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末松宗雄 (昭和46年10月51日受理)

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(1)

長崎大学教育学部自然科学研究報告第25号19‑30 (1972)

ポリエチレンガットの熱応力ついて

末松宗雄

(昭和46年10月51日受理)

A Study on the Heating process Dependence of the Heat Stress of the

Polyethylene Gut

Muneo SUEMATSU

The Department of the Mathematic, Facalty of Education, Nagasaki Uniowcity, Nagasaki.

(Received October 31, 1971)

19

AhStract

In this paper, the heat stress of the polyethylene gut is measured under various heating process and drawn temperature.

An experiment by the author has shown that:

(1) Dividing the heating process in several steps, the heat stress of the polyethylene gut appear at the maximum temperature of before heating pro‑

cess less than the drawn temperature of this polyethylene gut.

(2) Shrinking the polyethylene gut, the heat stress of the polyethylene gut is shifted to the high temperature in proportion as the shrunk ratio.

(3) In the most part of the heat stress‑temperature curve of the poly‑

ethylene gut, the heat stress is a linear function with respect to the heating temperature.

(4) The pulse wave velocity‑temperature curves are no change with vari‑

ous heat process.

1.緒言

合成繊維においては大きな熱応力が発生することが種々の合成繊維について報告されてい

る1)2)3)S)7)S)

(2)

20 末 松 宗』雄

本報告ではポリエチレンガットの熱応力の延伸条件と昇温過程の分割による変化につき報告

する。

2.実 2.1実験方法

延ロ、一・(5)牝硫猷 もR})

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C、R.Q.ご・

第1図 熱応力,パル波速度測定装置    ブロックダイヤグラム

 第1図により熱応力,パルス速度および温度を則定した。第一図の硝子2重管に温度を制御 した油を循環させて管内の温度を調整した。温度制御は電子式制御方式にて油の温度を恒温,

一定速度昇温および一定速度降温で制御するようになつている。試料(2)は試料支持柵1)の下端 に固定してある電磁式弾性波のパルス波発振器の発振子(3)ヘナイロン糸で結東しセメダインC で固着した。試料(1)の上端はUゲージ(4)の延長ロッド(5)にナイロン糸で結束してセメダインC で固着した。Uゲージ(4)の延長ロッド(5)から1襯の点においてジルコン酸鉛の受圧子(6)をナイ ロン糸にて試料(2)に結束しセメダインCにより固着した。電磁発振子はパルス発生機のパルス 波電流により発振させた,発振子の周波数は6650c.P.s,でありまた毎秒約20回の割合にてパル ス波を発振した。 発振パルス波と受信パルス波はオツシロスコープで写真撮影により測定し た。第2図はオツシロスコープで撮影した写真である。第2図において(A)はパルス波電流 の微分波形であり, (B)は受信波形の先端である。受信波形は試料(2)を数回往複し孝パルス 波が重畳したものである。時間目盛は2つの水晶発振子のビ縁ト波を作り,このビート波を微 分して目盛としたものである。(2)の(C)目盛は50000c.P.s.,また(3)の(C)目盛は100000

(3)

ホリエチレンガットの熱1、と1/Jについて 21

(1)(1)は約31iSecノ)C.R。O.グ)受/レ1波形である。

  Aは発{、1.ハルス波(電流),B 受信パルス波(弾性1皮ノ

/2) は(1)グ)AB間を拡大したC.R.0グ)受1、{波形   Aは発信ノぐノレスギ皮 (、紀溺こ)

  B受信パルス波(弾性波)グ)波頭   Cは時間目1,藍

(3)は(1)のAB間を拡大したC.RO,の受信波形である、

  Aは発信ハノレス波(電流)

  Bは受信パノレス波(弾性波)の波頭   Cは時間目盛。a,bの間が1σ5sec.

