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東南アジアにおける船舶工業の展開

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東南アジアにおける船舶工業の展開

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東南アジアにおける船舶工業の展開

辰 男

1 東南アジアの工業化と船舶工業

 東南アジア諸地域における工業化の試みは,ごく大ざっぱにいって,工業化のあり方と いう点で,いままでに三つの段階を経過してきているように思われる。その第一は輸入品 代替産業の育成であった。これは輸入品にかわる国内産業を育成することにより,輸入を 防いで貿易バランスを改善すると同時に,工業化を推進しようという発想であった。だ が,そのような輸入品にかわる国内産業が近代産業として発達するためには,基本的に は,それにふさわしい国内市場の広汎な形成が前提となるのであるが,広大な農村地域を かかえる東南アジアの場合,そうした前提条件は欠けていたし,そのため,より直接的に は,工業化を推進することが原材料,設備等の輸入を増大せしめ,かえって貿易バランス の悪化を招いたのであった。

 そこで第二に考えられたことは輸出産業の育成である。国内市場の未成熟という条件の もとでなおかつ工業化を推進しようとするならば,その工業化は国外市場に依存しなけれ ばならないのは,いわば当然のなりゆきであった。これはかって明治初期における日本の 工業化が,国内の農業における半封建的小作制度による根強い自然経済の残存に逢着して 挫折し,やがて国外市場に依存しながら推進されたのと類似している。東南アジアの先進 的な国または地域では,繊維工業,雑貨工業,電子工業などの労働集約性の強い産業分野 において,豊富で低廉な労働力に依拠しながら,急速に工業化が進展し,同じ産業分野に 多くたずさわる日本の中小企業の存立を根底からゆり動かすまでに成長したことは周知の 通りである。発展途上国の「追い上げ」といわれたのがこれである。しかしこうした軽工 業を中心とした輸出産業は,最:近になって,とくに1970年以降,ぽつぽつ限界がみえはじ めたのである。賃金が急激に上昇しはじめ,輸出の伸びが鈍化して頭打ちの傾向をみせは

じみたのである。

 そこで第三に,輸出産業の中心を従来の軽工業から高度精密加工産業へ転換することが 考えられはじめ,新しい産業分野の摸索がはじまっている。とくに香港とシンガポールで はその傾向が強い。香港とシンガポールはともにヒンターランドをもたず,そのため早く から輸出産業中心に工業化が進められ,一応の成功をおさあたのであるが,いまやその同 じ理由のために賃金の上昇が著しくなり,産業分野の転換を強いられているのである。香 港の青衣島(Tsing Yi Island),シンガポールのJurongにおける工業地区の開発はそ

うした新しい産業分野の漠索を内部に含んでいるとみてよいであろう。

(2)

 東南アジアにおけ.る工業化の努力をこのように三つのステップに分けて考えることには まだ議論の余地もあろうが,一 アこではその議論には立ち入らず,東南アジアの中での先進 的な地域において,輸出産業として軽工業が限界をみせはじめ,他の産業分野を摸索しは

じあているという状況をそのままふまえ,その新しい産業分野の一つとして考えられる船 舶工業一造三業と船舶修理二一一一についてみていくことにしたい。

 船舶工業は中進国的な産業であるといわれている。それは船舶工業が,一方では,組立 産業としての性格上記関連産業の広い裾野をもち,多量の熟練労働を必要とするという点 において,かなりの程度の機械金属工業の集積を前提としているのに対し,他方では,労 働集約的産業としての性格も同時にもっているからである。東南アジアにおける工業化が いま軽工業から他の産業分野への転換を摸索しているとすれば,この中進国的な産業とし ての性格をもつ船舶工業はその転換の一つの柱,または,一つの目標たりうるのではない だろうか。しかも船舶工業は広い関連産業を伴うものであるから,機械金属工業の展開と いう波及効果も同時に;期待しうると思われる。

 とはいえ,それは船舶工業のすべての分野についていえるのではない。造船業におけ る,とくに大型船建造の分野における競争は激甚であり,その市場は完全に国際化されて いて,寡占化の傾向が強まっている。したがって,東南アジア諸国のこの分野における新 規参入はきわめて困難である。しかも,この分野における技術革新は近年急激に進展して いる。船型の大型化にともなう巨大ドック・巨大クレーン建設, ブロック建造方式の採 風先行三二,鋼材表面処理におけるショットプラスター採用,罫書工程におけるフォト マーキングの導入,加工工程の自動化・連続化・数値制御化,資材のコンピューター管 理,船型開発と標準化,鋼材の水切りから建造船の進水にいたる全工程の流れ作業化,そ れにともなう工場レイアウトの革新等々,造船業はいまやその真面を一新しつつあり,従 来のドックにおける建造業的なものから,工場における製造業的なものに変容をとげつつ ある。これには巨額な資本投下と高度な設計能力,管理能力,技術が要求されるから,こ うした点でも,東南アジア諸国による新現規参入はきわめて困難であると思われる。

 だが,船舶修理業の分野はこれと異なる。操業中の船舶にとっては,修理はその操業海 域にある港でおこなうのが操業度の点で有利であり,新造船と比較するとその国際市場は

より不完全であり,10ca1な性格をもちうるものである。その点,小型船舶の建造も同じ である。船価の高い大型船の場合には無視しうる地理的な距離も,船価の低い小型船にな ればなるほど無視しえなくなる。したがってこの場合も市場は国際的にみてlocalたりう

ると考えられる。こうした点から考えて,船舶修理業および小型造船業の分野は今後の東 南アジアの工業化にとって重要な分野として考えられるのではないだろうか。

 本稿はこうした視点に立って,東南アジアにおける造船業と船舶修理業の概観を試みよ

うとするものであるが,ここでは香港,シンガポール,タイの三つをとりあげることにし

た。香港とシンガポールはともに英国の支配下で中継貿易港としての長い歴史をもってお

(3)

東南アジアにおける船舶工業の展開

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り,したがって古くから船舶工業をもっている。そうした点から考えて東南アジアの船舶 工業をみる場合には,この両者をまずとりあげて,現状を比較してみる必要がある。これ に対しタイはこの両者とは対照的で,古い独立国であり,広大な農村をかかえる農業国で ある。しかし,主要産物である米の輸送を中心として,メナム河流域では水上輸送がかな り活発である。香港とシンガポールだけでは性格的にかたよるので,この両者とは性格の 異るタイを加え,以下この三地域の船舶工業についてみていくことにする。

2.香港の造船業と船舶修理業

 国際的な中継貿易港としての歴史をもつ香港では,造船業,船舶修理業もまた古い歴史 をもっているが,現在,大造船所は主として外航大型船の修理をおこなっており,小規模 な造船所は小型船建造に特化されていて,両者の分野はかなりはっきりと分れている。

