 3.22 2.77 2.89 3.14 3.13 2.65 2.91 2.80

3.32 3.29 3.01 2.78 3.11 2.82 3.03 2.83 3.07 2.96 2.84 2.95 3.17 2.77 2.79 3.10 3.12 2.63 2.99 2.82

3.58 3.51 3.26 3.15 3.41 3.08 3.23 3.02 3.27 3.21 3.03 3.20 3.38 3.03 3.02 3.36 3.35 2.92 3.25 3.14

3.3 3.3 3.0 2.9 3.2 2.7 3.1 2.9 3.2 3.0 2.8 3.0 3.0 2.8 2.8 3.2 3.2 2.7 3.2 3.0

P−37

参照

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