第2図C.R.Oによる現象波形の写!ll

c、p.sである。波形の 『A、と 「B、の間σ)時間を測j定して試料を伝播したパルス波の伝達時 間を測定した。

 Uゲージ(4)にて熱応力を測定して記録計 R,、により記録した。

 試料室の温度は熱電対により測定し記録計・R、)により記録した。

 試料の長さは2重管の外側からカセートメータで測定した。

 2,2 試     料

 実験に用いた試料は低圧法ホリエチレンガットで155040〃の太さのガットである。ホリエチ レンガットは第5図の2重硝子管の室内で延伸した。第5図の2重硝子管に所定の温度の油を

循環させて管内の〜1、、1度を恒/l、庄に制御し,試料(2)の下端を支持汗(1)に固定し,試料の上端を鎖(7〉

に固定し,試料が真直になる程度に引張て長さを 心定に拘束して恒温の中に50分間保った後,

5.5端/mlnの連さで70擁になるまで延伸した。延伸した後50分間そのll、、t度に保ち長さを拘東し たまま25。Cの大気中で冷却し冷却後拘東した長さに1時問保って支持II二mから外し自由に収 縮させた。収縮した長さは約0.25%であ一、た,な同時に4本の試料を延伸して/組として測定

した。試料は第1表の通りで渉)る.

(4)

22 末 松 宗 雄、

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正伸菊

第3図試料延伸装置・

第一表

延伸温度 延伸倍率 比 

第4図 試料

1000C

4.9

0.910

第5図 試料

100。C 4.9

0.910

第6図 試料

100。C 4.8

第ワ図

(a)(b〉(c)(d〉試料

!00。C

5.98 0.91 0.940

第 8 図試料

40。C 400C 6.62 0.940

45。C 45。C 6.62 0.940

59。c巨110C

59。C 6。12 0.940

115。C 5。89 0.94

第9図試料

(aXb)

59。C 5.98 0.940

いc)

61。C 5.71 0.940

3.実

 3.1昇温過程の分割

 第4図の曲線(a,)は1000Cにて延伸した試料を21。Cから1150Cまで10C/minの昇温速 度で昇温した場合の熱応カー温度曲線である。 (a,)においては熱応力は40。Cから発生し,

950Cまで直線的に増加し,1/50Cで最大熱応力となる。1150Cから温度を10C/minの降温 速度で冷却すると応力は急速に増大する。250まで冷却した後長さを変へないで再び昇温し降 温した場合は曲線(a、)となり,熱応力は発生しない。第4図の曲線(b)はパルス波速度 一温度曲線である。曲線(b)はほとんどヒステリンシスをえがかない。

 第5図の曲線(a,),(a2)は昇温過程を2段階に分割した場合の熱応カー温度曲線であ る。曲線(a,)は25。Cから800Cまで1。C/minにて昇温し,800Cに50分間保った後1。C/

minの速さで250Cまで降温した場合の曲線である。曲線(a。)は(a,)の段階で250Cまで

(5)

ポリェチレシガラトの熱応力について 251

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15

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1鑑  )

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第4図・繰返昇降温による熱応力およびパル2波速度一温度曲線

降温したままの長さで50分間拘東してから試料を自由に収縮させ50分於置した。次いてこの試 料が真直になる程度の長さに拘東し,1。C/minの昇温速度で昇温した場合の熱応カー温度曲 線である。 第2回目の昇温過程においては前回の昇温過程の最高温度80。Cから熱応力が発生 する。 (a。〉は(a,)より僅かに大きい熱応力の増加率である。しかし曲線(a,) (a2)

はほとんど同様な曲線である。降温過程の応カー温度曲線も(a,) (a。)では似た曲線であ る。第5図(b1) (b2)の曲線はそれぞれ(a,) (a。)の場合のパルス波速度一温度曲線 である。曲線(b一) (b2)はほとんど同一曲線である。

 第6図の曲線(a,) (a。) (a。)は昇温過程を5段階に分割した場合の熱応カー温度曲 線である。曲線(a一)は25。Cから80。Cまで1。C/minで昇温し,800Cに50分間保って1・。