 1970年における香港の造船業,船舶修理業の工場数は49あり,1万人をこえる労働者を 雇用し,6千9百万香港ドルの輸出額をあげている。これはかなりの成長であり,1966年 以降労働者数の増減はあまりみられないが,工場数,輸出額では次第に増加する傾向がみ

られ,この5年間に工場数は約し7倍,輸出額は約2.4倍に増加し,1960年以降の10年間で は実に4倍以上に達している(第1表)。こうした成長の傾向は1965年まではみられず,

毎年増減をくり返しているにすぎない状態であったから,1966年以降になってから顕著に

第1表 香港の造船業,船舶修理業

イダ

1960

1966 1967 1968

1969

1970

一L 場  数

28 29 37 41 48 49

労 働 者 数     8,819    10,998    10,488    11,123    11,238    10,870

輸  出  額

(百万香港ドル)

    17.0     29.0     41.2     47.8     54.3     69.0

(出所)Industrial Investment Hong Kong l971−72, Published by the Trade    Development Councii, pp l8,22より作成。

第2表      香港の船舶修理実績

       ドックヤードでの修理   …   港湾内での修理

年1嚢τ轍霧噺濠■蜘郵亭贅総トン数

   I       i    I        l

 l961  1  270         4.17      850,731 1  600         9・28  i 4,310・061

 1962  {  267         3 67      810,048 1  597  馳       8.20  1 4 357,755

、9631 Q73  3.43 948,75516。2i ,.57ト4,54。,758

       

19641 R25  3.09 1,020,080i 597 i 5.6814,473,475

1965 285  1.90 983,814,698  466i5,285,229

(出所)Hong Kong Enterprise,1968年7月号(小林進『香港の工業業化』113頁

   所収,池沢忍「その他の工業品」より)。

(4)

なったとみてよいであろう(第2表)。

      (1)

 主要設備の状況をみると,香港の造船界は大型の乾ドック5をもっており,3万5千ト ンのオイルタンカー,船長700フィート船幅88フィートの客船や貨物船を処理する能力を もっている。このほかに船台が多数あり,その最大級のものは4,000排水トン,船長43Qフ ィートの船舶を処理する能力がある。また,大きな造船所には水深の深い岸壁があり,船 長500フィートまでの船舶建造が可能な建造バースも多数存在している。

 機械設備では,150トンおよび10Qトンのハンマーヘッドクレーンがあり,大型機械や水 力的,気力的,電気的施設をもつ組立工場では,あらゆる種類の船体や機械的電気的修理 に応ずることができるといわれている。このほか,重量30トンまでの鉄の鋳造設備,20ト ンまでの鋼の鍛造設備もあり,トップ企業では大型舶用エンジンの製造設備も所有してい

る。

 こうした設備を利用する以外に,港内のブイや錨で停泊して修理をおこなう海上修理も 多数あり,造船所の移動作業班がフローティングクレーンや熔接装置,気力その他の設備 をシップサイドまで運んでいって修理をおこなっている。

 古い歴史をもつ香港の造船界は労働者の熟練や職人気質,および低価格(reasonable price)を誇っており,オーバーホール,改造,検査などの依頼は増勢にあり,香港以外 の顧客は主として東南アジア地域の各国政府や海運会社である。

 小規模な造船所群は小型の船舶建造に特殊化されており,材質的には木製,鋼製,鉄筋 コンクリート製等があり,用途別では河川用,港湾用,外航用等の船の建造がおこなわれ ている。木製のものは中国型の漁船(ジャンク)やサンパン,鋼製のものとしてはタグボ ートやバージが多く(タグボートは200〜500BHP),レジャー用の船やヨットもつくられ ており,木製かグラスファイバー製である。こうした小型船舶を建造している小造船所は 香港島のアバディーンや青衣島(Tsing Yi Island)に約150社ほど存在しており,800〜

      (2)

1400入の労働者を雇用している。

       (3}

 だが,香港における造船所の主要なものは次の7社であるといわれている。

 The Taikoo Dockyard and Engineering Cornpanv

 The Hong Kong Wampoa Dock Company

 Pacific Island  Hong Kong Shipyard  Wing On Shing

 Ameican Marine  Choy Lee

 これら各社は,現在,新造船の建造はおこなっておらず,もっぱら船舶修理をおこなっ

ている。これはこれらの造船所が国際競争力をもたず,納期や価格の点で日本の造船所と

はたちうちできず,採算にのらないためといわれている。香港には日本の造船企業,石川

(5)

東南アジアにおける船舶工業の展開

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島播磨重工,三菱重工,日立造船,日本鋼管,三井造船,佐世保重工の6社が駐在員事務 所を置いており,一時は日本の新造船の3分の1は香港からの発注であるといわれていた ほどで,新造船に関しては香港は日本の造船各社の市場となっている。

 香港の造船所がおこなっている船舶修理はそのやり方がかなり特徴のあるもので,日本 における修理と比較すると,船主のイニシャチブがきわめて強い。造船所と船主との間で 修理項目を決定し契約する点では日本の場合と同じであるが,香港ではこの契約とは別に 船主が下請業者(sub−contractor)と契約しこれを造船所に連れてくることができる。日 本の場合は造船所以外から船主が業者を連れてくることはほとんどできず,一切を造船所 にまかせることになるのであるが,香港では,ドックで造船所によって契約項目の修理が おこなわれるのと並行して,それほど技術の必要のないもの,たとえばサビ落しとかデッ キの塗りかえとかは,船主が造船所とは別の下請業者を連れてきて行わせている。造船所 のおこなう修理はエンジン関係のような技術を要するもの,または,船底とかプロペラシ ャフトの修理のようにドックを使用しなければ修理不可能なものに限られている。したが って香港の船舶修理は分野が細かく分かれており,ドックをもつshipyardのほかに,各 種下請業者を含むship−repairerがあり,さらにこれとは別にship−painterが独自の分 野を形成している。船舶の修理はその修理の種類によって船主が各種業者と個別に契約

し,船主のイニシャチブによって進められている。修理の必要資材についても,たとえば 塗装をおこなう場合,塗装業者がペイントを購入して塗装するのではなく,船主が購入し て塗装業者に塗装させるのである。修理に必要な諸作業や諸資材は船主のコスト計算のも とに船主によって編成されているのであり,shipyardでの作業はその一部を形成するに すぎないのである。香港の統計が第2表にみられるように,船舶修理をドックヤードで の修理と港湾内での修理とに分けているのは,上述のように,修理実績が必ずしも造船所

(shipyard)での修理を意味しないという点を反映しているのではないかと思われる。

 次に,香港の業界で市場を分け合っている二大造船所について,個別にそれぞれの設備

      (4)

