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螺旋飛行時間型質量分析装置

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

螺旋飛行時間型質量分析装置

著者 吉田 武尚

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

16

2

ページ 117‑124

発行年 1968‑02‑29

その他のタイトル Spiral Time‑of‑Flight Mass Spectrograph URL http://hdl.handle.net/10105/3219

(2)

奈艮教育大紀要 第16巻 第2号(自然)昭和43年 Bull. Nara U.宜due, Vol.16, No.2, (Nat.), 1968

螺旋飛行時間型質量分析装置

吉 1日  ∴ iiVj (奈良教育大学技術教室) (昭和42年9月30日受理〕

Spiral Time‑of‑Flight Mass Spectrograph Takehisa YosIDA

(Department of Technology, Nara University of Education, Nara, Japan) (Received Sept. 30, 1967)

Various types of non‑magnetic time‑of‑flight mass spectrograph, of which usefuln‑

ess is widely recognized, are proposed by many authors. However, much improve‑

merits on sensitivity, resolution, and construction are still required.

In the present paper, the increase of ion flight distance by the use of an solenoidal magnet, which provides the reduction of a drift space, and the bunching effect of a velocity modulated ion beam are discussed. Several necessary conditions in connection

with the above一mentioned problems are also calculated.

1.緒    言

飛行時間型質量分析計は原理上からも構造上からも簡単な分析計でありながら優れた性能を備 えていることから多くの分野に応用され成果をあげてきた.しかしながら分析目的の重要な分解 能や安定度が充分でないのでこれらの改善が要求されている.以下述べる質量分析装置は速度変 調(5)(6)によってイオンが某群する性質を利用したものであるが,イオンの集群条件を改善するこ

とで感度を高める.また従来の方式では長い走行空間を必要としたのに対してここには走行空間 でイオンを腺旋飛行させることにより走行距離を犠牲にせず走行空間の縮小に注目し,小型化を 目的として検討を加えた.飛行時間型質呈分析計についその詳細は文献(1), (2), (3), (4)を参照さ れたい.

2.原    理

第1図は装置の構成図である.イオン源で発生したイオンが速度零でイオン加速領域CI)に入 り加速を受け *‑Oにソレノイド磁界領域(Ⅱ)に速度(v‑V2eV/m)をもって入射する.そ の後磁気力で螺旋軌道を描き質量の小さいものから順次コレクターに近ずくことになる.

117

(3)

118

告 Lil 武 f"I

yレ/イトヨイlレ

I̲芋=二二ユニ 二≡半

1埴鐸卿)

砲車領疎即

第1図  螺旋飛行時間型質量分析計

加速領域(I)に於て,イオンが亀城(I)を出るときのイオンの速度をvoとすると

vo‑V軒

♂ :イオンの電荷 Vo:イオンの加速電圧 mi:イオンの質量

vo :イオンの速度(初速度) となる.ここで

鶴城cm に於て, ‑様な磁界B中に eBv。sind となるから,半径をRとして

(1)

voなる速度で入射したとすると磁界による磁気力は

i?‑miVo eBsind となる.

次にイオンが回転に要する周期Tは T一芸m・

となり,ピッチPは

p‑昔ntivocosd

となる,またピッチは整数倍(7)で軸上を通ることになり,その距離Pは

」‑np‑2nn昔vocosd

である.そこで螺旋軌道距離Loはn‑1として

EI5B

27T eB

(昔mi Vo)2 {sin2d+cos2d)

‑ niiVo.

(2)

(3〕

(4)

(5)

(6)

従ってこの方式を飛行時間型として用いると時刻Tの小さいものから順次コレクターに到達

(4)

螺旋飛行時間型質量分析装置

することになる. nが1でない場合は式(4), (5)より次式のようになる.

L。‑V v豊mi v。sinO )2+(n一窟TfliVoCOSd)2

‑温niiVo vsin2d+n2 cos2d

次にイオンの集群に於て感度を高めるために適当な電圧波形を検討する・

3.イオンの集群条件と加速電圧

領域(n)に次々と入射する質量miのイオン が同時にコレクターに到達するためにはイオン の加速電圧をv‑vMとして時間的変化を与え ることが必要である.

t ‑Oに出発したイオンがTo秒かかってコ レクターに到達するとき t‑vに出発したイオ ンがそれに追いつきt‑T。になるための条件

( LS i Dq

(7)

119

′t

第2図 加速電圧と振巾

時間T

To‑T+T‑T一 昔去・Lo

である.ここでT‑0の時のVの値をVoとかくと

/    

To‑V告一五・ Lo

式(8), (9)より

町0‑f. (義)2

(8)

(9)

(10)

を得る.これが理想的な集群を与えるための加速電圧波形である.ここで0≪T≪loとするなら ば式(10)は

vu‑V,(1+音T・音T2+‑‑+(サ+i)(‑T‑)B+

蝣L。‑(ll)

となる.したがって電圧Froの振巾V(a (a)は近似的に

vw‑vw‑vo≒vo・昔T と簡単化される.

(12)

4.数 値 計 算

プロトンおよび電子の質量をそれぞれnip, meとしてP‑mp/me, M‑mi/mpと置けば

(5)

120

mi‑MPme これを用いると,イオンの到達時刻T.は

吉lIl 止」 M

B芦5X10" ′れ=5 βXt 71=2 a:45X10'z ir=1 匿 鵠 ‑.= 芸L B=lxー0‑ U=1.