C/minの降温速度で250Cまで降温した場合の熱応力」温度曲線である。 (a。)一は(a,〉で       ワ

25。Cまで降温し長さを拘束したまま50分間保ち,長さの拘東を外して自由収縮させた後50分 間試料を自然に於置してから,試料を自然の長さに拘束して250Cから100。Cまで1。C/min

(6)

24 末  松  宗  雄

23

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第5図

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温 後(℃)

2ステップ昇温過程における熱応力およびパルス波速度一温度曲線

で昇温し,100。Cに50分間保った後に10C/minの降温速度で25。Cまで降温した場合の曲線 である6曲線(a・)は(a・)と同様にして25。Cから12S。Cまで昇温し・1250Cにて50分間 保って25。Cまで降温した場合の曲線である。曲線(a P(a,)(a。)から明なように(a,)

の最高処理温度から(a。)の熱応力は発生し,また(a。)では(a・)の最高熱処理温度か ら熱応力が発生する。曲線(b,) (b2) (b3)はそれぞれ(a,) (a2) (a。)の場合の パルス速度一温度曲線である。(bで) (b。) (b。)はよく似たほとんど同一曲線となり重な

、っていることを示す。

 第7図は59。Cで5.98倍へ延伸した試料にそれぞれたるみを与えて拘東した場合である。曲 線(a)はたるみが0の場合,曲線(b)はたるみが1%の場合,曲線(c)はたるみが2%

・¢》場合,また曲線(d)はたるみが5%の場合の熱応カー温度曲線である,Qこれからたるみが 大きぐなると熱応カー温度曲線は高温側に移動するとともに最大熱応力は小さくなるが,4曲 線は相似であって平行移動すると全く重ることがわかる。曲線(α) (β) (γ) (のはそれ

(7)

ポリエチレンガットの熱応力について 25

20

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第6図

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5ステップ昇温過程における熱応力およびパルス速度一温度曲線

ぞれ(a) (b) (c) (d)の場合におけるパルス波速度一温度曲線である。これらの曲線 群は似た曲線であるが,この場合は割合に大きなヒステリンシス曲線となり,降温過程の速度 が昇温過程の速度より大きい。

 第8図は延伸温度を変えた場合の曲線群である。曲線(a)は40Cにて5.96倍に,曲線

(b)は45。Cにて6.62倍に,曲線(c)は59◎Cにて6.12倍にまた曲線(d)は115。Cにて 5.90倍に延伸したガットの熱応カー温度曲線である。これの曲線から延伸温度が高くなると最 大熱応力となる温度も次第に高温側に移動することがわかる。 曲線(α) (β) (γ) (6)は それぞれ(a) (b) (c)(d)の場合のパルス速度一温度曲線であるがほとんど似だ曲線 である。

 第9図の曲線(a)は59。Cにて5.92倍に延伸した場合,曲線(b)は59。Cにて5.92倍に延 伸し59。Cにおいて拘東を外して自由にガットを収縮させて15分間保ち250Cまで冷却した場 合,また曲線(c)は61。Cにて5.71倍に延伸し長さ拘束したまま250Cまで冷却した後で85。

(8)

26 戸末 ・松・』r宗』「雄

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第7図 試料にたるみを与えた場合の熱応力

Cの熱水の中に50分入れて自由に収縮させた場合の熱応カー温度曲線である。これから(b)

は(a)より熱応力は小さく,最大熱応力の温度は高温側に移動する,また(c)にてはほと んど熱応力は発生しないことがわかる。曲線(α) (β) (γ)はそれぞれ(a) (b) (c)

の場合のパルス速度一温度曲線である。 (α)より・(β〉が,また(β)より(γ)が小さなパ ルス速度であるが,5曲線はよく似た曲線である。

 このように熱応力は延伸温度により発生の状態が変化する。また一度高熱処理をした後には 熱応力は発生しない,しかしパルス速度は余り大きな変化を示さないという特微がある。