能力をみよう。

 The Taikoo Dockyard and Engineering Company   乾ドック       1

   最長781ブイート 最大幅87フィート   フローティング・ドック   1    35,000重量トン船舶用

  船 台       3       .    3,000排水トン船舶用    1

   4,000排水トン船舶用    1

   1,000排水トン船舶用    1

  建造バース

(6)

  船長500フィート 船幅110フィートまでの船舶用(現在都合により閉鎖中)

  クレーン

  15〜50トン走行クレーン各種  営業種目

  船舶修理および一般工事

 労働者数

  1500〜2000人       ・

The Hong Kong Wampoa Dock Company

 乾ドック    3

  700フィート 32,000排水トン用 1

  433フィート 9,000排水トン用 1

  271フィーート 2,800排水トン用 1

 船台 なし

 建造バース

   船長350フィート 船幅UOフィートまでの船舶用(現在都合により閉鎖)

  クレーン

   lOOトン固定クレーン    10〜80トン走行クレーン各種   営業種目

   船舶修理および一般工事   労働者数

   1,500〜1,800人

 この二大造船所のほかに,資料のえられた二造船所の設備能力を示すと次の通りであ

(5)

る。

 Wang Tak

  乾ドック なし   船台   1    500排水トン用   建造バース

   船長220フィ 一ト 船幅80フィートまでの船舶用   新建造

   小型オイル・タンカー,沿岸貨物船,タグボート,特殊凌深船,ホッパーバージ,

   ダンプバージ   営業種目

   船舶修理,船舶改造,一般工事

(7)

東南アジアにおける船舶工業の展開 21   労働者数

   500〜1200人  Choy Lee Shipyard   乾ドック なし   船台    2    500排水トン用   建造バース

   レジャー用舟艇およびヨット用   労働者数

   300〜500人

 このように,乾ドックをもっているのは二大造船所であるTaikoo DockyardとWan・

poa Dockのみで,他の造船所と比較して船台その他の諸設備に著しい差がみられ,大型 船舶の修理についてはこの二大造船所の寡占状態にあるといってよい。しかも,この二大 造船所は近く合併してHong Kong United Dockyard Companyとなる予定であるとい われており,二極集中の傾向はいっそう強まることになるであろう。

註(1)Industrial Investment Hong Kong l971−72, Publishea by the Trade Development    Council in co−operation with the Industrial Development Branch of the Comm.

   erce and Industry Department:Hong K:ong l971.

 (2}在香港日本国総領事館資料。この資料には,Above imformation are for guidance    onlyというnoteがついている。

 (3)小林進編『香港の工業化』所収,沢池忍「その他の工業品」122頁。

 (4)在香港日本国総領事館資料。

 (5)同上。このWang Takという名称の造船所は前述の香港の主要造船所7社の中には見当    らない。香港では,たとえばThe Hong Kong Wampoa Dock Companyのことを単    にその所在地の名称でKowloon Docksという通称で呼ぶことがあるので, Wang Tak    も主要7社のもついずれかの通称であると思われるが,いずれであるかは判然としない。だ    がここでは,Taikoo DockyardとWanpoa Dockの二大造船所の他に,たとえばどん    な造船所があるかというサンプルを示せば足りるので, この資料にある名称のままWang    Takとしておいた。

3.シンガポールの造船業と船舶修理業

 香港と同様に中継貿易港としての古い歴史をもつシンガポールでは,造船業・船舶修理 業の活動がかなり活発であり,大規模な総合的修理工場をもつ三大造船所をふくみ,造船 所といわれるものは全部で50社以上あるが,この中には数人で木造船をつくっている船大 工的なものも含まれているので,日本の造船工業会にあたる組織であるS.A.S.A.R。に        (1)

正式加入しているものを造船所と考えれば,その数は23社であるといわれている。それら

(8)

の造船所を従業員規模によって分類すると第3表の通りである。

   第3表     従業員規模別造船所数 (1970年)

従業員剃…。・人智到…一999人 10〜99人 10人未満

企業数 3

6

約 16 約 33

   (出所)桧垣茂「シンガポールにおける造船業」

 シンガポールの造船業・船舶修理業は,1971年において,労働者数15,000人,生産額は 2億3000万Sドルを示している。これを1969年の労働者数14,500人,生産額2億Sドルと 比較すると,労働者数では3%の増加にすぎないが,生産額では15%の伸びを示してお

り,さらに,生産額について1964年の6,500万Sドルと比較すると,実に3.5倍に達する急 速な成長をとげていることが知られる(第4表)。

   第4表        シンガポールの造船業・船舶修理業

1964 1969 197ユ

労  働  者  数   不   明     14,500     15,000

生産額(百万Sドル)

65(100)

200 (308)

230 (354)

   (出所)1964年は桧垣茂「シンガポールにおける造船業」より,1969年はSingapore        71より,1971年はSingapore Fact and Pictureよりそれぞれ抽出作成。

 設備能力の面をドックの状況についてみると,シンガポールには9万〜10万重量トン級       (2)

の乾ドックが8ケ所あり,このうちの一つは35万重量トンに拡張さいている。そしてこれ ら10万トン前後のドックは将来すべて40万トン級へ拡張される見通しであるといわれてい

 (3}

る。

       (4>

 シンガポールの船舶工業は,日本と異なり,修理部門が80%のシェアを占めており,そ の点香港に近い形になっているが,シンガポールは中近東と日本との中間に位置して,地 理的に有利な立場にあるため,船舶修理,とくにタンカーの修理は非常に有望視されて いる。1971年のシンガポールにおける輸送機械の附加価値額は228.8百万Sドルであり,

これはシンガポールの総附加価値額の16%にあたり,石油精製につぐ第2のシェアを示し   ⑤ ている。さらに,シンガポールには日本の大手造船各社の進出があいついでおり,すでに 進出している石川島播磨重工のほかに,日立造船,三菱重工,佐世保重工が修繕ドックの 建設計画をすすめており,マレーシアの南端のシンガポールに隣接するジョホールには住 友重機械工業も進出をすすめていて,シンガポール周辺はいまや造船所ラッシュの観を呈

し,船舶工業は急速にシンガポールの中核産業に成長しつつある。

 新船建造の面では,15,000トン級フリーダム型貨物船が年間6隻建造される予定にな

っており,すでに2隻が完成して,目下3隻目を建造中である(これは後述するJurong

Shipbuilders Ltd.によるものである)。また,これら大型船のほかに,バージ,引き船,

(9)

東南アジアにおける船舶工業の展開

23

パトロール船,トロール船,近海船,遊覧船等小型船の建造も盛んであり,さらに,最近 のインドネシア海域における海洋開発と関連して,石油掘削装置,洋上作業台,補給船,・