I

/ J

I

J . 一一M il f l l ー一 ‑ ( , 一日目

1 0       1 QX IO*

一一→ M

第3図  飛行時間と質量

(6)

螺旋飛行時間型質量分析装置

x 。 ‑ J‑/。ノ要言妄・

式(14)にLoを代入し,

e‑1.602 × 10‑19 (coulombs)

P‑m /me‑1830.1

We‑9.1066×10‑31 (kg)

を用いると

T0‑6.5581×10‑ ×昔・

(14)

(15)

磁束密度Bをウェ‑バW)単位で表わし,式(15)についての数値計算は第3図である.

121

5.分 解 能

質量数の測定に関しては式(15)に従って飛行時間の測定で置き換えることができる.式(15)よ

JT。 AM JB r.   m n 一様磁界(B‑一定)を仮定すれば,

JTo JM To M

(16)

(17)

に従って質量数の識別を行なうことができる.ここで理想的な集群が行なわれるとすれば式(17) が常立し, AMとMが比例することになる.一例として一価のイオンでM‑100のところで

』〟‑1であるためには

AT。 1

T。 100 (18)

である.

以上は理想的な集群が行われると仮定した場合であるが実際には式(10)で与える波形を作る ことは困難な為にこれに近い波形を用いることから当然誤差が入ってくることを次に検討する.

6.変靭波形による影響

容易に用いることのできる波形で式(10)に近い鋸歯状波波形がある.この電圧を㌣(,)とすれ ば式(8)は

・'0‑r‑ノ吾言・ Lo

で表わされる. Toは電圧波形が変った為の走行時間の異りとしたものである.

V'Mの波形としてほ

Vォ‑V.・e坤2音

(19)

(20)

(7)

122

とすると

吉 田 武 錦

・'0 ‑T+V2e孟・Lo

‑t+To・exp (一意)

となり,また

i‑ 0㌔‑‑工(五)2‑÷(一意)3 +‑・‑

を得る.この波形歪からくる走行時間と加速電圧の誤差を第4図に示す.

21

(22

0.1 .1  蝣19 .23 .27 .31 S .39 .53 .47

第4図  変調波形による走行時間と加速電圧差

7.考    察

螺旋飛行時間型質量分析装置でイオンの集群と走行空間の縮小により小型高性能化えの可能性 があることを知った.しかしながら第5図のような走行空間を与えれば一段と小型化されるであ

(8)

螺旋飛行時間型質量分析装置 123

磁界のない同心円筒状空間を考え,速度をもったイオンが遠心力と静電界の向心力との釣合か ら安定な軌道を飛行するならば,回転半径ro,回転数Nとして走行距離L。‑2nr。Nを小電 極使用で容易に大きくすることができる.この方式でイオンの加速電圧,円筒座標角方向の速度 成分,安定軌道半径,円筒電極内の電界,二つ円筒電極半径をそれぞれ Va, Va, r。, Er, ri, r2 として両円筒問の電位差をVdとすると

mva vd

‑eE=e

r    も ¥n{r2lrx) r

(23)

となる.円筒電極内にイオンが理想的に入射するものと考え軸方向の速度成分を零とするなら

V'a‑ 軍eVa

JJJ

であるから式(23)は次式となる r,

In (r2/r{)

‑2 Fォ

(24)

(25)

従って式(25)は安定軌道条件式であり,質量mに無関係である.同時刻に走行空間に入射され る全ゆる種類の質量をもつイオンはそれぞれのイオン速度に伴って軽いものからコレクターに順 次飛び込むことになる.この方式を飛行時間型分析計として用いるとき安定軌道条件式からずれ た速度vaのイオンは飛行中に回転半径が時間と共にずれてコレクター附近では自らスペクトル

(9)

124 吉[日 武 尚

イオン流になってしまうであろう.この分析計でのイオン源の構造は非常に簡単なものであるが 半面イオンの利用率が悪くなることはさけられない.しかし直進型と比較すると興味ある事実で

ある.またイオン流が半径方向に厚みをもつとき回転半径の大きいものと小さいものとで走行距 離に差が生じコレクタ‑に到達する時間が異ってくる恐れがある.

膿旋飛行時間型分析装置に於て,小型高感度化の可能性はあるにしても装置全体からながめる と多々問題点があるように思われるが,現在の技術面を用いれば一様磁界の安定度,変調波形の 精度,電圧パルスの安定度それにコレクター構造等は大部分解決されるように恩われる.本研究 に於ては単なる原理的な計算であって,今後実験と共に検討を加えて行きたいと思う.

文     献

(1) W.C. Wiley, I. H. Mclaren, Rev. Sci. Inst‥ 26, 1150 (1955)

(2)富田,制御工学, 7. 222 (1963) (3)富田,工業科学雑誌, 67,1769 (1964) (4)富田,質量分析, 29, 45(1965) (5)林,質量分析, 12. 45(1959) (6)三戸,電子装置委員会資料, (1962)

( 7 ) Jacob Miliman, Samuel seelr, Electronics, McGRAW‑HILL, pp.26‑31 (1951)

参照

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