−4.考

 合成繊維においては延伸後第1回目の熱処理においては熱応力が発生する。第1回目の熱処 理温度が高い場合には第2回目の熱処理では熱応力は発生しない。第1回目の熱処理温度が低 い場合は第2回目の熱処理においては第1.回目の熱処理の最高温度から熱応力が発生する,ごま た第2回目の熱処理温度が低い場合は第3回目の熱処理においては第1レ2回目の熱処理の最 高温度から熱応力が発生するという性質がある。また試料にたるみを与えて熱処理すれば,.た

(9)

ポリエチレンガットの熱応力について 2ワ

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第8図 延伸温度による熱応力の変化

るみの大きさが大きくなると熱応力の発生温度は高温側へ移動するとともに最大熱応力の温度 も高温側へ移動するが最大熱応力は次第に小さくなる。しかしこれ等の熱応カー温度曲線は相 似な曲線であり,平行移動すれば全く重ることがわかる。

 以上のことから熱応力は延伸によって生じた高分子鎖のセグメントの中で不安定な擬集状態 にある部分が加熱によりブラウン運動が大きくなったことにより安定な擬集状態に移ることに よって発生すると考えることが出来るだろう。したがって加熱の最高温度においてそれぞれの 温度にて安定なセグメンの擬集状態が定まり,最高処理温度が適当な温度以下の場合は次の加 熱にあたり前回の熱処理の最高温度となると熱応力が発生するようになると考えられよう。ま た適当な温度まで加熱するとすべてのセグメントは安定な擬集状態になり,その後は加熱によ

り熱応力は発生しないと考えることが出来よう。

 このように高分子鎖のセグメントが不安定な擬集状態から安定な擬集状態へ移ることによっ て熱応力が発生すると考えると,第10図(a)において擬安定であるセグメントAC Dは温度 t,までは安定である繊維マトリックスの2点ABで固定されたままキンクしているが,t2>

t,の温度t2ではブラウン運及が大きくなり,ポテンシャルがDの点からEの点へ移リキンク が外れA F Bは自由なセグメントとなる。この自由なセグメントとなったA F Bにはゴム状弾

(10)

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(11)

ポリエチレンガットの熱応力について 29 性が発生して熱応力が生すると考えることが出来よう。このような考えによって熱応力ではセ グメントの状態を次の5段階に分けて考えることが出来よう。すなわち

 1。第1段階,第7図における温度h以下ではセグメントABは第10図のAC Bにキンク されてDのようなポテンシャルバリヤの中でブウン運動する,この状態では熱応力は発生しな

い0

 2.第2段階,2点A BでクランプされてAC Bにブラウン運動しているセグメントは,第 8図の温度bくt,となるとセグメントのブラウン運動が大きくなりキンクが外れてD点か らE点へ移ることが可能となりAF Bのポテンシャルバリヤーの中でブラウン運動するように なる。この状態においてセグメントはゴム状弾性となり熱応力が発生する。

 5・第5段階,温度がt一より高くなると繊維マトリックスの2点ABはブラウン運動によ り第10図(b)のA ,B へ移動する。Aノ,Bノヘ移動してセグメントはA F BからA C Bノの 状態になりポテンシャルバリヤーのC 点でブラウン運動するようになる。この状態は温度t一 くtではこのセグメントは安全な状態となり,t,くtではこのセグメントA C B には熱応 力は発生しない。

 このような過程を繰返しながら熱応力が発生するものと考えることが出来よう。このように 熱応力はセグメントに発生するゴム状弾性によると考えると熱応力はランジュバン関数によっ て表わすことが出来る4)。すなわち

      くα¢>=σ(cot h(αF/々T)一舟丁/召F)       (1)

となる,ここでく砺>はセグメントのx成分の平均値,αはセグメントの長さ,Fはセグメ ントの両端に発生した張力,々はボルツマン常数,またTは絶対温度である。ここでは長さを 一定にして熱応力を測定するような実験をしたのでく砺>はほとんど一定と考えることが出 来よう。

 したがって高分鎖の鎖端距離の平均x成分くr.>はくα、>のセグメントの数をNとすれば       くr、>二Nα{o碗h(αF/海丁)一々T/召F》       (2)