       (6)

作業船等,海洋開発に必要な特殊船や構造物の建造も開始されている。これからの方向と しては,近代輸送の必要に応じた特殊沿岸貨物船の建造や,前述の15,000トン級フリーダ ム型貨物船の建造の推進が重視されており,造船業の本格的な発展のために必要な船舶機        (7)

械や礒野物の造船関連産業の発達がのぞまれている。

       (8)

 次に,シンガポールの主要造船所についてみると,上位9社は次のようになっている。

 Sembawan Shipyard     従業員3,500人

 Keppel Shipyard       従業員2,700人

 Jurong Shipyard       従業員1,800人 請負工600人

Far East Shipping      従業員

Westbank Shipyard      従業員

Vosper Thornycroft Uniteers 従業員

Singapore Slipway      従業員

Weng Chan Engineering    従業員

Eagle Engineering      従業員

これら造船所は,シンガポール島西部の

FAR EAST

第1図

・フら

/w

       Jllrong地区,

シンガポールにおける造船所分布

200人 請負工600人

400人(含請負工)

300人 llO人

400人(含請負工)

250人(含請負工)

     南部のシンガポール港地区と

      ふ  を蓮      \

SHIPBUILDING

磯1務

%維

\(フ 込

       ノ

          \,

      愛

///

1

1

(出所)桧垣茂「シンガポールにおける造船業」(Prof. Chongの報告による)。

(10)

Kallang River河口地区,それに北部のジョホール水道地区の4地区に分かれて立地して いる。Jurong地区1にはJurong Shipyard,シンガポール港地区にはKepPel Shipyard,

ジョホール水道地区にはSembawang Shipyardと三大造船所が分かれて立地しており,

Kallang River河口地区には中小造船所が多数集っている。このほか,これら4地区とは 別に,東部のSerangoon Riverぞいには数社の木造船の造船所がある(第1図)。

       (9>

 これらのなかから主要な造船所の概要を個別的にみると次の通りである。

 Sembawang Shipyard Ltd.

  英軍のスエズ以東撤退により,海軍工廠が民間造船所に転換,スワン・ハンター・グ   ループの経営参加で,1968年12月ユ日,全額シンガポール政府出資により設立された   ものである。

  払込資本金 23百万Sドル   従業員   約3,500人   設備能力

   乾ドック 1 (Kings George VI)

    1,006.Oft×130.Oft×44.9ft 100,000重:量トン    フ1コーティング・ドック 5

 384.1ft × 49.1ft

 931.5   × 62.3  374.7   × 49.1

 584.0   ×  85.1  213.0  × 42.8

工場 55エーカー

×19.Oft

×17.3

×19.O

×27.5

× 15.0

5,000重量トン

8,000

5,000

20,000

1,000

 このほかに40万トン乾ドックの建設計画あり 営業種目

 船舶修理,石油探査用プラットホーム組立,一般産業工事 主要顧客国

 イギリス,アメリカ,西欧およびスカンジナビア諸国,東南アジアおよび極東 設備投資

 生産性向上を目的として,ユ971年に設備新設のため約4百万Sドル,1972年にさら

 に約4百万Sドル投資

取引高

 1969年一39百万Sドル  1970年一40百万Sドル

 1971年一55百万Sドル(英国海軍船舶へのサービスを含む)

 1972年一50百万Sドル(競争ベースの私企業となって英国政府の仕事の保証がな

(11)

東南アジアにおける船舶工業の展開       25

       くなったたあ)      ,  仕事量(1972年第1四半期)

  修理船 100隻  技能訓練

  造船所自身の訓練センターあり。従業員の約22%はいまなお訓練下にある。

 労 働

  現在の労働力の定着をのぞんでいる。ピーク時には契約労働を使用,必要な時はい   つでも造船所で24時間サービスをおこなう。造船業界は熟練労働が不足しているけ   れども,この造船所では従順であり,管理下にある。

Keppel Shipyard Ltd.

 シンガポール最古の造船所で,シンガポール港湾局に所属していたが,1968年に独  立,スワン・ハンター・グループに経営が委託され,さらに,1972年5月31日にスワ  ン・ハンター・グループによる管理は終り,現在は100%政府出資の独立な国営造船  所となっている。

 払込資本金 30百万Sドル

 従業員   2,810人

  (KepPel 2,700人, Singapore Slipway l10人)

 設備能力   乾ドック 6

  862.6ft×IOO.Oft×34.Oft King/s Dock   621.o  × 85.o  ×26.O  Queen s Dock   485.O  × 64.8  × 20.9  Victoria Dock   496.0 × 59.7 ×21.1  Albert Dock

  411.0  ×  47.6  × 15.6

  459.6   ×  63,0   ×  19.5

 船台 2 (Singapore Slipway)

 クレーン(30トン)  5 営業種目

 船舶修理

(40,000重量トン)

 全額出資の子会社Singapore Slipway(1970年発足)では600重量トンまでの沿

 食用船舶を建造

 石油掘削装置の修理 主要顧客国

 ソ連,ドイツ,オランダ,イギリス

設備投資

(12)

  最近3年間に設備近代化と更新投資のために7.5百万Sドル投下。

  Singapore Slipwayでは2.5百万Sドル投下,船台2   1,500重量トンドック建設を検討中

 取引高

  1969年一33百万Sドル   ユ970年一44百万Sドル   19刀年一60百万Sドル

  1972年一1971年と同程度を希望

 仕事量(1971年)

  船舶修理 2,000隻  技能訓練

  訓練学校は1968年発足,一度に150人の労働者を訓練:できる。海洋産業の熱練:労働   者が不足しているので学校の拡張を希望している。

 労 働

  全訓練生は訓練修了後一年間は造船所に勤務することになっている。

Jurong Shipyard Ltd.