となる。(2)においてFを求めると         短T

      F=一L 1(くr¢>/Nα)       .(3)

         α

となる。くr。>/Naは延伸倍率が一定の場合は一定と考えられよう。 したがって(3)によりセ グメントあたりの熱応力は温度に比例すると考えることが出来よう。

 (3)において<r¢>/N召は小さな値であるから

      F≒一壁.5く「・>       (4)

         α    Nα

となる。

 ポリエチレンガットの断面あたりの熱応力を発生するセグメントの数をnとすれば全熱応力

∫は

      ∫=nF

       =5n(海丁/a)(くr z>/Na)       (5)

となる。ここでnはTにより変るものと考えることが出来よう,よって

      ∫oo n(T)・T      (6)

となることが考えられる。

 このように考えると第7図において熱応カー温度曲線にて温度tたまでは熱応力が発生せず,

tんくtくt、の間では熱応力が直線状に増大し,t・くt<t惚では熱応力は次第に増加率が小

(12)

50 末  松  宗 雄

さくなり最大熱応力となって減少し・t・勘<tでは熱応力は急速に小さくなるということは・

tくhではnがoであり,t K tくt・ではnがほとんど一定となり,t・<t<t伽ではn は次第に小さくなり, t糀くtでは血泰温度の増加とともに急速に小さくなるものと考えるこ

とが出来よう。

 以上のように全熱応力fは不安定なセグメントが安定な状態に移動する時にセグメントに生 するゴム状弾性とゴム状弾性の張力Fを発現させるセグメントの数nとによってあさはされ       ∫=cnT=c n(T)T       (7)

とすれば,第4,5,6,7,8,9図の熱応カー温度曲線を説明することが出来る。同様に 第4,5,6,7,8,9図のパルス速度一温度曲線は熱処理条件によって余り大きな変化を しないことは,弾性波は安定した高分子鎖のセグメントの間を主として伝播すると考えられる から,(6)大部分のセグメントは安定した擬集状態の繊維マトリックスを構成して居て,不安定 なセグメントは余り多くないことを示していると考えるごとが出来よう。

5.結

 ポリエチレンガットの熱応力は繊維組織の中で延伸によって生じた擬安定なセグメントが加 熱により増大したブラウン運動により安定な繊維マトリックスヘ移る場合にセゲメントのゴム 状弾性により発生すると考え,擬安定なセグメントから安定なマトリックスに移るセグメント

の数nが温度の関数と考えることにより,

 1.延伸温度近くまでの加熱では第1回の熱処理の場合だけ熱応力が発生する。

 2.延伸温度以下において昇温課程を分割した場合は,前の熱処理の最高温度から熱応力が 発生する。

 5.試料にたるみを与えた場合は熱応力の発生温度は高温側へ移動し,また最大熱応力は小 さくなり,最大応力の温度は高温側に移る。しかし熱応カー温度曲線は相似であり,平行移動 により重なる。

 4.いろいろな条件の下にて熱処理した場合においてもずパレス速度一温度曲線は余り大き な変化はない。

ということが説明されることがわかった。

 本実験につきいろいろと御指導を頂いた群馬大学工学部淵野桂六教授と貴重なる試料をお分 け頂きました三河繊維試験場尾崎文一郎様に厚く感謝いたします。

参考文献

1)渕野,仲道,日置,日野1繊維誌 21,515,(1965).

2)F・Oosawa;Polymer Sci,32,229,(1958).

5)渕野,仲道,田中,笹井,第4回繊維学会研究発表会講演要旨集 P16(1966).

4)F。Bueche;Physical Propertces of Polymers p40(1962)Inter science Publishers 5)渕野,末松;第5回繊維連合講演会講演要旨集 P9(1969).

6)G。Leibfried and W.Ludwig l solid state Physics VaL12,P426(1961)も ワ)松本,渕野;繊維誌 27,575(1971)。

8)・ 〃  〃 27,581(1971).

参照

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