 石川島播磨51%, シンガポール政府49%の合弁により,1963年4月25日設立され,

 1965年ユ0月に操業を開始し,シンガポールにおける3大造船所の一つとなっている。

 役員構成はシンガポール側3入,石川島播磨側4人である。

 払込資本金 15.2百万Sドル

 従業員 1,814人(うち日本人37人)他請負工600人  設備能力

  乾ドック 2

   350御×56脚×12〃3(300,000重量トン)

   270御×40㎜×10 7(90,000重量トン)

  フローティング・ドック 1

   86窺X18辮×一 (2,500重量トン)

  船 台 1       (6,000重量トン)

 営業種目   船舶修理  主要顧客国

  日本,オランダ,イリギス,リベリア,ギリシャ,アジア近隣諸国  設備投資

  1972年の第1四半期に4.5百万Sドルの資本投下,日本および西独から機械部品購

  入。

(13)

東南アジアにおける船舶工業の展開       27

  取引高

   1969年一40百万Sドル    1970年一55百万Sドル    1971年一65百万Sドル    1972年一70百万Sドル

  仕事量(1972年第1四半期)

   修理船舶 83隻   技能訓練

   毎年200〜300人の訓練生を日本に送り,1〜2年間訓練をおこなう。この訓練生た    ちは造船所と5年間の拘束契約をする。その他は造船所や職業学校で地方的に訓練    される。

  労 働

   熟練労働が不足。インド,台湾,マレーシアから,資格をもったエンニジニアや熔  接工:を補充したいと希望している。

 以上がシンガポールにおける三大造船所についての概要であるが,つぎに,その他の造 船所の中から,Vosper Thornycroft Ltd.とJurong Shipbuildersについてみてみよ

う。

 Vosper Thornycroft Ltd.

  英国のVosper Ltd.の全額出資による子会社である。

  従業員 1,200人   設備能力

   Tヘッド船台 ユ

     各種サイズの船5隻を収容    小型船台   2

     船長120ft船舶用    建造バース 4   営業種目

   船舶建造 60%

   舟{}美}臼イ暖≡理    30%

   舶用設備販売 10%

  主要顧客

   海洋掘削装置供給者,同オペレーター,シンガポールおよび極東諸国の海軍,ペル    シや湾諸国

  設備投資

   新設備やオーバーヘッド・クレーンに相当額の投資

(14)

  取引高

   1969年一19百万Sドル    1970年一20百万Sドル    1971年一25百万Sドル    1972年一26百万Sドル

  仕事量

   建造16隻 修理60隻   技能訓練

   毎年見習工を25〜30人採用。現在,訓練期間4年の英国の奨学金計画に6人の訓練1    生を送っている。これら訓練生はVorperに5年間就業義務がある。

  労 働

   甚だしく不足,とくに船舶設計の熟練した経験のある製図者と,経験のある監督者    が不足。Vosperは人々を訓練する計画であったし,また,従業員が一定水準に達    するまで臨時に英国籍を離脱させて人を送り込まねばならなかった。

 Jurong Shipbuilders

  シンガポール政府が3分のユ,石川島播磨が3分の1,Jurong Shipyardが3分の

  1の出資割合で,ユ968年12月19日に設立され,1971年1月に操業を開始した合弁企業   である。現在シンガポール政府より補助金を受けている。役員構成はシンガポール側   4人,石川島播磨側5人となっている。

  払込資本金 15百万Sドル   従業員 642人(うち日本人33人)

  設備能力    乾ドック 1

     25,000重量トン級船舶建造用   営業種目

   外航船建造,15,000重量トンフリーダム型貨物船年間6隻建造予定   建造実績

   15,000重量トンフリーダム型貨物船 2     Neptune Orient Lineに納入

    同型船の3隻目を建造中(これはNeptune Asociatesからの注文2隻のうちの

    1隻)

 なお,Jurong ShipyardグループにはこのJurong Shipbuildersのほかにもう1社

Jurong Engineeringがあるので附記しておこう。

 Jurong Engineering Ltd,

(15)

東南アジアにおける船舶工業の展開

29

 石川島播磨50%,Jurong Shipyard 30%(近日中にシンガポール開発銀行がこれに  参加する予定)の出資で,1971年2月17日に設立された。役員構成はシンガポール側  3人,石川島播磨側4人となっている。

 資本金 30万Sドル

 従業員 465人(うち日本人5人)

 営業種目

  各種陸上機器の建設工事(ボイラー,発電所,鉄骨構造,配管,土木工事部)将   来,産業機械分野への進出を企図。

 年間生産額 9百万Sドル

註(1)桧垣 茂「シンガポールにおける造船業」シンガポール日本商工会議所月報1971年1月号,

  34頁。

 (2>Singapore Fact and Picture l972, published by the Ministry of Culture,日本    シンガポール協会,新加波日本商⊥会議所翻訳「シンガポール事情1972年」25頁。

 (3)Singapore/71, publlshed by Authorlty, P.151。

 (4)桧垣茂 前掲論文 34頁。

 (5)「最近のシンガポール経済事情」在シンガポール日本国大使館編集,シンガポール日本商工   会議所発行,10頁。

 (6)Singpore/71, p.151。前掲「シンガポール事情1972年」26頁。

 (7) Singapore/71, p.151。

 (8)桧垣茂 前掲論文 35頁。

 (g)Austin Morais, the Shlpyards Ad]usting to Change, Singapore Trade&Indu−

  stry, June l972, pp.32〜3.桧垣茂 前掲論文36〜7頁およびJurong Shipyard資   料による。

4.タイの造船業と船舶修理業

 タイは独立国としての古い歴史をもつ国で,メナム河を中心にして水上輸送はかなり活 発であり,昔から水上輸送はこの国のもっとも重要な輸送形態であった。だがそれは外洋 輸送ではなく内陸輸送であって,大型の造船業や船舶修理業の発達はこの国にみられなか った。したがって,造船業や船舶修理業に開する資料はほとんどなく,Applied Scienti−

fic Resarch Corporation of Thailandによる ADescription of the Indusrial Sector of Thailand が入手しえた唯一の資料であった。以下これによってタイの造船業と船舶        (1)

修理業に関する現状をみていこう。

 タイの保有船舶数を用途別にみると(第5表),旅客船は次第に減少傾向にあり,タグ

ボートも河川用は不変であるが,海上用は減少している。これに対し漁船は隻数は変らな

いが総トン数は2倍以上に増加して相対的に大型化しており,貨物船は海上用の場合隻数

が1963年から1969年までに2分の1以下になっているにもかかわらず総トン数はこの7年

(16)

第5表 用途別登録船舶数 1963−1969  i合 年i

計隊(客a)船

船  タグボート 貨物船  (b)

一一趣」細ン隊1総トン隊陣トン断細ン1総総トン

遠 洋 蒸 汽 船

lll&

lllli 1969:

、li ll:1翻

11i 16,674.85i

41  8,615.341

.一

@    一旨

一;  引

li    l27,441 ト      1

4 5

ニ[

8,475,38 二1

7・689・80 @こ =旨

= 111:lll:悲

=;ll:ll巷:ll

=1 二  =

一: 1 127.44

       遠 洋 発 動 機 船

繭謡δラi池3.ゴ「葱「ゑヨ酷高高885139,321.561、571一一3,98、11蕊1痂21,85。.36

111g l:lll:ll:lll:ll: ll憾港;1:ll;1:lll…ll:lll:ll幅11:1§1:器}:1震…ll:lll:ll

196613,045; 67,871.971   46   2,796.0712,4631 35,252。33i 381

      1,lIO.09   469  24,105,44

1翻:llll、ll:188:ll ll:}:器lll:lll器:1器:18i lgi 翻1謝ll:翻l

196gl 6,5001149,671・37 62:

      2・431・8515・610,82・816・36…30・

      743.651  691  45,932.96

河川用蒸汽船

1963116 370.511

19641    gi    l31.621

        

19651    51     65.28}

1966     2:     25.00

1111=1 =;

   2i

1969

     23.47i

gi

5i

ll

ll:12=

11。10

=1

i

=I

1

1 2

=1

 5

97.24 ・: 17。07

28.60     11      9.50

河川用発動機船

1963i16,51&49,481.511 g,708130,153,10[

灘1:ll&墾鰹1尋11騰ll:懲1:

196613,064i 38,938,4717,0511 23,098.61     47,519.4817,1941 14,617.28 1967,17,677 196818,638  52,943.90旨7,938E l5,404.80

196gl17・83754・419・32旨7・582ヨ15・545・24

R37

−4721

−162−1 P47

一213

一一 Q14

−239

3,143.5516,251旨 14,423.49 2,927.03:6,374: 14,838。25 1,527.6116,531・ 13,862.59

     12,811.60

1,417.20 5,690

2,155.7717,527  15,046.75 2,954.47…7,6181 15,677.90

3・105・29;6・93615・563・67

(a)旅客用タグボートを含む。

(b)貨客船を含む。

 (出所)港湾局(aDiscription of the Industrial Sector of Thailand. P.171)。

間に2倍以上になっており,大型化が顕著である。全体としては,河川用は隻数,総トン 数ともに変化はあまりないが,海上用では隻数があまり変化しないのに総トン数は7年間 に2倍以上になっている。

 タイプ別では(第6表),国際的外航船の増加が著しく,1963年から1969年までの7年 問に,隻数では2倍に近く,総トン数では8倍以上に達している。河川用船は若干の増加 がみられるが大した変化はなく,ただバージの場合は大型化の傾向がみられる。蒸汽船は

この7年間にほとんど影をひそめるにいたっている。

造船所はタイには海軍をふくめて9ケ所あるが,海軍以外のものは次の各社である。

Bangkok:Shipbuilding&Engineering Corporation

R.C. K. Shipyard Company

(17)

東南アジアにおける船舶工業の展開 31

 Ngee Heng Long Shipyard Company  Neramit Shipbuilding Company  Voraditr Shipyard Cornpany  Sahaiyand Shipbuilding Company  Bangkok United Mechanical Company  Bangkok Dock Cornpany

 これらは造船所とはいえほとんどが木造船の建造に従事しているのが現状である。しか し,次の二つの理由で鋼船への転換の必要が以第に強まってきている。その第一は漁場の 問題で,沿岸水域およびシャム湾での乱獲のため漁場が次第に遠くなりつつあることであ

る。そして第二は輸送能力の問題で,120トンの鋼製トロール船の場合,貨物100トンの運 搬能力をもっているが,現在普通にタイで建造されている60トンの木造船の場合,その運 搬能力は20トンであるとされており,鋼船の方が能率がよいことである。

第6表 タイプ別登録船舶数 1961〜1969

   合  計

     

  数 1総 トン     「

賭三二膏ン甦)燃皆ン蕊)詞/・1船

  

数;総トン数1総トン数        

1総:トン1数 総1トン

ト      1

痴「

19621 1963 19641 1965・

1966・

1967

1968

19691

38i 15,014.921 231  7,878.07

  20,187.46

25

191 ].4,835.60

161 ].6,740.131

41  8,615.34

二i   =

3    ].50.911

    蒸    気

7… 14,578.85 4   7,629.80

919,816.95

10  14,703.98 111 16,674 85

4i  8,615 34  i       I

li l27・44 一一…

   2

   1:

一:

   ト

   =1    .1

   レ

56.391   29     379.68 36.26    18     212.01

 = lll lll:墨

 一1    51     65.28

 圏一: 『[  =  =  一「   _

一ヨ 23.47

     ト 機  船

196122,7422116,806.921132h8,549。28i」

196221,7211111,536.21、 95  19,553.621    「

驚:1野獣ll}黙黙:1…

      

196616,1091309,509.723711 33,49504E(a)旨

}§…li li窪i暑…{}i}§…iま§暑:§§1≧…§]圭薯§iil§§1§翠 i…l i

 「       1

196113,879h75,659.24

196213,638 177,806.90 196313,284 176,386.58 196411,997 165,776.45

196511,5851197,331.60

196612,373 222,202.55 196711,399 231,507.49

}llli l:llll lll:lll:ll

1嚢l1 π

1認

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l181 891

1il灘欝illil韓i灘

 一:6,651i 57,830.7814,515L 39,030.86

(a)!2,674

     34,376.93113,064 241,637.75

iilil…lll鷲0411…§ll i撚§§

ノぐ

(a)ll,204

 (a)

 (a)1

、6,1!8!,i

18,976.97:

16,914.98i 17,972.111

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(a)Il,026

 一     ジ

』… 、1278」颪(互ヲ1 757  8,497.00 (a)

1;llii;鄭i/

lll隆lll:ll周

22914,264・101(・)

(a)I12,675,147,381.09

絵lill:llli lll:lll:ll

(a)01,421 157,02L67

(a) 11,074189,236.89

(a) 11,974201,264.25

(a) 11,006208,469.02

(a) 9,3801177,158.96

(a)18・679目90・958・77

圖 60トン以上沿岸船と一緒に集計されている。

(出所)港湾局(aDescriptiorl of the Industrial Sector of Thailand, P l72)。

(18)

 次に上記8造船所のうち主要なものを個別的にみよう。

 The Bangkok Dock Company

  タイ国防省所有の国家企業で,1957年に設立されたタイ最大の造船会社である。

  従業員 40Q人(うち熟練工300,不熟練工100)

  建造実績

   1966〜69年に各種タイフ。のボート32隻建造(200丁目オイル・タンカーをふくむ)。

   建造船舶の80%は鋼製である。

   建造船舶はすべて政府内各部局に納入されている。

 Bangkok Shipbtlilding and Engineering Corporation   l967年に設立され,翌1968年に操業開始。

  投資総額 6百万バーツ

       (2)

  建造実績 操業以来,450馬力動力貨物船6隻建造    200トン・タンカー… l

   l50トン250馬力洋海トロール船…2

   はしけ… 1

   250馬力タグボート…2

 Bankok United Mechanical Cornpany   l967年に設立。

  主要建造実績

   200トン・オイル・タンカー2隻建造(船長3L87η,船幅5.6zη,吃水2.27辮コスト    1隻あたり1.5百万バーツ)。

  生産能力を年間200排水トン72隻,または500排水トン48隻に拡大するため,外国企業   との合弁を希望している。

 Thai Ocean Transportation Company

  これは前記8造船所の中にはないが,新しく1972年に1隻25万バーツのバージの建造   を認可された会社である。

  資本金 IO百万バーツ(70%はタイ株主,30%は外人投資家に分散)。

  225百万バーツを投下してフQロジェクト遂行を期している。

 Bang Thai(Ngee Heng Long)Company

       (3)

 Neramitr Karnchang Company

  この2社は小型舟艇の主要な建造業者である。

 このほかにタイで特徴的なことは鉄筋セメント船の建造である。Colorado Easternが 1967年に資本金200万バーツで会社を設立し,72馬力ディーゼル補助エンジンをもつ船価 37万バーツの機帆船と,船価loo万バーツの小えびトロール船を建造している。

 漁業部でも,ASRCTやFAOと密接な協力のもとに船価65,000バーツの鉄筋セメント漁

(19)

東南アジアにおける船舶工業の展開

33

船を建造し,現在成功裡に運転中である。

 ごく最近では,あるセメント会社が360魏の鉄筋セメント船を船価:たった8万バーツで 建造し,バラ積みセメントの輸送に使用しいる。これは北部タイにおける鉱石輸送などに

も適するのではないかとみられている。

 鉄筋セメント船は,(1)建造費が安い,(2腐食しにくい,という2点でその有利性を認め られており,タイでは将来性ありとみられている。

 このようにタイでは造船業が小型船の建造を中心に次第に活発化する傾向を示しつつあ るが,それにもかかわらず船舶建造は国内需要を満たしておらず,多くは輸入に依存して いるのが実情である。第7表はその輸入状況を示しているものであるが,1970年にくらべ て1971年の輸入額は若干の減少をみせているが,250トン級の比較的大型の船舶について は増大しており,とくにタンカー,および漁船以外の250トン級一般船舶の輸入が増加し ており,250トン以下ではタグボートの輸入増加が著しい。このような国内需要の存在 は,将来,タイにおける小型船建造を中心とした造船業の発展の余地を示しているとみて

よいであろう。

   第7表     タイの船舶輸入   1970〜1971

Tankers 250 tons ・十     り

Fishing vessels,250 tons 十 1

0ther vessels,250 tons 十 Vessels,100−200 tons

Motor launches,100 tons+

Other vesseユs,under]00tons I

Tugs under 250 tons    I Dredgers,10G tons十

〇ther dredgers

Parts for dredgers(んgs)

Floating vessels n.e,s Vesse玉s for breaking uP

Floatlng structures    総    同

数 量

「(隻)

  2

  6

  3

  16   10  342   1   4   2

35,204

  4

  ].

 60

1970 i 

ミ了F7価額1

  (バ「ツ)

  54,323,640

  71,421,4=L1   21,041,488 1   12,023,694 ;

  ユ,605,219

  1,788,256   1,029,600

  29,649,994

  1,930,830   3,575,352   3,789,736    603,200 :

   893,647 E

 203,676,067

   1971

数 量 「CI,F。価格

(隻) 1 (バーツ)

  3}93,273,985

  1  :   5,454,205

  14  1  67,399,472

  3  :      57,120

  12  E    287,648

 39  :     974,398

 548     5,952,296

  1 4,081,442   1・4,048,QO!

  3     95,865  39  i     l48,lll

    ]81,965,461    (出所)バンコック関税局(aDescriptlon of the Industrial Sector of Thailand,

      P。170)。

 タイ政府は,内陸における現在の運河のネットワークを今後も拡大する方針であり,ま た,漁業や海上の商船隊の拡張をも企図しているから,タイにおける船舶輸送の重要性は 今後いっそう増大するであろう。それに,投資局では,ある最低基準以上(資本投下額が 土地および運転資本をのぞいて2百万バーツ以上,建造船は100排水トン以上)の造船業 者に対して減税特典を与えるという造船業の奨励政策をとっている。

 こうした諸点を考えると,タイの造船業は小型鋼船を中心にしてかなりの発展の余地を

もっているとみてよいであろう。だがその場合問題となるのは急速に発展しつつあるシン

ガポールの造船業との競合であろう。

(20)

註(1》aDescription of the Industrial Sector of Thailand, by Aplied Scientific Resea−

  rch Corporation of Thailand l973, Second edition January 1973, pp.169〜173    による。       1

 (2}このBankok Shipbuilding arld Engineering Corporationの建造になる6隻の貨物船は   450馬力となっているが,その内訳には250馬力のものもある。これは前掲の aDisrcipti−

  on of Industrial Sector of Thailandりによるものであるが,そのまま紹介した。

 (3)このNeramitr Karnchang Companyは前に列記したタイの8造船所の中のNerarmtr   Shipbluilding, Co.と多分同一のものと思われるが, a Description of Industrial   Sector of Thalland にはこのように別様に書かれてあるので,別会社であることもあり    うると考え,そのまま紹介した。

5.東南アジアにおける船舶工業の展望

 以上みてきたところがら明らかなように,タイにおいては,造船業は小型船中心で,ま だ木造船から鋼船への転換の時期にあり,保有船舶の多くが輸入船であって,造船業の本 格的な成立をまだみていないといってよい。これに対し,香港とシンガポールにおいて は,古い中継貿易港としての歴史に裏づけられて,かなりの程度の船舶工業の集積がみら れ,その集積の上に立って,1960年後半から船舶修理業の分野を中心に次第に船舶工業の 活発化の様相を示してきている。ことにシンガポールの船舶工業は香港のそれが漸進的で あるのに対して急激な成長をとげつつある。

 香港とシンガポールが,両者とも同じように中継貿易港としての歴史をもち,船舶工業 の集積をもちながら,最近にいたってこのように船舶工業における成長の差が生じてきた のは,主として,シンガポールのもつ地理的な有利性によるものである。それは香港での 修理船が貨物船中心であるのに対し,シンガポールのそれがタンカー中心であることに端 的に示されている。シンガポールはペルシャ湾からマラッカ海峡を通って日本に石油を輸 送するタンカー航路の中間地点にある。タンカーを修理する場合にはその前にタンカーの ガスフリー作業(ガス抜き)が必要であり,これに大体3〜4日の時間が必要とされる。

したがって,r体でタンカーを修理しようとする場合は,石油を日本でおろした後3〜4 日の時間をかけてガスフリー作業を完了してからでなければ修理作業は開始されないが,

もしシンガポールで修理するなら,石油を日本におろしてから再びペルシャ湾に向って航 海しながら洋上でガスフリー作業ができ,シンガポールに着いた時には直ちに修理にとり かかることができるので,ガスフリーに必要な時間が節約されることになる。これは輸送 コストの面で大きなメリットが生ずることであり,そこにシンガポールの地理的な有利性 が生ずるのである。マラッカ海峡を通過する船舶はシンガポール政府の調べによると1969

年でさえ月間4012隻で,3万GT以上の船舶だけでも171隻に達するといわれている。シ

ンガポールの船舶工業の急激な成長はこのようなマラッカ海峡を往来する大型タンカーの

修理に支えられているのである。

(21)

東南アジアにおける船舶工業の展開       35       (1)

 シンガポールにおける船舶工業の歴史は古く,最初の造船所が当時の植民地総督Sir Rafflesによって設立されたのは1823年であった。以来, Singapore River河口から Kallang River河口にかけての当時のシンガポール港に,いくつかの小型木造船の造船所

がつくられていった。その中の一つに今日のVosper Thomycroft Uniteersの前身で

あるUnited Engineerがあった。

 だがシンガポールの船舶工業が本格的に展開するのは19世紀後半からである。スエズ運 河の建設や極東貿易の発展につれてシンガポールの中継港としての役割が増大し,大型船 の入港が増大して,大型修理設備が必要とされるようになった。こうした状況を受けて,

1861年にはNew Harbour Dock Co.が,1863年にはTanjong Pagar Dock Co.が操 業を開始する。この両者はのちのKepPel Shipyard Co.の前身であるが, Tanjong

Pagar Dockの方は1913年に当時世界第二といわれたKing sDockを完成し,つづいて

Queen s Dockも建設し,大型商船修理設備をととのえていった。このように,19世紀後 半から20世紀前半にかけて,シンガポールは英国の海峡植民地の中心であり,中継貿易港 であるという役割をバックにして,大型商船修理の分野で著しい発展をみるのである。こ の間,Kallang River河口地区では, Vosper Thornycroft UniteersやWeng Chan Engineering等の多くの造船所が設立または強化されたのである。

 第二次大戦後から1960年まではシンガポール船舶工業の停滞期である。第二次大戦後の イギリス勢力の退潮と植民地の独立により,極東貿易の重要性は減少し,沿岸航路の小型

船を対象とするKallang River河口附近の中小造船所と外航貨物船を主な対象とする

KepPel Shipyardという形をとっているシンガポールの船舶工業は,シンガポール港の 中継貿易港としての役割の低下とともに停滞を余儀なくされたのである。

 この停滞を打ち破ったのがマラッカ海峡を往来する大型タンカーであり,1960年代に入 って,シンガポールの船舶工業は再び活気をとりもどすことになる まず,1961年に国連 のIndustrial Survey Missionがそのレポート Shipbuildng&Shiprepalring Indus−

try で,工業化への戦略産業として造船業の振興を勧告し,翌1962年には,目本政府に 工業化計画への援助要請が,石川島播磨重工には造船所建設の要請があった。これにもと づいて,1963年にJurong Shipyard(J.S.L.)が設立され,1965年にはその90,000DWT

ドックが完成し,マラッカ海峡を往来する大型タンカーの修理にのり出すことになった。

この年はシンガポール共和国がマレーシア連邦から分離独立した年であるが,工S.:L,の 発足が刺戟となって,これ以後シンガポールの船舶工業が急速に展開をはじめる。1966年

には,KepPel Shipyard(当時はPSA Shlpyard)にスワンハンター・グループが経営に 参加してその合理化にあたることになり,1968年にはP.S.A.(港湾局)から独立した。

また,同じこの年に,イギリス極東海軍基地がイギリス軍のスエズ以東引揚げにともない

民間に転用され,シンガポール最:大の能力の修理工場をもつSernbawang Shipyardとし

て発足し,KepPel Shipyardの場合と同様に,スワンハンター・グループがマルタ海軍

(22)

工廠の民間転用の経験をかわれて経営に参加した。さらにこの年,Jurong Shipbuilders

(J.S.B.L.)が設立され,15,000DWT級のフリーダム型貨物船の建造に乗り出すことに なり,シンガポール船舶工業が船舶修理から,新船建造の分野へ一歩ふみ出すことになっ

た。

 この間,K:allang River河口の中小造船所もベトナム向けのはしけ需要に,インドネシ ア海域の海洋開発のための機器需要の激増が加わり,設備拡張にのり出した。だが,これ ら中小造船はその能力が修理の場合で1,000GTどまり,建造の場合は150GT程度である ので,Far East ShipPing, SELCC, Robin Shipyard等は広大な敷地を求めてJurong

西部地区に新造船所をつくる動きをみせはじめた。このJurong地区にはシンガポール

国外からの大企業の進出も活発であり,アメリカのトップクラスの海洋開発機器の会社で あるMc−Derrnott, Santa:Fe Pomeroy等の外に,ベスレヘム・スチール,日立造船も 立地することになっている。

 このようにしてシンガポールの船舶工業は,戦前の貨物船修理から,今や,タンカー修 理を主体とし,貨物船建造と海洋開発機器をこれに加えて,多面的な発展の道を歩み出し たようである。

 だが,これと同時に,シンガポールの船舶工業のもつ問題点も浮きぼりにされつつあ る。その一つは,造船関連工業の欠除であり,第二は監督的能力をもつ熟練労働力の不足 である。造船業は総合組立産業であり,外航船の建造の場合,そのコストの60〜70%は材 料費で占められている。造船関連工業をもたつにこれを輸入に依存するとすれば,競争上 きわあて不利である。したがって,シンガポールの船舶工業が船舶修理の分野から造船の 分野へ進もうとする場合,この造船関連工業の欠陥が最大の障害になるはずであり,長期 的にみて,造船関連工業の形成がどのようにおこなわれるかが今後のもっとも大きな問題 であろう。だがそれよりももっとさし迫った問題は第二の監督的熟練労働力の不足の問題 である。Jurong, Sembawong, KepPe1,日立造船,三菱重工などがそれぞれ大型ドック の建設または拡張のプロジェクトをもっており,これが実現されると,第一線監督者,上

級監督者(職長),中級管理者,上級管理者等管理職的manpowerが,1976年には現在

の2倍,1980年には3倍必要になると予測されている(第8表)。そのため,シンガポー

   第8表      manpowerの需要予測

 職   種

第一線監督 ヒ級監督者 中級管理者 一ヒ級管理者

雇用現在数  1976年必要数

    540         1080     180         360     90      180     22       44

1980年必要数

   1620

    540     270

    66

(出所)Austin Morais, the Shipyard Ad」usting to    Trade&Industry, June 1972, p.35.

Change, Singapore

参照

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